JP6891722B2 - 酸化鉱石の製錬方法、還元炉 - Google Patents
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Description
本発明に係る酸化鉱石の製錬方法は、酸化鉱石を原料として、その酸化鉱石と炭素質還元剤とを混合して混合物とし、得られた混合物を高温下で還元処理に付して還元物であるメタルを製造する方法である。例えば、酸化鉱石として、酸化ニッケルや酸化鉄等を含有するニッケル酸化鉱石を原料とし、そのニッケル酸化鉱石を炭素質還元剤と混合して、高温下において、混合物に含まれるニッケルを優先的に還元し、また鉄を部分的に還元することで鉄とニッケルの合金であるフェロニッケルを製造する方法が挙げられる。
本実施の形態に係るニッケル酸化鉱石の製錬方法は、ニッケル酸化鉱石を炭素質還元剤と混合して混合物とし、その混合物に対して還元処理を施すことによって、還元物としてメタルであるフェロニッケルとスラグとを生成させる方法である。なお、メタルであるフェロニッケルは、還元処理を経て得られたメタルとスラグとを含む混合物から、そのメタルを分離することで回収することができる。
混合処理工程S1は、ニッケル酸化鉱石を含む原料粉末を混合して混合物を得る工程である。具体的には、混合処理工程S1では、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石に、炭素質還元剤を添加して混合し、また任意成分の添加剤として、鉄鉱石、フラックス成分、バインダー等の、例えば粒径が0.1mm〜0.8mm程度の粉末を添加して混合し、混合物を得る。なお、混合処理は、混合機等を用いて行うことができる。
混合物成形工程S2は、混合処理工程S1で得られた混合物を成形する工程である。具体的には、原料粉末を混合して得られた混合物を、ある程度の大きさ以上の塊(塊状化物、以下「ペレット」ともいう)に成形する。したがって、混合物成形工程S2は、ペレット製造工程とも換言することができる。
(1)還元処理
還元処理工程S3では、混合物成形工程S2を経て成形された混合物を還元炉内に装入して、所定の還元温度で加熱することによって還元処理を施す。この還元処理工程S3における還元処理により、製錬反応(還元反応)が進行して、還元物であるメタルとスラグとが生成する。
図2は、還元処理に使用する還元炉の断面図であり、構成の一例を示すものである。還元炉1は、還元処理対象のペレットPを炉内空間Sに装入する装入口11と、還元処理により得られた還元物を炉外に排出させる排出口12とを備えている。なお、還元炉1の炉床13、炉壁14は、耐火煉瓦により構成されていることが好ましい。
本実施の形態においては、還元炉1内における混合物に対する還元処理により生成した還元物を、その還元炉1に設けられた回収具15により、炉床13に沿って押し出して回収することを特徴としている。
分離工程S4では、還元処理工程S3にて生成したメタルとスラグとを分離してメタルを回収する。具体的には、混合物に対する還元加熱処理によって得られた、メタル相(メタル固相)とスラグ相(スラグ固相)とを含む混合物(混在物)からメタル相を分離して回収する。
[混合処理工程]
原料鉱石としてのニッケル酸化鉱石と、鉄鉱石と、フラックス成分である珪砂及び石灰石、バインダー、及び炭素質還元剤(石炭粉、炭素含有量:85重量%、平均粒径:約200μm)を、適量の水を添加しながら混合機を用いて混合して混合物を得た。炭素質還元剤は、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石に含まれる酸化ニッケル(NiO)と酸化鉄(Fe2O3)とを過不足なく還元するのに必要な量の合計値を100質量%としたときに20%の割合となる量で含有させた。
次に、得られた混合物を、パン型造粒機を用いて球状に造粒して、φ15.5±1.5mmの大きさに篩った。
次に、用意した混合物試料(各試験で10個ずつ)を還元炉に装入し、下記表4に示すそれぞれの還元温度、還元時間で還元処理を施した。還元炉としては、図2に示したような構成のものであって、炉床及び炉壁が耐火煉瓦により構成されているものを用いた。
還元加熱処理後に取り出した試料について、ニッケルメタル率、メタル中のニッケル含有率を、ICP発光分光分析器(SHIMAZU S−8100型)により分析して算出した。下記表4に、分析結果から算出した値を併せて示す。なお、ニッケルメタル率は(1)式、メタル中ニッケル含有率は(2)式により求め、試験毎に得られた合計10個の還元物の平均を算出した。
ニッケルメタル率=混合物中のメタル化したNiの量÷(ペレット中の全てNiの量)×100(%) ・・・(1)式
メタル中ニッケル含有率=混合物中のメタル化したNiの量÷(ペレット中のメタル化したNiとFeの合計量)×100(%) ・・・(2)式
11 装入口
12 排出口
13 炉床
14 炉壁
15 回収具
15a 軸
15b 押出板
Claims (6)
- ニッケル酸化鉱石である酸化鉱石と炭素質還元剤とを混合して得られる混合物を還元炉の炉床に載置し、該還元炉にて還元処理を施す酸化鉱石の製錬方法であって、
前記混合物に対する還元処理により生成した塊状の還元物を、前記還元炉の側壁に設けられた回収具により、該還元炉の炉床に沿って押し出して回収し、
前記回収具は、前記還元炉の側壁から内部に挿入され、該還元炉の炉床の面と平行に排出口に向かう方向に摺動する軸と、該軸の先端に設けられ炉床上の還元物を押し出す押出板とを備え、
前記還元炉は、その炉床が固定されており、且つ前記回収具の軸と前記側壁とに隙間が生じないように構成されている
酸化鉱石の製錬方法。 - 前記回収具の前記軸の摺動により移動する前記押出板により、前記炉床上の還元物を、前記排出口を介して炉外に押し出して回収する
請求項1に記載の酸化鉱石の製錬方法。 - 前記還元処理における還元温度を1200℃以上1450℃以下とする
請求項1又は2に記載の酸化鉱石の製錬方法。 - 前記還元物を1350℃以下の温度で回収する
請求項3に記載の酸化鉱石の製錬方法。 - 前記還元物は、フェロニッケルを含有する
請求項1乃至4のいずれかに記載の酸化鉱石の製錬方法。 - ニッケル酸化鉱石である酸化鉱石と炭素質還元剤とを混合して得られる混合物に対して還元処理を施すための還元炉であって、
前記混合物が載置される炉床と、
前記還元処理により前記炉床上に生成した還元物を回収する回収具と、
前記還元物を炉外に排出する排出口と、を備え、
前記回収具は、
前記還元炉の側壁から内部に挿入され、前記炉床の面と平行に前記排出口に向かう方向に摺動する軸と、
前記軸の先端に設けられ、前記還元炉の炉床上の還元物を押し出す押出板と、
を有し、
前記炉床が固定されており、
前記回収具は、側壁に備えられ、且つ前記回収具の軸と前記側壁とに隙間が生じないように構成されている
還元炉。
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