JP5079380B2 - 塗装方法 - Google Patents

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Description

本発明は、目地模様を有する壁面の改装に適した塗装方法に関するものである。
従来、建築物の壁面を構成する材料として、サイディングボード、ALC板等の無機質建材が汎用的に使用されている。このような無機質建材においては、その意匠性を高めるため、表面にタイル調等の凹凸模様を形成させ、凹部と凸部で異なる色調に着色する手法、さらには凹部及び/または凸部に斑点模様を付する手法等が採用されている。このうち、凹凸模様を有する無機質建材に斑点模様を付する手法としては、例えば特許文献1〜3等に記載の方法が挙げられる。
しかし、これらの手法は、いずれも工場内での塗装方法に関するものであり、着色塗料を機械的に制御しながらスパッタ塗装することにより斑点模様を付しているものである。建築現場で壁材として設置された無機質建材については、経時的に劣化が進行するため塗り替えの必要が生じるが、このような建築現場での塗装において上記特許文献の手法を適用しようとしても、安定した斑点模様を得ることは難しく、実用性に欠くのが現状である。
特開平3−186381号公報 実開平4−77440号公報 特開平6−185182号公報
本発明は、上述のような問題点に鑑みなされたものであり、建築現場における既設の壁面に対し、その凹凸模様を活かしつつ、安定した斑点模様を付する簡便な塗装方法を提供することを目的とするものである。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、線状凹部による目地模様を有するとともに、線状凹部とそれ以外の部分が異色に塗装された壁面に対し、特定の着色塗料分散物を含む上塗材を塗装する方法に想到し、本発明を完成させるに到った。
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.線状凹部による目地模様を有するとともに、線状凹部とそれ以外の部分が異色に塗装された壁面に対し、上塗材を塗装する塗装方法であって、
当該上塗材は、合成樹脂エマルション(a)、ゲル形成物質(b)、及び着色顔料(c)を含む着色水性塗料(I)を、合成樹脂エマルション(a’)及びゲル化剤(d)を含有する水性分散媒(II)に分散して得られる着色塗料分散物を含むものであり、
当該着色塗料分散物として、前記壁面のいずれかの部分と同色に調製されたものを含むことを特徴とする塗装方法。
2.前記上塗材における合成樹脂エマルション(a)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするモノマー群の乳化重合物であり、該モノマー群におけるカルボキシル基含有モノマーの比率が3重量%以下であることを特徴とする1.記載の塗装方法。
3.前記合成樹脂エマルション(a)を構成するモノマー群において、水酸基含有モノマーの比率が0.1〜20重量%であることを特徴とする1.または2.記載の塗装方法。
4.前記上塗材における合成樹脂エマルション(a’)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするモノマー群の乳化重合物であり、該モノマー群におけるカルボキシル基含有モノマーの比率が3重量%以下であることを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載の塗装方法。
5.前記合成樹脂エマルション(a’)を構成するモノマー群において、水酸基含有モノマーの比率が0.1〜20重量%であることを特徴とする1.〜4.のいずれかに記載の塗装方法。
6.線状凹部とそれ以外の部分を異色に塗装する際、壁面全体に第1着色下塗材を塗装した後、線状凹部以外の部分に対し、前記第1着色下塗材とは異色の第2着色下塗材を塗装することを特徴とする1.〜5.のいずれかに記載の塗装方法。
7.前記第1着色下塗材及び/または前記第2着色下塗材として、外層がガラス転移温度−20〜100℃のカルボキシル基含有アクリル樹脂であって、内層に環状シロキサン化合物に由来するシリコーン樹脂及びガラス転移温度−80〜20℃のアクリル樹脂を含む多層構造型合成樹脂エマルションを結合材とする下塗材を用いることを特徴とする6.記載の塗装方法。
本発明によれば、建築現場における既設の壁面に対し、その凹凸模様を活かしつつ、安定した斑点模様を形成することができ、美観性の高い仕上りを簡便に得ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
本発明で塗装対象となる被塗面は、線状凹部による目地模様を有するとともに、線状凹部とそれ以外の部分が異色に塗装された壁面である。線状凹部の幅は通常5〜15mm程度であり、線状凹部の深さは通常2〜20mm程度である。このような壁面としては、例えば、陶磁器タイルで構成された壁面、目地模様を有するテクスチャーが付与された塗膜面、あるいは、目地模様を有する無機質建材で構成された壁面等が挙げられる。
このうち、無機質建材としては、具体的にセメントボード、押出成形板、PC板、ALC板、繊維強化セメント板、金属系サイディングボード、窯業系サイディングボード、セラミック板等の板状のものが挙げられ、このうち、線状凹部によってタイル調、レンガ調等の目地模様が形成されたものが対象となる。本発明では、このような無機質建材が複数並設され、当該無機質建材間の目地部にシーリング材または乾式目地材が充填された壁面にも適用できる。また、このような無機質建材の表面には、通常、基材の保護等を目的として何らか塗膜が形成されているが、このような塗膜は、太陽光、降雨等の影響により、経時的に劣化が進行してしまう。本発明は、経時的に劣化した塗膜(旧塗膜)を有する無機質建材で構成された壁面の改装にも適している。
シーリング材としては一般的なものが使用可能であり、例えば、シリコーン系シーリング材、変性シリコーン系シーリング材、ポリサルファイド系シーリング材、変性ポリサルファイド系シーリング材、アクリルウレタン系シーリング材、ポリウレタン系シーリング材、SBR系シーリング材、ブチルゴム系シーリング材等が挙げられる。シーリング材の充填方法は、特に限定されず、例えば、ガンやへら等による公知の方法を採用することができる。
シーリング材の充填前には、予めバックアップ材充填やプライマー塗付等の処理を行っておいてもよい。バックアップ材としては、例えば、発泡ポリエチレン系バックアップ材等を使用することができる。プライマーとしては、例えば、合成ゴム系プライマー、アクリル系プライマー、ウレタン系プライマー、エポキシ系プライマー、シリコーンレジン系プライマー、シラン系プライマー等を使用することができる。
一方、乾式目地材としては、板状無機質建材間の目地部に充填可能なものであればよく、例えば図1に示す形状のもの等が使用できる。図1において、乾式目地材Aは、幹部1の両側にひれ部2、3を有している。幹部1及びひれ部2、3を構成する材料としては、塩素化ポリエチレン、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン−ターポリマー)等の合成ゴムが好適である。図1では2対のひれ部を有する乾式目地材を示したが、本発明においては、1対のひれ部からなるもの、あるいは3対以上のひれ部を有するもの等も使用することができる。
乾式目地材を目地部にはめ込むと、ひれ部2、3がつっぱった状態となり、その弾性力によって目地材自体が固定化され、防水効果が発現される。このような乾式目地材を使用する方法では、シーリング材を使用する方法に比べ、作業工程の簡略化や短縮化、品質の安定化等を図ることができる。
本発明で塗装対象となる壁面は、線状凹部とそれ以外の部分において2色以上が混在するものであるが、このような塗り分けは、線状凹部に現れる色調の着色塗料(第1着色下塗材)を全面に塗装した後、その塗料とは異色の着色塗料(第2着色下塗材)で線状凹部以外の部分をローラー塗りする方法等により行うことができる。
線状凹部とそれ以外の部分の色調は、目視にて異色と認識できる程度であればよいが、通常その色差(△E)は5以上(好ましくは10以上、より好ましくは20以上)である。なお、本発明における色差は、色差計を用いて測定される値である。
各下塗材を塗装する際の塗付け量は適宜選択すればよいが、通常は0.1〜1kg/m程度である。塗付時には、水等で希釈することによって、粘性を適宜調整することもできる。希釈割合は、通常0〜20重量%程度である。下塗材を塗装した後の乾燥は通常、常温で行えばよい。
前述の第1着色下塗材及び/または前記第2着色下塗材(以下単に「下塗材」ともいう)としては、特に、外層がガラス転移温度−20〜100℃のカルボキシル基含有アクリル樹脂であって、内層に環状シロキサン化合物に由来するシリコーン樹脂及びガラス転移温度−80〜20℃のアクリル樹脂を含む多層構造型合成樹脂エマルション(以下「(m)成分」という)を結合材とする下塗材が好適である。このような下塗材を用いることにより、形成塗膜における密着性、追従性、耐久性等の性能を高めることができる。とりわけ、無機質建材が複数並設され、当該無機質建材間の目地部にシーリング材または乾式目地材が充填された壁面を被塗面とする場合には有効である。本発明では、少なくとも第1着色下塗材において(m)成分を含むものを用いる態様が好ましく、さらには第1着色下塗材及び第2着色下塗材において(m)成分を含むものを用いる態様が好ましい。
(m)成分の外層にカルボキシル基を生成させるためには、外層を構成するモノマーとしてカルボキシル基含有モノマーを使用すればよい。カルボキシル基含有モノマーとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸またはそのモノアルキルエステル、イタコン酸またはそのモノアルキルエステル、フマル酸またはそのモノアルキルエステル等が挙げられる。このうち、特にアクリル酸、メタクリル酸から選ばれる1種以上が好適である。カルボキシル基含有モノマーの使用量は、(m)成分の樹脂固形分に対し、通常0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜20重量%である。このようなカルボキシル基は、密着性向上に寄与するものである。
(m)成分の外層は、上記カルボキシル基含有モノマーと(メタ)アクリル酸アルキルエステル、必要に応じその他のモノマーとの共重合体である。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、ここでは、アクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルを合わせて、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと表記している。その他のモノマーとしては、例えばアミノ基含有モノマー、ピリジン系モノマー、水酸基含有モノマー、ニトリル基含有モノマー、アミド基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、カルボニル基含有モノマー、アルコキシシリル基含有モノマー、芳香族モノマー等が挙げられる。
(m)成分の外層のガラス転移温度(以下「Tg」という)は、通常−20〜100℃、好ましくは−10〜60℃である。外層のTgがこのような範囲内であれば、密着性、追従性等において十分な効果を得ることができる。なお、本発明におけるTgはFOXの計算式により求められる値である。
(m)成分の内層には、環状シロキサン化合物に由来するシリコーン樹脂と、Tg−80〜20℃のアクリル樹脂を含む。(m)成分の内層がこのような特定2種の樹脂によって構成されることにより、密着性、追従性、耐久性等において優れた性能を発揮することができる。内層におけるシリコーン樹脂とアクリル樹脂の重量比率は、通常70:30〜1:99、好ましくは60:40〜3:97である。
このうち、シリコーン樹脂は、環状シロキサン化合物を重合して得られるものである。環状シロキサン化合物としては、例えばヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。このような環状シロキサン化合物を重合する際には、直鎖状シロキサン化合物、分岐状シロキサン化合物、アルコキシシラン化合物等を用いることもできる。このうち、アルコキシシラン化合物としては、分子中に1個以上のアルコキシル基を有するシラン化合物が使用でき、例えばテトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン等の他、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤等が使用できる。シリコーン樹脂の平均分子量は、通常10000以上、好ましくは50000以上である。
(m)成分の内層を構成するアクリル樹脂のTgは−80〜20℃(好ましくは−60〜10℃)に設定する。(m)成分の内層を構成するアクリル樹脂は、Tgがこのような範囲内となるように、(メタ)アクリル酸エステルと必要に応じその他のモノマーを共重合体して得ることができる。この内層のアクリル樹脂のTgは、(m)成分の外層を構成するアクリル樹脂のTgよりも低く設定することが望ましい。
(m)成分の内層におけるこれら2種の樹脂の形態は特に限定されず、相互に均一に混ざり合った形態であってもよく、シリコーン樹脂が内部・アクリル樹脂が外部に存在する形態、アクリル樹脂が内部・シリコーン樹脂が外部に存在する形態、アクリル樹脂中にシリコーン樹脂が分散した形態、シリコーン樹脂中にアクリル樹脂が分散した形態等であってもよい。
(m)成分の製造方法は特に限定されないが、例えば、上記シリコーン樹脂の水分散物の存在下で、内層を構成するアクリル樹脂を乳化重合した後、外層を構成するアクリル樹脂を乳化重合する方法等を採用することができる。(m)成分における外層と内層の重量比率は、通常80:20〜20:80、好ましくは70:30〜30:70である。
下塗材における着色顔料としては、通常塗料に使用可能なものであれば特に制限されず、例えば酸化チタン、カーボンブラック、酸化第二鉄(弁柄)、黄色酸化鉄、オーカー、群青、コバルトグリーン等の無機系顔料、アゾ系、ナフトール系、ピラゾロン系、アントラキノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジスアゾ系、イソインドリノン系、ベンゾイミダゾール系、フタロシアニン系、キノフタロン系等の有機顔料等が使用できる。これら着色顔料の1種または2種以上を適宜使用することにより、下塗材を所望の色調に調整することができる。
着色顔料の混合比率は、結合材の固形分100重量部に対し、通常500重量部以下、好ましくは5〜200重量部、より好ましくは10〜100重量部程度である。着色顔料の混合比率がこのような範囲内であれば、下塗材の色調を任意色に調整することができる。
下塗材には、上述の成分の他に通常塗料に使用可能な成分を混合することもできる。このような成分としては、例えば、体質顔料、レベリング剤、湿潤剤、造膜助剤、可塑剤、凍結防止剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分散剤、吸着剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、触媒、架橋剤等が挙げられる。下塗材はこのような成分を常法により均一に混合して得ることができる。
本発明における上塗材は、合成樹脂エマルション(a)、ゲル形成物質(b)、及び着色顔料(c)を含む着色水性塗料(I)を、合成樹脂エマルション(a’)及びゲル化剤(d)を含有する水性分散媒(II)に分散して得られる着色塗料分散物を含み、当該着色塗料分散物として、前記壁面のいずれかの部分と同色に調製されたものを含むものである。本発明では、このような上塗材を使用することにより、安定した斑点模様を形成することができる。
本発明の上塗材は、通常吹付けにより塗装するものであるが、この際、上塗材に含まれる着色塗料分散物は、必要以上にむやみに飛び散ったりすることなく、適度な形状変化を伴いながら被塗面に到達し、被塗面に到達した際には、はね返り等の不具合が起こり難いものである。すなわち、本発明の上塗材では、着色塗料分散物が被塗面に確実に塗着して、美観性の高い斑点模様を安定的に形成することができる。また、被塗面に塗着した着色塗料分散物は、粒子中央部分に比べ縁部分の厚みが薄い状態となり、しかも乾燥により粒子全体が平坦化する。そのため、壁面に対する光の照射角度が変化した場合であっても、粒子近傍では影ができ難く、美観性が損なわれない。
このような本発明の効果は、着色水性塗料が水等を含んだままの状態でゲル化剤によって適度に分散・架橋されたものを斑点模様形成成分とすることで奏されるものである。
本発明における着色塗料分散物以外の固体粒子、例えば珪砂、雲母等を使用した場合には、被塗面からのはね返りが生じやすく、被塗面への付着が不完全となる場合もあるため、所望の斑点模様が得られ難く、粒子近傍で影が生じて美観性を損うおそれもある。また、塗装時に粒子が形状変化することはないため、人工的な仕上り感を帯びることとなりやすい。一方、通常の着色塗料を斑点状に塗装しようとする場合は、塗料の飛び散りを制御することが難しく、大きさの異なる種々の斑点模様が形成されるため、全体的にぼやけた感じの仕上りとなりやすい。
これに対し、本発明では、適度な架橋構造が付与された着色水性塗料の分散物によって斑点模様を形成させるため、このような従来手法の問題も解決することができる。
本発明において、着色塗料分散物の色調は、壁面のいずれかの部分と同色になるように調製する。これにより、壁面と着色塗料分散物が同色となる部分では斑点模様が目立たず、それ以外の部分では斑点模様が視認可能となる仕上りが得られる。例えば、線状凹部と着色塗料分散物の色調が同色となるように調製しておけば、線状凹部以外の部分に斑点模様が付された仕上りを得ることができる。
なお、本発明における同色とは、相互の色調が目視にて同色と認識できる程度のもののことを言う。通常その色差(△E)は5未満(好ましくは4未満、より好ましくは3未満)に設定すればよい。
着色塗料分散物の大きさは、所望の斑点模様に応じて適宜設定すればよいが、通常は平均粒子径0.2mm以上、好ましくは0.5mm以上8mm以下、より好ましくは0.8mm以上5mm以下である。
本発明における上塗材は、水性分散媒中に着色水性塗料(I)のゲル物が粒状に分散されたものであり、環境対応形の塗料として、作業衛生上等においても好ましいものである。とりわけ、合成樹脂エマルション(a)が、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするモノマー群の乳化重合物であり、該モノマー群におけるカルボキシル基含有モノマーの比率が3重量%以下の合成樹脂エマルションであれば、少量のゲル化剤で着色塗料分散物が生成でき、耐候性、耐水性等の塗膜物性において有利である。水性分散媒(II)における合成樹脂エマルション(a’)についても、これと同様の合成樹脂エマルションを使用することが望ましい。
このような合成樹脂エマルション(a)(以下「(a)成分」という)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするモノマー群の乳化重合して得られるものである。なお、ここでは、アクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルを合わせて、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと表記している。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用することができる。モノマー群における(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上である。上限は特に限定されないが、通常99.9重量%以下(好ましくは99.5重量%以下)程度である。
カルボキシル基含有モノマーは、分子内にカルボキシル基と重合性不飽和結合を併有する化合物である。その具体例としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸またはそのモノアルキルエステル、イタコン酸またはそのモノアルキルエステル、フマル酸またはそのモノアルキルエステル等が挙げられる。
モノマー群におけるカルボキシル基含有モノマーの比率は、通常3重量%以下、好ましくは0.9重量%以下、より好ましくは0.4重量%以下である。モノマー群においてカルボキシル基含有モノマーを含まない態様も好適である。カルボキシル基含有モノマーの比率が3重量%を超える場合は、安定した着色塗料分散物を生成させるために多量のゲル化剤が必要となり、耐水性、耐候性等の塗膜物性において十分な性能を得ることが困難となる。
(a)成分は、必要に応じ上記以外の重合性モノマーを構成成分とするものであってもよい。このような重合性モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有モノマー;N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチルビニルエーテル等のアミノ基含有モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系モノマー;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル基含有モノマー;スチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン等の芳香族モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸アミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、ジグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有モノマー;アクロレイン、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン等のカルボニル基含有モノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシリル基含有モノマー;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン系モノマー;その他、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、ビニルピロリドン、塩化ビニル、ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルアミド、クロロプレン等が挙げられる。
このような重合性モノマーのうち、(a)成分を構成するモノマーとしては水酸基含有モノマーが好適である。水酸基含有モノマーの使用により、着色塗料分散物の生成に必要なゲル化剤の量を抑制しつつ、着色水性塗料(I)の諸物性(製造安定性、顔料混和性等)において有利な効果を得ることができる。モノマー群における水酸基含有モノマーの比率は、通常0.1〜20重量%(0.1重量%以上20重量%以下)、好ましくは0.5重量〜10重量%である。
(a)成分は、上記モノマーを適宜混合したモノマー群を乳化重合することにより製造することができる。(a)成分は、媒体として水を含むものであり、(a)成分中の樹脂固形分は通常30〜60重量%程度である。重合方法としては公知の方法を採用すればよく、通常の乳化重合の他、ソープフリー乳化重合、フィード乳化重合、シード乳化重合等を採用することもできる。重合時には、乳化剤、開始剤、重合禁止剤、重合抑制剤、緩衝剤、連鎖移動剤、架橋剤、カップリング剤、触媒等を使用することもできる。このうち、乳化剤については、アニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、両性乳化剤等が挙げられ、非反応性のもの、あるいは反応性を有するものから適宜選択して使用することができる。このうち乳化剤としてノニオン性乳化剤、とりわけノニオン性反応性乳化剤を含む場合は、耐水性、耐候性等の点で好適である。
着色水性塗料(I)におけるゲル形成物質(b)(以下「(b)成分」という)は、ゲル化剤(d)との作用により、着色塗料分散物の生成に寄与する成分である。(b)成分としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリエチレンオキサイド、水溶性ウレタン、バイオガム、ガラクトマンナン誘導体、アルギン酸もしくはその誘導体、セルロース誘導体、ゼラチン、カゼイン、アルブミン等、あるいはこれらを酸化、メチル化、カルボキシメチル化、ヒドロキシエチル化、ヒドロキシプロピル化、硫酸化、リン酸化、カチオン化等によって化学変性したもの等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。
(b)成分の混合比率は、通常、(a)成分の固形分100重量部に対し、固形分で0.1〜30重量部、好ましくは0.5〜20重量部である。
着色水性塗料(I)における着色顔料(c)(以下「(c)成分」という)としては、一般的に塗料に配合可能なものであれば特に限定されず使用することができる。(c)成分としては、例えば酸化チタン、カーボンブラック、酸化第二鉄(弁柄)、黄色酸化鉄、オーカー、群青、コバルトグリーン等の無機系顔料、アゾ系、ナフトール系、ピラゾロン系、アントラキノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジスアゾ系、イソインドリノン系、ベンゾイミダゾール系、フタロシアニン系、キノフタロン系等の有機顔料等が使用できる。これら着色顔料の1種または2種以上を適宜使用することにより、着色塗料(着色塗料分散物)を所望の色調に調製することができる。
(c)成分の混合比率は通常、(a)成分の固形分100重量部に対し5〜200重量部、好ましくは10〜100重量部である。
水性分散媒(II)におけるゲル化剤(d)(以下「(d)成分」という)としては、例えば、マグネシウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム、ナトリウム、カリウム、亜鉛、鉄、ジルコニウム等の金属の硫酸塩、酢酸塩、有機酸塩、珪酸塩、硼酸塩等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。水性分散媒(II)中における(d)成分の比率は、通常0.01〜1.5重量%、好ましくは0.03〜1.0重量%、より好ましくは0.05〜0.5重量%となるようにする。
水性分散媒(II)に含まれる合成樹脂エマルション(a’)(以下「(a’)成分」という)は、塗膜形成時に着色塗料分散物を被塗面に確実に固定化するとともに、その被膜によって着色塗料分散物を保護するものであり、耐水性、耐候性等の塗膜物性向上にも寄与する成分である。水性分散媒(II)中における(a’)成分の比率は、固形分で通常5〜50重量%、好ましくは10〜48重量%である。
水性分散媒(II)における(a’)成分としては、前述の(a)成分と同様に、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするモノマー群の乳化重合物であり、該モノマー群におけるカルボキシル基含有モノマーの比率が3重量%以下である合成樹脂エマルション、さらには水酸基含有モノマーの比率が0.1〜20重量%である合成樹脂エマルションが好適である。このような(a’)成分を使用すれば、少量のゲル化剤で、安定した着色塗料分散物を得ることができ、形成塗膜の耐水性、耐候性等をいっそう高めることができる。
(a’)成分を構成するモノマー群における(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上である。上限は特に限定されないが、通常99.9重量%以下(好ましくは99.5重量%以下)程度である。
カルボキシル基含有モノマーの比率は、通常3重量%以下、好ましくは0.9重量%以下、より好ましくは0.4重量%以下であり、カルボキシル基含有モノマーを含まない態様も好適である。水酸基含有モノマーの比率は、通常0.1〜20重量%、好ましくは0.5重量〜10重量%である。乳化剤として、ノニオン性乳化剤、とりわけノニオン性反応性乳化剤を含む場合は、耐水性、耐候性等の点で好適である。
着色塗料分散物の粒子径を所望のものとするには、上塗材製造時の攪拌羽根の形状、攪拌槽に対する攪拌羽根の大きさや位置、攪拌羽根の回転速度、着色水性塗料(I)の粘性や添加方法、水性分散媒(II)の粘性、(d)成分の濃度等を適宜選択・調整すればよい。
本発明における上塗材は、1種(1色)の着色塗料分散物を含むものであればよいが、必要に応じ色調が異なる2種以上の着色塗料分散物を含むものであってもよく、無色透明なゲル粒子等を含むものであってもよい。2種以上の着色塗料分散物を含む上塗材を得るためには、例えば、単色の着色塗料分散物が分散した分散液をそれぞれ製造した後、これらを混合する方法、あるいは、色調が異なる2種以上の着色水性塗料を、同時または順に水性分散媒に添加し分散させる方法等の方法を採用すればよい。
本発明における上塗材は、本発明の効果を阻害しない範囲内において、例えば、体質顔料、骨材、レベリング剤、湿潤剤、造膜助剤、可塑剤、凍結防止剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分散剤、吸着剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、触媒、架橋剤等を含むものであってもよい。
本発明における上塗材は、壁面全体に対し塗装を行うものであり、塗装方法としては通常、吹付け塗装を採用する。塗装の際には、水等を用いて上塗材を希釈することも可能である。上塗材の塗付量は、通常0.1〜1.6kg/m、好ましくは0.2〜1.2kg/mである。上塗材を塗装した後の乾燥は通常、常温で行えばよい。乾燥時間は、通常1〜5時間程度である。
本発明では、上塗材の塗装後、必要に応じ透明塗料等を塗装することも可能である。
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
(上塗材1の製造)
まず、容器内に合成樹脂エマルション1を85.0重量部仕込み、攪拌羽根の回転速度を1800rpmとして攪拌を行いながら、造膜助剤8.3重量部、水5.7重量部、ゲル化剤として硫酸アルミニウム0.5重量部、消泡剤0.5重量部を均一に混合することにより、水性分散媒1を製造した。
次に、別の容器内に合成樹脂エマルション1を40.0重量部仕込み、攪拌羽根の回転速度を1800rpmとして攪拌を行いながら、造膜助剤4.0重量部、黒色酸化鉄50重量%分散液12.0重量部、ゲル形成物質としてカルボキシメチルセルロース2重量%水溶液43.5重量部、消泡剤0.5重量部を均一に混合することにより黒色水性塗料1を製造した。
上述の水性分散媒1(100重量部)に対し、黒色水性塗料1を100重量部加えて分散(攪拌羽根の回転速度;600rpm)することにより、粒径約2mmの黒色塗料分散物を含む上塗材1を得た。
なお、合成樹脂エマルション1としては、アクリル樹脂エマルション(メチルメタクリレート−シクロヘキシルメタクリレート−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体(モノマー重量比33:38:28.2:0.8)、乳化剤:反応性ノニオン性乳化剤、ガラス転移温度:35℃、固形分:50重量%)を使用した。
(上塗材2〜7の製造)
表1に示す配合に従い、各上塗材を製造した。なお、上塗材2〜7では、上記合成樹脂エマルション1の他に、以下の合成樹脂エマルション2〜7を使用した。
・合成樹脂エマルション2
メチルメタクリレート−シクロヘキシルメタクリレート−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体(モノマー重量比33:38:28.7:0.3)、乳化剤:反応性ノニオン性乳化剤、ガラス転移温度:34℃、固形分:50重量%
・合成樹脂エマルション3
メチルメタクリレート−シクロヘキシルメタクリレート−ブチルアクリレート−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−アクリル酸共重合体(モノマー重量比33:38:26.7:2:0.3)、乳化剤:反応性ノニオン性乳化剤、ガラス転移温度:35℃、固形分:50重量%
・合成樹脂エマルション4
メチルメタクリレート−シクロヘキシルメタクリレート−ブチルアクリレート−2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体(モノマー重量比33:38:27:2)、乳化剤:反応性ノニオン性乳化剤、ガラス転移温度:35℃、固形分:50重量%
・合成樹脂エマルション5
メチルメタクリレート−シクロヘキシルメタクリレート−ブチルアクリレート−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−アクリル酸共重合体(モノマー重量比33:38:26.7:2:0.3)、乳化剤:アニオン性乳化剤、ガラス転移温度:35℃、固形分:50重量%
・合成樹脂エマルション6
メチルメタクリレート−シクロヘキシルメタクリレート−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体(モノマー重量比33:37:28:2)、乳化剤:反応性ノニオン性乳化剤、ガラス転移温度:35℃、固形分:50重量%
・合成樹脂エマルション7
メチルメタクリレート−シクロヘキシルメタクリレート−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体(モノマー重量比32:36:28:4)、乳化剤:反応性ノニオン性乳化剤、ガラス転移温度:35℃、固形分:50重量%
(下塗材1の製造)
容器内に下記合成樹脂エマルション8を68.0重量部仕込み、攪拌羽根の回転速度を1800rpmとして攪拌を行いながら、造膜助剤7.5重量部、増粘剤2.7重量部、カーボンブラック30重量%分散液15.0重量部、水6.0重量部、消泡剤0.8重量部を均一に混合することにより黒色の下塗材1を製造した。
・合成樹脂エマルション8:多層構造型合成樹脂エマルション
外層;アクリル樹脂(Tg30℃、構成成分;t−ブチルメタクリレート,n−ブチルメタクリレート,n−ブチルアクリレート,2−エチルヘキシルアクリレート,メタクリル酸)、
内層;シリコーン樹脂(構成成分;ヘキサメチルシクロトリシロキサン,オクタメチルシクロテトラシロキサン,デカメチルシクロペンタシロキサン)、アクリル樹脂(Tg−50℃、構成成分;n−ブチルメタクリレート,n−ブチルアクリレート,2−エチルヘキシルアクリレート)、シリコーン樹脂と内層アクリル樹脂の重量比18:82、
外層と内層の重量比40:60、固形分50重量%、カルボキシル基含有モノマー3重量%(固形分中)
(下塗材2の製造)
容器内に合成樹脂エマルション8を65.0重量部仕込み、攪拌羽根の回転速度を1800rpmとして攪拌を行いながら、造膜助剤6.5重量部、増粘剤2.5重量部、酸化チタン60重量%分散液4.2重量部、黄色酸化鉄60重量%分散液13.0重量部、黒色酸化鉄50重量%分散液0.2重量部、弁柄60重量%分散液1.8重量部、水6.0重量部、消泡剤0.8重量部を均一に混合することにより褐色の下塗材2を製造した。
(下塗材3の製造)
容器内に下記合成樹脂エマルション9を68.0重量部仕込み、攪拌羽根の回転速度を1800rpmとして攪拌を行いながら、造膜助剤7.5重量部、増粘剤2.7重量部、カーボンブラック30重量%分散液15.0重量部、水6.0重量部、消泡剤0.8重量部を均一に混合することにより黒色の下塗材3を製造した。
・合成樹脂エマルション9:アクリル樹脂エマルション(Tg5℃、構成成分;t−ブチルメタクリレート,n−ブチルメタクリレート,n−ブチルアクリレート,2−エチルヘキシルアクリレート,メタクリル酸、固形分50重量%、カルボキシル基含有モノマー3重量%(固形分中))
(下塗材4の製造)
容器内に合成樹脂エマルション9を65.0重量部仕込み、攪拌羽根の回転速度を1800rpmとして攪拌を行いながら、造膜助剤6.5重量部、増粘剤2.5重量部、酸化チタン60重量%分散液4.2重量部、黄色酸化鉄60重量%分散液13.0重量部、黒色酸化鉄50重量%分散液0.2重量部、弁柄60重量%分散液1.8重量部、水6.0重量部、消泡剤0.8重量部を均一に混合することにより褐色の下塗材4を製造した。
実施例1)
窯業系サイディングボートが複数枚併設され、その間隙(目地部)にシリコーン系シーリング材が充填された壁面を塗装対象の基材とした。窯業系サイディングボートとしては、格子状の目地模様(線状凹部の幅10mm、線状凹部の深さ5mm)が形成され、その表面にアクリル系塗料の旧塗膜を有するものを用いた。
この基材の全面に対し、黒色の下塗材1(黒色水性塗料1との色差2.0)を塗付量0.3kg/mでスプレー塗装し、3時間養生後、線状凹部を除く部分に対し、褐色の下塗材2(黒色水性塗料1との色差40)を塗付量0.3kg/mでローラー塗装した。次いで、24時間養生後、上塗材1を塗付量0.4kg/mでスプレー塗装し、24時間養生した。なお、以上の工程はすべて標準状態(気温23℃、相対湿度50%)下で行った。
以上の工程により、褐色の背景色の中に黒色の斑点模様が散在した模様を有する凸部と、黒色の目地部(線状凹部)からなる仕上面が得られた。
また、仕上面の塗膜物性を確認するため以下の試験を実施した。
・耐水性試験
上記窯業系サイディングボードを60×40mmに切り出したものを試験基材とし、これに下塗材1、下塗材2、上塗材1を上記方法と同様に塗付・養生して試験体を作製した。
得られた試験体を50℃の温水に6時間浸漬し、浸漬後の外観変化を目視にて観察した。評価は、外観変化が認められなかったものを「A」、著しい外観変化(白化等)が認められたものを「D」とする4段階(A>B>C>D)で行った。試験結果を表2に示す。
・耐候性試験
上記窯業系サイディングボードを60×40mmに切り出したものを試験基材とし、これに下塗材1、下塗材2、上塗材1を上記方法と同様に塗付・養生して試験体を作製した。
得られた試験体を耐候性試験に供した。耐候性試験は、促進耐候性試験機「メタルウェザー」(ダイプラ・ウィンテス株式会社製)を用い、光照射4時間・結露4時間(計8時間)を1サイクルとして80サイクルまで実施した。評価は、80サイクル後の外観変化(色変化等)を目視にて観察することによって行い、外観変化が認められなかったものを「A」、著しい外観変化(変色等)が認められたものを「D」とする4段階(A>B>C>D)で行った。試験結果を表2に示す。
・追従性試験
上記窯業系サイディングボートを150mm×75mmのサイズで2枚切り出し、これを上記シリコーン系シーリング材でつなぎ合わせたもの(目地幅10mm)を試験基材とした。この試験基材に下塗材1、下塗材2、上塗材1を上記方法と同様に塗付・養生して試験体を作製した。
得られた試験体について、標準状態で引張り試験機にて水平方向に30%変位させたときの表面状態を観察し、追従性を評価した。評価は、異常が認められなかったものを「A」、割れ、剥れ等の異常が認められたものを「C」とする3段階(A>B>C)で行った。試験結果を表2に示す。
実施例2〜6、及び比較例1
上塗材1に替えて、それぞれ上塗材2〜7(いずれも粒径約2mmの黒色塗料分散物を含有)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で試験を行った。
実施例2〜6、及び比較例1においても、褐色の背景色の中に黒色の斑点模様が散在した模様を有する凸部と、黒色の目地部からなる仕上面が得られた。耐水性試験、耐候性試験、追従性試験の試験結果は表2に示す。
実施例7
下塗材1に替えて下塗材3、下塗材2に替えて下塗材4を使用した以外は、実施例1と同様の方法で試験を行った。
実施例7においても、褐色の背景色の中に黒色の斑点模様が散在した模様を有する凸部と、黒色の目地部からなる仕上面が得られた。耐水性試験、耐候性試験、追従性試験の試験結果は表2に示す。
乾式目地材の一例を示す断面図である。
符号の説明
A:乾式目地材
1:幹部
2〜3:ひれ部

Claims (4)

  1. 線状凹部による目地模様を有するとともに、線状凹部とそれ以外の部分が異色に塗装された壁面に対し、上塗材を塗装する塗装方法であって、
    当該上塗材は、合成樹脂エマルション(a)、ゲル形成物質(b)、及び着色顔料(c)を含む着色水性塗料(I)を、合成樹脂エマルション(a’)及びゲル化剤(d)を含有する水性分散媒(II)に分散して得られる着色塗料分散物を含むものであり、
    前記合成樹脂エマルション(a)、及び、(a’)が、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするモノマー群の乳化重合物であり、
    前記モノマー群におけるカルボキシル基含有モノマーの比率が、3重量%以下であり、
    当該着色塗料分散物として、前記壁面のいずれかの部分と同色に調製されたものを含み、
    前記上塗材を塗装する前の前記壁面において、
    前記壁面の全体に、第1着色下塗材を塗装した後、前記線状凹部以外の部分に、前記第1着色下塗材とは異色の第2着色下塗材を塗装するものであり、
    前記第1着色下塗材、及び/又は、前記第2着色下塗材が、多層構造型合成樹脂エマルションを結合材とするものであり、
    前記多層構造型合成樹脂エマルションの外層が、ガラス転移温度−20〜100℃のカルボキシル基含有アクリル樹脂であり、
    前記多層構造型合成樹脂エマルションの内層が、環状シロキサン化合物に由来するシリコーン樹脂、及び、ガラス転移温度−80〜20℃のアクリル樹脂であることを特徴とする塗装方法。
  2. 前記合成樹脂エマルション(a)、及び/又は、(a’)を構成するモノマー群において、水酸基含有モノマーの比率が、0.1〜20重量%であることを特徴とする請求項1に記載の塗装方法。
  3. 前記合成樹脂エマルション(a)、及び/又は、(a’)が、ノニオン性乳化剤を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の塗装方法。
  4. 前記水性分散媒(II)中の前記ゲル化剤(d)の比率が、0.01〜1重量%であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の塗装方法。
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