JP5081864B2 - ユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザー及びユニバーサル・ヘア・テーパリングの方法 - Google Patents

ユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザー及びユニバーサル・ヘア・テーパリングの方法 Download PDF

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Description

本発明は美容室あるいは理容室において、あるいは家庭において、一種類のテーパーカットで二種以上の様々なヘアスタイルを自在に作ることのできるテーパリングを行なうことのできるヘア・テーパリングの方法に関するものである。
ヘアカットレザーは、毛髪の長さを決めるため、毛量調節を行なうため、あるいは、これらを同時に行なうため、あるいは、様々なヘアデザインを生み出すために美容及び理容技術においては、無くてはならぬ道具の一つである。
そのような目的に一般に用いられているレザーとしては、例えば、第1図に示すような、ハンドルをピボットで折りたたむことができ、これにより刃がハンドル内に挿入させることのできる折りたたみ型の替刃レザー、第2図に示すようなハンドルが刀身から一体的に直線的に伸びたスティック型の替刃レザー等が知られている。
これらの、現在、一般に使用されているレザーによるカット技法には、毛髪をそいで先細りにするテーパーカット(taper cut)、間引きをすることによって毛量調節を行なうセニングカット(thinning cut)、あるいはヘアスタイルに動きや変化を持たせるポインティングカット(pointing cut)等、様々なカットが知られているが、上記のいずれのレザーを用いても、また、上記のいずれの技法であっても、これを行なうには特別な訓練と技能とを必要とする。
その必要性が生ずる理由の一半は、第1図及び第2図に示すようなレザーを使用する場合、第3A図及び第3B図に示すような手、手首、腕の独特な姿勢と、それに伴う緊張が強いられことにあると考えられる。このような姿勢を長時間あるいは長期間に亘って繰り返されると、美容師あるいは理容師と言えども、その職業病とさえ言われ腱鞘炎に罹ってしまうことは、しばしば避け難い。これは、現在一般に使用されているレザーのゆるがせにできない欠点である。
更に、従来のテーパーカット(taper cut)技法では、一つのヘアスタイルのみの完成を目指す部分的あるいは限定的なテーパーカットであり、しかも、同一のテーパーカットを繰り返し行なうことは殆んど不可能で、その再現性は極めて低い。
即ち、従来のレザーを用いたテーパーカット技法においては、一種類のテーパーカットで、二種以上の様々なヘアスタイルを自在に作ることのでき、しかも、優れた再現性をもって、繰り返し行なえるようなテーパーカットは、これまで知られておらず、またそのようなテーパリングを可能とするようなレザーも知られていない。
本発明の目的は、一種類のテーパーカットで、二種以上の様々なヘアスタイルを自在に作ることのできるユニバーサル・ヘア・テーパリングの方法を提供することである。
本発明の目的は、以下に述べるユニバーサル・ヘア・テーパリングの方法によって達成される。



かかるユニバーサル・ヘア・テーパリングの方法は、以下のステップを含む。
(1) ヘア・パネルの底辺を垂直線に対し、右側若しくは左側に35°乃至55°の範囲の傾斜角度で設定し、該底辺からテーパリング方向に向かう先端辺までに含まれる各毛髪がそれぞれ等しい長さとなる第一ヘア・パネルを形成し、
(2) 前記第一ヘア・パネルに対し前記テーパリング方向に張力を与えつつ、その表側面を平坦に整え、
(3) 前記第一ヘア・パネルの該表側面に、毛髪を所定の角度で切断することのできる刃先を有する切れ刃を含む刃手段の該刃先と、該刃先を所定の間隔で前記第一ヘア・パネルの表側面に接触させることを許すテーパリング規制手段とを前記底辺に対して平行に配置し、これらを前記第一ヘア・パネルの表側面に密着させ、前記第一ヘア・パネルの裏面には前記第一ヘア・パネルを介して前記刃手段及び前記テーパリング規制手段をそれらの移動中、常に同一条件で保持する手段を設け、
(4) 前記第一ヘア・パネルの該表側面に対する前記刃先の傾斜角度θ1を前記刃先の長手方向に対し直角に測定したときに、0°<θ1≦40°の範囲にある一定角度で、前記刃手段を前記第一ヘア・パネルの前記底辺から前記第一ヘア・パネルの前記先端辺方向に移動させ、一定の切断角度で、且つ平滑な切断面を有するように毛髪をテーパリングし、
(5) (1)におけると同様に、前記第一ヘア・パネルと同一の方法で、同一の方向に複数のヘア・パネルを、ヘアスタイルを作る全領域に形成し、各ヘア・パネルを形成する毎に、前記(1)から(4)までの工程を行ない、
(6) ヘア・パネルの底辺が垂直線に対し、前記第一ヘア・パネルとは反対側に35°乃至55°の範囲の傾斜角度で、該底辺からテーパリング方向に向かう先端辺までに含まれる各毛髪がそれぞれ等しい長さとなるように第二ヘア・パネルを形成し、
(7) 前記第二ヘア・パネルと同一の方法で、同一の方向に、複数のヘア・パネルを、ヘアスタイルを作る全領域に形成し、各ヘア・パネルを形成するごとに、前記(1)から(4)までの工程を行なう。
上記のユニバーサル・ヘア・テーパリングの方法は上記の本発明のユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザーを用いれば、これを確実に行なうことができる。
第1図は従来の折りたたみ型替刃のレザーの斜視図。 第2図は従来のスティック型の替刃のレザーの斜視図。 第3A図及び第3B図は、それぞれ従来のレザーを使用したときの手と手首の姿勢を示す斜視図。 第4A図は本発明のユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザーの実施例の表側面の斜視図。 第4B図は本発明のユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザーの実施例の表側面の平面図。 第5A図は本発明のユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザーの実施例の表側面から見たときの刀身部1の先端部のテーパリング規制部材1sを省略した部分斜視図。 第5B図は本発明のユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザーの実施例の裏側面から見たときの刀身部1の先端部のテーパリング規制部材1sを省略した部分斜視図。 第5C図は本発明のユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザーの実施例の第4B図のA-Aにおけるテーパリング規制部材1sを省略した刀身部1の断面図。 第5D図は、刃1aの切れ刃1bに沿って設けられたテーパリング規制部材1sが示されている第5B図に対応する刀身部1の先端部の部分斜視図。 第6A図は本発明のユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザーの実施例の裏側面の斜視図。 第6B図は本発明のユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザーの実施例の裏側面の平面図。 第7A図は第4B図に示す矢印Rの方向から見た本発明のユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザーの実施例の柄部3の斜視図。 第7B図は第4B図に示す矢印Rの方向から見た本発明のユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザーの実施例の柄部3の側面図。 第8図は本発明のユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザーを用いてテーパリングを行なうに際し、テーパリングすべき毛束、即ち、パネルを形成するステップを説明するための説明図。 第9A図及び第9B図は本発明のユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザーを用いて行なうユニバーサル・ヘア・テーパリングを説明するための説明図。 第10A図は本発明のユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザーを用いて行なうユニバーサル・ヘア・テーパリング動作を説明するための説明図。 第10B図は本発明のユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザーを用いて行なうユニバーサル・ヘア・テーパリングを行なうときの原理を説明するための説明図。 第10C図は本発明のユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザーにおける刃の切れ刃に沿って設けられたテーパリング規制部材の機能を説明するための説明図。 第10D図は本発明のユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザーによってテーパリングされたパネルの先端部を示す説明図。 第11図は本発明によるユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザーを用いてテーパリングを行なったときの切断された毛髪の先端部の顕微鏡写真。 第12図は従来のレザーを用いてテーパリングを用いてテーパリングを行なったときの切断された毛髪の先端部の顕微鏡写真。 第13図は本発明によるユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザーを用いて各パネルHPに対し左右から頭髪全体にユニバーサル・ヘア・テーパリングを行なったときに各パネルの先端が一つの滑らかな連続した線上に乗ることを説明するための説明図。 第14A図、第14B図及び第14C図は、それぞれ本発明によるユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザーを用いてユニバーサル・ヘア・テーパリングを行なったときにいずれの方向へも髪を整えることができ、様々なヘアスタイルを自在に作ることが可能であること説明するための説明図。
本発明のユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザーの好ましい実施例においては、刀身部、該刀身部の一端に連結する刀腰部、該刀腰部を介して該刀身部に連結する柄部とを備えたレザーであって
前記刀身部は、
毛髪の毛根側から毛先側に向かうテーパリング方向に毛髪を所定の角度で切断するための刃先を有する切れ刃を含む刃手段、前記刃先に沿って設けられ、所定の間隔で前記刃先より所定の高さで突出して形成された複数の突出縁部を含み、該刃先を前記複数の突出縁部の所定の間隔に対応する所定の間隔で毛髪に接触させることを許して、毛髪のテーパリングを規制するテーパリング規制手段、テーパリングすべき毛髪に密着することができる外部表面を有する平坦部を含む、前記切れ刃を保持するための切れ刃保持手段とを含み、前記切れ刃を有する刃手段は、前記切れ刃の前記刃先が前記切れ刃保持手段の前記平坦部の前記外部表面を含む基準平面と同一面にあり、前記切れ刃の刀背中心線と前記刃先とを貫く前記切れ刃の中心面と前記基準平面とのなす傾斜角度を前記刃先の直角方向において、かつ前記テーパリング方向の前記刀身部に対して上流側において、前記基準面から前記切れ刃の中心面に向かう角度と定義し、これを前記切れ刃の傾斜角度とすると、その傾斜角度θ1は0°<θ1≦40°の範囲にあり、
前記柄部は前記刀身部の長手中心線からテーパリング方向の下流側に傾斜し設けられ、前記切れ刃の中心面を含む面において、その傾斜角度θ2は10°≦θ2≦40°の範囲にあることを特徴とするユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザーである。
上記のユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザーは、前記切れ刃保持手段が、前記切れ刃の前記中心面を境に互いに対向して設けられた基準刀肩部と対向刀肩部とを含み、それらの二つの刀肩部の間に前記テーパリング規制手段と前記切れ刃を有する刃手段とを挟持するように設けられ、前記基準刀肩部は、前記平坦部を含み、前記基準刀肩部の前記平坦部の側を前記柄部の裏側とし、前記テーパリング規制手段と前記切れ刃を有する刃手段とをその間において前記基準刀肩部の反対側にある前記対向刀肩部の側を前記柄部の表側とする構成でもよい。
更に、本発明のユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザーにおいては、操作性の観点から、前記柄部は、前記対向刀肩部と同側の表側面に平坦部を含み、前記柄部の前記平坦部の表側面は前記基準平面に対し傾斜し、その傾斜角度を前記刃先の直角方向において、かつ前記テーパリング方向の上流側において前記基準平面から前記柄部の前記表側面に向かう角度と定義すると、その傾斜角度θ3は0°<θ3≦40°の範囲にあることが好ましい。
本発明のユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザーにおいては、前記切れ刃を有する刃手段及び前記テーパリング規制手段は前記基準刀肩部及び前記対向刀肩部から着脱可能である構成でもよい。
第4A図は本発明のユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザーの実施例の表側面の斜視図である。第4A図において、1は刀身部、2は刀腰部、3は柄部を示す。
第4B図は本発明のユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザーの実施例の表側面の平面図である。
第4A図及び第4B図に示すように、本発明のユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザーの実施例は、刀身部1、刀身部1の一端に一体的に連結した刀腰部2、及び該刀腰部2を介して該刀身部1に一体的に連結している柄部3からなる。
第5A図は本発明のユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザーの実施例の表側面から見たときの刀身部1の先端部の部分斜視図である。この図においては、説明の便宜上、切れ刃1aの刃先1bに沿って設けられている、後に説明するテーパリング規制部材1sは省略されている。
第5B図は本発明のユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザーの実施例の裏側面から見たときの刀身部1の先端部の部分斜視図である。この図においても、説明の便宜上、刃1aの切れ刃1bに沿って設けられている、後に説明するテーパリング規制部材1sは省略されている。
第5C図は第4B図における刀身部1のA-Aの断面図である。第5C図においても、説明の便宜上、前記テーパリング規制部材1sは省略されている。
第5A図、第5B図及び第5C図に示すように、刀身部1は、切れ刃1aと、切れ刃1aの刃先1bとを所定のテーパリング方向に保持して刃1aを間に挟み込むように、刀身部1の切れ刃1aの刀中心面1hを境に互いに対向して一体的に設けられた基準刀肩部1cと対向刀肩部1dとを含み、基準刀肩部1cは刃先1bの長手方向に平行に伸張して設けられた平坦部1eを有し、平坦部1eの外部表面と刃先1bとは同一基準平面1g上にあり、この基準平面1gと、第5A図に明示する刀身部1の切れ刀1aの背刀の長手方向の中心線1f、即ち、刀背中心線1fと刃先1bとを貫く刃中心面1hとのなす刃1aの傾斜角度を、前記刃先1bの長手方向に対し直角方向で、かつ前記テーパリング方向の上流側Uにおいて前記基準平面1gから前記刃中心面1hに向かう角度と定義し、これを切れ刃1aの傾斜角度θ1とすると、切れ刃1aの傾斜角度θ1は、0°<θ1≦40°の範囲にある。
第4A図及び第4B図に示すように、柄部3は刀身部1に対してテーパリング方向の下流側、即ち、D方向に、傾斜して設けられ、対向刀肩部1dと同側に平坦な表側面3aを有し、且つ、第4B図に示すように柄部3の長手方向の中心線3nが前記切れ刃1aの長手方向の中心線1mとなす、前記表側面3aにおける、前記テーパリング方向の下流方向に向かう傾斜角度θ2は10°≦θ2≦40°の範囲にある。
更に、第4A図及び第4B図に示すように、柄部3の表側面3aにおいて、刀腰部2に近い側に操作者が柄部3を所定位置で握れるように、親指を乗せるための浅い窪み3sdが設けられている。
第5D図は第5B図に対応する刀身部1の先端部の部分斜視図である。第5D図においては、切れ刃1aの刃先1bに沿って設けられたテーパリング規制部材1sが示されている。第5D図に示されているようにテーパリング規制部材1sは所定の間隔で刃先1bより所定の高さで突出して形成された複数の突出縁部1spを有し、これにより刀身部1をテーパリング方向の上流側から下流側、即ち、矢印Uから矢印D方向に移動させるにしたがって、後に説明するように、テーパリング規制部材1sの突出縁部1spの間隔に対応して切れ刃1bが所定の間隔で髪に当接し、これにより所定の間隔で順次テーパリングがされる。
第6A図は、本発明のユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザーの実施例の裏側面の斜視図である。この図に示されているように、柄部3の裏側面3bにおいては、操作者が人差し指から小指までを定位置に置いて柄部3を握れるように、それらの位置が柄部3を触って認識できるような複数の突起が設けられている。これらの突起は柄部3の表側面3aに設けた操作者の親指を乗せ安定させるための浅い窪み3sdに対応するものである。
第6B図は本発明のユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザーの実施例の裏側面の平面図である。この図に示されているように本発明のユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザーの実施例の前記刀身部1において、その基準刀肩部1cの平坦部1eが刃先1bの長手方向に平行に伸張して設けられている。
第7A図及び第7B図に示すように、本発明のユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザーにおいては、前記柄部3の表側面3aは前記基準平面1gに対し傾斜していてもよく、そのときは、その傾斜角度を刃先1bの長手方向に対して直角方向において、かつ前記テーパリング方向上流側Uにおいて、前記基準平面1gから前記柄部の前記表側面3aに向かう角度と定義すると、その傾斜角度θ3は0°<θ3≦40°の範囲であることが操作性の点から好ましい。
本発明のユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザーを用いるユニバーサル・テーパリングを行なうときには、第8図に示すように、テーパリングすべき毛束、即ち、ヘア・パネルHPは左手の中指LMと左手の人差し指LFとの間に挟み、第9A図又は第9B図に示すように頭部を垂直に立てたとき、その毛根側底辺PBを垂直方向に対し左方向又は右方向に、例えば、45°下方に傾斜して設け、且つそのパネル底辺PBから毛先側先端辺PTまでに含まれる毛髪が等しい長さであるように櫛を用いて髪を整える。
第10A図は、このようにして整えられたパネルの先端辺PTに向かって所定の長さで一定の刃角、即ち、前記の傾斜角度θ1を0°<θ1≦40°の範囲にある一定の刃角を保ちつつ、テーパリング動作を行うステップを示す。前述のように、パネルHPの傾きは、左右いずれの方向でもよいが、垂直方向に対して、例えば、45°の方向に作り、矢印Uから矢印Dに向かう方向、即ち、毛根側から毛先方向に一定の張力を加えながらテーパリング動作を行う。
第10B図は、本発明のユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザーを用いてテーパリングをするときの実際を原理的に説明するための断面図である。説明の便宜上、第10B図においてはテーパリング規制部材1sは省略されている。
前述のように、本発明のユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザーを用いるテーパリングは、次のように行なわれる。
第10A図に示すように、ヘア・パネルHPに矢印Uから矢印Dに向かう方向、即ち、毛根側から毛先方向に一定の張力を加えながら、パネルHPの表側面に刀身部1の基準刀肩部1cの平坦部1eを密着させ、同時に左手の人差し指LFはパネルHPの表側に密着させ、パネルHPの裏側を左手の中指LMで下支えしながら、刃先1bをパネルHPの表側に当て、柄部3を握って刀身部1を矢印Uから矢印Dで示すテーパリング方向に移動させる。
ここにおいて基準刀肩部1cの平坦部1eはテーパリングすべきパネルHPの表面を整え、かつ、そのパネルHPの表面に対する切れ刃1aの傾斜角度θ1を一定に保つ働きをし、更に、パネルHPのテーパー面の裏側を下支えする左手の中指LMと協働してパネルHPのテーパリング条件を常に一定にする働きをしている。これにより、本発明のユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザーを用いたときには、所定の刃角を保ちつつ、パネルの長さを任意に選んでテーパリングを行なうことが可能である。
本発明によるユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザーにおいては前記の刃1aの傾斜角度θ1が前述のように0°<θ1≦40°の範囲にあるとき、これを用いてテーパリングを施した各パネルの先端は第13図に示すような一つの滑らかな連続した線上に乗る。このようなユニバーサル・テーパリングを行なうためには、好ましくは、10°≦θ1≦35°、より好ましく20°≦θ1≦32°、更により好ましくは、28.5°≦θ1≦29.5°である。この傾斜角度θ1が前記の範囲0°<θ1≦40°を外れて、例えば、θ1を45°としたときには、ユニバーサル・ヘア・テーパリングを行なうのに必要な前記の4つの条件のうちの少なくとも1つが満たされず、第13図に示すような髪のまとまりは不可能になる。
ここにおいて、テーパリング規制部材1sは、第5D図に示すように刃1aの切れ刃1bに沿って設けられている。これにより、第10C図に示すように、上記のようなテーパリングを行えば、切れ刃1bは、テーパリング規制部材1sの突出縁部1spの間隔に対応して所定の間隔に髪に対する当接し、所定の間隔でテーパリングの規制がされる。これら突出縁部1spの隣り合う頂点と頂点の距離は約4mm、実際に髪に当接する切れ刃1bの各部分は約2mm、切れ刃1bから突出している突出縁部1spの頂点までの距離は約1mmであることが好ましい。
更に、本発明のユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザーを用いるユニバーサル・テーパリングにおいては、第9A図及び第9B図に示すように、ヘア・パネル下端辺PBを垂直方向に対し、例えば、45°下方に作るに際し、それを左下方に作るときも、右下方に作るときも、左右の手の構えは全く同一で、いずれの側の手首にも腕にも何らの緊張を生じさせず、自然に伸びている形になっており、操作者は、その左右の手の構えでテーパリング方向にその身体の重心を移動させるだけの自然な姿勢で、このテーパリングを行なえばよい。これを可能にしているのは、右手で握っている柄部3が第4A図及び第4B図に示すように、刀身部1に対してテーパリング方向の下流側に傾斜して設けられ、第4B図に示すように柄部3の長手方向の中心線3nが前記刃1aの長手方向中心線1mとなす、傾斜角度θ2が10°≦θ2≦40°の範囲にあるように設計されているからである。この目的のため、この傾斜角度θ2は、好ましくは25°≦θ2≦35°、更により好ましくは、28°≦θ2≦33°である。
更に、前記柄部3の表側面3aが前記基準平面1gに対し、0°<θ3≦40°の範囲にある傾斜角度θ3であることが好ましいことは前記のとおりであるが、これも操作者の手首にも腕にも緊張を生じさせない効果があり、この目的のため、この傾斜角度θ3は、10°≦θ3≦35°であることがより好ましく、20°≦θ3≦32°であることが更により好ましい。
傾斜角度θ2及び傾斜角度θ3の上記のような範囲に設定することにより、操作者の手首にも腕にも何らの緊張を生じさせない自然な姿勢によるテーパリング動作をより確実なものにしている。
これは、第1図及び第2図に示すようなレザーを使用する場合に、避け難かった第3A図及び第3B図に示すような手、手首あるいは腕に対する独特な緊張、それが、長時間あるいは長期間に亘れば避け難かった、美容師あるいは理容師の職業病とさえ言われ腱鞘炎から彼らを解放することになる。
第10D図は、このようにしてテーパリングされたときのパネルの先端部を示す。
第11図は本発明によるユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザーを用いてテーパリングを行なったときの切断された毛髪の先端部の顕微鏡写真である。この写真から分かるように、本発明によるユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザーを用いてテーパリングを行なえば、パネルに含まれる毛髪の先端が一定の角度でテーパリングされ、しかも、 その切断面が平滑であることがわかる。
第12図は従来のレザーを用いてテーパリングを用いてテーパリングを行なったときの切断された毛髪の先端部の顕微鏡写真である。この写真から分かるように、従来のレザーを用いてテーパリングを行なえば、パネルに含まれる毛髪の先端の切断角度は、一定ではなく、その切断面は平滑ではないことがわかる。
このように、本発明によるユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザーによれば、前述の4つの条件、即ち、(1) テーパリングすべき毛束、即ち、ヘア・パネルの所定の長さに対して、所定の刃角を保ちつつテーパリング動作を行うことができる、(2) 一定の切断角で毛髪をテーパリングできる、(3) 平滑な切断面で毛髪をテーパリングできる、(4) 上記のテーパリングを、平均約10万本にも及ぶ頭髪の全体のいずれの方向においても同一条件で行なうことができるという、4つの条件を満たすテーパリングが可能である。
本発明のユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザーを用いるユニバーサル・テーパリングにおいては、上記のテーパリング動作を第9A図及び第9B図に示すように、右方向又は左方向に頭髪全体に亘って行い、次にその逆方向、左方向または右方向に特定のヘアスタイルを作る領域全体に亘って行う。より具体的には、本発明のユニバーサル・ヘア・テーパリングの方法は以下のステップを含む。
(1) 前述のように、本発明においては、ヘア・パネルの底辺PBは、垂直線Vに対し、
右側若しくは左側に35°乃至55°の範囲で設定するが、第9A図又第9B図では、ヘア・パネルの底辺PBを垂直線Vに対し、右側若しくは左側に45°の傾斜角度で設定する例を示している。第9A図又第9B図に示すように、ヘア・パネルの底辺PBを垂直線Vに対し、右側若しくは左側に、例えば、45°の傾斜角度で設定し、該底辺PBからテーパリング方向に向かう先端辺PTまでに含まれる各毛髪がそれぞれ等しい長さとなる第一ヘア・パネルを形成する。
(2) 前記第一ヘア・パネルに対し前記テーパリング方向に張力を与えつつ、その表側面を平坦に整える。
(3) 前記第一ヘア・パネルの該表側面に、毛先を所定の角度で切断することのできる刃先を有する切れ刃を含む刃手段の該刃先と、該刃先を所定の間隔で第一ヘア・パネルの表側面に当接させることを許すテーパリング規制手段とを前記底辺PBに対して平行に配置し、これらを前記第一ヘア・パネルの該表側面に密着させる。前記第一ヘア・パネルの裏面には前記第一ヘア・パネルを介して前記刃手段及び前記テーパリング規制手段をそれらの移動中、常に同一条件で保持する手段を設ける。
(4) 前記第一ヘア・パネルの該表側面に対する前記刃先の傾斜角度θ1を前記刃先の長手方向に対し直角に測定したときに、0°<θ1≦40°の範囲にある一定角度で、前記刃手段を前記第一ヘア・パネルの前記底辺から前記第一ヘア・パネルの前記先端辺に向かって移動させ、一定切断角度で、且つ、平滑な切断面を有するように毛髪をテーパリングする。
(5) 上記ステップ(1)と同様に、前記第一ヘア・パネルと同一の方法で、同一の方向に、複数のヘア・パネルを、ヘアスタイルを作る全領域に形成し、各ヘア・パネルを形成する毎に、それぞれのヘア・パネルに対し、前記(1)から(4)での工程を行なう。
(6) 第9A図又第9B図に示すように、ヘア・パネルの底辺PBが垂直線Vに対し、前記第一ヘア・パネルとは反対側に、例えば、45°の傾斜角度で、該底辺からテーパリング方向に向かう先端辺PTまでに含まれる各毛髪がそれぞれ等しい長さとなるように第二ヘア・パネルを形成する。
(7) 前記第二ヘア・パネルと同一の方法で、同一の方向に、複数のヘア・パネルを、ヘアスタイルを作る全領域に形成し、各ヘア・パネルを形成するごとに、それぞれのヘア・パネルに対し、前記(1)から(4)までの工程を行なう。
上記のユニバーサル・ヘア・テーパリングの方法において、前記刃先の傾斜角度θ1は、好ましくは、10°≦θ1≦35°、より好ましく20°≦θ1≦32°、更により好ましくは、28.5°≦θ1≦29.5°である。
このような、テーパリングは、本発明のユニバーサル・ヘア・テーパリング・レザーを用いれば、確実に行なうことができ、このようなテーパリングを各パネルHPについて頭髪全体又はヘアスタイルを作る全領域に行なえば、第13図に示すように各パネルの先端が一つの滑らかな連続した線上に乗り、更に、このようなテーパリングがされると、例えば、第14A図から第14C図に示すようにいずれの方向へも髪を整えることができ様々なヘアスタイルを自在に作ることが可能である。
1 刀身部
1a 切れ刃
1b 刃先
1c 基準刀肩部
1d 対向刀肩部
1e 平坦部
1f 刀身部1の切れ刃1aの刀背の長手方向の中心線 (刀背中心線)
1g 基準平面
1h 刃中心面
1m 切れ刃1aの長手方向中心線
1s テーパリング規制部材
1sp テーパリング規制部材の突出縁部
θ1 切れ刃1aの傾斜角度
θ2 柄部3の傾斜角度
θ3 柄部3の表側面3aの傾斜角度
2 刀腰部
3 柄部
3a 柄部3の表側面3a
3b 柄部3の裏側面
3n 柄部3の長手方向の中心線
3sd 親指を乗せるための浅い窪み
D 刀身部1に対してテーパリング方向の下流側
U 刀身部1に対してテーパリング方向の上流側
HP ヘア・パネル
LM 左手中指
LF 左手人差し指
PB パネル下端辺
PT パネル先端辺
R 第4B図に示す矢印

Claims (4)

  1. 毛髪を削いで先細りにするヘア・テーパリングの方法において、
    (1) ヘア・パネルの底辺を垂直線に対し、右側若しくは左側に35°乃至55°の範囲の傾斜角度で設定し、該底辺からテーパリング方向に向かう先端辺までに含まれる各毛髪がそれぞれ等しい長さとなる第一ヘア・パネルを形成し、
    (2) 前記第一ヘア・パネルに対し前記テーパリング方向に張力を与えつつ、その表側面を平坦に整え、
    (3) 前記第一ヘア・パネルの該表側面に、所定の角度で毛髪を切断することのできる刃先を有する切れ刃の該刃先と、該刃先を所定の間隔で第一ヘア・パネルの表側面に当接させることを許すテーパリング規制手段とを前記底辺に対して平行に配置して、前記第一ヘア・パネルの該表側面に密着させ、前記第一ヘア・パネルの裏面には前記第一ヘア・パネルを介して前記切れ刃及び前記テーパリング規制手段をそれらの移動中、常に同一条件で保持する手段を設け、
    (4) 前記第一ヘア・パネルの該表側面に対する前記刃先の傾斜角度θ1を前記刃先の長手方向に対し直角に測定したときに、0°<θ1≦40°の範囲にある一定角度で、前記切れ刃を前記第一ヘア・パネルの前記底辺から前記第一ヘア・パネルの前記先端辺まで移動させ、一定の切断角度で、且つ平滑な切断面を有するように毛髪をテーパリングし、
    (5) 前記第一ヘア・パネルと同一の方法、同一の方向に複数のヘア・パネルを、ヘアスタイルを作る全領域に形成し、各ヘア・パネルを形成する毎に、前記(1)から(4)までの工程を行ない、
    (6) ヘア・パネルの底辺が垂直線に対し、前記第一ヘア・パネルとは反対側に35°乃至55°の範囲の傾斜角度で、該底辺からテーパリング方向に向かう先端辺までに含まれる各毛髪がそれぞれ等しい長さとなるように第二ヘア・パネルを形成し、
    (7) 前記第二ヘア・パネルと同一の方法、同一の方向に、複数のヘア・パネルを、ヘアスタイルを作る全領域に形成し、各ヘア・パネルを形成するごとに、前記(1)から(4)までの工程を行なう、前記(1)から(7)までの工程を行なうことを特徴とするユニバーサル・ヘア・テーパリング方法。
  2. 請求項のユニバーサル・ヘア・テーパリング方法において、前記傾斜角度θ1は10°≦θ1≦35°の範囲にあることを特徴とする。
  3. 請求項のユニバーサル・ヘア・テーパリング方法において、前記傾斜角度θ1は20°≦θ1≦32°の範囲にあることを特徴とする。
  4. 請求項のユバーサル・ヘア・テーパリング方法において、前記傾斜角度θ1は28.5°≦θ1≦29.5°の範囲にあることを特徴とする。
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