JP7299050B2 - 粒状色材含有塗料の塗装方法 - Google Patents
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この美装のためにゲル化した着色粒子を分散させた多彩塗料や有色の骨材を含有させた石材調塗料などが使われることがある。
しかし、これら粒状色材含有塗料の塗装には、塗装用ローラーによる塗装が
難しく、主にスプレーガンなどを用いたスプレー塗装が行われることが多い。
粒状色材含有塗料を塗装用ローラーで塗装した場合、粒状色材が塗装面に均等に散らばることがなく、塗装方向に筋状に並ぶことなどがある。又、所望の粒状色材が塗装面に付着せずに塗装用ローラーに残ったままの状態の場合もある。
これらのことにより、塗装下地に対して水系多彩塗料を配り塗りローラーで均一に配り塗りし、次いで配り塗りした塗料を押さえ具で一定方向に引き押さえて仕上げる水系多彩柄仕上材の施工方法(特許文献1)が提案されている。
ローラーの配り塗りの際の材料の塗布むら、塗継部分の継ぎむらも引き押さえることで均一に仕上がり、塗装時の塗料飛散も低減させることができる。
つまり、塗膜中の着色粒子の大きさやその集まり方などがそのまま仕上がりとなることである。
これは、引き押えすることで、仕上材に分散されている着色粒子が潰れ、引き方向に流れたようになることがある。又、着色粒子が潰れることで、その潰れ方により所望した意匠感にならない場合もある。
この引き押えには、技術が必要で容易に行うことが難しく、その塗装工程も複雑なものである。
これにより、容易に塗装用基板の略半球状の凹部を形成させることができ、多彩塗料や石材調塗料などの粒状色材の粒により構成された粒状色材含有塗料の粒状色材が固定されやすく、塗装用ローラーにより容易に塗装を行うことができ、その仕上がりも良好な塗装面を得ることができる。
また、下塗塗料の場合では、容易に塗装用基板の略半球状の凹部を形成させることができ、比較的大きな安定した凹部を形成させることができる。粒状色材含有塗料の場合では、その粒状色材の比較的大きなものも安定的に塗装することができる。
これにより、塗装ローラーによる塗り継ぎが目立ち難く良好な仕上がりとなる。
本開示の粒状色材含有塗料の塗装方法は、連続した略半球状の凹部が形成された塗装用基材に対して、塗装用ローラーを用いて粒状色材含有塗料を塗装する塗装方法であって、略半球状の直径より小さい粒径の粒状色材により構成された粒状色材含有塗料を塗装用ローラーにより塗装することである。
この粒状色材含有塗料は、ゲル状着色粒子を使った多彩塗料や有色骨材を使った石材調塗料などがあり、ゲル状着色粒子や有色骨材などの粒状色材と合成樹脂とを主成分とした塗料のことである。
この多彩塗料は、後述される石材調塗料に比べ、比較的薄膜で多彩感のある仕上がりになるため好ましく用いられる。
ゲル状着色粒子の形状は、球状に限らず、楕円形状,円盤状,円筒状,それらに類似した形のものや円形に近い不定形な略球状のものも含まれる。
このゲル状着色粒子の色や大きさの異なったゲル状着色粒子が複数混在した状態の塗膜に陰影感が生じ立体感のある意匠となり、鮮明な多彩模様と自然な風合いを有する優れたものとなる。
1500μmより大きい場合では、塗装時に塗装用ローラーが詰まり、塗装の斑を生じることがある。
60%より少ない場合では、多彩感が若干劣ることもあり、塗装による斑も発生することがあり良好な仕上がりを得ることができないことがある。
また、その塗膜の厚みは、20~500μmの範囲が好ましく、被塗物を十分に被覆することができ、耐候性に優れた塗装物を得ることができる。
有色骨材を使った石材調塗料とは、複数の有色骨材をクリヤー塗料などに分散させたものであり、形成された塗膜は、多彩塗料同様に、その粒子が塗膜中に粒状の形で存在した多彩感のある意匠を容易に得ることができるものである。
また、これら有色骨材に着色を施し、色を安定させた着色骨材もある。更に、ガラスを略球状にしたガラスビーズや合成樹脂を略球状にしたものなども含まれる。
有色骨材の粒度は、前記ゲル状着色粒子と同様で、後述する連続した略半球状の凹部の直径より小さいことが必要であり、この有色骨材を略半球状の凹部の中に入れ込み固定するものであって、その大きさの中でも、45~1500μmの範囲のものが好ましい。
このゲル状粒子や有色骨材を混合するクリヤー塗料などの合成樹脂は、粒状色材含有塗料の結合材であり、被塗布面と粒状色材含有塗料とを結合するものである。
この合成樹脂は、アクリル樹脂,ウレタン樹脂,塩化ビニル樹脂,シリコーン樹脂,酢酸ビニル樹脂,ポリエステル樹脂,スチレン樹脂,フッ素樹脂などの樹脂を単独又は共重合したもの,これら樹脂を有機溶媒に溶解させたもの,エマルションとして水に分散させたもの,が使用される。
合成樹脂エマルションは、乳化重合のような常用の重合技術で製造することができる、一般的なもので良く、塗料適性,塗膜の物性,入手の容易性などの点から、アクリル樹脂、スチレン樹脂より製造されたアクリル系合成樹脂エマルション及びアクリルスチレン系合成樹脂エマルションが好ましい。
高沸点溶剤は、造膜助剤や防凍剤として用いられ、界面活性剤は、分散剤,湿潤剤などとして用いられる。増粘剤は、粘度及び粘性調整のために用いられる。
このようなものにより粒状色材含有塗料は、構成される。
この連続した略半球状の凹部とは、図1に示したような形状のものがあり、壁板材の成型時に型により形状を形成することや切削などの加工により形成する場合などがある。
この略半球状の凹部は、ゲル状着色粒子や有色骨材などの粒状色材の大きさより大きいものである必要があり、これら粒状色材を凹部の中に入るようにし、この凹部の中で粒状色材を固定し、安定した意匠を実現するためのものである。
この略半球状の凹部を塗材により形成させる方法は、比較的粘度の高い塗料を塗装用スポンジローラーにより塗装することにより可能である。
また、その他に低沸点アルコール,高沸点溶剤,界面活性剤,増粘剤,難燃剤,pH調整剤,防腐剤等のような一般に塗料製造に配合されている添加成分が使用されることが多い。
この合成樹脂には、合成樹脂エマルションが多く用いられ、これをバインダーとする塗材が使われることが多い。
この合成樹脂エマルションは、粒状色材含有塗料と同様で、乳化重合のような常用の重合技術で製造することができる、一般的なもので良い。
また、フィラー成分を含有することにより比較的厚膜の略半球状の凹部のある下塗層を形成することができ、仕上がりがより良好なものとなる。
このフィラー成分の平均粒子径は、150μm以下のものが用いられることが多く、炭酸カルシウム,珪藻土,水酸化アルミニウムや珪砂が容易に入手することができるため好ましく用いられる。
これら白色顔料,体質顔料などの顔料の含有量は、塗材の顔料体積濃度(PVC)が、10~80%になる範囲が好ましく、30~70%の範囲がより好ましい。
そのため、この範囲内で必要に応じた顔料体積濃度を調整するが、30~70%の範囲に調整することで、より仕上がりが良好なものとなる。
この塗料に平均粒径25~800μmの範囲の骨材が含まれることが好ましい。これにより、より粒状色材が固定され易く、安定した仕上がりを得ることができる。
さらに、この塗料を使用することで、必要な色に調色することもでき、この略半球状の凹部が部分的に露出する場合もあるため、耐候性などの耐久性の優れたものを選択することも可能である。
塗装用スポンジローラーカバーは、円筒状部材と塗料保持層により構成される。
このように保持された塗料は、被塗装面に接し、塗装時の圧力により放出され、塗装することができる。
この塗装用スポンジローラーは、比較的多く含むことがでるので一度に塗る面積が広くなり、塗料保持層の弾力性のある空隙により下地に馴染み、効率的に作業することができる。
また、300mmより大きい場合では、扱い難いことがある。100~200mmの範囲のものであれば作業が行い易く、塗り継ぎが比較的少なくなるためより好ましいものである。
このように形成された略半球状の凹部を有する塗装基材の表面に上記記載の粒状色材含有塗料の塗装を塗装用ローラーにより行う。
この塗装用スポンジローラーは、粒状色材含有塗料を含めることができ、その塗料を略半球状の凹部に入り込み易く、粒状色材が引っ掛かり易く、塗装用ローラーが滑ることなく安定した回転により塗装することができ、安定した仕上がりにすることができる。
つまり、このスポンジの空隙による模様を利用して、粒状色材含有塗料を安定的な凹凸に塗装することができる。
このウールローラーは、毛丈,素材,サイズや形状などの異なったものが多様にあり、大きく分けると3種類に分類でき、円筒状部材の表面から毛先までの長さ(以下、毛足)で分類されている。
このウールローラーの中でも、中毛ローラーや凸凹のある塗装面でも毛足が長いので容易に塗装することができる長毛ローラーが用いられることが多い。
この被塗装面がタイル模様調で、タイル部と目地部が凹凸により形成され、そのタイル部の短辺が塗装用ローラーの長さより短いものである場合、塗装ローラーによる塗り継ぎが目立ち難く良好な仕上がりとなる。
これらにより構成される塗装方法を実施形態により詳細に説明する。
塗装対象であるコンクリート面には、養生などを行い、欠損部への補修やプライマー処理を事前に行った。
下塗塗料Aは、比較的粘度の高い、一般的に市販されている下地調整材に着色顔料を添加してグレー系の色のものを用いた。
この下塗塗料Aとは別に、グレー系の低粘度のフラット塗料を下塗塗料として用意した。これは、仕上がりの比較用とするためで、塗装対象面とは別に1m×1mのスレート板を用意し、そのスレート板にウールローラーにより塗布し、連続した略半球状の凹部を形成しないものを用意した。
これらは、白色顔料として酸化チタンを用い、炭酸カルシウムをフィラー成分とし、無機系のカーボンブラックを着色顔料として使って、グレー色に調色したものである。これら下塗塗料の顔料体積濃度(PVC)は、65%程度に調整したものであった。
これにより、略半球状の凹部の大きさが直径で3mm程度のものを形成した塗装基材を得ることができた。
これにより、ほぼフラットな塗装基材を得ることができた。
このゲル状着色粒子を使った多彩塗料1は、複数の近い不定形な略球状のゲル状着色粒子をアクリル樹脂エマルションのクリヤー塗料に分散させたものであった。
多彩塗料1の塗装に用いた塗装用ローラーカバーは、塗料保持層がスポンジ状の砂骨ローラーを用いた。この砂骨ローラーはスポンジの目が細かいものであった。その塗装用ローラーカバーをローラー器具に装着し塗装用ローラーとした。
上記で得られた塗装基材に対して、多彩塗料1の塗装を行った。
この塗装には、砂骨ローラーのスポンジの目が細かいものであったため、塗装後の表面には、このスポンジの空隙による模様ができ、小さめの凹凸に塗装することができた。この時の塗布量は、500g/m2程度であった。
下塗塗料Aに塗装したものは、その塗装基材の連続した略半球状の凹部の凹部に粒状色材であるゲル状粒子が入り込み、塗装に際してのゲル状粒子の動きが少なく、塗装用ローラーが滑ることなく安定した回転により、塗装することができ、安定した仕上がりとなった。
一方、下塗塗料に塗装したものは、塗装用ローラーが滑り、安定した回転で塗装することができないため、塗布量もバラつき、その仕上がりが良いものを得ることができなかった。
これは、多彩塗料1と下塗塗料Aがどちらもグレー系の色であり、その色差は、ΔE=3.2であったためである。
多彩塗料1の測定部分は、ベース色となるグレー部分の色について測定した。
基準とする多彩塗料1のベース色を測定し、対象となる下塗塗材の色を測定し、その色との色差(ΔE)を求める。
この色と下塗塗材で得られる塗膜の色とが近似(色差ΔE=5以下)に調整されることになる。
下塗塗料Aは、多彩塗料1の塗装前に被塗装面に塗布するもので、下塗塗料Aで得られる塗膜の色が多彩塗料1の塗膜の色と近似(色差ΔE=5以下)であるためである。
この塗装には、多彩塗料2と下塗塗料Bを用意した。これらの塗料は、クリーム系の色の塗料であった。
この多彩塗料2は、複数の近い不定形な略球状のゲル状着色粒子をアクリル樹脂エマルションのクリヤー塗料に分散させたものであった。
白色顔料として酸化チタンを用い、炭酸カルシウムをフィラー成分とし、無機系の着色顔料を使って、クリーム色に調色したものである。下塗塗材Bの顔料体積濃度(PVC)は、55%程度であった。
この砂骨ローラーはスポンジの目がやや細かいものを用い、下塗塗材Bでは、砂骨ローラーのスポンジの目がやや粗いものを用いた。
この塗装用ローラーカバーをローラー器具に装着し塗装用ローラーとした。これらの塗装用ローラーの塗料保持層の長さは、200mmで、その外径が直径で60mmのものであった。
この塗装基材に多彩塗料2の塗装を行った。この塗装には、砂骨ローラーのスポンジの目がやや細かいものであったため、塗装後の表面には、このスポンジの空隙による模様と下塗塗材Bにより形成された凹部にゲル状着色粒子が入り込み、その塗装面は、凹凸が強調された塗膜を得ることができた。
また、これも多彩塗料2を比較的多く含ませることができ、塗る面積が広くなり、スポンジの弾力性のある空隙が下塗塗材Bにより形成された塗膜に対してもよく馴染み、効率的に作業することができた。
また、このサイディングボードがタイル状模様で、そのタイル状模様のみに多彩塗料2を塗装したものであり、そのタイル状模様毎に塗装を行ったため、塗装に際しての塗り継ぎもなく仕上げることができた。
Claims (2)
- 顔料体積濃度(PVC)が10~80%の範囲であり、平均粒径25~800μmの範囲の骨材が含まれる下塗塗料により連続した略半球状の凹部が形成された塗装用基材に対して、粒状色材含有塗料を塗装用ローラーにより塗装する方法であって、
粒状色材含有塗料には、45~1500μmの範囲の粒状色材を含み、
略半球状の凹部の直径が45~1500μmの範囲より大きく、かつ、粒状色材より大きい、
塗装用基材の略半球状の凹部に粒状色材を固定する粒状色材含有塗料の塗装方法。 - 前記塗装用ローラーがスポンジ状のものである請求項1に記載の粒状色材含有塗料の塗装方法。
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