JP5121094B2 - コンクリート打ち放し面の仕上げ方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリート打ち放し面の仕上げ方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
コンクリート打ち放し面は、その基材に特有の意匠性を有しており、建築物、土木構造物等において広く用いられている。このような打ち放し面の意匠性は、連続的かつ微妙に変化する色相により表出されるもので、その外観は自然で素朴な印象を与えることができるものである。
しかし、基材に不陸、目違い、巣穴、ひび割れ等の欠損が生じては、このような意匠性が損なわれてしまう。また、このような基材は、太陽光、降雨、あるいは大気中に浮遊する汚染物質等の影響を受けると、経時的に汚染や劣化が進行して美観性が低下してしまう。このため、基材に対して補修や改修を施す必要性が生じている。
【0003】
そこで、このような基材を補修、改修する方法が各種提案されている。
例えば、基材の欠損部に対しては、補修用モルタルを用意しそれを周辺部の色相に合わせて調色した後に充填する、という方法が行われている。しかしながら、この方法では、まず周辺部の色相に合わせるという調色作業が繁雑であり、さらに精度の高い調色を行っても、防水性や耐候性等の違いにより経時的に補修部分が目立つようになるという欠点を有している。
これに対し、特開平7−305517号公報(従来技術1)では、数色の塗料を用いて、補修部分及びその周辺部にグラデーションを示す色調となる点付けを行うことで、補修部分を違和感なく仕上げることが提案されている。
一方、特開平9−253571号公報(従来技術2)では、打ち放しコンクリート面に対し、撥水性透明型水性塗料を塗装し、発生した色むらや欠損部に対してシリカ系無機質塗料を用いてファンデーション塗装し、さらに黒色塗料によるパターン付けを行うことにより、打ち放し感を損なうことなく美装性の高い仕上りを得ることが記載されている。
また、特開平9−290205号公報(従来技術3)では、打ち放しコンクリート面に対し、下地調整を行った後、ゲル状の多彩模様塗料をスポンジ、刷毛等で点接触式に押し付けて塗布層を形成することにより、変化に富み、立体感のある壁面を形成する方法が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
以上のような従来技術に用いられている方法は、いずれも意匠性の高い打ち放し感を表出することを目指している。しかしながら、従来技術1における複数の塗料を用いた点付けを行うという作業、従来技術2におけるファンデーション塗装及びパターン付けという作業、従来技術3における点接触式に押し付けるという作業は、いずれも非常に繁雑で、多大な手間と時間を要するものである。さらに、これらの作業は、熟練した技能を必要とするもので、その仕上り具合は作業者の熟練度合に大きく左右されるため、常に一定水準以上の品質で仕上げられるというものではない。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みされたものであり、コンクリート打ち放し面の補修、改修等を比較的簡単な作業で達成することができ、その仕上り性が作業者の熟練度合によることなく、常に安定した品質で仕上げることができる方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
これらの課題を解決するため、本発明者は鋭意検討を行い、その結果、コンクリート打ち放し面に対し、特定組成の塗料組成物を塗装することで、連続的かつ微妙に変化する打ち放し感を表出でき、1コートで容易にかつ安定した品質で仕上げられることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
即ち、本発明は、以下の塗装方法を提供するものである。
1.コンクリート打放し面に対し、半透明水系分散媒に単色または複数色のエナメル粒子が分散した塗料組成物を塗装するコンクリート打ち放し面の仕上げ方法であり、
半透明水系分散媒が、粒子径が1μm以下の顔料を含有し、JIS K5660「つや有合成樹脂エマルションペイント」4.8隠ぺい率において0.05〜0.90となる被膜を形成するものであることを特徴とするコンクリート打ち放し面の仕上げ方法。
2.エナメル粒子が、合成樹脂、顔料、及び溶媒を含有するエナメルを、粒子径が、0.01〜10.0mmとなるように分散したものであることを特徴とする1.に記載のコンクリート打ち放し面の仕上げ方法。
3.エナメル粒子が、架橋性官能基含有重合体、顔料、及び溶媒を含有するエナメルを、粒子径が0.01〜10.0mmとなるように分散した後、架橋剤または硬化触媒を混合して得られたものであることを特徴とする1.に記載のコンクリート打ち放し面の仕上げ方法。
4.半透明水系分散媒が、粒子径が1μm以下の白色顔料及び/または黒色顔料を含有し、
エナメル粒子は、合成樹脂、顔料、及び溶媒を含むエナメルが粒子状に分散されたものであり、
エナメル粒子における顔料として、白色顔料及び/または黒色顔料を含有し、
かつ半透明水系分散媒とエナメル粒子が同色でない形態であることを特徴とする1.から3.のいずれかに記載のコンクリート打ち放し面の仕上げ方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態とともに詳細に説明する。
【0009】
まず、本発明に用いる塗料組成物について説明する。
【0010】
エナメル粒子は、合成樹脂、顔料、溶媒を主成分とし、さらに必要に応じて、顔料分散剤、消泡剤、増粘剤、造膜助剤等の一般に塗料に使用する添加剤を適宜配合することで得られるものである。
【0011】
エナメル粒子に使用する合成樹脂としては、顔料および溶媒と混合してエナメル粒子を形成できるものであれば溶剤系、水系に特に限定されるものではなく、塗料に使用する既存のバインダーが使用できる。例えば、アクリル系、アクリルシリコン系、エポキシ系、ウレタン系、シリコーン系等の水溶性樹脂、合成樹脂エマルション、溶剤可溶型樹脂、溶剤分散型樹脂等があげられる。
特に、架橋剤や硬化触媒によって架橋する官能基を含有した、架橋性官能基含有共重合体は、形成されたエナメル粒子の強度を向上させることができるため、貯蔵時におけるエナメル粒子の融着や塗装時におけるエナメル粒子の溶出による模様のにじみを発生することがなく好ましい。
【0012】
このような架橋性官能基含有重合体の架橋性官能基としては、水酸基、イソシアネート基、エポキシ基、アミノ基、アルコキシシリル基、カルボニル基、カルボキシル基等があげられる。このような架橋性官能基は架橋性官能基含有モノマーとその他のモノマーを共重合して得ることが可能である。架橋性官能基含有モノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等水酸基含有モノマー、メタクリロイルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマー、グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有モノマー、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有モノマー、ビニルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシリル基含有モノマー、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド等のカルボニル基含有モノマー、(メタ)アクリル酸、マレイン酸等のカルボキシル基含有モノマーが使用できる。
【0013】
その他の共重合可能なモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステルまたはシクロアルキルエステル、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のビニル芳香族化合物等があげられる。
【0014】
溶媒としては、水または溶剤のいずれであってもよく、例えば水;メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール等のアルコール類;メチルセロソルブ、セロソルブソルベント、ブチルセロソルブ、イソブチルセロソルブ等のエーテルアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;石油ベンゼン、n−ヘプタン、n−ヘキサン、ミネラルスピリット、ターペン、ケロシン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;シクロヘキサン等の脂環族炭化水素類;ジクロルエタン、トリクレン、パークレン等の塩素化炭化水素類等が使用可能である。
【0015】
本発明で用いられる水系分散媒としては、前述のエナメルを粒子状に分散可能なものであれば特に限定されるものではないが、少なくとも乾燥後にエナメル粒子を被覆して、被膜を形成可能なものでなければならない。このような点から水系分散媒は、合成樹脂エマルション、又は、水溶性樹脂が配合されている。また、これらを併用してもかまわない。
【0016】
合成樹脂エマルションとしては、例えば、ポリ酢酸ビニル系、ポリアクリル酸エステル系、アクリル−スチレン共重合体系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、酢酸ビニル−アクリル共重合体系、エチレン−塩化ビニル共重合体系、酢酸ビニル−ベオバ共重合体、エポキシ系エマルション、ウレタン系エマルション等があげられる。
水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキサイド、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等があげられる。特にカチオン性のものがエナメル粒子の分散性の高さから好ましい。
【0017】
水系分散媒には、さらに分散粒子の凝集を防止するために、分散安定剤を適宜配合することができる。このような分散安定剤としては、前述の水溶性樹脂に加えて、カゼイン、セルロースアセテートフタレイト、ベントナイト、ポリメタクリル酸、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、ゼラチン、ペクチン、キサンタンガム、澱粉、さらに比較的水に不溶性の塩類として、白土、タルク、珪藻土等を使用することが可能である。
【0018】
また、水系分散媒は、半透明であれば特に限定されるものではないが、JISK 5660「つや有合成樹脂エマルションペイント」4.8隠ぺい率において0.05〜0.90、好ましくは0.10〜0.60となる被膜を形成ことが望ましい。このために、水系分散媒中には、顔料を配合するが、その配合量は、水系分散媒によって形成される被膜が上記隠ぺい率の範囲となるように適宜決定される。顔料として特にその粒子径が1μm以下のものを使用すると、エナメル粒子の色相が深みあるものに仕上がるため、より好ましく用いることができる。
水系分散媒の隠ぺい率が0.05より小さい場合には、分散媒色相とエナメル粒子色相との複合効果が得られず、エナメル粒子の斑点模様のみが形成されてしまい、0.90より大きい場合には、エナメル粒子の色相が不明瞭となり、分散媒色相による単一色の被膜が形成されてしまう。いずれの場合も連続的かつ微妙な色相変化を表出できない。
【0019】
水系分散媒及び分散相のエナメルに使用する顔料は、特に限定されず、白色顔料、黒色顔料、赤・橙色顔料、黄色顔料、緑色顔料、青色顔料、紫顔料等を使用することができる。白色顔料としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、アルミナ、シリカ、カオリン等を使用することができる。黒色顔料としては、例えば、カーボンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、鉄黒、銅クロムブラック、コバルトブラック、銅マンガン鉄ブラック等を使用することができる。着色顔料としては、例えば、べんがら、モリブデートオレンジ、パーマネントレッド、パーマネントカーミン、アントラキノンレッド、ペリレンレッド、キナクリドンレッド等の赤・橙色顔料;黄色酸化鉄、チタンイエロー、ファーストイエロー、ベンツイミダゾロンイエロー等の黄色顔料;クロムグリーン、コバルトグリーン、フタロシアニングリーン等の緑色顔料;群青、紺青、コバルトブルー、フタロシアニンブルー等の青色顔料;キナクリドンバイオレット、ジオキサジンバイオレット等の紫色顔料があげられる。
【0020】
本発明では、コンクリート基材の色調を考慮すると、白色顔料及び黒色顔料を含むことが望ましい。これらの顔料を配合する際には、例えば、水系分散媒に白色顔料及び/または黒色顔料、分散相のエナメルに白色顔料及び/または黒色顔料が含まれ、かつ、水系分散媒と分散相のエナメルが同色でない形態が可能である。さらに水系分散媒及び/または分散相のエナメルに黒色顔料を含むことが好ましい。このような形態や顔料の配合量は、所望の色相に応じ、適宜選択、調整すればよい。
【0021】
上記以外の顔料として、一般的に塗料に配合する体質顔料、着色骨材等を使用することもできる。
【0022】
前述のエナメルを水系分散媒に分散する際は、例えば、攪拌槽内で水系分散媒をインペラー等の混合分散装置にて攪拌しながら、予め製造しておいたエナメル組成物を徐々に加える方法にて行うことができる。この際に、攪拌槽の大きさやインペラーの形状および大きさ、周速を適宜調整して、エナメル粒子径が0.01〜10.0mmとなるようにすることが好適である。エナメル粒子径が0.01mmより小さい場合には、形成される被膜の連続かつ微妙に変化する打放し感があまり表現されず、逆にエナメル粒子径が10.0mmより大きいと、多彩模様が明瞭になりすぎる傾向となる。また、水性分散媒とエナメル組成物の混合比は、(水系分散媒/エナメル組成物)の重量比が1/0.5〜1/2であることが望ましい。
【0023】
エナメル粒子中に架橋性官能基含有重合体を含む場合は、水系分散媒にエナメル組成物を分散させる際、もしくは分散させた後に、架橋剤ないしは硬化触媒を配合する。このような架橋剤としては、各架橋性官能基に対して既知の架橋剤や硬化触媒を配合すれば良い。例えば、水酸基の場合には各種イソシアネート類やこの多量体のポリイソシアネート化合物、各種金属塩類、もしくはその乳化物、カルボキシル基の場合は、エポキシ化合物や金属塩、グリシジル基の場合には、アミン類があげられる。また、アルコキシシリル基の場合には、自己架橋するため、錫系、アミン系、リン酸系等の硬化触媒を配合する。
【0024】
以上のような塗料組成物は、一般に多彩模様塗料と呼ばれる塗料とは異なるものである。即ち、一般に用いられる多彩模様塗料は、2色以上の液状またはゲル状の粒が潰れて模様を形成し、各色粒間の色相の違いによって明瞭なコントラストを表出するものであるのに対し、本発明に用いる塗料組成物は、このような各色粒の色相が単色でも複数色でもよく、また複数色であっても色相の違いがあまり明瞭ではなく、色相が連続的かつ微妙に変化する意匠性を表出できるため、コンクリート基材の打ち放し感を容易に表出することができるものである。これは、本発明に用いる塗料組成物の水系分散媒が、半透明であることに起因しており、各エナメル粒子と該水系分散媒との複合化によってはじめて達せられるものである。
【0025】
[塗装方法]
本発明は、コンクリート打ち放し面に適用できるものである。本発明は主に、補修や改修が必要となった場合に用いるものであるが、新設面に対して適用しても何ら差し支えない。
【0026】
本発明においては、対象となるコンクリート打ち放し面に対して、必要に応じて表面処理を施した後、前述の塗料組成物を塗装する。
【0027】
表面処理としては、例えば、基材の不陸、目違い、巣穴等に対するポリマーセメントモルタルでの補修、ひび割れ部に対するエポキシ樹脂の注入あるいはポリマーセメントモルタルやコーキング材の充填、浮き部の補修・補強、クロス類やシーラーによるシーリング材目地部の処理、フィラー、サーフェーサー、シーラー、プライマー等の塗付による下地調整等があげられる。これらの表面処理は、下地基材の状況等に応じて適宜施される。
【0028】
基材に対し、必要に応じ表面処理を施した後、前述の塗料組成物が塗装される。塗付量は通常0.2〜0.5kg/m2程度である。塗装においては、1回塗装を行うことにより目的の被膜を形成できるが、同一塗料を複数回塗装しても何ら差し支えない。また、塗装器具としては、スプレーガン、ローラー、刷毛等公知のものを使用することができる。
【0029】
本発明では、塗料組成物を塗装した後、化粧面の保護を目的としてさらにクリヤー塗料を塗付することもできる。特に耐候性が要求される構造物外部の部位に施工する際には保護の目的でクリヤー塗料を塗布するのが好ましい。
クリヤー塗料は、特に限定されず公知のものが使用できる。例えば、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、エポキシ樹脂系、アクリルシリコン系、フッ素系等があげられ、水系または溶剤系のいずれであってもよい。また、クリヤー塗料は非汚染タイプの方が好ましい。さらに、艶消しタイプでも艶有りタイプでもいずれであっても良い。本発明では、耐候性を考慮すると、アクリルシリコン系、フッ素系等が望ましい。本発明の効果を阻害しない限り、着色することも可能である。
クリヤー塗料による塗装は、公知の塗装によればよく、例えば吹き付け塗装、ローラー塗装、刷毛塗り等の各種の塗装方法により実施することができる。クリヤー塗料の塗付量は、適用する部位等に応じて適宜設定すればよく、通常0.1〜0.4kg/m2程度である。
【0030】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
【0031】
表1に示した原料を使用して、表2、3に示した各配合例の組成物を製造した。尚、表2、3の各数値は重量部数を示す。配合例1〜4はエナメル組成物を、配合例5〜10は水系分散媒を示している。但し、エナメル組成物は、まず架橋剤及び硬化触媒を除く成分を混合し、架橋剤および硬化触媒は、水系分散媒中でエナメル粒子を形成させる際に配合した。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
続いて、表4に記載した組み合わせにて、エナメル組成物を水系分散媒に分散した。尚、表4の各数値は重量部数を示す。分散手順は、攪拌槽中に水系分散媒を仕込み、インペラーにて攪拌しながら、エナメル組成物を混合することで行った。この際に、先にエナメル組成物に混合していなかった架橋剤または硬化触媒を同時に混合することでエナメル粒子の分散した塗料組成物が形成された。
【0036】
【表4】
【0037】
得られた塗料組成物を、コンクリート基材に塗付量0.3kg/m2でスプレー塗装し、室温にて乾燥・養生した。
【0038】
(実施例1)
白色顔料を含む粒子径3〜5mmの白色エナメル粒子が、黒色顔料を含む水系分散媒に分散した状態の塗料組成物であり、この水系分散媒により形成される被膜の隠ぺい率は0.50であった。本塗料組成物を塗装することにより、グレー系の色調が連続的かつ微妙に変化する打ち放し調の外観に仕上げることができた。
【0039】
(実施例2)
白色顔料及び黒色顔料を含む粒子径1〜3mmのグレー色エナメル粒子が、黒色顔料を含む水系分散媒に分散した状態の塗料組成物であり、この水系分散媒により形成される被膜の隠ぺい率は0.16であった。本塗料組成物を塗装することにより、グレー系の色調が連続的かつ微妙に変化する打ち放し調の外観に仕上げることができた。
【0040】
(実施例3)
黒色顔料を含む粒子径0.5〜2mmの黒エナメル粒子が、白色顔料を含む水系分散媒に分散した状態の塗料組成物であり、この水系分散媒により形成される被膜の隠ぺい率は0.22であった。本塗料組成物を塗装することにより、グレー系の色調が連続的かつ微妙に変化する打ち放し調の外観に仕上げることができた。
【0041】
(実施例4)
黒色顔料を含む粒子径2〜4mmの黒エナメル粒子が、白色顔料を含む水系分散媒に分散した状態の塗料組成物であり、この水系分散媒により形成される被膜の隠ぺい率は0.28であった。本塗料組成物を塗装することにより、グレー系の色調が連続的かつ微妙に変化する打ち放し調の外観に仕上げることができた。
【0042】
(比較例1)
水系分散媒に顔料を含まない塗料組成物を用いたところ、各色粒間の色相の違いが明瞭で、連続的かつ微妙に変化する色相を表出することはできなかった。
【0043】
(比較例2)
水系分散媒の隠ぺい率が本発明の規定より高い塗料組成物を塗装したところ、単一色の外観に仕上がってしまい、連続的かつ微妙に変化する色相を表出することはできなかった。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、コンクリート基材のもつ打ち放し感を、特定の塗料組成物を塗付するという比較的簡単な作業で表出することができる。また、その仕上り性は作業者の技能の熟練度合によることがなく、常に安定した品質で仕上げることができる。
さらに、下地基材の防水性、中性化防止性、耐候性等を高めるという効果も発揮することができる。
Claims (4)
- コンクリート打放し面に対し、半透明水系分散媒に単色または複数色のエナメル粒子が分散した塗料組成物を塗装するコンクリート打ち放し面の仕上げ方法であり、
半透明水系分散媒が、粒子径が1μm以下の顔料を含有し、JIS K5660「つや有合成樹脂エマルションペイント」4.8隠ぺい率において0.05〜0.90となる被膜を形成するものであることを特徴とするコンクリート打ち放し面の仕上げ方法。 - エナメル粒子が、合成樹脂、顔料、及び溶媒を含有するエナメルを、粒子径が、0.01〜10.0mmとなるように分散したものであることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート打ち放し面の仕上げ方法。
- エナメル粒子が、架橋性官能基含有重合体、顔料、及び溶媒を含有するエナメルを、粒子径が0.01〜10.0mmとなるように分散した後、架橋剤または硬化触媒を混合して得られたものであることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート打ち放し面の仕上げ方法。
- 半透明水系分散媒が、粒子径が1μm以下の白色顔料及び/または黒色顔料を含有し、
エナメル粒子は、合成樹脂、顔料、及び溶媒を含むエナメルが粒子状に分散されたものであり、
エナメル粒子における顔料として、白色顔料及び/または黒色顔料を含有し、
かつ半透明水系分散媒とエナメル粒子が同色でない形態であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のコンクリート打ち放し面の仕上げ方法。
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JP2001342085A (ja) | 2001-12-11 |
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