JP3827285B2 - エナメル粒子分散液及びその製造方法ならびに多彩模様塗料組成物 - Google Patents

エナメル粒子分散液及びその製造方法ならびに多彩模様塗料組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エナメル粒子分散液およびその製造方法に関する。さらには当該エナメル粒子分散液の2種以上を含有してなる多彩模様塗料組成物に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来、建築物の壁面において、多彩感のある塗膜を形成する塗料組成物には各種のものがある。このような塗料組成物のうち、一回の塗付により多彩模様塗膜を形成する塗料は、多彩模様塗料と呼ばれ、JIS K 5667-1983 に規定されている。この規定によると、多彩模様塗料は液状またはゲル状の、2色以上の色の粒が分散した構成となっている。
【0003】
このような塗料の構成についての着想は、P.BUSCHの特許に始まり、J.C.ZOLAによって、米国特許第2591904号、日本特許第231698号として実用化された水中油型の多彩模様塗料に代表される。その後、国内外の塗料技術者によって、各種の多彩模様塗料が開発されてきたが、何れも下記の分類に帰されるものである。
【0004】
1)水中油型(以下O/Wタイプという。)
水溶性の分散媒中に、色付けした有機溶剤ベースの塗料である分散相を、識別できる程度の大きさに不連続相として分散したタイプ。
2)油中水型(以下W/Oタイプという。)
分散媒が油性であって、これに色付けした水性の分散相を不連続相として分散したタイプ。
3)油中油型(以下O/Oタイプという。)
油性の分散媒を用い、これに有機溶剤ベースのエナメルで、分散媒に相溶しない色付けをしたゾル状物質を不連続相に分散したタイプ。
4)水中水型(以下W/Wタイプという。)
水性の分散媒中に水性の色付けをしたゲル状物質を不連続相に分散したタイプ。
【0005】
以上の各種多彩模様塗料は、分散相を分散媒に分散させ、両者が混合しないようにするため、O/WタイプやW/Oタイプのように疎水性を利用したり、O/OタイプやW/Wタイプの場合においても、互いに非相溶性の樹脂を使用したり、分散粒子の表面をゲル化させたりしている。
【0006】
しかしながら、これらの各種の多彩模様塗料は、貯蔵状態において、各色分散粒子のそれぞれが沈降したり、分散粒子どうしが合一化してしまうという問題があり、これを防ぐために分散粒子の表面に分散剤を使用したり、特定のゲル化膜を形成させたりしているが、何れも十分でない。そのため、長期貯蔵後に塗装を行うと、ゲル化膜においては、その膜の強度の度合いにより塗付時の多彩模様意匠感、すなわち模様の広がりや凹凸の度合い(平滑性)に大きな違いが発生し、安定的に目的の多彩模様意匠を表現できない場合があった。
【0007】
また、多彩模様塗料の製造においては、分散相を分散媒に撹拌しながら分散させる方法が通常行われているが、分散粒子の強度が弱いと、このような撹拌により分散粒子が破壊され、目的の粒径を有する分散粒子が製造できないだけでなく、分散相全体が合一化して一個の固まりとなってしまう場合もあった。
【0008】
さらに、多彩模様塗料はその造膜過程において、分散粒子同士が融着して連続膜を形成するという機構を有している。したがって、多彩模様塗料の貯蔵安定性を向上させるべく、分散粒子の表面に、より強固な膜を形成すると、そのような多彩模様塗料から形成される塗膜は分散粒子の融着が阻害されて、比較的粗いポーラス状態の不連続膜となり、塗膜の耐候性や防汚性においても不安な部分を有していた。
【0009】
特に最近は、これら多彩模様塗料より形成される建築物外装塗膜の意匠として、天然石の意匠に見られるような、各色部分が大柄で、少し距離を置いた場合にも多彩模様が明確に認識されるものが好まれるようになっている。従って、このような大柄の模様を形成するには、大きな粒でなければならない。しかしながら、分散粒子の粒子径を大きくすると、貯蔵中に分散粒子が沈降して粒子同士が合一化しやすい。また、これを防止するために、分散粒子を架橋させ、強固な架橋粒子を形成する方法が行われているが、このような粒子を使用した多彩模様塗料を塗装した場合、前述のように形成される塗膜は粒子の潰れ状態や融着状態が悪く、形成される多彩模様塗膜の平滑性が不充分となったり、ポーラス状態の不連続膜が形成され、耐候性や防汚性が劣るものとなってしまう。
【0010】
また、上記多彩模様塗料の架橋形態に注目すると、分散粒子の内部を架橋させたもの(タイプ1)、分散粒子の表面を架橋させたもの(タイプ2)に大別される。
【0011】
このうちタイプ1の分散粒子は、粒子自体の耐候性向上等を目的として、粒子内部の樹脂成分を、該樹脂成分と架橋可能な成分と反応させたものである。しかしながら、タイプ1の分散粒子では、塗装時の潰れ具合が低下するため、形成塗膜において、粒子間に隙間を生じる場合がある。そのような塗膜は、ポーラス状態の不連続膜となり、意匠性の点で問題が生じる。特に最近は、これら多彩模様塗料より形成される塗膜の意匠として、天然石の意匠に見られるような、各色部分が大柄で、少し距離を置いた場合にも多彩模様が明確に認識されるものが好まれるようになっているが、タイプ1の分散粒子でこのような意匠を得ることは難しい。またタイプ1で形成された不連続膜では、下地の保護機能が十分でなく、耐候性においても不安な部分を有している。
【0012】
一方、タイプ2の分散粒子では、タイプ1に比べて粒子が潰れやすく、粒子間の間隙は生じにくい。しかしながら、吹き付け塗装時においては、使用する塗装機器のエアー圧やガン先チップ口径等の条件の変動により、分散粒子表面の隔壁が破壊されやすく、内容物が撒き散らされた状態となる場合がある。そのようにして形成された塗膜は、糸引き状の模様となってしまい、美観性の高い多彩模様を得ることは難しい。したがって、このような多彩模様塗料は、ごく限られた塗装条件下で塗装しなければならず、塗装機器の選択の自由度も低いものとなる。
【0013】
加えて最近は、これら多彩模様塗料の使用される用途が多岐に亘り、形成される塗膜の意匠も用途別に要求されるものが多様化している。特に建築物壁面に対しては、比較的多彩模様が不明瞭で、壁を意識させない控えめな模様でありながら、深みのある豪華な雰囲気をかもし出すものへの要望も高まりつつある。
【0014】
しかしながら、多彩模様塗料はその構成中の液状またはゲル状の2色以上の分散粒子が潰れて模様を形成することにより、各分散粒子間の色相の違いが大きく現れ、コントラストが強くなるため、このような控えめで、深みのある模様を形成し難いという現実がある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような点に鑑みされたものであり、本発明が解決しようとする第一の課題は、塗装した場合に大柄で平滑な多彩模様塗膜を形成するために、分散粒子の粒子径を大きくしても、貯蔵中に沈降せず、粒子同士が合一化せず、貯蔵安定性に優れ、長期貯蔵した後に塗装を行ってもその意匠性が損なわれることがなく、平滑な塗膜を形成するエナメル粒子分散液および多彩模様塗料組成物を提供することを目的とするものである。
【0016】
また、本発明が第一の課題とともに解決しようとする第二の課題は、塗装においては、塗装機器が替わった場合の各種条件によっても、形成される模様が変化を生じ難く、各色の模様が大柄で略円形に形成される仕上りを得ることができ、塗装機器の選択の自由度が高く、下地保護機能を十分に発揮できる高耐候性のエナメル粒子分散液および多彩模様塗料組成物を提供することを目的とするものである。
【0017】
さらには、各分散粒子間の色相の違いがあまり明瞭ではなく、連続的かつ微妙に色相が変化し、控えめで深みのある多彩模様意匠を得ることができる多彩模様塗料組成物を製造しうるエナメル粒子分散液を提供することを目的とするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明者は鋭意検討を行った結果、以下に示すエナメル粒子分散液を用いることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、以下のエナメル粒子分散液、その製造方法、さらには多彩模様塗料組成物に関する。
【0019】
1.合成樹脂(A)、着色材料(B)及び溶剤(C)を含有するエナメル組成物(I)が、ポリビニルアルコールを濃度0.01〜5重量%で含有し、かつホウ酸を含有し、
1−アミノエタノール、2−アミノエタノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−(メチルアミノ)−2−メチル−1−プロパノール、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−(2−アミノエチル)エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、およびN−メチルジエタノールアミンから選ばれるpH調整剤により、pHが6〜11に調整された水系分散媒(II)に分散していることを特徴とするエナメル粒子分散液。
【0020】
2.ポリビニルアルコールが、重量平均分子量10000〜100000、ケン化度80〜100であることを特徴とする上記1記載のエナメル粒子分散液。
【0021】
3.ポリビニルアルコールが、カチオン性ポリビニルアルコールであることを特徴とする上記2記載のエナメル粒子分散液。
【0022】
4.合成樹脂(A)が、酸価が0〜30のビニル系合成樹脂であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載のエナメル粒子分散液。
【0023】
5.エナメル組成物(I)が、合成樹脂(A)の固形分100重量部に対して、着色材料(B)10〜100重量部、溶剤(C)を100〜1000重量部含有してなること特徴とする上記1〜4のいずれかに記載のエナメル粒子分散液。
【0024】
6.エナメル組成物(I)が、粘性調整剤(D)を含有してなり、温度20℃において、BH型粘度計で測定した20rpmにおける粘度(4回転目の指針値)が、0.2〜15Pa・s、下記により求められるTI値が1.0〜8.0の範囲になるように調整されたものであること特徴とする上記1〜5のいずれかに記載のエナメル粒子分散液。
<TI値>
TI値:BH型粘度計を用い、式1により求められる値
TI値=η1/η2 (式1)
(但し、η1:2rpmにおける見掛けの粘度(Pa・s:2回転目の指針値)、η2:20rpmにおける見掛けの粘度(Pa・s:4回転目の指針値))。
【0025】
7.粘性調整剤(D)を、合成樹脂(A)の固形分100重量部に対して、1〜10重量部含有してなることを特徴とする上記6記載のエナメル粒子分散液。
【0026】
8.エナメル粒子の最大粒子径が、1〜10mmであることを特徴とする上記1〜7のいずれかに記載のエナメル粒子分散液。
【0027】
9.水系分散媒(II)が、JIS K 5660「つや有合成樹脂エマルションペイント」4.8 隠蔽率において0.05〜0.60となる被膜を形成するものであることを特徴とする上記1〜8のいずれかに記載のエナメル粒子分散液。
【0028】
12.濃度0.01〜5重量%のポリビニルアルコール水溶液に、エナメル組成物(I)を分散しながらまたは分散後に、ホウ酸を添加し、かつホウ酸の添加前または添加後には、
1−アミノエタノール、2−アミノエタノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−(メチルアミノ)−2−メチル−1−プロパノール、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−(2−アミノエチル)エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、およびN−メチルジエタノールアミンから選ばれるpH調整剤を添加して得られる分散液のpHを6〜11に調整した状態にすることを特徴とする上記1〜9のいずれかに記載のエナメル粒子分散液の製造方法。
【0029】
11.上記1〜9のいずれかに記載のエナメル粒子分散液の2種以上を含有してなる多彩模様塗料組成物。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態とともに詳細に説明する。本発明のエナメル組成物(I)は、合成樹脂(A)、着色材料(B)及び溶剤(C)を含有してなり、さらに必要に応じて各種添加剤を含有するものである。当該エナメル組成物(I)は水系分散媒(II)中で粒子状に分散している。
【0031】
[合成樹脂(A)]
エナメル組成物(I)に使用する合成樹脂(A)としては、着色材料(B)および溶剤(C)と混合してエナメルを形成できるものであれば、既存の塗料に使用するバインダーを特に制限なく使用することができる。例えば、アクリル系、アクリルシリコン系、エポキシ系、ウレタン系、アルキド系、シリコーン系、フッ素系等の溶剤可溶型、溶剤分散型(エマルション型を含む)のものがあげられる。
【0032】
合成樹脂(A)としては、硬化剤や硬化触媒によって架橋する官能基を含有した、架橋性官能基含有共重合体を用いることもできる。このような架橋性官能基含有共重合体の架橋性官能基としては、水酸基、イソシアネート基、エポキシ基、アミノ基、アルコキシシリル基、カルボニル基、カルボキシル基等があげられる。
【0033】
前記合成樹脂(A)としては、酸価が0〜30のビニル系合成樹脂を用いるのが好ましい。ビニル系合成樹脂を構成するモノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシビニルエーテル等の水酸基含有ビニル系化合物、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸等のカルボン酸、および無水マレイン酸のような酸無水物、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ化合物、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、アミノエチルビニルエーテル等のアミノ化合物、アクリルアミド、メタクリルアミド、イタコン酸アミド、α−エチルアクリルアミド、クロトンアミド、フマル酸ジアミド、マレイン酸ジアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミド等のアミド化合物、アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等があげられ、ビニル系合成樹脂はこれらの1種または2種以上を重合させることにより得られる。
【0034】
また、前記ビニル系合成樹脂のなかでもアクリルシリコン樹脂は、多彩模様被膜を形成した場合の耐候性の点から好適に用いられる。アクリルシリコン樹脂としては、たとえば、下記式化1、
【化1】
Figure 0003827285
(式中、Xは加水分解性基、R1 、R2 は水素または炭素数1から10までのアルキル基、アリール基またはアラルキル基を示し、nは1から3までの整数である。)で示されるような加水分解性シリル基を分子中に少なくとも1つ以上含有するビニル系樹脂があげられ、通常、重量平均分子量が10000〜200000程度である。
【0035】
このようなビニル系樹脂は、下記式化2、
【化2】
Figure 0003827285
(式中、R3 は炭素数1から10までのアルキル基、アリール基、アラルキル基より選ばれる1価の炭化水素基、Xはハロゲン、アルコキシ、アシロキシ、アミノキシ、フェノキシ、チオアルコキシ、アミノ基より選ばれる基、nは1から3までの整数である。)で示されるようなヒドロシラン化合物と炭素−炭素二重結合を有するビニル系重合体とを触媒によりヒドロシリル化反応させる方法や、
【化3】
Figure 0003827285
(式中、R4 は炭素数1から10までのアルキル基、アリール基、アラルキル基より選ばれる1価の炭化水素基、R5 は重合性二重結合を有する有機残基、Xはハロゲン、アルコキシ、アシロキシ、アミノキシ、フェノキシ、チオアルコキシ、アミノ基より選ばれる基、nは1から3までの整数である。)で示されるシラン化合物と前述の各種ビニル系化合物をラジカル重合する方法で製造することにより得られる。
【0036】
ビニル系合成樹脂の酸価は特に制限されないが酸価0〜30であるのが好適である。酸価0であっても、エナメル粒子の表面に吸着したポリビニルアルコールの保護コロイド効果によりエナメル粒子どうしの合一は避けられる。一方、酸価30より大きい場合はポリビニルアルコールを含有する水溶液にエナメル組成物(I)を混合する際の粒子化が困難となる傾向がある。
【0037】
[着色材料(B)]
着色材料(B)としては、一般的に塗料に配合するものを使用することができ、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、アルミナ、シリカ、カオリン、カーボンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、鉄黒、銅クロムブラック、コバルトブラック、銅マンガン鉄ブラック、べんがら、モリブデートオレンジ、パーマネントレッド、パーマネントカーミン、アントラキノンレッド、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、黄色酸化鉄、チタンイエロー、ファーストイエロー、ベンツイミダゾロンイエロー、クロムグリーン、コバルトグリーン、フタロシアニングリーン、群青、紺青、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、キナクリドンバイオレット、ジオキサジンバイオレット等があげられる。
【0038】
[溶剤(C)]
溶剤(C)としては、石油ベンゼン、n−ヘプタン、n−ヘキサン、ミネラルスピリット、ターペン、ケロシン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素類、ジクロルエタン、トリクレン、パークレン等の塩素化炭化水素類、メチルセロソルブ、セロソルブソルベント、ブチルセロソルブ、イソブチルセロソルブ等のエーテルアルコール類、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロパノール、iso −プロパノール、n−ブタノール等のアルコール類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、および場合により水も使用可能である。
【0039】
[粘性調整剤(D)]
エナメル組成物(I)は、合成樹脂(A)、着色材料(B)及び溶剤(C)を含有してなるが、さらに粘性調整剤(D)を加えて下記特定の粘性に調整することが好適である。粘性調整剤(D)としては、ベントナイト、セリサイト、超微粉シリカ、表面処理炭酸カルシウム等の無機系、アマイドワックス、水添ヒマシ油ワックス、ベンリジデンソルビトール、金属石鹸、酸化ポリエチレン、硫酸エステル系アニオン活性剤等の有機系のものがあげられる。
【0040】
粘性調整剤(D)を加えて調整したエナメル組成物(I)の粘性とは、20℃において、BH型粘度計で測定した20rpmにおける粘度(4回転目の指針値)が、0.2〜15Pa・s、TI値が1.0〜8.0の範囲になるものである。このような値を満たす場合には、エナメル粒子が塗装時のずり応力によっても破壊されず、被塗面においては大柄の円形模様を形成することが可能となる。特に、粘度が0.3〜10Pa・s、TI値が2.0〜6.0である場合は、上述のような効果が安定して発揮されるため、好ましい。
【0041】
ここで20rpmにおける粘度(4回転目の指針値)が、0.2Pa・sより低い場合は、ずり応力によって粒子が大きく変形させられてしまい円形模様を形成することが不可能となったり、被塗面において形成される模様が流れてしまったりして意匠性を損ねる結果となる傾向がある。逆に15Pa・sより高い場合には、流動性が悪く、エナメル組成物(I)をポリビニルアルコールを含有する水溶液に分散する際に球状のエナメル粒子が形成しにくく、また、被塗面においては円形模様を形成し難くなる傾向がある。一方、TI値が1.0より小さいと、粘度が0.2〜15Pa・sであっても被塗面において形成された模様が流れてしまう傾向となり、8.0より大きいと塗装時のずり応力によって、エナメル粒子が潰れ散らばって塗装されてしまうおそれがある。
【0042】
[エナメル組成物(I)]
本発明のエナメル組成物(I)は、上記の各構成成分を含有してなり、その使用量は特に制限されないが、各構成成分の比率としては、合成樹脂(A)を固形分で100重量部に対して、着色材料(B)を10〜100重量部程度、溶剤を(C)100〜1000重量部程度とするのが意匠性、高耐候性の点から望ましい。また、粘性調整剤(D)を加える場合には、合成樹脂(A)を固形分で100重量部に対して、粘性調整剤(D)を1〜10重量部程度の比率となるように添加するのが好適である。
【0043】
本発明のエナメル組成物(I)中には、前記の効果を損なわない程度に、繊維物質や充填材を配合してもよい。このような繊維物質としては、パルプ繊維、セルロース繊維、セピオライト、ウオラストナイト等が、充填材としては、炭酸カルシウム、タルク、クレー、ホワイトカーボン、セッコウ、硫酸バリウム、マイカ等があげられる。
【0044】
その他、通常塗料に配合する各種の添加剤、例えば、増粘剤、可塑剤、乾燥調整剤、紫外線吸収剤、艶調整剤、顔料分散剤、消泡剤、酸化防止剤、防黴剤、防腐剤、造膜助剤等を本発明の効果を損なわない程度に適宜配合してもよい。
【0045】
[エナメル粒子分散液]
本発明のエナメル粒子分散液は、前記エナメル組成物(I)が、ポリビニルアルコールを濃度0.01〜5重量%で含有し、かつホウ酸を含有するpH6〜11の水系分散媒(II)に分散しているものである。
【0046】
[エナメル粒子分散液の製造方法]
本発明のエナメル粒子分散液の製造方法は、特に限定されないが、例えば、濃度0.01〜5重量%のポリビニルアルコール水溶液に、エナメル組成物(I)を分散しながらまたは分散後に、ホウ酸を添加することによって得ることができる。ホウ酸の添加前または添加後には、pHを6〜11に調整した状態にする。
【0047】
エナメル組成物(I)をポリビニルアルコール水溶液に分散する際は、攪拌槽内で分散安定剤含有水溶液をインペラー等の混合分散装置にて攪拌しながら、予め製造しておいたエナメル組成物を徐々に加える方法にて行うことができる。この際に、攪拌槽の大きさやインペラーの形状および大きさ、周速を適宜調整し、エナメル組成物の配合時間を適宜設定して、エナメル粒子の粒子径を調整する。
【0048】
エナメル粒子の粒子径は0.01〜10mmとするのが好適である。特にエナメル粒子の最大粒子径が1〜10mmとなるようにすれば、大柄で美しい多彩模様塗膜を形成する多彩模様塗料が製造できる。エナメル粒子径が0.01mmより小さい場合には、形成される被膜の多彩感があまり表現されない。逆にエナメル粒子径が10mmより大きいと、貯蔵安定性の低下、塗装ムラの発生等の問題が生じやすく、実用性に欠ける傾向がある。
【0049】
ポリビニルアルコール水溶液とエナメル組成物(I)の混合比は、(ポリビニルアルコール水溶液/エナメル組成物(I))の重量比が1/0.5〜1/3であることが望ましい。
【0050】
[ポリビニルアルコール]
ポリビニルアルコールは、特に限定されないが、特にカチオン性のポリビニルアルコールを使用した場合は、より貯蔵安定性の効果が向上するため好ましい。また、カチオン性のポリビニルアルコールは防汚性、防カビ性にも優れている。
【0051】
このようなカチオン性ポリビニルアルコールは、その製造方法ごとに例をあげれば、第1にポリビニルアルコール重合体を後変性する方法として、特公昭30−5563号公報に記載のアミノアセタール化によるアミノ基の導入、特公昭57−34842号公報に記載のグリシジルトリメチルアンモニウムクロライドをアルカリ触媒の存在下にポリビニルアルコールと反応させ、第4級アンモニウム塩を含むカチオン性ポリビニルアルコールを製造する方法、第2に共重合させる方法として、特開昭56−14504号、特開昭56−884113号、特開昭56−118997号各公報において、アミノアルキル(メタ)アクリルアミド、アミノアルキル(メタ)アクリレート(又はその第4級アンモニウム塩)と酢酸ビニルとの共重合体をけん化してカチオン性ポリビニルアルコールを得る方法、さらに、特開昭59−135202号公報に記載のようにN−(3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)ジメチルアミン、N−(3−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)ジメチルアミン、N−(4−アリルオキシ−3−ヒドロキシブチル)ジメチルアミンやそれらの第4級アンモニウム塩等のカチオン性単量体とアルキルビニルエステルとの共重合体を部分的または完全にけん化する方法等によって得られたものなどがあげられる。
【0052】
また、ポリビニルアルコールの重量平均分子量は10000〜100000、ケン化度80〜100が好適である。重量平均分子量が10000より低い場合には、エナメル粒子表面におけるポリビニルアルコールの架橋による隔壁の強度が弱すぎて、貯蔵時に各エナメル粒子同士の合一化を招く傾向がある。重量平均分子量が100000より高いとエナメル粒子表面への吸着が不十分となり、結果として隔壁の強度が弱くなってしまう傾向がある。また、ポリビニルアルコールのケン化度が80より小さいと、架橋により形成される隔壁の架橋密度が低すぎて、隔壁の強度が弱くなり、貯蔵時に各エナメル粒子同士が合一化してしまったり、塗装途中にエナメル粒子がばらばらに粉砕されてしまい明確な意匠のパターンが形成されない場合がある。
【0053】
ポリビニルアルコール水溶液の濃度は0.01〜5重量%である。ポリビニルアルコール水溶液の濃度が、0.01重量%より低い場合は、分散相が互いに合一化してエナメル粒子が大きくなり、安定に分散できず貯蔵安定性が低下する傾向がある。5重量%より高いとエナメル粒子の粒径が小さくなりすぎて、分散相が目的粒径で安定に分散せず、明確な意匠性のパターンを形成することが困難になる場合がある。
【0054】
[ホウ酸]
ホウ酸は、三酸化二ホウ酸が水化して生ずる酸素酸であり、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸がある。また、四ホウ酸ナトリウム(ホウ砂)を使用することもできる。このホウ酸は、後述するように、エナメル粒子の原料エナメルを、水系分散媒に分散させる際に同時に又は分散後に添加するものである。このホウ酸の添加によって規定の大きさに分散されたエナメル粒子の表面において、その表面に吸着したポリビニルアルコールとホウ酸とが反応してごく薄いゲル状被膜を形成し、エナメル粒子同士が合一化しない強固なものにする。また、同時に水系分散媒中に希薄に分散しているポリビニルアルコールも、ホウ酸と反応して緩やかなネットワークを形成する。このネットワークによって、エナメル粒子や水系分散媒中の着色材料は沈降することなく安定に分散することが可能となる。
【0055】
ホウ酸の添加量はポリビニルアルコールとの架橋反応が十分行われる程度であれば特に限定されるものではないが、ポリビニルアルコールの固形分100重量部に対して、0.01〜10重量部程度とすることが好ましい。
【0056】
なお、水系分散媒(II)の媒体としては、主に水が使用されるが、水に易溶性の有機溶剤を使用することもできる。ポリビニルアルコール水溶液においては、通常塗料に配合する各種の添加剤、例えば、増粘剤、可塑剤、防腐剤、乾燥調整剤、分散剤、紫外線吸収剤等を本発明の効果を損なわない程度に適宜配合しても良い。
【0057】
ホウ酸の添加は、具体的には、ポリビニルアルコール水溶液を攪拌しつつエナメル組成物(I)を分散しながらホウ酸を添加する方法、または、ポリビニルアルコール水溶液にエナメル組成物(I)を分散し、更にホウ酸を添加する方法等を採用することができる。ポリビニルアルコールとホウ酸との反応は、系のpHが6〜11の範囲において安定に進行する。pH調整を行うタイミングは特に限定されず、ホウ酸の添加前でも添加後でもよい。
【0058】
pHを6〜11に調整するpH調整剤は1−アミノエタノール、2−アミノエタノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−(メチルアミノ)−2−メチル−1−プロパノール、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−(2−アミノエチル)エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミンなどをあげることができる。
【0059】
pHを前記範囲内とすることにより、エナメル粒子分散液の貯蔵安定性が十分に確保される。pHが6より小さくなると、ホウ酸とポリビニルアルコール(b)との反応が進まなくなる。pHが11より大きくなると、ポリビニルアルコールが凝集ゲル化してしまい、ホウ酸との反応によるエナメル粒子の補強や水系分散媒中でのネットワーク形成ができなくなる。特にカチオン性ポリビニルアルコールの場合には、この傾向が顕著である。結果として、pHが6〜11の範囲外の場合は、エナメル粒子や着色材料の分散安定性が確保できなくなる。エナメル粒子分散液は、貯蔵時に変質することがなく、前述のポリビニルアルコールの緩やかなネットワークを維持し、多彩模様塗料の塗膜形成時においては、被塗面への密着性や被塗面の変位に追従する効果を発揮する。
【0060】
[水系分散媒(II)]
本発明のエナメル粒子分散液を形成する水系分散媒(II)は、水系媒体にポリビニルアルコール、架橋剤を含む他に、消泡剤、増粘剤、分散剤、防黴剤、防腐剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等公知の添加剤を、本発明の効果を阻害しない範囲内で添加することもできる。また、合成樹脂エマルションを含むこともできる。
【0061】
本発明における水系分散媒(II)は、JIS K 5660「つや有合成樹脂エマルションペイント」4.8 隠蔽率において0.05〜0.60となる被膜を形成するものが好適である。水系分散媒(II)の隠蔽率を前記範囲に調整するには、たとえば、水系分散媒(II)中に着色材料を含有させる方法がある。着色材料としては、前述のエナメル粒子と同様の着色材料(B)を使用することができる。その配合量は水系分散媒(II)によって形成される被膜が、前述の隠蔽率の範囲となるように適宜決定される。また、着色材料(B)のうち、その粒子径が1μm以下のものは、エナメル粒子の色相が深みのある豪華な雰囲気のものに仕上るため、より好ましく用いることができる。
【0062】
隠蔽率が0.05より小さい場合には、分散媒色相とエナメル粒子色相との複合効果が得られず、エナメル粒子の斑点模様のみが形成される。隠蔽率が0.60より大きい場合には、エナメル粒子の色相が不明瞭となり、分散媒色相の単色被膜が形成されてしまう。
【0063】
[多彩模様塗料組成物]
本発明の多彩模様塗料組成物は、2色以上のエナメル粒子分散液から形成されるものである。このような2色以上の多彩模様塗料とするためには、まず、単色のエナメル粒子が上述のように分散したエナメル分散液を適宜製造しておく。そして、同様の方法で製造した各色のエナメル分散液を混合することにより、多彩模様塗料を得ることができる。
【0064】
また、本発明の多彩模様塗料においては、比較的粒子径の大きなエナメル粒子と、比較的粒子径の小さな、異色のエナメル粒子の混合した多彩模様塗料組成物とすることにより、大柄模様が際立って見える効果がある。これは多彩模様塗膜を形成した際に、粒子径の大きなエナメル粒子が大柄模様を形成し、その模様の間を、粒子径の小さなエナメル粒子が充填するように塗膜を形成して、背景色となるためである。
【0065】
[塗装方法]
本発明の多彩模様塗料組成物を適用する部位は特に限定されるものではないが、例えば、金属、ガラス、磁器タイル、コンクリート、モルタル、サイディングボード、ALC板、押出成形板、プラスチック板等各種基材の表面仕上げ材として用いることができる。主として、建築物、土木構造物等の躯体の保護に使用するものである。
【0066】
本発明の多彩模様塗料組成物は、基材に対し必要に応じ適宜表面処理を施した後、塗装を行う。その塗付量は通常0.2〜1.0kg/m2 程度である。また、塗装器具としては、スプレーガン、ローラー、刷毛等公知のものを使用することができる。
【0067】
本発明の多彩模様塗料組成物は、最表層塗膜として使用できるものであるが、必要に応じてさらに、透明トップコートを積層しても良い。このような透明トップコートは、必ずしも無色である必要はなく、若干の色相を有するカラークリヤーならば、多彩模様塗膜の色相とあいまってより美観を高めることが可能となる。クリヤー塗料は、特に限定されず公知のものが使用できる。若干着色を施したものも使用できる。樹脂の種類としては、例えば、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、アクリルシリコン系、フッ素系等があげられる。耐候性を考慮すると、アクリルシリコン系、フッ素系等が望ましい。クリヤー塗料による塗装は、公知の塗装によればよく、例えば吹き付け塗装、ローラー塗装、刷毛塗り等の各種の塗装方法により実施することができる。クリヤー塗料の塗付量は、適用する部位等に応じて適宜設定すればよく、通常0.1〜0.4kg/m2 程度である。
【0068】
【発明の効果】
本発明の多彩模様塗料組成物の調製に用いるエナメル粒子分散液は、水系分散媒(II)中に分散安定剤としてポリビニルアルコールとホウ酸を含んでいることにより貯蔵安定性が良好である。その機構は明らかではないが、エナメル粒子表面に吸着されたポリビニルアルコールが架橋を生じ、エナメル粒子を包む隔壁を形成する。特に、ポリビニルアルコールの重合度、ケン化度、濃度を規定することによって、エナメル粒子表面に吸着するポリビニルアルコール分子の量を制御し、その上でホウ酸を用いるため、隔壁の厚みやその架橋密度に起因する強度を制御できる。このようにして得られる粒子の隔壁は適度に柔らかい性質をもつことができる。
【0069】
また、本発明では、エナメル組成物(I)として特定の粘性に調整されたものを用いることにより、分散粒子の粒子径を大きくしても貯蔵中に分散粒子の沈降や合一化が生じ難く、貯蔵安定性に優れ、長期貯蔵した後に塗装を行ってもその意匠性が損なわれることがなく、平滑な塗膜を形成する多彩模様塗料組成物を提供することができる。こうした多彩模様塗料組成物は、エナメル粒子の表面架橋性と内部の粘性との複合作用によって、吹付け塗装時にずり応力がはたらいた場合においても、エナメル粒子は潰れて破裂することなく、変形するのみであり、塗装機器が替わった場合の各種条件によっても、形成される塗膜の変化を生じ難い。また、被塗面に衝突した場合には、容易に粒子が潰れて、内部のエナメル組成物が広範囲に広がり、その後、流動することなく円形の模様を保つことになる。このようにして形成された塗膜は、各色の模様が大柄かつ円形で隙間なく重なり合い、美観性の高い仕上りとなる。
【0070】
また、本発明のエナメル粒子分散液の水系分散媒(II)として、特定の隠蔽率のものを用いることにより各色粒間の色相の違いがあまり明瞭ではなく、連続的かつ微妙に色相が変化し、控えめで深みのある多彩模様意匠を得ることができる多彩模様塗料組成物を提供することができる。
【0071】
【実施例】
以下に試験例1〜4を示し、それぞれに実施例及び比較例によって、本発明の特徴をより明確にする。各例の部および表中の数値はすべて重量部、重量%である。
【0072】
表1に、実施例及び比較例で用いる材料を示す。
【表1】
Figure 0003827285
【0073】
試験例1
試験例1は貯蔵安定性を確認するための試験であり、これを実施例と比較例により明確にする。貯蔵安定性は以下に示す通りである。
【0074】
(塗料の初期状態)
多彩模様塗料を製造直後に、JIS K 5667「多彩模様塗料」5.3 「容器の中の状態」に従い、ゆっくりとかきまぜた際の塗料の状態を目視にて確認した。評価は、○:異常なし、×:(塊発生、ゲル化、異常増粘等)、とした。
【0075】
(貯蔵安定性試験)
多彩模様塗料を50℃の恒温器内に1ヶ月放置した後に、前記と同様にゆっくりとかきまぜた際に、塗料の状態を目視にて確認した。評価は、○:異常なし、×:(塊発生、ゲル化、異常増粘等)、とした。
【0076】
(ポリビニルアルコール水溶液の製造)
【表2】
Figure 0003827285
表1に示した原料を使用して、表2に示した配合例にて、ポリビニルアルコール水溶液を製造した。ここで、配合例1、配合例4、配合例7はポリビニルアルコールを使用した例、配合例2、配合例3、配合例8はカチオン性ポリビニルアルコールを使用した例、配合例5はポリビニルアルコール水溶液の濃度が、本発明の規定する範囲より低いものを使用した例、配合例6はカチオン性ポリビニルアルコール水溶液の濃度が、本発明の規定する範囲より高いものを使用した例である。尚、表2の数値は濃度を除きすべて重量部で示した。
【0077】
(エナメル組成物の製造)
【表3】
Figure 0003827285
表1に示した原料を使用して、表3に示した配合例9から配合例17(但し架橋剤は除く)にて各エナメル組成物を製造した。ここで、配合例9、配合例12、配合例15は白色、配合例10、配合例13、配合例16はクリーム色、配合例11、配合例14、配合例17はピンク色であった。尚、表3の数値はすべて重量部で示した。
【0078】
(多彩模様塗料の製造)
【表4】
Figure 0003827285
表1に示した原料を使用して、表2、表3に示した各配合例を用いて、表4に示したポリビニルアルコール水溶液もしくはカチオン性ポリビニルアルコール水溶液と、エナメル組成物との組み合わせにて、多彩模様塗料組成物を製造した。製造手順としては、ポリビニルアルコール水溶液もしくはカチオン性ポリビニルアルコール水溶液を攪拌しながら各エナメル組成物を分散させた後に、架橋剤を混合した。その後にpH調整剤として実施例1から実施例4、比較例1、比較例2、比較例4、比較例5については、アミノメチルプロパノールを、比較例3については、乳酸を使用してpH調整を行なった。ポリビニルアルコール水溶液もしくはカチオン性ポリビニルアルコール水溶液と、各エナメル組成物は、重量比で1:1.5となるように混合した。このように、それぞれ単色のエナメル粒子分散液を製造した上で、最終的に表4の各実施例、比較例の組み合わせにて、単色のエナメル粒子分散液を混合し、多彩模様塗料組成物を製造した。得られた多彩模様塗料組成物の上記評価項目に係わる評価結果を表5に示す。
【0079】
【表5】
Figure 0003827285
【0080】
(試験例1:実施例1〜2)
ポリビニルアルコールもしくはカチオン性ポリビニルアルコールの濃度と、系のpHが本発明の規定する範囲であるため、製造された多彩模様塗料は、製造後の初期状態であっても、貯蔵安定性試験後であっても、エナメル粒子の合一化や沈降がなく、ポリビニルアルコールもしくはカチオン性ポリビニルアルコールとホウ酸の反応により、エナメル粒子表面に形成された膜と、水系分散媒中でのネットワーク形成による沈降防止効果が発揮されていることがわかった。この多彩模様塗料を塗装するとアクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合物系の白色、クリーム色、ピンク色の入り混じった非常に大柄の多彩模様被膜が形成された。
【0081】
(試験例1:実施例3)
カチオン性ポリビニルアルコールの濃度と、系のpHが本発明の規定する範囲であるため、製造された多彩模様塗料は、製造後の初期状態であっても、貯蔵安定性試験後であっても、エナメル粒子の合一化や沈降がなく、カチオン性ポリビニルアルコールとホウ酸の反応により、エナメル粒子表面に形成された膜と、水系分散媒中でのネットワーク形成による沈降防止効果が発揮されていることがわかった。この多彩模様塗料を塗装するとアクリルシリコン樹脂系の白色、クリーム色、ピンク色の入り混じった多彩模様被膜が形成された。
【0082】
(試験例1:実施例4)
ポリビニルアルコールの濃度と、系のpHが本発明の規定する範囲であるため、製造された多彩模様塗料は、製造後の初期状態であっても、貯蔵安定性試験後であっても、エナメル粒子の合一化や沈降がなく、ポリビニルアルコールとホウ酸の反応により、エナメル粒子表面に形成された膜と、水系分散媒中でのネットワーク形成による沈降防止効果が発揮されていることがわかった。この多彩模様塗料を塗装するとアクリルシリコン樹脂系の白色、クリーム色、ピンク色の入り混じった比較的細かい柄の多彩模様被膜が形成された。
【0083】
(試験例1:比較例1)
ポリビニルアルコールの濃度が、本発明で規定する濃度よりも低い水系分散媒を用いた結果、エナメル粒子の最大粒子径が15.0mmと非常に大きくなり、多彩模様塗料の製造直後は若干の増粘が見られる程度であったが、貯蔵安定性試験の後にはゲル化してしまった。
【0084】
(試験例1:比較例2)
カチオン性ポリビニルアルコールの濃度が、本発明で規定する濃度よりも高い水系分散媒を用いた結果、エナメル最大粒子の最大粒子径が0.2mmと小さくなり、多彩模様塗料の製造直後は若干の増粘が見られる程度であったが、貯蔵安定性試験の後には異常増粘してしまった。
【0085】
(試験例1:比較例3)
系のpHが、本発明で規定する範囲よりも小さいため、ポリビニルアルコールとホウ酸の反応が生じ難くなり、エナメル粒子表面での膜形成と水系分散媒中でのネットワーク形成ができなくなり、エナメル粒子の製造直後から沈降とゲル化が発生した。
【0086】
(試験例1:比較例4)
系のpHが、本発明で規定する範囲よりも大きいため、カチオン性ポリビニルアルコールがゲル化してしまい。エナメル組成物を分散して粒子化することができなかった。
【0087】
(試験例1:比較例5)
架橋剤として、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)を使用した以外は、実施例1と同様にしてエナメル粒子を製造したが、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)が加水分解反応を生じるため、貯蔵安定性試験においてゲル化してしまった。
【0088】
試験例2
試験例2は貯蔵安定性に加えて塗膜外観を確認するための試験であり、これを実施例(参考例)と比較例により明確にする。塗膜外観および貯蔵安定性の試験は以下に示す通りである。
【0089】
(塗料の初期状態)
多彩模様塗料を製造直後に、JIS K 5667「多彩模様塗料」5.3 「容器の中の状態」に従い、ゆっくりとかきまぜた際の塗料の状態を目視にて確認した。評価は、○:異常なし、×:異常あり(塊発生、ゲル化、異常増粘等)、とした。
【0090】
(貯蔵安定性試験)
多彩模様塗料を50℃の恒温器内に1ヶ月放置した後に、前記と同様にゆっくりとかきまぜた際の塗料の状態を目視にて確認した。評価は、○:異常なし、×:異常あり(塊発生、ゲル化、異常増粘等)、とした。
【0091】
(塗膜外観)
貯蔵前及び貯蔵後の多彩模様塗料組成物をそれぞれスレート板に塗付量0.3kg/m2 でスプレー塗装し、室温にて乾燥・養生した後、その塗膜外観を目視にて評価した。評価は、○:色調が連続かつ微妙に変化する外観、×:色粒のコントラストが明瞭な外観、または単色で単調な外観、とした。
【0092】
(ポリビニルアルコール水溶液の製造)
【表6】
Figure 0003827285
表1に示す原料を使用して、表6に示す配合例にて、ポリビニルアルコール水溶液を製造した。なお、表6の数値は濃度を除きすべて重量部で示した。
【0093】
(エナメル組成物の製造)
【表7】
Figure 0003827285
表1に示す原料を使用して、表7に示す配合にて(但し架橋剤は除く)各エナメル組成物を製造した。なお、表7の数値はすべて重量部で示した。
【0094】
(多彩模様塗料の製造)
【表8】
Figure 0003827285
表6、表7に示す各配合例を用いて、表8に示すポリビニルアルコール水溶液とエナメル組成物との組み合わせにて、多彩模様塗料組成物を製造した。製造手順としては、ポリビニルアルコール水溶液を攪拌しながら各エナメル組成物を分散させた後に、表7に示す架橋剤を混合した。その後にpH調整剤として実施例1〜4、参考例1〜4、比較例2〜3についてはアミノメチルプロパノールを、比較例1については乳酸を使用してpH調整を行なった。ポリビニルアルコール水溶液と各エナメル組成物は、重量比で1:1.5となるように混合した。表8中の、隠蔽率はポリビニルアルコール水溶液、架橋剤を別途混合し、本発明で規定する方法にて測定した値である。
【0095】
このように、それぞれ単色のエナメル粒子分散液を製造した上で、最終的に表8の各実施例、比較例の組み合わせにて、単色のエナメル粒子分散液を混合し、多彩模様塗料組成物を製造した。得られた多彩模様塗料組成物の上記評価項目に係わる評価結果を表9に示す。
【0096】
【表9】
Figure 0003827285
【0097】
(試験例2:実施例1〜2)
白色系エナメル粒子が、黒色系水系分散媒に分散した状態の多彩模様塗料組成物であり、その形成塗膜は、グレー系の色調が連続的かつ微妙に変化する外観となった。また貯蔵安定性にも優れており、貯蔵後に塗装を行っても初期と同様の外観の塗膜を得ることができた。
【0098】
(試験例2:実施例3)
白色系エナメル粒子とグレー系エナメル粒子が、黄色系水系分散媒に分散した状態の多彩模様塗料組成物であり、その形成塗膜は、ベージュ系の色調が連続的かつ微妙に変化する外観となった。また貯蔵安定性にも優れており、貯蔵後に塗装を行っても初期と同様の外観の塗膜を得ることができた。
【0099】
(試験例2:実施例4)
グレー系エナメル粒子が、白色系水系分散媒に分散した状態の多彩模様塗料組成物であり、その形成塗膜は、グレー系の色調が連続的かつ微妙に変化する外観となった。また貯蔵安定性にも優れており、貯蔵後に塗装を行っても初期と同様の外観の塗膜を得ることができた。
【0100】
(試験例2:参考例1)
グレー系エナメル粒子が、白色系水系分散媒に分散した状態の多彩模様塗料組成物であるが、水系分散媒の隠蔽率が高く、その形成塗膜は、白色系の単調な外観となってしまった。
【0101】
(試験例2:参考例2)
白色系エナメル粒子とグレー系エナメル粒子が、顔料を含まない水系分散媒に分散した状態の多彩模様塗料組成物であり、その形成塗膜は、白色粒とグレー粒のコントラストが明瞭な外観となってしまった。
【0102】
(試験例2:比較例1)
ポリビニルアルコールの濃度が、本発明で規定する濃度よりも低い水系分散媒を用いた結果、多彩模様塗料の製造直後は若干の増粘が見られる程度であったが、貯蔵安定性試験の後には沈降し、合一化してしまった。
【0103】
(試験例2:比較例2)
カチオン性ポリビニルアルコールの濃度が、本発明で規定する濃度よりも高い水系分散媒を用いた結果、多彩模様塗料の製造直後は若干の増粘が見られる程度であったが、貯蔵安定性試験の後には異常増粘してしまった。
【0104】
(試験例2:比較例3)
系のpHが、本発明で規定する範囲よりも小さく、エナメル粒子の製造直後から沈降し、合一化した。
【0105】
(試験例2:比較例4)
系のpHが、本発明で規定する範囲よりも大きく、カチオン性ポリビニルアルコールがゲル化してしまい、エナメル組成物を分散して粒子化することができなかった。
【0106】
(試験例2:比較例5)
架橋剤として、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)を使用したところ、貯蔵安定性試験においてゲル化してしまった。
【0107】
試験例3
試験例3は貯蔵安定性に加えて、塗膜外観、耐候性を確認するための試験であり、これを実施例(参考例)と比較例により明確にする。貯蔵安定性、塗膜外観および耐候性試験は以下に示す通りである。
【0108】
(貯蔵安定性試験)
塗料を20℃の室内に1か月放置し、JIS K 5667「多彩模様塗料」5.3 「容器の中での状態」に従い、ゆっくりとかきまぜた際の状態を確認した。評価は、○:異常なし、×:異常あり(塊発生、ゲル化、異常増粘等)、とした。
【0109】
(塗膜外観試験、耐候性試験)
JIS K 5667「多彩模様塗料」5.11「耐候性」に基づき、フレキシブル板(900×900×6mm)に、JIS K 5663に規定する合成樹脂エマルションペイントを、所要量0.2kg/m2 にて刷毛で塗装した後に、24時間乾燥養生し、その後、フレキシブル板を垂直に保持し、各多彩模様塗料をリシンガンにて、所要量0.4kg/m2 で吹付け塗付し、24時間乾燥養生したものを試験体とした。試験体は各2部作製した。この試験体の形成された模様において、その外観を目視にて確認した。評価は、○:模様が明瞭で各エナメル粒子の色彩が大柄かつ円形、×:模様が不明瞭、とした。
【0110】
続いて、アクリルシリコン樹脂を用いた各試験体については、各試験体から300mm×150mmの試験片を各2枚切り出し、その内1枚を見本板とし、他の1枚を12か月の暴露試験に供した。評価は、○:異常なし、×:白亜化発生、とした。
【0111】
(ポリビニルアルコール水溶液の製造)
【表10】
Figure 0003827285
表1に示した原料を使用して、表10に示した配合例にて各ポリビニルアルコール水溶液を製造した。ここで、配合例2は重量平均分子量が、本発明の規定する範囲より低いものを使用した例、配合例3はけん化度が、本発明の規定する範囲より低いものを使用した例、配合例4はポリビニルアルコールの濃度が、本発明の規定する範囲より低いものを使用した例、配合例5はポリビニルアルコールの濃度が、本発明の規定する範囲より高いものを使用した例である。なお、表10の数字は重量部で示した。
【0112】
(エナメル組成物の製造)
【表11】
Figure 0003827285
【表12】
Figure 0003827285
表1に示した原料を使用して、表11および表12に示した配合例にて各エナメル組成物を製造した。ここで、配合例6から配合例9は、それぞれ青色、黄色、赤色、白色であり、何れも本発明の規定範囲内のエナメル組成物である。一方、配合例10は、白色であるが、その酸価が本発明の規定範囲より大きいものである。配合例11から配合例13は、それぞれ白色、青色、黄色であり、何れもアクリル樹脂を用いた。配合例14から配合例16は、それぞれ白色、青色、赤色であるが、その内で配合例15は、20rpmの粘度が、本発明の規定範囲より小さいものである。配合例17から配合例19は、白色、黄色、赤色であるが、その内で配合例17および配合例19は、TI値が本発明の規定範囲より大きいものである。配合例20から配合例22は、白色、黄色、赤色であるが、何れもTI値が本発明の規定範囲より小さいものである。なお、表11、12の数字は、粘度、TI値を除き、すべて重量部で示した。
【0113】
(多彩模様塗料の製造)
【表13】
Figure 0003827285
表10、表11および表12に示した各配合例を用いて、表13に示したポリビニルアルコール水溶液と、エナメル組成物との組み合わせにてエナメル粒子分散液を製造した。製造手順としては、ポリビニルアルコール水溶液を攪拌しながら各エナメル組成物を分散させた後に、架橋剤1を混合した。このとき、架橋剤1はポリビニルアルコールの固形分に対し0.5重量%の比率で混合した。
【0114】
その後にpH調整剤として、実施例1から実施例4、参考例1から5及び比較例1から比較例3についてはアミノメチルプロパノールを、比較例4については、乳酸を使用してpH調整を行なった。ポリビニルアルコール水溶液と各エナメル組成物は、重量比で1:1.5となるように混合した。
【0115】
このように、それぞれ単色のエナメル粒子分散液を製造した上で、最終的に表5の各組み合わせにて、単色のエナメル粒子分散液を混合し、多彩模様塗料組成物を製造した。なお、配合例10は、エナメル粒子分散液を製造することができなかった。得られた多彩模様塗料組成物の上記評価項目に係わる評価結果を表14、表15に示す。
【0116】
【表14】
Figure 0003827285
【表15】
Figure 0003827285
【0117】
(試験例3:実施例1から実施例4)
実施例1は青色、黄色、赤色、実施例2は青色、赤色、白色、実施例3は、青色、黄色、白色、実施例4は、白色、青色、黄色の三色がそれぞれ独立し、また交互に重なりあった多彩模様を形成していた。また、各色のエナメル粒子は、大柄の円形模様を形成し、遠距離においても明瞭に多彩模様が認識できた。実施例1,2,3は、耐候性試験においても良好な結果となった。
【0118】
(試験例3:参考例1)
ポリビニルアルコールとして、重量平均分子量が本発明の規定範囲より低いものを用いたため、エナメル粒子表面の隔壁強度が不十分となり、貯蔵安定性試験に劣る結果となった。
【0119】
(試験例3:参考例2)
ポリビニルアルコールとして、けん化度が本発明の規定範囲より低いものを用いたため、エナメル粒子表面の隔壁強度が不十分となり、貯蔵安定性に劣る結果となった。
【0120】
(試験例3:比較例1)
ポリビニルアルコール水溶液の濃度が、本発明の規定範囲より低いものを用いたため、エナメル粒子表面の隔壁強度が不十分となり、貯蔵安定性に劣る結果となった。
【0121】
(試験例3:比較例2)
ポリビニルアルコール水溶液の濃度が、本発明の規定範囲より高いものを用いたため、エナメル粒子が微小化して、結果として形成された塗膜の模様が不明瞭となり、遠距離より目視すると多彩模様が区別できなかった。
【0122】
(試験例3:参考例3)
青色エナメル組成物(配合例15)の20rpm粘度が、本発明の規定する範囲よりも低いため、形成された多彩模様塗膜において、青色部分が流れて円形模様にはならず、意匠性を低下させることになった。
【0123】
(試験例3:参考例4)
白色エナメル組成物(配合例17)、赤色エナメル組成物(配合例19)のTI値が、本発明の規定する範囲よりも高いため、このエナメル組成物の粘性が非常にチクソトロピックになり、吹付け塗装時におけるずり応力で、粒子がばらばらに粉砕され、細かく散らばって塗装されたため、大柄模様を形成することができず、多彩模様が不明瞭となってしまった。
【0124】
(試験例3:参考例5)
白色エナメル組成物(配合例20)、黄色エナメル組成物(配合例21)、赤色エナメル組成物(配合例22)のTI値が、本発明の規定する範囲よりも低いため、このエナメル組成物の粘性が非常にダイラタントになり、被塗面に多彩模様塗料中のエナメル粒子が衝突した後に流動してしまい、円形の大柄模様を形成することができず、多彩模様が不明瞭となってしまった。また、エナメル粒子間に隙間があり、下塗りが透ける部分が見られた。その結果、耐候性試験において透ける部分での白亜化が発生した。
【0125】
(試験例3:比較例3)
系のpHが、本発明で規定する範囲よりも大きいため、ポリビニルアルコールがゲル化してしまい。エナメル組成物を分散して粒子化することができなかった。
【0126】
(試験例3:比較例4)
系のpHが、本発明で規定する範囲よりも小さいため、エナメル粒子の製造直後から沈降し、合一化した。
【0127】
試験例4
試験例4は貯蔵安定性に加えて、塗膜外観を確認するための試験であり、これを実施例(参考例)と比較例により明確にする。貯蔵安定性、塗膜外観試験は以下に示す通りである。
【0128】
(塗料の初期状態)
多彩模様塗料を製造直後に、JIS K 5667「多彩模様塗料」5.3 「容器の中の状態」に従い、ゆっくりとかきまぜた際の塗料の状態を目視にて確認した。評価は、○:異常なし、×:異常あり(塊発生、ゲル化、異常増粘等)、とした。
【0129】
(貯蔵安定性試験)
多彩模様塗料を50℃の恒温器内に1ヶ月放置した後に、前記と同様にゆっくりとかきまぜた際の塗料の状態を目視にて確認した。評価は、○:異常なし、×:異常あり(塊発生、ゲル化、異常増粘等)、とした。
【0130】
(塗膜外観)
貯蔵前及び貯蔵後の多彩模様塗料組成物をそれぞれスレート板に塗付量0.3kg/m2 でスプレー塗装し、室温にて乾燥・養生した後、その塗膜外観を目視にて評価した。評価は、○:色調が連続かつ微妙に変化する外観、×:色粒のコントラストが明瞭な外観、または単色で単調な外観、とした。
【0131】
(ポリビニルアルコール水溶液の製造)
【表16】
Figure 0003827285
表1に示す原料を使用して、表16に示す配合例にて各ポリビニルアルコール水溶液を製造した。なお、表16の数字は濃度を除き重量部で示した。
【0132】
(エナメル組成物の製造)
【表17】
Figure 0003827285
表1に示す原料を使用して、表17に示す配合例にて各エナメル組成物を製造した。なお、表17の数字は、粘度、TI値を除き、すべて重量部で示した。
【0133】
(多彩模様塗料の製造)
【表18】
Figure 0003827285
表16、表17に示す各配合例を用いて、表18に示す組み合わせにてエナメル粒子分散液を製造した。製造手順としては、ポリビニルアルコール水溶液を攪拌しながら各エナメル組成物を分散させた後に、架橋剤1を混合した。このとき、架橋剤1はポリビニルアルコールの固形分に対し0.5重量%の比率で混合した。その後にpH調整剤として、実施例1〜4、参考例1〜7、比較例1、2、4についてはアミノメチルプロパノールを使用し、比較例3については乳酸を使用して、pH調整を行なった。ポリビニルアルコール水溶液と各エナメル組成物は、重量比で1:1.5となるように混合した。表18中の、隠蔽率は分散安定剤含有水溶液(ポリビニルアルコール水溶液)、架橋剤を別途混合し、本発明で規定する方法にて測定した値である。
【0134】
このように、それぞれ単色のエナメル粒子分散液を製造した上で、最終的に表4の各組み合わせにて、単色のエナメル粒子分散液を混合し、多彩模様塗料組成物を製造した。なお、配合例15は、エナメル粒子分散液を製造することができなかった。得られた多彩模様塗料組成物の上記評価項目に係わる評価結果を表19に示す。
【0135】
【表19】
Figure 0003827285
【0136】
(試験例4:実施例1〜2)
白色系エナメル粒子が、黒色系水系分散媒に分散した状態の多彩模様塗料組成物であり、その形成塗膜は、グレー系の色調が連続的かつ微妙に変化する外観となった。また貯蔵安定性にも優れており、貯蔵後に塗装を行っても初期と同様の外観の塗膜を得ることができた。
【0137】
(試験例4:実施例3)
白色系エナメル粒子とグレー系エナメル粒子が、黄色系水系分散媒に分散した状態の多彩模様塗料組成物であり、その形成塗膜は、ベージュ系の色調が連続的かつ微妙に変化する外観となった。また貯蔵安定性にも優れており、貯蔵後に塗装を行っても初期と同様の外観の塗膜を得ることができた。
【0138】
(試験例4:実施例4)
グレー系エナメル粒子が、白色系水系分散媒に分散した状態の多彩模様塗料組成物であり、その形成塗膜は、グレー系の色調が連続的かつ微妙に変化する外観となった。また貯蔵安定性にも優れており、貯蔵後に塗装を行っても初期と同様の外観の塗膜を得ることができた。
【0139】
(試験例4:参考例1)
グレー系エナメル粒子が、白色系水系分散媒に分散した状態の多彩模様塗料組成物であるが、水系分散媒の隠蔽率が高く、その形成塗膜は、白色系の単調な外観となってしまった。
【0140】
(試験例4:参考例2)
白色系エナメル粒子とグレー系エナメル粒子が、顔料を含まない水系分散媒に分散した状態の多彩模様塗料組成物であり、その形成塗膜は、白色粒とグレー粒のコントラストが明瞭な外観となってしまった。
【0141】
(試験例4:比較例1)
ポリビニルアルコールの濃度が、本発明で規定する濃度よりも低い水系分散媒を用いた結果、多彩模様塗料の製造直後は若干の増粘が見られる程度であったが、貯蔵安定性試験の後に沈降し、合一化してしまった。
【0142】
(試験例4:比較例2)
ポリビニルアルコールの濃度が、本発明で規定する濃度よりも高い水系分散媒を用いた結果、多彩模様塗料の製造直後は若干の増粘が見られる程度であったが、貯蔵安定性試験の後には異常増粘してしまった。
【0143】
(試験例4:参考例3)
ポリビニルアルコールとして、重量平均分子量が本発明の規定範囲より低いものを用いたため、貯蔵安定性に劣る結果となった。
【0144】
(試験例4:参考例4)
ポリビニルアルコールとして、けん化度が本発明の規定範囲より低いものを用いたため、貯蔵安定性に劣る結果となった。
【0145】
(試験例4:比較例3)
系のpHが、本発明で規定する範囲よりも小さく、エナメル粒子の製造直後から沈降し、合一化してしまった。
【0146】
(試験例4:比較例4)
系のpHが、本発明で規定する範囲よりも大きく、ポリビニルアルコールがゲル化してしまい、エナメル組成物を分散して粒子化することができなかった。
【0147】
(試験例4:参考例5)
白色系エナメル粒子(配合例16)の20rpm粘度が、本発明の規定する範囲よりも低いため、形成された多彩模様塗膜において、白色部分が流れて意匠性が低下してしまった。
【0148】
(試験例4:参考例6)
白色系エナメル粒子(配合例17)のTI値が、本発明の規定する範囲よりも高いため、吹付け塗装時に粒子がばらばらに粉砕され、細かく散らばって塗装されたため、意匠性が低下してしまった。
【0149】
(試験例4:参考例7)
白色系エナメル粒子(配合例18)のTI値が、本発明の規定する範囲よりも低いため、被塗面で白色粒子が流れて、意匠性が低下してしまった。

Claims (11)

  1. 合成樹脂(A)、着色材料(B)及び溶剤(C)を含有するエナメル組成物(I)が、ポリビニルアルコールを濃度0.01〜5重量%で含有し、かつホウ酸を含有し、
    1−アミノエタノール、2−アミノエタノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−(メチルアミノ)−2−メチル−1−プロパノール、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−(2−アミノエチル)エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、およびN−メチルジエタノールアミンから選ばれるpH調整剤により、pHが6〜11に調整された水系分散媒(II)に分散していることを特徴とするエナメル粒子分散液。
  2. ポリビニルアルコールが、重量平均分子量10000〜100000、ケン化度80〜100であることを特徴とする請求項1記載のエナメル粒子分散液。
  3. ポリビニルアルコールが、カチオン性ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項2記載のエナメル粒子分散液。
  4. 合成樹脂(A)が、酸価が0〜30のビニル系合成樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエナメル粒子分散液。
  5. エナメル組成物(I)が、合成樹脂(A)の固形分100重量部に対して、着色材料(B)10〜100重量部、溶剤(C)を100〜1000重量部含有してなること特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のエナメル粒子分散液。
  6. エナメル組成物(I)が、粘性調整剤(D)を含有してなり、温度20℃において、BH型粘度計で測定した20rpmにおける粘度(4回転目の指針値)が、0.2〜15Pa・s、下記により求められるTI値が1.0〜8.0の範囲になるように調整されたものであること特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のエナメル粒子分散液。
    <TI値>TI値:BH型粘度計を用い、式1により求められる値
    TI値=η1/η2 (式1)
    (但し、η1:2rpmにおける見掛けの粘度(Pa・s:2回転目の指針値)、η2:20rpmにおける見掛けの粘度(Pa・s:4回転目の指針値))
  7. 粘性調整剤(D)を、合成樹脂(A)の固形分100重量部に対して、1〜10重量部含有してなることを特徴とする請求項6記載のエナメル粒子分散液。
  8. エナメル粒子の最大粒子径が、1〜10mmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のエナメル粒子分散液。
  9. 水系分散媒(II)が、JIS K 5660「つや有合成樹脂エマルションペイント」4.8 隠蔽率において0.05〜0.60となる被膜を形成するものであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のエナメル粒子分散液。
  10. 濃度0.01〜5重量%のポリビニルアルコール水溶液に、エナメル組成物(I)を分散しながらまたは分散後に、ホウ酸を添加し、かつホウ酸の添加前または添加後には、
    1−アミノエタノール、2−アミノエタノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−(メチルアミノ)−2−メチル−1−プロパノール、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−(2−アミノエチル )エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、およびN−メチルジエタノールアミンから選ばれるpH調整剤を添加して得られる分散液のpHを6〜11に調整した状態にすることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のエナメル粒子分散液の製造方法。
  11. 請求項1〜9のいずれかに記載のエナメル粒子分散液の2種以上を含有してなる多彩模様塗料組成物。
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