JP5818348B2 - 化粧壁面 - Google Patents
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Description
1.経年劣化した既存壁面に対し、化粧被膜が設けられた化粧壁面であって、
当該既存壁面は、凹凸模様を有する複数の板状壁材によって構成され、当該板状壁材どうしの連結部には、シーリング材が充填されているものであり、
当該化粧被膜として、
当該既存壁面の表面には、アクリルポリマーマトリクス中に赤外線反射性粉体、アミノシラン及びジメチルシロキサンが混在する着色被膜(A)が設けられ、
当該着色被膜(A)の上には、平均一次粒子径1〜200nmのシリカを含む透明被膜(B)が設けられたことを特徴とする化粧壁面。
2.上記着色被膜(A)上の一部の領域に対し、上記着色被膜(A)とは異色であって、赤外線反射性粉体及び/または赤外線透過性粉体を含む着色被膜(A’)が設けられ、
当該着色被膜(A’)の上には、上記透明被膜(B)が設けられたことを特徴とする1.記載の化粧壁面。
3.上記シーリング材中の可塑剤含有量が5重量%以下であることを特徴とする1.または2.に記載の化粧壁面。
板状壁材どうしの連結部にシーリング材が設けられ、そのシーリング材が露出している場合は、連結部の汚染が進行しやすい。このような汚染は、太陽光吸収による温度上昇を招き、連結部の劣化を助長するおそれがある。
上記2.に係る発明では、このような既存壁面に、上記着色被膜(A)及び透明被膜(B)を設けることにより、連結部を含む壁面全体において、その美観性が高まり、さらに温度上昇に起因する劣化も抑制できる。
上記3.に係る発明では、このような被膜の積層によって、2色以上の着色領域を有する所望の外観仕上げが得られ、既存壁面の意匠性を再現することも可能である。
上記板状壁材の凹部乃至凸部においては、それぞれ太陽光の当り方、降雨の流れ具合等が異なるため、表面の劣化状態に差異が生じやすくなる。特に、凹部と凸部が異なる色で着色されている場合は、その傾向が顕著となりやすい。さらに、板状壁材どうしの連結部にシーリング材が充填されている場合は、板状壁材と連結部の表面状態も大きく異なるものとなる。
上記4.に係る発明によれば、このように既存壁面の表面状態が異なる場合であっても、各部位において十分な密着性を確保し、被膜の剥れ、膨れ等の不具合発生を抑制することができる。
上記5.に係る発明では、このような着色被膜(A)を採用することで、被膜のひび割れ発生が十分に抑制され、各部位への密着性も一層高められる。特に、板状壁材どうしの連結部にシーリング材が充填されている場合は、板状壁材とシーリング材の双方に対する密着性が十分に確保され、さらにシーリング材の変位に追従しつつ、その変位を緩和する性能も付与される。
図1は、本発明化粧壁面の一例を示す断面図である。
板状壁材2における凹凸模様としては、種々のものが挙げられ、例えばタイル調模様、レンガ調模様、幾何学的模様、縞模様、格子模様、水玉模様等の他、動植物等をデザイン化した図形模様等が挙げられる。具体的に、凹凸模様を正面から見たときの凸部の形状としては、例えば正方形、長方形、円形、楕円形、三角形、菱形、多角形、不定形等の形状が挙げられる。また、凹凸模様における凸部の断面形状としては、例えば台形、正方形、長方形、半円形、波形、階段形、三角形、山形等が挙げられる。凹凸模様における凹部は、通常は平坦であり、目地を形成するものが好ましい。凹部と凸部との高低差は、各々の凸部で一定であっても相違していてもよいが、好ましくは20mm以下、より好ましくは1〜15mm程度である。
本発明では、凹部と凸部がそれぞれ異なる色で着色された板状壁材2を対象とする場合に、特に有利な効果を得ることができる。
本発明は、このような既存壁面における問題点の改善にも有効に作用するものである。
本発明は、既存壁面1が、板状壁材2どうしの連結部にシーリング材4が充填されたもの(図2)である場合に、有利な効果が得られる。
シーリング材4は、板状壁材2と同様に経年劣化したものでもよいし、着色被膜(A)の形成前に、新たに打設されたものであってもよい。本発明では、シーリング材4が新たに打設された場合に、特に優れた効果が発揮できる。
シーリング材4の充填方法としては、特に限定されず、例えば、ガンやへら等による公知の方法を採用することができる。
変性シリコーン系シーリング材は、変性シリコーン樹脂を含むシーリング材である。この変性シリコーン樹脂は、有機樹脂を主鎖とし、その末端または側鎖に少なくとも一つの反応性シリル基を有するものである。変性シリコーン樹脂の主鎖を構成する有機樹脂としては、例えば、ポリエーテル重合体、ポリエステル重合体、エーテル・エステルブロック共重合体、エチレン性不飽和化合物重合体、ジエン化合物重合体等が挙げられる。反応性シリル基としては、例えば、アルコキシシリル基、シラノール基等が挙げられる。
ポリエステル重合体は、カルボキシル基含有化合物のエステルを繰返し単位として有するものである。カルボキシル基含有化合物としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、フタル酸、クエン酸、ピルビン酸、乳酸等が挙げられる。
エーテル・エステルブロック共重合体は、上記ポリエーテル重合体の繰返し単位と、上記ポリエステル重合体の繰返し単位を併有するものである。
エチレン性不飽和化合物重合体は、エチレン性不飽和化合物を単量体成分とするものである。エチレン性不飽和化合物としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブテン、(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、酢酸ビニル等が挙げられる。エチレン性不飽和化合物重合体の具体例としては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリイソブチレン、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル等が挙げられる。
ジエン化合物重合体は、ジエン化合物を単量体成分とするものである。ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、クロロプレン、イソプレン等が挙げられる。ジエン化合物重合体の具体例としては、例えば、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、エチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、スチレン−イソプレン共重合体、イソブチレン−イソプレン共重合体、ポリクロロプレン、スチレン−クロロプレン共重合体、アクリロニトリル−クロロプレン共重合体等が挙げられる。
ノンブリードタイプのシーリング材としては、例えば、上記条件を満たすアクリルウレタン系シーリング材、ポリウレタン系シーリング材、変成シリコーン系シーリング材等が挙げられる。本発明では、ノンブリードタイプの変成シリコーン系シーリング材を使用した場合において、特に優れた効果が得られる。
本発明では、着色被膜(A)の赤外線反射作用によって、太陽光照射による温度上昇が抑制される。さらに、透明被膜(B)が汚染物質の付着を防止するため、汚染物質の太陽光吸収に起因する温度上昇が抑制される。本発明では、これら相乗作用によって、化粧被膜の劣化を抑制することが可能となる。
このような着色被膜(A1)は、表面状態が異なる各領域に対する密着性に優れる。例えば、板状壁材2が異なる着色領域を有する場合、各着色領域において劣化の状態に差異が生じやすく、密着性にも悪影響を及ぼすおそれがあるが、着色被膜(A1)を使用すれば、このような各着色領域への密着性も十分に確保することができる。さらに、既存壁面1がシーリング材4を有する場合、着色被膜(A1)は、シーリング材4との密着性にも優れる。本発明では、このような着色被膜(A1)の作用によって、着色被膜の剥れ、膨れ等を十分に抑制することが可能となる。また本発明では、着色被膜(A1)の使用によって、後述の着色被膜(A’)または透明被膜(B)との密着性を高めることもできる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用することができる。
アミノシランとしては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、γ−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノイソブチルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノイソブチルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルジイソプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルジイソプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(m−アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン、3−(m−アミノフェノキシ)プロピルトリエトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、m−アミノフェニルトリエトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリエトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリス(メトキシエトキシエトキシ)シラン、γ−アミノプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、2−アミノエチルアミノメチルベンジロキシジメチルシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノロピルトリエトキシシラン等から選ばれる1種以上が挙げられる。この中でも、1分子中にアミノ基を2つ以上(好ましくは2つ)有するアミノシランが好適である。
アミノシランの重量比率は、固形分換算で、アクリルポリマーマトリクス100重量部に対し、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.5〜10重量部である。
このような作用により、着色被膜(A2)では、被膜の剥れ、ひび割れ等を十分に抑制することができる。とりわけ、シーリング材4として変性シリコーン系シーリング材を使用した場合に、優れた効果を得ることができる。このような効果は、ジメチルシロキサンとアミノシランの相乗的作用によって奏されるものと推察される。
アクリルポリマー、アミノシランとしては、上述と同様のものが使用できる。
ジメチルシロキサンの重量比率は、固形分換算で、アクリルポリマーマトリクス100重量部に対し、好ましくは1〜200重量部、より好ましくは5〜100重量部である。
本発明では、少なくとも板状壁材2の全面に、上記被覆材を塗付することにより、着色被膜(A)を形成することができる。上記被覆材は、既存壁面1の全面に塗付することが望ましい。被覆材の塗付け量は、固形分換算で、好ましくは10〜300g/m2程度である。
着色被膜(A’)を形成する被覆材は、着色被膜(A)上の一部の領域に塗付すればよい。例えば、既存壁面1が凹凸模様を有する場合は、凸部、凹部のいずれか一方に被覆材を塗付することにより、着色被膜(A’)を形成することができる。着色被膜(A’)の色は、仕上り外観等を考慮して適宜設定することができる。また、塗付け量は、使用する材料に応じて適宜設定すればよい。
図3では、凹凸模様の凸部のみに着色被膜(A’)が形成されている。図3の態様において、着色被膜(A)の色を着色領域31の色に合わせ、着色被膜(A’)の色を着色領域32の色に合わせると、既存壁面1の意匠性を再現することができる。
着色被膜(A’)を形成する場合、被覆材は1種のみ使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。2種以上の被覆材を用いる場合、着色被膜(A’)は、2種以上の被覆材による被膜が積層及び/または併設された態様とすることができる。
シリカの平均一次粒子径は、通常1〜200nm、好ましくは5〜100nmである。この範囲内であれば、平均一次粒子径が異なる複数のシリカを併用することもできる。シリカの平均一次粒子径が200nmよりも大きい場合は、比表面積が小さくなり、シラノール基も減るため汚染防止性が不十分となる。平均一次粒子径が1nmよりも小さい場合は、シリカ自体が不安定化するため、実用的でない。なお、ここに言う平均一次粒子径は、光散乱法によって測定される値である。
このような中性タイプの水分散性シリカゾルは、シリケート化合物を原料として製造することができる。シリケート化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラsec−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン、テトラフェノキシシラン等、あるいはこれらの縮合物等が挙げられる。この他、上記シリケート化合物以外のアルコキシシラン化合物や、アルコール類、グリコール類、グルコールエーテル類、フッ素アルコール、シランカップリング剤、ポリオキシアルキレン基含有化合物等を併せて使用することもできる。
(試験体作製)
板状壁材として、促進耐候性試験機に曝露された窯業系サイディングボートを用意した。この窯業系サイディングボードは、表面にタイル調の凹凸模様を有し、凹部には黒色のアクリル系被膜、凸部には淡褐色のアクリル系被膜を有するものであり、凹部よりも凸部の劣化が進行した状態であった。
この板状壁材の全面に対し、被覆材Aを塗付け量80g/m2(固形分)でスプレー塗装し、1日間養生後、被覆材Bを塗付け量3g/m2(固形分)でスプレー塗装し、7日間養生した。なお、塗装、養生はすべて標準状態(気温23℃、相対湿度50%)下で行った。
・被覆材A1:アクリルポリマー(メチルメタクリレート-n−ブチルアクリレート-2−エチルヘキシルアクリレート共重合樹脂、ガラス転移温度5℃):アミノシラン(N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン):赤外線反射性粉体(鉄クロム複合酸化物)=98:2:8(固形分重量比)の黒色水性被覆材。
・被覆材A2:アクリルポリマー(メチルメタクリレート-n−ブチルアクリレート-2−エチルヘキシルアクリレート共重合樹脂、ガラス転移温度5℃):アミノシラン(γ−アミノプロピルトリメトキシシラン):赤外線反射性粉体(鉄クロム複合酸化物)=98:2:8(固形分重量比)の黒色水性被覆材。
・被覆材A3:アクリルポリマー(メチルメタクリレート-n−ブチルアクリレート-2−エチルヘキシルアクリレート共重合樹脂、ガラス転移温度5℃):アミノシラン(N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン):ジメチルシロキサン(ジメチルシロキサンオリゴマーの合成物):赤外線反射性粉体(鉄クロム複合酸化物)=78:20:2:8(固形分重量比)の黒色水性被覆材。
・被覆材A4:アクリルポリマー(メチルメタクリレート-n−ブチルアクリレート-2−エチルヘキシルアクリレート共重合樹脂、ガラス転移温度5℃):ジメチルシロキサン(ジメチルシロキサンオリゴマーの合成物):赤外線反射性粉体(鉄クロム複合酸化物)=80:20:8(固形分重量比)の黒色水性被覆材。
・被覆材A5:アクリルポリマー(メチルメタクリレート-n−ブチルアクリレート-2−エチルヘキシルアクリレート共重合樹脂、ガラス転移温度5℃):シラン化合物(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン):赤外線反射性粉体(鉄クロム複合酸化物)=98:2:8(固形分重量比)の黒色水性被覆材。
・被覆材A6:アクリルポリマー(メチルメタクリレート-n−ブチルアクリレート-2−エチルヘキシルアクリレート共重合樹脂、ガラス転移温度5℃):シラン化合物(ポリエーテル鎖含有トリメトキシシラン):赤外線反射性粉体(鉄クロム複合酸化物)=98:2:8(固形分重量比)の黒色水性被覆材。
・被覆材A7:アクリルポリマー(メチルメタクリレート-n−ブチルアクリレート-2−エチルヘキシルアクリレート共重合樹脂、ガラス転移温度5℃):シラン化合物(ビニルトリメトキシシラン):赤外線反射性粉体(鉄クロム複合酸化物)=98:2:8(固形分重量比)の黒色水性被覆材。
・被覆材A8:アクリルポリマー(メチルメタクリレート-n−ブチルアクリレート-2−エチルヘキシルアクリレート共重合樹脂、ガラス転移温度5℃):ジメチルシロキサン(ジメチルシロキサンオリゴマーの合成物):赤外線吸収性粉体(カーボンブラック)=80:20:8(固形分重量比)の黒色水性被覆材。
・被覆材B1:シリカ(水分散性シリカゾル、pH7.6、平均一次粒子径27nm):アクリルシリコンポリマー(メチルメタクリレート-n−ブチルアクリレート-2−エチルヘキシルアクリレート-γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン共重合樹脂、ガラス転移温度18℃)=1.5:1(固形分重量比)の水分散液。
・被覆材B2:アクリルシリコンポリマー(メチルメタクリレート-n−ブチルアクリレート-2−エチルヘキシルアクリレート-γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン共重合樹脂、ガラス転移温度18℃)の水分散液。
上述の方法で得られた板状壁材を、汚染物質懸濁液(濃度1重量%)に2時間浸漬し、引きあげて標準状態で24時間放置した後、水洗・乾燥した。以上の処理を行った板状壁材の被膜に対し、赤外線ランプを50cmの距離から照射し、温度上昇が平衡に達したときの試験体裏面温度を測定し、温度上昇抑制性を評価した。評価は、温度が55℃未満であったものを「A」、55℃以上60℃未満であったものを「B」、60℃以上65℃未満であったものを「C」、65℃以上であったものを「D」とする4段階(A>B>C>D)で行った。
上記試験で使用した被覆材と、その試験結果を表1に示す。試験例1〜7では、良好な結果が得られた。
(試験体作製)
前記<試験I>と同様の板状壁材を用意し、この板状壁材2枚を併設し、ボード間の連結部(幅10mm)に変性シリコーン系シーリング材(樹脂成分:アルコキシシリル基含有ポリエーテル重合体、可塑剤含有量:1重量%未満)を充填したものを塗装対象の基材とした。
このようにして得られた基材の全面に対し、被覆材Aを塗付け量80g/m2(固形分)でスプレー塗装し、1日間養生後、被覆材Bを塗付け量3g/m2(固形分)でスプレー塗装し、7日間養生した。なお、塗装、養生はすべて標準状態下で行った。
・密着性試験
上記方法で作製した試験体(300×150mm)を50℃の温水に72時間浸漬した後、各部位(連結部、凹部、凸部)の被膜にカッターナイフでクロスカットを入れ、このクロスカット部分にテープを貼り付けて剥ぐことにより密着性を評価した。評価は、異常が認められなかったものを「A」、剥れが認められたものを「C」とする3段階(A>B>C)で行った。
上記方法で作製した試験体(300×150mm)について、標準状態で引張り試験機にて水平方向に30%変位させたときの表面状態を観察し、追従性を評価した。評価は、異常が認められなかったものを「A」、割れ、剥れ等の異常が認められたものを「C」とする3段階(A>B>C)で行った。
上記試験で使用した被覆材と、その試験結果を表2に示す。試験例11〜13では、概ね良好な結果が得られた。
(試験体作製)
塗装対象の基材として、前記<試験II>と同様のものを用意した。
この基材の全面に対し、被覆材Aを塗付け量80g/m2(固形分)でスプレー塗装し、2時間養生した。次に、凸部のみに対し、被覆材A’を塗付け量80g/m2(固形分)でローラー塗装し、1日間養生した。その後、基材全面に対し、被覆材Bを塗付け量3g/m2(固形分)でスプレー塗装し、7日間養生した。なお、塗装、養生はすべて標準状態下で行った。
・被覆材A’1:アクリルポリマー(メチルメタクリレート-n−ブチルアクリレート-2−エチルヘキシルアクリレート共重合樹脂、ガラス転移温度5℃):ジメチルシロキサン(ジメチルシロキサンオリゴマーの合成物):赤外線反射性粉体(酸化チタン、酸化鉄、鉄クロム複合酸化物の混合物)=80:20:65(固形分重量比)、淡褐色。
前記<試験II>と同様の方法で、密着性試験、追従性試験を行った。試験で使用した被覆材と、その試験結果を表3に示す。試験例18では、良好な結果が得られた。
2:板状壁材
3:既存被膜
31、32:着色領域
4:シーリング材
A:着色被膜(A)
A’:着色被膜(A’)
B:透明被膜(B)
Claims (3)
- 経年劣化した既存壁面に対し、化粧被膜が設けられた化粧壁面であって、
当該既存壁面は、凹凸模様を有する複数の板状壁材によって構成され、当該板状壁材どうしの連結部には、シーリング材が充填されているものであり、
当該化粧被膜として、
当該既存壁面の表面には、アクリルポリマーマトリクス中に赤外線反射性粉体、アミノシラン及びジメチルシロキサンが混在する着色被膜(A)が設けられ、
当該着色被膜(A)の上には、平均一次粒子径1〜200nmのシリカを含む透明被膜(B)が設けられたことを特徴とする化粧壁面。 - 上記着色被膜(A)上の一部の領域に対し、上記着色被膜(A)とは異色であって、赤外線反射性粉体及び/または赤外線透過性粉体を含む着色被膜(A’)が設けられ、
当該着色被膜(A’)の上には、上記透明被膜(B)が設けられたことを特徴とする請求項1記載の化粧壁面。 - 上記シーリング材中の可塑剤含有量が5重量%以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の化粧壁面。
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