前記問題点に鑑み、本発明は、トレンチの内部に形成された高濃度のP+型ポリシリコン層およびトレンチの底面の酸化膜の開口を介してトレンチの底面の真下のP型層にライフタイムキラーとしての重金属が導入されない場合よりも、N−エピタキシャル層に注入されるキャリアとしての正孔の注入量を制限することができるJBSを提供することを目的とする。
更に、本発明は、トレンチの底面の真下付近のP型層およびN−型エピタキシャル層のキャリアのライフタイムよりも、トレンチの側面の側方のP型層およびN−型エピタキシャル層のキャリアのライフタイムを長くすることができるJBSを提供することを目的とする。
また、本発明は、半導体チップのガードリング領域のP+型ポリシリコン層上にフィールドプレートが形成されない場合よりも、逆方向バイアス時の空亡層を半導体チップの周縁部側に延ばすことができるJBSを提供することを目的とする。
更に、本発明は、逆方向バイアス時に隣接する2個のトレンチの間のN型ショットキー接合界面の真下の空亡層の下端とN+型基板との間に存在している残留正孔(ホール)を、逆方向バイアスから順方向バイアスへの切換時に、重金属が局所的に分布されているトレンチの底面の酸化膜の開口の真下のN−型エピタキシャル層およびP型層、並びに、アノード電極メタルの電位に近い電位になっているトレンチの内部の高濃度のP+型ポリシリコン層を介して、アノード電極メタルに迅速に戻すことができるJBSを提供することを目的とする。
また、本発明は、第1トレンチの内部に形成された高濃度のP+型ポリシリコン層および第1トレンチの底面の酸化膜の開口を介して第1トレンチの底面の真下のP型層にライフタイムキラーとしての重金属が導入されない場合よりも、N−エピタキシャル層に注入されるキャリアとしての正孔の注入量を制限することができるMOSFETを提供することを目的とする。
更に、本発明は、第1トレンチの底面の真下付近のP型層およびN−型エピタキシャル層のキャリアのライフタイムよりも、第1トレンチの側面の側方のP型層およびN−型エピタキシャル層のキャリアのライフタイムを長くすることができるMOSFETを提供することを目的とする。
また、本発明は、半導体チップのガードリング領域のP+型ポリシリコン層上にガードリング電極メタルが形成されない場合よりも、逆方向バイアス時の空亡層を半導体チップの周縁部側に延ばすことができるMOSFETを提供することを目的とする。
更に、本発明は、逆方向バイアス時に隣接する2個の第1トレンチの間の接合界面の真下の空亡層の下端とN+型基板との間に存在している残留正孔(ホール)を、逆方向バイアスから順方向バイアスへの切換時に、重金属が局所的に分布されている第1トレンチの底面の酸化膜の開口の真下のN−型エピタキシャル層およびP型層、並びに、ソース電極メタルの電位に近い電位になっている第1トレンチの内部の高濃度のP+型ポリシリコン層を介して、ソース電極メタルに迅速に戻すことができるMOSFETを提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明によれば、ショットキー接合とPN接合とが並存する活性領域と、活性領域の外側に配置されたガードリング領域とを具備する半導体チップによって構成されるJBSにおいて、
N−型エピタキシャル層をN+型基板上に形成し、
第1酸化膜をN−型エピタキシャル層の表面全体に形成し、
複数のトレンチ形成用開口を活性領域およびガードリング領域の第1酸化膜に形成し、
複数のトレンチ形成用開口を介して活性領域およびガードリング領域に複数のトレンチを形成し、
複数のトレンチの側面および底面を介してN−型エピタキシャル層にP型不純物の導入・拡散を行うことによって、横方向および縦方向の拡散深さが約0.1〜0.2μmであって濃度が1016/cm3オーダーのP型層を複数のトレンチの側面および底面に沿って形成し、
第2酸化膜を複数のトレンチの側面および底面に形成し、
複数のトレンチの底面の第2酸化膜に開口を形成し、
ポリシリコンを複数のトレンチの内部に充填すると共に、複数のトレンチの内部に充填されたポリシリコンに対してP型不純物をドープすることによって、濃度が1018/cm3オーダー以上のP+型ポリシリコン層を複数のトレンチの内部に形成し、
複数のトレンチの内部に形成されたP+型ポリシリコン層および複数のトレンチの底面の第2酸化膜の開口を介してP型層およびN−型エピタキシャル層に重金属を蒸着・拡散し、
複数のトレンチの内部に形成されたP+型ポリシリコン層の表面に第3酸化膜を形成し、
N+型層形成用開口を半導体チップの周縁部の酸化膜に形成し、
N+型層形成用開口を介して半導体チップの周縁部にN+型層を形成し、
バリアメタル形成用開口を半導体チップの活性領域の酸化膜に形成し、
フィールドプレート用開口を半導体チップのガードリング領域のP+型ポリシリコン層上の酸化膜に形成し、
バリアメタル形成用開口を介して半導体チップの活性領域にバリアメタルを形成し、
アノード電極メタルをバリアメタル上に形成し、
フィールドプレート用開口を介して半導体チップのガードリング領域のP+型ポリシリコン層上にフィールドプレートを形成し、
EQR電極メタルを半導体チップの周縁部にN+型層上に形成し、
最終保護膜を半導体チップの表面全体に形成し、
アノード電極メタルと接続するためのコンタクト開口を最終保護膜に形成し、
カソード電極メタルを半導体チップの裏面に形成したことを特徴とするJBSが提供される。
請求項2に記載の発明によれば、活性領域と活性領域の外側に配置されたガードリング領域とを具備する半導体チップによって構成されるMOSFETにおいて、
N−型エピタキシャル層をN+型基板上に形成し、
第1酸化膜をN−型エピタキシャル層の表面全体に形成し、
P型層形成用開口を活性領域の第1酸化膜に形成し、
P型層形成用開口を介してP型不純物の導入・拡散を行うことによって活性領域にP型層を形成し、
P型不純物の拡散中にP型層の表面に第2酸化膜を形成し、
複数の第1トレンチ形成用開口を活性領域およびガードリング領域の酸化膜に形成し、
複数の第1トレンチ形成用開口を介して活性領域およびガードリング領域に複数の第1トレンチを形成し、
複数の第1トレンチの側面および底面を介してN−型エピタキシャル層にP型不純物の導入・拡散を行うことによって、横方向および縦方向の拡散深さが約0.1〜0.2μmであって濃度が1016/cm3オーダーのP型層を複数の第1トレンチの側面および底面に沿って形成し、
第3酸化膜を複数の第1トレンチの側面および底面に形成し、
複数の第1トレンチの底面の第3酸化膜に開口を形成し、
ポリシリコンを複数の第1トレンチの内部に充填すると共に、複数の第1トレンチの内部に充填されたポリシリコンに対してP型不純物をドープすることによって、濃度が1018/cm3オーダー以上のP+型ポリシリコン層を複数の第1トレンチの内部に形成し、
複数の第1トレンチの内部に形成されたP+型ポリシリコン層および複数の第1トレンチの底面の第3酸化膜の開口を介してその真下のP型層およびN−型エピタキシャル層に重金属を蒸着・拡散し、
複数の第1トレンチの内部に形成されたP+型ポリシリコン層の表面に第4酸化膜を形成し、
N+型層形成用開口を半導体チップの周縁部の酸化膜と、半導体チップの活性領域の中央部のうち第1トレンチを除く部分の酸化膜とに形成し、
N+型層形成用開口を介して半導体チップの周縁部と、半導体チップの活性領域の中央部のうち第1トレンチを除く部分とにN+型層を形成し、
このN+型層の表面に第5酸化膜を形成し、
複数の第2トレンチ形成用開口を活性領域の中央部の酸化膜に形成し、
複数の第2トレンチ形成用開口を介して活性領域の中央部に複数の第2トレンチを形成し、
MOSFETのゲート酸化膜となる熱酸化膜を複数の第2トレンチの側面および底面に形成し、
ポリシリコンを複数の第2トレンチの内部に充填し、かつ、半導体チップの活性領域の周縁部の一部に堆積させると共に、複数の第2トレンチの内部に充填されたポリシリコンおよび半導体チップの活性領域の周縁部の一部に堆積せしめられたポリシリコンに対してN型不純物をドープすることによって、N+型ポリシリコン層を複数の第2トレンチの内部および半導体チップの活性領域の周縁部の一部に形成し、
第6酸化膜を半導体チップの表面全体に形成し、
活性領域の中央部のうち第2トレンチを除く部分の酸化膜、活性領域の周縁部のN+型ポリシリコン層上の一部の酸化膜、ガードリング領域のP+型ポリシリコン層上の一部の酸化膜、および、半導体チップの周縁部のN+型層上の一部の酸化膜に電極メタル形成用開口を形成し、
電極メタルを半導体チップの表面全体に形成し、
半導体チップの表面全体の電極メタルを、活性領域の中央部のソース電極メタルと、活性領域の周縁部のゲート配線引き回し電極メタルと、ゲート配線引き回し電極メタルよりも周縁部側に位置するソース電極メタルと、ガードリング電極メタルと、半導体チップの周縁部のEQR電極メタルとに電気的に分離し、
最終保護膜を半導体チップの表面全体に形成し、
ゲート電極として機能する第2トレンチの内部のN+型ポリシリコン層とゲート配線引き回し電極メタルとを電気的に接続し、
活性領域の周縁部のN+型ポリシリコン層の上側に位置するソース電極メタルと、活性領域の周縁部のN+型ポリシリコン層の下側に位置する第1トレンチの内部のP+型ポリシリコン層とを電気的に接続し、
ドレイン電極メタルを半導体チップの裏面に形成したことを特徴とするMOSFETが提供される。
請求項3に記載の発明によれば、活性領域と活性領域の外側に配置されたガードリング領域とを具備する半導体チップによって構成されるMOSFETにおいて、
N−型エピタキシャル層をN+型基板上に形成し、
第1酸化膜をN−型エピタキシャル層の表面全体に形成し、
P型層形成用開口を活性領域の第1酸化膜に形成し、
P型層形成用開口を介してP型不純物の導入・拡散を行うことによって活性領域にP型層を形成し、
P型不純物の拡散中にP型層の表面に第2酸化膜を形成し、
複数の第1トレンチ形成用開口を活性領域およびガードリング領域の酸化膜に形成し、
複数の第1トレンチ形成用開口を介して活性領域およびガードリング領域に複数の第1トレンチを形成し、
複数の第1トレンチの側面および底面を介してN−型エピタキシャル層にP型不純物の導入・拡散を行うことによって、横方向および縦方向の拡散深さが約0.1〜0.2μmであって濃度が1016/cm3オーダーのP型層を複数の第1トレンチの側面および底面に沿って形成し、
第3酸化膜を複数の第1トレンチの側面および底面に形成し、
複数の第1トレンチの底面の第3酸化膜に開口を形成し、
ポリシリコンを複数の第1トレンチの内部に充填すると共に、複数の第1トレンチの内部に充填されたポリシリコンに対してP型不純物をドープすることによって、濃度が1018/cm3オーダー以上のP+型ポリシリコン層を複数の第1トレンチの内部に形成し、
複数の第1トレンチの内部に形成されたP+型ポリシリコン層および複数の第1トレンチの底面の第3酸化膜の開口を介してその真下のP型層およびN−型エピタキシャル層に重金属を蒸着・拡散し、
複数の第1トレンチの内部に形成されたP+型ポリシリコン層の表面に第4酸化膜を形成し、
N+型層形成用開口を半導体チップの周縁部の酸化膜と、半導体チップの活性領域の中央部のうち、活性領域の周縁部に隣接する部分を除く部分であって、第1トレンチを除く部分の酸化膜とに形成し、
N+型層形成用開口を介して、半導体チップの周縁部と、半導体チップの活性領域の中央部のうち、活性領域の周縁部に隣接する部分を除く部分であって、第1トレンチを除く部分とにN+型層を形成し、
このN+型層の表面に第5酸化膜を形成し、
複数の第2トレンチ形成用開口を活性領域の中央部の酸化膜に形成し、
複数の第2トレンチ形成用開口を介して活性領域の中央部に複数の第2トレンチを形成し、
MOSFETのゲート酸化膜となる熱酸化膜を複数の第2トレンチの側面および底面に形成し、
ポリシリコンを複数の第2トレンチの内部に充填し、かつ、半導体チップの活性領域の周縁部の一部に堆積させると共に、複数の第2トレンチの内部に充填されたポリシリコンおよび半導体チップの活性領域の周縁部の一部に堆積せしめられたポリシリコンに対してN型不純物をドープすることによって、N+型ポリシリコン層を複数の第2トレンチの内部および半導体チップの活性領域の周縁部の一部に形成し、
第6酸化膜を半導体チップの表面全体に形成し、
活性領域の中央部のうち第2トレンチを除く部分の酸化膜、活性領域の周縁部のN+型ポリシリコン層上の一部の酸化膜、ガードリング領域のP+型ポリシリコン層上の一部の酸化膜、および、半導体チップの周縁部のN+型層上の一部の酸化膜に電極メタル形成用開口を形成し、
電極メタルを半導体チップの表面全体に形成し、
半導体チップの表面全体の電極メタルを、活性領域の中央部のソース電極メタルと、活性領域の周縁部のゲート配線引き回し電極メタルと、ゲート配線引き回し電極メタルよりも周縁部側に位置するソース電極メタルと、ガードリング電極メタルと、半導体チップの周縁部のEQR電極メタルとに電気的に分離し、
最終保護膜を半導体チップの表面全体に形成し、
ゲート電極として機能する第2トレンチの内部のN+型ポリシリコン層とゲート配線引き回し電極メタルとを電気的に接続し、
活性領域の周縁部のN+型ポリシリコン層の上側に位置するソース電極メタルと、活性領域の周縁部のN+型ポリシリコン層の下側に位置する第1トレンチの内部のP+型ポリシリコン層とを電気的に接続し、
ドレイン電極メタルを半導体チップの裏面に形成したことを特徴とするMOSFETが提供される。
請求項1に記載のJBSでは、N−型エピタキシャル層がN+型基板上に形成され、第1酸化膜(フィールド酸化膜)がN−型エピタキシャル層の表面全体に形成される。更に、複数のトレンチ形成用開口が活性領域およびガードリング領域の第1酸化膜に形成され、複数のトレンチ形成用開口を介して活性領域およびガードリング領域に複数のトレンチが、例えばリアクティブイオンエッチング法などによって形成される。
好ましくは、請求項1に記載のJBSでは、半導体チップの活性領域の周縁部のトレンチの幅寸法が、半導体チップの活性領域の他のトレンチの幅寸法よりも大きくされる。
更に、好ましくは、請求項1に記載のJBSでは、半導体チップのガードリング領域に2本の環状のトレンチが形成される。
また、好ましくは、請求項1に記載のJBSでは、複数のトレンチが半導体チップの活性領域およびガードリング領域に形成された後に、各トレンチの側面および底面の表面平滑化処理が行われる。表面平滑化処理では、例えば低温での犠牲酸化処理によって各トレンチの側面および底面に酸化膜が形成され、次いで、その酸化膜が剥離される。この表面平滑化処理が行われることにより、各トレンチの側面および底面が粗い場合よりもリーク電流を低減することができる。
また、請求項1に記載のJBSでは、複数のトレンチの側面および底面を介してN−型エピタキシャル層にP型不純物の導入・拡散を行うことによって、横方向および縦方向の拡散深さが約0.1〜0.2μmであって濃度が1016/cm3オーダーのP型層が、複数のトレンチの側面および底面に沿って形成される。詳細には、例えば斜めイオン注入法、CVDデポジション、低温拡散デポジション等によって、P型不純物の導入が行われる。また、詳細には、P型不純物の導入・拡散によって形成されたP型層の表面濃度が1016/cm3オーダーにされる。
更に、請求項1に記載のJBSでは、第2酸化膜が複数のトレンチの側面および底面に形成され、開口が複数のトレンチの底面の第2酸化膜に形成され、複数のトレンチの側面には第2酸化膜が残される。詳細には、例えばリアクティブイオンエッチング法などによってトレンチの底面の第2酸化膜のみがエッチング除去される。このエッチング除去は、SiO2/Siのエッチングレートが比較的大きいエッチング条件で行われる。
また、請求項1に記載のJBSでは、ポリシリコンを複数のトレンチの内部に充填すると共に、複数のトレンチの内部に充填されたポリシリコンに対してP型不純物をドープすることによって、濃度が1018/cm3オーダー以上のP+型ポリシリコン層が、複数のトレンチの内部に形成される。
好ましくは、請求項1に記載のJBSでは、ポリシリコンが各トレンチの内部に選択的に充填されるのではなく、半導体チップの表面全体にポリシリコンを堆積させ、次いで、複数のトレンチの内部にのみポリシリコンが残るように、余分なポリシリコンをエッチバックすることにより、ポリシリコンが複数のトレンチの内部に充填される。
更に、請求項1に記載のJBSでは、複数のトレンチの内部に形成されたP+型ポリシリコン層および複数のトレンチの底面の第2酸化膜の開口を介してP型層およびN−型エピタキシャル層に例えば白金等のようなライフタイムキラーとしての重金属が蒸着・拡散される。
また、請求項1に記載のJBSでは、複数のトレンチの内部に形成されたP+型ポリシリコン層の表面に第3酸化膜が形成される。
好ましくは、請求項1に記載のJBSでは、トレンチの内部のP+型ポリシリコン層の表面に第3酸化膜が形成される時に、トレンチの内部のP+型ポリシリコン層の表面のみに第3酸化膜が形成されるのではなく、半導体チップの表面全体に第3酸化膜が形成される。詳細には、第3酸化膜は、例えば熱酸化、CVD酸化などによって形成される。
更に、請求項1に記載のJBSでは、N+型層形成用開口が半導体チップの周縁部の酸化膜に形成され、N+型層形成用開口を介して半導体チップの周縁部にN+型層が形成される。
また、請求項1に記載のJBSでは、バリアメタル形成用開口が半導体チップの活性領域の酸化膜に形成され、フィールドプレート用開口が半導体チップのガードリング領域のP+型ポリシリコン層上の酸化膜に形成される。
更に、請求項1に記載のJBSでは、バリアメタル形成用開口を介して半導体チップの活性領域にバリアメタルが、例えばスパッタリング法、蒸着法などによって形成される。
更に、請求項1に記載のJBSでは、アノード電極メタルが例えばスパッタリング法、蒸着法などによってバリアメタル上に形成され、フィールドプレート用開口を介して半導体チップのガードリング領域のP+型ポリシリコン層上にフィールドプレートが例えばスパッタリング法、蒸着法などによって形成され、EQR電極メタルが例えばスパッタリング法、蒸着法などによって半導体チップの周縁部にN+型層上に形成される。
また、請求項1に記載のJBSでは、最終保護膜が半導体チップの表面全体に形成され、アノード電極メタルと接続するためのコンタクト開口が最終保護膜に形成され、カソード電極メタルが半導体チップの裏面に形成される。
好ましくは、請求項1に記載のJBSでは、オーミック接触を確実にするためのシンタリング処理が例えば400℃程度の不活性ガス中で適宜行われる。
つまり、請求項1に記載のJBSでは、半導体チップの活性領域において、バリアメタルとN−型エピタキシャル層とによるショットキー接合と、P型層とN−型エピタキシャル層とによるPN接合とが、並存している。更に、ガードリング領域が活性領域の外側に配置されている。
詳細には、請求項1に記載のJBSでは、半導体チップの活性領域の周縁部のトレンチと、半導体チップの活性領域の外側のガードリング領域のトレンチと、ガードリング領域の外側のN−型エピタキシャル層と、半導体チップの周縁部のN+型層とによって耐圧維持構造が形成されている。
更に、請求項1に記載のJBSでは、トレンチ構造が採用されているため、請求項1に記載のJBSによれば、トレンチ構造が採用されていない場合よりも半導体チップの横方向寸法を小型化することができる。
また、請求項1に記載のJBSでは、半導体チップのガードリング領域のP+型ポリシリコン層上にフィールドプレートが形成される。そのため、請求項1に記載のJBSによれば、半導体チップのガードリング領域のP+型ポリシリコン層上にフィールドプレートが形成されない場合よりも、逆方向バイアス時の空亡層を半導体チップの周縁部側に延ばすことができる。
更に、請求項1に記載のJBSでは、複数のトレンチの内部のP+型ポリシリコン層の濃度が1018/cm3オーダー以上にされる。そのため、請求項1に記載のJBSによれば、半導体チップの活性領域のP+型ポリシリコン層とバリアメタルとをオーミック接触させることができ、その結果、順方向バイアス時に、アノード電極メタルの電位を、トレンチの側面に沿って形成されたP型層よりも速くトレンチの内部のP+型ポリシリコン層に伝えることができる。
換言すれば、請求項1に記載のJBSでは、複数のトレンチの内部に高濃度のP+型ポリシリコン層が形成されている。そのため、請求項1に記載のJBSによれば、複数のトレンチの内部に高濃度のP+型ポリシリコン層が形成されていない場合よりも、順方向バイアス時に、P+型ポリシリコン層の下側の空亡層をカソード電極側に延ばすことができ、その結果、隣接する2つのトレンチの間のN−型エピタキシャル層空間を簡単にピンチオフさせることができる。
詳細には、請求項1に記載のJBSでは、順方向バイアス時に、隣接する2つのトレンチの間のピンチオフされたN−型エピタキシャル層空間において、水平方向逆向きの電界およびバリアメタルとN−型エピタキシャル層とのN型ショットキー接合界面から下向きに押し出される電界が相殺し合い、Resurf効果のようなものが起こり、バリアメタルとN−型エピタキシャル層とのN型ショットキー接合界面の電界が大幅に下がる。そのため、請求項1に記載のJBSによれば、順方向バイアス時にバリアメタルとN−型エピタキシャル層とのN型ショットキー接合界面の電界が高くなるのに伴って、リーク電流が増大したり、キヤリア移動度が低下したりしてしまうのを抑制することができ、安全にJBSを運転することができる。
ポリシリコン層中の重金属の拡散速度がN−型エピタキシャル層中の重金属の拡散速度よりも速く、酸化膜中の重金属の拡散速度がN−型エピタキシャル層中の重金属の拡散速度よりも遅い点に鑑み、請求項1に記載のJBSでは、上述したように、複数のトレンチの内部に形成されたP+型ポリシリコン層および複数のトレンチの底面の第2酸化膜の開口を介してP型層およびN−型エピタキシャル層に重金属が拡散される。そのため、請求項1に記載のJBSによれば、トレンチの底面の第2酸化膜の開口の真下付近のP型層およびN−型エピタキシャル層に重金属を局所的に拡散させることができる。つまり、請求項1に記載のJBSによれば、トレンチの側面の第2酸化膜の側方のP型層およびN−型エピタキシャル層のキャリアのライフタイムを長いままに維持することができる。
また、請求項1に記載のJBSでは、上述したように、複数のトレンチの内部に高濃度のP+型ポリシリコン層が形成されている。つまり、請求項1に記載のJBSでは、高濃度のP+型ポリシリコン層が形成されている複数のトレンチの内部において、多数キャリアとなる正孔が十分に活性化されておらず、正孔の移動度が十分に高くなっていない。そのため、請求項1に記載のJBSによれば、トレンチの内部、トレンチの底面の第2酸化膜の開口、および、その真下のP型層を介してN−型エピタキシャル層に注入されるキャリアとしての正孔の注入量を制限することができる。
更に、請求項1に記載のJBSでは、上述したように、トレンチの底面の第2酸化膜の開口を介してその真下のP型層にライフタイムキラーとしての重金属が導入されている。つまり、請求項1に記載のJBSでは、トレンチの底面の第2酸化膜の開口の真下のP型層において、キャリアとしての正孔のライフタイムが短くなっている。そのため、請求項1に記載のJBSによれば、トレンチの内部、トレンチの底面の第2酸化膜の開口、および、その真下のP型層を介してN−型エピタキシャル層に注入されるキャリアとしての正孔の注入量を制限することができる。
また、請求項1に記載のJBSでは、上述したように、トレンチの側面には第2酸化膜が残されている。つまり、請求項1に記載のJBSでは、トレンチの内部、トレンチの側面の第2酸化膜、および、その側方のP型層を介してN−型エピタキシャル層にキャリアとしての正孔が注入されることはない。
更に、請求項1に記載のJBSでは、トレンチの側面に沿って形成されたP型層とその上側のバリアメタルとの界面は、P型ショットキー接合界面を構成している。つまり、請求項1に記載のJBSでは、順方向バイアス時に、トレンチの側面に沿って形成されたP型層とその上側のバリアメタルとのP型ショットキー接合界面が、逆向きに接続されたP型ショットキーバリアダイオードとして機能する。そのため、請求項1に記載のJBSによれば、バリアメタルおよびトレンチの側面に沿って形成されたP型層を介してN−型エピタキシャル層に注入されるキャリアとしての正孔の注入量を制限することができる。
つまり、請求項1に記載のJBSによれば、トレンチの内部のP+型ポリシリコン層の濃度が1018/cm3オーダー未満にされている場合や、トレンチの底面からライフタイムキラーとしての重金属が導入されていない場合や、トレンチの側面に酸化膜が形成されていない場合や、トレンチの側面に沿って形成されたP型層とバリアメタルとによってP型ショットキー接合界面が構成されていない場合よりも、N−型エピタキシャル層へのキャリアとしての正孔の注入量を制限することができる。
また、請求項1に記載のJBSでは、隣接する2個のトレンチの間に、バリアメタルとN型ショットキー接合界面を構成するN−型エピタキシャル層が配置されている。そのため、請求項1に記載のJBSでは、逆方向バイアス時に、トレンチの真下の空亡層の下端よりも、隣接する2個のトレンチの間のN型ショットキー接合界面の真下の空亡層の下端が高い位置に位置する。その結果、請求項1に記載のJBSによれば、逆方向バイアス時に、隣接する2個のトレンチの間のN型ショットキー接合界面の真下の空亡層の下端とN+型基板との間に残留正孔(ホール)を存在させることができる。
更に、請求項1に記載のJBSでは、上述したように、トレンチの内部に高濃度のP+型ポリシリコン層が形成されており、トレンチの内部で多数キャリアとなる正孔が十分に活性化されていない。更に、トレンチの内部のP+型ポリシリコン層に拡散された重金属が、トレンチの底面の酸化膜の開口を介して、その真下のP型層およびN−型エピタキシャル層に局所的に分布している。
そのため、請求項1に記載のJBSでは、逆方向バイアス時に隣接する2個のトレンチの間のN型ショットキー接合界面の真下の空亡層の下端とN+型基板との間に存在している残留正孔(ホール)が、逆方向バイアスから順方向バイアスへの切換時に、重金属が局所的に分布されているトレンチの底面の酸化膜の開口の真下のN−型エピタキシャル層およびP型層、並びに、アノード電極メタルの電位に近い電位になっているトレンチの内部の高濃度のP+型ポリシリコン層を介して、アノード電極メタルに迅速に戻される。
つまり、請求項1に記載のJBSによれば、トレンチの底面の真下のP型層およびN−型エピタキシャル層に重金属が局所的に分布されていない場合や、トレンチの内部に1018/cm3オーダー以上の高濃度のP+型ポリシリコン層が形成されていない場合よりも、逆回復時間(trr)を短くすることができ、ソフトリカバリーを達成することができる。
ちなみに、請求項1に記載のJBSでは、逆方向バイアス時に隣接する2個のトレンチの間のN型ショットキー接合界面の真下の空亡層の下端とN+型基板との間に存在している残留正孔(ホール)の一部が、逆方向バイアスから順方向バイアスへの切換時に、トレンチの側面に沿って形成された1016/cm3オーダーの低濃度であって単結晶層のP型層、および、そのP型層とバリアメタルとのP型ショットキー接合界面を介して、アノード電極メタルに戻される。
請求項2に記載のMOSFETでは、N−型エピタキシャル層がN+型基板上に形成され、第1酸化膜(フィールド酸化膜)がN−型エピタキシャル層の表面全体に形成される。更に、P型層形成用開口が活性領域の第1酸化膜に形成され、P型層形成用開口を介してP型不純物の導入・拡散を行うことによって活性領域にP型層が形成される。
好ましくは、請求項2に記載のMOSFETでは、その後の熱処理によってP型不純物の拡散深度が増加することを考慮し、この段階におけるP型不純物の拡散深度は、目標の拡散深度よりも浅めに設定される。
更に、請求項2に記載のMOSFETでは、P型不純物の拡散中に第2酸化膜がP型層の表面に形成される。また、複数の第1トレンチ形成用開口が活性領域およびガードリング領域の酸化膜に形成され、複数の第1トレンチ形成用開口を介して活性領域およびガードリング領域に複数の第1トレンチが、例えばリアクティブイオンエッチング法などによって形成される。
好ましくは、請求項2に記載のMOSFETでは、半導体チップの活性領域の周縁部のトレンチの幅寸法が、半導体チップの活性領域の他のトレンチの幅寸法よりも大きくされる。
また、好ましくは、請求項2に記載のMOSFETでは、半導体チップのガードリング領域に1本の環状の第1トレンチが形成される。
更に、好ましくは、請求項2に記載のMOSFETでは、複数の第1トレンチが半導体チップの活性領域およびガードリング領域に形成された後に、各第1トレンチの側面および底面の表面平滑化処理が行われる。表面平滑化処理では、例えば低温での犠牲酸化処理によって各第1トレンチの側面および底面に酸化膜が形成され、次いで、その酸化膜が剥離される。この表面平滑化処理が行われることにより、各第1トレンチの側面および底面が粗い場合よりもリーク電流を低減することができる。
また、請求項2に記載のMOSFETでは、複数の第1トレンチの側面および底面を介してN−型エピタキシャル層にP型不純物の導入・拡散を行うことによって、横方向および縦方向の拡散深さが約0.1〜0.2μmであって濃度が1016/cm3オーダーのP型層が、複数の第1トレンチの側面および底面に沿って形成される。詳細には、例えば斜めイオン注入法、CVDデポジション、低温拡散デポジション等によって、P型不純物の導入が行われる。また、詳細には、P型不純物の導入・拡散によって形成されたP型層の表面濃度が1016/cm3オーダーにされる。
更に、請求項2に記載のMOSFETでは、第3酸化膜が複数の第1トレンチの側面および底面に形成され、開口が複数の第1トレンチの底面の第3酸化膜に形成され、複数の第1トレンチの側面には第3酸化膜が残される。詳細には、例えばリアクティブイオンエッチング法などによって第1トレンチの底面の第3酸化膜のみがエッチング除去される。このエッチング除去は、SiO2/Siのエッチングレートが比較的大きいエッチング条件で行われる。
また、請求項2に記載のMOSFETでは、ポリシリコンを複数の第1トレンチの内部に充填すると共に、複数の第1トレンチの内部に充填されたポリシリコンに対してP型不純物をドープすることによって、濃度が1018/cm3オーダー以上のP+型ポリシリコン層が、複数の第1トレンチの内部に形成される。
好ましくは、請求項2に記載のMOSFETでは、ポリシリコンが各第1トレンチの内部に選択的に充填されるのではなく、半導体チップの表面全体にポリシリコンを堆積させ、次いで、複数の第1トレンチの内部にのみポリシリコンが残るように、余分なポリシリコンをエッチバックすることにより、ポリシリコンが複数の第1トレンチの内部に充填される。
更に、請求項2に記載のMOSFETでは、複数の第1トレンチの内部に形成されたP+型ポリシリコン層および複数の第1トレンチの底面の第3酸化膜の開口を介してその真下のP型層およびN−型エピタキシャル層に例えば白金等のようなライフタイムキラーとしての重金属が蒸着・拡散される。
また、請求項2に記載のMOSFETでは、複数の第1トレンチの内部に形成されたP+型ポリシリコン層の表面に第4酸化膜が形成される。
好ましくは、請求項2に記載のMOSFETでは、第1トレンチの内部のP+型ポリシリコン層の表面に第4酸化膜が形成される時に、第1トレンチの内部のP+型ポリシリコン層の表面のみに第4酸化膜が選択的に形成されるのではなく、半導体チップの表面全体に第4酸化膜が形成される。詳細には、第4酸化膜は、例えば熱酸化、CVD酸化などによって形成される。
更に、請求項2に記載のMOSFETでは、N+型層形成用開口が、半導体チップの周縁部の酸化膜と、半導体チップの活性領域の中央部のうち第1トレンチを除く部分の酸化膜とに形成される。
また、請求項2に記載のMOSFETでは、N+型層形成用開口を介して半導体チップの周縁部と、半導体チップの活性領域の中央部のうち第1トレンチを除く部分とにN+型層が形成される。詳細には、請求項2に記載のMOSFETでは、半導体チップの活性領域の中央部に形成されたN+型層は、MOSFETのセルとして機能する。
また、請求項2に記載のMOSFETでは、このN+型層の表面に第5酸化膜が形成される。詳細には、第5酸化膜は、例えば熱酸化、CVD酸化などによって形成される。
更に、請求項2に記載のMOSFETでは、複数の第2トレンチ形成用開口が活性領域の中央部の酸化膜に形成され、複数の第2トレンチ形成用開口を介して活性領域の中央部に複数の第2トレンチが、例えばリアクティブイオンエッチング法などによって形成される。
好ましくは、請求項2に記載のMOSFETでは、複数の第2トレンチが半導体チップの活性領域の中央部に形成された後に、各第2トレンチの側面および底面の表面平滑化処理が行われる。表面平滑化処理では、例えば低温での犠牲酸化処理によって各第2トレンチの側面および底面に酸化膜が形成され、次いで、その酸化膜が剥離される。この表面平滑化処理が行われることにより、各第2トレンチの側面および底面が粗い場合よりも、リーク電流を低減することができ、良質のゲート酸化膜を得ることができる。詳細には、MOSFETのチャンネル部となる各第2トレンチの側面の表面平滑化処理が行われることにより、表面平滑化処理が行われない場合よりも、チャンネルを通過する多数キャリアである電子のチャンネル移動度(μch)を向上させることができる。
また、請求項2に記載のMOSFETでは、MOSFETのゲート酸化膜となる熱酸化膜が複数の第2トレンチの側面および底面に形成される。
好ましくは、請求項2に記載のMOSFETでは、MOSFETのゲート酸化膜となる熱酸化膜が極めて清浄な雰囲気ガスの下で形成される。
更に、請求項2に記載のMOSFETでは、ポリシリコンを複数の第2トレンチの内部に充填し、かつ、半導体チップの活性領域の周縁部の一部に堆積させると共に、複数の第2トレンチの内部に充填されたポリシリコンおよび半導体チップの活性領域の周縁部の一部に堆積せしめられたポリシリコンに対してN型不純物をドープすることによって、N+型ポリシリコン層が複数の第2トレンチの内部および半導体チップの活性領域の周縁部の一部に形成される。半導体チップの活性領域の周縁部の一部に形成されたN+型ポリシリコン層は、後でゲート配線引き回しのために用いられる。
好ましくは、請求項2に記載のMOSFETでは、ポリシリコンが各第2トレンチの内部に選択的に充填されると共に、半導体チップの活性領域の周縁部の一部に選択的に堆積せしめられるのではなく、半導体チップの表面全体にポリシリコンを堆積させ、次いで、複数の第2トレンチの内部および半導体チップの活性領域の周縁部の一部にポリシリコンが残るように、余分なポリシリコンがエッチバックされる。
また、請求項2に記載のMOSFETでは、第6酸化膜が半導体チップの表面全体に形成される。詳細には、第6酸化膜は、例えば熱酸化、CVD酸化などによって形成される。
更に、請求項2に記載のMOSFETでは、活性領域の中央部のうち第2トレンチを除く部分の酸化膜、活性領域の周縁部のN+型ポリシリコン層上の一部の酸化膜、ガードリング領域のP+型ポリシリコン層上の一部の酸化膜、および、半導体チップの周縁部のN+型層上の一部の酸化膜に、電極メタル形成用開口が形成される。
また、請求項2に記載のMOSFETでは、電極メタルが半導体チップの表面全体に例えばスパッタリング法、蒸着法などによって形成される。
更に、請求項2に記載のMOSFETでは、半導体チップの表面全体の電極メタルが、活性領域の中央部のソース電極メタルと、活性領域の周縁部のゲート配線引き回し電極メタルと、ゲート配線引き回し電極メタルよりも周縁部側に位置するソース電極メタルと、ガードリング電極メタルと、半導体チップの周縁部のEQR電極メタルとに電気的に分離してパターニングされる。
その結果、請求項2に記載のMOSFETでは、ゲート電極として機能する第2トレンチの内部のN+型ポリシリコン層とゲート配線引き回し電極メタルとが、電気的に接続されることになる。
更に、請求項2に記載のMOSFETでは、活性領域の周縁部のN+型ポリシリコン層の上側に位置するソース電極メタルと、活性領域の周縁部のN+型ポリシリコン層の下側に位置する第1トレンチの内部のP+型ポリシリコン層とが、電気的に接続される。
また、請求項2に記載のMOSFETでは、ドレイン電極メタルが半導体チップの裏面に形成される。
好ましくは、請求項2に記載のMOSFETでは、オーミック接触を確実にするためのシンタリング処理が例えば400℃程度の不活性ガス中で適宜行われる。
つまり、請求項2に記載のMOSFETでは、ガードリング領域が活性領域の外側に配置されている。
詳細には、請求項2に記載のMOSFETでは、半導体チップの活性領域の周縁部の第1トレンチと、半導体チップの活性領域の外側のガードリング領域の第1トレンチと、ガードリング領域の外側のN−型エピタキシャル層と、半導体チップの周縁部のN+型層とによって耐圧維持構造が形成されている。
更に、請求項2に記載のMOSFETでは、トレンチ構造が採用されているため、請求項2に記載のMOSFETによれば、トレンチ構造が採用されていない場合よりも半導体チップの横方向寸法を小型化することができる。
また、請求項2に記載のMOSFETでは、半導体チップのガードリング領域のP+型ポリシリコン層上にガードリング電極メタルが形成される。そのため、請求項2に記載のMOSFETによれば、半導体チップのガードリング領域のP+型ポリシリコン層上にガードリング電極メタルが形成されない場合よりも、逆方向バイアス時の空亡層を半導体チップの周縁部側に延ばすことができる。
更に、請求項2に記載のMOSFETでは、複数の第1トレンチの内部のP+型ポリシリコン層の濃度が1018/cm3オーダー以上にされる。そのため、請求項2に記載のMOSFETによれば、半導体チップの活性領域のP+型ポリシリコン層とソース電極メタルとをオーミック接触させることができ、その結果、順方向バイアス時に、ソース電極メタルの電位を、第1トレンチの側面に沿って形成されたP型層よりも速く第1トレンチの内部のP+型ポリシリコン層に伝えることができる。
換言すれば、請求項2に記載のMOSFETでは、複数の第1トレンチの内部に高濃度のP+型ポリシリコン層が形成されている。そのため、請求項2に記載のMOSFETによれば、複数の第1トレンチの内部に高濃度のP+型ポリシリコン層が形成されていない場合よりも、順方向バイアス時に、P+型ポリシリコン層の下側の空亡層をドレイン電極側に延ばすことができ、その結果、隣接する2つの第1トレンチの間の空間を簡単にピンチオフさせることができる。
詳細には、請求項2に記載のMOSFETでは、複数の第1トレンチの内部に高濃度のP+型ポリシリコン層が形成されているため、請求項2に記載のMOSFETでは、P+型ポリシリコン層の下側のN−型エピタキシャル層に延びる空亡層が、迅速にN+型基板側に到達する。その結果、第1トレンチの下側部分では、電界強度が他の部分に比べて最大となる。つまり、請求項2に記載のMOSFETでは、第2トレンチの下側部分の電界強度が相対的に低くなり、第2トレンチの側面のゲート酸化膜にかかる電界強度が低く抑えられる。そのため、請求項2に記載のMOSFETによれば、第2トレンチの側面のゲート酸化膜にかかる電界強度が高くなるように構成されている場合よりも、第2トレンチの側面のゲート酸化膜を安全に保護することができる。
詳細には、請求項2に記載のMOSFETによれば、第1トレンチが設けられず、第2トレンチのみが設けられているMOSFETよりも、第2トレンチの下方の電界強度を低くすることができる。
ポリシリコン層中の重金属の拡散速度がN−型エピタキシャル層中の重金属の拡散速度よりも速く、酸化膜中の重金属の拡散速度がN−型エピタキシャル層中の重金属の拡散速度よりも遅い点に鑑み、請求項2に記載のMOSFETでは、上述したように、複数の第1トレンチの内部に形成されたP+型ポリシリコン層および複数の第1トレンチの底面の酸化膜の開口を介してP型層およびN−型エピタキシャル層に重金属が拡散される。そのため、請求項2に記載のMOSFETによれば、第1トレンチの底面の酸化膜の開口の真下付近のP型層およびN−型エピタキシャル層に重金属を局所的に拡散させることができる。つまり、請求項2に記載のMOSFETによれば、第1トレンチの側面の酸化膜の側方のP型層およびN−型エピタキシャル層のキャリアのライフタイムを長いままに維持することができる。
また、請求項2に記載のMOSFETでは、上述したように、複数の第1トレンチの内部に高濃度のP+型ポリシリコン層が形成されている。つまり、請求項2に記載のMOSFETでは、高濃度のP+型ポリシリコン層が形成されている複数の第1トレンチの内部において、多数キャリアとなる正孔が十分に活性化されておらず、正孔の移動度が十分に高くなっていない。そのため、請求項2に記載のMOSFETによれば、第1トレンチの内部、第1トレンチの底面の酸化膜の開口、および、その真下のP型層を介してN−型エピタキシャル層に注入されるキャリアとしての正孔の注入量を制限することができる。
更に、請求項2に記載のMOSFETでは、上述したように、第1トレンチの底面の酸化膜の開口を介してその真下のP型層にライフタイムキラーとしての重金属が導入されている。つまり、請求項2に記載のMOSFETでは、第1トレンチの底面の酸化膜の開口の真下のP型層において、キャリアとしての正孔のライフタイムが短くなっている。そのため、請求項2に記載のMOSFETによれば、第1トレンチの内部、第1トレンチの底面の酸化膜の開口、および、その真下のP型層を介してN−型エピタキシャル層に注入されるキャリアとしての正孔の注入量を制限することができる。
また、請求項2に記載のMOSFETでは、上述したように、第1トレンチの側面には酸化膜が残されている。つまり、請求項2に記載のMOSFETでは、第1トレンチの内部、第1トレンチの側面の酸化膜、および、その側方のP型層を介してN−型エピタキシャル層にキャリアとしての正孔が注入されることはない。
つまり、請求項2に記載のMOSFETによれば、第1トレンチの内部のP+型ポリシリコン層の濃度が1018/cm3オーダー未満にされている場合や、第1トレンチの底面からライフタイムキラーとしての重金属が導入されていない場合や、第1トレンチの側面に酸化膜が形成されていない場合よりも、N−型エピタキシャル層へのキャリアとしての正孔の注入量を制限することができる。
更に、請求項2に記載のMOSFETでは、上述したように、第1トレンチの内部に高濃度のP+型ポリシリコン層が形成されており、第1トレンチの内部で多数キャリアとなる正孔が十分に活性化されていない。更に、第1トレンチの内部のP+型ポリシリコン層に拡散された重金属が、第1トレンチの底面の酸化膜の開口を介して、その真下のP型層およびN−型エピタキシャル層に局所的に分布している。
そのため、請求項2に記載のMOSFETでは、逆方向バイアス時に隣接する2個の第1トレンチの間の部分の真下の空亡層の下端とN+型基板との間に存在している残留正孔(ホール)が、逆方向バイアスから順方向バイアスへの切換時に、重金属が局所的に分布されている第1トレンチの底面の酸化膜の開口の真下のN−型エピタキシャル層およびP型層、並びに、ソース電極メタルの電位に近い電位になっている第1トレンチの内部の高濃度のP+型ポリシリコン層を介して、ソース電極メタルに迅速に戻される。
つまり、請求項2に記載のMOSFETによれば、第1トレンチの底面の真下のP型層およびN−型エピタキシャル層に重金属が局所的に分布されていない場合や、第1トレンチの内部に1018/cm3オーダー以上の高濃度のP+型ポリシリコン層が形成されていない場合よりも、MOSFETに内蔵された逆並列接続ダイオードの逆回復時間(trr)を短くすることができ、ソフトリカバリーを達成することができる。
更に、請求項2に記載のMOSFETでは、N+型層が、活性領域の中央部のうち活性領域の周縁部に隣接する部分のP型層の上側に形成されている。そのため、請求項2に記載のMOSFETによれば、活性領域の中央部のうち活性領域の周縁部に隣接する部分のP型層の上側のN+型層をMOSFETのセルとして働かせることができる。
好ましくは、請求項2に記載のMOSFETでは、活性領域の中央部と活性領域の周縁部とに2個の第1トレンチが隣接して配置され、それらの間に第1トレンチの深さよりも浅いP型層が形成されるが、それらの2個の第1トレンチおよびそれらの間のP型層の代わりに、活性領域の中央部と活性領域の周縁部とに跨る1個の第1トレンチを形成することも可能である。
請求項2に記載のMOSFETでは、活性領域の中央部と活性領域の周縁部とに2個の第1トレンチが隣接して配置され、各第1トレンチの内部にP+型ポリシリコン層が形成されるため、請求項2に記載のMOSFETによれば、N−型エピタキシャル層へのキャリアとしての正孔の注入量を制限することができ、この部分に発生する寄生ダイオードの影響を低減することができる。
請求項3に記載のMOSFETでは、N−型エピタキシャル層がN+型基板上に形成され、第1酸化膜(フィールド酸化膜)がN−型エピタキシャル層の表面全体に形成される。更に、P型層形成用開口が活性領域の第1酸化膜に形成され、P型層形成用開口を介してP型不純物の導入・拡散を行うことによって活性領域にP型層が形成される。
好ましくは、請求項3に記載のMOSFETでは、その後の熱処理によってP型不純物の拡散深度が増加することを考慮し、この段階におけるP型不純物の拡散深度は、目標の拡散深度よりも浅めに設定される。
更に、請求項3に記載のMOSFETでは、P型不純物の拡散中に第2酸化膜がP型層の表面に形成される。また、複数の第1トレンチ形成用開口が活性領域およびガードリング領域の酸化膜に形成され、複数の第1トレンチ形成用開口を介して活性領域およびガードリング領域に複数の第1トレンチが、例えばリアクティブイオンエッチング法などによって形成される。
好ましくは、請求項3に記載のMOSFETでは、半導体チップの活性領域の周縁部のトレンチの幅寸法が、半導体チップの活性領域の他のトレンチの幅寸法よりも大きくされる。
また、好ましくは、請求項3に記載のMOSFETでは、半導体チップのガードリング領域に1本の環状の第1トレンチが形成される。
更に、好ましくは、請求項3に記載のMOSFETでは、複数の第1トレンチが半導体チップの活性領域およびガードリング領域に形成された後に、各第1トレンチの側面および底面の表面平滑化処理が行われる。表面平滑化処理では、例えば低温での犠牲酸化処理によって各第1トレンチの側面および底面に酸化膜が形成され、次いで、その酸化膜が剥離される。この表面平滑化処理が行われることにより、各第1トレンチの側面および底面が粗い場合よりもリーク電流を低減することができる。
また、請求項3に記載のMOSFETでは、複数の第1トレンチの側面および底面を介してN−型エピタキシャル層にP型不純物の導入・拡散を行うことによって、横方向および縦方向の拡散深さが約0.1〜0.2μmであって濃度が1016/cm3オーダーのP型層が、複数の第1トレンチの側面および底面に沿って形成される。詳細には、例えば斜めイオン注入法、CVDデポジション、低温拡散デポジション等によって、P型不純物の導入が行われる。また、詳細には、P型不純物の導入・拡散によって形成されたP型層の表面濃度が1016/cm3オーダーにされる。
更に、請求項3に記載のMOSFETでは、第3酸化膜が複数の第1トレンチの側面および底面に形成され、開口が複数の第1トレンチの底面の第3酸化膜に形成され、複数の第1トレンチの側面には第3酸化膜が残される。詳細には、例えばリアクティブイオンエッチング法などによって第1トレンチの底面の第3酸化膜のみがエッチング除去される。このエッチング除去は、SiO2/Siのエッチングレートが比較的大きいエッチング条件で行われる。
また、請求項3に記載のMOSFETでは、ポリシリコンを複数の第1トレンチの内部に充填すると共に、複数の第1トレンチの内部に充填されたポリシリコンに対してP型不純物をドープすることによって、濃度が1018/cm3オーダー以上のP+型ポリシリコン層が、複数の第1トレンチの内部に形成される。
好ましくは、請求項3に記載のMOSFETでは、ポリシリコンが各第1トレンチの内部に選択的に充填されるのではなく、半導体チップの表面全体にポリシリコンを堆積させ、次いで、複数の第1トレンチの内部にのみポリシリコンが残るように、余分なポリシリコンをエッチバックすることにより、ポリシリコンが複数の第1トレンチの内部に充填される。
更に、請求項3に記載のMOSFETでは、複数の第1トレンチの内部に形成されたP+型ポリシリコン層および複数の第1トレンチの底面の第3酸化膜の開口を介してその真下のP型層およびN−型エピタキシャル層に例えば白金等のようなライフタイムキラーとしての重金属が蒸着・拡散される。
また、請求項3に記載のMOSFETでは、複数の第1トレンチの内部に形成されたP+型ポリシリコン層の表面に第4酸化膜が形成される。
好ましくは、請求項3に記載のMOSFETでは、第1トレンチの内部のP+型ポリシリコン層の表面に第4酸化膜が形成される時に、第1トレンチの内部のP+型ポリシリコン層の表面のみに第4酸化膜が選択的に形成されるのではなく、半導体チップの表面全体に第4酸化膜が形成される。詳細には、第4酸化膜は、例えば熱酸化、CVD酸化などによって形成される。
更に、請求項3に記載のMOSFETでは、N+型層形成用開口が、半導体チップの周縁部の酸化膜と、半導体チップの活性領域の中央部のうち、活性領域の周縁部に隣接する部分を除く部分であって、第1トレンチを除く部分の酸化膜とに形成される。
また、請求項3に記載のMOSFETでは、N+型層形成用開口を介して、半導体チップの周縁部と、半導体チップの活性領域の中央部のうち、活性領域の周縁部に隣接する部分を除く部分であって、第1トレンチを除く部分とにN+型層が形成される。詳細には、請求項3に記載のMOSFETでは、半導体チップの活性領域の中央部のうち、活性領域の周縁部に隣接する部分に、N+型層が形成されず、その部分にP型層が残される。更に、その部分に残されたP型層が、活性領域の中央部(セル領域)のN+型層の下側に位置するP型(PB)層と共にMOSFETに逆並列接続されたダイオードとして機能する。
更に詳細には、半導体チップの活性領域の中央部のうち活性領域の周縁部に隣接する部分にN+型層が形成される場合には、その部分に寄生npnトランジスタが構成され、活性領域の周縁部およびガードリング領域の下部に注入された正孔および残留正孔が逆方向バイアス時にソース電極メタルに戻る時に、この寄生npnトランジスタを動作させてしまうおそれがある。この点に鑑み、請求項3に記載のMOSFETでは、上述したように、半導体チップの活性領域の中央部のうち、活性領域の周縁部に隣接する部分に、N+型層が形成されず、その部分にP型層が残される。
好ましくは、請求項3に記載のMOSFETでは、半導体チップの活性領域の中央部のうち、活性領域の周縁部に隣接するN+型層が形成されない部分、つまり、MOSFETに逆並列接続されたダイオードとして機能する部分の幅が、セルの半分の幅に設定されるが、代わりに、その部分の幅をセルの1個分の幅に設定したり、その部分の幅をセルの1.5個分の幅に設定したり、その部分の幅をセルの2個分の幅に設定したり、その部分の幅をセルの2.5個分の幅に設定したり、その部分の幅を上述した幅以外の任意の幅に設定したりすることも可能である。
また、請求項3に記載のMOSFETでは、このN+型層の表面に第5酸化膜が形成される。詳細には、第5酸化膜は、例えば熱酸化、CVD酸化などによって形成される。
更に、請求項3に記載のMOSFETでは、複数の第2トレンチ形成用開口が活性領域の中央部の酸化膜に形成され、複数の第2トレンチ形成用開口を介して活性領域の中央部に複数の第2トレンチが、例えばリアクティブイオンエッチング法などによって形成される。
好ましくは、請求項3に記載のMOSFETでは、複数の第2トレンチが半導体チップの活性領域の中央部に形成された後に、各第2トレンチの側面および底面の表面平滑化処理が行われる。表面平滑化処理では、例えば低温での犠牲酸化処理によって各第2トレンチの側面および底面に酸化膜が形成され、次いで、その酸化膜が剥離される。この表面平滑化処理が行われることにより、各第2トレンチの側面および底面が粗い場合よりもリーク電流を低減することができ、良質のゲート酸化膜を得ることができる。詳細には、MOSFETのチャンネル部となる各第2トレンチの側面の表面平滑化処理が行われることにより、表面平滑化処理が行われない場合よりも、チャンネルを通過する多数キャリアである電子のチャンネル移動度(μch)を向上させることができる。
また、請求項3に記載のMOSFETでは、MOSFETのゲート酸化膜となる熱酸化膜が複数の第2トレンチの側面および底面に形成される。
好ましくは、請求項3に記載のMOSFETでは、MOSFETのゲート酸化膜となる熱酸化膜が極めて清浄な雰囲気ガスの下で形成される。
更に、請求項3に記載のMOSFETでは、ポリシリコンを複数の第2トレンチの内部に充填し、かつ、半導体チップの活性領域の周縁部の一部に堆積させると共に、複数の第2トレンチの内部に充填されたポリシリコンおよび半導体チップの活性領域の周縁部の一部に堆積せしめられたポリシリコンに対してN型不純物をドープすることによって、N+型ポリシリコン層が複数の第2トレンチの内部および半導体チップの活性領域の周縁部の一部に形成される。半導体チップの活性領域の周縁部の一部に形成されたN+型ポリシリコン層は、後でゲート配線引き回しのために用いられる。
好ましくは、請求項3に記載のMOSFETでは、ポリシリコンが各第2トレンチの内部に選択的に充填されると共に、半導体チップの活性領域の周縁部の一部に選択的に堆積せしめられるのではなく、半導体チップの表面全体にポリシリコンを堆積させ、次いで、複数の第2トレンチの内部および半導体チップの活性領域の周縁部の一部にポリシリコンが残るように、余分なポリシリコンがエッチバックされる。
また、請求項3に記載のMOSFETでは、第6酸化膜が半導体チップの表面全体に形成される。詳細には、第6酸化膜は、例えば熱酸化、CVD酸化などによって形成される。
更に、請求項3に記載のMOSFETでは、活性領域の中央部のうち第2トレンチを除く部分の酸化膜、活性領域の周縁部のN+型ポリシリコン層上の一部の酸化膜、ガードリング領域のP+型ポリシリコン層上の一部の酸化膜、および、半導体チップの周縁部のN+型層上の一部の酸化膜に、電極メタル形成用開口が形成される。
また、請求項3に記載のMOSFETでは、電極メタルが半導体チップの表面全体に例えばスパッタリング法、蒸着法などによって形成される。
更に、請求項3に記載のMOSFETでは、半導体チップの表面全体の電極メタルが、活性領域の中央部のソース電極メタルと、活性領域の周縁部のゲート配線引き回し電極メタルと、ゲート配線引き回し電極メタルよりも周縁部側に位置するソース電極メタルと、ガードリング電極メタルと、半導体チップの周縁部のEQR電極メタルとに電気的に分離してパターニングされる。
その結果、請求項3に記載のMOSFETでは、ゲート電極として機能する第2トレンチの内部のN+型ポリシリコン層とゲート配線引き回し電極メタルとが、電気的に接続されることになる。
更に、請求項3に記載のMOSFETでは、活性領域の周縁部のN+型ポリシリコン層の上側に位置するソース電極メタルと、活性領域の周縁部のN+型ポリシリコン層の下側に位置する第1トレンチの内部のP+型ポリシリコン層とが、電気的に接続される。
また、請求項3に記載のMOSFETでは、ドレイン電極メタルが半導体チップの裏面に形成される。
好ましくは、請求項3に記載のMOSFETでは、オーミック接触を確実にするためのシンタリング処理が例えば400℃程度の不活性ガス中で適宜行われる。
つまり、請求項3に記載のMOSFETでは、ガードリング領域が活性領域の外側に配置されている。
詳細には、請求項3に記載のMOSFETでは、半導体チップの活性領域の周縁部の第1トレンチと、半導体チップの活性領域の外側のガードリング領域の第1トレンチと、ガードリング領域の外側のN−型エピタキシャル層と、半導体チップの周縁部のN+型層とによって耐圧維持構造が形成されている。
更に、請求項3に記載のMOSFETでは、トレンチ構造が採用されているため、請求項3に記載のMOSFETによれば、トレンチ構造が採用されていない場合よりも半導体チップの横方向寸法を小型化することができる。
また、請求項3に記載のMOSFETでは、半導体チップのガードリング領域のP+型ポリシリコン層上にガードリング電極メタルが形成される。そのため、請求項3に記載のMOSFETによれば、半導体チップのガードリング領域のP+型ポリシリコン層上にガードリング電極メタルが形成されない場合よりも、逆方向バイアス時の空亡層を半導体チップの周縁部側に延ばすことができる。
更に、請求項3に記載のMOSFETでは、複数の第1トレンチの内部のP+型ポリシリコン層の濃度が1018/cm3オーダー以上にされる。そのため、請求項3に記載のMOSFETによれば、半導体チップの活性領域のP+型ポリシリコン層とソース電極メタルとをオーミック接触させることができ、その結果、順方向バイアス時に、ソース電極メタルの電位を、第1トレンチの側面に沿って形成されたP型層よりも速く第1トレンチの内部のP+型ポリシリコン層に伝えることができる。
換言すれば、請求項3に記載のMOSFETでは、複数の第1トレンチの内部に高濃度のP+型ポリシリコン層が形成されている。そのため、請求項3に記載のMOSFETによれば、複数の第1トレンチの内部に高濃度のP+型ポリシリコン層が形成されていない場合よりも、順方向バイアス時に、P+型ポリシリコン層の下側の空亡層をドレイン電極側に延ばすことができ、その結果、隣接する2つの第1トレンチの間の空間を簡単にピンチオフさせることができる。
詳細には、請求項3に記載のMOSFETでは、複数の第1トレンチの内部に高濃度のP+型ポリシリコン層が形成されているため、請求項3に記載のMOSFETでは、P+型ポリシリコン層の下側のN−型エピタキシャル層に延びる空亡層が、迅速にN+型基板側に到達する。その結果、第1トレンチの下側部分では、電界強度が他の部分に比べて最大となる。つまり、請求項3に記載のMOSFETでは、第2トレンチの下側部分の電界強度が相対的に低くなり、第2トレンチの側面のゲート酸化膜にかかる電界強度が低く抑えられる。そのため、請求項3に記載のMOSFETによれば、第2トレンチの側面のゲート酸化膜にかかる電界強度が高くなるように構成されている場合よりも、第2トレンチの側面のゲート酸化膜を安全に保護することができる。
詳細には、請求項3に記載のMOSFETによれば、第1トレンチが設けられず、第2トレンチのみが設けられているMOSFETよりも、第2トレンチの下方の電界強度を低くすることができる。
ポリシリコン層中の重金属の拡散速度がN−型エピタキシャル層中の重金属の拡散速度よりも速く、酸化膜中の重金属の拡散速度がN−型エピタキシャル層中の重金属の拡散速度よりも遅い点に鑑み、請求項3に記載のMOSFETでは、上述したように、複数の第1トレンチの内部に形成されたP+型ポリシリコン層および複数の第1トレンチの底面の酸化膜の開口を介してP型層およびN−型エピタキシャル層に重金属が拡散される。そのため、請求項3に記載のMOSFETによれば、第1トレンチの底面の酸化膜の開口の真下付近のP型層およびN−型エピタキシャル層に重金属を局所的に拡散させることができる。つまり、請求項3に記載のMOSFETによれば、第1トレンチの側面の酸化膜の側方のP型層およびN−型エピタキシャル層のキャリアのライフタイムを長いままに維持することができる。
また、請求項3に記載のMOSFETでは、上述したように、複数の第1トレンチの内部に高濃度のP+型ポリシリコン層が形成されている。つまり、請求項3に記載のMOSFETでは、高濃度のP+型ポリシリコン層が形成されている複数の第1トレンチの内部において、多数キャリアとなる正孔が十分に活性化されておらず、正孔の移動度が十分に高くなっていない。そのため、請求項3に記載のMOSFETによれば、第1トレンチの内部、第1トレンチの底面の酸化膜の開口、および、その真下のP型層を介してN−型エピタキシャル層に注入されるキャリアとしての正孔の注入量を制限することができる。
更に、請求項3に記載のMOSFETでは、上述したように、第1トレンチの底面の酸化膜の開口を介してその真下のP型層にライフタイムキラーとしての重金属が導入されている。つまり、請求項3に記載のMOSFETでは、第1トレンチの底面の酸化膜の開口の真下のP型層において、キャリアとしての正孔のライフタイムが短くなっている。そのため、請求項3に記載のMOSFETによれば、第1トレンチの内部、第1トレンチの底面の酸化膜の開口、および、その真下のP型層を介してN−型エピタキシャル層に注入されるキャリアとしての正孔の注入量を制限することができる。
また、請求項3に記載のMOSFETでは、上述したように、第1トレンチの側面には酸化膜が残されている。つまり、請求項3に記載のMOSFETでは、第1トレンチの内部、第1トレンチの側面の酸化膜、および、その側方のP型層を介してN−型エピタキシャル層にキャリアとしての正孔が注入されることはない。
つまり、請求項3に記載のMOSFETによれば、第1トレンチの内部のP+型ポリシリコン層の濃度が1018/cm3オーダー未満にされている場合や、第1トレンチの底面からライフタイムキラーとしての重金属が導入されていない場合や、第1トレンチの側面に酸化膜が形成されていない場合よりも、N−型エピタキシャル層へのキャリアとしての正孔の注入量を制限することができる。
更に、請求項3に記載のMOSFETでは、上述したように、第1トレンチの内部に高濃度のP+型ポリシリコン層が形成されており、第1トレンチの内部で多数キャリアとなる正孔が十分に活性化されていない。更に、第1トレンチの内部のP+型ポリシリコン層に拡散された重金属が、第1トレンチの底面の酸化膜の開口を介して、その真下のP型層およびN−型エピタキシャル層に局所的に分布している。
そのため、請求項3に記載のMOSFETでは、逆方向バイアス時に隣接する2個の第1トレンチの間の部分の真下の空亡層の下端とN+型基板との間に存在している残留正孔(ホール)が、逆方向バイアスから順方向バイアスへの切換時に、重金属が局所的に分布されている第1トレンチの底面の酸化膜の開口の真下のN−型エピタキシャル層およびP型層、並びに、ソース電極メタルの電位に近い電位になっている第1トレンチの内部の高濃度のP+型ポリシリコン層を介して、ソース電極メタルに迅速に戻される。
つまり、請求項3に記載のMOSFETによれば、第1トレンチの底面の真下のP型層およびN−型エピタキシャル層に重金属が局所的に分布されていない場合や、第1トレンチの内部に1018/cm3オーダー以上の高濃度のP+型ポリシリコン層が形成されていない場合よりも、MOSFETに内蔵された逆並列接続ダイオードの逆回復時間(trr)を短くすることができ、ソフトリカバリーを達成することができる。
また、請求項3に記載のMOSFETでは、N+型層形成用開口を介して、半導体チップの活性領域の中央部のうち、活性領域の周縁部に隣接する部分を除く部分であって、第1トレンチを除く部分の酸化膜にN+型層が形成されている。つまり、請求項3に記載のMOSFETでは、半導体チップの活性領域の中央部のうち、活性領域の周縁部に隣接する部分に、N+型層が形成されず、P型層が残されている。そのため、請求項3に記載のMOSFETによれば、そのP型層が残されている部分を、MOSFETに逆並列接続されたダイオードとして働かせることができる。
好ましくは、請求項3に記載のMOSFETでは、活性領域の中央部と活性領域の周縁部とに2個の第1トレンチが隣接して配置され、それらの間に第1トレンチの深さよりも浅いP型層が形成されるが、それらの2個の第1トレンチおよびそれらの間のP型層の代わりに、活性領域の中央部と活性領域の周縁部とに跨る1個の第1トレンチを形成することも可能である。
請求項3に記載のMOSFETでは、活性領域の中央部と活性領域の周縁部とに2個の第1トレンチが隣接して配置され、各第1トレンチの内部にP+型ポリシリコン層が形成されるため、請求項3に記載のMOSFETによれば、N−型エピタキシャル層へのキャリアとしての正孔の注入量を制限することができ、この部分に発生する寄生ダイオードの影響を低減することができる。
以下、本発明の第1の実施形態について説明する。図1〜図3は第1の実施形態のJBSの製造工程を示した断面図、図4は第1の実施形態のJBSを示した図である。詳細には、図4(A)は第1の実施形態のJBSの一部を示した平面図、図4(B)は第1の実施形態のJBSの一部を示した断面図である。図5は第1の実施形態のJBSの右半分の一部を透視して見た平面図である。
第1の実施形態のJBSの製造時には、まず最初に、図1(A)に示すように、N−型エピタキシャル層2がN+型基板1上に形成される。次いで、酸化膜(フィールド酸化膜)3がN−型エピタキシャル層2の表面全体に形成される。次いで、図1(B)に示すように、トレンチ形成用開口3a,3b,3cが活性領域の中央部(セル領域)A1の酸化膜3に形成され、トレンチ形成用開口3dが活性領域の周縁部A2の酸化膜3に形成され、トレンチ形成用開口3e,3fがガードリング領域A3の酸化膜3に形成される。
第1の実施形態のJBSの製造時には、次いで、図1(C)に示すように、トレンチ形成用開口3a,3b,3c(図1(B)参照)を介して活性領域の中央部(セル領域)A1にトレンチ4a,4b,4cが、例えばリアクティブイオンエッチング法などによって形成される。また、トレンチ形成用開口3d(図1(B)参照)を介して活性領域の周縁部A2にトレンチ4dが、例えばリアクティブイオンエッチング法などによって形成される。更に、トレンチ形成用開口3e,3f(図1(B)参照)を介してガードリング領域A3にトレンチ4e,4fが、例えばリアクティブイオンエッチング法などによって形成される。
第1の実施形態のJBSでは、図1(C)に示すように、半導体チップの活性領域の外周部A2のトレンチ4dの幅寸法(図1(C)の左右方向寸法)が、半導体チップの活性領域の中央部(セル領域)A1のトレンチ4a,4b,4cの幅寸法(図1(C)の左右方向寸法)よりも大きくされている。また、第1の実施形態のJBSでは、図1(C)および図5に示すように、半導体チップのガードリング領域A3に2本の環状のトレンチ4e,4fが形成されている。
第1の実施形態のJBSの製造時には、次いで、図1(C)に示すように、各トレンチ4a,4b,4c,4d,4e,4fの側面4a1,4b1,4c1,4d1,4e1,4f1および底面4a2,4b2,4c2,4d2,4e2,4f2の表面平滑化処理が行われる。表面平滑化処理では、例えば低温での犠牲酸化処理によって各トレンチ4a,4b,4c,4d,4e,4fの側面4a1,4b1,4c1,4d1,4e1,4f1および底面4a2,4b2,4c2,4d2,4e2,4f2に酸化膜(図示せず)が形成され、次いで、その酸化膜(図示せず)が剥離される。この表面平滑化処理が行われることにより、各トレンチ4a,4b,4c,4d,4e,4fの側面4a1,4b1,4c1,4d1,4e1,4f1および底面4a2,4b2,4c2,4d2,4e2,4f2が粗い場合よりもリーク電流を低減することができる。
第1の実施形態のJBSの製造時には、次いで、図2(A)に示すように、各トレンチ4a,4b,4c,4d,4e,4fの側面4a1,4b1,4c1,4d1,4e1,4f1および底面4a2,4b2,4c2,4d2,4e2,4f2(図1(C)参照)を介してN−型エピタキシャル層2にP型不純物の導入・拡散を行うことによって、横方向(図2(A)の左右方向)および縦方向(図2(A)の上下方向)の拡散深さが約0.1〜0.2μmであって濃度が1016/cm3オーダーのP型層5a,5b,5c,5d,5e,5fが、各トレンチ4a,4b,4c,4d,4e,4fの側面4a1,4b1,4c1,4d1,4e1,4f1および底面4a2,4b2,4c2,4d2,4e2,4f2(図1(C)参照)に沿って形成される。
詳細には、第1の実施形態のJBSの製造時には、例えば斜めイオン注入法、CVDデポジション、低温拡散デポジション等によって、P型不純物の導入が行われる。また、詳細には、P型不純物の導入・拡散によって形成されたP型層5a,5b,5c,5d,5e,5fの表面濃度が1016/cm3オーダーにされる。
第1の実施形態のJBSの製造時には、次いで、図2(B)に示すように、酸化膜6が各トレンチ4a,4b,4c,4d,4e,4fの側面4a1,4b1,4c1,4d1,4e1,4f1および底面4a2,4b2,4c2,4d2,4e2,4f2(図1(C)参照)に形成される。次いで、図2(C)に示すように、開口6a,6b,6c,6d,6e,6fが各トレンチ4a,4b,4c,4d,4e,4fの底面4a2,4b2,4c2,4d2,4e2,4f2(図1(C)参照)の酸化膜6(図2(B)参照)に形成され、各トレンチ4a,4b,4c,4d,4e,4fの側面4a1,4b1,4c1,4d1,4e1,4f1(図1(C)参照)には酸化膜6(図2(B)参照)が残される。詳細には、例えばリアクティブイオンエッチング法などによって各トレンチ4a,4b,4c,4d,4e,4fの底面4a2,4b2,4c2,4d2,4e2,4f2(図1(C)参照)の酸化膜6(図2(B)参照)のみがエッチング除去される。このエッチング除去は、SiO2/Siのエッチングレートが比較的大きいエッチング条件で行われる。
第1の実施形態のJBSの製造時には、次いで、図3(A)に示すように、ポリシリコンを各トレンチ4a,4b,4c,4d,4e,4f(図1(C)参照)の内部に充填すると共に、各トレンチ4a,4b,4c,4d,4e,4fの内部に充填されたポリシリコンに対してP型不純物をドープすることによって、濃度が1018/cm3オーダー以上のP+型ポリシリコン層7a,7b,7c,7d,7e,7fが、各トレンチ4a,4b,4c,4d,4e,4fの内部に形成される。
詳細には、第1の実施形態のJBSの製造時には、ポリシリコンが各トレンチ4a,4b,4c,4d,4e,4f(図1(C)参照)の内部に選択的に充填されるのではなく、図3(A)に示すように、半導体チップの表面全体にポリシリコンを堆積させ、次いで、図3(B)に示すように、各トレンチ4a,4b,4c,4d,4e,4f(図1(C)参照)の内部にのみポリシリコンが残るように、余分なポリシリコンをエッチバックすることにより、ポリシリコンが各トレンチ4a,4b,4c,4d,4e,4fの内部に充填される。
第1の実施形態のJBSの製造時には、次いで、各トレンチ4a,4b,4c,4d,4e,4f(図1(C)参照)の内部に形成されたP+型ポリシリコン層7a,7b,7c,7d,7e,7f(図3(B)参照)および各トレンチ4a,4b,4c,4d,4e,4fの底面4a2,4b2,4c2,4d2,4e2,4f2(図1(C)参照)の酸化膜6(図2(B)参照)の開口6a,6b,6c,6d,6e,6f(図2(C)参照)を介して、P型層5a,5b,5c,5d,5e,5fおよびN−型エピタキシャル層2(図3(B)参照)に例えば白金等のようなライフタイムキラーとしての重金属が蒸着・拡散される。
図6は酸化膜6の開口6b(図2(C)参照)を介してP型層5bおよびN−型エピタキシャル層2に拡散せしめられた例えば白金等のような重金属の拡散領域Bb、酸化膜6の開口6c(図2(C)参照)を介してP型層5cおよびN−型エピタキシャル層2に拡散せしめられた例えば白金等のような重金属の拡散領域Bc等を示した図である。詳細には図示しないが、第1の実施形態のJBSでは、図6に示した重金属の拡散領域Bbと同様の重金属の拡散領域が、酸化膜6の開口6aを介してP型層5aおよびN−型エピタキシャル層2に形成され、酸化膜6の開口6dを介してP型層5dおよびN−型エピタキシャル層2に形成され、酸化膜6の開口6eを介してP型層5eおよびN−型エピタキシャル層2に形成され、酸化膜6の開口6fを介してP型層5fおよびN−型エピタキシャル層2に形成される。
第1の実施形態のJBSの製造時には、次いで、図3(B)に示すように、各トレンチ4a,4b,4c,4d,4e,4f(図1(C)参照)の内部に形成されたP+型ポリシリコン層7a,7b,7c,7d,7e,7fの表面に酸化膜8a,8b,8c,8d,8e,8fが形成される。
詳細には、第1の実施形態のJBSでは、各トレンチ4a,4b,4c,4d,4e,4f(図1(C)参照)の内部のP+型ポリシリコン層7a,7b,7c,7d,7e,7fの表面に酸化膜8a,8b,8c,8d,8e,8f(図3(B)参照)が形成される時に、各トレンチ4a,4b,4c,4d,4e,4f(図1(C)参照)の内部のP+型ポリシリコン層7a,7b,7c,7d,7e,7fの表面のみに酸化膜8a,8b,8c,8d,8e,8f(図3(B)参照)が選択的に形成されるのではなく、半導体チップの表面全体に酸化膜(8a,8b,8c,8d,8e,8f)が形成される。詳細には、酸化膜8a,8b,8c,8d,8e,8fは、例えば熱酸化、CVD酸化などによって形成される。
第1の実施形態のJBSの製造時には、次いで、図3(B)に示すように、N+型層形成用開口3gが半導体チップの周縁部A4の酸化膜3に形成され、N+型層形成用開口3gを介して半導体チップの周縁部A4にN+型層9が形成される。
第1の実施形態のJBSの製造時には、次いで、図3(C)に示すように、バリアメタル形成用開口3hが活性領域の中央部(セル領域)A1および活性領域の周縁部A2の酸化膜3に形成され、フィールドプレート用開口3i,3jがガードリング領域A3のP+型ポリシリコン層7e,7f上の酸化膜3に形成される。
第1の実施形態のJBSの製造時には、次いで、図3(C)に示すように、バリアメタル形成用開口3hを介して活性領域の中央部(セル領域)A1および活性領域の周縁部A2にバリアメタル10が、例えばスパッタリング法、蒸着法などによって形成される(例えばパターニングされる)。
また、第1の実施形態のJBSの製造時には、図3(C)に示すように、アノード電極メタル11が例えばスパッタリング法、蒸着法などによってバリアメタル10上に形成され(例えばパターニングされ)、フィールドプレート用開口3i,3jを介して半導体チップのガードリング領域A3のP+型ポリシリコン7e,7f層上にフィールドプレート12a,12b,12cが例えばスパッタリング法、蒸着法などによって形成され(例えばパターニングされ)、EQR電極メタル13が例えばスパッタリング法、蒸着法などによって半導体チップの周縁部A4にN+型層9上に形成される(例えばパターニングされる)。
第1の実施形態のJBSの製造時には、次いで、図3(D)に示すように、最終保護膜14が半導体チップの表面全体に形成され、アノード電極メタル11と接続するためのコンタクト開口14aが最終保護膜14に形成され、カソード電極メタル15が半導体チップの裏面に形成される。また、第1の実施形態のJBSの製造時には、オーミック接触を確実にするためのシンタリング処理が例えば400℃程度の不活性ガス中で適宜行われる。
つまり、第1の実施形態のJBSでは、図4(B)に示すように、半導体チップの活性領域の中央部(セル領域)A1および活性領域の周縁部A2において、バリアメタル10とN−型エピタキシャル層2とによるショットキー接合界面C1と、P型層5a,5b,5c,5dとN−型エピタキシャル層2とによるPN接合界面C2とが、並存している。更に、ガードリング領域A3が活性領域の周縁部A2の外側に配置されている。
詳細には、第1の実施形態のJBSでは、図4(B)に示すように、半導体チップの活性領域の周縁部A2のトレンチ4dと、半導体チップの活性領域の外側のガードリング領域A3のトレンチ4e,4fと、ガードリング領域A3の外側のN−型エピタキシャル層2と、半導体チップの周縁部A4のN+型層9とによって耐圧維持構造が形成されている。
更に、第1の実施形態のJBSでは、トレンチ構造が採用されているため、第1の実施形態のJBSによれば、トレンチ構造が採用されていない場合よりも半導体チップの横方向(図4(B)の左右方向)寸法を小型化することができる。
図7は第1の実施形態のJBSに逆方向バイアスが印加された時における空亡層D1等を示した図である。
また、第1の実施形態のJBSでは、図4(B)に示すように、半導体チップのガードリング領域A3のP+型ポリシリコン層7e,7f上にフィールドプレート12a,12b,12cが形成されている。そのため、第1の実施形態のJBSでは、図4(B)および図7に示すように、半導体チップのガードリング領域A3のP+型ポリシリコン層7e,7f上にフィールドプレート12a,12b,12cが形成されていない場合における逆方向バイアス時の空亡層D1’よりも、逆方向バイアス時の空亡層D1を半導体チップの周縁部側(図7の右側)に延ばすことができる。
更に、第1の実施形態のJBSでは、図4(B)に示すように、各トレンチ4a,4b,4c,4d,4e,4fの内部のP+型ポリシリコン層7a,7b,7c,7d,7e,7fの濃度が1018/cm3オーダー以上にされている。そのため、第1の実施形態のJBSによれば、半導体チップの活性領域の中央部(セル領域)A1のP+型ポリシリコン層7a,7b,7cとバリアメタル10とをオーミック接触させることができ、その結果、順方向バイアス時に、アノード電極メタル11の電位を、各トレンチ4a,4b,4cの側面に沿って形成されたP型層5a,5b,5cよりも速く各トレンチ4a,4b,4cの内部のP+型ポリシリコン層7a,7b,7cに伝えることができる。
換言すれば、第1の実施形態のJBSでは、図4(B)に示すように、各トレンチ4a,4b,4c,4d,4e,4fの内部に高濃度のP+型ポリシリコン層7a,7b,7c,7d,7e,7fが形成されている。そのため、第1の実施形態のJBSによれば、各トレンチ4a,4b,4c,4d,4e,4fの内部に高濃度のP+型ポリシリコン層7a,7b,7c,7d,7e,7fが形成されていない場合よりも、図6に示すように、順方向バイアス時に、P+型ポリシリコン層7a,7b,7c,7d,7e,7fの下側(図6の下側)の空亡層(順方向バイアス時空亡層)D2をカソード電極15の側(図6の下側)に延ばすことができ、その結果、隣接する2つのトレンチ4b,4cの間のN−型エピタキシャル層空間2’を簡単にピンチオフさせることができる。
詳細には、第1の実施形態のJBSでは、図6に示すように、順方向バイアス時に、隣接する2つのトレンチ4b,4cの間のピンチオフされたN−型エピタキシャル層空間2’において、水平方向逆向きの電界およびバリアメタル10とN−型エピタキシャル層2とのN型ショットキー接合界面C1から下向きに押し出される電界が相殺し合い、Resurf効果のようなものが起こり、バリアメタル10とN−型エピタキシャル層2とのN型ショットキー接合界面C1の電界が大幅に下がる。そのため、第1の実施形態のJBSによれば、順方向バイアス時にバリアメタル10とN−型エピタキシャル層2とのN型ショットキー接合界面C1の電界が高くなるのに伴って、リーク電流が増大したり、キヤリア移動度が低下したりしてしまうのを抑制することができ、安全にJBSを運転することができる。
P+ポリシリコン層7b,7c中の重金属の拡散速度がN−型エピタキシャル層2中の重金属の拡散速度よりも速く、酸化膜6中の重金属の拡散速度がN−型エピタキシャル層2中の重金属の拡散速度よりも遅い点に鑑み、第1の実施形態のJBSでは、図6に示すように、トレンチ4b,4cの内部に形成されたP+型ポリシリコン層7b,7cおよびトレンチ4b,4cの底面4b2,4c2(図1(C)参照)の酸化膜6の開口6b,6c(図2(C)参照)を介してP型層5b,5cおよびN−型エピタキシャル層2に重金属が拡散される。そのため、第1の実施形態のJBSによれば、トレンチ4b,4cの底面4b2,4c2の酸化膜6の開口6b,6cの真下付近のP型層5b,5cおよびN−型エピタキシャル層2に重金属(Bb,Bc)を局所的に拡散させることができる。つまり、第1の実施形態のJBSによれば、トレンチ4b,4cの側面4b1,4c1(図1(C)参照)の酸化膜6の側方のP型層5b,5cおよびN−型エピタキシャル層2のキャリアのライフタイムを長いままに維持することができる。
また、第1の実施形態のJBSでは、図4(B)に示すように、各トレンチ4a,4b,4c,4d,4e,4fの内部に高濃度のP+型ポリシリコン層7a,7b,7c,7d,7e,7fが形成されている。つまり、第1の実施形態のJBSでは、高濃度のP+型ポリシリコン層7a,7b,7c,7d,7e,7fが形成されている各トレンチ4a,4b,4c,4d,4e,4fの内部において、多数キャリアとなる正孔が十分に活性化されておらず、正孔の移動度が十分に高くなっていない。そのため、第1の実施形態のJBSによれば、トレンチ4a,4b,4c,4d,4e,4fの内部、トレンチの底面4a2,4b2,4c2,4d2,4e2,4f2(図1(C)参照)の酸化膜6の開口6a,6b,6c,6d,6e,6f(図2(C)参照)、および、その真下のP型層5a,5b,5c,5d,5e,5fを介してN−型エピタキシャル層2に注入されるキャリアとしての正孔の注入量を制限することができる。
更に、第1の実施形態のJBSでは、図4(B)に示すように、トレンチ4a,4b,4c,4d,4e,4fの底面4a2,4b2,4c2,4d2,4e2,4f2(図1(C)参照)の酸化膜6の開口6a,6b,6c,6d,6e,6f(図2(C)参照)を介してその真下のP型層5a,5b,5c,5d,5e,5fにライフタイムキラーとしての重金属が導入されている。つまり、第1の実施形態のJBSでは、トレンチ4a,4b,4c,4d,4e,4fの底面4a2,4b2,4c2,4d2,4e2,4f2の酸化膜6の開口6a,6b,6c,6d,6e,6fの真下のP型層5a,5b,5c,5d,5e,5fにおいて、キャリアとしての正孔のライフタイムが短くなっている。そのため、第1の実施形態のJBSによれば、トレンチ4a,4b,4c,4d,4e,4fの内部、トレンチ4a,4b,4c,4d,4e,4fの底面4a2,4b2,4c2,4d2,4e2,4f2の酸化膜6の開口6a,6b,6c,6d,6e,6f、および、その真下のP型層5a,5b,5c,5d,5e,5fを介してN−型エピタキシャル層2に注入されるキャリアとしての正孔の注入量を制限することができる。
また、第1の実施形態のJBSでは、図4(B)に示すように、トレンチ4a,4b,4c,4d,4e,4fの側面4a1,4b1,4c1,4d1,4e1,4f1(図1(C)参照)には酸化膜6が残されている。つまり、第1の実施形態のJBSでは、トレンチ4a,4b,4c,4d,4e,4fの内部、トレンチ4a,4b,4c,4d,4e,4fの側面4a1,4b1,4c1,4d1,4e1,4f1の酸化膜6、および、その側方のP型層5a,5b,5c,5d,5e,5fを介してN−型エピタキシャル層2にキャリアとしての正孔が注入されることはない。
更に、第1の実施形態のJBSでは、図6に示すように、トレンチ4a,4b,4cの側面4a1,4b1,4c1(図1(C)参照)に沿って形成されたP型層5a,5b,5cとその上側のバリアメタル10との界面は、P型ショットキー接合界面C3を構成している。つまり、第1の実施形態のJBSでは、順方向バイアス時に、トレンチ4a,4b,4cの側面4a1,4b1,4c1に沿って形成されたP型層5a,5b,5cとその上側のバリアメタル10とのP型ショットキー接合界面C3が、逆向きに接続されたP型ショットキーバリアダイオードとして機能する。そのため、第1の実施形態のJBSによれば、バリアメタル10およびトレンチ4a,4b,4cの側面4a1,4b1,4c1に沿って形成されたP型層5a,5b,5cを介してN−型エピタキシャル層2に注入されるキャリアとしての正孔の注入量を制限することができる。
つまり、第1の実施形態のJBSによれば、トレンチ4a,4b,4c,4d,4e,4fの内部のP+型ポリシリコン層7a,7b,7c,7d,7e,7fの濃度が1018/cm3オーダー未満にされている場合や、トレンチ4a,4b,4c,4d,4e,4fの底面4a2,4b2,4c2,4d2,4e2,4f2からライフタイムキラーとしての重金属が導入されていない場合や、トレンチ4a,4b,4c,4d,4e,4fの側面4a1,4b1,4c1,4d1,4e1,4f1に酸化膜6が形成されていない場合や、トレンチ4a,4b,4cの側面4a1,4b1,4c1に沿って形成されたP型層5a,5b,5cとバリアメタル10とによってP型ショットキー接合界面C3が構成されていない場合よりも、N−型エピタキシャル層2へのキャリアとしての正孔の注入量を制限することができる。
また、第1の実施形態のJBSでは、図4(B)に示すように、隣接する2個のトレンチ4a,4bの間に、バリアメタル10とN型ショットキー接合界面C1を構成するN−型エピタキシャル層2が配置され、隣接する2個のトレンチ4b,4cの間に、バリアメタル10とN型ショットキー接合界面C1を構成するN−型エピタキシャル層2が配置され、隣接する2個のトレンチ4c,4dの間に、バリアメタル10とN型ショットキー接合界面C1を構成するN−型エピタキシャル層2が配置されている。そのため、第1の実施形態のJBSでは、図4(B)および図7に示すように、逆方向バイアス時に、トレンチ4a,4b,4c,4dの真下の空亡層D1の下端よりも、隣接する2個のトレンチ4a,4b,4c,4dの間のN型ショットキー接合界面C1の真下の空亡層D1の下端が高い位置(図7の上側の位置)に位置する。その結果、第1の実施形態のJBSによれば、逆方向バイアス時に、隣接する2個のトレンチ4a,4b,4c,4dの間のN型ショットキー接合界面C1の真下の空亡層D1の下端とN+型基板1との間に残留正孔(ホール)(図6参照)を存在させることができる。
更に、第1の実施形態のJBSでは、図4(B)に示すように、トレンチ4a,4b,4c,4d,4e,4fの内部に高濃度のP+型ポリシリコン層7a,7b,7c,7d,7e,7fが形成されており、トレンチ4a,4b,4c,4d,4e,4fの内部で多数キャリアとなる正孔が十分に活性化されていない。更に、図6に示すように、トレンチ4a,4b,4c,4d,4e,4fの内部のP+型ポリシリコン層7a,7b,7c,7d,7e,7fに拡散された重金属(Bb,Bc)が、トレンチ4a,4b,4c,4d,4e,4fの底面4a2,4b2,4c2,4d2,4e2,4f2(図1(C)参照)の酸化膜6の開口6a,6b,6c,6d,6e,6f(図2(C)参照)を介して、その真下のP型層5a,5b,5c,5d,5e,5fおよびN−型エピタキシャル層2に局所的に分布している。
そのため、第1の実施形態のJBSでは、図6に示すように、逆方向バイアス時に隣接する2個のトレンチ4b,4cの間のN型ショットキー接合界面C1の真下の空亡層D1の下端とN+型基板1との間に存在している残留正孔(ホール)が、逆方向バイアスから順方向バイアスへの切換時に、重金属(Bb,Bc)が局所的に分布されているトレンチ4b,4cの底面4b2,4c2(図1(C)参照)の酸化膜6の開口6b,6c(図2(C)参照)の真下のN−型エピタキシャル層2およびP型層5b,5c、並びに、アノード電極メタル11の電位に近い電位になっているトレンチ4b,4cの内部の高濃度のP+型ポリシリコン層7b,7cを介して、アノード電極メタル11に迅速に戻される(図6中の経路L1)。
つまり、第1の実施形態のJBSによれば、トレンチ4a,4b,4c,4d,4e,4fの底面4a2,4b2,4c2,4d2,4e2,4f2の真下のP型層5a,5b,5c,5d,5e,5fおよびN−型エピタキシャル層2に重金属(Bb,Bc)が局所的に分布されていない場合や、トレンチ4a,4b,4c,4d,4e,4fの内部に1018/cm3オーダー以上の高濃度のP+型ポリシリコン層7a,7b,7c,7d,7e,7fが形成されていない場合よりも、逆回復時間(trr)を短くすることができ、ソフトリカバリーを達成することができる。
ちなみに、第1の実施形態のJBSでは、図6に示すように、逆方向バイアス時に隣接する2個のトレンチ4b,4cの間のN型ショットキー接合界面C1の真下の空亡層D1の下端とN+型基板1との間に存在している残留正孔(ホール)の一部が、逆方向バイアスから順方向バイアスへの切換時に、トレンチ4b,4cの側面4b1,4c1(図1(C)参照)に沿って形成された1016/cm3オーダーの低濃度であって単結晶層のP型層5b,5c、および、そのP型層5b,5cとバリアメタル10とのP型ショットキー接合界面C3を介して、アノード電極メタル11に戻される(図6中の経路L2)。
また、第1の実施形態のJBSでは、図6に示すように、逆方向バイアスから順方向バイアスへの切換時に、残留電子が経路L3を通ってカソード電極メタル15に戻される。
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。図8〜図11は第2の実施形態のMOSFETの製造工程を示した断面図、図12は第2の実施形態のMOSFETを示した図である。詳細には、図12(A)は第2の実施形態のMOSFETの一部を示した平面図、図12(B)は第2の実施形態のMOSFETの一部を示した断面図である。図13は第2の実施形態のMOSFETの右半分の一部を透視して見た平面図である。図14は第2の実施形態のMOSFETの最表面の右半分を示した平面図である。
第2の実施形態のMOSFETの製造時には、まず最初に、図8(A)に示すように、N−型エピタキシャル層2がN+型基板1上に形成される。次いで、酸化膜(フィールド酸化膜)3がN−型エピタキシャル層2の表面全体に形成される。次いで、P型層形成用開口3aが活性領域の中央部(セル領域)A1および活性領域の周縁部A2の酸化膜3に形成される。次いで、P型層形成用開口3aを介してP型不純物の導入・拡散を行うことによって活性領域の中央部(セル領域)A1および活性領域の周縁部A2にP型層21が形成される。
第2の実施形態のMOSFETでは、その後の熱処理によってP型不純物の拡散深度が増加することを考慮し、図8(A)に示す段階におけるP型不純物の拡散深度は、目標の拡散深度よりも浅めに設定される。
第2の実施形態のMOSFETの製造時には、次いで、図8(B)に示すように、P型不純物の拡散中に酸化膜22がP型層21の表面に形成される。次いで、トレンチ形成用開口22a,22bが活性領域の中央部(セル領域)A1の酸化膜22に形成され、トレンチ形成用開口22cが活性領域の周縁部A2の酸化膜22に形成され、トレンチ形成用開口3bがガードリング領域A3の酸化膜3に形成される。次いで、トレンチ形成用開口22a,22bを介して活性領域の中央部(セル領域)A1にトレンチ4a,4bが例えばリアクティブイオンエッチング法などによって形成され、トレンチ形成用開口22cを介して活性領域の周縁部A2にトレンチ4cが例えばリアクティブイオンエッチング法などによって形成され、トレンチ形成用開口3bを介してガードリング領域A3にトレンチ4dが例えばリアクティブイオンエッチング法などによって形成される。
第2の実施形態のMOSFETでは、図8(B)に示すように、活性領域の周縁部A2のトレンチ4cの幅寸法(図8(B)の左右方向寸法)が、活性領域の中央部(セル領域)A1のトレンチ4a,4bの幅寸法(図8(B)の左右方向寸法)よりも大きくされている。また、第2の実施形態のMOSFETでは、図8(B)に示すように、ガードリング領域A3に1本の環状のトレンチ4dが形成されている。
第2の実施形態のMOSFETの製造時には、次いで、図8(B)に示すように、各トレンチ4a,4b,4c,4dの側面4a1,4b1,4c1,4d1および底面4a2,4b2,4c2,4d2の表面平滑化処理が行われる。表面平滑化処理では、例えば低温での犠牲酸化処理によって各トレンチ4a,4b,4c,4dの側面4a1,4b1,4c1,4d1および底面4a2,4b2,4c2,4d2に酸化膜(図示せず)が形成され、次いで、その酸化膜(図示せず)が剥離される。この表面平滑化処理が行われることにより、各トレンチ4a,4b,4c,4dの側面4a1,4b1,4c1,4d1および底面4a2,4b2,4c2,4d2が粗い場合よりもリーク電流を低減することができる。
第2の実施形態のMOSFETの製造時には、次いで、図8(C)に示すように、各トレンチ4a,4b,4c,4dの側面4a1,4b1,4c1,4d1および底面4a2,4b2,4c2,4d2(図8(B)参照)を介してN−型エピタキシャル層2にP型不純物の導入・拡散を行うことによって、横方向(図8(C)の左右方向)および縦方向(図8(C)の上下方向)の拡散深さが約0.1〜0.2μmであって濃度が1016/cm3オーダーのP型層5a,5b,5c,5dが、各トレンチ4a,4b,4c,4dの側面4a1,4b1,4c1,4d1および底面4a2,4b2,4c2,4d2に沿って形成される。詳細には、例えば斜めイオン注入法、CVDデポジション、低温拡散デポジション等によって、P型不純物の導入が行われる。また、詳細には、P型不純物の導入・拡散によって形成されたP型層5a,5b,5c,5dの表面濃度が1016/cm3オーダーにされる。
第2の実施形態のMOSFETの製造時には、次いで、図9(A)に示すように、酸化膜6が各トレンチ4a,4b,4c,4dの側面4a1,4b1,4c1,4d1および底面4a2,4b2,4c2,4d2(図8(B)参照)に形成される。次いで、開口6a,6b,6c,6dが各トレンチ4a,4b,4c,4dの底面4a2,4b2,4c2,4d2の酸化膜6に形成され、各トレンチ4a,4b,4c,4dの側面4a1,4b1,4c1,4d1には酸化膜6が残される。詳細には、例えばリアクティブイオンエッチング法などによって各トレンチ4a,4b,4c,4dの底面4a2,4b2,4c2,4d2の酸化膜6のみがエッチング除去される。このエッチング除去は、SiO2/Siのエッチングレートが比較的大きいエッチング条件で行われる。
第2の実施形態のMOSFETの製造時には、次いで、図9(A)に示すように、ポリシリコンを各トレンチ4a,4b,4c,4d(図8(B)参照)の内部に充填すると共に、各トレンチ4a,4b,4c,4dの内部に充填されたポリシリコンに対してP型不純物をドープすることによって、濃度が1018/cm3オーダー以上のP+型ポリシリコン層7a,7b,7c,7dが、各トレンチ4a,4b,4c,4dの内部に形成される。
詳細には、第2の実施形態のMOSFETの製造時には、ポリシリコンが各トレンチ4a,4b,4c,4dの内部に選択的に充填されるのではなく、半導体チップの表面全体にポリシリコンを堆積させ、次いで、各トレンチ4a,4b,4c,4dの内部にのみポリシリコンが残るように、余分なポリシリコンをエッチバックすることにより、ポリシリコンが各トレンチ4a,4b,4c,4dの内部に充填される。
第2の実施形態のMOSFETの製造時には、次いで、図9(A)に示すように、各トレンチ4a,4b,4c,4d(図8(B)参照)の内部に形成されたP+型ポリシリコン層7a,7b,7c,7dおよび各トレンチ4a,4b,4c,4dの底面4a2,4b2,4c2,4d2(図8(B)参照)の酸化膜6の開口6a,6b,6c,6dを介してその真下のP型層5a,5b,5c,5dおよびN−型エピタキシャル層2に例えば白金等のようなライフタイムキラーとしての重金属が蒸着・拡散される。
第2の実施形態のMOSFETの製造時には、次いで、図9(B)に示すように、各トレンチ4a,4b,4c,4d(図8(B)参照)の内部に形成されたP+型ポリシリコン層7a,7b,7c,7dの表面に酸化膜8a,8b,8c,8dが形成される。
詳細には、第2の実施形態のMOSFETの製造時には、各トレンチ4a,4b,4c,4d(図8(B)参照)の内部のP+型ポリシリコン層7a,7b,7c,7dの表面に酸化膜8a,8b,8c,8dが形成される時に、各トレンチ4a,4b,4c,4dの内部のP+型ポリシリコン層7a,7b,7c,7dの表面のみに酸化膜8a,8b,8c,8dが選択的に形成されるのではなく、半導体チップの表面全体に酸化膜が形成される。詳細には、酸化膜8a,8b,8c,8dは、例えば熱酸化、CVD酸化などによって形成される。
第2の実施形態のMOSFETの製造時には、次いで、図9(C)に示すように、N+型層形成用開口3c,22dが、半導体チップの周縁部A4の酸化膜3と、半導体チップの活性領域の中央部(セル領域)A1のうちトレンチ4a,4b(図8(B)参照)を除く部分の酸化膜22とに形成される。次いで、N+型層形成用開口3cを介して半導体チップの周縁部A4にN+型層9が形成されると共に、N+型層形成用開口22dを介して半導体チップの活性領域の中央部(セル領域)A1のうちトレンチ4a,4b(図8(B)参照)を除く部分にN+型層23が形成される。
詳細には、第2の実施形態のMOSFETでは、半導体チップの活性領域の中央部(セル領域)A1に形成されたN+型層23が、MOSFETのセルとして機能する。
第2の実施形態のMOSFETの製造時には、次いで、図10(A)に示すように、N+型層23,9の表面に酸化膜24が形成される。詳細には、酸化膜24は、例えば熱酸化、CVD酸化などによって形成される。
第2の実施形態のMOSFETの製造時には、次いで、図10(A)に示すように、トレンチ形成用開口24a,24bが活性領域の中央部(セル領域)A1の酸化膜24に形成される。次いで、トレンチ形成用開口24a,24bを介して活性領域の中央部(セル領域)A1にトレンチ25a,25bが、例えばリアクティブイオンエッチング法などによって形成される。
第2の実施形態のMOSFETの製造時には、次いで、各トレンチ25a,25bの側面および底面の表面平滑化処理が行われる。表面平滑化処理では、例えば低温での犠牲酸化処理によって各トレンチ25a,25bの側面および底面に酸化膜(図示せず)が形成され、次いで、その酸化膜(図示せず)が剥離される。この表面平滑化処理が行われることにより、各トレンチ25a,25bの側面および底面が粗い場合よりもリーク電流を低減することができ、良質のゲート酸化膜を得ることができる。詳細には、MOSFETのチャンネル部となる各トレンチ25a,25bの側面の表面平滑化処理が行われることにより、表面平滑化処理が行われない場合よりも、チャンネルを通過する多数キャリアである電子のチャンネル移動度(μch)を向上させることができる。
第2の実施形態のMOSFETの製造時には、次いで、図10(B)に示すように、MOSFETのゲート酸化膜となる熱酸化膜26が各トレンチ25a,25bの側面および底面に形成される。詳細には、第2の実施形態のMOSFETの製造時には、MOSFETのゲート酸化膜となる熱酸化膜26が極めて清浄な雰囲気ガスの下で形成される。
第2の実施形態のMOSFETの製造時には、次いで、図10(B)に示すように、図12(A)のA−A線に沿った断面に相当する部分において、ポリシリコンをトレンチ25a,25bの内部に充填し、かつ、半導体チップの活性領域の周縁部A2に堆積させると共に、トレンチ25a,25bの内部に充填されたポリシリコンおよび半導体チップの活性領域の周縁部A2に堆積せしめられたポリシリコンに対してN型不純物をドープすることによって、N+型ポリシリコン層27a,27b,27cがトレンチ25a,25bの内部および半導体チップの活性領域の周縁部A2に形成される。半導体チップの活性領域の周縁部A2に形成されたN+型ポリシリコン層27cは、後でゲート配線引き回しのために用いられる。
一方、この時、図12(A)のB−B線に沿った断面に相当する部分では、ポリシリコンをトレンチ25a,25bの内部に充填し、かつ、半導体チップの活性領域の周縁部A2の一部に堆積させると共に、トレンチ25a,25bの内部に充填されたポリシリコンおよび半導体チップの活性領域の周縁部A2の一部に堆積せしめられたポリシリコンに対してN型不純物をドープすることによって、N+型ポリシリコン層27a,27b,27c’(図11(A)参照)がトレンチ25a,25bの内部および半導体チップの活性領域の周縁部A2の一部に形成される。半導体チップの活性領域の周縁部A2の一部に形成されたN+型ポリシリコン層27c’(図11(A)参照)は、後でゲート配線引き回しのために用いられる。
詳細には、第2の実施形態のMOSFETの製造時には、ポリシリコンが各トレンチ25a,25bの内部に選択的に充填されると共に、半導体チップの活性領域の周縁部A2の一部に選択的に堆積せしめられるのではなく、半導体チップの表面全体にポリシリコンを堆積させ、次いで、トレンチ25a,25bの内部および半導体チップの活性領域の周縁部A2の一部にポリシリコンが残るように、余分なポリシリコンがエッチバックされる。
第2の実施形態のMOSFETの製造時には、次いで、図10(C)に示すように、酸化膜28が半導体チップの表面全体に形成される。詳細には、酸化膜28は、例えば熱酸化、CVD酸化などによって形成される。
第2の実施形態のMOSFETの製造時には、次いで、図11(A)に示すように、図12(A)のB−B線に沿った断面に相当する部分において、活性領域の中央部(セル領域)A1のうちトレンチ25a,25b(図10(A)参照)を除く部分の酸化膜、ガードリング領域A3のP+型ポリシリコン層7d上の一部の酸化膜、および、半導体チップの周縁部A4のN+型層9上の一部の酸化膜に、電極メタル形成用開口28a,28b,28d,28eが形成される。
一方、この時、図12(A)のA−A線に沿った断面に相当する部分では、図11(B)に示すように、活性領域の中央部(セル領域)A1のうちトレンチ25a,25b(図10(A)参照)を除く部分の酸化膜、活性領域の周縁部A2のN+型ポリシリコン層27c上の一部の酸化膜、ガードリング領域A3のP+型ポリシリコン層7d上の一部の酸化膜、および、半導体チップの周縁部A4のN+型層9上の一部の酸化膜に、電極メタル形成用開口28a,28c,28d,28eが形成される。
第2の実施形態のMOSFETの製造時には、次いで、電極メタルが半導体チップの表面全体に例えばスパッタリング法、蒸着法などによって形成される。
第2の実施形態のMOSFETの製造時には、次いで、図11(C)に示すように、半導体チップの表面全体の電極メタルが、活性領域の中央部(セル領域)A1のソース電極メタル29aと、活性領域の周縁部A2のゲート配線引き回し電極メタル29bと、ゲート配線引き回し電極メタル29bよりも周縁部(図11(C)の右側)側に位置するソース電極メタル29cと、ガードリング電極メタル29dと、半導体チップの周縁部A4のEQR電極メタル29eとに電気的に分離してパターニングされる。
その結果、第2の実施形態のMOSFETでは、図11(C)および図13に示すように、ゲート電極として機能するトレンチ25a,25b(図10(A)参照)の内部のN+型ポリシリコン層27a,27bとゲート配線引き回し電極メタル29bとが、電気的に接続されることになる。
第2の実施形態のMOSFETの製造時には、次いで、図11(C)に示すように、活性領域の中央部(セル領域)A1のN+型ポリシリコン層27cの上側に位置するソース電極メタル29aと、活性領域の中央部(セル領域)A1のN+型ポリシリコン層27cの下側に位置するトレンチ4b(図8(B)参照)の内部のP+型ポリシリコン層7bとが、電気的に接続される。また、活性領域の周縁部A2のN+型ポリシリコン層27cの上側に位置するソース電極メタル29cと、活性領域の周縁部A2のN+型ポリシリコン層27cの下側に位置するトレンチ4c(図8(B)参照)の内部のP+型ポリシリコン層7cとが、電気的に接続される。
第2の実施形態のMOSFETの製造時には、次いで、図11(C)に示すように、最終保護膜14が半導体チップの表面全体に形成される。更に、ソース電極メタル29aと接続するためのコンタクト開口14aが最終保護膜14に形成される。また、ドレイン電極メタル30が半導体チップの裏面に形成される。
また、第2の実施形態のMOSFETの製造時には、図14に示すように、ゲート配線引き回し電極メタル29bと電気的に接続されたゲート電極メタル31が、半導体チップの表面に形成される。更に、ゲート電極メタル31と電気的に接続されたゲートパッド32が、半導体チップの表面に形成される。また、ソース電極メタル29a,29cと電気的に接続されたソースパッド33が、半導体チップの表面に形成される。
その結果、第2の実施形態のMOSFETでは、図12に示すように、N+型ポリシリコン層27a’,27a,27bがゲート電極として機能する。更に、N+型ポリシリコン層27a’,27a,27bの側面のゲート酸化膜26に隣接するP型層21が、縦型MOSFETチャンネルとして機能する。
詳細には、第2の実施形態のMOSFETの製造時には、オーミック接触を確実にするためのシンタリング処理が例えば400℃程度の不活性ガス中で適宜行われる。
つまり、第2の実施形態のMOSFETでは、図12(B)に示すように、ガードリング領域A3が活性領域の周縁部A2の外側(図12(B)の右側)に配置されている。詳細には、第2の実施形態のMOSFETでは、半導体チップの活性領域の周縁部A2のトレンチ4c(図8(B)参照)と、半導体チップの活性領域の周縁部A2の外側のガードリング領域A3のトレンチ4d(図8(B)参照)と、ガードリング領域A3の外側のN−型エピタキシャル層2と、半導体チップの周縁部A4のN+型層9とによって耐圧維持構造が形成されている。
更に、第2の実施形態のMOSFETでは、トレンチ構造が採用されているため、第2の実施形態のMOSFETによれば、トレンチ構造が採用されていない場合よりも半導体チップの横方向寸法(図12(B)の左右方向寸法)を小型化することができる。
また、第2の実施形態のMOSFETでは、図12(B)に示すように、半導体チップのガードリング領域A3のP+型ポリシリコン層7d上にガードリング電極メタル29dが形成されている。そのため、第2の実施形態のMOSFETによれば、半導体チップのガードリング領域A3のP+型ポリシリコン層7d上にガードリング電極メタル29dが形成されていない場合よりも、逆方向バイアス時の空亡層D1(図7参照)を半導体チップの周縁部側に延ばすことができる。
更に、第2の実施形態のMOSFETでは、図12(B)に示すように、トレンチ4a,4b,4c,4d(図8(B)参照)の内部のP+型ポリシリコン層7a’,7a,7b,7c,7dの濃度が1018/cm3オーダー以上にされている。そのため、第2の実施形態のMOSFETによれば、半導体チップの活性領域の中央部(セル領域)A1のP+型ポリシリコン層7a’,7aとソース電極メタル29aとをオーミック接触させることができ、その結果、順方向バイアス時に、ソース電極メタル29aの電位を、トレンチ4aの側面に沿って形成されたP型層5a’,5aよりも速くトレンチ4aの内部のP+型ポリシリコン層7a’,7aに伝えることができる。
換言すれば、第2の実施形態のMOSFETでは、図12(B)に示すように、トレンチ4a,4b,4c,4d(図8(B)参照)の内部に高濃度のP+型ポリシリコン層7a’,7a,7b,7c,7dが形成されている。そのため、第2の実施形態のMOSFETによれば、トレンチ4a,4b,4c,4dの内部に高濃度のP+型ポリシリコン層7a’,7a,7b,7c,7dが形成されていない場合よりも、順方向バイアス時に、P+型ポリシリコン層7a’,7a,7b,7c,7dの下側の空亡層D2(図6参照)をドレイン電極30の側(図12(B)の下側)に延ばすことができ、その結果、隣接する2つのトレンチの間の空間2’(図6参照)を簡単にピンチオフさせることができる。
詳細には、第2の実施形態のMOSFETでは、トレンチ4a,4b,4c,4dの内部に高濃度のP+型ポリシリコン層7a’,7a,7b,7c,7dが形成されているため、第2の実施形態のMOSFETでは、P+型ポリシリコン層7a’,7a,7b,7c,7dの下側のN−型エピタキシャル層2に延びる空亡層が、迅速にN+型基板1側に到達する。その結果、トレンチ4a,4b,4c,4dの下側部分では、電界強度が他の部分に比べて最大となる。つまり、第2の実施形態のMOSFETでは、トレンチ25a,25b(図10(B)参照)の下側部分の電界強度が相対的に低くなり、トレンチ25a,25bの側面のゲート酸化膜26にかかる電界強度が低く抑えられる。そのため、第2の実施形態のMOSFETによれば、トレンチ25a,25bの側面のゲート酸化膜26にかかる電界強度が高くなるように構成されている場合よりも、トレンチ25a,25bの側面のゲート酸化膜26を安全に保護することができる。
ところで、一般的に、MOSFETは、図20(B)に示すような出力特性を有している。詳細には、VG1(OFFモード)からVGn(ONモード)へのSW(スイッチング)時、および、VGn(ONモード)からVG1(OFFモード)へのSW(スイッチング)時に、ゲート電圧が、図20(B)中の矢印⇔を行ったり来たりしている。また、MOSFETのデバイス内部では、ONモード時の空亡層の形状が、図20(A)中の「ON時空亡層形状」のようになり、OFFモード時の空亡層の形状が、図20(A)中の「OFF時空亡層形状」のようになる。つまり、VG1(OFFモード)からVGn(ONモード)へのSW(スイッチング)時、および、VGn(ONモード)からVG1(OFFモード)へのSW(スイッチング)時に、空亡層の形状が、図20(A)中の矢印⇔を行ったり来たりしている。
詳細には、第2の実施形態のMOSFETでは、隣接するトレンチ4a,4b(図8(B)参照)の間にトレンチ25bおよびゲート酸化膜26(図10(B)参照)が配置されているため、隣接するトレンチ4a,4bの間隔が第1の実施形態のJBSよりも広くなる。また、トレンチ25a,25bからも空亡層がトレンチ25a,25bの底部に沿って同心円上に広がってくる。そのため、第2の実施形態のMOSFETでは、OFFモード時の空亡層の形状が、図20(A)中の「OFF時空亡層形状」のようになる。
つまり、第2の実施形態のMOSFETでは、図20(A)に示すように、OFF時空亡層形状が、トレンチ4a,4bの底面4a2,4b2(図8(B)参照)のPN接合面から下方に広がると共に、トレンチ25bのゲート酸化膜26(図10(B)参照)から下方に広がる。詳細には、第2の実施形態のMOSFETでは、トレンチ4a,4bの底面4a2,4b2のPN接合面が、トレンチ25bのゲート酸化膜26よりも深い位置に配置されている。そのため、第2の実施形態のMOSFETでは、トレンチ4a,4bの下方のN−型エピタキシャル層2とN+型基板1(図12(B)参照)との境界部分(図20(A)中の○印の部分)の電界強度が最も高くなる。
一方、第2の実施形態のMOSFETでは、トレンチ25b(図10(B)参照)の下方のN−型エピタキシャル層2(図12(B)参照)の厚さが、トレンチ4a,4b(図8(B)参照)の下方のN−型エピタキシャル層2の厚さよりも厚くなっている。そのため、第2の実施形態のMOSFETでは、トレンチ25bの下方の電界強度が、トレンチ4a,4bの下方の電界強度よりも低くなる。
換言すれば、第2の実施形態のMOSFETでは、トレンチ4a,4b(図8(B)参照)およびトレンチ25b(図10(B)参照)から同時に延びる空亡層同士が相殺し合い、Resurf効果のようなものが起こる。その結果、第2の実施形態のMOSFETによれば、トレンチ4a,4bが設けられず、トレンチ25bのみが設けられているMOSFETよりも、トレンチ25bの下方の電界強度を低くすることができる。
第2の実施形態のMOSFETでは、ONモードになると、トレンチ4a,4b(図8(B)参照)の周辺のPN接合にかかるVDS電圧が徐々に下がり、ゲート電極として機能するトレンチ25b(図10(B)参照)の内部のN+型ポリシリコン層27b(図10(B)参照)にVGn(Onモード)のゲート電圧がかかる。そのため、トレンチ25bの内部のN+型ポリシリコン層27bと、ゲート酸化膜26(図10(B)参照)と、N−型エピタキシャル層2(図10(B)参照)とが成すコンデンサ効果によって、多くの電子が蓄積されるようになる。その結果、N−型エピタキシャル層2が更にN型化し、一方、ゲート酸化膜26に隣接するP型層21(図10(B)参照)は、「P型」→「P−型」→「N−型」→「N型」に反転してくる。そうすると、図20(A)に示すように、トレンチ25bの側面のゲート酸化膜26に隣接するP型層21に「チャンネル」が形成され、「電子電流」が流れる経路が形成される。この「電子電流」の経路は広い経路であることが好ましい。
換言すれば、図20(A)中の「ON時空亡層形状」のうち、トレンチ4b(図8(B)参照)とトレンチ25b(図10(B)参照)との間の部分が、トレンチ4bに近く、トレンチ25bから遠ければ、広い「電子電流」の経路が確保されることになる。
ポリシリコン層中の重金属の拡散速度がN−型エピタキシャル層2中の重金属の拡散速度よりも速く、酸化膜6中の重金属の拡散速度がN−型エピタキシャル層2中の重金属の拡散速度よりも遅い点に鑑み、第2の実施形態のMOSFETでは、図12(B)に示すように、トレンチ4a,4b,4c,4d(図8(B)参照)の内部に形成されたP+型ポリシリコン層7a’,7a,7b,7c,7dおよびトレンチ4a,4b,4c,4dの底面4a2,4b2,4c2,4d2(図8(B)参照)の酸化膜6の開口6a,6b,6c,6d(図9(A)参照)を介してP型層5a’5a,5b,5c,5dおよびN−型エピタキシャル層2に重金属が拡散される。そのため、第2の実施形態のMOSFETによれば、トレンチ4a,4b,4c,4dの底面4a2,4b2,4c2,4d2の酸化膜6の開口6a,6b,6c,6dの真下付近のP型層5a’5a,5b,5c,5dおよびN−型エピタキシャル層2に重金属(Bb,Bc(図6参照))を局所的に拡散させることができる。つまり、第2の実施形態のMOSFETによれば、トレンチ4a,4b,4c,4dの側面4a1,4b1,4c1,4d1の酸化膜6の側方のP型層5a’5a,5b,5c,5dおよびN−型エピタキシャル層2のキャリアのライフタイムを長いままに維持することができる。
また、第2の実施形態のMOSFETでは、図12(B)に示すように、トレンチ4a,4b,4c,4d(図8(B)参照)の内部に高濃度のP+型ポリシリコン層7a’,7a,7b,7c,7dが形成されている。つまり、第2の実施形態のMOSFETでは、高濃度のP+型ポリシリコン層7a’,7a,7b,7c,7dが形成されているトレンチ4a,4b,4c,4dの内部において、多数キャリアとなる正孔が十分に活性化されておらず、正孔の移動度が十分に高くなっていない。そのため、第2の実施形態のMOSFETによれば、トレンチ4a,4b,4c,4dの内部、トレンチ4a,4b,4c,4dの底面4a2,4b2,4c2,4d2(図8(B)参照)の酸化膜6の開口6a,6b,6c,6d(図9(A)参照)、および、その真下のP型層5a’5a,5b,5c,5dを介してN−型エピタキシャル層2に注入されるキャリアとしての正孔の注入量を制限することができる。
更に、第2の実施形態のMOSFETでは、図12(B)に示すように、トレンチ4a,4b,4c,4dの底面4a2,4b2,4c2,4d2(図8(B)参照)の酸化膜6の開口6a,6b,6c,6d(図9(A)参照)を介してその真下のP型層5a’5a,5b,5c,5dにライフタイムキラーとしての重金属が導入されている。つまり、第2の実施形態のMOSFETでは、トレンチ4a,4b,4c,4dの底面4a2,4b2,4c2,4d2の酸化膜6の開口6a,6b,6c,6dの真下のP型層5a’5a,5b,5c,5dにおいて、キャリアとしての正孔のライフタイムが短くなっている。そのため、第2の実施形態のMOSFETによれば、トレンチ4a,4b,4c,4dの内部、トレンチ4a,4b,4c,4dの底面4a2,4b2,4c2,4d2の酸化膜6の開口6a,6b,6c,6d、および、その真下のP型層5a’5a,5b,5c,5dを介してN−型エピタキシャル層2に注入されるキャリアとしての正孔の注入量を制限することができる。
また、第2の実施形態のMOSFETでは、図12(B)に示すように、トレンチ4a,4b,4c,4dの側面4a1,4b1,4c1,4d1(図8(B)参照)には酸化膜6が残されている。つまり、第2の実施形態のMOSFETでは、トレンチ4a,4b,4c,4dの内部、トレンチ4a,4b,4c,4dの側面4a1,4b1,4c1,4d1の酸化膜6、および、その側方のP型層5a’5a,5b,5c,5dを介してN−型エピタキシャル層2にキャリアとしての正孔が注入されることはない。
つまり、第2の実施形態のMOSFETによれば、トレンチ4a,4b,4c,4dの内部のP+型ポリシリコン層7a’,7a,7b,7c,7dの濃度が1018/cm3オーダー未満にされている場合や、トレンチ4a,4b,4c,4dの底面4a2,4b2,4c2,4d2からライフタイムキラーとしての重金属が導入されていない場合や、トレンチ4a,4b,4c,4dの側面4a1,4b1,4c1,4d1に酸化膜6が形成されていない場合よりも、N−型エピタキシャル層2へのキャリアとしての正孔の注入量を制限することができる。
更に、第2の実施形態のMOSFETでは、図12(B)に示すように、トレンチ4a,4b,4c,4d(図8(B)参照)の内部に高濃度のP+型ポリシリコン層7a’,7a,7b,7c,7dが形成されており、トレンチ4a,4b,4c,4dの内部で多数キャリアとなる正孔が十分に活性化されていない。更に、トレンチ4a,4b,4c,4dの内部のP+型ポリシリコン層7a’,7a,7b,7c,7dに拡散された重金属が、トレンチ4a,4b,4c,4dの底面4a2,4b2,4c2,4d2(図8(B)参照)の酸化膜6の開口6a,6b,6c,6d(図9(A)参照)を介して、その真下のP型層5a’,5a,5b,5c,5dおよびN−型エピタキシャル層2に局所的に分布している。
そのため、第2の実施形態のMOSFETでは、図12(B)に示すように、逆方向バイアス時に隣接する2個のトレンチ4a,4b,4c(図8(B)参照)の間の部分の真下の空亡層D1(図6参照)の下端とN+型基板1との間に存在している残留正孔(ホール)(図6参照)が、逆方向バイアスから順方向バイアスへの切換時に、重金属(Bb,Bc(図6参照))が局所的に分布されているトレンチ4a,4b,4cの底面4a2,4b2,4c2(図8(B)参照)の酸化膜6の開口6a,6b,6c(図9(A)参照)の真下のN−型エピタキシャル層2およびP型層5a’5a,5b,5c、並びに、ソース電極メタル29a,29cの電位に近い電位になっているトレンチ4a,4b,4cの内部の高濃度のP+型ポリシリコン層7a’,7a,7b,7cを介して、ソース電極メタル29a,29cに迅速に戻される。
つまり、第2の実施形態のMOSFETによれば、図12(B)に示すように、トレンチ4a,4b,4c,4dの底面4a2,4b2,4c2,4d2(図8(B)参照)の真下のP型層5a’5a,5b,5c,5dおよびN−型エピタキシャル層2に重金属が局所的に分布されていない場合や、トレンチ4a,4b,4c,4dの内部に1018/cm3オーダー以上の高濃度のP+型ポリシリコン層7a’,7a,7b,7c,7dが形成されていない場合よりも、MOSFETに内蔵された逆並列接続ダイオードの逆回復時間(trr)を短くすることができ、ソフトリカバリーを達成することができる。
更に、第2の実施形態のMOSFETでは、図12(B)に示すように、N+型層23(図9(C)参照)が、活性領域の中央部(セル領域)A1のうち活性領域の周縁部A2に隣接する部分(つまり、図12(B)中のP+型ポリシリコン層7bとN+型ポリシリコン層27bとの間の部分)のP型層21の上側に形成されている。そのため、第2の実施形態のMOSFETによれば、活性領域の中央部(セル領域)A1のうち活性領域の周縁部A2に隣接する部分(つまり、図12(B)中のP+型ポリシリコン層7bとN+型ポリシリコン層27bとの間の部分)のP型層21の上側のN+型層23(図9(C)参照)をMOSFETのセルとして働かせることができる。
第2の実施形態のMOSFETでは、図12(B)に示すように、活性領域の中央部(セル領域)A1と活性領域の周縁部A2とに2個のトレンチ4b,4c(図8(B)参照)が隣接して配置され、トレンチ4b,4cの間にトレンチ4b,4cの深さよりも浅いP型層21が形成されるが、第2の実施形態のMOSFETの変形例では、それらの2個のトレンチ4b,4cおよびそれらの間のP型層21の代わりに、図21(B)に示すように、活性領域の中央部(セル領域)A1と活性領域の周縁部A2とに跨る1個のトレンチを形成し、P型層5bcを形成し、酸化膜6を形成し、P+型ポリシリコン層7bcを形成することも可能である。図21は第2の実施形態のMOSFETの変形例を示した図である。詳細には、図21(A)は第2の実施形態のMOSFETの変形例の一部を示した平面図、図21(B)は第2の実施形態のMOSFETの変形例の一部を示した断面図である。
第2の実施形態のMOSFETでは、図12(B)に示すように、活性領域の中央部(セル領域)A1と活性領域の周縁部A2とに2個のトレンチ4b,4c(図8(B)参照)が隣接して配置され、各トレンチ4b,4cの内部にP+型ポリシリコン層7b,7cが形成されるため、第2の実施形態のMOSFETによれば、N−型エピタキシャル層2へのキャリアとしての正孔の注入量を制限することができ、この部分に発生する寄生ダイオードの影響を低減することができる。
以下、本発明の第3の実施形態について説明する。図15〜図18は第3の実施形態のMOSFETの製造工程を示した断面図、図19は第3の実施形態のMOSFETを示した図である。詳細には、図19(A)は第3の実施形態のMOSFETの一部を示した平面図、図19(B)は第3の実施形態のMOSFETの一部を示した断面図である。第3の実施形態のMOSFETの右半分の一部を透視して見た平面図は、図13に示した第2の実施形態のMOSFETの平面図と同様である。また、第3の実施形態のMOSFETの最表面の右半分を示した平面図は、図14に示した第2の実施形態のMOSFETの平面図と同様である。
第3の実施形態のMOSFETの製造時には、まず最初に、図15(A)に示すように、N−型エピタキシャル層2がN+型基板1上に形成される。次いで、酸化膜(フィールド酸化膜)3がN−型エピタキシャル層2の表面全体に形成される。次いで、P型層形成用開口3aが活性領域の中央部(セル領域)A1および活性領域の周縁部A2の酸化膜3に形成される。次いで、P型層形成用開口3aを介してP型不純物の導入・拡散を行うことによって活性領域の中央部(セル領域)A1および活性領域の周縁部A2にP型層21が形成される。
第3の実施形態のMOSFETでは、その後の熱処理によってP型不純物の拡散深度が増加することを考慮し、図15(A)に示す段階におけるP型不純物の拡散深度は、目標の拡散深度よりも浅めに設定される。
第3の実施形態のMOSFETの製造時には、次いで、図15(B)に示すように、P型不純物の拡散中に酸化膜22がP型層21の表面に形成される。次いで、トレンチ形成用開口22a,22bが活性領域の中央部(セル領域)A1の酸化膜22に形成され、トレンチ形成用開口22cが活性領域の周縁部A2の酸化膜22に形成され、トレンチ形成用開口3bがガードリング領域A3の酸化膜3に形成される。次いで、トレンチ形成用開口22a,22bを介して活性領域の中央部(セル領域)A1にトレンチ4a,4bが例えばリアクティブイオンエッチング法などによって形成され、トレンチ形成用開口22cを介して活性領域の周縁部A2にトレンチ4cが例えばリアクティブイオンエッチング法などによって形成され、トレンチ形成用開口3bを介してガードリング領域A3にトレンチ4dが例えばリアクティブイオンエッチング法などによって形成される。
第3の実施形態のMOSFETでは、図15(B)に示すように、活性領域の周縁部A2のトレンチ4cの幅寸法(図15(B)の左右方向寸法)が、活性領域の中央部(セル領域)A1のトレンチ4a,4bの幅寸法(図15(B)の左右方向寸法)よりも大きくされている。また、第3の実施形態のMOSFETでは、図15(B)に示すように、ガードリング領域A3に1本の環状のトレンチ4dが形成されている。
第3の実施形態のMOSFETの製造時には、次いで、図15(B)に示すように、各トレンチ4a,4b,4c,4dの側面4a1,4b1,4c1,4d1および底面4a2,4b2,4c2,4d2の表面平滑化処理が行われる。表面平滑化処理では、例えば低温での犠牲酸化処理によって各トレンチ4a,4b,4c,4dの側面4a1,4b1,4c1,4d1および底面4a2,4b2,4c2,4d2に酸化膜(図示せず)が形成され、次いで、その酸化膜(図示せず)が剥離される。この表面平滑化処理が行われることにより、各トレンチ4a,4b,4c,4dの側面4a1,4b1,4c1,4d1および底面4a2,4b2,4c2,4d2が粗い場合よりもリーク電流を低減することができる。
第3の実施形態のMOSFETの製造時には、次いで、図15(C)に示すように、各トレンチ4a,4b,4c,4dの側面4a1,4b1,4c1,4d1および底面4a2,4b2,4c2,4d2(図15(B)参照)を介してN−型エピタキシャル層2にP型不純物の導入・拡散を行うことによって、横方向(図15(C)の左右方向)および縦方向(図15(C)の上下方向)の拡散深さが約0.1〜0.2μmであって濃度が1016/cm3オーダーのP型層5a,5b,5c,5dが、各トレンチ4a,4b,4c,4dの側面4a1,4b1,4c1,4d1および底面4a2,4b2,4c2,4d2に沿って形成される。詳細には、例えば斜めイオン注入法、CVDデポジション、低温拡散デポジション等によって、P型不純物の導入が行われる。また、詳細には、P型不純物の導入・拡散によって形成されたP型層5a,5b,5c,5dの表面濃度が1016/cm3オーダーにされる。
第3の実施形態のMOSFETの製造時には、次いで、図16(A)に示すように、酸化膜6が各トレンチ4a,4b,4c,4dの側面4a1,4b1,4c1,4d1および底面4a2,4b2,4c2,4d2(図15(B)参照)に形成される。次いで、開口6a,6b,6c,6dが各トレンチ4a,4b,4c,4dの底面4a2,4b2,4c2,4d2の酸化膜6に形成され、各トレンチ4a,4b,4c,4dの側面4a1,4b1,4c1,4d1には酸化膜6が残される。詳細には、例えばリアクティブイオンエッチング法などによって各トレンチ4a,4b,4c,4dの底面4a2,4b2,4c2,4d2の酸化膜6のみがエッチング除去される。このエッチング除去は、SiO2/Siのエッチングレートが比較的大きいエッチング条件で行われる。
第3の実施形態のMOSFETの製造時には、次いで、図16(A)に示すように、ポリシリコンを各トレンチ4a,4b,4c,4d(図15(B)参照)の内部に充填すると共に、各トレンチ4a,4b,4c,4dの内部に充填されたポリシリコンに対してP型不純物をドープすることによって、濃度が1018/cm3オーダー以上のP+型ポリシリコン層7a,7b,7c,7dが、各トレンチ4a,4b,4c,4dの内部に形成される。
詳細には、第3の実施形態のMOSFETの製造時には、ポリシリコンが各トレンチ4a,4b,4c,4dの内部に選択的に充填されるのではなく、半導体チップの表面全体にポリシリコンを堆積させ、次いで、各トレンチ4a,4b,4c,4dの内部にのみポリシリコンが残るように、余分なポリシリコンをエッチバックすることにより、ポリシリコンが各トレンチ4a,4b,4c,4dの内部に充填される。
第3の実施形態のMOSFETの製造時には、次いで、図16(A)に示すように、各トレンチ4a,4b,4c,4d(図15(B)参照)の内部に形成されたP+型ポリシリコン層7a,7b,7c,7dおよび各トレンチ4a,4b,4c,4dの底面4a2,4b2,4c2,4d2(図15(B)参照)の酸化膜6の開口6a,6b,6c,6dを介してその真下のP型層5a,5b,5c,5dおよびN−型エピタキシャル層2に例えば白金等のようなライフタイムキラーとしての重金属が蒸着・拡散される。
第3の実施形態のMOSFETの製造時には、次いで、図16(B)に示すように、各トレンチ4a,4b,4c,4d(図15(B)参照)の内部に形成されたP+型ポリシリコン層7a,7b,7c,7dの表面に酸化膜8a,8b,8c,8dが形成される。
詳細には、第3の実施形態のMOSFETの製造時には、各トレンチ4a,4b,4c,4d(図15(B)参照)の内部のP+型ポリシリコン層7a,7b,7c,7dの表面に酸化膜8a,8b,8c,8dが形成される時に、各トレンチ4a,4b,4c,4dの内部のP+型ポリシリコン層7a,7b,7c,7dの表面のみに酸化膜8a,8b,8c,8dが選択的に形成されるのではなく、半導体チップの表面全体に酸化膜が形成される。詳細には、酸化膜8a,8b,8c,8dは、例えば熱酸化、CVD酸化などによって形成される。
第3の実施形態のMOSFETの製造時には、次いで、図16(C)に示すように、N+型層形成用開口3cが、半導体チップの周縁部A4の酸化膜3に形成されると共に、N+型層形成用開口22dが、半導体チップの活性領域の中央部(セル領域)A1のうち、活性領域の周縁部A2に隣接する部分を除く部分であって、トレンチ4a,4b(図15(B)参照)を除く部分の酸化膜22に形成される。
第3の実施形態のMOSFETの製造時には、次いで、図16(C)に示すように、N+型層形成用開口3cを介して半導体チップの周縁部A4にN+型層9が形成されると共に、N+型層形成用開口22dを介して半導体チップの活性領域の中央部(セル領域)A1のうち、活性領域の周縁部A2に隣接する部分を除く部分であって、トレンチ4a,4b(図15(B)参照)を除く部分にN+型層23が形成される。
第3の実施形態のMOSFETでは、図16(C)に示すように、半導体チップの活性領域の中央部(セル領域)A1のうち、活性領域の周縁部A2に隣接する部分に、N+型層23が形成されず、その部分(つまり、P型層21が残された部分)が、活性領域の中央部(セル領域)A1のN+型層23の下側に位置するP型(PB)層21と共にMOSFETに逆並列接続されたダイオードとして機能する。
詳細には、半導体チップの活性領域の中央部(セル領域)A1のうち活性領域の周縁部A2に隣接する部分にN+型層23が形成される場合には、その部分に寄生npnトランジスタが構成され、活性領域の周縁部A2およびガードリング領域A3の下部に注入された正孔および残留正孔が逆方向バイアス時にソース電極メタル29a,29c(図19参照)に戻る時に、この寄生npnトランジスタを動作させてしまうおそれがある。この点に鑑み、第3の実施形態のMOSFETでは、図16(C)に示すように、半導体チップの活性領域の中央部(セル領域)A1のうち、活性領域の周縁部A2に隣接する部分に、N+型層23が形成されず、P型層21が残される。
第3の実施形態のMOSFETでは、図18(C)に示すように、半導体チップの活性領域の中央部(セル領域)A1のうち、活性領域の周縁部A2に隣接するN+型層23が形成されない部分(すなわち、P型層21が残される部分)の幅、つまり、MOSFETに逆並列接続されたダイオードとして機能する部分の幅が、セル1単位分の幅の約2分の1の幅に設定される。第3の実施形態のMOSFETの変形例では、代わりに、MOSFETに逆並列接続されたダイオードとして機能する部分の幅を、セル1単位分の幅に設定したり、セル1単位分の幅の約1.5倍の幅に設定したり、セル1単位分の幅の約2倍の幅に設定したり、セル1単位分の幅の約2.5倍の幅に設定したり、上述した幅以外の任意の幅に設定したりすることも可能である。
第3の実施形態のMOSFETの製造時には、次いで、図17(A)に示すように、N+型層23,9の表面に酸化膜24が形成される。詳細には、酸化膜24は、例えば熱酸化、CVD酸化などによって形成される。
第3の実施形態のMOSFETの製造時には、次いで、図17(A)に示すように、トレンチ形成用開口24a,24bが活性領域の中央部(セル領域)A1の酸化膜24に形成される。次いで、トレンチ形成用開口24a,24bを介して活性領域の中央部(セル領域)A1にトレンチ25a,25bが、例えばリアクティブイオンエッチング法などによって形成される。
第3の実施形態のMOSFETの製造時には、次いで、各トレンチ25a,25bの側面および底面の表面平滑化処理が行われる。表面平滑化処理では、例えば低温での犠牲酸化処理によって各トレンチ25a,25bの側面および底面に酸化膜(図示せず)が形成され、次いで、その酸化膜(図示せず)が剥離される。この表面平滑化処理が行われることにより、各トレンチ25a,25bの側面および底面が粗い場合よりもリーク電流を低減することができ、良質のゲート酸化膜を得ることができる。詳細には、MOSFETのチャンネル部となる各トレンチ25a,25bの側面の表面平滑化処理が行われることにより、表面平滑化処理が行われない場合よりも、チャンネルを通過する多数キャリアである電子のチャンネル移動度(μch)を向上させることができる。
第3の実施形態のMOSFETの製造時には、次いで、図17(B)に示すように、MOSFETのゲート酸化膜となる熱酸化膜26が各トレンチ25a,25bの側面および底面に形成される。詳細には、第3の実施形態のMOSFETの製造時には、MOSFETのゲート酸化膜となる熱酸化膜26が極めて清浄な雰囲気ガスの下で形成される。
第3の実施形態のMOSFETの製造時には、次いで、図17(B)に示すように、図19(A)のA−A線に沿った断面に相当する部分において、ポリシリコンをトレンチ25a,25bの内部に充填し、かつ、半導体チップの活性領域の周縁部A2に堆積させると共に、トレンチ25a,25bの内部に充填されたポリシリコンおよび半導体チップの活性領域の周縁部A2に堆積せしめられたポリシリコンに対してN型不純物をドープすることによって、N+型ポリシリコン層27a,27b,27cがトレンチ25a,25bの内部および半導体チップの活性領域の周縁部A2に形成される。半導体チップの活性領域の周縁部A2に形成されたN+型ポリシリコン層27cは、後でゲート配線引き回しのために用いられる。
一方、この時、図19(A)のB−B線に沿った断面に相当する部分では、ポリシリコンをトレンチ25a,25bの内部に充填し、かつ、半導体チップの活性領域の周縁部A2の一部に堆積させると共に、トレンチ25a,25bの内部に充填されたポリシリコンおよび半導体チップの活性領域の周縁部A2の一部に堆積せしめられたポリシリコンに対してN型不純物をドープすることによって、N+型ポリシリコン層27a,27b,27c’(図18(A)参照)がトレンチ25a,25bの内部および半導体チップの活性領域の周縁部A2の一部に形成される。半導体チップの活性領域の周縁部A2の一部に形成されたN+型ポリシリコン層27c’(図18(A)参照)は、後でゲート配線引き回しのために用いられる。
詳細には、第3の実施形態のMOSFETの製造時には、ポリシリコンが各トレンチ25a,25bの内部に選択的に充填されると共に、半導体チップの活性領域の周縁部A2の一部に選択的に堆積せしめられるのではなく、半導体チップの表面全体にポリシリコンを堆積させ、次いで、トレンチ25a,25bの内部および半導体チップの活性領域の周縁部A2の一部にポリシリコンが残るように、余分なポリシリコンがエッチバックされる。
第3の実施形態のMOSFETの製造時には、次いで、図17(C)に示すように、酸化膜28が半導体チップの表面全体に形成される。詳細には、酸化膜28は、例えば熱酸化、CVD酸化などによって形成される。
第3の実施形態のMOSFETの製造時には、次いで、図18(A)に示すように、図19(A)のB−B線に沿った断面に相当する部分において、活性領域の中央部(セル領域)A1のうちトレンチ25a,25b(図17(A)参照)を除く部分の酸化膜、ガードリング領域A3のP+型ポリシリコン層7d上の一部の酸化膜、および、半導体チップの周縁部A4のN+型層9上の一部の酸化膜に、電極メタル形成用開口28a,28b,28d,28eが形成される。
一方、この時、図19(A)のA−A線に沿った断面に相当する部分では、図18(B)に示すように、活性領域の中央部(セル領域)A1のうちトレンチ25a,25b(図17(A)参照)を除く部分の酸化膜、活性領域の周縁部A2のN+型ポリシリコン層27c上の一部の酸化膜、ガードリング領域A3のP+型ポリシリコン層7d上の一部の酸化膜、および、半導体チップの周縁部A4のN+型層9上の一部の酸化膜に、電極メタル形成用開口28a,28c,28d,28eが形成される。
第3の実施形態のMOSFETの製造時には、次いで、電極メタルが半導体チップの表面全体に例えばスパッタリング法、蒸着法などによって形成される。
第3の実施形態のMOSFETの製造時には、次いで、図18(C)に示すように、半導体チップの表面全体の電極メタルが、活性領域の中央部(セル領域)A1のソース電極メタル29aと、活性領域の周縁部A2のゲート配線引き回し電極メタル29bと、ゲート配線引き回し電極メタル29bよりも周縁部(図18(C)の右側)側に位置するソース電極メタル29cと、ガードリング電極メタル29dと、半導体チップの周縁部A4のEQR電極メタル29eとに電気的に分離してパターニングされる。
その結果、第3の実施形態のMOSFETでは、図18(C)および図13に示すように、ゲート電極として機能するトレンチ25a,25b(図17(A)参照)の内部のN+型ポリシリコン層27a,27bとゲート配線引き回し電極メタル29bとが、電気的に接続されることになる。
第3の実施形態のMOSFETの製造時には、次いで、図18(C)に示すように、活性領域の中央部(セル領域)A1のN+型ポリシリコン層27cの上側に位置するソース電極メタル29aと、活性領域の中央部(セル領域)A1のN+型ポリシリコン層27cの下側に位置するトレンチ4b(図15(B)参照)の内部のP+型ポリシリコン層7bとが、電気的に接続される。また、活性領域の周縁部A2のN+型ポリシリコン層27cの上側に位置するソース電極メタル29cと、活性領域の周縁部A2のN+型ポリシリコン層27cの下側に位置するトレンチ4c(図15(B)参照)の内部のP+型ポリシリコン層7cとが、電気的に接続される。
第3の実施形態のMOSFETの製造時には、次いで、図18(C)に示すように、最終保護膜14が半導体チップの表面全体に形成される。更に、ソース電極メタル29aと接続するためのコンタクト開口14aが最終保護膜14に形成される。また、ドレイン電極メタル30が半導体チップの裏面に形成される。
また、第3の実施形態のMOSFETの製造時には、図14に示すように、ゲート配線引き回し電極メタル29bと電気的に接続されたゲート電極メタル31が、半導体チップの表面に形成される。更に、ゲート電極メタル31と電気的に接続されたゲートパッド32が、半導体チップの表面に形成される。また、ソース電極メタル29a,29cと電気的に接続されたソースパッド33が、半導体チップの表面に形成される。
その結果、第3の実施形態のMOSFETでは、図19に示すように、N+型ポリシリコン層27a’,27a,27bがゲート電極として機能する。更に、N+型ポリシリコン層27a’,27a,27bの側面のゲート酸化膜26に隣接するP型層21が、縦型MOSFETチャンネルとして機能する。
詳細には、第3の実施形態のMOSFETの製造時には、オーミック接触を確実にするためのシンタリング処理が例えば400℃程度の不活性ガス中で適宜行われる。
つまり、第3の実施形態のMOSFETでは、図19(B)に示すように、ガードリング領域A3が活性領域の周縁部A2の外側(図19(B)の右側)に配置されている。詳細には、第3の実施形態のMOSFETでは、半導体チップの活性領域の周縁部A2のトレンチ4c(図15(B)参照)と、半導体チップの活性領域の周縁部A2の外側のガードリング領域A3のトレンチ4d(図15(B)参照)と、ガードリング領域A3の外側のN−型エピタキシャル層2と、半導体チップの周縁部A4のN+型層9とによって耐圧維持構造が形成されている。
更に、第3の実施形態のMOSFETでは、トレンチ構造が採用されているため、第3の実施形態のMOSFETによれば、トレンチ構造が採用されていない場合よりも半導体チップの横方向寸法(図19(B)の左右方向寸法)を小型化することができる。
また、第3の実施形態のMOSFETでは、図19(B)に示すように、半導体チップのガードリング領域A3のP+型ポリシリコン層7d上にガードリング電極メタル29dが形成されている。そのため、第3の実施形態のMOSFETによれば、半導体チップのガードリング領域A3のP+型ポリシリコン層7d上にガードリング電極メタル29dが形成されていない場合よりも、逆方向バイアス時の空亡層D1(図7参照)を半導体チップの周縁部側に延ばすことができる。
更に、第3の実施形態のMOSFETでは、図19(B)に示すように、トレンチ4a,4b,4c,4d(図15(B)参照)の内部のP+型ポリシリコン層7a’,7a,7b,7c,7dの濃度が1018/cm3オーダー以上にされている。そのため、第3の実施形態のMOSFETによれば、半導体チップの活性領域の中央部(セル領域)A1のP+型ポリシリコン層7a’,7aとソース電極メタル29aとをオーミック接触させることができ、その結果、順方向バイアス時に、ソース電極メタル29aの電位を、トレンチ4aの側面に沿って形成されたP型層5a’,5aよりも速くトレンチ4aの内部のP+型ポリシリコン層7a’,7aに伝えることができる。
換言すれば、第3の実施形態のMOSFETでは、図19(B)に示すように、トレンチ4a,4b,4c,4d(図15(B)参照)の内部に高濃度のP+型ポリシリコン層7a’,7a,7b,7c,7dが形成されている。そのため、第3の実施形態のMOSFETによれば、トレンチ4a,4b,4c,4dの内部に高濃度のP+型ポリシリコン層7a’,7a,7b,7c,7dが形成されていない場合よりも、順方向バイアス時に、P+型ポリシリコン層7a’,7a,7b,7c,7dの下側の空亡層D2(図6参照)をドレイン電極30の側(図19(B)の下側)に延ばすことができ、その結果、隣接する2つのトレンチの間の空間2’(図6参照)を簡単にピンチオフさせることができる。
詳細には、第3の実施形態のMOSFETでは、トレンチ4a,4b,4c,4dの内部に高濃度のP+型ポリシリコン層7a’,7a,7b,7c,7dが形成されているため、第3の実施形態のMOSFETでは、P+型ポリシリコン層7a’,7a,7b,7c,7dの下側のN−型エピタキシャル層2に延びる空亡層が、迅速にN+型基板1側に到達する。その結果、トレンチ4a,4b,4c,4dの下側部分では、電界強度が他の部分に比べて最大となる。つまり、第3の実施形態のMOSFETでは、トレンチ25a,25b(図17(B)参照)の下側部分の電界強度が相対的に低くなり、トレンチ25a,25bの側面のゲート酸化膜26にかかる電界強度が低く抑えられる。そのため、第3の実施形態のMOSFETによれば、トレンチ25a,25bの側面のゲート酸化膜26にかかる電界強度が高くなるように構成されている場合よりも、トレンチ25a,25bの側面のゲート酸化膜26を安全に保護することができる。
詳細には、第3の実施形態のMOSFETによれば、トレンチ4a,4bが設けられず、トレンチ25a,25bのみが設けられているMOSFETよりも、トレンチ25a,25bの下方の電界強度を低くすることができる。
ポリシリコン層中の重金属の拡散速度がN−型エピタキシャル層2中の重金属の拡散速度よりも速く、酸化膜6中の重金属の拡散速度がN−型エピタキシャル層2中の重金属の拡散速度よりも遅い点に鑑み、第3の実施形態のMOSFETでは、図19(B)に示すように、トレンチ4a,4b,4c,4d(図15(B)参照)の内部に形成されたP+型ポリシリコン層7a’,7a,7b,7c,7dおよびトレンチ4a,4b,4c,4dの底面4a2,4b2,4c2,4d2(図15(B)参照)の酸化膜6の開口6a,6b,6c,6d(図16(A)参照)を介してP型層5a’5a,5b,5c,5dおよびN−型エピタキシャル層2に重金属が拡散される。そのため、第3の実施形態のMOSFETによれば、トレンチ4a,4b,4c,4dの底面4a2,4b2,4c2,4d2の酸化膜6の開口6a,6b,6c,6dの真下付近のP型層5a’5a,5b,5c,5dおよびN−型エピタキシャル層2に重金属(Bb,Bc(図6参照))を局所的に拡散させることができる。つまり、第3の実施形態のMOSFETによれば、トレンチ4a,4b,4c,4dの側面4a1,4b1,4c1,4d1の酸化膜6の側方のP型層5a’5a,5b,5c,5dおよびN−型エピタキシャル層2のキャリアのライフタイムを長いままに維持することができる。
また、第3の実施形態のMOSFETでは、図19(B)に示すように、トレンチ4a,4b,4c,4d(図15(B)参照)の内部に高濃度のP+型ポリシリコン層7a’,7a,7b,7c,7dが形成されている。つまり、第3の実施形態のMOSFETでは、高濃度のP+型ポリシリコン層7a’,7a,7b,7c,7dが形成されているトレンチ4a,4b,4c,4dの内部において、多数キャリアとなる正孔が十分に活性化されておらず、正孔の移動度が十分に高くなっていない。そのため、第3の実施形態のMOSFETによれば、トレンチ4a,4b,4c,4dの内部、トレンチ4a,4b,4c,4dの底面4a2,4b2,4c2,4d2(図15(B)参照)の酸化膜6の開口6a,6b,6c,6d(図16(A)参照)、および、その真下のP型層5a’5a,5b,5c,5dを介してN−型エピタキシャル層2に注入されるキャリアとしての正孔の注入量を制限することができる。
更に、第3の実施形態のMOSFETでは、図19(B)に示すように、トレンチ4a,4b,4c,4dの底面4a2,4b2,4c2,4d2(図15(B)参照)の酸化膜6の開口6a,6b,6c,6d(図16(A)参照)を介してその真下のP型層5a’5a,5b,5c,5dにライフタイムキラーとしての重金属が導入されている。つまり、第3の実施形態のMOSFETでは、トレンチ4a,4b,4c,4dの底面4a2,4b2,4c2,4d2の酸化膜6の開口6a,6b,6c,6dの真下のP型層5a’5a,5b,5c,5dにおいて、キャリアとしての正孔のライフタイムが短くなっている。そのため、第3の実施形態のMOSFETによれば、トレンチ4a,4b,4c,4dの内部、トレンチ4a,4b,4c,4dの底面4a2,4b2,4c2,4d2の酸化膜6の開口6a,6b,6c,6d、および、その真下のP型層5a’5a,5b,5c,5dを介してN−型エピタキシャル層2に注入されるキャリアとしての正孔の注入量を制限することができる。
また、第3の実施形態のMOSFETでは、図19(B)に示すように、トレンチ4a,4b,4c,4dの側面4a1,4b1,4c1,4d1(図15(B)参照)には酸化膜6が残されている。つまり、第3の実施形態のMOSFETでは、トレンチ4a,4b,4c,4dの内部、トレンチ4a,4b,4c,4dの側面4a1,4b1,4c1,4d1の酸化膜6、および、その側方のP型層5a’5a,5b,5c,5dを介してN−型エピタキシャル層2にキャリアとしての正孔が注入されることはない。
つまり、第3の実施形態のMOSFETによれば、トレンチ4a,4b,4c,4dの内部のP+型ポリシリコン層7a’,7a,7b,7c,7dの濃度が1018/cm3オーダー未満にされている場合や、トレンチ4a,4b,4c,4dの底面4a2,4b2,4c2,4d2からライフタイムキラーとしての重金属が導入されていない場合や、トレンチ4a,4b,4c,4dの側面4a1,4b1,4c1,4d1に酸化膜6が形成されていない場合よりも、N−型エピタキシャル層2へのキャリアとしての正孔の注入量を制限することができる。
更に、第3の実施形態のMOSFETでは、図19(B)に示すように、トレンチ4a,4b,4c,4d(図15(B)参照)の内部に高濃度のP+型ポリシリコン層7a’,7a,7b,7c,7dが形成されており、トレンチ4a,4b,4c,4dの内部で多数キャリアとなる正孔が十分に活性化されていない。更に、トレンチ4a,4b,4c,4dの内部のP+型ポリシリコン層7a’,7a,7b,7c,7dに拡散された重金属が、トレンチ4a,4b,4c,4dの底面4a2,4b2,4c2,4d2(図15(B)参照)の酸化膜6の開口6a,6b,6c,6d(図16(A)参照)を介して、その真下のP型層5a’,5a,5b,5c,5dおよびN−型エピタキシャル層2に局所的に分布している。
そのため、第3の実施形態のMOSFETでは、図19(B)に示すように、逆方向バイアス時に隣接する2個のトレンチ4a,4b,4c(図15(B)参照)の間の部分の真下の空亡層D1(図6参照)の下端とN+型基板1との間に存在している残留正孔(ホール)(図6参照)が、逆方向バイアスから順方向バイアスへの切換時に、重金属(Bb,Bc(図6参照))が局所的に分布されているトレンチ4a,4b,4cの底面4a2,4b2,4c2(図15(B)参照)の酸化膜6の開口6a,6b,6c(図16(A)参照)の真下のN−型エピタキシャル層2およびP型層5a’5a,5b,5c、並びに、ソース電極メタル29a,29cの電位に近い電位になっているトレンチ4a,4b,4cの内部の高濃度のP+型ポリシリコン層7a’,7a,7b,7cを介して、ソース電極メタル29a,29cに迅速に戻される。
つまり、第3の実施形態のMOSFETによれば、図19(B)に示すように、トレンチ4a,4b,4c,4dの底面4a2,4b2,4c2,4d2(図15(B)参照)の真下のP型層5a’5a,5b,5c,5dおよびN−型エピタキシャル層2に重金属が局所的に分布されていない場合や、トレンチ4a,4b,4c,4dの内部に1018/cm3オーダー以上の高濃度のP+型ポリシリコン層7a’,7a,7b,7c,7dが形成されていない場合よりも、MOSFETに内蔵された逆並列接続ダイオードの逆回復時間(trr)を短くすることができ、ソフトリカバリーを達成することができる。
更に、第3の実施形態のMOSFETでは、図19(B)に示すように、N+型層23(図16(C)参照)が、活性領域の中央部(セル領域)A1のうち活性領域の周縁部A2に隣接する部分(つまり、図19(B)中のP+型ポリシリコン層7bとN+型ポリシリコン層27bとの間の部分)に形成されておらず、その部分にP型層21が残されている。そのため、第3の実施形態のMOSFETによれば、そのP型層21が残されている部分(つまり、図19(B)中のP+型ポリシリコン層7bとN+型ポリシリコン層27bとの間の部分)を、MOSFETに逆並列接続されたダイオードとして働かせることができる。
第3の実施形態のMOSFETでは、図19(B)に示すように、活性領域の中央部(セル領域)A1と活性領域の周縁部A2とに2個のトレンチ4b,4c(図15(B)参照)が隣接して配置され、各トレンチ4b,4cの内部にP+型ポリシリコン層7b,7cが形成されるため、第3の実施形態のMOSFETによれば、N−型エピタキシャル層2へのキャリアとしての正孔の注入量を制限することができ、この部分に発生する寄生ダイオードの影響を低減することができる。
第4の実施形態では、上述した第1から第3の実施形態およびそれらの変形例を適宜組み合わせることも可能である。