JP2004083840A - 多彩模様塗料組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水性樹脂、及び屈折率1.4〜1.7の体質顔料を含有する透明艶消し塗料中に、少なくとも1種の扁平状着色ゲル粒子を分散させる。体質顔料としては、平均粒子径が0.1〜15μmのものが好ましい。また、扁平状着色ゲル粒子としては、水存在下で反応可能な反応性化合物に由来する成分を含有するものが好ましい。特に、(A)水性樹脂、(B)着色顔料、及び(C)水を含む水性塗料と、(D)水存在下で反応可能な反応性化合物との混合によりゲル化されたものが好適である。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な水中水型多彩模様塗料組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、壁面、天井、扉等の建築物内外装面を塗装する際には、一般にフラット塗料と呼ばれる塗料がよく用いられている。フラット塗料としては、JIS K5663「合成樹脂エマルションペイント」に規定されている塗料が代表的である。このようなフラット塗料では、表面の艶が低減された塗膜を形成することができ、落ち着きのある仕上り感を得ることができる。また、顔料で調色することによって様々な色彩を表出することができる。しかし、フラット塗料によって得られる色彩は単一色であり、複数の色が混在した模様を一回の塗装で表出することはできない。
【0003】
これに対し、特開平9−302281号公報では、多数の色合いが複合した多彩な意匠感を表出することができる塗料が開示されている。該公報の塗料は、架橋性官能基を含有する共重合体を用いて得られたエナメルを水系分散媒に分散した後、架橋成分を配合してなるエナメル分散粒子を含むものである。しかしながら、該公報に記載の塗料は、エナメル分散粒子中に有機溶剤を含む水中油型の多彩模様塗料であり、乾燥時に強い臭気が発生してしまう。また、該公報のエナメル分散粒子は硬度が高く、またほぼ球状の立体的な形状であるため、平滑な塗膜を形成することは困難である。
【0004】
水系媒体中に水系粒子が分散した水中水型の多彩模様塗料では、上述のような臭気発生の問題を大きく改善することができる。このような水中水型多彩模様塗料としては、例えば、特開平4−202265号公報に記載の塗料が挙げられる。特開平4−202265号の塗料は、アルギン酸ソーダ、ポリビニルアルコール等に由来する燐片状ゲル着色粒子と、中空樹脂発泡体や無機系バルーン等の中空粒子とを含むものである。該公報の塗料を使用すれば、比較的平滑な塗膜を形成することもできる。しかしながら、該公報の塗料では、中空粒子が光散乱性を有するため、形成塗膜が白っぽくなり、鮮映性に欠ける仕上りとなってしまう。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような点に鑑みなされたものであり、平滑性及び鮮映性に優れた艶消しの塗膜が形成可能な水中水型多彩模様塗料を得ることを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
これらの課題を解決するため、本発明者は鋭意検討を行い本発明を完成した。
1.水性樹脂、及び屈折率1.4〜1.7の体質顔料を含有する透明艶消し塗料中に、少なくとも1種の扁平状着色ゲル粒子が分散してなることを特徴とする水中水型多彩模様塗料組成物。
2.体質顔料の平均粒子径が0.1〜15μmであることを特徴とする1.に記載の水中水型多彩模様塗料組成物。
3.前記扁平状着色ゲル粒子が、水存在下で反応可能な反応性化合物に由来する成分を含有するものであることを特徴とする1.または2.に記載の水中水型多彩模様塗料組成物。
4.前記扁平状着色ゲル粒子が、
(A)水性樹脂、(B)着色顔料、及び(C)水を含む水性塗料と、(D)水存在下で反応可能な反応性化合物との混合によりゲル化されたものであることを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載の水中水型多彩模様塗料組成物。
5.前記(D)水存在下で反応可能な反応性化合物が、加水分解縮合型反応性化合物であることを特徴とする3.または4.に記載の水中水型多彩模様塗料組成物。
6.加水分解縮合型反応性化合物がテトラアルコキシシラン化合物であることを特徴とする5.に記載の水中水型多彩模様塗料組成物。
7.水性塗料のpHが7〜14であることを特徴とする1.〜6.のいずれかに記載の水中水型多彩模様塗料組成物。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態とともに詳細に説明する。
【0008】
本発明組成物における透明艶消し塗料は、透明性を有する塗膜が形成可能なものであり、必須の成分として、水性樹脂、及び屈折率1.4〜1.7の体質顔料を含む。その透明性の度合は、扁平状着色ゲル粒子が目視にて認識可能で、鮮映性が失われない程度であればよい。
【0009】
透明艶消し塗料における水性樹脂としては、水分散性樹脂及び/または水溶性樹脂を使用することができる。樹脂の種類としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、アクリル・酢酸ビニル樹脂、アクリル・ウレタン樹脂、アクリル・シリコン樹脂、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。
このような水性樹脂は、塗膜形成後に架橋反応を生じる性質を有するものであってもよい。このような架橋反応性を有することにより、耐水性、耐汚染性、耐薬品性等の塗膜物性を高めることができる。
【0010】
透明艶消し塗料における体質顔料は、屈折率が1.4〜1.7であることが必須である。このような体質顔料を使用することにより、塗膜の鮮映性を保持しつつ艶消し効果を得ることが可能となる。本発明において使用可能な体質顔料としては、例えば、重質炭酸カルシウム、寒水石、軽微性炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、陶土、チャイナクレー、珪藻土、バライト粉、硫酸バリウム、沈降性硫酸バリウム、珪砂、珪石粉、石英粉、樹脂粉等(中空品を除く)が挙げられ、これらは単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。なお、屈折率はアッベ屈折計を用いて測定することができる。
体質顔料の平均粒子径は、通常20μm以下、好ましくは0.1〜15μm、さらに好ましくは0.5〜8μmである。このような平均粒子径の体質顔料を使用することにより、塗膜の鮮映性をより高めることができる。なお、ここで言う平均粒子径とは、遠心沈降式粒度分布測定装置によって測定される50%粒子径を意味するものである。
透明艶消し塗料における体質顔料の混合比率は、水性樹脂の固形分100重量部に対し、通常5〜200重量部、好ましくは10〜100重量部である。
【0011】
なお、本発明における「艶消し」とは、一般に艶消しと呼ばれるものの他に、3分艶、5分艶等と呼ばれるものも包含する。具体的に、本発明では、鏡面光沢度によって艶を規定することができる。上述の透明艶消し塗料における鏡面光沢度は、通常40以下、好ましくは20以下、さらに好ましくは10以下である。透明艶消し塗料の艶の調整は、透明艶消し塗料に使用する体質顔料の種類、粒子径、混合比率等によって適宜調整することができる。
ここで、鏡面光沢度とは、JIS K5400の7.6「鏡面光沢度」に準じて測定される値である。具体的には、ガラス板の片面に、すきま150μmのB形フィルムアプリケータを用いて塗料を塗り、塗面を水平に置いて温度20℃・相対湿度65%下で48時間乾燥したときの鏡面光沢度(測定角度60度)を測定することによって得られる値である。
【0012】
本発明組成物では、上述の透明艶消し塗料中に扁平状着色ゲル粒子(以下単に「着色粒子」ともいう)が分散している。本発明では、着色粒子の形状が扁平状であることにより、平滑な塗膜が形成可能となる。なお、本発明で言う「偏平状」とは、厚さに対する短径の比が1より大きい状態を意味するものである。着色粒子の短径及び長径は、特に限定されないが、通常0.01〜10mm、好ましくは0.1〜5mm、さらに好ましくは0.7〜2mmである。
着色粒子は、少なくとも1種含まれなければならないが、多彩な模様面を表出するためには、色相の異なる2種以上の着色粒子が含まれることが望ましい。着色粒子の色相は、所望の模様に応じ適宜設定することができる。着色粒子として、透明性を有する粒子を含むこともできる。
着色粒子の混合比率は、透明艶消し塗料に含まれる水性樹脂の固形分100重量部に対し、通常50〜1000重量部、好ましくは100〜900重量部、さらに好ましくは200〜800重量部である。
【0013】
本発明組成物における着色粒子は、水存在下で反応可能な反応性化合物に由来する成分を含むものであることが望ましい。このような着色粒子は、適度な柔軟性と強度とを兼ね備えたものであり、塗装器具、塗装温度等の塗装条件が変動しても一定の多彩模様が形成できる。さらに、スプレー塗装は勿論、ローラー塗装または刷毛塗装を行った場合においても、着色粒子からの顔料によるにじみ発生等を防止することができる。したがって、ローラー塗装用または刷毛塗装用としても有用な水中水型多彩模様塗料を得ることができる。
このような着色粒子は、(A)水性樹脂、(B)着色顔料、及び(C)水を含む水性塗料に対し、(D)水存在下で反応可能な反応性化合物を混合して水性塗料をゲル化せしめ、このゲル化物を透明艶消し塗料中に分散させることによって得ることができる。
【0014】
水性塗料における(A)水性樹脂(以下「(A)成分」という)は展色剤としての機能を有するものであり、水分散性樹脂及び/または水溶性樹脂を使用することができる。具体的には、例えば、アクリル樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション、酢酸ビニル樹脂エマルション、シリコン樹脂エマルション、フッ素樹脂エマルション、アクリル・酢酸ビニル樹脂エマルション、アクリル・ウレタン樹脂エマルション、アクリル・シリコン樹脂エマルション、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリエチレンオキサイド、水溶性ウレタン、バイオガム、ガラクトマンナン誘導体、アルギン酸もしくはその誘導体、セルロース誘導体、ゼラチン、カゼイン、アルブミン等、あるいはこれらを酸化、メチル化、カルボキシメチル化、ヒドロキシエチル化、ヒドロキシプロピル化、硫酸化、リン酸化、カチオン化等によって化学変性したもの等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。このような(A)成分は、塗膜形成後に架橋反応を生じる性質を有するものであってもよい。(A)成分がこのような架橋反応性を有することにより、耐水性、耐薬品性等の塗膜物性を高めることができる。
水性塗料における(A)成分の混合量は、通常3〜95重量%、好ましくは5〜80重量%である。
【0015】
(B)着色顔料(以下「(B)成分」という)としては、一般的に塗料に配合するものを使用することができる。具体的には、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、黒色酸化鉄、銅クロムブラック、コバルトブラック、銅マンガン鉄ブラック、べんがら、モリブデートオレンジ、パーマネントレッド、パーマネントカーミン、アントラキノンレッド、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、黄色酸化鉄、チタンイエロー、ファーストイエロー、ベンツイミダゾロンイエロー、クロムグリーン、コバルトグリーン、フタロシアニングリーン、群青、紺青、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、キナクリドンバイオレット、ジオキサジンバイオレット、アルミニウム顔料、パール顔料等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。
水性塗料における(B)成分の混合量は、通常0.01〜50重量%、好ましくは0.5〜40重量%である。
【0016】
(D)水存在下で反応可能な反応性化合物(以下「(D)成分」という)は、水の存在によって反応が進行する化合物である。(D)成分としては、例えば、アルコキシシリル基、イソシアネート基等の官能基を有する化合物が使用可能である。
【0017】
本発明では、(D)成分として、アルコキシシリル基を含有する加水分解縮合型反応性化合物が好適である。このような加水分解型反応性化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラsec−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン等、あるいはこれらの縮合物が挙げられる。また、カルボキシル基、水酸基、スルホン基、オキシアルキレン基等を含有するアルコキシシラン化合物を使用することもできる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
このうち、本発明ではテトラアルコキシシラン化合物が好適に用いられる。テトラアルコキシシラン化合物は、
RO−(Si(OR)2−O)n−R (但しRはアルキル基、n≧1)
で表される化合物である。特に、本発明では、炭素数1〜2のアルキル基と炭素数3以上(好ましくは3〜12)のアルキル基が混在するテトラアルコキシシラン化合物が最も好適である。
【0018】
水性塗料における(D)成分の混合量は、通常0.1〜10重量%、好ましくは0.3〜5重量%である。(D)成分が少なすぎる場合は、ゲル形成能が不十分となり、塗装時(特にローラー塗装時または刷毛塗装時)に着色粒子が破壊されるおそれがある。(D)成分が多すぎる場合は、着色粒子が硬くなり、平滑な塗膜が得られにくくなる。
【0019】
上述の水性塗料には、必要に応じ(D)成分の触媒を混合することもできる。このような触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸;酢酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、アミン化合物などのアルカリ触媒;ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクチエート、ジブチルスズジアセテート等の有機スズ化合物;アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)等の有機アルミニウム化合物;チタニウムテトラキス(アセチルアセトネート)等の有機チタニウム化合物;ジルコニウムテトラキス(セチルアセトネート)等の有機ジルコニウム化合物;ホウ酸等のホウ素化合物等が挙げられる。
【0020】
本発明における偏平状着色ゲル粒子では、その中に含まれる着色顔料の種類を適宜選択し、組合わせることによって、所望の色相を表出することができる。ここで、着色顔料の分散剤として高分子分散剤を使用すれば、着色粒子の色安定性、特に高温での貯蔵時における色安定性を向上させることができる。
このような高分子分散剤の分子量は、通常2000〜100000、好ましくは5000〜50000である。具体的には、アニオン性高分子分散剤、ノニオン性高分子分散剤、カチオン性高分子分散剤、両性高分子分散剤等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。このうち、本発明では特にカチオン性高分子分散剤が好適である。
高分子分散剤のHLBは3〜15であることが望ましく、さらには5〜10であることがより望ましい。このようなHLBを有する高分子分散剤を使用すれば、着色粒子の色安定性をいっそう高めることができる。なお、HLBとは、親水性−親油性バランスの略称で、両親媒性物質の親水性と親油性の強度比を数値化して表したものである。
【0021】
本発明組成物の製造においては、まず、上述の(A)〜(C)成分が含まれる水性塗料に(D)成分を混合することによって、ゲル化物を調製する。なお、ここに言うゲル化物としては、ゲル化反応の進行の程度には関係なく、(D)成分の混合によってゲル化反応が開始したものをすべて包含する。
【0022】
次いで、このゲル化物を透明艶消し塗料に加え、扁平粒状に分散させる。このとき、透明艶消し塗料の一部にゲル化物を加えて分散させた後に、透明艶消し塗料の残部を混合することもできる。
ゲル化物を透明艶消し塗料に加えるタイミングは、適宜設定することができ、水性塗料と(D)成分とを混合した直後でもよいし、一定時間放置した後でもよい。
【0023】
形成される着色粒子の形状を偏平状にするには、攪拌羽根の形状、攪拌槽に対する攪拌羽根の大きさや位置、攪拌羽根の回転速度、水性塗料の粘性や添加方法、透明艶消し分散媒の粘性等を適宜選択・調整すればよい。着色粒子の粒子径も同様の方法によって調整することができる。
また、色相が異なる2種以上の着色粒子を含む本発明組成物を得るためには、例えば、
単色の着色粒子が分散した透明艶消し塗料をそれぞれ製造した後、これらを混合する方法;あるいは、
色相が異なる2種以上のゲル化物を、同時または順に透明艶消し塗料に添加し分散させる方法;
等の方法を採用すればよい。
【0024】
着色粒子を形成する水性塗料のpHは、通常7〜14、好ましくは9〜13である。水性塗料のpHをこのような値に設定しておくことにより、特に(D)成分として加水分解縮合型反応性化合物を使用した場合に、適度な反応性を得ることができる。
また、透明艶消し塗料のpHは、7〜10(さらには7〜9)の範囲内で、かつ着色粒子を形成する水性塗料のpHより低く設定しておくことが望ましい。これにより、着色粒子内に加水分解縮合型反応性化合物が含まれる場合に、加水分解縮合形反応性化合物の反応性をより安定化させることが可能となる。
【0025】
透明艶消し塗料中にゲル化物を分散させる際には、分散安定剤を使用することもできる。このような分散安定剤しては、例えば、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、アルミニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ホウ酸塩等が挙げられる。
また、着色粒子における未反応部分の反応を促進させる成分を、透明艶消し塗料に混合しておき、ゲル化をより確実にすることもできる。
【0026】
本発明組成物においては、上述以外の公知の塗料用添加剤を適宜使用することもできる。このような添加剤としては、例えば、顔料分散剤、消泡剤、増粘剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防黴剤、防腐剤、造膜助剤、凍結防止剤等が挙げられる。また、塗膜の鮮映性を損なわない限り、透明艶消し塗料に着色顔料を添加することも可能である。着色粒子を形成する水性塗料に体質顔料を使用することも可能である。
【0027】
本発明組成物は、例えば、建築用、建材用、土木用、木工用、プラスチック製品用、金属製品用、非鉄金属製品用等の種々の用途に適用することができる。具体的には、例えば、コンクリート、モルタル、サイディングボード、押出成形板、石膏ボード、パーライト板、合板、プラスチック板、金属板、ガラス、磁器タイル等の各種基材の表面化粧材として用いることが可能である。これら基材の表面は、何らかの表面処理(例えば、シーラー、サーフェーサー、フィラー等)が施されたものでもよく、既に塗膜が形成されたものや、壁紙が貼り付けられたもの等であってもよい。
【0028】
塗装時には、スプレー、ローラー、刷毛、鏝等の各種塗装器具を使用することができる。特に、扁平状着色ゲル粒子が、水存在下で反応可能な反応性化合物に由来する成分を含有する場合は、ひとつの被塗面に対して異なる塗装器具を併用した場合であっても、均一な仕上りを得ることができる。このため、スプレー塗装の後にローラーや刷毛を用いて補修を行った場合においても、違和感なく仕上げることができる。
塗装の際には、水を用いて希釈することも可能である。水の混合量は、塗装器具の種類、塗装下地の状態、塗装時の温度等を勘案して適宜設定すればよい。
本発明組成物の塗付量は、通常0.2〜1.6kg/m2、好ましくは0.3〜1.2kg/m2である。また、本発明組成物を塗装した後の乾燥は通常、常温で行えばよいが、加熱することも可能である。乾燥時間は、通常1〜5時間である。
【0029】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
【0030】
(塗料の製造)
塗料組成物A
まず、容器内に水分散性樹脂A200重量部を仕込み、攪拌羽根の回転速度を1800rpmとして攪拌を行いながら、水溶性樹脂A3重量部と、顔料A20重量部と、消泡剤1重量部と、水250重量部とを均一に混合することにより、透明塗料Aを製造した。この透明塗料AのpHは8.0、鏡面光沢度は8であった。
次に、別の容器内に水分散性樹脂A90重量部を仕込み、攪拌羽根の回転速度を1800rpmとして攪拌を行いながら、水溶性樹脂B180重量部と、白色顔料液90重量部と、消泡剤5重量部と、水80重量部と、反応性化合物A5重量部とを均一に混合することにより白色の水性塗料Aを製造した。この水性塗料AのpHは9.5であった。
上述の透明塗料A474重量部に対し、分散安定剤としてホウ酸アンモニウム5重量%水溶液を8重量部加え、攪拌羽根の回転速度を900rpmとして均一に混合した後、さらに攪拌を継続しながら水性塗料A450重量部を徐々に添加・分散することにより、0.8〜1.2mmの扁平状白色粒子が分散した塗料組成物Aを得た。
【0031】
なお、本発明組成物の製造においては以下の原料を使用した。
・水分散性樹脂A:アクリル系樹脂エマルション(スチレン−メチルメタクリレート−2−エチルヘキシルアクリレート共重合体、最低造膜温度3℃、pH8.8、固形分50重量%)
・水分散性樹脂B:アクリル系樹脂エマルション(スチレン−メチルメタクリレート−2−エチルヘキシルアクリレート共重合体、最低造膜温度2℃、pH6.2、固形分50重量%)
・水溶性樹脂A:ヒドロキシエチルセルロース粉
・水溶性樹脂B:ガラクトマンナン3重量%水溶液
・顔料A:重質炭酸カルシウム(屈折率1.50、平均粒子径8μm)
・顔料B:珪石粉(屈折率1.55、平均粒子径2μm)
・顔料C:沈降性硫酸バリウム(屈折率1.64、平均粒子径4μm)
・顔料D:珪石粉(屈折率1.55、平均粒子径50μm)
・顔料E:酸化亜鉛(屈折率2.01、平均粒子径0.2μm)
・白色顔料液A:酸化チタン60重量%分散液(分散剤:カルボン酸系分散剤、分子量1800)
・白色顔料液B:酸化チタン60重量%分散液(分散剤:カチオン性高分子分散剤(アルキルアミンのアルキレンオキサイド付加体、分子量15000、HLB8))
・黒色顔料液A:黒色酸化鉄15重量%分散液(分散剤:カルボン酸系分散剤、分子量1800)
・黒色顔料液B:黒色酸化鉄15重量%分散液(分散剤:カチオン性高分子分散剤(アルキルアミンのアルキレンオキサイド付加体、分子量15000、HLB8))
・反応性化合物A:テトラメトキシシラン縮合物のブトキシ変性物
・反応性化合物B:テトラメトキシシラン縮合物
・pH調整剤:アンモニア水
・消泡剤:シリコーン系消泡剤
【0032】
塗料組成物B
表1に示す混合比率にて各原料を使用した以外は、塗料組成物Aと同様の方法にて塗料を製造し、1.0〜1.6mmの扁平状灰色粒子が分散した塗料組成物Bを得た。
【0033】
塗料組成物C
表1に示す混合比率にて各原料を使用した以外は、塗料組成物Aと同様の方法にて塗料を製造し、0.8〜1.2mmの扁平状黒色粒子が分散した塗料組成物Cを得た。
【0034】
塗料組成物D
表1に示す混合比率にて各原料を使用した以外は、塗料組成物Aと同様の方法にて塗料を製造し、0.8〜1.6mmの扁平状灰色粒子が分散した塗料組成物Dを得た。
塗料組成物E
表1に示す混合比率にて各原料を使用した以外は、塗料組成物Aと同様の方法にて塗料を製造し、0.8〜1.2mmの扁平状黒色粒子が分散した塗料組成物Eを得た。
塗料組成物F
表1に示す混合比率にて各原料を使用した以外は、塗料組成物Aと同様の方法にて塗料を製造し、0.8〜1.4mmの扁平状灰色粒子が分散した塗料組成物Fを得た。
塗料組成物G
表1に示す混合比率にて各原料を使用した以外は、塗料組成物Aと同様の方法にて塗料を製造し、0.8〜1.2mmの扁平状黒色粒子が分散した塗料組成物Gを得た。
塗料組成物H
表1に示す混合比率にて各原料を使用した以外は、塗料組成物Aと同様の方法にて塗料を製造し、1.0〜1.8mmの扁平状灰色粒子が分散した塗料組成物Hを得た。
塗料組成物I
表1に示す混合比率にて各原料を使用した以外は、塗料組成物Aと同様の方法にて塗料を製造し、1.2〜1.6mmの扁平状黒色粒子が分散した塗料組成物Iを得た。
塗料組成物J
表1に示す混合比率にて各原料を使用した以外は、塗料組成物Aと同様の方法にて塗料を製造し、0.8〜1.4mmの扁平状灰色粒子が分散した塗料組成物Jを得た。
塗料組成物K
表1に示す混合比率にて各原料を使用した以外は、塗料組成物Aと同様の方法にて塗料を製造し、0.8〜1.2mmの扁平状黒色粒子が分散した塗料組成物Kを得た。
塗料組成物L
表1に示す混合比率にて各原料を使用した以外は、塗料組成物Aと同様の方法にて塗料を製造し、1.0〜1.8mmの扁平状灰色粒子が分散した塗料組成物Lを得た。
塗料組成物M
表1に示す混合比率にて各原料を使用した以外は、塗料組成物Aと同様の方法にて塗料を製造し、1.0〜1.6mmの扁平状黒色粒子が分散した塗料組成物Mを得た。
塗料組成物N
表1に示す混合比率にて各原料を使用した以外は、塗料組成物Aと同様の方法にて塗料を製造し、1.0〜1.6mmの扁平状灰色粒子が分散した塗料組成物Nを得た。
塗料組成物O
表1に示す混合比率にて各原料を使用した以外は、塗料組成物Aと同様の方法にて塗料を製造し、0.8〜1.4mmの扁平状黒色粒子が分散した塗料組成物Oを得た。
【0035】
【表1】
【0036】
(実施例1)
予め灰色のシーラーが塗装されたスレート板に対し、塗料組成物Aと塗料組成物Bとが50:50の重量比率にて混合された塗料組成物を、砂骨ローラーを用いて塗付量0.6kg/m2で塗装し、常温にて24時間乾燥させた後、塗膜の状態を観察した。実施例1では、白色と灰色が混在し、平滑で鮮映性の高い模様塗膜を形成することができた。着色粒子の異常も観察されなかった。
【0037】
(実施例2)
塗料組成物として、塗料組成物Aと塗料組成物Bと塗料組成物Cとが80:10:10の重量比率にて混合されたものを使用した以外は、実施例1と同様に塗装を行った。
実施例2では、白色と灰色と黒色とが混在し、平滑で鮮映性の高い模様塗膜を形成することができた。着色粒子の異常も観察されなかった。
【0038】
(実施例3)
塗料組成物として、塗料組成物Dと塗料組成物Eとが50:50の重量比率にて混合されたものを使用した以外は、実施例1と同様に塗装を行った。
実施例2では、灰色と黒色とが混在し、平滑で鮮映性の高い模様塗膜を形成することができた。着色粒子の異常も観察されなかった。
【0039】
(実施例4)
塗料組成物として、塗料組成物Fと塗料組成物Gとが50:50の重量比率にて混合された塗料組成物を使用した以外は、実施例1と同様に塗装を行った。
実施例3では、灰色と黒色とが混在し、平滑で鮮映性の高い模様塗膜を形成することができた。但し、着色粒子から灰色と黒色のにじみが発生していた。
【0040】
(実施例5)
塗料組成物として、塗料組成物Hと塗料組成物Iとが50:50の重量比率にて混合された塗料組成物を使用した以外は、実施例1と同様に塗装を行った。
実施例4では、灰色と黒色とが混在する鮮映性の高い模様塗膜を形成することができた。但し、実施例1に比べ、凹凸が目立つ模様となってしまった。
【0041】
(実施例6)
塗料組成物として、塗料組成物Jと塗料組成物Kとが50:50の重量比率にて混合された塗料組成物を使用した以外は、実施例1と同様に塗装を行った。
実施例5では、灰色と黒色とが混在し、平滑で鮮映性の高い模様塗膜を形成することができた。但し、着色粒子から灰色と黒色のにじみが発生していた。
【0042】
(実施例7)
塗料組成物として、塗料組成物Lと塗料組成物Mとが50:50の重量比率にて混合された塗料組成物を使用した以外は、実施例1と同様に塗装を行った。
実施例6では、灰色と黒色とが混在する平滑な模様塗膜を形成することができた。但し、実施例1に比べやや鮮映性に劣る仕上りとなった。
【0043】
(比較例1)
塗料組成物として、塗料組成物Nと塗料組成物Oとが50:50の重量比率にて混合された塗料組成物を使用した以外は、実施例1と同様に塗装を行った。
比較例1では、塗膜全体が白っぽくなり、鮮映性の高い模様塗膜を形成することができなかった。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、平滑性及び鮮映性に優れた艶消しの塗膜が形成可能な水中水型多彩模様塗料を得ることができる。
Claims (5)
- 水性樹脂、及び屈折率1.4〜1.7の体質顔料を含有する透明艶消し塗料中に、少なくとも1種の扁平状着色ゲル粒子が分散してなることを特徴とする水中水型多彩模様塗料組成物。
- 体質顔料の平均粒子径が0.1〜15μmであることを特徴とする請求項1に記載の水中水型多彩模様塗料組成物。
- 前記扁平状着色ゲル粒子が、水存在下で反応可能な反応性化合物に由来する成分を含有するものであることを特徴とする請求項1または2に記載の水中水型多彩模様塗料組成物。
- 前記扁平状着色ゲル粒子が、
(A)水性樹脂、(B)着色顔料、及び(C)水を含む水性塗料と、(D)水存在下で反応可能な反応性化合物との混合によりゲル化されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水中水型多彩模様塗料組成物。 - 前記(D)水存在下で反応可能な反応性化合物が、加水分解縮合型反応性化合物であることを特徴とする請求項3または4に記載の水中水型多彩模様塗料組成物。
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