JP4162545B2 - 模様面の形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内壁、天井、扉等の建築物内装面の美観性を高めることができる模様面の形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、内壁、天井、扉等の建築物内装面を塗装する際には、一般にフラット塗料と呼ばれる塗料が用いられており、塗装器具としては主にローラーや刷毛が用いられている。フラット塗料としては、JIS K5663「合成樹脂エマルションペイント」に規定されている塗料が代表的である。このようなフラット塗料では、表面の艶が低減された塗膜を形成することができ、落ち着きのある仕上り感を得ることができる。また、顔料で調色することによって様々な色彩を表出することができる。しかし、フラット塗料によって得られる色彩は単一色であり、複数の色が混在した模様を一回の塗装で表出することはできない。
【0003】
これに対し、特開平11−90307号公報では、微弾性下塗塗料を塗付した後、大理石粉、着色珪砂、陶磁器粉等の複数種の着色骨材を含有する塗料をローラーで塗装することによって、石材調の多彩感を表出する塗膜形成方法が開示されている。しかし、該公報では、着色骨材含有塗料を約2〜6kg/m2の塗付量で塗装しなければならず、多量の塗料が必要となる。また、形成される塗膜面は、ゴツゴツとした凹凸を有するものとなってしまう。
【0004】
一方、特開平9−302281号公報では、ローラー塗装等によって多数の色合いが複合した多彩な意匠感を表出することができる塗料が開示されている。該公報の塗料は、架橋性官能基を含有する共重合体を用いて得られたエナメルを水系分散媒に分散した後、架橋成分を配合してなるエナメル分散粒子を含むものである。また、該公報では、比較的少ない塗付量で多彩な模様面が形成できることが記載されている。
しかしながら、該公報のエナメル分散粒子は硬度が高く、またほぼ球状の立体的な形状であるため、平滑な塗膜を得ることは困難である。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−90307号
【特許文献2】
特開平9−302281号
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような点に鑑みなされたものであり、ローラー塗装または刷毛塗装によって、多彩で平滑な塗膜面が形成可能な塗装方法を得ることを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
これらの課題を解決するため、本発明者は鋭意検討を行い本発明を完成した。
すなわち、本発明は下記の特徴を有するものである。
1.建築物の基材に対し、着色艶消し下塗塗料によって下塗層を形成させた後、下記の上塗塗料をローラー塗装または刷毛塗装することによって上塗層を形成させることを特徴とする模様面の形成方法。
上塗塗料:透明艶消し塗料中に少なくとも1種の扁平状着色ゲル粒子が分散してなり、前記扁平状着色ゲル粒子が、反応性官能基を有する水性樹脂(a)、着色顔料(b)、水(c)、並びに、カルボジイミド基を含む化合物、エポキシ基を含む化合物、アジリジン基を含む化合物、オキサゾリン基を含む化合物、イソシアネート基を含む化合物、ヒドラジノ基を含む化合物、及びアルコキシシリル基を含有する加水分解縮合型反応性化合物から選ばれる、水存在下で反応可能な反応性化合物(d)に由来するゲル化物である上塗塗料。
2.上塗塗料における扁平状着色ゲル粒子が、
反応性官能基を有する水性樹脂(a)、着色顔料(b)、及び水(c)を含む水性塗料に、カルボジイミド基を含む化合物、エポキシ基を含む化合物、アジリジン基を含む化合物、オキサゾリン基を含む化合物、イソシアネート基を含む化合物、ヒドラジノ基を含む化合物、及びアルコキシシリル基を含有する加水分解縮合型反応性化合物から選ばれる、水存在下で反応可能な反応性化合物(d)を混合して得られるゲル化物を、水性分散媒中に扁平粒状に分散させて得られるものであることを特徴とする1.に記載の模様面の形成方法。
3.上塗塗料における(d)成分が、カルボジイミド基を含む化合物、エポキシ基を含む化合物、アジリジン基を含む化合物、オキサゾリン基を含む化合物、イソシアネート基を含む化合物、及びヒドラジノ基を含む化合物から選ばれる、水存在下において前記(a)成分と反応可能な反応性化合物(d−1)である1.または2.に記載の模様面の形成方法。
4.上塗塗料における扁平状着色ゲル粒子が、
反応性官能基を有する水性樹脂(a)、着色顔料(b)、及び水(c)を含む水性塗料に、カルボジイミド基を含む化合物、エポキシ基を含む化合物、アジリジン基を含む化合物、オキサゾリン基を含む化合物、イソシアネート基を含む化合物、ヒドラジノ基を含む化合物、及びアルコキシシリル基を含有する加水分解縮合型反応性化合物から選ばれる、水存在下で反応可能な反応性化合物(d)を混合して得られるゲル化物を、水性分散媒中に扁平粒状に分散させ、さらに、カルボジイミド基を含む化合物、エポキシ基を含む化合物、アジリジン基を含む化合物、オキサゾリン基を含む化合物、イソシアネート基を含む化合物、及びヒドラジノ基を含む化合物から選ばれる、水存在下において前記(a)成分と反応可能な反応性化合物(d−1)を混合して得られるものであることを特徴とする1.に記載の模様面の形成方法。
5.上塗塗料における(d)成分が、カルボジイミド基を含む化合物、エポキシ基を含む化合物、アジリジン基を含む化合物、オキサゾリン基を含む化合物、イソシアネート基を含む化合物、及びヒドラジノ基を含む化合物から選ばれる、水存在下において前記(a)成分と反応可能な反応性化合物(d−1)である4.に記載の模様面の形成方法。
6.上塗塗料における(d)成分が、アルコキシシリル基を含有する加水分解縮合型反応性化合物である4.または5.に記載の模様面の形成方法。
7.着色艶消し下塗塗料の鏡面光沢度が40以下であり、透明艶消し塗料の鏡面光沢度が40以下であることを特徴とする1.〜6.のいずれかに記載の模様面の形成方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態とともに詳細に説明する。
【0009】
(1)建築物の基材
本発明は、建築物の基材表面、特に内壁、天井、扉等の建築物内装面に対して好適に用いることができる。具体的にその基材としては、例えば、石膏ボード、合板、コンクリート、モルタル、磁器タイル、繊維混入セメント板、セメント珪酸カルシウム板、スラグセメントパーライト板、石綿セメント板、ALC板、サイディング板、押出成形板、鋼板、プラスチック板等が挙げられる。これら基材の表面は、何らかの表面処理(例えば、シーラー、サーフェーサー、フィラー等)が施されたものでもよく、既に塗膜が形成されたものや、壁紙が貼り付けられたものであってもよい。
【0010】
(2)下塗層
本発明における下塗層は、着色艶消し下塗塗料(以下単に「下塗塗料」ともいう)によって形成されるものである。このような下塗層は、表面にμmオーダー程度の微細な凹凸を有しており、この微細な凹凸が上塗塗料の塗装作業性を向上させ、均一でむらのない模様面を形成可能とするものである。下塗塗料における着色の程度は、基材を隠ぺい可能な程度であればよい。
なお、本発明における「艶消し」とは、一般に艶消しと呼ばれるものの他に、3分艶、5分艶等と呼ばれるものも包含する。
具体的に、本発明における下塗塗料の艶は、その鏡面光沢度によって規定することができる。下塗塗料の鏡面光沢度は通常40以下、好ましくは20以下、さらに好ましくは10以下である。下塗塗料の鏡面光沢度が高い場合は、上塗塗料を均一に塗装することが困難となる。下塗塗料の艶の調整は、後述する体質顔料の種類、粒子径、混合比率等によって適宜調整することができる。
ここで、鏡面光沢度とは、JIS K5400−1990の7.6「鏡面光沢度」に準じて測定される値である。具体的には、ガラス板の片面に、すきま150μmのB形フィルムアプリケータを用いて塗料を塗り、塗面を水平に置いて温度20℃・相対湿度65%下で48時間乾燥したときの鏡面光沢度(測定角度60度)を測定することによって得られる値である。
【0011】
下塗塗料は、水性樹脂、着色顔料、及び体質顔料を混合することによって製造することができる。
【0012】
水性樹脂としては、水分散性樹脂及び/または水溶性樹脂を使用することができる。樹脂の種類としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、アクリル・酢酸ビニル樹脂、アクリル・ウレタン樹脂、アクリル・シリコン樹脂、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。
このような水分散性樹脂や水溶性樹脂は、塗膜形成後に架橋反応を生じる性質を有するものであってもよい。このような架橋反応性を有することにより、耐水性、密着性等の塗膜物性を高めることができる。また、カチオン性の水性樹脂を使用すれば、基材にアク、ヤニ等が含まれる場合に、その滲出を防止することができる。
【0013】
着色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、黒色酸化鉄、銅クロムブラック、コバルトブラック、銅マンガン鉄ブラック、べんがら、モリブデートオレンジ、パーマネントレッド、パーマネントカーミン、アントラキノンレッド、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、黄色酸化鉄、チタンイエロー、ファーストイエロー、ベンツイミダゾロンイエロー、クロムグリーン、コバルトグリーン、フタロシアニングリーン、群青、紺青、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、キナクリドンバイオレット、ジオキサジンバイオレット、アルミニウム顔料、パール顔料等が挙げられる。下塗塗料は、これら着色顔料の1種または2種以上を用いることにより所望の色相に着色することができる。
【0014】
体質顔料としては、例えば、重質炭酸カルシウム、寒水石、軽微性炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、陶土、チャイナクレー、珪藻土、バライト粉、硫酸バリウム、沈降性硫酸バリウム、珪砂、珪石粉、石英粉、樹脂ビーズ、ガラスビーズ、中空バルーン等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。体質顔料の平均粒子径は、通常0.1〜500μm、好ましくは1〜200μmである。
【0015】
下塗塗料における各成分の混合比率は、水性樹脂の固形分100重量部に対し、着色顔料が1〜300重量部(好ましくは5〜200重量部)、体質顔料が5〜300重量部(好ましくは10〜200重量部)である。
下塗塗料においては、上述の成分以外に、公知の塗料用添加剤を適宜使用することもできる。このような添加剤としては、例えば、顔料分散剤、消泡剤、増粘剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防黴剤、防腐剤、造膜助剤、凍結防止剤等が挙げられる。
【0016】
下塗塗料の色相は、特に限定されないが、後述する扁平状着色ゲル粒子の少なくとも1種と近似する色であることが望ましい。このような色相に設定することにより、調和のとれた美観性の高い仕上りを得ることができる。
【0017】
下塗塗料の塗装は、ローラー、刷毛、鏝、スプレー等を用いることができるが、室内で使用することを考慮すると、塗装作業性、塗着性等の点でローラーまたは刷毛が好適である。塗装の際には、水を用いて希釈することも可能である。下塗塗料の塗付量は、通常0.05〜0.5kg/m2である。
下塗塗料を塗装した後の乾燥は通常、常温で行えばよいが、加熱することも可能である。乾燥時間は、通常0.5〜5時間である。下塗塗料が乾燥した後、上塗塗料を塗装することができる。
【0018】
(3)上塗層
本発明における上塗層は、透明艶消し塗料中に少なくとも1種の扁平状着色ゲル粒子(以下単に「着色粒子」ともいう)が分散した上塗塗料によって形成されるものである。
【0019】
透明艶消し塗料は、透明性を有する塗膜が形成可能なものであり、その透明性の程度は、扁平状着色ゲル粒子が目視にて認識可能な程度であればよい。
透明艶消し塗料における鏡面光沢度は通常40以下、好ましくは20以下、さらに好ましくは10以下である。透明艶消し塗料の鏡面光沢度がこのような値であることにより、上塗塗料をローラーまたは刷毛で塗装する際の塗装作業性が向上し、均一でむらのない模様面が形成可能となる。透明艶消し塗料の艶の調整は、後述する体質顔料の種類、粒子径、混合比率等によって適宜調整することができる。
透明艶消し塗料は、水性樹脂、及び体質顔料を含むものである。
【0020】
透明艶消し塗料における水性樹脂としては、水分散性樹脂及び/または水溶性樹脂を使用することができる。樹脂の種類としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、アクリル・酢酸ビニル樹脂、アクリル・ウレタン樹脂、アクリル・シリコン樹脂、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。
このような水性樹脂は、塗膜形成後に架橋反応を生じる性質を有するものであってもよい。このような架橋反応性を有することにより、耐水性、耐汚染性、耐薬品性等の塗膜物性を高めることができる。
【0021】
透明艶消し塗料における体質顔料としては、例えば、重質炭酸カルシウム、寒水石、軽微性炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、陶土、チャイナクレー、珪藻土、バライト粉、硫酸バリウム、沈降性硫酸バリウム、珪砂、珪石粉、石英粉、樹脂ビーズ、ガラスビーズ、中空バルーン等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。
透明艶消し塗料における体質顔料の屈折率は、1.4〜1.7であることが望ましい。このような体質顔料を使用することにより、塗膜の鮮映性を保持しつつ艶消し効果を得ることが可能となる。屈折率が1.4〜1.7である体質顔料としては、例えば、重質炭酸カルシウム、寒水石、軽微性炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、陶土、チャイナクレー、珪藻土、バライト粉、硫酸バリウム、沈降性硫酸バリウム、珪砂、珪石粉、石英粉、樹脂粉等(中空品を除く)が挙げられる。なお、屈折率はアッベ屈折計を用いて測定することができる。
また、体質顔料の平均粒子径は、20μm以下(好ましくは0.1〜15μm、さらに好ましくは0.5〜8μm)であることが望ましい。このような平均粒子径の体質顔料を使用することにより、塗膜の鮮映性をより高めることができる。なお、ここで言う平均粒子径とは、遠心沈降式粒度分布測定装置によって測定される50%粒子径を意味するものである。
透明艶消し塗料における体質顔料の混合比率は、水性樹脂の固形分100重量部に対し5〜200重量部(好ましくは10〜100重量部)である。
【0022】
本発明における上塗塗料では、透明艶消し塗料中に扁平状着色ゲル粒子が分散している。本発明では、上塗塗料に含まれる着色粒子の形状が扁平状であることにより、平滑な塗膜が形成可能となる。なお、本発明で言う「扁平状」とは、厚さに対する短径の比が1より大きい状態を意味するものである。着色粒子の短径及び長径は、特に限定されないが、通常0.01〜10mm、好ましくは0.1〜5mm、さらに好ましくは0.7〜2mmである。
着色粒子は、少なくとも1種含まれなければならないが、多彩な模様面を表出するためには、色相の異なる2種以上の着色粒子が含まれることが望ましい。着色粒子の色相は、所望の模様に応じ適宜設定することができる。着色粒子として、透明性を有する粒子を含むこともできる。
着色粒子の混合比率は、透明艶消し塗料に含まれる水性樹脂の固形分100重量部に対し、通常50〜1000重量部、好ましくは100〜900重量部、さらに好ましくは200〜800重量部である。
【0023】
上塗塗料における着色粒子は、反応性官能基を有する水性樹脂(a)、着色顔料(b)、及び水(c)を含む水性塗料が、水存在下で反応可能な反応性化合物(d)によってゲル化されたものである。このような着色粒子は、ローラー塗装または刷毛塗装に適した柔軟性を有するとともに、塗装時のずり応力にも耐え得るものである。
【0024】
反応性官能基を有する水性樹脂(以下「(a)成分」という)は展色剤としての機能を有するものである。(a)成分における反応性官能基としては、例えば、カルボキシル基、エポキシ基、水酸基、カルボニル基、ヒドラジノ基、アミノ基、アルコキシシリル基等が挙げられる。(a)成分としては、このような反応性官能基を有するものであれば特に限定されず、公知の水分散性樹脂及び/または水溶性樹脂を使用することができる。具体的には、例えば、アクリル樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション、酢酸ビニル樹脂エマルション、シリコン樹脂エマルション、フッ素樹脂エマルション、アクリル・酢酸ビニル樹脂エマルション、アクリル・ウレタン樹脂エマルション、アクリル・シリコン樹脂エマルション、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリエチレンオキサイド、水溶性ウレタン、バイオガム、ガラクトマンナン誘導体、アルギン酸もしくはその誘導体、セルロース誘導体、ゼラチン、カゼイン、アルブミン等、あるいはこれらを酸化、メチル化、カルボキシメチル化、ヒドロキシエチル化、ヒドロキシプロピル化、硫酸化、リン酸化、カチオン化等によって化学変性したもの等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。
水性塗料における(a)成分の混合量は、通常3〜95重量%、好ましくは5〜80重量%である。
【0025】
着色顔料(以下「(b)成分」という)としては、一般的に塗料に配合するものを使用することができる。具体的には、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、黒色酸化鉄、銅クロムブラック、コバルトブラック、銅マンガン鉄ブラック、べんがら、モリブデートオレンジ、パーマネントレッド、パーマネントカーミン、アントラキノンレッド、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、黄色酸化鉄、チタンイエロー、ファーストイエロー、ベンツイミダゾロンイエロー、クロムグリーン、コバルトグリーン、フタロシアニングリーン、群青、紺青、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、キナクリドンバイオレット、ジオキサジンバイオレット、アルミニウム顔料、パール顔料等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。
水性塗料における(b)成分の混合量は、通常0.01〜50重量%、好ましくは0.5〜40重量%である。
【0026】
水存在下で反応可能な反応性化合物(以下「(d)成分」という)は、上述の(a)〜(c)成分を含む水性塗料をゲル化させる成分である。
【0027】
本発明における(d)成分としては、水存在下において(a)成分と反応可能な反応性化合物(以下「(d−1)成分」という)が好適である。(a)成分と(d−1)成分における反応性官能基の組み合わせは、ゲル化が可能であれば特に限定されず、例えば、カルボキシル基とカルボジイミド基、カルボキシル基とエポキシ基、カルボキシル基とアジリジン基、カルボキシル基とオキサゾリン基、水酸基とイソシアネート基、カルボニル基とヒドラジノ基、エポキシ基とヒドラジノ基、エポキシ基とアミノ基、アルコキシシリル基どうし等の組み合わせが挙げられる。これらの組み合わせは1種または2種以上で使用することができる。
【0028】
(d−1)成分の具体例としては、例えば、カルボジイミド基を含む化合物として、特開平10−60272号公報、特開平10−316930号公報、特開平11−60667号公報等に記載のもの等;エポキシ基を含む化合物として、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリヒドロキシアルカンポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル等;アジリジン基を含む化合物として、2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサメチレンジエチレンウレア、ジフェニルメタン−ビス−4,4’−N,N’−ジエチレンウレア等;オキサゾリン基を含む化合物として、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等の重合性オキサゾリン化合物を該化合物と共重合可能な単量体と共重合した樹脂等;イソシアネート基を含む化合物として、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等、あるいはこれらの誘導体等;ヒドラジノ基を含む化合物として、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド等;が挙げられる。なお、(d−1)成分としては、通常、テトラアルコキシシラン化合物等のアルコキシシリル基を含有する加水分解縮合型反応性化合物以外の化合物を使用する。
【0029】
(d)成分としては、水存在下において自己縮合可能な反応性化合物(以下「(d−2)成分」という)を使用することもできる。
(d−2)成分としては、アルコキシシリル基を含有する加水分解縮合型反応性化合物が好適である。このような加水分解型反応性化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラsec−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン等、あるいはこれらの縮合物が挙げられる。また、カルボキシル基、水酸基、スルホン基、オキシアルキレン基等を含有するアルコキシシラン化合物を使用することもできる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
(d−2)成分としては、テトラアルコキシシラン化合物が好適に用いられる。テトラアルコキシシラン化合物は、
RO−(Si(OR)2−O)n−R (但しRはアルキル基、n≧1)
で表される化合物である。この中でも特に、炭素数1〜2のアルキル基と炭素数3以上(好ましくは3〜12)のアルキル基が混在するテトラアルコキシシラン化合物が好適である。
【0030】
水性塗料における(d)成分の混合量は、通常0.1〜10重量%、好ましくは0.3〜6重量%である。(d)成分が少なすぎる場合は、ゲル形成能が不十分となり、塗装時(特にローラー塗装時または刷毛塗装時)に着色粒子が破壊されるおそれがある。(d)成分が多すぎる場合は、着色粒子が硬くなり、平滑な塗膜が得られにくくなる。
上述の水性塗料には、必要に応じ(d)成分の触媒を混合することもできる。
【0031】
上塗塗料における扁平状着色ゲル粒子では、その中に含まれる着色顔料の種類を適宜選択し、組合わせることによって、所望の色相を表出することができる。ここで、着色顔料の分散剤として高分子分散剤を使用すれば、着色粒子の色安定性、特に高温での貯蔵時における色安定性を向上させることができる。
このような高分子分散剤の分子量は、通常2000〜100000、好ましくは5000〜50000である。具体的には、アニオン性高分子分散剤、ノニオン性高分子分散剤、カチオン性高分子分散剤、両性高分子分散剤等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。このうち、本発明では特にカチオン性高分子分散剤が好適である。
高分子分散剤のHLBは3〜15であることが望ましく、さらには5〜10であることがより望ましい。このようなHLBを有する高分子分散剤を使用すれば、着色粒子の色安定性をいっそう高めることができる。なお、HLBとは、親水性−親油性バランスの略称で、両親媒性物質の親水性と親油性の強度比を数値化して表したものである。
【0032】
上塗塗料の製造においては、まず、上述の(a)〜(c)成分が含まれる水性塗料に(d)成分を混合することによって、ゲル化物を調製する。なお、ここに言うゲル化物としては、ゲル化反応の進行の程度には関係なく、(d)成分の混合によってゲル化反応が開始したものをすべて包含する。
水性塗料と(d)成分の混合は通常、常温で行えばよいが、ゲル化反応を促進させるために加温することも可能である。
【0033】
次いで、このゲル化物を水性分散媒に加え、扁平粒状に分散させる。ゲル化物を水性分散媒に加えるタイミングは、適宜設定することができ、水性塗料と(d)成分とを混合した直後でもよいし、一定時間放置した後でもよい。
ここで、水性分散媒としては、透明艶消し塗料の一部ないし全体を使用することができる。ゲル化物を水性分散媒に加える際、水性樹脂及び体質顔料は、水性分散媒中に含まれていなくてもよく、後の工程で混合することもできる。
【0034】
形成される着色粒子の形状を扁平状にするには、攪拌羽根の形状、攪拌槽に対する攪拌羽根の大きさや位置、攪拌羽根の回転速度、水性塗料の粘性や添加方法、透明艶消し分散媒の粘性等を適宜選択・調整すればよい。着色粒子の粒子径も同様の方法によって調整することができる。
また、色相が異なる2種以上の着色粒子を含む本発明組成物を得るためには、例えば、
単色の着色粒子が分散した透明艶消し塗料をそれぞれ製造した後、これらを混合する方法;あるいは、
色相が異なる2種以上のゲル化物を、同時または順に透明艶消し塗料に添加し分散させる方法;
等の方法を採用すればよい。
【0035】
着色粒子を形成する水性塗料のpHは、通常7〜14、好ましくは9〜13である。また、透明艶消し塗料のpHは、7〜10(さらには7〜9)の範囲内で、かつ着色粒子を形成する水性塗料のpHより低く設定しておくことが望ましい。
【0036】
水性分散媒中にゲル化物を分散させる際には、分散安定剤を使用することもできる。このような分散安定剤しては、例えば、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、アルミニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ホウ酸塩等が挙げられる。
また、着色粒子における未反応部分の反応を促進させる成分を、水性分散媒に混合しておき、ゲル化をより確実にすることもできる。
【0037】
本発明では、水性分散媒中にゲル化物を分散させた後、さらに(d−1)成分を混合することもできる。このような工程により、着色粒子表層で(a)成分と(d−1)成分との反応が生じ、上塗塗料のローラー塗装適性、刷毛塗装適性をいっそう高めることができる。耐候性、耐水性等の塗膜物性向上を図ることもできる。
(d−1)成分の混合量は、着色粒子に対し通常0.1〜10重量%程度である。(d−1)成分の混合は通常、常温で行えばよいが、必要に応じ加温することも可能である。
【0038】
上塗塗料においては、上述以外の公知の塗料用添加剤を適宜使用することもできる。このような添加剤としては、例えば、顔料分散剤、消泡剤、増粘剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防黴剤、防腐剤、造膜助剤、凍結防止剤等が挙げられる。また、塗膜の鮮映性を著しく損なわない限り、透明艶消し塗料に着色顔料を添加することも可能である。着色粒子を形成する水性塗料に体質顔料を使用することも可能である。
【0039】
上塗塗料の塗装には、ローラー及び/または刷毛を用いる。ローラーとしては、例えば、ウールローラー、砂骨ローラー等を使用することができる。塗装の際には、水を用いて希釈することも可能である。上塗塗料の塗付量は、通常0.2〜1.6kg/m2、好ましくは0.3〜1.2kg/m2である。
上塗層は非連続的な層であってもよく、下塗層上に点在するのみでもよい。これは、下塗層が着色艶消し塗膜であるため、必ずしも上塗層が下塗層を完全に覆わなくても、違和感のない模様面が形成可能であるからである。本発明では、特に、下塗塗料の色相が、上塗塗料における着色粒子の少なくとも1種と近似する色である場合は、調和のとれた美観性の高い仕上りを得ることができる。
上塗塗料を塗装した後の乾燥は通常、常温で行えばよいが、加熱することも可能である。乾燥時間は、通常1〜5時間である。
【0040】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
【0041】
(下塗塗料の製造)
下塗塗料A
水分散性樹脂A200重量部に対し、白色顔料液40重量部と、黒色顔料液30重量部と、顔料A28重量部と、消泡剤1重量部とを攪拌機にて均一に混合することにより、灰色の下塗塗料Aを製造した。この下塗塗料Aの鏡面光沢度は3.0であった。
なお、下塗塗料の製造においては、以下の原料を使用した。
・水分散性樹脂A:アクリル系樹脂エマルション(スチレン−ブチルアクリレート共重合体、最低造膜温度0℃、固形分50重量%)
・白色顔料液A:酸化チタン60重量%分散液(分散剤:カルボン酸系分散剤、分子量1800)
・黒色顔料液A:黒色酸化鉄15重量%分散液(分散剤:カルボン酸系分散剤、分子量1800)
・顔料A:珪石粉(平均粒径150μm)
・消泡剤:シリコーン系消泡剤
【0042】
下塗塗料B
水分散性樹脂A200重量部に対し、白色顔料液20重量部と、黒色顔料液15重量部と、顔料A5重量部と、消泡剤1重量部とを攪拌機にて均一に混合することにより、灰色の下塗塗料Bを製造した。この下塗塗料Bの鏡面光沢度は35であった。
【0043】
下塗塗料C
水分散性樹脂A200重量部に対し、白色顔料液20重量部と、黒色顔料液10重量部と、消泡剤1重量部とを攪拌機にて均一に混合することにより、灰色の下塗塗料Cを製造した。この下塗塗料Cの鏡面光沢度は75であった。
【0044】
(上塗塗料の製造)
上塗塗料A
まず、容器内に水分散性樹脂B200重量部を仕込み、攪拌羽根の回転速度を1800rpmとして攪拌を行いながら、水溶性樹脂A4重量部と、顔料B35重量部と、消泡剤1重量部と、水380重量部とを均一に混合することにより、透明塗料Aを製造した。この透明塗料AのpHは8.1、鏡面光沢度は5であった。
次に、別の容器内に水分散性樹脂C85重量部を仕込み、攪拌羽根の回転速度を1800rpmとして攪拌を行いながら、水溶性樹脂B250重量部と、白色顔料液A50重量部と、黒色顔料液A50重量部と、消泡剤5重量部と、水50重量部と、反応性化合物B3重量部とを均一に混合することにより白色の水性塗料Aを製造した。この水性塗料AのpHは8.9であった。
上述の透明塗料A620重量部に対し、分散安定剤としてホウ酸アンモニウム5重量%水溶液を10重量部加え、攪拌羽根の回転速度を900rpmとして均一に混合した後、さらに攪拌を継続しながら水性塗料A493重量部を徐々に添加・分散することにより、0.7〜1.2mmの扁平状灰色粒子が分散した上塗塗料Aを得た。
【0045】
なお、上塗塗料の製造においては以下の原料を使用した。
・水分散性樹脂B:アクリル系樹脂エマルション(スチレン−メチルメタクリレート−2−エチルヘキシルアクリレート共重合体、最低造膜温度3℃、pH8.8、固形分50重量%)
・水分散性樹脂C:カルボキシル基含有アクリル系樹脂エマルション(メチルメタクリレート−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体、最低造膜温度0℃、pH8.2、固形分50重量%)
・水溶性樹脂A:ヒドロキシエチルセルロース粉
・水溶性樹脂B:ガラクトマンナン3重量%水溶液
・顔料B:珪石粉(屈折率1.55、平均粒子径2μm)
・顔料C:珪石粉(屈折率1.55、平均粒子径50μm)
・白色顔料液A:酸化チタン60重量%分散液(分散剤:カルボン酸系分散剤、分子量1800)
・白色顔料液B:酸化チタン60重量%分散液(分散剤:カチオン性高分子分散剤(アルキルアミンのアルキレンオキサイド付加体、分子量15000、HLB8))
・黒色顔料液A:黒色酸化鉄15重量%分散液(分散剤:カルボン酸系分散剤、分子量1800)
・黒色顔料液B:黒色酸化鉄15重量%分散液(分散剤:カチオン性高分子分散剤(アルキルアミンのアルキレンオキサイド付加体、分子量15000、HLB8))
・反応性化合物A:テトラメトキシシラン縮合物のブトキシ変性物
・反応性化合物B:2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]
・pH調整剤:アンモニア水
・消泡剤:シリコーン系消泡剤
【0046】
上塗塗料B
表1に示す混合比率にて各原料を使用した以外は、上塗塗料Aと同様の方法にて塗料を製造し、0.8〜1.6mmの扁平状黒色粒子が分散した上塗塗料Bを得た。
【0047】
上塗塗料C
表1に示す混合比率にて各原料を使用した以外は、上塗塗料Aと同様の方法にて塗料を製造し、1.0〜1.6mmの扁平状灰色粒子が分散した上塗塗料Cを得た。
上塗塗料D
表1に示す混合比率にて各原料を使用した以外は、上塗塗料Aと同様の方法にて塗料を製造し、0.8〜1.4mmの扁平状黒色粒子が分散した上塗塗料Dを得た。
【0048】
上塗塗料E
表1に示す混合比率にて各原料を使用した以外は、上塗塗料Aと同様の方法にて塗料を製造し、1.0〜1.6mmの扁平状灰色粒子が分散した上塗塗料Eを得た。
上塗塗料F
表1に示す混合比率にて各原料を使用した以外は、上塗塗料Aと同様の方法にて塗料を製造し、0.8〜1.5mmの扁平状黒色粒子が分散した上塗塗料Fを得た。
なお、上塗塗料E及びFの製造においては、透明塗料に対して水性塗料と反応性化合物Bとの混合物を添加・分散した後、さらに反応性化合物Bを混合した。
【0049】
上塗塗料G
表1に示す混合比率にて各原料を使用した以外は、上塗塗料Aと同様の方法にて塗料を製造し、0.8〜1.4mmの扁平状灰色粒子が分散した上塗塗料Gを得た。
上塗塗料H
表1に示す混合比率にて各原料を使用した以外は、上塗塗料Aと同様の方法にて塗料を製造し、1.0〜1.6mmの扁平状黒色粒子が分散した上塗塗料Hを得た。
なお、上塗塗料G及びHの製造においては、透明塗料に対して水性塗料と反応性化合物Aとの混合物を添加・分散した後、さらに反応性化合物Bを混合した。
【0050】
上塗塗料I
表1に示す混合比率にて各原料を使用した以外は、上塗塗料Aと同様の方法にて塗料を製造し、1.0〜1.6mmの扁平状灰色粒子が分散した上塗塗料Iを得た。
上塗塗料J
表1に示す混合比率にて各原料を使用した以外は、上塗塗料Aと同様の方法にて塗料を製造し、0.8〜1.5mmの扁平状黒色粒子が分散した上塗塗料Jを得た。
【0051】
上塗塗料K
表1に示す混合比率にて各原料を使用した以外は、上塗塗料Aと同様の方法にて塗料を製造し、0.8〜1.4mmの扁平状灰色粒子が分散した上塗塗料Kを得た。
上塗塗料L
表1に示す混合比率にて各原料を使用した以外は、上塗塗料Aと同様の方法にて塗料を製造し、1.0〜1.6mmの扁平状黒色粒子が分散した上塗塗料Lを得た。
【0052】
上塗塗料M
表1に示す混合比率にて各原料を使用した以外は、上塗塗料Aと同様の方法にて塗料を製造し、1.0〜1.8mmの扁平状灰色粒子が分散した上塗塗料Mを得た。
上塗塗料N
表1に示す混合比率にて各原料を使用した以外は、上塗塗料Aと同様の方法にて塗料を製造し、1.2〜1.8mmの扁平状黒色粒子が分散した上塗塗料Nを得た。
【0053】
【表1】
【0054】
(実施例1)
スレート板に対し、下塗塗料Aをウールローラーを用いて塗付量0.3kg/m2で塗装した。
常温にて2時間乾燥後、上塗塗料Aと上塗塗料Bとが50:50の重量比率にて混合された上塗塗料を、砂骨ローラーを用いて塗付量0.6kg/m2で塗装した。ここで、上塗塗料の着色粒子の状態を観察したが、特に異常は認められなかった。
次いで、常温にて24時間乾燥させた後、塗膜の状態を観察した。実施例1で形成された塗膜は、白色と灰色が混在する平滑な模様で、むらがなく均一な仕上りであった。
【0055】
(実施例2)
上塗塗料として、上塗塗料Cと上塗塗料Dとが50:50の重量比率にて混合された上塗塗料を使用した以外は、実施例1と同様に塗装を行った。
実施例2では、着色粒子の異常は観察されなかった。また、形成された塗膜は、白色と灰色と黒色とが混在する平滑な模様で、むらがなく均一な仕上りであった。
【0056】
(実施例3)
上塗塗料として、上塗塗料Eと上塗塗料Fとが50:50の重量比率にて混合された上塗塗料を使用した以外は、実施例1と同様に塗装を行った。
実施例3では、着色粒子の異常は観察されなかった。また、形成された塗膜は、白色と灰色と黒色とが混在する平滑な模様で、むらがなく均一な仕上りであった。
【0057】
(実施例4)
上塗塗料として、上塗塗料Gと上塗塗料Hとが50:50の重量比率にて混合された上塗塗料を使用した以外は、実施例1と同様に塗装を行った。
実施例4では、着色粒子の異常は観察されなかった。また、形成された塗膜は、白色と灰色と黒色とが混在する平滑な模様で、むらがなく均一な仕上りであった。
【0058】
(実施例5)
上塗塗料として、上塗塗料Iと上塗塗料Jとが50:50の重量比率にて混合された上塗塗料を使用した以外は、実施例1と同様に塗装を行った。
実施例5で形成された塗膜は、灰色と黒色とが混在する平滑な模様であった。但し、実施例1に比べやや鮮映性に劣る仕上りとなった。
【0059】
(実施例6)
下塗塗料として下塗塗料Bを使用した以外は、実施例1と同様に塗装を行った。
実施例6で形成された塗膜は、灰色と黒色とが混在する平滑な模様であった。但し、上塗塗料をローラー塗装した際に、着色粒子がやや不均一に塗着する状態となり、形成塗膜の一部にむらが生じてしまった。
【0060】
(比較例1)
上塗塗料として、上塗塗料Kと上塗塗料Lとが50:50の重量比率にて混合された上塗塗料を使用した以外は、実施例1と同様に塗装を行った。
比較例1では、着色粒子から灰色と黒色のにじみが発生してしまった。
【0061】
(比較例2)
下塗塗料として下塗塗料Bを使用し、上塗塗料として上塗塗料Mと上塗塗料Nとが50:50の重量比率にて混合された上塗塗料を使用した以外は、実施例1と同様に塗装を行った。
比較例2では、上塗塗料をローラー塗装した際に、着色粒子が不均一に塗着する状態となり、形成塗膜に著しいむらが生じてしまった。
【0062】
(比較例3)
下塗塗料として下塗塗料Cを使用した以外は、実施例1と同様に塗装を行った。
比較例3では、上塗塗料をローラー塗装した際に、着色粒子が不均一に塗着する状態となり、形成塗膜に著しいむらが生じてしまった。
【0063】
【発明の効果】
本発明によれば、ローラー塗装または刷毛塗装によって、多彩で平滑な塗膜面が形成できる。
Claims (6)
- 建築物の基材に対し、着色艶消し下塗塗料によって下塗層を形成させた後、下記の上塗塗料をローラー塗装または刷毛塗装することによって上塗層を形成させることを特徴とする模様面の形成方法。
上塗塗料:透明艶消し塗料中に少なくとも1種の扁平状着色ゲル粒子が分散してなり、前記扁平状着色ゲル粒子が、反応性官能基を有する水性樹脂(a)、着色顔料(b)、水(c)、並びに、カルボジイミド基を含む化合物、エポキシ基を含む化合物、アジリジン基を含む化合物、オキサゾリン基を含む化合物、イソシアネート基を含む化合物、ヒドラジノ基を含む化合物、及びアルコキシシリル基を含有する加水分解縮合型反応性化合物から選ばれる、水存在下で反応可能な反応性化合物(d)に由来するゲル化物である上塗塗料。 - 上塗塗料における扁平状着色ゲル粒子が、
反応性官能基を有する水性樹脂(a)、着色顔料(b)、及び水(c)を含む水性塗料に、カルボジイミド基を含む化合物、エポキシ基を含む化合物、アジリジン基を含む化合物、オキサゾリン基を含む化合物、イソシアネート基を含む化合物、ヒドラジノ基を含む化合物、及びアルコキシシリル基を含有する加水分解縮合型反応性化合物から選ばれる、水存在下で反応可能な反応性化合物(d)を混合して得られるゲル化物を、水性分散媒中に扁平粒状に分散させて得られるものであることを特徴とする請求項1に記載の模様面の形成方法。 - 上塗塗料における(d)成分が、カルボジイミド基を含む化合物、エポキシ基を含む化合物、アジリジン基を含む化合物、オキサゾリン基を含む化合物、イソシアネート基を含む化合物、及びヒドラジノ基を含む化合物から選ばれる、水存在下において前記(a)成分と反応可能な反応性化合物(d−1)である請求項1または2に記載の模様面の形成方法。
- 上塗塗料における扁平状着色ゲル粒子が、
反応性官能基を有する水性樹脂(a)、着色顔料(b)、及び水(c)を含む水性塗料に、カルボジイミド基を含む化合物、エポキシ基を含む化合物、アジリジン基を含む化合物、オキサゾリン基を含む化合物、イソシアネート基を含む化合物、ヒドラジノ基を含む化合物、及びアルコキシシリル基を含有する加水分解縮合型反応性化合物から選ばれる、水存在下で反応可能な反応性化合物(d)を混合して得られるゲル化物を、水性分散媒中に扁平粒状に分散させ、さらに、カルボジイミド基を含む化合物、エポキシ基を含む化合物、アジリジン基を含む化合物、オキサゾリン基を含む化合物、イソシアネート基を含む化合物、及びヒドラジノ基を含む化合物から選ばれる、水存在下において前記(a)成分と反応可能な反応性化合物(d−1)を混合して得られるものであることを特徴とする請求項1に記載の模様面の形成方法。 - 上塗塗料における(d)成分が、カルボジイミド基を含む化合物、エポキシ基を含む化合物、アジリジン基を含む化合物、オキサゾリン基を含む化合物、イソシアネート基を含む化合物、及びヒドラジノ基を含む化合物から選ばれる、水存在下において前記(a)成分と反応可能な反応性化合物(d−1)である請求項4に記載の模様面の形成方法。
- 上塗塗料における(d)成分が、アルコキシシリル基を含有する加水分解縮合型反応性化合物である請求項4または5に記載の模様面の形成方法。
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