JP6809603B2 - 金属酸化物の製錬方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金属酸化物の製錬方法に関するものであり、例えば、ニッケル酸化鉱石等を原料として炭素質還元剤により還元することで還元物を得る製錬方法に関する。
金属酸化物の鉱石の一種であるリモナイトあるいはサプロライトと呼ばれるニッケル酸化鉱石の製錬方法として、熔錬炉を使用してニッケルマットを製造する乾式製錬方法、ロータリーキルンあるいは移動炉床炉を使用して鉄とニッケルの合金であるフェロニッケルを製造する乾式製錬方法、オートクレーブを使用して高圧酸浸出し硫化剤を添加してニッケルコバルト混合硫化物(ミックスサルファイド)を得る湿式製錬法であるHPALプロセス等が知られている。
上述した様々な方法の中で、特に乾式製錬法を用いてニッケル酸化鉱石を還元して製錬する場合、反応を進めさせるために原料のニッケル酸化鉱石を適度な大きさに破砕する等して塊状物化する処理が前処理として行われる。
具体的に、ニッケル酸化鉱石を塊状物化する、すなわち粉や微粒状から塊状にする際には、そのニッケル酸化鉱石と、それ以外の成分、例えばバインダーやコークス等の還元剤と混合して混合物とし、さらに水分調整等を行った後に塊状物製造機に装入して、例えば一辺あるいは直径が10mm〜30mm程度の大きさのペレットやブリケットと称せられる塊状物(以下、まとめて単に「ペレット」という)とするのが一般的である。
さて、ペレットには、含有する水分を「飛ばす」ために、ある程度の通気性が必要となる。また、ペレット内で均一に還元が進まないと、得られる還元物の組成が不均一になり、メタルが分散したり偏在したりする等の不都合が生じるため、混合物を均一に混合し、またペレットを還元処理する際には可能な限り均一な温度を維持することが重要となる。
加えて、還元されて生成したフェロニッケルを粗大化させることも重要な技術となる。これは、生成したフェロニッケルが、例えば数10μm〜数100μm以下の細かな大きさであった場合、同時に生成するスラグと物理的に分離することが困難となり、フェロニッケルとしての回収率(収率)が大きく低下するためである。
また、製錬コストを如何に低く抑えることができるかについても重要な技術的事項であり、コンパクトな設備で操業できる連続処理が望まれている。
例えば、特許文献1には、金属酸化物としての酸化鉄及び炭素質還元剤を含む塊成物を移動床型還元溶融炉の炉床上に供給して加熱し、還元溶融した後、得られる粒状金属を冷却してから炉外へ排出して回収する方法において、塊成物中の酸化鉄を固体還元する炉の前半領域における炉内温度を1300〜1450℃、塊成物中の還元鉄を浸炭、溶融させ、凝集させる炉の後半領域における炉内温度を1400〜1550℃とするとともに、炉床上に敷き詰めた塊成物同士の距離を0としたときの塊成物の炉床への最大投影面積率に対し、炉床上に敷き詰めた塊成物の炉床への投影面積率の相対値を敷密度としたとき、炉床上における塊成物の敷密度を0.5以上0.8以下として加熱する際に、平均直径が19.5mm以上32mm以下の塊成物を炉床上に供給する方法が開示されている。
このような特許文献1の方法によれば、塊成物の敷密度と平均直径と併せて制御することによって、粒状金属鉄の生産性を向上できることが記載されている。この特許文献1が示すとおり、塊成物の敷密度と平均直径を制御することによって、粒状金属鉄の生産性を向上できる。しかしながら、特許文献1は塊成物の外面での反応に関する技術である。これに対し、還元反応は塊成物内部での反応である。したがって、特許文献1の方法では、塊成物内での還元反応を制御することは困難である。
また、特許文献1のように塊成物の直径を決められた範囲に限定すると、塊成物の製造時の収率が下がり、コスト増加となる問題もある。さらに、塊成物の敷密度が0.5以上0.8以下の範囲は最密に充填された状態でなく、また塊成物を積層している状態でもないので効率は低い。さらに、特許文献1のような移動炉床の炉を用いた場合、連続して操業が行われるために、炉の状態を常に安定して維持することも重要である。
さらに、特許文献1のように、原料全てを熔解して還元するいわゆる全熔解法を用いたプロセスでは、操業コストの面でも大きな問題がある。例えば、上述したニッケル酸化鉱石を完全に熔融するには、1500℃以上もの高温に加熱する必要がある。このような高温を得るためには多大なエネルギーコストがかかり、また、そのような高温で用いる炉が傷みやすくなるので、補修費も増大する。また、目的とするニッケルは、原料のニッケル酸化鉱石中に1%程度しか含有されていない。したがって、ニッケルと反応してフェロニッケルを形成するために必要な化学量論量を超える量の鉄成分は回収する必要がないにもかかわらず、多量の回収不要な成分までも全てを熔融することになり著しく非効率的である。
このため、必要なニッケルだけを優先的に還元し、ニッケルよりもはるかに多量に含有される鉄の還元は部分的にしか行わない部分熔解による還元方法(「部分還元法」、あるいはニッケル優先還元法ともいう)が検討されてきた。
しかしながら、このような部分還元法においては原料を完全に熔解せず、半固体状態に維持しながら還元反応を行うため、ニッケルを100%完全に還元しながら、一方で鉄の還元を、ごく一部だけに留めるように反応を制御することは容易でない。このため、原料内での還元に部分的なばらつきが生じ、ニッケル回収率の低下など効率的な操業が困難であった。
ところで、高温で反応を行う還元炉においては、その材質が問題となる。通常の固定床の炉では、鋳鉄等で構成された枠に耐火煉瓦を載せる等の構造を有するが、回転炉床炉では回転に要する動力を低減するために、炉床や炉壁は固定床よりも軽量化された薄い構造を採る場合も多い。このような場合、炉床上に炉敷材(「床敷材」ともいう)を敷き、処理物と炉床とが反応したり、処理物が炉床に焼付いたりしないよう炉床を保護するための対策が採られている。
従来、この床敷材として、石炭やコークス等を用いることが一般的であった。これらは、同時に還元剤としても働くため、炉内の還元状態を正確に制御、維持することが必要な場合には適さない。また、高温下では雰囲気ガスや処理物と反応して床敷材としての効果が消滅することで、繰り返しの使用等が困難となり、コストが増加する問題もあった。
このように、金属酸化物を高効率に還元し、高品質な還元物を得ることは容易ではない。
特開2011−256414号公報
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、例えば、酸化ニッケル等を含有するニッケル酸化鉱石等の金属酸化物を原料とし、炭素質還元剤によって還元して還元物を得る製錬方法において、高品質の還元物を高効率に得ることができる方法を提供する。
本発明者らは、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、特定の床敷材を用いるか、特定の配置で床敷材を炉床に敷いて、その床敷材の上で金属酸化物を炭素質還元剤によって還元して還元物を得ることにより、効率的な製錬処理を行うことができることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に、本発明は以下のものを提供する。
(1)本発明の第1の発明は、還元炉内で、金属酸化物と炭素質還元剤とを混合して得られた混合物を還元する金属酸化物の製錬方法であって、アルミナ、アルミナセメント、マグネシア、マグネシアセメント、ジルコニア、ジルコニアセメント及びムライトから選択される1種以上の材料から構成される床敷材上で、前記混合物を加熱し還元する、金属酸化物の製錬方法である。
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記床敷材は、前記材料の粒子(床敷材粒子)から構成され、下記式(1)及び(2)より求められる平均床敷材体積率が3%以上85%以下である、金属酸化物の製錬方法である。
平均床敷材体積率
=床敷材粒子300個の床敷材体積率の総和/300 ・・・(1)
床敷材体積率
=(床敷材粒子の体積/床敷材粒子の最大粒子長を直径とする球の体積)×100 ・・・(2)
(3)本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記床敷材は、前記材料の粒子(床敷材粒子)から構成され、下記式(3)より求められる平均最大粒子長が10μm以上6000μm以下である、金属酸化物の製錬方法である。
平均最大粒子長
=床敷材粒子300個の最大粒子長の総和/300 ・・・(3)
(4)本発明の第4の発明は、還元炉内で、金属酸化物と炭素質還元剤とを混合して得られた混合物を還元する金属酸化物の製錬方法であって、比表面積が0.001μm−1以上3.0μm−1以下であり、且つ平均最大粒子長が15.0μm以上2000μm以下である粒子(床敷材粒子)から構成される床敷材上で、前記混合物を加熱し還元する、金属酸化物の製錬方法である。
(5)本発明の第5の発明は、第4の発明において、前記床敷材粒子は、アルミナ、アルミナセメント、マグネシア、マグネシアセメント、ジルコニア、ジルコニアセメント及びムライトから選択される1種以上の材料から構成される、金属酸化物の製錬方法である。
(6)本発明の第6の発明は、還元炉内で、金属酸化物と炭素質還元剤とを混合して得られた混合物を還元する金属酸化物の製錬方法であって、前記還元炉の炉床上に床敷材を敷き、前記床敷材は粒子(床敷材粒子)から構成され、該床敷材に含まれる最大粒子長50.0μm以下の床敷材粒子の数が、該床敷材に含まれる総床敷材粒子の数に対し1%以上40%以下であり、前記床敷材粒子は、下記式(3)により求められる平均最大粒子長が40.0μm以上1050μm以下である、金属酸化物の製錬方法である。
平均最大粒子長
=床敷材粒子300個の最大粒子長の総和/300 ・・・(3)
(7)本発明の第7の発明は、還元炉内で、金属酸化物と炭素質還元剤とを混合して得られた混合物を還元する金属酸化物の製錬方法であって、
前記還元炉の炉床上に床敷材を敷き、
前記床敷材上に、前記炉床を平面視したときに該炉床の面積の50%以下となるように前記混合物を配置して加熱し還元する、金属酸化物の製錬方法である。
(8)本発明の第8の発明は、第7の発明において、前記混合物は、球状、立方体状又は直方体状のいずれかの形状を有する、金属酸化物の製錬方法である。
(9)本発明の第9の発明は、第1乃至第8のいずれかの発明において、還元温度が、1200℃以上1450℃以下である、金属酸化物の製錬方法である。
(10)本発明の第10の発明は、第1乃至第9のいずれかの発明において、前記金属酸化物は、ニッケル酸化鉱石である、金属酸化物の製錬方法である。
(11)本発明の第11の発明は、第1乃至第10のいずれかの発明において、前記還元物は、フェロニッケルを含有する、金属酸化物の製錬方法である。
本発明によれば、例えば、酸化ニッケル等を含有するニッケル酸化鉱石等の金属酸化物を原料とし、炭素質還元剤で還元して還元物を得る製錬方法において、高品質の還元物を高効率に得ることができる。
ニッケル酸化鉱石の製錬方法の流れの一例を示す工程図である。 還元処理工程にて実行する処理工程を示す工程である。 炉床が回転する回転炉床炉の構成例を示す図(平面図)である。 不定形粒子及びその最大粒子長を直径とする球の模式図である。 不定形粒子の最大粒子長を示す模式図である。 床敷材に対する球状の混合物の設置例を示す模式図である。 床敷材に対する直方体状の混合物の設置例を示す模式図である。
≪1.本発明の概要≫
本発明に係る金属酸化物の製錬方法は、金属酸化物を原料として、炭素質還元剤により高温下で還元処理を行って還元物を得る製錬方法である。例えば、金属酸化物として、酸化ニッケルや酸化鉄等を含有するニッケル酸化鉱石を原料とし、その製錬原料に対して炭素質還元剤により高温下でニッケルを優先して、また、鉄を部分的に還元することでフェロニッケルを製造する方法が挙げられる。
具体的に、この金属酸化物の製錬方法は、特定の床敷材を用いるか、特定の配置で床敷材を炉床に敷いて、その床敷材の上で金属酸化物を炭素質還元剤によって還元することを特徴とするものであり、具体的態様として、4つの態様を有する。第1の態様では、アルミナ、アルミナセメント、マグネシア、マグネシアセメント、ジルコニア、ジルコニアセメント及びムライトから選択される1種以上の材料から構成される床敷材上で、金属酸化物と炭素質還元剤とを混合して得られた混合物を還元することを特徴とする。第2の態様では、比表面積が0.001μm−1以上3.0μm−1以下であり、且つ平均最大粒子長が15.0μm以上2000μm以下である粒子から構成される床敷材上で、金属酸化物と炭素質還元剤とを混合して得られた混合物を還元することを特徴とする。第3の態様では、還元炉内で、金属酸化物と炭素質還元剤とを混合して得られた混合物を還元するに際し、粒子から構成され、最大粒子長50.0μm以下の床敷材粒子の数が、床敷材に含まれる総床敷材粒子数に対し1%以上40%以下であり、平均最大粒子長が40.0μm以上1050μm以下である床敷材粒子を用いることを特徴とする。第4の態様では、還元炉内で、金属酸化物と炭素質還元剤とを混合して得られた混合物を還元するに際し、元炉内で、金属酸化物を炭素質還元剤で還元して還元物を得る製錬処理に際し、還元炉の炉床上に床敷材を敷き、その床敷材上に、炉床を平面視したときに炉床の面積の50%以下となるように混合物を配置して還元することを特徴とする。
このような製錬方法によれば、金属酸化物中に含まれる金属を効果的にメタル化することができ、しかも効率的な製錬処理を行うことができる。
以下では、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)として、ニッケル酸化鉱石の製錬方法を例に挙げて説明する。製錬原料であるニッケル酸化鉱石は酸化ニッケルを少なくとも含むものであり、このニッケル酸化鉱石の製錬方法では、原料中に含まれる酸化ニッケル等を還元することによってフェロニッケル(鉄−ニッケル合金)を製造することができる。
なお、本発明は、金属酸化物としてニッケル酸化鉱石に限定されるものではなく、製錬方法としても酸化ニッケル等を含むニッケル酸化鉱石からフェロニッケルを製造する方法に限られるものではない。また、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
≪2.ニッケル酸化鉱石の製錬方法≫
本実施の形態に係るニッケル酸化鉱石の製錬方法は、製錬原料であるニッケル酸化鉱石を炭素質還元剤等と混合、混練して混合物を作り、その混合物に対して還元処理を施すことによって、還元物としてメタルであるフェロニッケルとスラグとを生成させる方法である。なお、メタルであるフェロニッケルは、還元処理を経て得られたメタルとスラグとを含む混合物から、そのメタルを分離することで回収することができる。
図1は、ニッケル酸化鉱石の製錬方法の流れの一例を示す工程図である。図1に示すように、このニッケル酸化鉱石の製錬方法は、ニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤等の材料とを混合して混合物を得る混合処理工程S1と、得られた混合物を塊状化あるいは所定の容器に充填して成型する還元投入前処理工程S2と、所定の温度(還元温度)で混合物を還元する還元処理工程S3と、還元処理により生成したメタルとスラグとを含む混合物からメタルを分離して回収する分離工程S4と、を有する。
<2−1.混合処理工程>
混合処理工程S1は、ニッケル酸化鉱石を含む原料粉末を混合して混合物を得る工程である。具体的に、混合処理工程S1では、製錬原料であるニッケル酸化鉱石と、鉄鉱石等の鉄源、フラックス成分、バインダー、炭素質還元剤等の、例えば粒径が0.1mm〜0.8mm程度の原料粉末とを所定の割合で混合して混合物を得る。
製錬原料の鉱石であるニッケル酸化鉱石としては、特に限定されないが、リモナイト鉱、サプロライト鉱等を用いることができる。
鉄源は、ニッケル酸化鉱石中のニッケルと反応してフェロニッケルを形成するために必要な鉄を供給するものである。鉄源としては、例えば鉄品位が50%程度以上の鉄鉱石、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬により得られるヘマタイト等を用いることができる。
下記表1に、原料であるニッケル酸化鉱石と、鉄鉱石の組成(重量%)の一例を示す。なお、原料の組成としては、これに限定されるものではない。
Figure 0006809603
また、バインダーとしては、例えば、ベントナイト、多糖類、樹脂、水ガラス、脱水ケーキ等を挙げることができる。また、フラックス成分としては、例えば、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、二酸化珪素等を挙げることができる。
炭素質還元剤としては、特に限定されないが、例えば、石炭粉、コークス等が挙げられる。なお、この炭素質還元剤は、原料鉱石のニッケル酸化鉱石の粒度と同等の大きさを有するものであることが好ましい。また、炭素質還元剤の混合量としては、例えば、形成される混合物内に含まれる酸化ニッケルの全量をニッケルメタル還元するのに必要な化学当量と、ペレット内に含まれる酸化第二鉄を金属鉄に還元するのに必要な化学当量との両者合計値(便宜的に「化学当量の合計値」ともいう)を100%としたときに、好ましくは5質量%以上60質量%以下の炭素量の割合、より好ましくは10質量%以上40質量%以下の炭素量の割合となるように調整することができる。
炭素質還元剤の混合量として、化学当量の合計値100%に対して5質量%以上の炭素量となるようにすることで、ニッケルの還元性をより高め、生産性を高めることができる。一方で、60質量%以下の炭素量となるようにすることで、還元反応が進み過ぎることを抑制し、鉄の還元量の増加及びそれに伴うフェロニッケル中のニッケル品位の低下等を抑制し、得られるフェロニッケル合金中の品質をより高めることができる。このように、5質量%以上60質量%以下の炭素量の割合とすることで、ペレット等の形状にした原料表面に、金属成分により生成する殻(メタルシェル)を均一に生成させることができ、生産性、品質面でより好ましい。
なお、「ペレット」とは、少なくとも前記酸化鉱石と炭素質還元剤とを混合して得られる混合物を成形して得られる塊状のものをいい、単に「混合物」ともいう場合もある。
混合処理工程S1では、上述したようなニッケル酸化鉱石を含む原料粉末を均一に混合することによって混合物を得る。この混合に際しては、混練を同時に行ってもよく、混合後に混練を行ってもよい。このように、原料粉末を混合、混練することにより、原料同士の接触面積が増し、また空隙が減少することによって、還元反応が起りやすくなるとともに均一に反応させることができる。これにより、還元反応の反応時間を短縮させることができ、かつ品質のばらつきが無くなる。その結果として、生産性の高い処理することができ、かつ高い品質のフェロニッケルを製造することができる。
また、原料粉末を混練した後、押出機を用いて押出してもよい。このように押出機で押出すことによって、より一層高い混練効果を得ることができ、原料粉末同士の接触面積が増し、また空隙が減少させることができる。これにより、高品質のフェロニッケルを効率的に製造することができる。
<2−2.還元投入前処理工程(前処理工程)>
還元投入前処理工程S2は、混合処理工程S1で得られた混合物を、塊状化して塊状物とし、あるいは容器に充填して成型する工程である。すなわち、この還元投入前処理工程S2では、原料粉末を混合して得られた混合物を、後述する還元処理工程S3にて使用する炉に投入し易くし、また効率的に還元反応が起こるように成形する。
(混合物の塊状化)
得られた混合物を塊状化する場合には、その混合物を塊状物に成型(造粒)する。具体的には、得られた混合物に対して塊状化に必要な所定量の水分を添加し、例えば塊状物製造装置(転動造粒機、圧縮成形機、押出成形機等、「ペレタイザー」ともいう)等を用いて塊状(以下、「ペレット」ともいう)に成型する。
ペレットの形状としては、特に限定されず、球状、立方体形状、直方体形状等とすることができる。例えば、球状のペレットであることにより、還元反応が比較的均一に進み易く好ましい。また、立方体形状、直方体形状のペレットであることにより、炉床に敷かれた床敷材上に安定的に載置させることができ、ハンドリング性が向上する。
また、ペレット状にする塊状物の大きさとしては、特に限定されないが、例えば、乾燥処理(乾燥工程S31)、予熱処理(予熱工程S32)を経て、還元処理(還元工程S33)を行うために使用する製錬炉等に装入されるペレットの大きさ(球状のペレットの場合には直径)で、10mm〜30mm程度となるようにすることができる。なお、還元工程等については、詳しくは後述する。
(混合物の容器への充填)
得られた混合物を容器に充填して成型する場合には、その混合物を押出機等で混練しながら所定の容器に充填することができる。容器に充填した混合物をプレス等により押し固めることが好ましい。容器内で混合物を押し固めて成形し、容器から取り出して次工程の還元処理工程S3に付すことによって、混合物の密度を上げることができるとともに、密度が均一化し、還元反応がより均一に進み易くなり、品質ばらつきの小さいフェロニッケルを製造することができる。
容器内に充填する混合物の形状としては、特に限定されないが、例えば球状、直方体状、立方体状、円柱状等とすることが好ましい。また、その大きさについても特に限定されないが、例えば球状であれば、概ね直径が500mm以下であることが好ましい。また、例えば直方体形状や立方体形状であれば、概ね、縦、横の内寸が500mm以下であることが好ましい。このような形状、大きさとすることにより、品質ばらつきが小さく、かつ生産性の高い製錬を行うことができる。
<2−3.還元処理工程>
還元処理工程S3では、例えば、混合処理工程S1にて原料粉末が混合され、還元投入前処理工程S2にて塊状化された混合物、あるいは容器に充填され成型された混合物を、還元炉内で所定の還元温度にて還元加熱する。そして、還元処理工程S3における混合物の還元加熱処理により、製錬反応が進行して、メタルとスラグとが生成する。
ここで、この加熱還元に際し、床敷材として、アルミナ、アルミナセメント、マグネシア、マグネシアセメント、ジルコニア、ジルコニアセメント及びムライトから選ばれる1種以上の材料から構成されるものを用いる。このような床敷材を還元炉の炉床に敷き、その床敷材上に混合物を載置させて加熱還元することにより、混合物と還元炉の炉床との直接の反応を抑制することができる。また、上述したような種類の床敷材を用いることで、混合物との反応を抑制することができ、高品質のフェロニッケルを製造できる。なお、混合物との反応が抑制されることから、その床敷材を再利用することができ、製錬コストを低下させることができる。
図2は、還元処理工程S3にて実行する処理工程を示す工程図である。図2に示すように、還元処理工程S3は、混合物を乾燥する乾燥工程S31と、乾燥させた混合物を予熱する予熱工程S32と、混合物を還元する還元工程S33と、得られた還元物を冷却する冷却工程S35と、を有する。また、還元工程S33を経て得られた還元物を所定の温度範囲に保持する温度保持工程S34を有する。
ここで、還元工程S33における処理は、還元炉を用いて行われる。還元炉としては、例えば移動式炉床炉又は回転炉床炉を用いることができる。また、還元物を所定の温度範囲に保持する温度保持工程S34を実行する場合には、少なくとも、還元工程S33における処理と温度保持工程S34における処理とを一つの還元炉内にて実行する。
このように、これらの処理を一つの還元炉内にて行うことによって、その還元炉内の温度を高い温度で維持することができるため、それぞれの工程における処理の都度、温度を上げたり下げたりする等の必要が無くなり、エネルギーコストを低減することができる。このことから、高い生産性でもって品質の良好なフェロニッケルを連続して安定的に製造することができる。
(1)乾燥工程
乾燥工程S31では、原料粉末を混合して得られた混合物に対して乾燥処理を施す。この乾燥工程S31は、主に混合物中の水分や結晶水を飛ばすことを目的とする。
混合処理工程S1にて得られた混合物には水分等が多く含まれており、そのような状態で還元処理時に還元温度のような高温まで急加熱すると水分が一気に気化、膨張し、塊状化した混合物が割れ、場合によって破裂して粉々になってしまい、均一な還元処理を行うことが困難になる。そのため、還元処理を行うに先立ち、混合物に対する乾燥処理を施して水分を除去するようにし、ペレット等の破壊を防止する。
乾燥工程S31における乾燥処理は、還元炉に接続される形態で行われることが好ましい。還元炉内において乾燥処理を施すエリア(乾燥エリア)を設けて実施することも考えられるが、このような場合、乾燥エリアでの乾燥処理が律速となって、還元工程S33における処理や温度保持工程S34における処理に影響を与える可能性がある。
したがって、乾燥工程S31における乾燥処理は、還元炉の炉外に設けられ、その還元炉に接続された乾燥室にて行われることが好ましい。なお、詳しくは後述するが、図3に、還元炉の一例である回転炉床炉1と、その回転炉床炉1に接続された乾燥室20の構成例を示す。このように、回転炉床炉1の炉外に乾燥室20を設けることで、後述する予熱、還元、冷却といった工程とは全く別に乾燥室を設計でき、望ましい乾燥処理、予熱処理、還元処理、冷却処理をそれぞれ実行し易くなる。例えば、原料に依存して混合物に水分が多く残存するような場合には、乾燥処理に時間がかかるため、乾燥室20の全長を長めに設計すればよく、または乾燥室20内での混合物の搬送速度が遅くなるように設計すればよい。
乾燥室20における乾燥処理としては、例えば、混合物中の固形分が70重量%程度で、水分が30重量%程度となるように処理することができる。また、乾燥方法については、特に限定されないが、乾燥室20において搬送されてきた混合物に対し熱風を吹き付けることによって行うことができる。また、乾燥温度についても、特に限定されないが、還元反応がはじまらないようにする観点から、500℃以下とすることが好ましく、かつその500℃以下の温度で均一に乾燥することが好ましい。
下記表2に、乾燥処理後の混合物における固形分の組成(重量部)の一例を示す。なお、混合物の組成としては、これに限定されるものではない。
Figure 0006809603
(2)予熱工程
予熱工程S32では、乾燥工程S31での乾燥処理により水分を除去した後の混合物を予熱(予備加熱)する。
混合物を還元炉に装入していきなり高温の還元温度まで昇温すると、熱応力によって混合物が割れたり、粉状になってしまったりすることがある。また、混合物の温度が均一に上がらず、還元反応にばらつきが生じ、生成されるメタルの品質がばらつくことがある。そのため、混合物に対して乾燥処理を施した後に、所定の温度にまで予熱することが好ましく、これにより混合物の破壊や還元反応のばらつきを抑えることができる。
予熱工程S32における予熱処理は、乾燥処理と同様に、還元炉の炉外に設けられた処理室にて行われることが好ましく、その還元炉に接続された予熱室にて行われるようにすることが好ましい。なお、図3に、還元炉の一例である回転炉床炉1に接続された予熱室30の構成例を示すが、この予熱室30は回転炉床炉1の炉外に設けられており、乾燥処理を行う乾燥室20から連続的に設けられている。このように、回転炉床炉1の炉外に設けられた予熱室30にて予熱処理を行うことによって、還元処理を実行する回転炉床炉1内の温度を高い温度で維持でき、回転炉床炉1内の再加熱に必要なエネルギーを大幅に削減することができる。
予熱室30における予熱処理としては、特に限定されないが、予熱温度を600℃以上として行うことが好ましく、予熱温度を700℃以上1280℃以下として行うことがより好ましい。このような範囲の予熱温度で処理することによって、続く還元処理における還元温度まで再加熱する際に必要なエネルギーを大幅に削減することができる。
(3)還元工程
還元工程S33では、予熱工程S32にて予熱した混合物を所定の還元温度で還元処理する。還元工程S33における還元処理は、例えば移動式炉床炉又は回転炉床炉等の還元炉を用いて行うことができる。そして、この還元炉の炉床には、床敷材を配置し、その床敷材の上にニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤との混合物を載置する。上述したとおり、還元の具体的態様としては、4つの態様が存在する。以下、それぞれの態様について説明する。
(3−1)第1の態様の還元工程
第1の態様の還元工程では、床敷材としてアルミナ、アルミナセメント、マグネシア、マグネシアセメント、ジルコニア、ジルコニアセメント及びムライトから選択される1種以上の材料から構成されるものを配置し、その床敷材の上にニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤との混合物を還元炉の炉床に載置してニッケル酸化鉱石の還元を行う。
このようにして、特定の床敷材を還元炉の炉床に配置し、その床敷材上に混合物を載置して還元処理を施すことにより、混合物と炉床との反応や、混合物と床敷材との反応を抑制することができ、高品質のフェロニッケルを製造することができる。また、得られた還元物を有効に回収することができる。さらに、床敷材を再利用することにより、製錬のコストを低下させることができる。
床敷材の形状としては、特に限定されないが、例えば粒子(床敷材粒子)から構成されるものを用いることが好ましい。床敷材粒子により床敷材を構成することで、混合物と床敷材との接触面積が適当なものとなり、また、炉床に敷き詰める際の操作性や、炉床から回収する際の取り扱い性にも優れる。なお、混合物と床敷材との接触面積が大きすぎると、混合物と床敷材との反応が進行するおそれがある。一方で、接触面積が小さすぎると、生成したスラグやメタルが床敷材の隙間に染み込むおそれがある。
床敷材として、粒子から構成されるものを用いる場合、平均床敷材体積率が、例えば3%以上のものであることが好ましく、4%以上のものであることがより好ましく、5%以上のものであることがさらに好ましい。一方で、平均床敷材体積率は、85%以下のものであることが好ましく、82%以下のものであることがより好ましく、80%以下のものであることがさらに好ましい。平均床敷材体積率がこのような範囲の床敷材を用いることにより、混合物と床敷材との接触面積がより適当なものとなる。
ここで、第1の態様において「平均床敷材体積率」とは、任意の300個の床敷材粒子の体積率(床敷材体積率)の平均値であり、下記式(1)により求められる。また、「床敷材体積率」とは、床敷材粒子の最大粒子長を直径とする球の体積を100%としたときの、その床敷材体積の割合であり、下記式(2)により求められる。
平均床敷材体積率
=床敷材粒子300個の床敷材体積率の総和/300 ・・・(1)
床敷材体積率
=(床敷材粒子の体積/床敷材粒子の最大粒子長を直径とする球の体積)×100 ・・・(2)
第1の態様において、上記式(2)の「最大粒子長」とは、ある特定の粒子において、最も長い直径や辺をいう。具体的には、粒子が楕円状であれば最大粒子長は長径であり、直方体であれば最大粒子長は対角線をいう。したがって、第1の態様において「床敷材粒子の最大粒子長を直径とする球」とは、床敷材粒子に接し、且つ床敷材粒子を内包する球のことをいう。
図4は、不定形粒子及びその最大粒子長を直径とする球の模式図である。不定形粒子である場合には、図4のようにして最大粒子長を決定する。なお、第1の態様においてこの「最大粒子長」は、金属顕微鏡を用いて測定することができる。一方で、床敷材粒子の体積は、床敷材の密度が既知であることから、重量を測定することにより算出することができる。このようにして、無作為に選択した床敷材粒子300個を測定し、床敷材体積率を求め、式(1)により、平均床敷材体積率を算出する。
床敷材として、粒子から構成されるものを用いる場合、床敷材粒子の大きさとしては、特に限定されないが、平均最大粒子長が10μm以上であることが好ましく、15μm以上であることがより好ましく、20μm以上であることがより好ましい。一方で、平均最大粒子長は、6000μm以下であることが好ましく、5500μm以下であることがより好ましく、5000μm以下であることがさらに好ましい。平均最大粒子長がこのような範囲の床敷材であることにより、床敷材上に載置する混合物とその床敷材との接触面積が適当なものとなる。
ここで、第1の態様において「平均最大粒子長」とは、無作為に選択した床敷材粒子300個の平均の最大粒子長をいい、下記式(3)により求められる。
平均最大粒子長=床敷材300個の最大粒子長の総和/300 ・・・(3)
床敷材として、粒子から構成されるものを用いる場合、床敷材粒子の比表面積としては、特に限定されないが、例えば、0.001μm−1以上であることが好ましく、0.002μm−1以上であることがより好ましく、0.003μm−1以上であることがさらに好ましい。一方で、比表面積としては、例えば、3.0μm−1以下であることが好ましく、2.5μm−1以下であることがより好ましく、2.0μm−1以下であることがさらに好ましい。比表面積がこのような範囲の床敷材を用いることにより、混合物と床敷材の接触面積がより適当なものとなる。なお、「比表面積」は、一般的な比表面積測定装置を用いて測定することができる。
混合物の炉床に対する配置率としては、特に限定されないが、例えば、炉床を平面視したときにその炉床の面積の1%以上となるように混合物を配置することが好ましく、1.5%以上となるように混合物を配置することがより好ましく、2%以上となるように混合物を配置することがさらに好ましい。一方で、混合物の炉床に対する配置率としては、炉床の面積の50%以下となるように混合物が配置することが好ましく、45%以下となるように混合物を配置することがより好ましく、42%以下となるように混合物を配置することがさらに好ましく、40%以下となるように混合物を配置することが特に好ましい。
(3−2)第2の態様の還元工程
第2の態様の還元工程では、比表面積が0.001μm−1以上3.0μm−1以下であり、且つ平均最大粒子長が15.0μm以上2000μm以下である床敷材(床敷材粒子)を還元炉の炉床に配置し、その床敷材の上にニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤との混合物を載置してニッケル酸化鉱石の還元を行う。
このようにして、特定の床敷材粒子を還元炉の炉床に配置し、その床敷材上に混合物を載置して還元処理を施すことにより、混合物と炉床との反応及び混合物と床敷材との反応を抑制することができ、高品質のフェロニッケルを製造することができ、また有効に回収することができる。また、床敷材を再利用することにより、製錬のコストを低下させることができる。
ここで、床敷材としては、粒子から構成されるものを用いる。そして、この床敷材粒子は、比表面積が0.001μm−1以上3.0μm−1以下であり、且つ平均最大粒子長が15.0μm以上2000μm以下である。粒子から構成され、且つ比表面積及び平均最大粒子長がこのような範囲にある床敷材を用いることにより、混合物と床敷材との接触面積が適当なものとなる。なお、混合物と床敷材との接触面積が大きすぎると、両者の反応が進行するおそれがある。一方で、接触面積が小さすぎると、生成したスラグやメタルが床敷材の隙間に染み込むおそれがある。なお、「比表面積」は、一般的な比表面積測定装置を用いて測定することができる。
また、第2の態様において「最大粒子長」とは、ある特定の粒子において、最も長い直径や辺をいう。具体的には、粒子が楕円状であれば最大粒子長は長径であり、直方体であれば最大粒子長は対角線をいう。図5は、不定形粒子の最大粒子長を示す模式図である。不定形粒子である場合には、図5のように最大粒子長を決定する。この「最大粒子長」は、金属顕微鏡を用いて測定することができる。そして、第2の態様において「平均最大粒子長」は、無作為に選定した床敷材粒子300個の最大粒子長の平均値である。
床敷材粒子としては、特に限定されないが、アルミナ、アルミナセメント、マグネシア、マグネシアセメント、ジルコニア、ジルコニアセメント及びムライトから選択される1種以上の材料から構成されるもの用いることが好ましい。このような床敷材を用いることにより、混合物と炉床との反応及び混合物と床敷材との反応をさらに抑制することができ、高品質のフェロニッケルを製造することができ、また有効に回収することができる。また、床敷材を再利用することにより、製錬のコストを低下させることができる。
また、床敷材粒子の比表面積は、0.002μm−1以上であることが好ましく、0.003μm−1以上であることがより好ましい。一方で、比表面積は、2.5μm−1以下であることが好ましく、2.0μm−1以下であることがより好ましい。床敷材粒子の比表面積がこのような範囲の床敷材を用いることにより、床敷材上に載置する混合物とその床敷材との接触面積がより適当なものとなる。
床敷材粒子の平均最大粒子長は、17.0μm以上であることが好ましく、20.0μm以上であることがより好ましい。一方で、床敷材粒子の平均最大粒子長は、1500μm以下のものであることが好ましく、1200μm以下であることがより好ましく、1000μm以下であることがさらに好ましい。床敷材粒子の平均最大粒子長がこのような範囲の床敷材を用いることにより、床敷材上に載置する混合物とその床敷材との接触面積がより適当なものとなる。
混合物の炉床に対する配置率としては、特に限定されないが、例えば、炉床を平面視したときにその炉床の面積の1%以上となるように混合物を配置することが好ましく、1.5%以上となるように混合物を配置することがより好ましく、2%以上となるように混合物を配置することがさらに好ましい。一方で、混合物の炉床に対する配置率としては、炉床の面積の50%以下となるように混合物が配置することが好ましく、45%以下となるように混合物を配置することがより好ましく、42%以下となるように混合物を配置することがさらに好ましく、40%以下となるように混合物を配置することが特に好ましい。
(3−3)第3の態様の還元工程
第3の態様では、床敷材として、粒子(床敷材粒子)から構成され、その床敷材に含まれる最大粒子長が50.0μm以下の床敷材粒子の数が、床敷材に含まれる総床敷材粒子の数に対し1%以上40%以下であり、その平均最大粒子長が40.0μm以上1050μm以下であるものを還元炉の炉床に配置し、その床敷材の上にニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤との混合物を載置して、ニッケル酸化鉱石の還元を行う。
ここで、第3の態様において「最大粒子長」とは、ある特定の粒子において、最も長い辺や直径をいう。具体的には、例えば、粒子が楕円状であれば最大粒子長は長径であり、直方体であれば最大粒子長は対角線をいう。図5は、不定形粒子の最大粒子長を示す模式図である。不定形粒子である場合には、図5のように最大粒子長を決定する。この「最大粒子長」は、金属顕微鏡を用いて測定することができる。そして、第3の態様において「平均最大粒子長」とは、無作為に選択した床敷材粒子300個の最大粒子長の平均値をいい、下記式(3)により求められる。
平均最大粒子長
=床敷材粒子300個の最大粒子長の総和/300 ・・・(3)
このようにして、特定の床敷材を還元炉の炉床に配置し、その床敷材上に混合物を載置して還元処理を施すことにより、床敷材上に載置する混合物と炉床との反応、及び混合物と床敷材との反応を抑制することができ、高品質のフェロニッケルを製造することができ、また有効に回収することができる。また、床敷材を再利用することにより、製錬のコストを低下させることができる。
上述したとおり、床敷材としては、その床敷材に含まれる最大粒子長が50.0μm以下の床敷材粒子の数が、床敷材に含まれる総床敷材粒子の数に対し1%以上40%以下であるものを用いる。床敷材に含まれる最大粒子長が50.0μm以下の床敷材粒子の数としては、上述した範囲内に含まれるのであれば特に限定されず、例えば、床敷材に含まれる総床敷材粒子の数に対し、1.2%以上であることが好ましく、1.5%以上であることがより好ましく、1.7%以上であることがさらに好ましく、2%以上であることが特に好ましい。一方で、床敷材に含まれる最大粒子長が50.0μm以下の床敷材粒子の数としては、例えば、床敷材に含まれる総床敷材粒子の数に対し、37%以下であることが好ましく、35%以下であることがより好ましく、32%以下であることがさらに好ましく、30%以下であることが特に好ましい。
また、上述したとおり、床敷材としては、平均最大粒子長が40.0μm以上1050μm以下であるものを用いる。また、平均最大粒子長は、42.0μm以上であることが好ましく、45.0μm以上であることがより好ましく、47.0μm以上であることがさらに好ましく、50.0μm以上であることが特に好ましい。一方で、平均最大粒子長は、1030μm以下であることが好ましく、1000μm以下であることがより好ましい。
床敷材粒子の比表面積としては、特に限定されないが、例えば、0.001μm−1以上であることが好ましく、0.002μm−1以上であることがより好ましく、0.003μm−1以上であることがさらに好ましい。一方で、比表面積としては、例えば、3.0μm−1以下であることが好ましく、2.5μm−1以下であることがより好ましく、2.0μm−1以下であることがさらに好ましい。比表面積がこのような範囲の床敷材を用いることにより、混合物と床敷材の接触面積がより適当なものとなる。なお、「比表面積」は、一般的な比表面積測定装置を用いて測定することができる。
床敷材としては、特に限定されないが、アルミナ、アルミナセメント、マグネシア、マグネシアセメント、ジルコニア、ジルコニアセメント又はムライトから選択される1種以上の材料から構成されるものを用いることが好ましい。このような床敷材を用いることにより、混合物と炉床との反応及び混合物と床敷材との反応をさらに抑制することができ、高品質のフェロニッケルを製造できる。また、床敷材を再利用することができ、その結果として、製錬のコストを低下させることができる。
混合物の炉床に対する配置率としては、特に限定されないが、例えば、炉床を平面視したときにその炉床の面積の1%以上となるように混合物を配置することが好ましく、1.5%以上となるように混合物を配置することがより好ましく、2%以上となるように混合物を配置することがさらに好ましい。一方で、混合物の炉床に対する配置率としては、炉床の面積の50%以下となるように混合物が配置することが好ましく、45%以下となるように混合物を配置することがより好ましく、42%以下となるように混合物を配置することがさらに好ましく、40%以下となるように混合物を配置することが特に好ましい。
(3−4)第4の態様の還元工程
第4の態様では、床敷材を還元炉の炉床に敷き、その床敷材上に、炉床を平面視したときに炉床の面積の50%以下となるように混合物を配置して、ニッケル酸化鉱石の還元を行う。
このようにして、床敷材上に特定の配置割合(配置面積率)で混合物を配置させて還元処理を施すことにより、混合物と炉床との反応及び混合物と床敷材との反応を抑制することができ、高品質のフェロニッケルを製造することができ、また有効に回収することができる。また、床敷材を再利用することにより、製錬のコストを低下させることができる。
上述したように、還元炉の炉床には、炉床を平面視したときに炉床の面積の50%以下となるように混合物が配置される。還元炉の炉床に、平面視して炉床の面積の50%となるように混合物が配置されることにより、混合物と床敷材との接触面積が適当なものとなる。なお、混合物と床敷材との接触面積が大きすぎると、両者の反応が進行するおそれがある。一方で、接触面積が小さすぎると、生成したスラグやメタルが床敷材の隙間に染み込むおそれがある。
また、混合物の炉床に対する配置率(配置面積率)としては、例えば、炉床の面積の3%以上となるように混合物を配置することが好ましく、5%以上となるように混合物を配置することがより好ましい。一方で、還元炉の炉床には、45%以下となるように混合物を配置することが好ましく、42%以下となるように混合物を配置することがより好ましく、40%以下となるように混合物を配置することがさらに好ましい。混合物を、炉床に対しこのような割合の面積で配置することにより、混合物と床敷材の接触面積がより適当なものとなる。
ここで、上述したように、炉床には床敷材が敷かれている。この床敷材によって、混合物と炉床とが互いに接触せずに還元処理が施されることになる。図6は、床敷材に対する球状の混合物の設置例を示す模式図である。また、図7は、床敷材に対する直方体状の混合物の設置例を示す模式図である。図6及び図7に示すように、混合物は、少なくともその一部が床敷材上に埋め込まれるようにして設置することが好ましい。混合物を、このようにして設置することにより、混合物を床敷材上に安定的に設置することができ、炉床が動きながら還元反応が進む状況においても転がったり動いたりして反応性にばらつきが生じることを抑制することができる。また、混合物と床敷材との接触面積をある範囲で一定にすることができ、反応性がばらつき難くなる。
床敷材の形状としては、特に限定されないが、粒子から構成されるもの(床敷材粒子)を用いることが好ましい。床敷材として粒子から構成されるものを用いることにより、混合物と床敷材との接触面積がより適当なものとなり、また、炉床に敷き詰める際の操作性や、炉床から回収する際の取り扱い性にも優れる。
床敷材として、粒子から構成されるものを用いる場合、床敷材粒子の比表面積としては、特に限定されないが、例えば、0.001μm−1以上であることが好ましく、0.002μm−1以上であることがより好ましく、0.003μm−1以上であることがさらに好ましい。一方で、比表面積としては、例えば、3.0μm−1以下であることが好ましく、2.5μm−1以下であることがより好ましく、2.0μm−1以下であることがさらに好ましい。比表面積がこのような範囲の床敷材を用いることにより、混合物と床敷材の接触面積がより適当なものとなる。なお、「比表面積」は、一般的な比表面積測定装置を用いて測定することができる。
また、床敷材として粒子から構成されるものを用いる場合、その床敷材粒子の大きさとしては特に限定されないが、例えば、平均最大粒子長が20.0μm以上1000μm以下であることが好ましく、50.0μm以上700μm以下であることがより好ましい。床敷材の平均最大粒子長がこのような範囲にあることにより、混合物と床敷材の接触面積がより適当なものとなる。
ここで、第4の態様において「最大粒子長」とは、ある特定の粒子において、最も長い辺や直径をいう。具体的には、例えば、粒子が楕円状であれば最大粒子長は長径であり、直方体であれば最大粒子長は対角線をいう。この「最大粒子長」は、金属顕微鏡を用いて測定することができる。そして、第4の態様において「平均最大粒子長」は、無作為に選定した床敷材粒子100個の最大粒子長の平均値である。
また、床敷材としては、特に限定されないが、アルミナ、アルミナセメント、マグネシア、マグネシアセメント、ジルコニア、ジルコニアセメント及びムライトから選択される1種以上の材料から構成されるものを用いることが好ましい。このような床敷材を用いることにより、混合物と炉床との反応及び混合物と床敷材との反応をさらに抑制することができ、高品質のフェロニッケルを製造できる。また、床敷材を再利用することができ、その結果として、製錬のコストを低下させることができる。
(3−5)その他の条件
以下、第1〜第4の態様の還元工程において共通する還元条件や共通で使用する還元炉について説明する。
還元炉を使用した還元処理においては、ニッケル酸化鉱石に含まれる金属酸化物である酸化ニッケルは可能な限り完全に、且つ鉄に対して優先的に還元し、一方で、ニッケル酸化鉱石と共に原料粉末として混合した鉄鉱石等に由来する酸化鉄は一部だけ還元して、目的とするニッケル品位のフェロニッケルが得られる、いわゆる部分還元を行うことが好ましい。
具体的に、還元温度としては、特に限定されないが、1200℃以上1450℃以下の範囲とすることが好ましく、1300℃以上1400℃以下の範囲とすることがより好ましい。このような温度範囲で還元することによって、均一に還元反応を生じさせることができ、品質のばらつきを抑制したメタル(フェロニッケルメタル)を生成させることができる。またより好ましくは1300℃以上1400℃以下の範囲の還元温度で還元することで、比較的短時間で所望の還元反応を生じさせることができる。
通常、金属製の炉床を有する還元炉を用いて1300℃以上の高温で還元した場合、混合物から生成したスラグやメタルが、炉床と反応し、炉床を短時間で損傷することがある。また、混合物中又は還元されたメタルに炉床の金属成分等が混入し、得られるメタルの品質の低下を起こすおそれもある。さらに、例えば石炭やコークス等、通常の床敷材を用いた場合、混合物から生成したスラグやメタルが、このような床敷材と反応するおそれもある。このような反応は、僅かな程度であれば許容できるが、床敷材が変質し再利用できないこともある。
還元処理に際しては、上述した範囲の還元温度になるまで還元炉における還元室の内部温度を上昇させ、昇温後にその温度を維持する。
[回転炉床炉]
上述したとおり、還元炉としては、例えば移動式炉床炉又は回転炉床炉を用いることができる。このような還元炉によれば、金属酸化物中に含まれる金属を効果的にメタル化して、しかも効率的な製錬処理を行うことができる。以下、還元炉の一例として、回転炉床炉の構成について、図3を用いて説明する。
図3は、炉床が回転する回転炉床炉の構成例を示す図(平面図)である。図3に示すように、回転炉床炉1は、炉床が回転する領域10を有し、領域10は4つ分割されてそれぞれで処理室(10a,10b,10c,10d)を構成している。具体的に、この回転炉床炉1においては、例えば、符号「10a」〜「10d」の4つすべての処理室を、還元処理を行う還元室とすることができる。また、還元工程S33における処理の後に後述する温度保持工程S34を実行する場合には、例えば、処理室「10a」、「10b」、「10c」を還元室とし、処理室「10d」を温度保持工程S34における処理を行う温度保持室とすることができる。さらに、還元工程S33における処理の後に後述する冷却工程S5を実行する場合には、例えば、処理室「10a」、「10b」、「10c」を還元室とし、処理室「10d」を冷却工程S5における処理を行う温度保持室とすることができる。
各工程間、すなわち各処理室間は、反応温度を厳密に制御してエネルギーロスを抑制するために、仕切り壁で仕切られた構成とすることが好ましい。このように、各工程の亜大を仕切ることが可能な構造を有する回転炉床炉によれば、後述するように、還元工程S33における処理と温度保持工程S34における処理とを、エネルギーロスを抑制しながら、同一の回転炉床炉を用いて行うことができる。ただし、仕切り壁が固定式のものであると、工程間の搬送や、特に回転炉床炉への装入及び排出が困難となる可能性があるため、その仕切り壁としては、処理物の移動に差し支えることがない程度に開閉できる構造とすることが好ましい。
なお、炉床が回転する領域10を分割して形成される処理室の数としては、図3に例示する4つに限られるものではない。また、還元室の数や温度保持室の数についても、上述した例に限られず、処理時間等に応じて適宜設定することができる。
回転炉床炉1は、上述したように、平面上に回転移動する炉床を備えており、混合物を載置した炉床が所定の速度で回転移動することで、それぞれの処理室(10a,10b,10c,10d)を通過し、その通過の際に処理が行われる。なお、図3中の回転炉床炉1上の矢印は、炉床の回転方向を示すとともに、処理物(混合物)の移動方向を示す。
また、回転炉床炉1は、その炉外に設けられた乾燥室20と、予熱室30とが接続されており、上述したように、乾燥室20にて混合物に対する乾燥処理が施されたのち、乾燥後の混合物が予熱室30に移動して予熱処理され、予熱処理後の混合物が回転炉床炉1内に順次移されるようになっている。また、回転炉床炉1は、その炉外に設けられた冷却室40が接続されており、還元室又は温度保持室(10d)を経て得られた還元物がその冷却室40にて冷却処理される(後述する冷却工程S35)。
(4)温度保持工程
還元工程S33を経て得られた還元物を、回転炉床炉内で所定の高い温度条件で保持する温度保持工程S34を行うようにしてもよい。このように、還元工程S33における所定の還元温度での還元処理により得られた還元物を、すぐに冷却するのではなく、高温の雰囲気で保持することによって、還元物中において生成したメタル成分を沈降、粗大化させることができる。
なお、温度保持工程S34においても、床敷材を用いることによって、還元反応によりニッケルメタルやスラグが生成しても、炉床と反応せず、スラグが炉床に染み込んだり、貼り付いたりしない。
還元処理して得られた状態において還元物中のメタル成分が小さい場合、例えば200μm以下程度のバルク状のメタルであった場合には、その後の分離工程S4にてメタルとスラグとを分離することが困難になってしまう。このため、必要に応じて、還元物を高温保持することによって、還元物中のスラグよりも比重の大きいメタルを沈降、凝集させて、メタルを粗大化させる。
なお、還元工程S33における還元処理により、製造上問題ないレベルまでメタルが粗大化している場合には、特にこの温度保持工程S34を設けることを必要としない。
具体的に、温度保持工程S34における還元物の保持温度としては、1300℃以上1500℃以下の高温範囲とすることが好ましい。このような範囲で還元物を高温保持することによって、還元物中のメタル成分を効率よく沈降させて粗大なメタルとすることができる。なお、保持温度が1300℃未満であると、還元物の多くの部分が固相となるため、メタル成分が沈降しないか、沈降した場合であっても時間を要する。一方で、保持温度が1500℃を超えると、得られた還元物と床敷材との反応が進行して、還元物を回収できなくなることがあり、また、炉を損傷させてしまうことがある。
ここで、温度保持工程S34における処理は、還元工程S33にて使用する回転炉床炉1内において、還元処理に続いて連続的に行うようにする。すなわち、図3を用いて説明したように、回転炉床炉1において、例えば、処理室「10a」、「10b」、「10c」を還元室とし、処理室「10d」を温度保持工程S34における処理を行う温度保持室とし、還元室(10a、10b、10c)を通過して得られた還元物を、温度保持室(10d)にて所定の温度範囲に保持させる。
このように、還元処理を経て得られた還元物を所定の温度に保持する処理を、回転炉床炉1を用いて連続的に行うことによって、還元物中のメタル成分を効率的に沈降させて粗大化させることができる。しかも、還元工程S33における処理と、温度保持工程S34における処理とを別々の炉ではなく、回転炉床炉1を用いて連続的に行うことで、各処理間におけるヒートロスを低減して効率的な操業を可能にする。
(5)冷却工程
冷却工程S35では、還元工程S33を経て得られた還元物、または温度保持工程S34にて所定の時間に亘り高温保持した後の還元物を、続く分離工程S4にて分離回収できる温度まで冷却する。
冷却工程S35は、上述したように得られた還元物を冷却する工程であるため、回転炉床炉1の炉外に接続された冷却室にて行うことが好ましい。なお、図3に、回転炉床炉1に接続された冷却室40の構成例を示すが、この冷却室40は回転炉床炉1の炉外に接続して設けられている。このように、回転炉床炉1の炉外に設けられた冷却室40にて冷却処理を行うことによって、回転炉床炉1の内部温度の低下を防ぐことができ、エネルギーロスを抑えることができる。これにより、効率的なフェロニッケルの生産を可能とする。
冷却工程S35における温度(以下、「回収時温度」ともいう)は、還元物が実質的に固体として扱える温度であって、できるだけ高い温度であることが好ましい。回収時温度をできるだけ高くすることにより、回転移動する回転炉床炉1の炉床が、予熱工程S32を実行する予熱室30との接続箇所に戻ったときでもエネルギーロスを低減でき、再加熱に要するエネルギーをより一層節約することができる。
具体的に、回収時温度としては600℃以上とすることが好ましい。このように回収時温度を高い温度にすることによって、再加熱に要するエネルギーを大幅に削減でき、低コストで効率的な製錬処理を行うことができる。また、回転炉床炉1の内部における温度差の減少することによって、その炉床や炉壁等に加わる熱応力を減少させることができ、回転炉床炉1の寿命を大きく延ばすことができる。さらに、操業中の不具合も大幅に減らすことができる。
<2−4.分離工程>
分離工程S4は、還元処理工程S3にて生成した還元物からメタル(フェロニッケルメタル)を分離し回収する。具体的に、分離工程S4では、混合物を還元加熱処理することによって得られた、メタル相(メタル固相)とスラグ相(スラグ固相)とが混在する混在物(還元物)から、メタル相を分離して回収する。
固体として得られたメタル相とスラグ相との混在物からメタル相とスラグ相とを分離する方法としては、例えば、篩い分けによる不要物の除去に加えて、比重による分離や、磁力による分離等の方法を利用することができる。また、得られたメタル相とスラグ相は、濡れ性が悪いことから容易に分離することができ、大きな混在物に対して、例えば、所定の落差を設けて落下させる、あるいは篩い分けの際に所定の振動を与える等の衝撃を与えることで、その混在物からメタル相とスラグ相とを容易に分離することができる。
このようにしてメタル相とスラグ相とを分離することによって、メタル相を回収し、フェロニッケルの製品とすることができる。
以下、本発明の実施例を示してより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
〔実施例1〕
(混合処理工程)
原料の酸化鉱石としてのニッケル酸化鉱石と、鉄鉱石と、フラックス成分である珪砂及び石灰石と、バインダーと、炭素質還元剤である石炭とを、適量の水を添加しながら混合機を用いて混合して混合物を得た。なお、炭素質還元剤は、酸化ニッケルと酸化鉄(Fe)とを過不足なくメタルに還元するのに必要な化学当量の合計値を100%としたときに、炭素量で30%に相当する分量で含有させた。
そして、混合機によって混合して得られた混合物を、二軸混練機によって混練した。
(還元投入前処理工程)
次に、混練して得られた混合物試料を、パン型造粒機を用いてφ18±1.5mmの球状のペレットに成形した。
(還元処理工程)
次に、図3に例示したような回転炉床炉1を用いて、混合物試料を用いて処理条件を変えて還元処理を行った。回転炉床炉1としては、図3に示すように、領域10の外に、ペレットを乾燥する乾燥室20と、乾燥室20に連続して設けられた予熱室30と、炉内における処理室10a〜10dを経て得られた還元物を冷却する冷却室40とが接続されているものを用いた。なお、実施例1においては、処理室10dを冷却室として用いた。
具体的には、ペレット試料を、回転炉床炉1の炉外に接続された乾燥室20に装入し、乾燥処理を施した。乾燥処理は、実質的に酸素を含まない窒素雰囲気中において、ペレット中を固形分が70重量%程度、水分が30重量%程度となるように、250℃〜350℃の熱風をペレットに吹き付けることによって行った。下記表3に、乾燥処理後のペレットの固形分組成(炭素を除く)を示す。
Figure 0006809603
続いて、乾燥処理後のペレットを、乾燥室20に連続して設けられた予熱室30に移行させ、予熱室30内の温度を700℃以上1280℃以下の範囲に保持して、ペレットに対する予熱処理を行った。
続いて、予熱処理後のペレットを、回転炉床炉1の内部に移行させて還元処理及び温度保持処理を行った。具体的に、回転炉床炉1としては、炉床が回転移動する領域10を4分割して4つの処理室を備えるものとし、4つの処理室10a〜10dをいずれも還元処理を実行する還元室とした。
還元処理を経て得られた還元物については、回転炉床炉1に接続された冷却室に移行させ、窒素を流しながら速やかに室温まで冷却して大気中へ取り出した。なお、還元物の回転炉床炉1からの回収は、冷却室40に還元物を移行させる形態で行い、冷却室40に設置したガイドによって還元物を沿わせるようにして回収した。
実施例1−1〜1−48においては、粒子から構成される床敷材を炉床に敷き、その上に混合物のペレットを置いて還元処理を行った。比較例1−1〜1−3においては、金属製の炉床の上に、直接ペレットを置いて還元処理を行った。下記表4〜6に、実施例1〜48及び比較例1−1〜1−3の還元工程における還元処理の条件を示す。
平均最大粒子長は、金属顕微鏡を用いて、無作為に選定し測定した床敷材粒子300個の最大粒子長の平均値より求めた。また、床敷材の体積は、最大粒子長の平均値を求めるのに用いた粒子300個の総重量を測定し、床敷材を構成する材料の密度で割ることにより粒子300個の総体積を求めた。
還元処理後のペレット、床敷材及び炉床を目視で確認し、相互の反応の有無を確認した。その結果を下記表4〜6に示す。
また、取り出した試料のニッケル品位をICP発光分光分析器(SHIMAZU S−8100)により分析し、ニッケルメタル率とメタル中ニッケル含有率とをそれぞれ算出した。なお、ニッケルメタル率は、下記(4)式により、メタル中ニッケル含有率は下記(5)式により、それぞれ算出した。下記表4〜6に、実施例1−1〜1−48及び比較例1−1〜1−3により得られた試料のニッケルメタル率及びメタル中ニッケル含有率を示す。
ニッケルメタル化率=還元処理投入ペレット中のメタル化したNiの量/(還元処理投入ペレット中の全てのNi量)×100(%) ・・・(4)
メタル中ニッケル含有率=還元処理投入ペレット中のメタル化したNiの量/(還元処理投入ペレット中のメタルしたNiとFeの合計量)×100(%) ・・・(5)
Figure 0006809603
Figure 0006809603
Figure 0006809603
このように、実施例1−1〜1−48においては、所定の床敷材を用いたことにより、床敷材や炉床と試料が反応することなく、その結果、不純物等の少ない高品質のフェロニッケルを製造することができた。また、床敷材が再利用できるため、低コストで実現し得る。さらに、メタル成分が多いためにメタルの粗大化が生じやすい。
これに対し、比較例1−1〜1−3は、試料が炉床と反応し、混じり合い、有効にメタルを回収することができなかった。
〔実施例2〕
(混合処理工程)
原料の酸化鉱石としてのニッケル酸化鉱石と、鉄鉱石と、フラックス成分である珪砂及び石灰石と、バインダーと、炭素質還元剤である石炭とを、適量の水を添加しながら混合機を用いて混合して混合物を得た。なお、炭素質還元剤は、酸化ニッケルと酸化鉄(Fe)とを過不足なくメタルに還元するのに必要な化学当量の合計値を100%としたときに、炭素量で36%に相当する分量で含有させた。
そして、混合機によって混合して得られた混合物を、二軸混練機によって混練した。
(還元投入前処理工程)
次に、混練して得られた混合物試料を、パン型造粒機を用いてφ16±1.5mmの球状のペレットに成形した。
(還元処理工程)
次に、図3に例示したような回転炉床炉1を用い、その回転炉床炉1の炉床に、粒子から構成される床敷材を敷き、混合物試料を用いて処理条件を変えて還元処理を行った。回転炉床炉1としては、図3に示すように、領域10の外に、ペレットを乾燥する乾燥室20と、乾燥室20に連続して設けられた予熱室30と、炉内における処理室10a〜10dを経て得られた還元物を冷却する冷却室40とが接続されているものを用いた。なお、実施例2においては、処理室10dを冷却室として用いた。
具体的には、ペレット試料を、回転炉床炉1の炉外に接続された乾燥室20に装入し、乾燥処理を施した。乾燥処理は、実質的に酸素を含まない窒素雰囲気中において、ペレット中を固形分が70重量%程度、水分が30重量%程度となるように、250℃〜350℃の熱風をペレットに吹き付けることによって行った。下記表7に、乾燥処理後のペレットの固形分組成(炭素を除く)を示す。
Figure 0006809603
続いて、乾燥処理後のペレットを、乾燥室20に連続して設けられた予熱室30に移行させ、予熱室30内の温度を700℃以上1280℃以下の範囲に保持して、ペレットに対する予熱処理を行った。
続いて、予熱処理後のペレットを、回転炉床炉1の内部に移行させて還元処理及び温度保持処理を行った。具体的に、回転炉床炉1としては、炉床が回転移動する領域10を4分割して4つの処理室を備えるものとし、4つの処理室10a〜10dをいずれも還元処理を実行する還元室とした。
還元処理を経て得られた還元物については、回転炉床炉1に接続された冷却室に移行させ、窒素を流しながら速やかに室温まで冷却して大気中へ取り出した。なお、還元物の回転炉床炉1からの回収は、冷却室40に還元物を移行させる形態で行い、冷却室40に設置したガイドによって還元物を沿わせるようにして回収した。
下記表8〜10に、実施例2−1〜2−48及び比較例2−1〜2−12における、床敷材の材質、床敷材の比表面積、床敷材の平均最大粒子長、還元温度及び還元時間を示す。
なお、床敷材の比表面積は、島津製作所比表面積測定装置(フローソーブIII2305)を用いて測定した。平均最大粒子長は、金属顕微鏡を用いて、無作為に選定し測定した床敷材粒子300個の最大粒子長の平均値より求めた。また、床敷材の体積は、最大粒子長の平均値を求めるのに用いた粒子300個の総重量を測定し、床敷材を構成する材料の密度で割ることにより粒子300個の総体積を求めた。
また、取り出した試料のニッケル品位をICP発光分光分析器(SHIMAZU S−8100)により分析し、ニッケルメタル率とメタル中ニッケル含有率とをそれぞれ算出した。なお、ニッケルメタル率は、下記(4)式により、メタル中ニッケル含有率は下記(5)式により、それぞれ算出した。
ニッケルメタル化率=還元処理投入ペレット中のメタル化したNiの量/(還元処理投入ペレット中の全てのNi量)×100(%) ・・・(4)
メタル中ニッケル含有率=還元処理投入ペレット中のメタル化したNiの量/(還元処理投入ペレット中のメタルしたNiとFeの合計量)×100(%) ・・・(5)
さらに、回収した各試料は、湿式処理による粉砕後、磁力選別によってメタルを回収した。そして、ニッケル酸化鉱石の投入量、その中のNi含有割合、及び回収したNi量からNiメタル回収率を算出した。Niメタル回収率は、下記の(6)式により求めた。
Niメタル回収率={回収したNi量/(ニッケル酸化鉱石の投入量×Ni含有割合)}×100 ・・・(6)
下記表8〜10に、実施例2−1〜2−48及び比較例2−1〜2−12により得られた試料のニッケルメタル率、メタル中ニッケル含有率及びニッケル回収率を示す。
Figure 0006809603
Figure 0006809603
Figure 0006809603
このように、実施例2−1〜2−48においては、所定の床敷材を用いたことにより、均一で安定した還元を行うことができ、その結果Niメタル化率及び回収率が高く、Niについて高品質のフェロニッケルを製造することができた。また、床敷材を連続的に使用することができ、ニッケルを安価に製造することができる。さらに、Ni含有割合メタル成分が多いためにメタルの粗大化が生じやすい。
〔実施例3〕
(混合処理工程)
原料の酸化鉱石としてのニッケル酸化鉱石と、鉄鉱石と、フラックス成分である珪砂及び石灰石と、バインダーと、炭素質還元剤である石炭とを、適量の水を添加しながら混合機を用いて混合して混合物を得た。なお、炭素質還元剤は、酸化ニッケルと酸化鉄(Fe)とを過不足なくメタルに還元するのに必要な化学当量の合計値を100%としたときに、炭素量で30%に相当する分量で含有させた。
そして、混合機によって混合して得られた混合物を、二軸混練機によって混練した。
(還元投入前処理工程)
実施例3−1〜3−12、実施例3−25〜3−36、比較例3−1、比較例3−2、比較例3−5及び比較例3−6については、混練して得られた混合物試料を、パン型造粒機を用いてφ16±1.5mmの球状のペレットに成形した。
実施例3−13〜3−24、実施例3−37〜3−48、比較例3−3、比較例3−4、比較例3−7及び比較例3−8については、縦15mm×横15mm×高さ10mmの直方体状となるように混合物を型にはめ込み成形した。
(還元処理工程)
次に、図3に例示したような回転炉床炉1を用い、その回転炉床炉1の炉床に、粒子から構成される床敷材を敷き、混合物試料を用いて処理条件を変えて還元処理を行った。回転炉床炉1としては、図3に示すように、領域10の外に、ペレットを乾燥する乾燥室20と、乾燥室20に連続して設けられた予熱室30と、炉内における処理室10a〜10dを経て得られた還元物を冷却する冷却室40とが接続されているものを用いた。なお、実施例3においては、処理室10dを冷却室として用いた。
具体的には、ペレット試料を、回転炉床炉1の炉外に接続された乾燥室20に装入し、乾燥処理を施した。乾燥処理は、実質的に酸素を含まない窒素雰囲気中において、ペレット中を固形分が70重量%程度、水分が30重量%程度となるように、250℃〜350℃の熱風をペレットに吹き付けることによって行った。下記表11に、乾燥処理後のペレットの固形分組成(炭素を除く)を示す。
Figure 0006809603
続いて、乾燥処理後のペレットを、乾燥室20に連続して設けられた予熱室30に移行させ、予熱室30内の温度を700℃以上1280℃以下の範囲に保持して、ペレットに対する予熱処理を行った。
続いて、予熱処理後のペレットを、回転炉床炉1の内部に移行させて還元処理及び温度保持処理を行った。具体的に、回転炉床炉1としては、炉床が回転移動する領域10を4分割して4つの処理室を備えるものとし、4つの処理室10a〜10dをいずれも還元処理を実行する還元室とした。
還元処理を経て得られた還元物については、回転炉床炉1に接続された冷却室に移行させ、窒素を流しながら速やかに室温まで冷却して大気中へ取り出した。なお、還元物の回転炉床炉1からの回収は、冷却室40に還元物を移行させる形態で行い、冷却室40に設置したガイドによって還元物を沿わせるようにして回収した。
下記表12〜14に、実施例3−1〜3−48及び比較例3−1〜3−12における、床敷材の材質、最大粒子長が50.0μm以下の粒子数の割合、床敷材の平均最大粒子長、還元温度及び還元時間を示す。
なお、床敷材の比表面積は、島津製作所比表面積測定装置(フローソーブIII2305)を用いて測定した。最大粒子長の平均値は、金属顕微鏡を用いて、無作為に選定し測定した床敷材粒子300個の最大粒子長の平均値を求めた。
また、取り出した試料のニッケル品位をICP発光分光分析器(SHIMAZU S−8100)により分析し、ニッケルメタル率とメタル中ニッケル含有率とをそれぞれ算出した。なお、ニッケルメタル率は、下記(4)式により、メタル中ニッケル含有率は下記(5)式により、それぞれ算出した。
ニッケルメタル化率=還元処理投入ペレット中のメタル化したNiの量/(還元処理投入ペレット中の全てのNi量)×100(%) ・・・(4)
メタル中ニッケル含有率=還元処理投入ペレット中のメタル化したNiの量/(還元処理投入ペレット中のメタルしたNiとFeの合計量)×100(%) ・・・(5)
さらに、回収した各試料は、湿式処理による粉砕後、磁力選別によってメタルを回収した。そして、ニッケル酸化鉱石の投入量、その中のNi含有割合、及び回収したNi量からNiメタル回収率を算出した。Niメタル回収率は、下記の(6)式により求めた。
Niメタル回収率={回収したNi量/(ニッケル酸化鉱石の投入量×Ni含有割合)}×100 ・・・(6)
下記表12〜14に、実施例3−1〜3−48及び比較例3−1〜3−12により得られた試料のニッケルメタル率、メタル中ニッケル含有率及びニッケル回収率を示す。
Figure 0006809603
Figure 0006809603
Figure 0006809603
このように、実施例3−1〜3−48においては、所定の床敷材を用いたことにより、均一で安定した還元を行うことができ、その結果Niメタル化率及び回収率が高く、Niについて高品質のフェロニッケルを製造することができた。また、床敷材を連続的に使用することができ、ニッケルを安価に製造することができる。さらに、Ni含有割合メタル成分が多いためにメタルの粗大化が生じやすい。
〔実施例4〕
(混合処理工程)
原料の酸化鉱石としてのニッケル酸化鉱石と、鉄鉱石と、フラックス成分である珪砂及び石灰石と、バインダーと、炭素質還元剤である石炭とを、適量の水を添加しながら混合機を用いて混合して混合物を得た。なお、炭素質還元剤は、酸化ニッケルと酸化鉄(Fe)とを過不足なくメタルに還元するのに必要な化学当量の合計値を100%としたときに、炭素量で30%に相当する分量で含有させた。
そして、混合機によって混合して得られた混合物を、二軸混練機によって混練した。
(還元投入前処理工程)
実施例4−1〜4−12、実施例4−25〜4−36、比較例4−1、比較例4−2、比較例4−5及び比較例4−6については、混練して得られた混合物試料を、パン型造粒機を用いてφ15±1.5mmの球状のペレットに成形した。
実施例4−13〜4−24、実施例4−37〜4−48、比較例4−3、比較例4−4、比較例4−7及び比較例4−8については、縦15mm×横15mm×高さ10mmの直方体状となるように混合物試料を型にはめ込み成形した。
(還元処理工程)
次に、図3に例示したような回転炉床炉1を用いて、混合物試料を用いて処理条件を変えて還元処理を行った。回転炉床炉1としては、図3に示すように、領域10の外に、ペレットを乾燥する乾燥室20と、乾燥室20に連続して設けられた予熱室30と、炉内における処理室10a〜10dを経て得られた還元物を冷却する冷却室40とが接続されているものを用いた。なお、実施例4においては、処理室10dを冷却室として用いた。
具体的には、ペレット試料を、回転炉床炉1の炉外に接続された乾燥室20に装入し、乾燥処理を施した。乾燥処理は、実質的に酸素を含まない窒素雰囲気中において、ペレット中を固形分が70重量%程度、水分が30重量%程度となるように、250℃〜350℃の熱風をペレットに吹き付けることによって行った。下記表15に、乾燥処理後のペレットの固形分組成(炭素を除く)を示す。
Figure 0006809603
続いて、乾燥処理後のペレットを、乾燥室20に連続して設けられた予熱室30に移行させ、予熱室30内の温度を700℃以上1280℃以下の範囲に保持して、ペレットに対する予熱処理を行った。
続いて、予熱処理後のペレットを、回転炉床炉1の内部に移行させて還元処理及び温度保持処理を行った。具体的に、回転炉床炉1としては、炉床が回転移動する領域10を4分割して4つの処理室を備えるものとし、4つの処理室10a〜10dをいずれも還元処理を実行する還元室とした。
還元処理を経て得られた還元物については、回転炉床炉1に接続された冷却室に移行させ、窒素を流しながら速やかに室温まで冷却して大気中へ取り出した。なお、還元物の回転炉床炉1からの回収は、冷却室40に還元物を移行させる形態で行い、冷却室40に設置したガイドによって還元物を沿わせるようにして回収した。
下記表16〜18に、実施例4−1〜4−48及び比較例4−1〜4−12における、床敷材の材質、床敷材の形状、炉床に対する混合物の配置面積率、還元温度及び還元時間を示す。
また、取り出した試料のニッケル品位をICP発光分光分析器(SHIMAZU S−8100)により分析し、ニッケルメタル率とメタル中ニッケル含有率とをそれぞれ算出した。なお、ニッケルメタル率は、下記(4)式により、メタル中ニッケル含有率は下記(5)式により、それぞれ算出した。
ニッケルメタル化率=還元処理投入ペレット中のメタル化したNiの量/(還元処理投入ペレット中の全てのNi量)×100(%) ・・・(4)
メタル中ニッケル含有率=還元処理投入ペレット中のメタル化したNiの量/(還元処理投入ペレット中のメタルしたNiとFeの合計量)×100(%) ・・・(5)
さらに、回収した各試料は、湿式処理による粉砕後、磁力選別によってメタルを回収した。そして、ニッケル酸化鉱石の投入量、その中のNi含有割合、及び回収したNi量からNiメタル回収率を算出した。Niメタル回収率は、下記の(6)式により求めた。
Niメタル回収率={回収したNi量/(ニッケル酸化鉱石の投入量×Ni含有割合)}×100 ・・・(6)
下記表16〜18に、実施例4−1〜4−48及び比較例4−1〜4−8により得られた試料のニッケルメタル率、メタル中ニッケル含有率及びニッケル回収率を示す。
Figure 0006809603
Figure 0006809603
Figure 0006809603
このように、実施例4−1〜4−48においては、炉床に対し特定の割合で混合物を配置したことにより、均一で安定した還元を行うことができ、その結果Niメタル化率及び回収率が高く、Niについて高品質のフェロニッケルを製造することができた。また、床敷材を連続的に使用することができ、ニッケルを安価に製造することができる。さらに、Ni含有割合メタル成分が多いためにメタルの粗大化が生じやすい。
1 回転炉床炉
10 領域
10a,10b,10c,10d 処理室(還元室、温度保持室、冷却室)
20 乾燥室
30 予熱室
40 冷却室
51 混合物(球状)
52 床敷材
61 混合物(立方体状)
62 床敷材

Claims (9)

  1. 還元炉内で、ニッケル酸化鉱石である金属酸化物と炭素質還元剤とを混合して得られた混合物を還元することでフェロニッケルを含有する還元物を得る金属酸化物の製錬方法であって、
    アルミナ、アルミナセメント、マグネシア、マグネシアセメント、ジルコニア、ジルコニアセメント及びムライトから選択される1種以上の材料から構成される床敷材上で、前記混合物を加熱し還元する
    金属酸化物の製錬方法。
  2. 前記床敷材は、前記材料の粒子(床敷材粒子)から構成され、
    下記式(1)及び(2)より求められる平均床敷材体積率が3%以上85%以下である
    請求項1に記載の金属酸化物の製錬方法。
    平均床敷材体積率
    =床敷材粒子300個の床敷材体積率の総和/300 ・・・(1)
    床敷材体積率
    =(床敷材粒子の体積/床敷材粒子の最大粒子長を直径とする球の体積)×100 ・・・(2)
  3. 前記床敷材は、前記材料の粒子(床敷材粒子)から構成され、
    下記式(3)より求められる平均最大粒子長が10μm以上6000μm以下である
    請求項1又は2に記載の金属酸化物の製錬方法。
    平均最大粒子長
    =床敷材粒子300個の最大粒子長の総和/300 ・・・(3)
  4. 還元炉内で、ニッケル酸化鉱石である金属酸化物と炭素質還元剤とを混合して得られた混合物を還元することでフェロニッケルを含有する還元物を得る金属酸化物の製錬方法であって、
    比表面積が0.001μm−1以上3.0μm−1以下であり、且つ平均最大粒子長が15.0μm以上2000μm以下である粒子(床敷材粒子)から構成される床敷材上で、前記混合物を加熱し還元する
    金属酸化物の製錬方法。
  5. 前記床敷材粒子は、アルミナ、アルミナセメント、マグネシア、マグネシアセメント、ジルコニア、ジルコニアセメント及びムライトから選択される1種以上の材料から構成される
    請求項4に記載の金属酸化物の製錬方法。
  6. 還元炉内で、ニッケル酸化鉱石である金属酸化物と炭素質還元剤とを混合して得られた混合物を還元することでフェロニッケルを含有する還元物を得る金属酸化物の製錬方法であって、
    前記還元炉の炉床上に床敷材を敷き、
    前記床敷材は粒子(床敷材粒子)から構成され、該床敷材に含まれる最大粒子長50.0μm以下の床敷材粒子の数が、該床敷材に含まれる総床敷材粒子の数に対し1%以上40%以下であり、
    前記床敷材粒子は、下記式(3)により求められる平均最大粒子長が40.0μm以上1050μm以下である
    金属酸化物の製錬方法。
    平均最大粒子長
    =床敷材粒子300個の最大粒子長の総和/300 ・・・(3)
  7. 還元炉内で、ニッケル酸化鉱石である金属酸化物と炭素質還元剤とを混合して得られた混合物を還元することでフェロニッケルを含有する還元物を得る金属酸化物の製錬方法であって、
    前記還元炉の炉床上に床敷材を敷き、
    前記床敷材上に、前記炉床を平面視したときに該炉床の面積の50%以下となるように前記混合物を配置して加熱し還元する
    金属酸化物の製錬方法。
  8. 前記混合物は、球状、立方体状又は直方体状のいずれかの形状を有する
    請求項7に記載の金属酸化物の製錬方法。
  9. 還元温度が、1200℃以上1450℃以下である
    請求項1乃至8のいずれか1項に記載の金属酸化物の製錬方法。
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