JP6855897B2 - 酸化鉱石の製錬方法 - Google Patents

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Description

本発明は、酸化鉱石の製錬方法に関するものであり、より詳しくは、ニッケル酸化鉱石等の酸化鉱石を還元剤と混合して高温下で還元することによってメタルを含む還元物を得る酸化鉱石の製錬方法に関する。
酸化鉱石の一種であるリモナイトあるいはサプロライトと呼ばれるニッケル酸化鉱石の製錬方法として、熔錬炉を使用してニッケルマットを製造する乾式製錬方法、ロータリーキルンあるいは移動炉床炉を使用して鉄とニッケルの合金であるフェロニッケルを製造する乾式製錬方法、オートクレーブを使用してミックスサルファイドを製造する湿式製錬方法等が知られている。
上述した様々な方法の中で、特に乾式製錬法を用いてニッケル酸化鉱石を還元して製錬する場合、反応を進めるために原料のニッケル酸化鉱石を適度な大きさに破砕する等して塊状物化する処理が前処理として行われる。
具体的に、ニッケル酸化鉱石を塊状物化する、すなわち粉状や微粒状の鉱石を塊状にする際には、そのニッケル酸化鉱石と、それ以外の成分、例えばバインダーやコークス等の還元剤とを混合して混合物とし、さらに水分調整等を行った後に塊状物製造機に装入して、例えば一辺あるいは直径が10mm〜30mm程度の塊状物(ペレット、ブリケット等を指す。以下、単に「ペレット」という)とするのが一般的である。
塊状物化して得られるペレットには、含有する水分を「飛ばす」ために、ある程度の通気性が必要となる。さらに、その後の還元処理においてペレット内で均一に還元が進まないと、得られる還元物の組成が不均一になり、メタルが分散したり偏在したりする等の不都合が生じる。そのため、ペレットを作製する際には混合物を均一に混合したり、得られたペレットを還元する際には可能な限り均一な温度を維持することが重要となる。
加えて、還元処理により生成するメタル(フェロニッケル)を粗大化させることも非常に重要な技術である。生成したフェロニッケルが、例えば数10μm〜数100μm以下の細かな大きさであった場合、同時に生成するスラグと分離することが困難となり、フェロニッケルとしての回収率(収率)が大きく低下してしまう。そのため、還元後のフェロニッケルを粗大化する処理が必要となる。
さらに、製錬コストをいかに低く抑えられるかも重要な技術的課題であり、コンパクトな設備で操業することができる連続処理が望まれている。
例えば、特許文献1には、金属酸化物と炭素質還元剤とを含む塊成物を加熱し、塊成物に含まれる金属酸化物を還元溶融して粒状金属を製造するにあたり、粒状金属の生産性を一層高めることを目的とする技術が開示されている。具体的に、金属酸化物と炭素質還元剤とを含む塊成物を、移動床型還元溶融炉の炉床上に供給して加熱し、金属酸化物を還元溶融した後、得られる粒状金属を冷却してから炉外へ排出して回収する粒状金属の製造方法が開示されている。そして、この技術においては、塊成物中の酸化鉄を固体還元する炉の前半領域における炉内温度を1300℃〜1450℃とし、塊成物中の還元鉄を浸炭、溶融させ、凝集させる炉の後半領域における炉内温度を1400℃〜1550℃とするとともに、炉床上に敷き詰めた塊成物同士の距離を0としたときの塊成物の炉床への最大投影面積率に対し、炉床上に敷き詰めた塊成物の炉床への投影面積率の相対値を敷密度としたときに、炉床上における塊成物の敷密度を0.5以上0.8以下として加熱する際に、平均直径が19.5mm以上32mm以下の塊成物を炉床上に供給することを特徴としており、このような方法によれば、塊成物の敷密度と平均直径と併せて制御することで、粒状金属鉄の生産性を向上できるとしている。
確かに、上述した特許文献1に開示の技術が提案された以前の技術と比較すれば、塊成物の敷密度と平均直径を制御することで、粒状金属鉄の生産性を向上できるとも考えられる。しかしながら、この技術は、あくまでも塊生物の外の反応についての技術であり、還元反応に最も重要な要素は還元反応が起きる塊生物内の状態である。
すなわち、塊生物内の還元反応を制御することによって、例えば反応効率をより一層高めることができ、また均一に還元反応を生じさせることもでき、高品質のメタルを製造することが可能となると言える。
また、特許文献1に開示の技術のように、塊生物の直径を決められた範囲にすることにより、塊生物の製造時の収率が下がってしまい、コストアップになる。さらに、塊成物の敷密度が0.5以上0.8以下の範囲とすると、最密充填でないうえに塊生物の積層もできなくなり、非常に効率の悪い処理工程となってしまい、製造コストの上昇に繋がる。
さらに、特許文献1に開示の技術のように、原料全てを溶解して還元する、いわゆる全溶解法を用いたプロセスでは、操業コストの面でも大きな問題がある。例えば、原料のニッケル酸化鉱石を完全に溶融するには、1500℃以上もの高温にする必要があるが、このような高温条件とするには多大なエネルギーコストがかかり、またそのような高温で使用する炉は傷み易くなるため、補修費もかかる。またさらに、原料のニッケル酸化鉱石中にはニッケルが1%程度しか含まれていないため、そのニッケルに相応する鉄以外は回収する必要がないにもかかわらず、多量に含まれる回収不要な成分までもすべてを溶融することになり、著しく非効率となる。
そのため、必要なニッケルだけを優先的に還元して、ニッケルよりもはるかに多量に含まれる鉄の還元は部分的にしか行わない部分溶解による還元方法が検討されてきた。しかしながら、このような部分還元法(あるいはニッケル優先還元法ともいう)では、原料を完全に溶解しない半固体状態に維持しながら還元反応を行うため、ニッケルを100%完全に還元しながら、一方で鉄の還元はごく一部分だけに留めるように反応を制御することは容易でない。そのことにより、原料内での還元に部分的なばらつきが生じ、ニッケル回収率の低下等、効率的な操業が難しいという問題がある。
以上のように、原料のニッケル酸化鉱石を混合し、その混合物を還元して、メタルを製造するにあたり、生産性を向上させるとともに、製造コストを抑えながら高品質のメタルを製造するには、多くの問題があった。
特開2011−256414号公報
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、ニッケル酸化鉱石等の酸化鉱石を含む混合物を還元することでメタルを製造する製錬方法において、メタル回収率を高めて生産性を向上させるとともに、高品質のメタルを安価にかつ効率的に製造することができる方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、原料の酸化鉱石を含む混合物を、酸化抑制物が共存する状態で還元処理に付すことによって、ニッケル品位の高い高品質のメタルを効率的に製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)本発明の第1の発明は、酸化鉱石と炭素質還元剤とを混合し、得られた混合物を加熱して還元処理に付し、還元物であるメタルとスラグとを得る製錬方法であって、前記混合物を、酸化抑制物が共存する状態で還元処理に付す、酸化鉱石の製錬方法である。
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記酸化抑制物として、酸化物の含有量が90質量%以上である酸化物混合物を用いる、酸化鉱石の製錬方法である。
(3)本発明の第3の発明は、第1の発明において、前記酸化抑制物として、酸化物の含有量が90質量%以上である酸化物混合物と、炭素質還元物とを含む酸化抑制混合物を用いる、酸化鉱石の製錬方法である。
(4)本発明の第4の発明は、第3の発明において、前記酸化抑制混合物に含まれる前記炭素質還元物は、石炭及び/又はコークスである、酸化鉱石の製錬方法である。
(5)本発明の第5の発明は、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記混合物の上面に前記酸化抑制物を載せて還元処理に付す、酸化鉱石の製錬方法である。
(6)本発明の第6の発明は、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記混合物を前記酸化抑制物で包囲して還元処理に付す、酸化鉱石の製錬方法である。
(7)本発明の第7の発明は、第1乃至第6のいずれかの発明において、前記酸化抑制物として、前記炭素質還元剤の灰を少なくとも一部に用いる、酸化鉱石の製錬方法である。
(8)本発明の第8の発明は、第1乃至第7のいずれかの発明において、前記酸化抑制物として、石炭灰、木炭灰、及び竹炭灰から選ばれる1種類以上を少なくとも一部に用いる、酸化鉱石の製錬方法である。
(9)本発明の第9の発明は、第1乃至第6のいずれかの発明において、前記酸化抑制物として、アルミナ、アルミナセメント、マグネシア、マグメシアセメント、ジルコニア、ジルコニアセメント、及びムライトから選ばれる1種類以上を少なくとも一部に用いる、酸化鉱石の製錬方法である。
(10)本発明の第10の発明は、第1乃至第9のいずれかの発明において、前記還元処理における還元温度を、1200℃以上1450℃以下とする、酸化鉱石の製錬方法である。
(11)本発明の第11の発明は、第1乃至第10のいずれかの発明において、前記酸化鉱石は、ニッケル酸化鉱石である、酸化鉱石の製錬方法である。
(12)本発明の第12の発明は、第1乃至第11のいずれかの発明において、前記メタルは、フェロニッケルである、酸化鉱石の製錬方法である。
本発明によれば、ニッケル酸化鉱石等の酸化鉱石を含む混合物を還元することでメタルを製造する製錬方法において、メタル回収率を高めて生産性を向上させるとともに、高品質のメタルを安価にかつ効率的に製造することができる。
ニッケル酸化鉱石の製錬方法の流れの一例を示す工程図である。 還元処理に供する混合物の上面(上部表面)に酸化抑制物を載せて共存させたときの状態を模式的に示す図である。 還元処理に供する混合物を、酸化抑制物によって包囲して共存させたときの状態を模式的に示す図である。
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。また、本明細書において、「X〜Y」(X、Yは任意の数値)との表記は、「X以上Y以下」の意味である。
≪1.本発明の概要≫
本発明に係る酸化鉱石の製錬方法は、酸化鉱石を原料として、その酸化鉱石と炭素質還元剤とを混合して混合物とし、得られた混合物を高温下で還元処理に付して還元物であるメタルを製造する方法である。例えば、酸化鉱石として、酸化ニッケルや酸化鉄等を含有するニッケル酸化鉱石を原料とし、そのニッケル酸化鉱石を炭素質還元剤と混合して、高温下において、混合物に含まれるニッケルを優先的に還元し、また鉄を部分的に還元することで鉄とニッケルの合金であるフェロニッケルを製造する方法が挙げられる。
具体的に、本発明に係る酸化鉱石の製錬方法は、酸化鉱石と炭素質還元剤とを混合し、得られた混合物を原料として加熱して還元処理に付し、還元物であるメタルとスラグとを得る方法において、その混合物を、酸化抑制物が共存する状態で還元処理に付すことを特徴としている。
このような製錬方法によれば、酸化鉱石と炭素質還元剤とを含む混合物に対して酸化抑制物が共存する状態で還元処理を施すことによって、混合物内での酸化を効果的に抑制することができ、ニッケル等のメタル化率を高め、そのニッケル等の金属品位の高い高品質なメタルを製造することができる。また、酸化抑制物を共存させるという簡易な方法であるため、安価にかつ効率的に処理することができる。
以下では、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)として、ニッケル酸化鉱石の製錬方法を例に挙げて説明する。上述したように、製錬原料であるニッケル酸化鉱石は、酸化ニッケル(NiO)と酸化鉄(Fe)とを少なくとも含むものであり、そのニッケル酸化鉱石を製錬原料として還元処理することすることで、メタルとして鉄−ニッケル合金(フェロニッケル)を製造することができる。
なお、本発明は、酸化鉱石としてニッケル酸化鉱石に限定されるものではなく、製錬方法としても酸化ニッケル等を含むニッケル酸化鉱石からフェロニッケルを製造する方法に限られるものではない。
≪2.ニッケル酸化鉱石の製錬方法≫
本実施の形態に係るニッケル酸化鉱石の製錬方法は、ニッケル酸化鉱石を炭素質還元剤と混合して混合物とし、その混合物に対して還元処理を施すことによって、還元物としてメタルであるフェロニッケルとスラグとを生成させる方法である。なお、メタルであるフェロニッケルは、還元処理を経て得られたメタルとスラグとを含む混合物から、そのメタルを分離することで回収することができる。
図1は、ニッケル酸化鉱石の製錬方法の流れの一例を示す工程図である。図1に示すように、この製錬方法は、ニッケル酸化鉱石を含む原料を混合する混合処理工程S1と、得られた混合物を所定の形状に成形する混合物成形工程S2と、成形された混合物(ペレット)を所定の還元温度で還元加熱する還元工程S3と、還元工程S3にて生成したメタルとスラグとを分離してメタルを回収する分離工程S4と、を有する。
<2−1.混合処理工程>
混合処理工程S1は、ニッケル酸化鉱石を含む原料粉末を混合して混合物を得る工程である。具体的には、混合処理工程S1では、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石に、炭素質還元剤を添加して混合し、また任意成分の添加剤として、鉄鉱石、フラックス成分、バインダー等の、例えば粒径が0.1mm〜0.8mm程度の粉末を添加して混合し、混合物を得る。なお、混合処理は、混合機等を用いて行うことができる。
原料鉱石であるニッケル酸化鉱石としては、特に限定されないが、リモナイト鉱、サプロライト鉱等を用いることができる。なお、ニッケル酸化鉱石は、酸化ニッケル(NiO)と、酸化鉄(Fe)とを少なくとも含有する。
炭素質還元剤としては、特に限定されないが、例えば、石炭粉、コークス粉等が挙げられる。なお、この炭素質還元剤は、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石の粒度や粒度分布と同等の大きさのものであると、均一に混合し易く、還元反応も均一に進みやすくなるため好ましい。
炭素質還元剤の混合量としては、ニッケル酸化鉱石を構成する酸化ニッケルの全量をニッケルメタル還元するのに必要な化学当量と、酸化鉄(酸化第二鉄)を金属鉄に還元するのに必要な化学当量との両者合計値(便宜的に「化学当量の合計値」ともいう)を100質量%としたときに、好ましくは5質量%以上60質量%以下の炭素量の割合、より好ましくは10質量%以上40質量%以下の炭素量の割合となるように調整することができる。このように、炭素質還元剤の混合量を、化学当量の合計値100質量%に対して5質量%以上の割合とすることで、ニッケルの還元を効率的に進行させることができ生産性が向上する。一方で、化学当量の合計値100質量%に対して60質量%以下の割合とすることで、鉄の還元量を抑えて、ニッケル品位の低下を防ぎ、高品質のフェロニッケルを製造することができる。このように、好ましくは、炭素質還元剤の混合量を化学当量の合計値100質量%に対して5質量%以上60質量%以下の炭素量の割合とすることで、混合物の表面に金属成分により生成した殻(メタルシェル)を均一に生成させて生産性を向上させることができ、またニッケル品位の高い高品質なフェロニッケルを得ることができ、好ましい。
また、任意成分の添加剤である鉄鉱石としては、例えば、鉄品位が50%程度以上の鉄鉱石、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬により得られるヘマタイト等を用いることができる。
また、フラックス成分としては、例えば、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、二酸化珪素等を挙げることができる。また、バインダーとしては、例えば、ベントナイト、多糖類、樹脂、水ガラス、脱水ケーキ等を挙げることができる。
混合処理工程S1では、上述したようなニッケル酸化鉱石を含む原料粉末を均一に混合することによって混合物を得る。この混合に際しては、混合性を高めるために混練を同時に行ってもよく、混合後に混練を行ってもよい。具体的に、混練は、例えば二軸混練機等を用いて行うことができ、混合物を混練することによってその混合物にせん断力を加え、炭素質還元剤や原料粉末等の凝集を解いて、均一に混合できるとともに、各々の粒子の密着性を向上させ、また空隙を減少させることができる。これにより、還元反応が起りやすくなるとともに均一に反応させることができ、還元反応の反応時間を短縮することができる。また、品質のばらつきを抑えることができる。そして、結果として、生産性の高い処理を施すことができ、高い品質のフェロニッケルを製造することができる。
また、混練した後、押出機を用いて押出してもよい。このように押出機で押出すことによって、より一層高い混練効果を得ることができる。
なお、下記表1に、混合処理工程S1にて混合する、一部の原料粉末の組成(重量%)の一例を示すが、原料粉末の組成としてはこれに限定されない。
Figure 0006855897
<2−2.混合物成形工程>
混合物成形工程S2は、混合処理工程S1で得られた混合物を成形する工程である。具体的には、原料粉末を混合して得られた混合物を、ある程度の大きさ以上の塊(塊状化物、以下「ペレット」ともいう)に成形する。したがって、混合物成形工程S2は、ペレット製造工程とも換言することができる。
成形方法としては、特に限定されないが、混合物を塊状物化するのに必要な量の水分を添加し、例えば塊状物製造装置(転動造粒機、圧縮成形機、押出成形機等、あるいはペレタイザーともいう)を用いて所定の形状のペレットに成形する。
混合物を成形して得られる塊状化物(ペレット)の形状としては、例えば、直方体状、円柱状、球状等とすることができる。このような形状とすることにより、混合物を成形し易くし、成形にかかるコストを抑えることができる。また、上述した形状は簡易な形状であって複雑なものではないため、不良品の発生を抑制することができ、得られるペレットの品質も均一にすることができる。
また、塊状化物の形状としては、次工程の還元工程での処理において、ペレットを積層させた状態で処理できることが好ましく、その点においても、ペレットが直方体状、円柱状、球状等であれば、還元炉内に積層させて載置させ易く、還元処理に供する処理量を多くすることができる。また、このように積層させて還元処理に供することで、一つのペレットを巨大化しなくても還元時の処理量を増やすことができるため、取り扱いが容易となり、また移動時等に崩れ落ちたりすることがなく、不良等の発生を抑えることができる。
成形した混合物(ペレット)の体積としては、特に限定されないが、8000mm以上であることが好ましい。ペレットの体積が小さすぎると、成形コストが高くなり、還元炉に投入するのに手間がかかる。また、ペレットの体積が小さいと、ペレット全体に占める表面積の割合が大きくなるため、ペレットの表面と内部での還元度の差が現れやすくなり、均一に還元を進めることが困難になる可能性があり、高品質のフェロニッケルを製造することが難くなる。一方で、混合物からなるペレットの体積が8000mm以上であれば、成形コストを有効に抑えることができ、取り扱いも容易となる。また、高品質のフェルニッケルを安定的に得ることができる。
混合物を成形した後には、その混合物に対して乾燥処理を施すようにしてもよい。混合物中には所定量の水分が含まれていることがあり、還元処理に際して急激な昇温によって内部の水分が一気に気化して膨張すると、その混合物が粉々になってしまう懸念がある。このような膨張を防ぐ観点から、成形した混合物に対して乾燥処理を施す工程を設けることができる。
具体的に、乾燥処理においては、例えばペレットの固形分が70重量%程度で、水分が30重量%程度となるように処理を施すことができる。例えば、150℃〜400℃の熱風をペレットに吹き付けて乾燥させる。
なお、比較的大きなペレットである場合、乾燥処理前や乾燥処理後の混合物にひびや割れが入っていてもよい。塊が大きい場合には、割れ等によって表面積が大きくなってもその影響は僅かであり、大きな問題にはならない。このため、還元処理に供される成形したペレットに割れ等があっても特に問題はない。
下記表2に、乾燥処理後の混合物における固形分中組成(重量部)の一例を示す。なお、混合物の組成としては、これに限定されるものではない。
Figure 0006855897
<2−3.還元工程>
還元工程S3では、混合物成形工程S2を経て成形された混合物を、還元炉内に装入して、所定の還元温度で還元加熱する。この還元工程S3における還元加熱処理により、製錬反応(還元反応)が進行して、還元物であるメタルとスラグとが生成する。
還元工程S3において、混合物中のスラグは熔融して液相となっているが、還元処理により既に分離して生成したメタルとスラグとは、混ざり合うことがなく、その後の冷却によってメタル固相とスラグ固相との別相として混在する混合物となる。この混合物の体積は、装入する混合物と比較すると、50%〜60%程度の体積に収縮している。
還元工程S3においては、混合物を還元炉内に装入するにあたって、予めその還元炉の炉床に炭素質還元剤(以下、「炉床炭素質還元剤」ともいう)を敷き詰めて、その敷き詰められた炉床炭素質還元剤の上に混合物を載置させて処理するようにしてもよい。また、炉床の上にアルミナ、ジルコニア、マグネシア等の床敷材を敷いて、その上に混合物を載置させて処理するようにしてもよい。なお、床敷材としては、酸化物を主成分とするものを用いることができる。
このように還元炉の炉床に、炭素質還元剤や床敷材等を敷いて、その上に混合物を載置して還元処理を施すことによって、炉床と混合物との直接の反応を抑制することができ、炉床への融着を防ぐとともに、その炉床の寿命を延ばすことができる。
さて、本実施の形態においては、還元炉内に装入した混合物を、酸化抑制物が共存する状態で還元処理に付すことを特徴としている。このように、酸化抑制物が共存する状態で混合物に対して還元処理を施すようにすることで、混合物の内部での酸化を効果的に抑制することができ、ニッケルのメタル化率を向上させ、ニッケル品位の高い高品質なフェロニッケルを効率的に得ることができる。
より具体的に説明すると、例えば重油燃焼雰囲気においては通常、酸素が数%含まれる。そのため、せっかく還元された混合物が酸化して、再度、酸化物になってしまうことがある。このように混合物の酸化が進んでしまうと、原料鉱石の還元率が下がり、また鉄より酸化し易いニッケルの酸化が進んで、得られるフェロニッケル中のニッケル含有率(ニッケル品位)が低下してしまう。
これに対し、混合物を、酸化抑制物が共存する状態で還元することで、雰囲気中に含まれる酸素の混合物への侵入を防ぐことができる。特に、酸化は、混合物の表面から進行するため、還元炉内に酸化抑制物を共存させ、特に混合物の表面に酸化抑制物を付着させた状態にしておくことで、効果的に酸化を防ぐことができ、還元率の低下と、それに基づくフェロニッケル中のニッケル品位の低下を抑えることができる。
酸化抑制物としては、例えば、酸化物の含有量が90質量%以上である組成の酸化物混合物を用いることができる。このように、酸化抑制物として、酸化物を高い割合で含有する酸化物混合物を用いることで、混合物内への酸素の侵入を効果的に防ぐことができ、酸化をより効率的に抑えることができる。
また、酸化抑制物として、酸化物の含有量が90質量%以上である組成の酸化物混合物と、炭素質還元剤とを混合させた混合物を用いることもできる。なお、この混合物を「酸化抑制混合物」という。酸化抑制混合物に含まれる炭素質還元剤としては、石炭、コークスの少なくとも1つ以上であることが好ましい。このとき、酸化抑制混合物としては、重量比で酸化混合物:炭素質還元剤=9:1程度となる、すなわち炭素質還元剤の含有量が10%程度であることが好ましい。
このように、酸化抑制物として、酸化物を高い割合で含有し、さらに石炭やコークスを含む酸化抑制混合物を用いることで、混合物内への酸素の侵入を防ぐことができるとともに、侵入した酸素を積極的に除去することができる。また、酸素が混合物の周辺に存在していても、石炭やコークスが存在することによって、それらが酸素と反応して混合物の酸化を抑制する作用を奏する。そしてまた、混合物の酸化が進んでしまった場合でも、石炭やコークスが混合物の付近に存在することで、再度混合物を還元することができる。
また、酸化抑制物としては、原料のニッケル酸化鉱石と共に混合物を構成する炭素質還元剤により得られる灰を少なくとも一部に用いることが好ましい。また、酸化抑制物として、石炭灰、木炭灰、及び竹炭灰から選ばれる1種以上を少なくとも一部に用いることが好ましい。これらは、主として酸化物(酸化物の含有量が90質量%である酸化物混合物)であり、還元処理に供される混合物の周囲に共存させておくことで、酸化を有効に抑えることができる。
また、酸化抑制物としては、アルミナ、アルミナセメント、マグネシア、マグメシアセメント、ジルコニア、ジルコニアセメント、及びムライトから選ばれる1種類以上を少なくとも一部に用いることもできる。これらは、酸化物の含有量が90質量%である酸化物混合物であり、還元処理に供される混合物の周囲に共存させておくことで、酸化を有効に抑えることができる。また、混合物の酸化が進んでしまった場合でも、再度混合物を還元する作用も有する。
ここで、酸化抑制物が共存する状態とは、例えば図2に模式的に一例を示すように、混合物10の上面(上部表面)に酸化抑制物11を載せたような状態とすることができる。上述したように、混合物の酸化はその表面から進行することから、このように混合物10の「表面」に酸化抑制物11を載せ、その表面に接触した状態で存在させておくことで、混合物10に対する雰囲気成分に起因する酸化を有効に抑えることができる。なお、図2中の符号20は還元炉の炉床を示し、符号21は炉床上に敷いた床敷材(石炭等の炭素質還元剤やアルミナ、ジルコニア、マグネシア等の床敷材)を示す(図3でも同様。)。
混合物の表面における酸素とメタルとの接触を妨げればよいことから、燃焼ガス等が直接当たる場所に部分的にでも酸化抑制物が存在する状態であれば、混合物の酸化を有効に抑えることができる。特に、還元炉をバーナーによって加熱する場合、設備的に適した場所として、そのバーナーを処理対象の上部に設置することが多く、このため、比較的多くの酸素を含有するガスは、上部から供給されることになる。このため、図2に示すように、混合物の表面であって、特にその上部表面に酸化抑制物を載せるように存在させておくことで、効率的な酸化抑制効果を発揮させることができ、好ましい。
また、酸化抑制物が共存する状態として、例えば図3に模式的に一例を示すように、混合物10を、酸化抑制物11によって包み込んで、その混合物10の表面が露出しないように包囲させるような状態とすることができる。なお、酸化抑制物11の塊の内部に混合物10を「埋める」と表現することもできる。このように、混合物10を酸化抑制物11に埋めて包囲して還元処理を施すことで、いわゆる酸化防止のための壁を構築することができ、混合物10内への酸素の侵入をより効果的に防ぐことができ、酸化をより一層抑えることができる。
なお、酸化抑制物が共存する状態の具体的態様としては、図2及び図3に示したものに限られず、混合物への酸素の侵入を防いで酸化を効率的に抑えることができる態様であればよく、状況に応じてその方法を選定すればよい。
還元加熱処理に用いる還元炉としては、特に限定されないが、例えば移動炉床炉を用いることが好ましい。還元炉として移動炉床炉を使用することにより、連続的に還元反応が進行し、一つの設備で反応を完結させることができ、各工程における処理を別々の炉を用いて行うよりも処理温度の制御を的確に行うことができる。
また、移動炉床炉を使用することにより、各処理間での熱の損失(ヒートロス)を低減して、より効率的な操業が可能となる。つまり、別々の炉を使用した反応を行った場合、混合物を封入した容器を、炉と炉との間を移動させる際に、外気あるいはそれに近い状態に露出することで、一時的に温度が低下してヒートロスが生じ、また反応雰囲気に変化が生じる。この結果次の処理を行うために、炉に再装入した際に即座に反応が始まらない。
これに対して、移動炉床炉を使用して一つの設備で各処理を行うことで、ヒートロスが低減されるとともに炉内雰囲気も的確に制御できるため、反応をより効果的に進行させることができる。これらのことにより、より効果的に、ニッケル品位が高い高品質なフェロニッケルを得ることができる。
具体的に、移動炉床炉としては、例えば、円形状であって複数の処理領域に区分けされた回転炉床炉を用いることができる。回転炉床炉では、所定の方向に回転しながら、各領域においてそれぞれの処理を行う。この回転炉床炉では、各領域を通過する際の時間(移動時間、回転時間)を制御することで、それぞれの領域での処理時間を調整することができ、回転炉床炉が1回転する毎に混合物が製錬処理される。また、移動炉床炉としては、ローラーハースキルン等であってもよい。
還元炉を使用した還元処理においては、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石に含まれる酸化ニッケルは可能な限り完全に優先的に還元し、一方で、ニッケル酸化鉱石に含まれる酸化鉄は一部だけ還元して、目的とする高いニッケル品位のフェロニッケルが得られる、いわゆる部分還元を施す。
還元温度としては、特に限定されないが、1200℃以上1450℃以下の範囲とすることが好ましく、1300℃以上1400℃以下の範囲とすることがより好ましい。このような温度範囲で還元することによって、均一に還元反応を生じさせることができ、品質のばらつきを抑制したメタル(フェロニッケル)を生成させることができる。また、より好ましくは1300℃以上1400℃以下の範囲の還元温度で還元することで、比較的短時間で所望の還元反応を生じさせることができる。
なお、還元処理においては、上述した範囲の還元温度になるまでバーナー等により還元炉の内部温度を上昇させ、昇温後にその温度を維持する。
<2−4.分離工程>
分離工程S4では、還元工程S3にて生成したメタルとスラグとを分離してメタルを回収する。具体的には、混合物に対する還元加熱処理によって得られた、メタル相(メタル固相)とスラグ相(スラグ固相)とを含む混合物(混在物)からメタル相を分離して回収する。
固体として得られたメタル相とスラグ相との混在物からメタル相とスラグ相とを分離する方法としては、例えば、篩い分けによる不要物の除去に加えて、比重による分離や、磁力による分離等の方法を利用することができる。
また、得られたメタル相とスラグ相は、濡れ性が悪いことから容易に分離することができ、上述した還元工程S3における処理で得られた、大きな混在物に対して、例えば、所定の落差を設けて落下させる、あるいは篩い分けの際に所定の振動を与える等の衝撃を与えることで、その混在物からメタル相とスラグ相とを容易に分離することができる。
このようにしてメタル相とスラグ相とを分離することによって、メタル相を回収する。
以下、本発明の実施例及び比較例を示してより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
≪実施例1〜実施例60≫
[混合処理工程]
原料鉱石としてのニッケル酸化鉱石と、鉄鉱石と、フラックス成分である珪砂及び石灰石、バインダー、及び炭素質還元剤(石炭粉、炭素含有量:85重量%、平均粒径:約90μm)を、適量の水を添加しながら混合機を用いて混合して混合物を得た。炭素質還元剤は、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石に含まれる酸化ニッケル(NiO)と酸化鉄(Fe)とを過不足なく還元するのに必要な量の合計値を100質量%としたときに、25%の割合となる量で含有させた。
[混合物成形工程]
次に、得られた混合物を、パン型造粒機を用いて造粒して、φ15.5±1.0mmの大きさに篩った。その後、篩った試料を60個に均等に分け、還元工程での還元処理に供する混合物試料とした。
[還元工程]
用意した混合物試料を用いて、下記表4〜表6に示す条件で還元処理を施した。具体的には、混合物試料を還元炉に装入し、特定の酸化抑制物が共存する状態にして、それぞれの還元温度、還元時間で還元加熱処理を施した。また、還元炉の炉床には、予め、主成分がSiOであり、他の成分としてAl、MgO等の酸化物を少量含有する「灰」を敷き詰め、その上に混合物試料を載置させて処理した。
なお、各混合物試料は、還元処理を施す前に、固形分が70重量%程度、水分が30重量%程度となるように、170℃〜250℃の熱風を吹き付けることで乾燥処理を施した。下記表3に、乾燥処理後の試料の固形分組成(炭素を除く)を示す。
Figure 0006855897
ここで、酸化抑制物としては、石炭灰、木炭灰、竹炭灰、アルミナ、アルミナセメント、マグネシア、マグネシアセメント、ジルコニア、ジルコニアセメント、及びムライトから、各実施例で選択して用いた。
また、酸化抑制物の共存状態(表中では「酸化抑制物の置き方」と表記)としては、図2に例示するように混合物の上部表面に酸化抑制物を載せるようにしてまぶす態様(表中では「まぶす」と表記)、あるいは、図3に例示するように混合物を酸化抑制物に埋めて表面が見えないように包囲させる態様(表中では「埋める」と表記)のいずれかとした。
≪比較例1〜比較例3≫
比較例1〜比較例3では、実施例と同様にして混合物試料を作製し、その混合物試料を還元炉に装入して還元加熱処理を施したが、このとき、酸化抑制物は用いることなく処理した。なお、還元温度、還元時間は、実施例と同等の範囲とした。
≪評価≫
還元加熱処理後に取り出した試料について、ニッケルメタル率、メタル中のニッケル含有率を、ICP発光分光分析器(SHIMAZU S−8100型)により分析して算出した。下記表4〜表6に、分析結果から算出した値を併せて示す。なお、ニッケルメタル率は(1)式、メタル中ニッケル含有率は(2)式により求めた。
ニッケルメタル率=混合物中のメタル化したNiの量÷(ペレット中の全てNiの量)×100(%) ・・・(1)式
メタル中ニッケル含有率=混合物中のメタル化したNiの量÷(ペレット中のメタル化したNiとFeの合計量)×100(%) ・・・(2)式
また、回収した各試料は、湿式処理よる粉砕後、磁力選別によってメタルを回収した。そして、ニッケル酸化鉱石の投入量、その中のNi含有割合、及び回収したNi量から、Niメタル回収率を算出した。なお、Niメタル回収率は、(3)式により求めた。
Niメタル回収率=回収されたNiの量÷(投入した鉱石の量×鉱石中のNi含有割合)×100 ・・・(3)式
Figure 0006855897
Figure 0006855897
Figure 0006855897
表4〜表6の結果に示されるように、酸化抑制物が共存する状態で混合物試料を還元処理した実施例1〜実施例60では、ニッケルメタル化率、メタル中ニッケル含有量、メタル回収率がいずれも高い値となり良好な結果が得られた。このことは、酸化抑制物を共存させた状態で還元処理に付したことにより、混合物の内部への酸素の侵入が防がれ、酸化を有効に抑えることができたためであると考えられる。
一方で、酸化抑制物を使用しなかった比較例1〜比較例3では、その他の還元処理条件は同等であったにもかかわらず、ニッケルメタル化率が85.0%〜85.5%、メタル中ニッケル含有量が14.2%〜14.6%、メタル回収率が75.0%〜75.8%と、いずれも実施例に比べて明らかに低い値となった。
以上の結果から、酸化抑制物を共存させた状態で、原料のニッケル酸化鉱石を含む混合物に対する還元処理を施すことで、高い効率でニッケルを含有するメタルを得ることができることが分かった。
≪実施例61〜実施例120≫
[混合処理工程]
原料鉱石としてのニッケル酸化鉱石と、鉄鉱石と、フラックス成分である珪砂及び石灰石、バインダー、及び炭素質還元剤(石炭粉、炭素含有量:85重量%、平均粒径:約83μm)を、適量の水を添加しながら混合機を用いて混合して混合物を得た。炭素質還元剤は、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石に含まれる酸化ニッケル(NiO)と酸化鉄(Fe)とを過不足なく還元するのに必要な量の合計値を100質量%としたときに、27%の割合となる量で含有させた。
[混合物成形工程]
次に、得られた混合物を、パン型造粒機を用いて造粒して、φ14.5±1.0mmの大きさに篩った。その後、篩った試料を60個に分け、還元工程での還元処理に供する混合物試料とした。
[還元工程]
用意した混合物試料を用いて、下記表7〜表11に示す条件で還元処理を施した。具体的には、混合物試料を還元炉に装入し、特定の酸化抑制物が共存する状態にして、それぞれの還元温度、還元時間で還元加熱処理を施した。また、還元炉の炉床には、予め、主成分がSiOであり、他の成分としてAl、MgO等の酸化物を少量含有する「灰」を敷き詰め、その上に混合物試料を載置させて処理した。
なお、各混合物試料は、還元処理を施す前に、固形分が70重量%程度、水分が30重量%程度となるように、170℃〜250℃の熱風を吹き付けることで乾燥処理を施した。乾燥処理後の試料の固形分組成は、上記表3と同一であった。
ここで、酸化抑制物としては、酸化物の含有量が90質量%以上である酸化物混合物と、炭素質還元剤である石炭とを混合させた酸化抑制混合物を用いた。酸化物混合物としては、アルミナ、アルミナセメント、マグネシア、マグメシアセメント、ジルコニア、ジルコニアセメント、及びムライトから、各実施例で選択して用いた。なお、酸化抑制混合物中において、酸化物混合物と石炭との混合割合は重量比で9:1とした。
また、酸化抑制物の共存状態(表中では「酸化抑制物の置き方」と表記)としては、図2に例示するように混合物の上部表面に酸化抑制物を載せるようにしてまぶす態様(表中では「まぶす」と表記)、あるいは、図3に例示するように混合物を酸化抑制物に埋めて表面が見えないように包囲させる態様(表中では「埋める」と表記)のいずれかとした。
≪評価≫
還元加熱処理後に取り出した試料について、ニッケルメタル率、メタル中のニッケル含有率を求めた。また、回収した各試料は、湿式処理よる粉砕後、磁力選別によってメタルを回収し、Niメタル回収率を算出した。下記表7〜表11に、分析結果から算出した値を併せて示す。
Figure 0006855897
Figure 0006855897
Figure 0006855897
Figure 0006855897
Figure 0006855897
表7〜表11の結果に示されるように、酸化抑制混合物からなる酸化抑制物が共存する状態で混合物試料を還元処理することによって、ニッケルメタル化率、メタル中ニッケル含有量、メタル回収率がいずれも高い値となり良好な結果が得られた。特に、ニッケルメタル化率に関しては、実施例1〜実施例60と比べても、安定的に94%以上の高い値となった。
10 混合物
11 酸化抑制物
20 還元炉の炉床
21 床敷材

Claims (9)

  1. 酸化鉱石と炭素質還元剤とを混合し、得られた混合物を加熱して還元処理に付し、還元物であるメタルとスラグとを得る製錬方法であって、
    前記混合物を、酸化抑制物が共存する状態で還元処理に付し、
    前記酸化抑制物として、酸化物の含有量が90質量%以上である酸化物混合物と、炭素質還元物とを含む酸化抑制混合物を用い、
    前記酸化抑制混合物に含まれる前記炭素質還元物は、石炭及び/又はコークスである
    酸化鉱石の製錬方法。
  2. 酸化鉱石と炭素質還元剤とを混合し、得られた混合物を加熱して還元処理に付し、還元物であるメタルとスラグとを得る製錬方法であって、
    前記混合物を、酸化抑制物が共存する状態で還元処理に付し、
    前記酸化抑制物として、前記炭素質還元剤の灰を少なくとも一部に用いる
    酸化鉱石の製錬方法。
  3. 酸化鉱石と炭素質還元剤とを混合し、得られた混合物を加熱して還元処理に付し、還元物であるメタルとスラグとを得る製錬方法であって、
    前記混合物を、酸化抑制物が共存する状態で還元処理に付し、
    前記酸化抑制物として、石炭灰、木炭灰、及び竹炭灰から選ばれる1種類以上を少なくとも一部に用いる
    酸化鉱石の製錬方法。
  4. 前記混合物の上面に前記酸化抑制物を載せて還元処理に付す
    請求項1乃至のいずれかに記載の酸化鉱石の製錬方法。
  5. 前記混合物を前記酸化抑制物で包囲して還元処理に付す
    請求項1乃至のいずれかに記載の酸化鉱石の製錬方法。
  6. 前記酸化抑制物として、アルミナ、アルミナセメント、マグネシア、マグメシアセメント、ジルコニア、ジルコニアセメント、及びムライトから選ばれる1種類以上を少なくとも一部に用いる
    請求項1乃至のいずれかに記載の酸化鉱石の製錬方法。
  7. 前記還元処理における還元温度を、1200℃以上1450℃以下とする
    請求項1乃至のいずれかに記載の酸化鉱石の製錬方法。
  8. 前記酸化鉱石は、ニッケル酸化鉱石である
    請求項1乃至のいずれかに記載の酸化鉱石の製錬方法。
  9. 前記メタルは、フェロニッケルである
    請求項1乃至のいずれかに記載の酸化鉱石の製錬方法。
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