JP5080719B2 - キャリア箔付金属箔及びそのキャリア箔付金属箔の製造方法並びにそのキャリア箔付金属箔を用いた非水電解液二次電池の集電体 - Google Patents

キャリア箔付金属箔及びそのキャリア箔付金属箔の製造方法並びにそのキャリア箔付金属箔を用いた非水電解液二次電池の集電体 Download PDF

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Description

本件発明は、キャリア箔付金属箔及びそのキャリア箔付金属箔の製造方法並びにそのキャリア箔付金属箔を用いたリチウムイオン二次電池の集電体に関する。特に、リチウムイオン二次電池の集電体の製造に用いたときの高い引張り強さを発揮し、且つ、薄い金属箔を得るためのキャリア箔付金属箔として有用である。
近年、携帯用PCやビデオカメラ等のポータブル電子機器用電源もしくは電気自動車用電源として高容量の非水電解液二次電池の需要が高まっており、特に高出力の電力を取り出せる非水電解液二次電池としてリチウムイオン二次電池の普及には目覚ましいものがある。
従来から、この非水電解液二次電池の負極活物質を担持して用いる負極集電体として18μm厚さ前後の銅箔が広く用いられてきた。この銅箔としては、電解銅箔又は圧延銅箔を使用することが可能である。そして、負極活物質としては、炭素材料、特に黒鉛質炭素が用いられているが、より高容量のシリコン、錫又はこれらの合金が新たに提案されている。非水電解液二次電池の負極は、例えば集電体に負極活物質を塗布又はメッキすることによって形成されるものである。
この負極集電体として用いられる銅箔は、その表面に負極活物質を塗布又はメッキする等して、例えば400℃程度の温度で10時間以上加熱処理し、活物質を表面に担持する操作が行われるのが一般的である。
そして、特許文献1にあるように、銅箔からなる集電体層とその片面又は両面に積層されている銀等からなる中間層とその上に積層されているシリコン、Sn又はこれらの合金からなる活物質層とによって構成されているリチウム電池用負極において、集電体層と中間層との界面に集電体層のCuと中間層の元素とが相溶している合金相が形成されていると共に、中間層と活物質層との界面に中間層の元素と活物質層のシリコン、Sn又はこれらの合金とが相溶している合金相が形成されているリチウム電池用負極が記載されている。特許文献1は、集電体層と活物質層との間に中間層を設け層間密着性を向上させ、充放電寿命を長くするものではある。
また、特許文献2には、電気化学的又は化学的にリチウムを吸蔵・放出可能な活物質膜を、集電体上に堆積したリチウム二次電池用電極であって、集電体として銅合金を用い、その引張強さ、比例限界及び弾性係数が一定以上であり、かつ集電体の面の表面粗さRaが0.01〜1μmであるリチウム二次電池用電極が記載されている。
さらに、特許文献3には、表面粗さRaが0.2μm以上の導電性金属箔を集電体とし、ケイ素及び/又はケイ素合金を含む活物質粒子と、銅又は銅合金等の導電性金属粉末の混合物を、集電体の表面上で非酸化性雰囲気に焼結して得られるリチウム二次電池用電極が開示されている。
特開平2004−22306号公報 特開平2003−7305号公報 特開平2002−260637号公報
しかしながら、負極集電体には、2つの問題点が存在していた。以下、2つの問題点を分別して説明することとする。
(物理的強度から見た問題点)
集電体である銅箔表面へ、400℃程度の熱処理により活物質を担持すると、通常の電解銅箔及び圧延銅箔は再結晶化が起こり、軟化現象が発生する。その結果、銅箔の引張り強さが低下し、伸び率が高くなるのである。一方、二次電池の負極材を構成する活物質は、充放電を行う場合には膨張及び収縮するのが常であり、集電体層を構成する銅箔にその膨張及び収縮による応力が負荷されることになる。
その結果、加熱により引張り強さが低下し、伸び率の大きくなった銅箔は、活物質の膨張の挙動に追従し伸びた状態で塑性変形し、収縮挙動には追従できなくなり変形した状態が維持される。このように非水電解液二次電池の負極集電体が変形してしまうと、その結果として充放電特性が低下し、規格に定める定格電流を出力できず、電池寿命としても短くなる。現在市場を流通している銅箔では、加熱を受ける前の常態での引張り強さが40kgf/mm〜60kgf/mm、伸び率は3.0%以上であり、400℃×10時間程度の熱処理を受けると引張り強さは20kgf/mm〜33kgf/mm、伸び率は5.0%以上であり、相当な軟化が起こっていることが分かる。
上述の特許文献に開示の発明においても、非水電解液二次電池の充放電時の集電体の変形防止は達成できていない。特許文献1は、集電体層と活物質層との間に中間層を設けるものであり、その目的は充放電寿命を長くするものではあるが、特許文献1は集電体を構成する銅箔の高温での加熱処理後の抗張力の低下を防止することによって、高い充放電特性を付与するものではない。
また、特許文献2は、集電体の特性、物性を規定することによって、充放電により集電体にしわ等の変形の発生するのを抑制し、リチウム二次電池の体積当たりのエネルギー密度を高めるものであるが、特許文献2は集電体を構成する銅箔の高温での加熱処理後の抗張力の低下を防止することによって、高い充放電特性を付与するものではない。
更に、特許文献3は、一定以上の表面粗さRaを有する導電性金属箔を集電体とし、特定の活物質粒子と導電性金属粉末の混合物の層を集電体表面上で焼結することによって、高い放電容量及び優れた充放電サイクルを得るものであるが、この特許文献3も集電体を構成する銅箔の高温での加熱処理後の抗張力の低下を防止することによって、高い充放電特性を付与するものではない。
(集電体の厚さから見た問題点)
現在の電子機器及び電気機器等は、軽薄短小化の流れを受け、電子及び電気機器に持ち運び可能というハンディ特性が強く要求される。例えば、ノートブックタイプのパーソナルコンピュータでは、軽量化という観点からの市場競争には目を見張るものがあり、非水電解液二次電池が一般的に使用されてきた。ところが、現実には、ノートブックタイプのパーソナルコンピュータ重量の中で、電池自体が非常に大きな重量を占めているのが現実である。従って、現在の充放電可能な電池には、電池自体の軽量化ということが常に求められてきた。
そこで、従来から非水電解液二次電池の構成材料の軽量化という観点からのアプローチがなされており、負極集電材もその例外ではなかった。非水電解液二次電池の軽量化を図ろうとすると、負極集電材の厚さを薄くすることが電池の小型化及び軽量化の観点から好ましい。しかしながら、従来の銅箔等の金属箔を用いる限りには、その薄層化にも限界が存在した。
以上のことから、市場では非水電解液二次電池の長寿命化と品質安定性を図るため、400℃×10時間程度の熱処理を受けても、箔としての引張り強さが50kgf/mm以上の引張り強さを備える抗軟化特性に優れ、且つ非水電解液二次電池としてのトータル重量の軽量化の図れる薄い金属箔が求められてきたのである。
そこで、本件発明者等は、鋭意研究の結果、以下に示すキャリア箔付金属箔の金属箔部を非水電解液二次電池の集電体を製造するために用いれば、強度と厚さの問題とを解決出来ることに想到したのである。以下、本件発明に関して説明する。
<本件発明に係るキャリア箔付金属箔>
本件発明に係るキャリア箔付金属箔は、「非水電解液二次電池の集電体を製造するための金属箔と接合界面層とキャリア箔とからなり、金属箔とキャリア箔とが接合界面層を介し積層した状態にあるキャリア箔付金属箔において、前記金属箔は、電解析出により形成した硬質ニッケル層若しくは電解析出により形成したニッケル合金層であり、トータル厚さ10μm以下であることを特徴とするキャリア箔付金属箔。」である。図1に、このキャリア箔付金属箔の模式断面図を示している。以下、このキャリア箔付金属箔を「第1キャリア箔付金属箔」と称する。図1から理解出来るように、第1キャリア箔付金属箔1aは、基本的にキャリア箔2と接合界面層3と金属箔4とからなっている。
また、他の本件発明に係るキャリア箔付金属箔は、「非水電解液二次電池の集電体を製造するための金属箔と接合界面層とキャリア箔とからなり、金属箔とキャリア箔とが接合界面層を介し積層した状態にあるキャリア箔付金属箔において、前記金属箔は、電解析出により形成した硬質ニッケル層若しくは電解析出により形成したニッケル合金層と銅層とが積層したものであり、トータル厚さ10μm以下であることを特徴とするキャリア箔付金属箔。」である。図2に、このキャリア箔付金属箔の一例の模式断面図を示している。以下、このキャリア箔付金属箔を「第2キャリア箔付金属箔」と称する。図2から分かるように、第2キャリア箔付金属箔1bは、基本的にキャリア箔2と接合界面層3と金属箔4とからなっている。ところが、第2キャリア箔付金属箔1bの金属箔4は、少なくとも銅層5が存在し、図2(a)及び図2(b)に示すように銅層5の片面に電解析出により形成した硬質ニッケル層(若しくは電解析出により形成したニッケル合金層)6が存在する場合、図2(c)に示すように銅層6の両面に電解析出により形成した硬質ニッケル層(若しくは電解析出により形成したニッケル合金層)6が存在する場合とがあるのである。即ち、第2キャリア箔付金属箔1bの金属箔4は、複合箔となっているのである。
図1及び図2に示す如きキャリア箔付金属箔の層構成を採用し、後述する製造方法を採用することで、金属層を薄く製造することが可能であり、しかも、製品化される直前までキャリア箔が金属層と一体化した状態で支持し保護するため、金属層にシワ、割れ、折れ等の欠陥が発生することが無くなるのである。以下、キャリア箔、接合界面層、金属箔(層)のそれぞれに関して説明する。但し、第1キャリア箔付金属箔と第2キャリア箔付金属箔とで異なるのは、金属箔部分であり、この点は区分して述べることとする。
(キャリア箔)
ここでキャリア箔2として用いることの出来るのは、アルミ箔、銅箔等の金属箔、及び導電性を有する有機フィルム等である。導電性を要求するのは、以下に述べる製造方法に起因するものである。このキャリア箔2の厚さは特に限定はないが、キャリア箔2が存在することで、金属層4が非常に薄くとも、作業者によるハンドリングが極めて容易なものとなるのである。
(接合界面層)
そして、このキャリア箔2の表面に設ける接合界面層3に関して説明する。接合界面層を何で形成するかにより、キャリア箔付金属箔のキャリア箔をエッチング除去することを要するエッチャブルタイプと、当該キャリア箔を引き剥がし除去することの出来るピーラブルタイプとに分かれることになる。本件発明の場合には、本件発明に係るキャリア箔付金属箔を用いて非水電解液二次電池の集電体を製造するプロセスを考えるに、ピーラブルタイプとして用いることが有利であると判断している。
従って、ピーラブルタイプの場合には、接合界面層の形成に、金属材を用いる場合には亜鉛又はクロム、クロメートに代表される金属酸化物等を厚い層とするか、有機剤を用いるかである。特に、ピーラブルタイプの場合には、有機剤を用いて接合界面層を形成することが望ましい。キャリア箔を引き剥がすときの引き剥がし強度を低位で安定化させることが出来るからである。ここで用いる有機剤は、具体的には以下の通りである。
有機剤としては、窒素含有有機化合物、硫黄含有有機化合物及びカルボン酸の中から選択される1種又は2種以上からなるものを用いるのである。そして、窒素含有有機化合物には、置換基を有する窒素含有有機化合物を含んでいる。具体的には、窒素含有有機化合物としては、置換基を有するトリアゾール化合物である1,2,3−ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、N’,N’−ビス(ベンゾトリアゾリルメチル)ユリア、1H−1,2,4−トリアゾール及び3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール等を用いることが好ましい。
硫黄含有有機化合物には、メルカプトベンゾチアゾール、チオシアヌル酸及び2−ベンズイミダゾールチオール等を用いることが好ましい。
カルボン酸は、特にモノカルボン酸を用いることが好ましく、中でもオレイン酸、リノール酸及びリノレイン酸等を用いることが好ましい。
これらの有機剤を用いた接合界面層の形成は、有機剤を含んだ溶液の中にキャリア箔を浸漬する方法、キャリア箔の面に対し有機剤を含んだ溶液をシャワーリング若しくは滴下する方法、キャリア箔に有機剤を電着させる方法等を採用することができる。但し、浸漬法の場合には、不可避的に接合界面層がキャリア箔の両面に形成されることになるが、何ら問題はない。
(金属箔(層))
第1キャリア箔付金属箔の金属箔: 金属箔に、電解析出により形成した硬質ニッケル層若しくは電解析出により形成したニッケル合金層を用いたのは、これらが耐熱特性に優れ、400℃×10時間程度の加熱では軟化が起こりにくく、複合箔全体として見たときの引張り強さの低下を効果的に抑制し、加熱後の引張り強さを48kgf/mm以上とすることが容易だからである。本件発明に言う電解析出により形成した硬質ニッケル層とは、結晶粒が平均結晶粒径0.3μm以下のレベルに微細化され、機械的強度の高い物性を備えるものである。
第1キャリア箔付金属箔の金属箔層(電解析出により形成した硬質ニッケル層若しくは電解析出により形成したニッケル合金層)の厚みが1.0μm〜7.0μmであることが好ましいのである。上記メッキ層の厚みが1.0μm未満では、その表面に活物質を担持する際の作業が困難となるのである。一方、上記電解析出により形成した硬質ニッケル層等の厚さが7.0μmを超えても、引張り強さの値は向上せず、ニッケル等の比較的高価な成分を多量に使用するだけとなるからである。
そして、本件発明で言う電解析出により形成したニッケル合金層を構成するニッケル合金として、ニッケル−コバルト合金、ニッケル−亜鉛合金、ニッケル−リン合金、ニッケル−鉄−コバルト合金のいずれかを用いることが好ましい。いずれのニッケル合金も耐熱特性に優れ、良好な抗軟化抵抗を示し、且つ、メッキ法を用いての合金組成及び膜厚コントロールが比較的に容易なものである。
第2キャリア箔付金属箔の金属箔: 電解析出により形成した硬質ニッケル層若しくは電解析出により形成したニッケル合金層と電解析出により形成した銅層とが積層した状態のものである。そのバリエーションを例示的に示したのが図2である。このように一部に銅層を含ませることで、品質的な低下を最小限に抑え、比較的高価なニッケル等の使用量を削減することができ、安価な製品としての供給を可能とするのである。
通常、キャリア箔の存在しない状態で、薄い銅層の片面に硬質ニッケル層をメッキ法で設けると、銅箔が反り返って巻き込むカール現象が起こり、ハンドリング性に欠けるものとなる。ところが、本件発明の場合には、キャリア箔が支持しているために、カール現象の発生を防止出来るのである。
しかしながら、図2(a)及び図2(b)に示すように銅層5の片面に電解析出により形成した硬質ニッケル層(若しくはニッケル合金層)6を設けると、キャリア箔を除去した後にカール現象を起こす場合もあり、銅層5の両面に電解析出により形成した硬質ニッケル層(若しくはニッケル合金層)6を設けるのが好ましいのである。また、銅層5の両面に耐酸化性に優れた電解析出により形成した硬質ニッケル層(若しくはニッケル合金層)6が被膜として存在することで、銅層5自体の酸化腐食を防止できるからである。
第2キャリア箔付金属箔の金属箔層は、電解析出により形成した銅層と電解析出により形成した硬質ニッケル層(若しくはニッケル合金層)6とのトータル厚さが10μm以下であり、電解析出により形成した硬質ニッケル層(若しくはニッケル合金層)の厚みが0.5μm〜3.0μmであることが好ましいのである。上記メッキ層の厚みが0.5μm未満では、非水電解液二次電池としての充放電時の活物質の膨張挙動に抗うだけの引張り強さが期待できない。一方、上記電解析出により形成した硬質ニッケルメッキ層等の厚さが3.0μmを超えても、引張り強さの値は顕著に向上しないのであり、ニッケル等の比較的高価な成分を多量に使用するだけとなるからである。
以上に述べてきた金属箔層を用いることで、400℃×10時間程度の加熱では十分な抗軟化性能を示し、50kgf/mm以上の引張り強さを示すものとなる。
更に、第1キャリア箔付金属箔及び第2キャリア箔付金属箔の金属箔の表面には、必要に応じて防錆処理層を設けることも好ましいのである。特に、第2キャリア箔付金属箔の図2(a)に示す如きバリエーションの場合には、酸化腐食を受けやすい銅層5が最外層に露出しており、この銅層に関しては長期保存性の観点から、防錆処理を施すことが好ましいのである。防錆処理には、ベンゾトリアゾール、イミダゾール等を用いる有機防錆、若しくは亜鉛、クロメート、亜鉛合金等を用いる無機防錆のいずれを採用しても問題はない。
<本件発明に係るキャリア箔付金属箔の製造方法>
本件発明に係るキャリア箔付金属箔は、上述したように両面に一定の粗さを付与することが好ましいので、以下に述べる製造方法を採用する事が好ましいのである。なお、キャリア箔上への接合界面層の形成は、上述したようにピーラブルタイプとしての接合界面層の形成であり、公知の手法を用いて行えばよいのであり、特に限定は要さない。そのため、本件発明では、既に接合界面層がキャリア箔の表面に形成されていることを前提として、それ以降の製造プロセスに特徴を持つものとして工程を記載しているのである。以下にA、B、Cの各工程ごとに順を追って説明する。
(工程A)
前記接合界面層上に、ヤケメッキ条件を用いて、硬質ニッケル、ニッケル合金、銅のいずれかからなる粗化処理層を電析させ第1粗化面を形成する第1粗化処理工程である。この時の粗化レベルを任意に調節することで、キャリア箔を除去した後の金属箔表面の粗さが決まるのである。従って、この粗化レベルを調製することにより、その表面に担持する負極活物質の種類、担持方法に応じての調整が可能となる。
硬質ニッケルで第1粗化面を形成する場合: 以下の組成の硬質ニッケル電解メッキ浴を採用することが好ましい。最も高温加熱後の抗軟化特性に優れた硬質ニッケルメッキ層が得られるからである。このメッキ液の構成成分に関しては、後述する工程Bで詳細に説明する。本件発明で用いた硬質ニッケル電解メッキ浴は、ワット浴に近い組成を採用しているが、一般的なワット浴よりも単純な組成で、且つ、安定的な電解の可能なメッキ液組成を採用している。中でも、特徴的なのは、浴を構成するのにニッケル塩とアンモニウム塩とを併存させた点にある。
ニッケルのヤケメッキを行おうとする場合には、NiSO・6HO 50g/l〜80g/l、NHCl濃度 10g/l〜20g/l、HBO濃度 10g/l〜30g/lの溶液を用いて、液温20℃〜50℃、pH3〜5、電流密度10A/dm〜50A/dmの条件で攪拌を行いながらのメッキを採用する事が出来る。
ニッケル合金で第1粗化面を形成する場合: 以下に例示的に述べる合金メッキ液等を用い、最も高温加熱後の抗軟化特性に優れたニッケル合金メッキ層を得るのである。
ニッケル−コバルト合金のヤケメッキを行おうとする場合は、NiSO・6HO 50g/l〜100g/l、NiCl・6HO 15g/l〜25g/l、CoSO・7HO 5g/l〜15g/l、HBO10g/l〜20g/lの溶液を用いて、液温20℃〜50℃、pH2〜5、電流密度10A/dm〜30A/dmの条件で攪拌を行いながらのメッキを採用する事が出来る。
ニッケル−亜鉛合金のヤケメッキを行おうとする場合は、NiSO・6HOを用いニッケル濃度として1〜2.0g/l、ピロリン酸亜鉛を用いて亜鉛濃度が0.1〜1g/l、ピロリン酸カリウム50〜500g/lの溶液を用い、液温20〜50℃、pH8〜11、電流密度10〜15A/dmの条件で攪拌を行いながらのメッキを採用する事が出来る。
ニッケル−リン合金のヤケメッキを行おうとする場合は、NiSO・6HO 60〜90g/l、NiCl・6HO 18〜28g/l、HPO15〜25g/l、HPO10〜20g/l、液温70〜95℃、pH0.5〜1.5、電流密度5〜50A/dmの条件で攪拌を行いながらのメッキを採用する事が出来る。
ニッケル−鉄−コバルト合金のヤケメッキを行おうとする場合は、CoSO・7HO 25〜150g/l、NiSO・6HO 25〜150g/l、硫酸第1鉄 25〜150g/l、HBO15〜25g/lの溶液を用いて、液温45〜55℃、pH4〜5、電流密度8〜20A/dmの条件で攪拌を行いながらのメッキを採用する事が出来る。
銅で第1粗化面を形成する場合: 銅メッキ液として用いるものに特に限定はないが、硫酸銅系溶液を用いるのであれば、銅濃度 5g/l〜20g/l、フリー硫酸濃度 50g/l〜200g/l、その他必要に応じた添加剤(α−ナフトキノリン、デキストリン、ニカワ、チオ尿素等)を含む溶液を用い、液温15〜40℃、電流密度10〜50A/dmの条件で攪拌を行いながらのメッキを採用する事が出来る。
(工程B)
この工程は、前記第1粗化面の上に、ニッケル、ニッケル合金、銅のいずれかの平滑メッキ条件で平滑メッキ層を形成する平滑メッキ処理工程である。この平滑メッキ層は、第1粗化面を構成したと同様の成分を用いても、異なる成分を用いても差し支えのないものである。従って、各成分ごとの平滑メッキとして採用可能な条件を例示的に列挙する事とする。
硬質ニッケルの平滑メッキを行う場合: 以下の組成の硬質ニッケル電解メッキ浴を採用することが好ましい。この平滑メッキ液の構成成分に関しては、上述のヤケメッキの場合と共通する。最も高温加熱後の抗軟化特性に優れた硬質ニッケルメッキ層が得られるからである。
ニッケルの平滑メッキを行おうとする場合には、NiSO・6HO 100g/l〜180g/l、NHCl濃度 20g/l〜30g/l、HBO濃度 20g/l〜60g/lの溶液を用いて、液温20℃〜50℃、pH3〜5、電流密度1A/dm〜50A/dmの条件で攪拌を行いながらのメッキを採用する事が出来る。
ここでNiSO・6HOの濃度は、100g/l〜180g/lとすることが望ましい。NiSO・6HOの濃度が100g/l未満となると、メッキ液中のニッケル濃度が希薄になり、工業的生産性を満足しないばかりか、メッキ表面の平滑性に劣るものとなるのである。そして、NiSO・6HOの濃度が180g/lを超えても、硬質ニッケルの析出速度に大きな変化はなく、むしろ廃液処理の負荷が増大するのである。
BOは緩衝剤としての役割を果たすものである。HBOの濃度は、20g/l〜60g/lの範囲とする事が望ましいのである。このHBO濃度は、上述のNiSO・6HOの濃度との関係で決められるものであり、この範囲をはずれると硬質ニッケルメッキ層自体の強度が不足することとなる。
液温は20℃〜50℃と広い範囲を採用する事が可能である。通常の酢酸ニッケル浴やスルファミン酸浴の如き液温による引張り強さに与える影響が少ないからである。そして、上述の組成の溶液とするとpHは3〜5を採用することが、最も良好な引張り強さの安定したメッキ被膜を得ることが出来るのである。更に、メッキを行う際の電流密度は、1A/dm〜50A/dmの広い範囲を採用する事が可能である。酢酸ニッケル浴の如き電流密度による引張り強さに与える影響が少ないからである。特に、硬質ニッケルメッキ層自体の引張り強さを高くすることを考えると、4A/dm以下の電流密度、若しくは10A/dm以上の範囲を採用する事が望ましい。そして、4A/dm〜10A/dmの範囲は、硬質ニッケルメッキ層として最も低い引張り強さとなる傾向にあるが、この電流密度範囲での引張り強さに大きな変動はなく一定レベルの値となる傾向にある。従って、製品の品質安定性を確保することを重視する場合には、4A/dm〜10A/dmの範囲を採用することが好ましいのである。以上に述べてきた内容は、メッキ液に攪拌を加える攪拌浴であることを前提としている。
ニッケル合金の平滑メッキを行う場合: 以下に例示的に述べる合金メッキ液等を用い、最も高温加熱後の抗軟化特性に優れたニッケル合金メッキ層を得るのである。
ニッケル−コバルト合金の平滑メッキを行おうとする場合は、NiSO・6HO 100g/l〜180g/l、NiCl・6HO 30g/l〜50g/l、CoSO・7HO 10g/l〜40g/l、HBO20g/l〜40g/lの溶液を用いて、液温20℃〜50℃、pH2〜5、電流密度1A/dm〜15A/dmの条件で攪拌を行いながらのメッキを採用する事が出来る。
ニッケル−亜鉛合金の平滑メッキを行おうとする場合は、NiSO・6HOを用いニッケル濃度として1.0g/l〜2.5g/l、ピロリン酸亜鉛を用いて亜鉛濃度が0.1g/l〜1g/l、ピロリン酸カリウム50g/l〜500g/lの溶液を用い、液温20〜50℃、pH8〜11、電流密度0.3A/dm〜10A/dmの条件で攪拌を行いながらのメッキを採用する事が出来る。
ニッケル−リン合金の平滑メッキを行おうとする場合は、NiSO・6HO 120g/l〜180g/l、NiCl・6HO 35g/l〜55g/l、HPO30g/l〜50g/l、HPO20g/l〜40g/l、液温70〜95℃、pH0.5〜1.5、電流密度5A/dm〜50A/dmの条件で攪拌を行いながらのメッキを採用する事が出来る。
ニッケル−鉄−コバルト合金の平滑メッキを行おうとする場合は、CoSO・7HO 50g/l〜300g/l、NiSO・6HO 50g/l〜300g/l、硫酸第1鉄 50g/l〜300g/l、HBO30g/l〜50g/lの溶液を用いて、液温45〜55℃、pH4〜5、電流密度1A/dm〜10A/dmの条件で攪拌を行いながらのメッキを採用する事が出来る。
銅の平滑メッキを行う場合: 銅メッキ液としては、硫酸銅系溶液、ピロ燐酸銅系溶液等の銅イオン供給源として使用可能な溶液を用い、特に限定されるものではない。例えば、硫酸銅系溶液であれば、濃度が銅濃度が30g/l〜100g/l、フリー硫酸濃度が50g/l〜200g/lの溶液を用い、液温30℃〜80℃、電流密度1A/dm〜100A/dmの条件で攪拌を行いながらのメッキを採用する事が出来る。また、ピロ燐酸銅系溶液であれば、銅濃度が10g/l〜50g/l、ピロ燐酸カリウム濃度が100g/l〜700g/lの溶液を用い、液温30℃〜60℃、pH8〜12、電流密度1A/dm〜10A/dmの条件で攪拌を行いながらのメッキを採用する事が出来る。
(工程C)
この第2粗化処理工程では、前記平滑メッキ層上に、ニッケル、ニッケル合金、銅のいずれかのヤケメッキ条件で粗化処理層を電析させ第2粗化面を形成するのである。この第2粗化面は、第1粗化面及び平滑メッキ層を構成したと同様の成分を用いても、異なる成分を用いても差し支えのないものである。
そして、ヤケメッキを行うという点に関しては、第1粗化面を形成するのと同様であり、第1粗化面に適用した製造概念と全く同一である。そこで、重複した記述を避けるため、ここでの第2粗化面の説明は省略する。この第2粗化面の果たす役割は、第1粗化面と同様であり、その表面に担持する負極活物質の種類、担持方法に応じての粗化レベルの調整が任意に行えるのである。
更に、金属箔の表面に防錆処理を施す場合には、以下に述べるA、B、C、Dの各工程を経て、キャリア箔付金属箔を得るのである。
A:前記接合界面層上に、ニッケル、ニッケル合金、銅のいずれかのヤケメッキ条件で粗化処理層を電析させ第1粗化面を形成する第1粗化処理工程。
B:前記第1粗化面の上に、ニッケル、ニッケル合金、銅のいずれかの平滑メッキ条件で平滑メッキ層を形成する平滑メッキ処理工程。
C:前記平滑メッキ層上に、ニッケル、ニッケル合金、銅のいずれかのヤケメッキ条件で粗化処理層を電析させ第2粗化面を形成する第2粗化処理工程。
D:第2粗化面上に防錆処理層を形成する防錆処理工程。
このA、B、C、Dの各工程の内、A工程、B工程、C工程の各工程に関しては、上述したと同様である。従って、これらの説明は省略し、工程Dのみを説明する。工程Dは、第2粗化面上に防錆処理層を形成する防錆処理工程であり、防錆処理層として用いるものに関して特段の制限はないことは、上述のとおりである。そして、金属系の防錆を用いる場合には、亜鉛、真鍮等の犠牲防食元素を用い、更にクロメート処理を行うなどして、防錆能力の強化を図ることも可能である。
以上のようにして得られたキャリア箔付金属箔は、キャリア箔を除去した後の金属箔の両面に適度な粗化処理が施され、非水電解液二次電池の集電体を製造するための金属箔として最適な物理的強度及び形状を備えるものとなる。
<本件発明に係る複合箔を用いた集電体及びその集電体を用いた非水電解液二次電池用電極>
ここで言う集電体は、本件発明に係るキャリア箔付金属箔のいずれかを用いたものである。この集電体は、従来の集電体に比べて薄いものとなり、しかもキャリア箔付金属箔の金属箔の持つ高温加熱後の優れた抗軟化特性により得られる高い引張り強さ故に、表面に担持された活物質の充放電時の膨張及び収縮挙動に対する抵抗力が高く、非水電解液二次電池の負極を構成する集電体の寿命を長くする事が可能となる。なお、本発明に係る非水電解二次電池用電極は、上記集電体を用い、公知の活物質と組み合わせて形成される。必要に応じてバインダー等も用いられる。特に、活物質としてシリコン、錫又はこれらの合金を用い、これを上記集電体に塗布、メッキ、スパッタ、真空蒸着して得られる電極は、高い充放電容量を有する。
本件発明に係るキャリア箔付金属箔を用いて、非水電解液二次電池の負極材を得るためには、次のような製造方法を採用することが好ましい。図3(a)に示すキャリア箔付金属箔1aの金属層4の表面に活物質層7を形成し、図3(b)に示す状態とする。そして、図4(c)に示すようにキャリア箔2を引き剥がして除去し、金属層4の反対面を露出させる。続いて、図4(d)に示すように、金属層4の反対面に更に活物質層7を形成し、加熱する等して活物質担持を完了し負極材8とするのである。
<非水電解液二次電池>
以上のように、本件発明に係るキャリア箔付金属箔のいずれかを用いることで、集電体の厚さを薄くし電池の小型化に資すると共に、集電体寿命が長命化すると言うことは、非水電解液二次電池用電極として小型化及び長寿命化も可能であり、結果として市場に供給される非水電解液二次電池の繰り返し充電回数を飛躍的に向上させることが可能となり、高品質で且つ小型化した非水電解液二次電池の提供が可能となるのである。なお、本件発明に係る非水電解液二次電池は、上記電極を負極とするものであり、陽極材、電解液等は公知のものが使用できる。例えば、陽極材としては、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム等が用いられ、電解液としてはプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート等が用いられる。
本発明に係るキャリア箔付金属箔の金属箔は、非水電解液二次電池の集電体製造に用いる金属箔としてみれば極めて薄いものであり、しかも、高温、例えば400℃×10時間程度の加熱処理後においても50kgf/mm以上の高い抗張力を有する。
また、本件発明に係る製造方法によって、キャリア箔付金属箔の金属箔の両面に負極活物質を密着性良く担持するための適度な粗度を付与することが容易であり、しかも、歩留まりよく安定して生産できるものとなる。更に、上記キャリア箔付金属箔の金属箔部分はは、高温での長時間加熱後の引張り強さが高いため、非水電解液二次電池の電極の集電体として用いることが好適であり、二次電池の充放電に伴う膨張、収縮に対応することができ、その結果として高品質の非水電解液二次電池を得ることができ、優れた充放電特性及び電池としての長寿命化及び小型化が図れる。
以下、実施例を通じて、本件発明に係るキャリア箔付金属箔を製造し、金属箔自体の加熱後の引張り強さを測定した。
この実施例では、金属層を、電解析出により形成した硬質ニッケルで構成したキャリア箔付金属箔1aを製造した。最初に、18μm厚さの銅箔をキャリア箔として用い、キャリア箔の表面を酸洗処理して、付着している油脂成分を完全に除去し、余分な表面酸化被膜除去を行った。この酸洗処理には、濃度100g/l、液温30℃の希硫酸溶液を用い、浸漬時間30秒として行った。
酸洗処理の終了したキャリア箔は、濃度5g/lのカルボキシベンゾトリアゾールを含む、液温40℃、pH5の水溶液に30秒間浸漬して、表面に接合界面層を形成した。
接合界面層の形成が終了すると、接合界面層を形成したキャリア箔自体を、硬質ニッケルメッキ液中でカソード分極して、当該接合界面層上に9μm厚さの硬質ニッケルメッキ層を電解析出させた。このときの電解液及びメッキ条件は、以下のとおりである。
(硬質ニッケル電解メッキ浴組成)
NiSO・6HO 162g/l
NHCl 25g/l
BO 30g/l
(メッキ条件)
浴 温 35℃
pH 4
電流密度 10A/dm
攪 拌 あり
以上のようにして硬質ニッケル層を形成し、十分に水洗、乾燥し、キャリア箔付硬質ニッケル箔を得た。
得られたキャリア箔付硬質ニッケル箔について、キャリア箔を除去して、常態と、真空中で400℃×10時間加熱後の引張り強さ及び伸び率を評価した。その結果を示す。状態での引張り強さ120kgf/mm、伸び率4.8%、加熱後の引張り強さ98kgf/mm、伸び率4.5%であった。なお、引張り強さ及び伸び率の測定はIPC−MF−150Fに定めるIPC−TM−650に定めるプリント配線板用銅箔の測定に準拠して行った。以下、測定方法に関しては同様である。
比較例
この比較例では、実施例の金属箔を、電解析出により形成した銅のみで形成したキャリア箔付銅箔を製造し、実施例と同様の評価を行った。従って、金属箔の形成以外は、実施例1と同様である。
金属層の形成は、接合界面層を形成したキャリア箔自体を、銅メッキ液中でカソード分極して、当該接合界面層上に9μm厚さの銅メッキ層を電解析出させた。このときの銅メッキ液には、銅濃度65g/l、フリー硫酸濃度150g/l、塩素濃度2.0ppm、液温45℃の硫酸銅溶液を用い、電流密度15A/dmの平滑メッキ条件で電解することにより行った。以上のようにして銅層を形成し、十分に水洗、乾燥し、キャリア箔付硬質ニッケル箔を得た。なお、このときの析出銅は、電解銅としてみたときには、最も引張り強さが高いとされているものである。
得られたキャリア箔付銅箔について、キャリア箔を除去して、常態と、真空中で400℃×10時間加熱後の引張り強さ及び伸び率を評価した。その結果を示す。状態での引張り強さ52.8kgf/mm、伸び率6.3%、加熱後の引張り強さ30.5kgf/mm、伸び率12.4%であった。
本件発明に係るキャリア箔付金属箔は、キャリア箔が存在することで、集電体に加工される金属箔自体を薄くすることが可能であり、非水電解液二次電池の小型化に資することが出来る。しかも、金属箔部は、高温での加熱処理後においても高い引張り強さを維持することが可能である。そして、このキャリア箔付金属箔の金属箔部を、非水電解液二次電池用電極の集電体として用いることにより、二次電池の充放電に伴う膨張、収縮に対応することができ、その結果として得られる非水電解液二次電池に高い充放電特性を付与することができる。また、本発明の製造方法によって、上記キャリア箔付金属箔歩留まり良く安定して生産できる。
第1キャリア箔付金属箔の模式断面図。 第2キャリア箔付金属箔のバリエーションを例示した模式断面図。 本件発明に係るキャリア箔付金属箔を用いた非水電解液二次電池の集電体の製造フローを示す模式図。 本件発明に係るキャリア箔付金属箔を用いた非水電解液二次電池の集電体の製造フローを示す模式図。
1a 第1キャリア箔付金属箔
1b 第2キャリア箔付金属箔
2 キャリア箔
3 接合界面層
4 金属箔(層)
5 銅層
6 硬質ニッケル層(若しくはニッケル合金層)
7 活物質層
8 負極材

Claims (10)

  1. 非水電解液二次電池の集電体を製造するための金属箔と接合界面層とキャリア箔とからなり、金属箔とキャリア箔とが接合界面層を介し積層した状態にあるキャリア箔付金属箔において、
    前記金属箔は、電解析出により形成した硬質ニッケル層若しくは電解析出により形成したニッケル合金層であり、トータル厚さ10μm以下であることを特徴とするキャリア箔付金属箔。
  2. 前記金属箔は、電解析出により形成した硬質ニッケル層若しくは電解析出により形成したニッケル合金層に対し、更に電解析出により形成した銅層を設けたものである請求項1に記載のキャリア箔付金属箔。
  3. 前記電解析出により形成したニッケル合金層を構成するニッケル合金は、ニッケル−コバルト合金、ニッケル−亜鉛合金、ニッケル−リン合金、鉄−ニッケル−コバルト合金のいずれかである請求項1又は請求項2のいずれかに記載のキャリア箔付金属箔。
  4. 前記接合界面層は、窒素含有有機化合物、硫黄含有有機化合物及びカルボン酸の中から選択される1種又は2種以上の有機剤を用いて形成した有機接合界面であり、引き剥がすことによりキャリア箔が除去できるものである請求項1〜請求項3のいずれかに記載のキャリア箔付金属箔。
  5. 前記金属箔表面に、必要に応じて防錆処理層を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のキャリア箔付金属箔。
  6. キャリア箔の表面に接合界面層を形成し、当該接合界面層の上に電解法で金属箔を析出形成する請求項1〜請求項4のいずれかに記載のキャリア箔付金属箔の製造方法において、以下に述べるA、B、Cの各工程を備えることを特徴とするキャリア箔付金属箔の製造方法。
    A:前記接合界面層上に、ニッケル、ニッケル合金、銅のいずれかのヤケメッキ条件で粗化処理層を電析させ第1粗化面を形成する第1粗化処理工程。
    B:前記第1粗化面の上に、ニッケル、ニッケル合金、銅のいずれかの平滑メッキ条件で平滑メッキ層を形成する平滑メッキ処理工程。
    C:前記平滑メッキ層上に、ニッケル、ニッケル合金、銅のいずれかのヤケメッキ条件で粗化処理層を電析させ第2粗化面を形成する第2粗化処理工程。
  7. キャリア箔の表面に接合界面層を形成し、当該接合界面層の上に電解法で金属箔を析出形成する請求項5に記載のキャリア箔付金属箔の製造方法において、
    以下に述べるA、B、C、Dの各工程を備えることを特徴とするキャリア箔付金属箔の製造方法。
    A:前記接合界面層上に、ニッケル、ニッケル合金、銅のいずれかのヤケメッキ条件で粗化処理層を電析させ第1粗化面を形成する第1粗化処理工程。
    B:前記第1粗化面の上に、ニッケル、ニッケル合金、銅のいずれかの平滑メッキ条件で平滑メッキ層を形成する平滑メッキ処理工程。
    C:前記平滑メッキ層上に、ニッケル、ニッケル合金、銅のいずれかのヤケメッキ条件で粗化処理層を電析させ第2粗化面を形成する第2粗化処理工程。
    D:第2粗化面上に防錆処理層を形成する防錆処理工程。
  8. 請求項1〜請求項5のいずれかに記載のキャリア箔付金属箔を用いて得られる非水電解液二次電池の集電体。
  9. 請求項8に記載の集電体を用いた非水電解液二次電池用電極。
  10. 活物質としてシリコン、錫又はこれらの合金を用いる請求項9に記載の非水電解液二次電池用電極。
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