JP6855897B2 - 酸化鉱石の製錬方法 - Google Patents
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Description
本発明に係る酸化鉱石の製錬方法は、酸化鉱石を原料として、その酸化鉱石と炭素質還元剤とを混合して混合物とし、得られた混合物を高温下で還元処理に付して還元物であるメタルを製造する方法である。例えば、酸化鉱石として、酸化ニッケルや酸化鉄等を含有するニッケル酸化鉱石を原料とし、そのニッケル酸化鉱石を炭素質還元剤と混合して、高温下において、混合物に含まれるニッケルを優先的に還元し、また鉄を部分的に還元することで鉄とニッケルの合金であるフェロニッケルを製造する方法が挙げられる。
本実施の形態に係るニッケル酸化鉱石の製錬方法は、ニッケル酸化鉱石を炭素質還元剤と混合して混合物とし、その混合物に対して還元処理を施すことによって、還元物としてメタルであるフェロニッケルとスラグとを生成させる方法である。なお、メタルであるフェロニッケルは、還元処理を経て得られたメタルとスラグとを含む混合物から、そのメタルを分離することで回収することができる。
混合処理工程S1は、ニッケル酸化鉱石を含む原料粉末を混合して混合物を得る工程である。具体的には、混合処理工程S1では、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石に、炭素質還元剤を添加して混合し、また任意成分の添加剤として、鉄鉱石、フラックス成分、バインダー等の、例えば粒径が0.1mm〜0.8mm程度の粉末を添加して混合し、混合物を得る。なお、混合処理は、混合機等を用いて行うことができる。
混合物成形工程S2は、混合処理工程S1で得られた混合物を成形する工程である。具体的には、原料粉末を混合して得られた混合物を、ある程度の大きさ以上の塊(塊状化物、以下「ペレット」ともいう)に成形する。したがって、混合物成形工程S2は、ペレット製造工程とも換言することができる。
還元工程S3では、混合物成形工程S2を経て成形された混合物を、還元炉内に装入して、所定の還元温度で還元加熱する。この還元工程S3における還元加熱処理により、製錬反応(還元反応)が進行して、還元物であるメタルとスラグとが生成する。
分離工程S4では、還元工程S3にて生成したメタルとスラグとを分離してメタルを回収する。具体的には、混合物に対する還元加熱処理によって得られた、メタル相(メタル固相)とスラグ相(スラグ固相)とを含む混合物(混在物)からメタル相を分離して回収する。
[混合処理工程]
原料鉱石としてのニッケル酸化鉱石と、鉄鉱石と、フラックス成分である珪砂及び石灰石、バインダー、及び炭素質還元剤(石炭粉、炭素含有量:85重量%、平均粒径:約90μm)を、適量の水を添加しながら混合機を用いて混合して混合物を得た。炭素質還元剤は、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石に含まれる酸化ニッケル(NiO)と酸化鉄(Fe2O3)とを過不足なく還元するのに必要な量の合計値を100質量%としたときに、25%の割合となる量で含有させた。
次に、得られた混合物を、パン型造粒機を用いて造粒して、φ15.5±1.0mmの大きさに篩った。その後、篩った試料を60個に均等に分け、還元工程での還元処理に供する混合物試料とした。
用意した混合物試料を用いて、下記表4〜表6に示す条件で還元処理を施した。具体的には、混合物試料を還元炉に装入し、特定の酸化抑制物が共存する状態にして、それぞれの還元温度、還元時間で還元加熱処理を施した。また、還元炉の炉床には、予め、主成分がSiO2であり、他の成分としてAl2O3、MgO等の酸化物を少量含有する「灰」を敷き詰め、その上に混合物試料を載置させて処理した。
比較例1〜比較例3では、実施例と同様にして混合物試料を作製し、その混合物試料を還元炉に装入して還元加熱処理を施したが、このとき、酸化抑制物は用いることなく処理した。なお、還元温度、還元時間は、実施例と同等の範囲とした。
還元加熱処理後に取り出した試料について、ニッケルメタル率、メタル中のニッケル含有率を、ICP発光分光分析器(SHIMAZU S−8100型)により分析して算出した。下記表4〜表6に、分析結果から算出した値を併せて示す。なお、ニッケルメタル率は(1)式、メタル中ニッケル含有率は(2)式により求めた。
ニッケルメタル率=混合物中のメタル化したNiの量÷(ペレット中の全てNiの量)×100(%) ・・・(1)式
メタル中ニッケル含有率=混合物中のメタル化したNiの量÷(ペレット中のメタル化したNiとFeの合計量)×100(%) ・・・(2)式
Niメタル回収率=回収されたNiの量÷(投入した鉱石の量×鉱石中のNi含有割合)×100 ・・・(3)式
[混合処理工程]
原料鉱石としてのニッケル酸化鉱石と、鉄鉱石と、フラックス成分である珪砂及び石灰石、バインダー、及び炭素質還元剤(石炭粉、炭素含有量:85重量%、平均粒径:約83μm)を、適量の水を添加しながら混合機を用いて混合して混合物を得た。炭素質還元剤は、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石に含まれる酸化ニッケル(NiO)と酸化鉄(Fe2O3)とを過不足なく還元するのに必要な量の合計値を100質量%としたときに、27%の割合となる量で含有させた。
次に、得られた混合物を、パン型造粒機を用いて造粒して、φ14.5±1.0mmの大きさに篩った。その後、篩った試料を60個に分け、還元工程での還元処理に供する混合物試料とした。
用意した混合物試料を用いて、下記表7〜表11に示す条件で還元処理を施した。具体的には、混合物試料を還元炉に装入し、特定の酸化抑制物が共存する状態にして、それぞれの還元温度、還元時間で還元加熱処理を施した。また、還元炉の炉床には、予め、主成分がSiO2であり、他の成分としてAl2O3、MgO等の酸化物を少量含有する「灰」を敷き詰め、その上に混合物試料を載置させて処理した。
還元加熱処理後に取り出した試料について、ニッケルメタル率、メタル中のニッケル含有率を求めた。また、回収した各試料は、湿式処理よる粉砕後、磁力選別によってメタルを回収し、Niメタル回収率を算出した。下記表7〜表11に、分析結果から算出した値を併せて示す。
11 酸化抑制物
20 還元炉の炉床
21 床敷材
Claims (9)
- 酸化鉱石と炭素質還元剤とを混合し、得られた混合物を加熱して還元処理に付し、還元物であるメタルとスラグとを得る製錬方法であって、
前記混合物を、酸化抑制物が共存する状態で還元処理に付し、
前記酸化抑制物として、酸化物の含有量が90質量%以上である酸化物混合物と、炭素質還元物とを含む酸化抑制混合物を用い、
前記酸化抑制混合物に含まれる前記炭素質還元物は、石炭及び/又はコークスである
酸化鉱石の製錬方法。 - 酸化鉱石と炭素質還元剤とを混合し、得られた混合物を加熱して還元処理に付し、還元物であるメタルとスラグとを得る製錬方法であって、
前記混合物を、酸化抑制物が共存する状態で還元処理に付し、
前記酸化抑制物として、前記炭素質還元剤の灰を少なくとも一部に用いる
酸化鉱石の製錬方法。 - 酸化鉱石と炭素質還元剤とを混合し、得られた混合物を加熱して還元処理に付し、還元物であるメタルとスラグとを得る製錬方法であって、
前記混合物を、酸化抑制物が共存する状態で還元処理に付し、
前記酸化抑制物として、石炭灰、木炭灰、及び竹炭灰から選ばれる1種類以上を少なくとも一部に用いる
酸化鉱石の製錬方法。 - 前記混合物の上面に前記酸化抑制物を載せて還元処理に付す
請求項1乃至3のいずれかに記載の酸化鉱石の製錬方法。 - 前記混合物を前記酸化抑制物で包囲して還元処理に付す
請求項1乃至3のいずれかに記載の酸化鉱石の製錬方法。 - 前記酸化抑制物として、アルミナ、アルミナセメント、マグネシア、マグメシアセメント、ジルコニア、ジルコニアセメント、及びムライトから選ばれる1種類以上を少なくとも一部に用いる
請求項1乃至5のいずれかに記載の酸化鉱石の製錬方法。 - 前記還元処理における還元温度を、1200℃以上1450℃以下とする
請求項1乃至6のいずれかに記載の酸化鉱石の製錬方法。 - 前記酸化鉱石は、ニッケル酸化鉱石である
請求項1乃至7のいずれかに記載の酸化鉱石の製錬方法。 - 前記メタルは、フェロニッケルである
請求項1乃至8のいずれかに記載の酸化鉱石の製錬方法。
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