JP6611751B2 - リチウムイオン電池集電体用圧延銅箔及びリチウムイオン電池 - Google Patents
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Description
本発明のリチウムイオン電池集電体用圧延銅箔の銅箔基材は圧延銅箔を使用する。当該圧延銅箔には圧延銅合金箔も含まれるものとする。圧延銅箔の材料としては、特に制限はなく、用途や要求特性に応じて適宜選択すればよい。例えば、限定的ではないが、高純度の銅(無酸素銅やタフピッチ銅等)の他、Sn入り銅、Ag入り銅、Ni、Si等を添加したCu−Ni−Si系銅合金、Cr、Zr等を添加したCu−Cr−Zr系銅合金のような銅合金が挙げられる。
本発明に係る圧延銅箔を材料とする集電体とその上に形成された活物質層によって構成された負極を用いて、慣用手段によりリチウムイオン電池を作製することができる。リチウムイオン電池には、電解質中のリチウムイオンが電気伝導を担うリチウムイオン一次電池用及びリチウムイオン二次電池が含まれる。負極活物質としては、限定的ではないが、炭素、珪素、スズ、ゲルマニウム、鉛、アンチモン、アルミニウム、インジウム、リチウム、酸化スズ、チタン酸リチウム、窒化リチウム、インジウムを固溶した酸化錫、インジウム−錫合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−インジウム合金等が挙げられる。
(実施例1〜9、比較例1〜6)
[圧延銅箔の製造]
幅600mmのタフピッチ銅のインゴットを製造し、熱間圧延により圧延した。
次に、焼鈍と冷間圧延を繰り返し、最後に冷間圧延で、ワークロール径60mm、ワークロール表面粗さRaを0.03μmとし、最終パスの圧延速度400m/分で表1に記載の厚みに仕上げた。圧延油の粘度は4.0cSt(25℃)であった。得られた圧延銅箔はRaが0.04μmであった。この状態では銅箔に最終冷間圧延で使用した圧延油などの油分が付着している。この銅箔を、石油系溶剤と陰イオン界面活性剤を含有する溶液で洗浄し、銅箔表面に付着している銅微粉末及び圧延油等を取り除き、その後送風乾燥した。
銅箔表面における圧延油は、有機溶剤(脱脂溶媒)としてノルマルパラフィンを用いて脱脂処理により除去した。表1に当該脱脂処理において実施した銅箔の有機溶剤(脱脂溶媒)への浸漬時間を示す。なお、実施例1〜9では、このときの銅箔表面の残留油分と圧延平行方向の60°光沢度との関係式(残留油分[mg/m2]+(圧延平行方向の60°光沢度/400)≦2.5)を満たすように制御している。
なお、銅箔表面から圧延油等を除去する方法として、従来公知の脱脂処理又は洗浄処理を採用することができ、さらに使用する有機溶剤(脱脂溶媒)としては、例えばノルマルパラフィン、イソプロピルアルコール等のアルコール類やアセトン、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、エチレングリコールが挙げられる。
60°光沢度G60RDは、JIS Z8741に準拠し、たとえば日本電色工業株式会社製光沢度計ハンディーグロスメーターPG−1等の種々の光沢度計を用いて、圧延方向に平行な方向の入射角60°での光沢度を測定することにより求めた。
残留油分は以下の方法で測定した。すなわち、420mm×594mmのサイズの銅箔サンプルを50mm×50mm程度に小さく切り出した。次に、ビーカーに当該銅箔サンプルと溶媒(堀場製作所製H−997)を入れ、超音波洗浄機によって2分間の超音波洗浄を実施した。その後、堀場製作所製油分濃度計OCMA−555を用いて専用のセルに入れて油分濃度を測定した。溶媒は堀場製作所製H−997を用いて測定した。
なお、上記油分濃度は、本実施例で用いた堀場製作所製油分濃度計OCMA−555の他に、公知の一般的な方法によって測定することができる。また、溶媒についても、本実施例で用いた堀場製作所製H−997の他に、四塩化炭素等の公知の一般的な溶媒を用いることができる。
活物質との密着性を以下の手順で評価した。
(1)平均径9μmの人工黒鉛とポリビニリデンフルオライドを重量比1:9で混合し、これを溶剤N−メチル−2−ピロリドンに分散させる。
(2)銅箔の表面に上記の活物質を塗布する。
(3)活物質を塗布した銅箔を乾燥機にて90℃×30分間加熱する。
(4)乾燥後、20mm角に切り出し、1.5トン/mm2×20秒間の荷重をかける。
(5)上記サンプルをカッターにて碁盤目状に切り傷を形成し、市販の粘着テープ(セロテープ(登録商標))を貼り、重さ2kgのローラーを置いて1往復させて粘着テープを圧着する。
(6)粘着テープを剥がし、銅箔上に残存した活物質は、表面の画像をPCに取り込み、二値化によって銅表面の金属光沢部分と活物質が残存する黒色部分を区別し、活物質の残存率を算出。残存率は、各サンプル3つの平均値とした。活物質密着性の判定は、残存率50%未満を「×」、50%以上を「○」とした。
超音波溶接性を以下の手順で評価した。
(1)銅箔を100mm×150mmの大きさに切り出し、30枚重ねる。
(2)ブランソン社製のアクチュエータ(型番:Ultraweld L20E)にホーン(ピッチ0.8mm、高さ0.4mm)を取り付ける。アンビルは0.2mmピッチを使用した。
(3)溶接条件は、圧力40psi、振幅60μm、振動数20kHz、溶接時間は0.1秒とした。
(4)上記条件で溶接した後、銅箔を1枚ずつ剥離したときに、11枚以上の銅箔が溶接部分で破れた場合を「○」、0〜10枚の銅箔が溶接部分で破れた場合を「×」とした。なお、銅箔を剥離する前に、ホーンに接触していた最表層の銅箔の溶接部分を実態顕微鏡にて20倍で拡大観察し、クラックが発生していないことを確認してから剥離試験を実施した。
評価条件及び評価結果を表1に示す。
比較例1、2は、圧延平行方向の60°光沢度が600を超え、さらに残留油分[mg/m2]+(圧延平行方向の60°光沢度/400)が2.5を超えたため、活物質密着性が不良であった。
比較例3は、圧延平行方向の60°光沢度が200未満であり、超音波溶接性が不良であった。より詳細には、比較例3は光沢度が低く、オイルピットによって銅箔に凹凸が多くできた状態となり、超音波溶接で銅箔を重ね合わせて溶接した際に、銅箔と銅箔の接点が少ない。その結果、超音波溶接性は光沢の高い銅箔よりも悪化した。
比較例4〜6は、残留油分[mg/m2]+(圧延平行方向の60°光沢度/400)が2.5を超えたため、活物質密着性が不良であった。
図2に、実施例及び比較例の残留油分と圧延平行方向の60°光沢度との関係を示すグラフを示す。
Claims (5)
- 残留油分[mg/m2]+(圧延平行方向の60°光沢度/400)≦2.5、及び、
200≦圧延平行方向の60°光沢度≦600
を満たすリチウムイオン電池集電体用圧延銅箔。 - 残留油分[mg/m2]+(圧延平行方向の60°光沢度/400)≦2.0
を満たす請求項1に記載のリチウムイオン電池集電体用圧延銅箔。 - 450≦圧延平行方向の60°光沢度≦600
を満たす請求項1または2に記載のリチウムイオン電池集電体用圧延銅箔。 - リチウムイオン二次電池負極集電体用である請求項1〜3のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池集電体用圧延銅箔。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池集電体用圧延銅箔を集電体として用いたリチウムイオン電池。
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