JP7052239B2 - 酸化鉱石の製錬方法 - Google Patents
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Description
本発明に係る酸化鉱石の製錬方法は、酸化鉱石を原料として、その酸化鉱石と炭素質還元剤とを混合して混合物とし、得られた混合物を高温下で還元処理に付して還元物であるメタルを製造する方法である。例えば、酸化鉱石として、酸化ニッケルや酸化鉄等を含有するニッケル酸化鉱石を原料とし、そのニッケル酸化鉱石を炭素質還元剤と混合して、高温下において、混合物に含まれるニッケルを優先的に還元し、また鉄を部分的に還元することで鉄とニッケルの合金であるフェロニッケルを製造する方法が挙げられる。
本実施の形態に係るニッケル酸化鉱石の製錬方法は、製錬原料であるニッケル酸化鉱石を炭素質還元剤等と混合、混練して混合物を作り、その混合物に対して還元処理を施すことによって、メタルであるフェロニッケルとスラグとを生成させる方法である。なお、メタルであるフェロニッケルは、還元処理を経て得られたメタルとスラグとを含む混合物から、そのメタルを分離することで回収することができる。
混合処理工程S1は、ニッケル酸化鉱を含む原料粉末を混合して混合物を得る工程である。具体的に、混合処理工程S1では、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石と、炭素質還元剤と、さらに必要に応じて、鉄鉱石、フラックス成分、バインダー等の、例えば粒径が0.2mm~0.8mm程度の原料粉末とを所定の割合で混合して混合物を得る。
還元投入前処理工程S2は、混合処理工程S1で得られた混合物を、塊状物に塊状化し、あるいは容器に充填する工程である。すなわち、この還元投入前処理工程S2では、原料粉末を混合して得られた混合物を、後述する還元処理工程S3にて使用する炉に投入し易くし、また効率的に還元反応が生じるように成形する。
得られた混合物を塊状化する場合には、その混合物を塊状物に形成(造粒)する。具体的には、得られた混合物に対して塊状化に必要な所定量の水分を添加し、例えば塊状物製造装置(転動造粒機、圧縮成形機、押出成形機等、あるいはペレタイザーともいう)を用いて所定の形状のペレットに成形する。
得られた混合物を容器に充填する場合には、その混合物を押出機等で混練しながら所定の容器に充填することができる。このように、容器に充填したのち、そのまま次工程の還元処理工程S3にて還元処理を行ってもよいが、容器に充填した混合物をプレス等により押し固めることが好ましい。容器内で混合物を押し固めて成形することによって、混合物の密度を上げることができるとともに、密度が均一化し、還元反応がより均一に進み易くなり、品質ばらつきの小さいフェロニッケルを製造することができる。
還元処理工程S3では、混合処理工程S1にて原料粉末が混合され、還元投入前処理工程S2にて塊状化あるいは容器に充填された混合物を、所定の還元温度に還元加熱する。還元処理工程S3における混合物の還元加熱処理により、製錬反応が進行して、メタルとスラグとが生成する。
(1)乾燥工程
乾燥工程S31では、原料粉末を混合して得られた混合物に対して乾燥処理を施す。この乾燥工程S31は、主に混合物中の水分や結晶水を飛ばすことを目的とする。
予熱工程S32では、乾燥工程S31での乾燥処理により水分を除去した後の混合物を予熱(予備加熱)する。
還元工程S33では、予熱工程S32にて予熱した混合物を所定の還元温度で還元処理する。具体的に、還元工程S33における還元処理は、炉床が回転する回転炉床炉内(回転炉床炉の回転部内)にて行う。このように、回転炉床炉を用いて還元処理を行うことにより、炉内の温度を高い温度範囲に維持することができ、温度を上げたり下げたりする必要がなく、エネルギーコストを大幅に低減することができる。また、温度の制御や管理が容易となり、高い品質のフェロニッケルを安定的に生産することができる。
必須の態様ではないが、還元工程S33を経て得られた還元物を、回転炉床炉1内で所定の高い温度条件で保持する温度保持工程S34を行うようにしてもよい。このように、還元工程S33における所定の還元温度での還元処理により得られた還元物を、すぐに冷却するのではなく、高温の雰囲気で保持することによって、還元物中において生成したメタル成分を沈降させて粗大化させることができる。
冷却工程S35では、還元工程S33を経て得られた還元物、または温度保持工程S34にて所定の時間に亘り高温保持した後の還元物を、続く分離工程S4にて分離回収できる温度まで冷却する。
(基本構成)
ここで、改めて図3に例示した回転炉床炉の構成について詳細に説明する。回転炉床炉1は、炉の本体を構成する回転部10と、回転部10に接続して設けられている回転部外処理室11とによりなっている。そして、回転部10は、その炉床が回転する領域となっており、内部が4つに分割されてそれぞれで処理室(10a,10b,10c,10d)を構成している。
ここで、回転炉床炉1においては、所定の処理室の炉床を傾転させるための炉床傾転装置が付設されている。図5は、炉床傾転装置の構成と、回転炉床炉1の炉床を傾転させたときの様子を示す図である。なお、炉床を傾転させる手段としては、これに限られない。
還元処理工程S3において、少なくとも1段階目の冷却処理を経て得られた冷却後の還元物(冷却後の還元物)は、回転炉床炉1の処理室から排出され回収される。その後、回収された還元物は、続く分離工程S4に供給される。このとき、本実施の形態においては、冷却後の還元物を排出させる際、回転炉床炉1の所定の処理室の炉床を傾転させることによって一気に排出させることを特徴としている。
分離工程S4は、還元処理工程S3にて生成した還元物からメタル(フェロニッケルメタル)を分離し回収する。具体的に、分離工程S4では、混合物を還元加熱処理することによって得られた、メタル相(メタル固相)とスラグ相(スラグ固相)とを含む混在物(還元物)から、メタル相を分離して回収する。
[混合処理工程]
原料鉱石としてのニッケル酸化鉱石と、鉄鉱石と、フラックス成分である珪砂及び石灰石、バインダー、及び炭素質還元剤(石炭粉、炭素含有量:85質量%、平均粒径:約190μm)と、適量の水を添加しながら混合機を用いて混合して混合物を得た。炭素質還元剤は、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石に含まれる酸化ニッケル(NiO)と酸化鉄(Fe2O3)とを過不足なく還元するのに必要な量の合計値を100質量%としたときに32%の割合となる量で含有させた。そして、混合機によって混合した原料を二軸混練機によって混練した。
次に、得られた混合物を、パン型造粒機を用いて造粒して、φ18±1.5mmの球状のペレットとした。
次に、図3に例示したような回転炉床炉1を用い、処理条件を変えて還元処理を行った。回転炉床炉1としては、図3に示すように、回転部10内が処理室10a~10dの4つに分割されており、その回転部10外には、ペレットを乾燥する乾燥室20と、還元物に対する2段階目の冷却処理を実行する第2の冷却室30とが接続されているものを用いた。なお、回転炉床炉1において、処理室10aが予熱室であり、処理室10bが還元室であり、処理室10cが温度保持室であり、処理室10dが第1の冷却室である。
回収した試料について、ニッケルメタル率、メタル中のニッケル含有率を、ICP発光分光分析器(SHIMAZU S-8100型)により分析して算出した。なお、回収した各試料は、湿式処理よる粉砕後、磁力選別によってメタルを回収した。
ニッケルメタル化率=混合物中のメタル化したNiの量÷(ペレット中の全てのNi量)×100(%) ・・・(1)式
メタル中ニッケル含有率=混合物中のメタル化したNiの量÷(ペレット中のメタル化したNiとFeの合計量)×100(%) ・・・(2)式
還元物回収率=炉床の傾転により排出させ回収した還元物の重量÷(炉床の傾転により回収した還元物の重量+回収時に炉床に残存した還元物の重量)×100
・・・(3)式
5 炉床傾転装置
10 回転部
10a,10b,10c,10d 処理室
11 回転部外処理室
20 乾燥室
30 第2の冷却室
40 保持室
51 本体部
52 炉床押上部
Claims (7)
- ニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤とを混合して得られた混合物を乾燥する乾燥工程と、
乾燥させた混合物を予熱する予熱工程と、
予熱後の混合物を還元する還元工程と、
得られたフェロニッケルを含有する還元物を冷却する冷却工程と、
を有する還元処理工程を含み、
少なくとも前記還元工程における処理と前記冷却工程における一部の処理とを、炉床が回転する回転炉床炉の回転部内にて行い、該冷却工程における冷却処理を経て得られた還元物を、該回転炉床炉の所定の炉床を傾転させることによって排出する酸化鉱石の製錬方法であって、
前記還元工程では、還元温度を1200℃以上1450℃以下として還元し、
前記冷却工程では、前記還元物に対する冷却処理を2段階に分けて該還元物を段階的に冷却し、その後、冷却した還元物を保持する保持処理を行い、
1段階目の冷却処理を前記回転炉床炉の回転部内に構成される第1の冷却室にて行い、2段階目の冷却処理を該回転炉床炉の回転部外に接続されて構成される第2の冷却室にて行い、該2段階目の冷却処理後の還元物に対する前記保持処理を該第2の冷却室に連続的に接続されて構成される保持室にて行い、
前記保持室の炉床を傾転させることによって、2段階目の冷却処理を経て得られる還元物を排出する
酸化鉱石の製錬方法。 - 前記冷却工程では、前記1段階目の冷却処理において前記還元物の温度を700℃以上1280℃以下の範囲に冷却する
請求項1に記載の酸化鉱石の製錬方法。 - 前記冷却工程において前記2段階目の冷却処理を経て得られる前記還元物の温度は600℃以上に維持され回収時温度となる
請求項1又は2に記載の酸化鉱石の製錬方法。 - 前記還元工程を経て得られた還元物を、前記回転炉床炉の回転部内で所定の温度に保持する温度保持工程をさらに有し、
前記温度保持工程にて前記還元物を所定の時間で保持した後に、該還元物を前記冷却工程に供給する
請求項1乃至3のいずれかに記載の酸化鉱石の製錬方法。 - 前記温度保持工程では、前記還元物を1300℃以上1500℃以下の温度に保持する
請求項4に記載の酸化鉱石の製錬方法。 - 前記乾燥工程にて乾燥させる前記混合物は、
少なくとも、
酸化鉱石と、炭素質還元剤とを混合して混合物を得る混合処理工程と、
得られた混合物を塊状化する処理又は所定の容器に充填する処理を行う前処理工程と、
を経て得られたものである
請求項1乃至5のいずれかに記載の酸化鉱石の製錬方法。 - 前記還元処理工程における前記冷却工程にて所定の温度に冷却した還元物を、メタルとスラグとに分離して回収する分離工程を有する
請求項1乃至6のいずれかに記載の酸化鉱石の製錬方法。
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