JP5374279B2 - 塗装方法 - Google Patents
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しかしながら、このような骨材を含む塗料では、吹付け塗装時に骨材のはね返りや飛び散りが発生しやすく、被塗面に骨材を確実に被着させることは困難である。すなわち、形成される斑点の密度を制御することが難しく、あまり実用的ではない。
当該上塗材として、アクリル樹脂エマルション(a)、及びかさ比重が0.01g/ml以上0.8g/ml以下、平均粒子径が0.01mm以上1mm以下であり、前記着色塗料とは異色である軽量着色粒子(b)を必須成分とし、前記アクリル樹脂エマルション(a)の固形分100重量部に対し、前記軽量着色粒子(b)を1重量部以上20重量部以下含有し、粘度が1〜8Pa・s、チクソトロピーインデックスが2.0以上4.5以下である上塗材を使用することを特徴とする塗装方法。
2.前記軽量着色粒子(b)のかさ比重が0.05g/ml以上0.4g/ml以下、平均粒子径が0.03mm以上0.3mm以下であることを特徴とする、1.に記載の塗装方法。
このうち結合材としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、アクリル酢酸ビニル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。合成樹脂としては、水分散性樹脂(樹脂エマルション)、水溶性樹脂等の水性樹脂が好適である。
本発明における上塗材は、合成樹脂エマルション(a)と特定の軽量着色粒子(b)を必須成分とするものである。本発明では、このような上塗材を使用することにより、安定した斑点模様を形成することができる。最終的な仕上り外観は、着色塗料の塗膜色を背景とし、その中に軽量着色粒子(b)による斑点模様が付されたものとなる。
これに対し、本発明では、斑点模様形成用粒子として特定の軽量着色粒子を使用するため、このような従来手法の問題を解決することができる。
(b)成分のかさ比重が0.8g/mlを超える場合は、塗装時における被塗面からのはね返り等を抑制することが困難となる。また、斑点模様の質感向上を図ることが困難となる。
(b)成分のかさ比重は、通常0.8g/ml以下、好ましくは0.01g/ml以上0.5g/ml以下、より好ましくは0.05g/ml以上0.4g/ml以下である。(b)成分のかさ比重がこのような範囲内であれば、上塗材中での(b)成分の分散均一性も高まり、本発明の効果発現の点で好適である。なお、本発明におけるかさ比重は、円筒容器に軽量着色粒子を供給し、容器内の軽量着色粒子のかさ変化が終了するまで上下振動(タッピング振動)を与えることによって測定される値である。
(b)成分の平均粒子径は、好ましくは0.02mm以上0.5mm以下、より0.03mm以上0.3mm以下である。
なお、本発明における平均粒子径は、最も安定な姿勢で水平面に置かれた粒子を上方から観察したときの長径の平均値である。平均厚みは、最も安定な姿勢で水平面に置かれた粒子を水平な面ではさんだときの面間隔の平均値である。
なお、本発明における異色とは、相互の色調が目視にて異色と認識できる程度のもののことを言う。通常その色差(△E)は5以上(好ましくは10以上、より好ましくは20以上)に設定すればよい。
発泡有機質粒子としては、発泡ゴム粒等が挙げられる。発泡ゴム粒は、例えば、各種ゴム成分と、加硫剤、顔料等との混合物を発泡させて得られる発泡ゴム体を破砕することにより得ることができる。ゴム成分としては、特に限定されず、例えば天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ハイスチレンゴム、アクリロニトリルゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム等が挙げられる。本発明では、発泡ゴム体の破砕品をそのまま用いることができるが、必要に応じ着色処理等を行うこともできる。
また、最終的な仕上り外観において着色塗料の塗膜色が視認可能であれば、上塗材には着色顔料等が含まれていてもよい。上塗材における着色顔料の比率は、好ましくは3重量%以下、より好ましくは1重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以下であり、着色顔料を含まない態様も好適である。なお、着色顔料の平均粒子径は、通常5μm以下(好ましくは2μm以下)程度である。
上塗材の粘度は、好ましくは0.5〜10Pa・s、より好ましくは1〜8Pa・sである。また、チクソトロピーインデックスは、好ましくは5.0以下、より好ましくは4.5以下である。チクソトロピーインデックスの下限は、通常1.0以上(好ましくは2.0以上)である。
なお、本発明における粘度は、BH型粘度計による20rpmにおける粘度(4回転目の指針値)を測定することにより求められる値である。チクソトロピーインデックス(TI)は、BH型粘度計を用い、下記式により求められる値である。いずれも測定温度は23℃である。
<式>TI=η1/η2
(式中、η1は2rpmにおける粘度(Pa・s:2回転目の指針値)。η2は20rpmにおける粘度(Pa・s:4回転目の指針値))
本発明では、上塗材の塗装後、必要に応じ透明塗料等を塗装することも可能である。
窯業系サイディングボートが複数枚併設された壁面を塗装対象の基材とした。窯業系サイディングボートとしては、格子状の目地模様(線状凹部の幅10mm、線状凹部の深さ5mm)が形成され、その表面にアクリル系塗料の旧塗膜を有するものを用いた。
この基材の全面に対し、褐色の着色塗料1を塗付量0.3kg/m2でスプレー塗装した。次いで、24時間養生後、下記上塗材1を塗付量0.3kg/m2でスプレー塗装し、24時間養生した。このときの塗装作業性及び仕上り性を確認した。なお、以上の工程はすべて標準状態(気温23℃、相対湿度50%)下で行った。
塗装作業性については、粒子のはね返りが少ないものを「A」、はね返りが多いものを「D」とする4段階(優:A>B>C>D:劣)で評価した。また、仕上り性については、良好な斑点模様が形成されたものを「A」、斑点のムラ、凹凸等が目立つ仕上りとなったものを「D」とする4段階(優:A>B>C>D:劣)で評価した。結果を表1に示す。
アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%)200重量部に対し、黒色のゴム粒1(かさ比重0.22g/ml、平均粒子径0.20mm、平均粒子径/平均厚み=1.2)を4重量部、粘性調整剤1(エチレンオキシドウレタンブロックコポリマー、固形分20重量%)を1重量部混合し、さらに水を混合して粘度を3.6Pa・s、チクソトロピーインデックスを4.0に調製した上塗材1を得た。ゴム粒1と上記着色塗料1との色差は38であった。
上塗材1に替えて下記上塗材2を使用した以外は、試験例1と同様の方法で試験を行った。
アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%)200重量部に対し、黒色のゴム粒2(かさ比重0.31g/ml、平均粒子径0.25mm、平均粒子径/平均厚み=1.2)を6重量部、粘性調整剤1を1重量部混合し、さらに水を混合して粘度を4.2Pa・s、チクソトロピーインデックスを3.8に調製した上塗材2を得た。ゴム粒2と上記着色塗料1との色差は35であった。
上塗材1に替えて下記上塗材3を使用した以外は、試験例1と同様の方法で試験を行った。
アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%)200重量部に対し、黒色のゴム粒3(かさ比重0.14g/ml、平均粒子径0.25mm、平均粒子径/平均厚み=1.3)を3重量部、粘性調整剤1を1重量部混合し、さらに水を混合して粘度を4.0Pa・s、チクソトロピーインデックスを3.9に調製した上塗材3を得た。ゴム粒3と上記着色塗料1との色差は38であった。
上塗材1に替えて下記上塗材4を使用した以外は、試験例1と同様の方法で試験を行った。
アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%)200重量部に対し、黒色の樹脂粒1(かさ比重0.69g/ml、平均粒子径0.15mm、平均粒子径/平均厚み=1.0)を10重量部、粘性調整剤1を1重量部混合し、さらに水を混合して粘度を5.3Pa・s、チクソトロピーインデックスを4.0に調製した上塗材4を得た。樹脂粒1と上記着色塗料1との色差は33であった。
上塗材1に替えて下記上塗材5を使用した以外は、試験例1と同様の方法で試験を行った。
アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%)200重量部に対し、黒色のゴム粒4(かさ比重0.53g/ml、平均粒子径0.25mm、平均粒子径/平均厚み=1.4)を10重量部、粘性調整剤1を1重量部混合し、さらに水を混合して粘度を4.1Pa・s、チクソトロピーインデックスを4.2に調製した上塗材5を得た。ゴム粒4と上記着色塗料1との色差は39であった。
上塗材1に替えて下記上塗材6を使用した以外は、試験例1と同様の方法で試験を行った。
アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%)200重量部に対し、黒色のゴム粒4(かさ比重0.53g/ml、平均粒子径0.25mm、平均粒子径/平均厚み=1.4)を4重量部、粘性調整剤2(セルロース系粘性調整剤、固形分3重量%)を4重量部混合し、さらに水を混合して粘度を3.8Pa・s、チクソトロピーインデックスを6.4に調製した上塗材6を得た。ゴム粒4と上記着色塗料1との色差は39であった。
上塗材1に替えて下記上塗材7を使用した以外は、試験例1と同様の方法で試験を行った。
アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%)200重量部に対し、黒色のゴム粒5(かさ比重0.28g/ml、平均粒子径1.2mm、平均粒子径/平均厚み=1.3)を8重量部、粘性調整剤1を1重量部混合し、さらに水を混合して粘度を3.7Pa・s、チクソトロピーインデックスを3.8に調製して、上塗材7を得た。ゴム粒5と上記着色塗料1との色差は40であった。
上塗材1に替えて下記上塗材8を使用した以外は、試験例1と同様の方法で試験を行った。
アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%)200重量部に対し、黒色の着色珪砂(かさ密度1.2g/ml、平均粒子径0.25mm、平均粒子径/平均厚み=1.2)を20重量部、粘性調整剤1を1重量部混合し、さらに水を混合して粘度を4.0Pa・s、チクソトロピーインデックスを4.1に調製した上塗材8を得た。着色珪砂と上記着色塗料1との色差は38であった。
上塗材1に替えて下記上塗材9を使用した以外は、試験例1と同様の方法で試験を行った。
アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%)200重量部に対し、黒色の鱗片状樹脂片(かさ密度0.73g/ml、平均粒子径1.2mm、平均粒子径/平均厚み=25)を10重量部、粘性調整剤1を1重量部混合し、さらに水を混合して粘度を4.5Pa・s、チクソトロピーインデックスを3.9に調製した上塗材9を得た。鱗片状樹脂片と上記着色塗料1との色差は32であった。
Claims (2)
- 壁面に対し着色塗料を塗装した後、上塗材を吹付け塗装する塗装方法であって、
当該上塗材として、アクリル樹脂エマルション(a)、及びかさ比重が0.01g/ml以上0.8g/ml以下、平均粒子径が0.01mm以上1mm以下であり、前記着色塗料とは異色である軽量着色粒子(b)を必須成分とし、前記アクリル樹脂エマルション(a)の固形分100重量部に対し、前記軽量着色粒子(b)を1重量部以上20重量部以下含有し、粘度が1〜8Pa・s、チクソトロピーインデックスが2.0以上4.5以下である上塗材を使用することを特徴とする塗装方法。 - 前記軽量着色粒子(b)のかさ比重が0.05g/ml以上0.4g/ml以下、平均粒子径が0.03mm以上0.3mm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の塗装方法。
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