JP2015167901A - 塗装方法および塗装体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】表面に凸部を有し、前記凸部およびその他の部分がそれぞれ異なる色調の塗料で塗装された基材の塗装面全体に、エマルション塗料をゲル化膜でカプセル化した着色粒子を含む模様塗料を塗装して模様塗膜を形成する工程を含み、前記模様塗料中の前記着色粒子の含有量が、前記模様塗料の全量に対して1〜25質量%であることを特徴とする塗装方法。
【選択図】図1
Description
ところが前記の方法で上塗り塗装を施した壁材等は、耐候性が悪い問題がある。たとえば経年とともに上塗り塗装の塗膜形成成分とプラスチック粉との間に亀裂が生じ剥がれてしまう。亀裂や剥がれが生じると、意匠性も低下する。
前記模様塗料中の前記着色粒子の含有量が、前記模様塗料の全量に対して1〜25質量%であることを特徴とする。
本発明の塗装体は、表面に凸部を有し、前記凸部およびその他の部分がそれぞれ異なる色調の塗料で塗装された基材の塗装面全体に、前記塗装方法により模様塗膜を形成して得られるものである。
本発明の塗装体は、優れた意匠性と耐候性を有する。
本発明の塗装方法は、表面に凸部を有し、前記凸部およびその他の部分がそれぞれ異なる色調の塗料で塗装された基材の塗装面全体に、エマルション塗料をゲル化膜でカプセル化した着色粒子を含む模様塗料を塗装して模様塗膜を形成する工程を含み、
前記模様塗料中の前記着色粒子の含有量が、前記模様塗料の全量に対して1〜25質量%であることを特徴とする。
以下において、単に「着色粒子」という場合は、「エマルション塗料をゲル化膜でカプセル化した着色粒子」を示すものとする。
以下、本発明の塗装方法を、添付の図面を用い、実施形態例を示して説明する。
図1を用いて、本実施形態の塗装方法を説明する。
本実施形態の塗装方法は、以下の工程(a)〜(c)を含む。
(a)表面に凸部1aを有する基材1の表面全面に第一の塗料を塗装して第一の塗膜2を形成する工程、
(b)第一の塗膜2上の凸部1aに対応する位置に、第一の塗料と色調が異なる第二の塗料を塗装して第二の塗膜3を形成する工程、
(c)第一の塗膜2および第二の塗膜3上の全面に、エマルション塗料をゲル化膜でカプセル化した着色粒子を含む模様塗料を塗装して模様塗膜4を形成する工程。
基材1の表面には、凸部1aが存在し、凸部1aとその他の部分である目地部1bとによって立体的な模様が形成されている。
前記立体的な模様としては、特に限定されず、外壁材等に採用されている各種の模様を採用でき、例えばタイル調、石材調の模様等が挙げられる。
図2に、基材1の一例の概略正面図を示す。この例の基材1Aの表面においては、複数の略長方形状の凸部1aが規則的に配列してタイル調の模様が形成されている。
基材1の材質としては、特に限定されず、例えばモルタル、コンクリート、窯業系素材、プラスチック、金属、木材、紙が挙げられる。
基材1の具体的形態としては、外壁材、内壁材等に使用される建材;塀などが挙げられる。
工程(a)では、基材1の表面全面に第一の塗料を塗装して第一の塗膜2を形成する。これにより、基材1と第一の塗膜2とを備える第一の積層体11が得られる。
第一の塗料の塗装は、第一の積層体11の第一の塗膜2側の表面に基材1の表面形状(立体的な模様)が反映されるように行う。すなわち、第一の積層体11の第一の塗膜2側の表面には、凸部1aに対応する凸部2aが存在し、凸部2aとその他の部分である目地部2bによって立体的な模様が形成されている。凸部2aの高さは凸部1aの高さと同じでも異なってもよい。
第一の塗料の塗装方法としては、基材1の表面全面に塗料を塗布できる方法であればよく、スプレー、ローラー塗装、刷毛塗り等の公知の方法を用いることができる。
第一の塗料の塗装量は、凸部1aの高さ(目地部1bの深さ)、目地部1bの幅等によっても異なるが、単位面積あたりの第一の塗料の質量が100〜600g/m2となるように塗布するのが好ましい。
第一の塗料の塗装後、乾燥等の処理を行うことで第一の塗膜2が形成される。
工程(b)では、第一の積層体11の第一の塗膜2上に、第一の塗料と色調が異なる第二の塗料を塗装して第二の塗膜3を形成する。これにより、基材1と、第一の塗膜2と、第二の塗膜3とを備える第二の積層体12が得られる。
この際、第二の塗膜3は、基材1の凸部1a(第一の積層体11の凸部2a)に対応する位置に形成する。これにより、凸部1aに対応する位置の第一の塗膜2が第二の塗膜3で隠蔽される。その結果、凸部1aに対応する位置では第二の塗膜3の色調が、目地部1b(目地部2b)に対応する位置では第一の塗膜2の色調がそれぞれ視認される状態となる。
第一の塗料と第二の塗料との色差(ΔE*)は特に限定されないが、5<ΔE*が好ましく、5<ΔE*<95がより好ましく、10<ΔE*<50が特に好ましい。
ΔE*は、色の定量的な差を示すものであり、市販の色差計により測定される。
第二の塗料の塗装方法としては、凸部1aに対応する位置を選択的に塗装できる方法であればよく、例えばローラー塗装等の公知の方法を用いることができる。
第二の塗料の塗装量は、特に限定されないが、通常、単位面積あたりの第二の塗料の質量が30〜100g/m2となるように塗布するのが好ましい。
第二の塗料の塗装後、乾燥等の処理を行うことで第二の塗膜3が形成される。
工程(c)では、第二の積層体12の表面(第一の塗膜2および第二の塗膜3が形成された側)の全面に、エマルション塗料をゲル化膜でカプセル化した着色粒子を含む模様塗料を塗装して模様塗膜4を形成する。これにより、基材1と、第一の塗膜2と、第二の塗膜3と、模様塗膜4とを備える塗装体13が得られる。
模様塗料の塗装は、塗装体13の模様塗膜4側の表面に基材1の表面形状(立体的な模様)が反映されるように行う。すなわち、塗装体13の模様塗膜4側の表面には、凸部1aに対応する凸部4aと目地部1bに対応する目地部4bとが存在し、凸部4aおよび目地部4bによって立体的な模様が形成されている。凸部4aの高さは凸部1aの高さと同じでも異なってもよい。
模様塗料については後で詳しく説明する。
模様塗料の塗装方法としては、第二の積層体12上の全面に塗料を塗布できる方法であればよく、スプレー塗装等の公知の方法を用いることができる。
模様塗料の塗装量は、凸部1aの高さ(目地部1bの深さ)、目地部1bの幅等によっても異なるが、単位面積あたりの模様塗料の質量が100〜400g/m2となるように塗布するのが好ましい。
模様塗料の塗装後、乾燥等の処理を行うことで模様塗膜4が形成される。乾燥は、常温で行っても加熱により行ってもよい。
すなわち、前記模様塗料を用いて形成される模様塗膜4は、透明な塗膜中に不定形の粒状の模様が分散して複雑な模様を形成している。
従来、模様塗膜を形成するために模様塗料が使用されているが、本発明に用いられる模様塗料は、着色粒子の含有量が従来よりも少なく、形成される模様塗膜4は、一般的に使用されている模様塗料から形成された塗膜に比して、透明な部分の割合が多く、隠蔽性が低い。そのため、模様塗膜4を設けた後も、模様塗膜4の透明な部分を介して、下地(第二の積層体12表面)の第一の塗膜2と第二の塗膜3との色調の違いが明確に視認できる。下地の凸部と目地部による意匠(立体的、色彩的模様)と模様塗膜4の模様との相乗効果で意匠性が向上する。
また、模様塗膜4は、着色粒子がエマルション塗料をゲル化膜でカプセル化したものであるため、塗膜形成成分との間で経年による亀裂が生じにくく、耐候性に優れる。模様塗膜4が下地の表面全体に形成されるため、模様塗膜4によって下地部分の塗膜が保護され、下地部分の塗膜の耐候性も向上し、塗装体13全体の耐候性が向上する。
模様塗膜4の形成に用いられる模様塗料は、着色粒子を含む。
模様塗料には、着色粒子を分散する分散媒がさらに含まれる。
模様塗料には、必要に応じて、バインダの役割を果たす樹脂エマルションが含まれてもよい。
模様塗料に含まれる着色粒子は、エマルション塗料をゲル化膜でカプセル化したものである。かかる着色粒子を用いることで、耐候性が高い模様塗膜を形成できる。また、エマルション塗料をゲル化膜でカプセル化することにより、着色粒子が分散媒中で安定して分散することができる。
着色粒子の粒子径は、光学顕微鏡により測定される値である。
模様塗料に2色以上の着色粒子が含まれる場合、模様塗料に含まれる着色粒子のうちの任意の1つと、色の異なる他の着色粒子との間の色差(ΔE*)は、特に限定されないが、5<ΔE*が好ましく、10<ΔE*がより好ましい。
エマルション塗料I:樹脂エマルションと、着色顔料と、親水性コロイド形成物質とを含有するエマルション塗料。
分散媒II:ゲル化剤を含む水性の分散媒。
エマルション塗料Iの配合量は、分散媒IIの100質量部に対して100〜500質量部であることが好ましく、150〜400質量部であることがより好ましい。エマルション塗料Iの配合量を上記範囲内とすることにより、形状が均一なカプセル化された着色粒子となる。
着色粒子は水分を多く含み、柔らかい粒子である。着色粒子の粒子径は、エマルション塗料Iや分散媒IIの粘度、分散機の回転数、撹拌時間、親水性コロイド形成物質およびゲル化剤の組み合わせや配合量によって自由にコントロールできる。通常、エマルション塗料Iや分散媒IIの粘度を高くすれば粒子径は大きくなり、分散機の回転数を早くすれば粒子径は小さくなる。
エマルション塗料Iは、樹脂エマルションと、着色顔料と、親水性コロイド形成物質とを含有する。エマルション塗料Iが親水性コロイド形成物質を含有することにより、該親水性コロイド形成物質と後述する分散媒IIに含まれるゲル化剤とが反応してエマルション塗料Iをカプセル化することができる。
エマルション塗料I中の着色顔料の含有量は、特に限定されないが、樹脂エマルション100質量部に対して、0.01〜50質量部が好ましく、0.1〜30質量部がより好まし。
親水性コロイド形成物質は、通常、水溶液の状態でエマルション塗料Iの調製に用いられる。水溶液中の親水性コロイド形成物質の含有量は、使用する親水性コロイド形成物質に応じて設定される。たとえばグアルゴムの水溶液の場合、水溶液中のグアルゴムの含有量は、水溶液の全量(100質量%)に対し、0.5〜5質量%が好ましく、1.0〜3質量%がより好ましい。
エマルション塗料I中の親水性コロイド形成物質の含有量(固形分換算)は、樹脂エマルション100質量部に対して、0.05〜5質量部が好ましく、0.1〜3.0質量部がより好ましい。親水性コロイド形成物質の含有量を上記範囲内とすることにより、安定したゲル化膜が得られる。
体質顔料としては、カオリン、硫酸バリウム、含水ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。体質顔料は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
エマルション塗料I中の体質顔料の含有量は、エマルション塗料Iの全量(100質量%)に対し、0〜30質量%が好ましく、0〜20質量%がより好ましい。
エマルション塗料Iには、着色顔料を分散させるアニオン性高分子分散剤などの分散剤が含まれていてもよい。
エマルション塗料I中の水の含有量は、エマルション塗料Iの全量(100質量%)に対し、40〜90質量%が好ましく、50〜80質量%がより好ましい。
分散媒IIは、ゲル化剤を含む水性の分散媒である。
ゲル化剤としては、例えばマグネシウムモンモリロナイト粘土、ナトリウムペンタクロロフェノール、ホウ酸塩、タンニン酸、乳酸チタン、塩化カルシウム等が挙げられる。中でもホウ酸塩が好ましい。ゲル化剤は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ゲル化剤は、通常、水溶液の状態で分散媒IIの調製に用いられる。水溶液中のゲル化剤の含有量は、使用するゲル化剤に応じて設定される。たとえばホウ酸の水溶液の場合、水溶液中のホウ酸塩の含有量は、水溶液の全量(100質量%)に対し、0.05〜10質量%が好ましく、0.5〜8質量%がより好ましい。
分散媒II中のゲル化剤の含有量(固形分換算)は、分散媒IIの全量(100質量%)に対して、0.05〜5質量部が好ましく、0.1〜3質量部がより好ましい。ゲル化剤の含有量を上記範囲内とすることにより、安定したゲル化膜が得られる。
体質顔料としては、例えばカオリン、硫酸バリウム、含水ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。中でも含水ケイ酸マグネシウムが好ましい。体質顔料は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
体質顔料は、通常、水に分散した分散液の状態で分散媒の調製に用いられる。分散液中の体質顔料の含有量は、分散液の全量(100質量%)に対し、0.05〜20質量%が好ましく、2〜10質量%がより好ましい。
分散媒II中の体質顔料の含有量(固形分換算)は、分散媒IIの全量(100質量%)に対して、0.05〜3質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。
水溶性高分子化合物としては、例えばヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等が挙げられる。中でもカルボキシメチルセルロースが好ましい。水溶性高分子化合物は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
水溶性高分子化合物は、通常、水に溶解させ、水溶液の状態で分散媒IIの調製に用いられる。水溶液中の水溶性高分子化合物の含有量は、水溶液の全量(100質量%)に対し、0.05〜10質量%が好ましく、0.5〜8質量%がより好ましい。
分散媒II中の水溶性高分子化合物(固形分換算)の含有量は、分散媒IIの全量(100質量%)に対して、0.05〜3質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。
分散媒II中の水の含有量は、分散媒IIの全量(100質量%)に対し、20〜80質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましい。
模様塗料に用いられる分散媒としては、着色粒子を溶解せずに分散可能なものであればよく、油性でも水性でもよい。着色粒子の分散安定性の点では、水等の水性の分散媒が好ましい。
模様塗料中の分散媒の含有量は、模様塗料の全量(100質量%)に対し、1〜30質量%が好ましく、10〜20質量%がより好ましい。分散媒の含有量が前記範囲内であると着色粒子の分散安定性が良好である。
模様塗料に用いられる樹脂エマルションとしては、例えば酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、アクリロニトリル、ベオバ(分岐脂肪酸ビニルエステル)等の単量体の単独重合体または共重合体(例えばポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、ポリスチレン等)、天然または合成ゴム、それらの共重合体等のエマルションが挙げられる。中でも、アクリル樹脂エマルションが好ましい。
模様塗料中の樹脂エマルションの含有量は、模様塗料の全量(100質量%)に対し、20〜60質量%が好ましく、30〜50質量%がより好ましい。樹脂エマルションを上記範囲内で含むことにより、模様塗料の塗装作業性がよく、耐久性のよい塗膜が得られる。
たとえば、第一実施形態においては、工程(a)〜(c)を行う方法を示したが、工程(a)〜(b)を行わず、第二の積層体12として既存のもの、たとえば外壁材、内壁材、塀を用いて工程(c)を行ってもよい。または、工程(a)を行わず、第一の積層体11として既存の壁材等を用いて工程(b)〜(c)を行ってもよい。
既存の壁材等の塗装面に、任意に部分的な塗装を施した後、全面に前記模様塗料を塗布することで、前記と同様、塗装面の意匠性(立体的、色彩的な模様)を生かしつつ複雑な模様を加えることができ、より複雑で深みのある意匠とすることができる。
また、前記の壁材等においては、経時的に、塗膜に割れ、欠け等の欠陥が生じることがある。この場合、欠陥部分に類似の色の塗料を塗布して補修することが行われるが、補修跡が残って意匠性が悪くなることがある。このように補修をした後の壁材等を第二の積層体12の代わりに用いて工程(c)を行うと、模様塗膜4によって、前記と同様、塗装面の意匠性(立体的、色彩的な模様)を生かしつつより優れた意匠性を加えることができ、さらには補修跡が見えにくくなる。
本発明の塗装体は、表面に凸部を有し、前記凸部およびその他の部分がそれぞれ異なる色調の塗料で塗装された基材の塗装面全体に、前記の塗装方法により模様塗膜を形成して得られるものである。
すなわち、本発明の塗装体は、表面に凸部を有し、前記凸部およびその他の部分がそれぞれ異なる色調の塗料で塗装された基材と、該基材の塗装面全体に形成された模様塗膜とを有し、該模様塗膜が、エマルション塗料をゲル化膜でカプセル化した着色粒子を含む模様塗料から形成されたものであり、前記模様塗料中の前記着色粒子の含有量が、前記模様塗料の全量に対して1〜25質量%であることを特徴とする。
基材、模様塗料および模様塗膜の形成方法(塗装方法)はそれぞれ前記のとおりである。
すなわち、前記模様塗膜においては、透明な塗膜中に不定形の粒状の模様が分散して複雑な模様を形成している。また、前記模様塗膜は、一般的に使用されている模様塗料から形成された塗膜に比して、透明な部分の割合が多く、隠蔽性が低いため、模様塗膜の透明な部分を介して、基材の塗装面の色調の違いが明確に視認できる。そのため、本発明の塗装体においては、基材の塗装面の凸部とその他の部分による意匠(立体的、色彩的模様)と前記模様塗膜の模様との相乗効果による優れた意匠性を有する。
また、前記模様塗膜中の粒状の模様は、エマルション塗料をゲル化膜でカプセル化した着色粒子から形成されたものであるため、塗膜形成成分との間で経年による亀裂が生じにくい。そのため、前記模様塗膜は、耐候性に優れる。この模様塗膜が基材の塗装面の表面全体に形成されるため、基材の塗装面の塗膜が模様塗膜によって保護され、耐候性が向上する。そのため、本発明の塗装体は優れた耐候性を有する。
(エマルジョン塗料の製造)
アクリル樹脂エマルジョン(「プライマルAC−38」日本アクリル化学製)38部と、非イオン性グアルゴム誘導体の1.5%水溶液28.5部(固形分0.43部)との混合溶液(a)を準備した。
別途、着色顔料としてチタン白10部と、アニオン性高分子分散剤(「オロタン731」日本アクリル化学製)1部と、水22.5部との混合溶液(b)を準備した。
混合溶液(a)に混合溶液(b)を加え撹拌し、エマルジョン塗料(白)を得た。
含水ケイ酸マグネシウムの4%水中分散液25部(固形分1部)に、重ホウ酸アンモニウムの5%水溶液5部(固形分0.25部)と、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの1%水溶液25部(固形分0.25部)とを加え撹拌混合した後、水45部を加えて希釈し、分散媒を得た。
分散媒40部に、エマルジョン塗料(白)60部を加え、ディソルバで撹拌し、粒径が10mmになるまで分散して、着色粒子A(白)分散液を得た。着色粒子A(白)分散液中の着色粒子A(白)の含有量は60%であった。
前記着色粒子A(白)分散液の製造において、着色顔料にカーボンブラックを用いた以外は同様にして着色粒子B(黒)分散液を得た。
前記着色粒子A(白)分散液の製造において、着色顔料に酸化鉄を用いた以外は同様にして着色粒子C(ブラウン)分散液を得た。
(模様塗料組成物の製造)
アクリル樹脂エマルジョン(「プライマルAC−33」日本アクリル化学製)55部に、着色粒子A(白)分散液3.4部と、着色粒子B(黒)分散液3.4部と、着色粒子C(ブラウン)分散液3.4部と、アルカリ可溶型増粘剤(SNシックナー636)1部と、25%アンモニア水0.1部と、水35.2部とを混合し、ディソルバで撹拌して模様塗料組成物1を製造した。
模様塗料組成物1中の着色粒子の合計の含有量は、模様塗料組成物1の全量に対して6%であった。
表面にタイル調の凹凸が形成されたスレート板を基材として用い、以下に示す手順で塗装を行った。
基材の表面全面に、グレー色の着色塗料を、塗布量が300g/m2になるようにスプレーにより塗布し、常温乾燥して第一の塗膜を形成した。
次に、第一の塗膜の表面に、ブラウン色の着色塗料を、塗布量が50g/m2になるようにローラーにより塗布し、常温乾燥して第二の塗膜を形成した。第二の塗膜は、基材表面の凸部の位置のみに形成された。
次に、第二の塗膜および第二の塗膜で被覆されていない部分の第一の塗膜の表面に、前記の模様塗料組成物1を、塗布量が250g/m2になるようにスプレーにより塗布し、常温乾燥して模様塗膜を形成した。これにより、基材と第一の塗膜と第二の塗膜と模様塗膜とを有する塗装体を得た。
この例においては、模様塗料組成物1が外観に与える影響を評価するため、模様塗料組成物1の塗布の際、基材の最も下側の列の凸部には模様塗料組成物1を塗布しなかった。
図3に、得られた塗装体を模様塗膜側から撮影した写真を示す。
得られた塗装体に対して下記の評価を行った。評価結果を表1に示す。
前記塗装体の凸部を40mm×40mmの大きさで切り出して評価サンプルとした。
評価サンプルについて、耐候性試験機(超促進耐侯性試験機「アイスーパーUVテスター」岩崎電気株式会社製)にて、模様塗膜側への紫外線照射4時間と結露4時間を1サイクルとし50サイクル行った。その後、評価サンプルの塗装部分のクラックの有無を光学顕微鏡(100倍)により拡大観察し、下記の基準で耐候性を評価した。
○:クラック無し。
×:クラック有り。
得られた塗装体の外観を模様塗膜側から目視で観察し、下記の基準で外観を評価した。この結果が○であることは、凸部とその他の部分がそれぞれ異なる色調の塗料で塗装された基材に、凸部とその他の部分による意匠を隠蔽せずに、より優れた意匠性を付与できることを示す。
〇:第一及び第二の塗膜が視認できる。
×:第一及び第二の塗膜が視認できない。
実施例1において、着色粒子A(白)分散液、着色粒子B(黒)分散液および着色粒子C(ブラウン)分散液の代わりに、着色プラスチック粉7.9部を用いた以外は実施例1と同様にして、模様塗料組成物2を製造した。模様塗料組成物2中の着色プラスチック粉の含有量は、模様塗料組成物2の全量に対して8.0%であった。
次に、模様塗料組成物1の代わりに模様塗料組成物2を用いた以外は実施例1と同様にして、塗装体の作製、耐候性および外観の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例1において、着色粒子A(白)分散液の配合量を30部、着色粒子B(黒)分散液の配合量を30部、着色粒子C(ブラウン)分散液の配合量を30部とした以外は実施例1と同様にして、模様塗料組成物3を製造した。模様塗料組成物3中の着色粒子の合計の含有量は、模様塗料組成物3の全量に対して30%であった。
次に、模様塗料組成物1の代わりに模様塗料組成物3を用いた以外は実施例1と同様にして、塗装体の作製、耐候性および外観の評価を行った。評価結果を表1に示す。
一方、着色粒子の代わりに着色プラスチック粉を用いた比較例1で得られた塗装体は、耐候性が悪かった。
着色粒子の含有量を30%とした比較例2で得られた塗装体は、外観が悪かった。
1a 凸部
1b 目地部(その他の部分)
2 第一の塗膜
3 第二の塗膜
4 模様塗膜
11 第一の積層体
12 第二の積層体
13 塗装体
Claims (2)
- 表面に凸部を有し、前記凸部およびその他の部分がそれぞれ異なる色調の塗料で塗装された基材の塗装面全体に、エマルション塗料をゲル化膜でカプセル化した着色粒子を含む模様塗料を塗装して模様塗膜を形成する工程を含み、
前記模様塗料中の前記着色粒子の含有量が、前記模様塗料の全量に対して1〜25質量%であることを特徴とする塗装方法。 - 表面に凸部を有し、前記凸部およびその他の部分がそれぞれ異なる色調の塗料で塗装された基材の塗装面全体に、請求項1に記載の塗装方法により模様塗膜を形成して得られる塗装体。
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