JP6630645B2 - 意匠塗膜の形成方法および意匠化粧板の製造方法 - Google Patents

意匠塗膜の形成方法および意匠化粧板の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6630645B2
JP6630645B2 JP2016151434A JP2016151434A JP6630645B2 JP 6630645 B2 JP6630645 B2 JP 6630645B2 JP 2016151434 A JP2016151434 A JP 2016151434A JP 2016151434 A JP2016151434 A JP 2016151434A JP 6630645 B2 JP6630645 B2 JP 6630645B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
composition
undercoat
topcoat
forming
dry film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016151434A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018020266A (ja
Inventor
信生 垣本
信生 垣本
将大 岡部
将大 岡部
智大 酒井
智大 酒井
Original Assignee
日本ペイント・インダストリアルコ−ティングス株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 日本ペイント・インダストリアルコ−ティングス株式会社 filed Critical 日本ペイント・インダストリアルコ−ティングス株式会社
Priority to JP2016151434A priority Critical patent/JP6630645B2/ja
Publication of JP2018020266A publication Critical patent/JP2018020266A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6630645B2 publication Critical patent/JP6630645B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Finishing Walls (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Description

本発明は、意匠塗膜の形成方法および意匠化粧板の製造方法に関する。
住宅などの建造物の外壁などに用いられる建築材料(建材)には、住宅購入者および利用者などの好みに応じた、多彩な色彩および意匠性が求められている。そして近年のユニット工法の発展に伴い、生産時に建材を製造ラインで予め塗装し、塗装した建築材料を施工現場に移送し組み立てる、いわゆるプレハブ工法化が進んでいる。
このようなプレハブ工法で仕上げる場合において、住宅の外壁などには、建材(サイディング)が広く用いられている。この建材は、従来のモルタル壁などと比べて工期が短くそして地震被害が少ないこと、優れた耐火性を有すること、様々な住宅外壁意匠を提供できることなど、種々の利点を有している。このような建材(サイディング)の一例として、例えば、セメント、ケイ酸質原料、繊維質原料、混和材料などを用いて板状に成型し、乾燥(養生・硬化)させることによって製造される、JIS A 5422に規定された窯業建材(窯業系サイディング)が挙げられる。このような建材は、一般に、その表面に、耐水性、耐透水性などを向上させることを目的としたシーラー層を設けた後、所望の意匠および着色などを付与した塗装を施し、さらに、建材の耐候性および耐湿性などを向上させる塗装が施される。
建材が呈する意匠は、住宅などの建築物の美観および外観を大きく左右することとなる。そのため、建材の意匠を設ける方法について様々な検討が行われている。例えば、特開2004−211498号公報(特許文献1)は、複数の凸部を形成してなる凹凸模様を有する原板の意匠表面に、下側塗料層および上側塗料層を順次設けてなる建築板において、上記複数の凸部は、その頂点部に略平坦面を形成してなる平坦凸部と、その頂点部に尖り端部を形成してなる尖り凸部とを有しており、上記略平坦面には、上記下側塗料層が露出した露出表面が形成されていると共に、上記尖り端部には、上記下側塗料層の表面を上記上側塗料層が覆った被覆表面が形成されていることを特徴とする建築板について記載する。この建築板は、凹凸模様の凸部だけにおいても異なる色彩または色調等の色外観を呈することができ、より複雑な意匠外観を呈することができると記載される。
また、特開2004−122052号公報(特許文献2)は、(1)予め下塗り塗料を塗装した基材表面に該下塗り塗料とは、異なる色調の上塗り塗料を塗装することによって、上塗り塗膜を形成する工程、(2)該上塗り塗膜が乾燥する前に、該上塗り塗膜の表面の一部分、または、該上塗り塗膜の表面の一部分および該上塗り塗膜の一部分を、表面に凹凸を有する塗装ローラーで掻き取ることによって、掻き取り模様を形成する工程、を有することを特徴とする意匠性塗膜の形成方法について記載する。この形成方法によって、従来にない優れた意匠性塗膜(例えば、複雑なエンボス柄模様)を形成することができると記載される。これに対して本発明における意匠の目的は、表面に凹凸を有する塗装ローラーで掻き取ることによって形成される、塗装ローラー表面の有する凹凸に由来する掻き取り模様を基材表面に設けることではない。
特開2004−211498号公報 特開2004−122052号公報
本発明の目的とするところは、意匠性に優れた意匠塗膜の形成方法および意匠化粧板の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明は下記態様を提供する。
[1]
表面に凹凸を有する基材の凹凸面に下塗り塗料組成物を塗装し、次いで乾燥させて、下塗り乾燥塗膜を形成する、下塗り乾燥塗膜形成工程、
上記下塗り乾燥塗膜の上に、上塗り塗料組成物を塗装して、上塗り塗膜層を形成する、上塗り塗膜層形成工程、
上記塗装した上塗り塗料組成物の乾燥が終了する前に、上記上塗り塗膜層の表面の一部分、または上記上塗り塗膜層の表面の一部分および上記上塗り塗膜層の一部分を、略円筒状ローラーで掻き取る、掻き取り工程、および
上記掻き取り工程において下塗り乾燥塗膜上に残存した上塗り塗料組成物を乾燥させる、上塗り塗料組成物乾燥工程、
を包含する、意匠塗膜の形成方法であって、
上記略円筒状ローラーは、複数の溝を有し、
上記溝の幅は0.01〜3.0mmであり、隣接する溝と溝との間の距離が0.01〜10.0mmであり、
上記下塗り塗料組成物および上塗り塗料組成物は、それらの色調または色相のうち少なくとも1種が相違する、
意匠塗膜の形成方法。
[2]
上記略円筒状ローラーが有する複数の溝は、ローラーの略円周方向に沿って形成されている、意匠塗膜の形成方法。
[3]
上記溝は、深さが0.01〜3.0mmである、意匠塗膜の形成方法。
[4]
上記下塗り塗料組成物は、アニオン性水性樹脂分散体および顔料を含む、水性下塗り塗料組成物であり、
上記上塗り塗料組成物は、アニオン性水性樹脂分散体、沸点が100〜300℃である有機溶媒および顔料を含む、水性上塗り塗料組成物である、
意匠塗膜の形成方法。
[5]
上記上塗り塗膜層形成工程において基材の凹凸面に塗装される上塗り塗料組成物の量は、20〜200g/mである、意匠塗膜の形成方法。
[6]
上記上塗り塗料組成物は、25℃における粘度が100〜2,000mPa・sである、意匠塗膜の形成方法。
[7]
表面に凹凸を有する基材の凹凸面に下塗り塗料組成物を塗装し、次いで乾燥させて、下塗り乾燥塗膜を形成する、下塗り乾燥塗膜形成工程、
上記下塗り乾燥塗膜の上に、上塗り塗料組成物を塗装して、上塗り塗膜層を形成する、上塗り塗膜層形成工程、
上記塗装した上塗り塗料組成物の乾燥が終了する前に、上記上塗り塗膜層の表面の一部分、または上記上塗り塗膜層の表面の一部分および上記上塗り塗膜層の一部分を、略円筒状ローラーで掻き取る、掻き取り工程、および
上記掻き取り工程において下塗り乾燥塗膜上に残存した上塗り塗料組成物を乾燥させる、上塗り塗料組成物乾燥工程、
を包含する、意匠化粧板の製造方法であって、
上記略円筒状ローラーは、複数の溝を有し、
上記溝の幅は0.01〜3.0mmであり、隣接する溝と溝との間の距離が0.01〜10.0mmであり、
上記下塗り塗料組成物および上塗り塗料組成物は、それらの色調または色相のうち少なくとも1種が相違する、
意匠化粧板の製造方法。
本発明の方法によれば、意匠性に優れた意匠塗膜を形成することができる。本発明の方法によって形成される意匠塗膜は、基材の凹凸面において、色調および/または色相がより連続的に変化していることから、意匠が呈する奥行き感、立体感が豊かであり、より自然な外観を呈することができる。
本発明の意匠塗膜の形成方法における掻き取り工程を説明する、概略説明図である。 掻き取り工程で用いる略円筒状ローラーの複数の溝について説明する、概略断面説明図である。 掻き取り工程で用いる略円筒状ローラーについて説明する、概略斜視説明図である。 実施例1および比較例1によって得られた意匠塗膜の写真である。 実施例1によって得られた意匠塗膜の一部分を拡大した写真である。 比較例1によって得られた意匠塗膜の一部分を拡大した写真である。
まず、本発明に至った経緯を説明する。上記特許文献1は、凹凸模様を有する原板に対して下側塗料層および上側塗料層を順次設けた建築板について記載し(請求項1)、さらに、上側塗料層を形成するための塗料を塗布した後に塗料が乾燥する前に、略平坦面および尖り端部のいずれに対しても掻取り具を接触させ、略平坦面に塗布された塗料を掻き取ることにより形成した建築板について記載する(請求項3)。本発明者らは、表面に凹凸を有する基材の凹凸面に下塗り塗料組成物および上塗り塗料組成物を塗装して、ローラーで上塗り塗料組成物を掻き取ったところ、凸部平坦部に塗装された上塗り塗料組成物の一部が、凸部平坦部にすじ跡状に残ってしまい、十分に掻き取ることができないことを、実験により見いだした。上塗り塗料組成物が凸部平坦部にすじ跡状に残ると、特に下塗り塗料組成物および上塗り塗料組成物の色相が異なる場合においては、得られる意匠の審美性が劣ることとなる。
本発明者らは、特に、凸部平坦部に塗装された上塗り塗料組成物をより良好に掻き取ることができる方法を見いだすため、種々の検討を行った。その中で、上塗り塗料組成物を掻き取るローラーの表面に、特定の幅を有する溝を、特定のピッチ(間隔)で設けることによって、凸部平坦部に塗装された上塗り塗料組成物をより良好に掻き取ることができることを実験により見いだし、本発明を完成するに至った。
本発明の意匠塗膜の形成方法は、下記工程:
表面に凹凸を有する基材の凹凸面に下塗り塗料組成物を塗装し、次いで乾燥させて、下塗り乾燥塗膜を形成する、下塗り乾燥塗膜形成工程、
上記下塗り乾燥塗膜の上に、上塗り塗料組成物を塗装して、上塗り塗膜層を形成する、上塗り塗膜層形成工程、
上記塗装した上塗り塗料組成物の乾燥が終了する前に、上記上塗り塗膜層の表面の一部分、または上記上塗り塗膜層の表面の一部分および上記上塗り塗膜層の一部分を、略円筒状ローラーで掻き取る、掻き取り工程、および
上記掻き取り工程において下塗り乾燥塗膜上に残存した上塗り塗料組成物を乾燥させる、上塗り塗料組成物乾燥工程、
を包含する。ここで、上記略円筒状ローラーは複数の溝を有し、上記溝の幅は0.01〜3.0mmであり、隣接する溝と溝との間の距離が0.01〜10.0mmである。また、上記下塗り塗料組成物および上塗り塗料組成物は、それらの色調または色相のうち少なくとも1種が相違する。
下塗り塗料組成物
本発明における下塗り塗料組成物として、アニオン性水性樹脂分散体および顔料を含む水性下塗り塗料組成物を用いるのが好ましい。アニオン性水性樹脂分散体は、塗膜形成樹脂成分である。アニオン性水性樹脂分散体として、例えば、アクリル樹脂エマルション、シリコーン含有アクリル樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション、酢酸ビニル樹脂エマルション、フッ素樹脂エマルション、塩化ビニル樹脂エマルションなどを用いることができる。これらの樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。アニオン性水性樹脂分散体としては、アクリル樹脂エマルションまたはシリコーン含有アクリル樹脂エマルションを用いるのが好ましい。
アニオン性水性樹脂分散体は、酸価が5〜30mgKOH/gであるのが好ましく、5〜20mgKOH/gであるのがより好ましい。なお、本明細書において、酸価は固形分酸価を表し、JIS K 0070に記載される公知の方法によって測定することができる。
アニオン性水性樹脂分散体として用いられるアクリル樹脂エマルションとして、例えば、各種重合性単量体の重合によって得られるアクリル樹脂のエマルションなどが挙げられる。上記重合性単量体とは、分子中にビニル基等の不飽和結合を少なくとも1つ有するものをいい、アクリル酸やメタクリル酸の誘導体を含む。上記重合性単量体としては、特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のエチレン系不飽和カルボン酸単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等のエチレン系不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体;(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等のシクロアルキル基含有重合性単量体;マレイン酸エチル、マレイン酸ブチル、イタコン酸エチル、イタコン酸ブチル等のエチレン系不飽和ジカルボン酸のモノエステル単量体;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルとε−カプロラクトンとの反応物等のヒドロキシル基含有エチレン系不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ブチルアミノエチル等のエチレン系不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル単量体;アミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のエチレン系不飽和カルボン酸アミノアルキルアミド単量体;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、メトキシブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のその他のアミド基含有エチレン系不飽和カルボン酸単量体;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等の不飽和脂肪酸グリシジルエステル単量体;(メタ)アクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の飽和脂肪族カルボン酸ビニルエステル単量体;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系単量体等を挙げることができる。これらは1種類または2種類以上を混合して使用することができる。なお本明細書中で(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸またはメタクリル酸を指す。このようなアクリル樹脂エマルションを用いることによって、被塗物である基材との良好な密着性、および良好な耐候性を得ることができ、好ましい。
上記アクリル樹脂エマルションは、コア部とシェル部とからなる多層構造粒子が分散されてなる重合体水性分散体を形成するものであってもよい。上記多層構造粒子は、コア部を形成する樹脂がガラス転移温度−70〜35℃であるアクリル重合体であり、シェル部を形成する樹脂がガラス転移温度25〜80℃であるアクリル重合体であることが好ましい。このような多層構造粒子が分散されてなる重合体水性分散体は、例えば、特開2002−12816号公報に記載された公知の製造方法によって調製することができる。
上記アクリル重合体のガラス転移温度は、構成する単量体またはホモポリマーの既知のガラス転移温度および組成比に基づいて算出することができる。
上記アクリル樹脂エマルションは、粒子径が20〜500nmであるのが好ましく、50〜200nmであるのがより好ましい。上記粒子径が上記範囲内であることにより、アクリル樹脂エマルションの貯蔵安定性が確保でき、かつ塗料粘度を塗装作業性が良好な範囲に調整することができる。なお、本明細書中において、粒子径とは、動的光散乱法によって決定される平均粒子径であり、具体的には、電気泳動光散乱光度計ELS−800(大塚電子社製)などを使用して測定することができる。
シリコーン含有アクリル樹脂エマルションは、例えば、上記重合性単量体に加えて、アルコキシシリル基含有重合性単量体をさらに含有する単量体組成物の重合によって得られる重合体などを挙げることができる。
上記アルコキシシリル基含有重合性単量体は、炭素数1〜14のアルコキシシリル基を含有する重合性単量体であれば特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸トリエトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸トリブトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸ジメトキシメチルシリルプロピル、(メタ)アクリル酸メトキシジメチルシリルプロピル、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルジメトキシメチルシラン、ビニルメトキシジメチルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シランなどを挙げることができる。これらは1種類または2種類以上を混合して使用することができる。これらのうち、特に、(メタ)アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸トリエトキシシリルプロピル、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどを挙げることができる。
さらに、シリコーン含有アクリル樹脂エマルションは、有機シリコーン単位を導入してもよい。有機シリコーン単位を導入する方法としては、有機シリコーン化合物およびアクリル重合性単量体の混合物を乳化重合し加水分解、縮合反応およびラジカル重合を行う方法、シリコーン官能基を有する単量体を共重合する方法、アクリル重合体に対して有機シリコーン化合物を反応させることにより、アクリル重合体粒子表面に有機シリコーン化合物を結合させる方法等が挙げられる。上記の2以上の方法を組み合わせるものであってもよい。
上記方法で使用する有機シリコーン化合物としては、特に限定されず、例えば、オルガノシラン、オルガノシランの加水分解物、オルガノシランの縮合物を挙げることができる。
上記オルガノシランは、一般に、下記一般式(1)
(RSi(OR4−n ・・・(1)
[式中、Rは、2個存在するときは同一または異なり、炭素数1〜8の1価の有機基を示す。Rは、同一または異なり、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜6のアシル基を示す。nは0〜2の整数である。]
で表される。
上記オルガノシランの加水分解物は、上記一般式(1)で表されるオルガノシランのOR基が加水分解されている化合物である。上記オルガノシランに2〜4個含まれるOR基がすべて加水分解されている必要はなく、例えば、1個だけが加水分解されているもの、2個以上が加水分解されているもの、あるいはこれらの混合物であってもよい。
上記オルガノシランの縮合物は、オルガノシランの加水分解物のシラノール基が縮合してSi−O−Si結合を形成したものである。上記有機シリコーン化合物は、シラノール基がすべて縮合しているものの他、僅かな一部のシラノール基が縮合したもの、縮合の程度が異なっているものの混合物等であってもよい。
一般式(1)において、Rの炭素数1〜8の1価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等のアルキル基;アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ベンゾイル基、トリオイル基、カプロイル基等のアシル基;ビニル基、アリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、エポキシ基、グリシジル基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アミド基、フルオロアセトアミド基、イソシアナート基等のほか、これらの基の置換誘導体等を挙げることができる。
の置換誘導体における置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のアミノ基、水酸基、メルカプト基、イソシアナート基、グリシドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アンモニウム塩基等を挙げることができる。ただし、これらの置換誘導体からなるRの炭素数は、置換基中の炭素原子を含めて8以下である。一般式(1)中に、Rが2個存在するときは、相互に同一でも異なってもよい。
また、Rの炭素数1〜5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基等を挙げることができ、炭素数1〜6のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、カプロイル基等を挙げることができる。一般式(1)中に複数個存在するRは、相互に同一でも異なってもよい。
上記オルガノシランとしては、特に限定されず、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、iso−プロピルトリメトキシシラン、iso−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−iso−プロピルジメトキシシラン、ジ−iso−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ペンチルジメトキシシラン、ジ−n−ペンチルジエトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジエトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジメトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジエトキシシラン、ジ−n−オクチルジメトキシシラン、ジ−n−オクチルジエトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等のジアルコキシシラン類のほか、メチルトリアセチルオキシシラン、ジメチルジアセチルオキシシラン等を挙げることができる。
これらのうち、好ましく用いられるのは、トリアルコキシシラン類、ジアルコキシシラン類であり、また、トリアルコキシシラン類としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランが好ましく、さらに、ジアルコキシシラン類としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランが好ましい。
その他、アニオン性水性樹脂分散体としては、当業者において通常用いられる、ウレタン樹脂エマルション、酢酸ビニル樹脂エマルション、フッ素樹脂エマルション、塩化ビニル樹脂エマルションなどを用いてもよい。
アニオン性水性樹脂分散体は、下塗り塗料組成物の樹脂固形分量が10〜50質量%となる量で用いるのが好ましく、15〜35質量%となる量で用いるのがさらに好ましい。
顔料としては、特に限定されず、例えば、アゾキレート系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、モノアゾ系顔料、ジスアゾ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ系顔料、チオインジゴ系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ナフトール系顔料、ピラゾロン系顔料、アントラキノン系顔料、アンソラピリミジン系顔料、金属錯体顔料などの有機系着色顔料;黄鉛、黄色酸化鉄、酸化クロム、モリブデートオレンジ、ベンガラ、チタンイエロー、亜鉛華、カーボンブラック、二酸化チタン、コバルトグリーン、フタロシアニングリーン、群青、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、コバルトバイオレットなどの無機系着色顔料;マイカ顔料(二酸化チタン被覆マイカ、着色マイカ、金属メッキマイカ);グラファイト顔料、アルミナフレーク顔料、金属チタンフレーク、ステンレスフレーク、板状酸化鉄、フタロシアニンフレーク、金属メッキガラスフレーク、その他の着色、有色偏平顔料;酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、珪酸マグネシウム、クレー、タルク、シリカ、焼成カオリンの体質顔料などを挙げることができる。
下塗り塗料組成物に含まれる顔料の量は、下塗り塗料組成物の固形分に対する顔料質量濃度(PWC)が5〜70質量%の範囲内であることが好ましい。PWCが上記範囲であることによって、良好な下地隠蔽性、耐候性などが得られる利点がある。下塗り塗料組成物における顔料質量濃度(PWC)は、20〜60質量%であることがより好ましい。
本発明における下塗り塗料組成物は、必要に応じて他の成分を含んでもよい。他の成分として、例えば、意匠材料(砂、硅砂、カラーサンド、ビーズ、カラーチップ、鉱物チップ、ガラスチップ、木質チップおよびカラービーズなど)、造膜助剤、粘性調整剤、表面調整剤、防腐剤、防かび剤、消泡剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、pH調整剤などが挙げられる。また、本発明における下塗り塗料組成物は、下記する上塗り塗料組成物に含まれる、沸点が100〜300℃である有機溶媒を含んでもよい。
下塗り塗料組成物の調製法としては特に限定されず、上述した各成分を、攪拌機などにより攪拌することによって調製することができる。下塗り塗料組成物の調製は、通常用いられる攪拌機、サンドグラインドミルなどを用いて行うことができる。
上塗り塗料組成物
本発明における上塗り塗料組成物として、アニオン性水性樹脂分散体、沸点が100〜300℃である有機溶媒および顔料を含む、水性上塗り塗料組成物を用いるのが好ましい。上記水性上塗り塗料組成物に含まれるアニオン性水性樹脂分散体として、上記水性下塗り塗料組成物に含まれるアニオン性水性樹脂分散体を好適に用いることができる。
上塗り塗料組成物に含まれる顔料の量は、上塗り塗料組成物の固形分に対する顔料質量濃度(PWC)が1〜70質量%の範囲内であることが好ましく、1〜60質量%であることがより好ましい。PWCが上記範囲であることによって、良好な耐候性などが得られる利点がある。さらに、上塗り塗料組成物のPWCを1〜20質量%の範囲内とすることによって、より高意匠な塗膜を得ることができるという利点がある。
上記沸点が100〜300℃である有機溶媒は、いわゆる高沸点有機溶媒といわれる有機溶媒である。沸点が100〜300℃である有機溶媒として、例えば、エチレングリコールモノブチルエーテル(沸点171℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点230℃)、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(沸点192℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(沸点247℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点193℃)、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオールモノイソブチラート(慣用名テキサノール、沸点244℃)などの、グリコールエーテル類およびグリコールエーテルアセテート類などが挙げられる。
沸点が100〜300℃である有機溶媒の量は、上塗り塗料組成物の樹脂固形分に対して2〜20質量%の範囲内であるのが好ましい。沸点が100〜300℃である有機溶媒を上記範囲内の量で用いることによって、上塗り塗膜層の一部分の掻き取りを良好に行うことができる利点がある。
上塗り塗料組成物の調製法としては特に限定されず、上述した各成分を、攪拌機などにより攪拌することによって調製することができる。上塗り塗料組成物の調製は、通常用いられる攪拌機、サンドグラインドミルなどを用いて行うことができる。
上記上塗り塗料組成物は、25℃における粘度が100〜2,000mPa・sであるのが好ましい。上塗り塗料組成物の粘度が上記範囲内であることによって、掻き取り工程において、上塗り塗膜層の一部を良好に掻き取ることができる利点がある。なお、上塗り塗料組成物の粘度は、塗料組成物を25℃条件下に保持した後、B型粘度計(単一円筒形回転式粘度計)における回転数60rpmでの粘度を用いた。
上塗り塗料組成物は、塗料組成物のチクソ係数(チクソトロピーインデックス(TI)とも言われる)が2.0〜8.0の範囲内であるのが好ましく、3.0〜7.0の範囲内であるのが好ましい。ここで、チクソ係数(TI)とは、揺変性を示す指標であり、一旦攪拌すると低粘度状態となり、これを放置すると再び高粘度状態に戻る性質を示すパラメータである。これは、塗料組成物に対して、せん断力、振とう力などの外力を加えることによって流動性が高くなり低粘度状態となる一方で、流動性が高くなった組成物をその後に静置すると、各成分間の結合力(疑似結合力も含む)が再現し、再び高粘度状態に戻るためである。チクソ係数(TI)は、JIS K 5400.4.5.3の参考試験、回転粘度計による非ニュートン性の評価に準拠した方法により測定することができる。
本明細書において、チクソ係数(TI)は、B型粘度計を用いて、25℃における回転数6rpmでの粘度と回転数60rpmでの粘度の比で表す。
TI=ηN1/ηN2
ηN1:回転数6rpmにおける粘度
ηN2:回転数60rpmにおける粘度
チクソ係数(TI)は、1に近いほど塗料がニュートン流動性に近いことを意味し、1を超えてこの値が大きい程、塗料のチクソ性が強いこととなる。本発明における上塗り塗料組成物は、チクソ係数(TI)が2.0〜8.0の範囲内であることによって、掻き取り工程において、基材の凸部分の塗料組成物を良好に掻き取ることができる一方で、凹部分に存在する塗料組成物を適切量残存させることができ好ましい。
本発明の方法においては、下塗り塗料組成物および上塗り塗料組成物は、それらの色調または色相のうち少なくとも1種が相違することを条件とする。すなわち本発明においては、下塗り塗料組成物および上塗り塗料組成物は、色調および色相の両方が一致する塗料組成物は用いられない。
本明細書において「色調」とは、明度および彩度に関する色系統をいう。本明細書において明度および彩度は、マンセル表色系における明度および彩度を意味する。
本明細書において「色相」とは、マンセル表色系の色相環の色配置における色系統をいう。本明細書において、2種の塗料組成物において「色相が一致する」とは、得られる塗膜が、マンセル表色系の色相環の色配置において同系色の色相と分類される状態を意味する。
マンセル表色系とは、色の3属性に基づいた色彩を表現する体系(表色系)の一種である。なおマンセル表色系は、JIS Z 8721(3属性による色の表示方法)として規格化されている。ここで3属性とは、色相、明度および彩度の3つを意味する。3属性のうち「色相」とは、色の種類を表すものである。この色相では、色を、赤(R)、黄(Y)、緑(G)、青(B)、紫(P)の基本の5色、そしてそれぞれの中間色である黄赤(YR)、黄緑(GY)、青緑(BG)、青紫(PB)、赤紫(RP)を加えた、合計10色に分割する。そしてこれらの色をさらに10で分割し、計100色相で色の種類を表現する。この100色相に分割した色を順番に並べたものを色相環という。本明細書における「色相が一致する」とは、同色の色相と分類される状態を意味し、より具体的には、マンセル表色系にて100色相に分割された色において、同じ色相として判断される色相を意味する。
下塗り塗料組成物および上塗り塗料組成物の色調および色相の調整は、上記着色顔料の種類および量を選択することによって行うことができる。
意匠塗膜の形成方法
本発明の意匠塗膜の形成方法は、下記工程を包含する:
表面に凹凸を有する基材の凹凸面に下塗り塗料組成物を塗装し、次いで乾燥させて、下塗り乾燥塗膜を形成する、下塗り乾燥塗膜形成工程、
上記下塗り乾燥塗膜の上に、上塗り塗料組成物を塗装して、上塗り塗膜層を形成する、上塗り塗膜層形成工程、
上記塗装した上塗り塗料組成物の乾燥が終了する前に、上記上塗り塗膜層の表面の一部分、または上記上塗り塗膜層の表面の一部分および上記上塗り塗膜層の一部分を、略円筒状ローラーで掻き取る、掻き取り工程、および
上記掻き取り工程において下塗り乾燥塗膜上に残存した上塗り塗料組成物を乾燥させる、上塗り塗料組成物乾燥工程。
下塗り乾燥塗膜形成工程
下塗り乾燥塗膜形成工程は、表面に凹凸を有する基材の凹凸面に、下塗り塗料組成物を塗装し、次いで乾燥させて、下塗り乾燥塗膜を形成する工程である。
基材
本発明の方法において用いられる基材として、例えば、サイディングおよびスレート材などが挙げられる。サイディングとして、例えば、窯業系サイディング(窯業建材)、金属系サイディングなどが挙げられる。窯業系サイディング(窯業建材)は、セメント、ケイ酸質原料、繊維質原料、混和材料などを用いて板状に成型し、乾燥(養生・硬化)させることによって製造される、JIS A 5422に規定された建材などである。金属系サイディングは、成型・エンボス加工された金属板と裏打材によって構成される、JIS A 6711に規定された建材などである。スレート材は、JIS A 5423によって規定される化粧スレートなどである。基材としてさらに、硬質木質セメント板、押出成型セメント板および軽量発泡コンクリートなどのセメント板を用いることもできる。
本発明の方法において用いられる基材として、表面に凹凸を有する基材が用いられる。基材の表面が凹凸を有することによって、掻き取り工程で上塗り塗膜層が掻き取られる部分と、上塗り塗料組成物が残存する部分とが得られることとなる。そして本発明の方法によって形成される意匠塗膜は、基材の凹凸面において、色調および/または色相がより連続的に変化していることから、意匠が呈する奥行き感、立体感が豊かであるという利点がある。
基材の凹凸面の1実施態様として、例えば、凸部および凹部の高さの差が0.1〜6.0mmである態様が挙げられる。
上記基材は、下塗り乾燥塗膜との密着性および/または防水性付与の点などから、シーラー塗膜を備えていることが好ましい。また、基材の裏面には、裏面用塗膜を形成していてもよい。これらシーラー塗膜を形成するためのシーラー塗料組成物、裏面用塗膜を形成するための裏面用塗料組成物は、通常用いられる塗料組成物を、使用目的に応じて適宜選択することができる。
表面に凹凸を有する基材の凹凸面に、下塗り塗料組成物を塗装する方法は特に限定されず、例えば、浸漬、刷毛、ローラー、ロールコーター、エアースプレー、エアレススプレー、カーテンフローコーター、ローラーカーテンコーター、ダイコーターなどの一般に用いられる塗装方法を用いることができる。下塗り塗料組成物は、下塗り乾燥塗膜の膜厚として5〜350μmとなるように塗装することが好ましく、20〜300μmとなるのがより好ましい。
塗装した下塗り塗料組成物の乾燥における温度および時間は、適宜選択することができる。例えば、室温〜150℃の温度条件下で、0.5〜60分間乾燥させることができる。こうして、下塗り乾燥塗膜が形成される。
上塗り塗膜層形成工程
上塗り塗膜層形成工程は、上記下塗り乾燥塗膜の上に、上塗り塗料組成物を塗装して、上塗り塗膜層を形成する工程である。上塗り塗料組成物の塗装は、下塗り塗料組成物の塗装と同様にして行うことができる。
上塗り塗膜層形成工程において基材の凹凸面に塗装される上塗り塗料組成物の量は、20〜200g/mであるのが好ましく、50〜100g/mであるのがより好ましい。塗装される上塗り塗料組成物の量が上記範囲内であることによって、色調および/または色相がより連続的に変化した、意匠性に優れた意匠塗膜を得ることができる利点がある。
掻き取り工程
掻き取り工程は、上記で塗装した上塗り塗料組成物の乾燥が終了する前に、上記上塗り塗膜層の表面の一部分、または上記上塗り塗膜層の表面の一部分および上記上塗り塗膜層の一部分を、略円筒状ローラーで掻き取る工程である。
本明細書において「塗装した上塗り塗料組成物の乾燥が終了する」とは、塗装した塗膜が固化し、掻き取りが困難となる状態を意味する。例えば、上塗り塗料組成物に含まれる溶媒が乾燥により蒸発して、固化した状態が挙げられる。
図1は、本発明の意匠塗膜の形成方法における掻き取り工程を説明する、概略説明図である。表面に凹凸を有する基材3上に設けられた上塗り塗膜層5に対して、略円筒状ローラー1を接触させることによって、上塗り塗膜層の表面の一部分、または上記上塗り塗膜層の表面の一部分および上記上塗り塗膜層の一部分が、掻き取られることとなる。ここで掻き取られるのは、主として基材3の凸部に設けられた上塗り塗料組成物となる。略円筒状ローラー1で掻き取られた上塗り塗料組成物は、略円筒状ローラー1が有する複数の溝に一時的に保持された後、略円筒状ローラーから落下するか、金属ローラー9またはスクイジー(図示せず)などによって排出される。なお図1においては、金属ローラー9および略円筒状ローラー1の間に上塗り塗料組成物7が存在する態様を説明する。これは、上塗り塗膜層5から掻き取られた塗料組成物であってよく、さらに、上塗り塗膜層5から掻き取られた塗料組成物に加えて、略円筒状ローラー1の溝内に存在する塗料組成物が乾燥固化することを防止することを目的として追加された上塗り塗料組成物を含んでもよい。
本発明の方法においては、掻き取りに用いる略円筒状ローラーが、そのローラー表面に複数の溝を有すること、そしてこの複数の溝の幅は0.01〜3.0mmであり、隣接する溝と溝との間の距離が0.01〜10.0mmであること、を特徴とする。図2は、掻き取り工程で用いる略円筒状ローラーの複数の溝について説明する、概略断面説明図である。略円筒状ローラーが有する複数の溝の幅は、図2で示す各溝の幅P1、P2、・・・・Pnの平均値を意味する。また、隣接する溝と溝との間の距離は、図2で示す、隣接する溝と溝との間の距離W1、W2、・・・・Wnの平均値を意味する。
上記溝は、深さが0.01〜3.0mmであるのがより好ましい。溝の深さが上記範囲内であることによって、上塗り塗膜層5から掻き取られた上塗り塗料組成物を好適に保持することができ、さらに、隣接する溝と溝との間の距離を上記範囲に保つことができるなどの利点がある。
図2は、V型の溝形状を概略説明する。溝の形状は、V型に限定されるものではなく、例えば、長方形型、正方形型、U型などであってもよい。
図3は、掻き取り工程で用いる略円筒状ローラーについて説明する、概略斜視説明図である。略円筒状ローラーの材質は、上記複数の溝を好適に形成することができる材質であれば、特に制限されることなく用いることができる。略円筒状ローラーの材質として、例えば、ステンレス、真鍮、樹脂(例えば、エチレンプロピレンゴム(EPT)、ブチルゴム、シリコーンゴム)などが挙げられる。
略円筒状ローラーの円周および軸方向長さは、基材の大きさなどに応じて適宜選択することができる。例えば、円周100〜1,000mm、軸方向長さ500mm〜1,500mmであってよい。
上記略円筒状ローラーが有する複数の溝は、略円筒状ローラーの略円周方向に沿って形成されているのが好ましい。本明細書における略円周方向とは、図3に示されるように、ローラーの円周に沿った方向を意味する。略円筒状ローラーの略円周方向に沿って複数の溝を形成する場合の一態様として、例えば、略円周方向に沿って螺旋状に溝を形成する方法などが挙げられる。
上記掻き取り工程によって、基材の凸部平坦部の上塗り塗料組成物を良好に掻き取ることができる。上記掻き取り工程後の基材の凹凸面(下塗り乾燥塗膜上)に残存する上塗り塗料組成物の量は、基材の凹凸面の状態、求められる意匠などに応じて適宜選択することができ、例えば、5〜150g/mであるのが好ましく、10〜100g/mであるのがより好ましい。これにより、凸部平坦部は、下塗り乾燥塗膜が良好に現れ、すっきりとした状態となる。さらに、基材の凹凸形状に依存した状態で上塗り塗料組成物が掻き取られるため、掻き取り後に残存する上塗り塗料組成物の厚みもまた、基材の凹凸形状に依存した状態となり、より連続的に変化する。これにより、意匠性に優れた意匠塗膜を得ることができる利点がある。これは、理論に拘束されるものではないが、本発明における特定の溝を複数有する略円筒状ローラーを用いて上塗り塗膜層の掻き取りを行うことによって、基材表面の凸部平坦部に塗装された上塗り塗料組成物は、略円筒状ローラーで掻き取られる際に、溝に一時的に保持されるためと考えられる。これにより、下記に示す凸部平坦部に上塗り塗料組成物がすじ跡状に残存することなく、すっきりとした意匠性の高い意匠塗膜が得られる利点がある。一方で、溝を有しないローラーを用いて掻き取り工程を行った場合においては、圧着されたロール面と凸部平坦部との間に残存していた上塗り塗料組成物は、基材の凸部平坦部に存在する僅かに凹んだ部分に移動し保持されることとなる。このため、掻き取り後において、凸部平坦部に上塗り塗料組成物がすじ跡状に残存することになり、得られた塗膜は意匠性に劣ることとなる。
上塗り塗料組成物乾燥工程
上塗り塗料組成物乾燥工程は、上記掻き取り工程において下塗り乾燥塗膜上に残存した上塗り塗料組成物を乾燥させる工程である。乾燥における温度および時間は、適宜選択することができる。例えば、室温〜150℃の温度条件下で、0.5〜60分間乾燥させることができる。
こうして、良好な意匠を有する意匠塗膜を得ることができる。本発明においてはまた、上記工程によって形成される意匠塗膜を有する意匠化粧板、すなわち、上記工程を包含する意匠化粧板の製造方法、も提供する。
本発明の方法においては、上記工程によって得られた意匠塗膜に対して、耐候性を付与する観点から、さらにクリヤー塗料組成物を塗装し、クリヤー塗膜を設けてもよい。クリヤー塗料組成物として、例えば、水性クリヤー塗料組成物が挙げられる。上記水性クリヤー塗料組成物はアニオン性水性樹脂分散体を含む。上記水性クリヤー塗料組成物に含まれるアニオン性水性樹脂分散体としては、上記水性下塗り塗料組成物に含まれるアニオン性水性樹脂分散体を好適に用いることができる。得られる複層塗膜の耐候性の観点から、アクリル樹脂エマルション、シリコーン含有アクリル樹脂エマルション、フッ素樹脂エマルションがより好ましい。また、必ずしも上記水性下塗り塗料組成物、水性上塗り塗料組成物と同一の物を使用する必要は無い。
水性クリヤー塗料組成物は、必要に応じて、架橋剤、粘性調整剤、充填剤、分散剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、凍結防止剤、防藻剤、消泡剤、造膜助剤、表面調整剤、防腐剤、防かび剤、pH調整剤、顔料、ツヤ消し剤(光沢調整剤)、着色骨材、着色マイカなどを含んでもよい。
水性クリヤー塗料組成物の調製法としては特に限定されず、上述した各配合物を攪拌機などにより攪拌することにより行うことができる
水性クリヤー塗料組成物を塗装する方法は特に限定されず、例えば、浸漬、刷毛、ローラー、ロールコーター、エアースプレー、エアレススプレー、カーテンフローコーター、ローラーカーテンコーター、ダイコーターなどの一般に用いられている塗装方法など用いることができる。水性クリヤー塗料組成物は、クリヤー塗膜の乾燥膜厚として5〜350μmとなるように塗装することが好ましい。このクリヤー塗膜の乾燥膜厚は20〜300μmとなるのがより好ましい。クリヤー塗料組成物を塗装した後、必要に応じて乾燥を行ってもよい。乾燥条件は特に限定されず、例えば、60〜150℃で30秒〜10分間乾燥する態様などが挙げられる。
本発明の方法によって、意匠性に優れた意匠塗膜そして意匠化粧板を提供することができる。本発明の意匠塗膜の形成方法は、例えば、住宅建材用基材に対して好適に用いることができる。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。実施例中、「部」および「%」は、ことわりのない限り、質量基準による。
実施例1
水性下塗り塗料組成物の製造
顔料分散剤としてBYK−190(ビックケミー社製)3部、白色塗料用の顔料として酸化チタン(TIPAQUE CR−95、石原産業社製)50部、沈降性硫酸バリウム(沈降性硫酸バリウム#100、堺化学社製)40部および脱イオン水20部からなる、白色分散ペーストに、アニオン性水性樹脂分散体としてVONCOAT SA−6360(アクリル樹脂エマルション、DIC社製、固形分濃度50%、粒子径150nm、酸価15mgKOH/g)を200部混合し、そしてリオファーストブラック593、リオファーストオーカーRD−230、リオファーストブラウンR−229(いずれも、トーヨーケム社製)でマンセル値4.9YR 5.5/4.7(オレンジ色)に着色した。さらに、ヒンダードアミン系光安定剤としてサノールLS292(チバスペシャルティケミカルズ社製)1部、造膜助剤としてテキサノール(イーストマンケミカルジャパン社製)10部および脱イオン水222.4部を混合した。最後に、NK2カップで30秒となるよう増粘剤としてプライマルASE−60(ダウケミカル社製)を添加して、PWC50質量%の水性下塗り塗料組成物を得た。なお、上記マンセル値は、(色相 明度/彩度)を表し、分光測色計CR−300(コニカミノルタ社製)を用いて測定した。
水性上塗り塗料組成物の製造
顔料分散剤としてBYK−190(ビックケミー社製)3部、白色塗料用の顔料として酸化チタン(TIPAQUE CR−95、石原産業社製)30部、沈降性硫酸バリウム(沈降性硫酸バリウム#100、堺化学社製)60部および脱イオン水20部からなる白色分散ペーストに、アニオン性水性樹脂分散体としてVONCOAT SA−6360(アクリル樹脂エマルション、DIC社製、固形分濃度50%、粒子径150nm、酸価15mgKOH/g)を200部混合し、そしてリオファーストブラック593、リオファーストオーカーRD−230、リオファーストブラウンR−229(いずれも、トーヨーケム社製)でマンセル値5.9YR 3.8/1.5(ブラウン色)に着色した。さらに、ヒンダードアミン系光安定剤としてサノールLS292(チバスペシャルティケミカルズ社製)1部、造膜助剤としてテキサノール(高沸点有機溶媒;イーストマンケミカルジャパン社製)10部および脱イオン水380部を混合した。最後に、NK2カップで15秒となるよう増粘剤としてプライマルASE−60(ダウケミカル社製)を添加して、PWC50質量%の水性上塗り塗料組成物を得た。
得られた水性下塗り塗料組成物および水性上塗り塗料組成物の粘度およびチクソ係数を下記方法により測定したところ、以下の示す通りであった。
Figure 0006630645
1)塗料組成物の粘度の測定
得られた塗料組成物を25℃にし、B型粘度計(VISCOMETER TVB−10;東機産業社製)を用いて、回転数60rpmでの粘度を測定した。なお、測定は、塗料組成物を撹拌した後に、10分間放置した後に行った。
2)塗料組成物のチクソ係数(TI)の測定
「1)塗料組成物の粘度の測定」に記載の粘度測定方法を、回転数を6rpmの条件とした以外は同様の方法で粘度を測定した。チクソ係数(TI)を、下記式
TI=(回転数6rpmにおける粘度)/(回転数60rpmにおける粘度)
により算出した。
意匠塗膜形成
表面の凹凸を有する基材として、木目調窯業サイディング(凹凸の深さ:0.1〜6mm)を用いた。
上記で調製した水性下塗り塗料組成物を、基材の凹凸面に、エアスプレーガンを用いて、乾燥膜厚が50μmとなる量で塗装した。次いで、得られた塗膜を100℃で5分間乾燥させて、下塗り乾燥塗膜を得た。
得られた下塗り乾燥塗膜の上に、上記で調製した上塗り塗料組成物を、エアスプレーガンを用いて60g/mの量で塗装し、上塗り塗膜層を形成した。
次いで、得られた塗装物に対して、図1で概略説明される略円筒状ローラー(直径245mm、軸方向長さ600mm)を用いて、上塗り塗膜層の一部を掻き取り、上塗り塗料組成物の残存量を30g/mとした。略円筒状ローラーの材質はEPTとした。また、略円筒状ローラーが有する溝の幅は0.2mmであり、溝の深さは0.1mmであり、隣接する溝と溝との間の距離は0.1mmであった。
略円筒状ローラーを用いた掻き取り後に、基材に残存する上塗り塗料組成物を100℃で5分間乾燥させて、意匠塗膜を得た。
実施例2
実施例1で得られた意匠塗膜の上に、さらにクリヤー塗料組成物を塗装して、クリヤー塗膜を設けた。塗装に用いたクリヤー塗料組成物は、以下の通り調製した。水性クリヤー塗料組成物を用いたクリヤー塗膜の形成は、得られた意匠塗膜上に、乾燥膜厚50μmとなるようにスプレーにより塗装し、得られたクリヤー塗膜を100℃で10分間乾燥させることによって形成した。
水性クリヤー塗料組成物の製造
アニオン性水性樹脂分散体としてVONCOAT SA−6360(アクリル樹脂エマルション、DIC社製、固形分濃度50.0%、粒子径150nm、酸価15mgKOH/g)を200部、造膜助剤としてテキサノール(イーストマンケミカルジャパン社製)10部、紫外線吸収剤としてチヌビン1130(BASF社製)2部、ヒンダードアミン系光安定剤としてサノールLS292(チバスペシャルティケミカルズ社製)2部および脱イオン水104部を混合し、さらに、NK2カップで30秒となるよう増粘剤としてプライマルASE−60(ダウケミカル社製)を添加して、水性クリヤー塗料組成物を得た。
比較例1
掻き取りに用いた略円筒状ローラーとして、溝を有しない略円筒状ローラーを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、意匠塗膜を得た。
図4は、実施例1(左側写真)および比較例1(右側写真)によって得られた意匠塗膜の写真である。また図5は実施例1によって得られた意匠塗膜の一部分を拡大した写真であり、図6は比較例1によって得られた意匠塗膜の一部分を拡大した写真である。これらの写真から明らかであるように、実施例1によって得られた意匠塗膜は、凸部平坦部は下塗り乾燥塗膜が良好に現れ、すっきりとした状態となっている。また、凹凸部において、色調および/または色相がより連続的に変化しており、グラデーションとなっていることから、意匠が呈する奥行き感、立体感が豊かであることが分かる。一方で、比較例1によって得られた意匠塗膜は、凸部平坦部に上塗り塗料組成物がすじ跡状に残存していることが分かる。
本発明の方法によれば、意匠性に優れた意匠塗膜を形成することができる。本発明の方法によって形成される意匠塗膜は、基材の凹凸面において、色調および/または色相がより連続的に変化していることから、意匠が呈する奥行き感、立体感が豊かである。本発明の方法は、例えば、住宅建材用基材に対して好適に用いることができる。
1:略円筒状ローラー、
3:表面に凹凸を有する基材、
5:上塗り塗膜層、
7:上塗り塗料組成物、
9:金属ローラー、
11:下塗り乾燥塗膜。

Claims (6)

  1. 表面に凹凸を有する基材の凹凸面に下塗り塗料組成物を塗装し、次いで乾燥させて、下塗り乾燥塗膜を形成する、下塗り乾燥塗膜形成工程、
    前記下塗り乾燥塗膜の上に、上塗り塗料組成物を塗装して、上塗り塗膜層を形成する、上塗り塗膜層形成工程、
    前記塗装した上塗り塗料組成物の乾燥が終了する前に、前記上塗り塗膜層の表面の一部分、または前記上塗り塗膜層の表面の一部分および前記上塗り塗膜層の一部分を、略円筒状ローラーで掻き取る、掻き取り工程、および
    前記掻き取り工程において下塗り乾燥塗膜上に残存した上塗り塗料組成物を乾燥させる、上塗り塗料組成物乾燥工程、
    を包含する、意匠塗膜の形成方法であって、
    前記略円筒状ローラーは、複数の溝を有し、
    前記略円筒状ローラーが有する複数の溝は、ローラーの略円周方向に沿って形成されており、
    前記溝の幅は0.01〜3.0mmであり、隣接する溝と溝との間の距離が0.01〜10.0mmであり、
    前記下塗り塗料組成物および上塗り塗料組成物は、それらの色調または色相のうち少なくとも1種が相違する、
    意匠塗膜の形成方法。
  2. 前記溝は、深さが0.01〜3.0mmである、請求項記載の意匠塗膜の形成方法。
  3. 前記下塗り塗料組成物は、アニオン性水性樹脂分散体および顔料を含む、水性下塗り塗料組成物であり、
    前記上塗り塗料組成物は、アニオン性水性樹脂分散体、沸点が100〜300℃である有機溶媒および顔料を含む、水性上塗り塗料組成物である、
    請求項1または2に記載の意匠塗膜の形成方法。
  4. 前記上塗り塗膜層形成工程において基材の凹凸面に塗装される上塗り塗料組成物の量は、20〜200g/mである、請求項1〜いずれかに記載の意匠塗膜の形成方法。
  5. 前記上塗り塗料組成物は、25℃における粘度が100〜2,000mPa・sである、請求項1〜いずれかに記載の意匠塗膜の形成方法。
  6. 表面に凹凸を有する基材の凹凸面に下塗り塗料組成物を塗装し、次いで乾燥させて、下塗り乾燥塗膜を形成する、下塗り乾燥塗膜形成工程、
    前記下塗り乾燥塗膜の上に、上塗り塗料組成物を塗装して、上塗り塗膜層を形成する、上塗り塗膜層形成工程、
    前記塗装した上塗り塗料組成物の乾燥が終了する前に、前記上塗り塗膜層の表面の一部分、または前記上塗り塗膜層の表面の一部分および前記上塗り塗膜層の一部分を、略円筒状ローラーで掻き取る、掻き取り工程、および
    前記掻き取り工程において下塗り乾燥塗膜上に残存した上塗り塗料組成物を乾燥させる、上塗り塗料組成物乾燥工程、
    を包含する、意匠化粧板の製造方法であって、
    前記略円筒状ローラーは、複数の溝を有し、
    前記略円筒状ローラーが有する複数の溝は、ローラーの略円周方向に沿って形成されており、
    前記溝の幅は0.01〜3.0mmであり、隣接する溝と溝との間の距離が0.01〜10.0mmであり、
    前記下塗り塗料組成物および上塗り塗料組成物は、それらの色調または色相のうち少なくとも1種が相違する、
    意匠化粧板の製造方法。
JP2016151434A 2016-08-01 2016-08-01 意匠塗膜の形成方法および意匠化粧板の製造方法 Active JP6630645B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016151434A JP6630645B2 (ja) 2016-08-01 2016-08-01 意匠塗膜の形成方法および意匠化粧板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016151434A JP6630645B2 (ja) 2016-08-01 2016-08-01 意匠塗膜の形成方法および意匠化粧板の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018020266A JP2018020266A (ja) 2018-02-08
JP6630645B2 true JP6630645B2 (ja) 2020-01-15

Family

ID=61164938

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016151434A Active JP6630645B2 (ja) 2016-08-01 2016-08-01 意匠塗膜の形成方法および意匠化粧板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6630645B2 (ja)

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1030330A (ja) * 1996-07-18 1998-02-03 Yamamoto Yogyo Kako Kk 建築物表面仕上用装飾材の不規則ストライプ調パターンの形成方法
JP4450405B2 (ja) * 2002-10-04 2010-04-14 大日本塗料株式会社 意匠性塗膜の形成方法
JP3744500B2 (ja) * 2003-02-28 2006-02-08 ニチハ株式会社 建築板及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018020266A (ja) 2018-02-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4432907B2 (ja) 水性塗料組成物
JP6026933B2 (ja) 遮熱性艶消し水性塗料組成物及び遮熱性艶消し塗膜形成方法
CN110317505A (zh) 一种直涂型水性单组份瓷砖翻新涂料及其制备方法
JP3778510B2 (ja) 模様面の形成方法
JP2017074578A (ja) 被膜形成方法
JP5207647B2 (ja) 塗装方法
JP4162545B2 (ja) 模様面の形成方法
CN100436551C (zh) 水性涂料组合物
JP2001106978A (ja) 水性低汚染塗料組成物
JP5165986B2 (ja) 遮熱断熱積層体
JP2007268344A (ja) 旧塗膜の補修方法
WO2004067657A1 (ja) 多彩模様塗料組成物、及び模様面の形成方法
JP6630645B2 (ja) 意匠塗膜の形成方法および意匠化粧板の製造方法
JP5086826B2 (ja) 壁面構造体
JP2004083840A (ja) 多彩模様塗料組成物
JP2019183043A (ja) 水性被覆材
JP5079380B2 (ja) 塗装方法
JP2007120281A (ja) 壁面構造体
JP3853554B2 (ja) 水性塗料組成物
JP2002102797A (ja) 塗膜形成方法
JP2013224363A (ja) 窯業建材用クリヤー塗料組成物
JP3938739B2 (ja) コンクリート打放し面の塗装工法
JP2002138255A (ja) 水性塗料組成物
JP2007098335A (ja) 模様形成方法
JP2740450B2 (ja) 塗装化粧板の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20160802

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190626

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20190626

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20190704

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190730

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20190926

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191029

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20191126

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20191209

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6630645

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250