JP2006213741A - 多彩模様塗料用ゲル着色顔料及びその製造方法、並びに多彩模様塗料 - Google Patents

多彩模様塗料用ゲル着色顔料及びその製造方法、並びに多彩模様塗料 Download PDF

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Abstract

【課題】 貯蔵安定性に優れた着色成分を用いることにより安定して多彩模様塗料を作製する。分散媒が濁ったり分散媒本来の色が変わったりすることのない鮮明な多彩模様塗料を得る。濁りのない鮮明な塗膜を有する塗布物を得る。
【解決手段】 着色ゲルを含有する多彩模様塗料であって、該着色ゲル中の顔料の平均粒径が0.08〜6μmである多彩模様塗料。
【選択図】なし

Description

本発明は、内壁、外壁、天井、扉等の建築物内・外装面、あるいは家具、家電、車両、船舶、橋梁等に美観を与えるために使用される多彩模様塗料に含まれるゲルを着色する顔料に関するものである。
内壁、外壁、天井、扉等の建築物の内装や外装、その他の各種構造物に対して、石目様をはじめ意匠性に優れた多彩模様の仕上げ面を得る方法が工夫されている。例えば、着色骨材(砂利、雲母等)を混ぜ込んだ塗料を塗工したり(例えば特許文献1)、間欠的なスプレー塗布等により複数色の塗料を色むらが残るように塗工する方法(例えば特許文献2、特許文献3)が挙げられる。その他、感熱ゲル性のエマルジョン塗料を用いて塗装した後、不均一な加熱を行う塗装法が知られている(例えば特許文献4)。
しかしこれらの方法は塗料配合後の塗料物性の安定性が悪く沈降を起こしやすいものであったり、施工に技術を要するか専用の塗工設備を必要とする等の課題が残されている。
一方で近年、液状又はゲル状の二色以上の色の粒が懸濁した塗料を用いて塗工する方法が、多彩模様塗料として提案されている(例えばJIS K 5667)。この多彩模様塗料によれば、一回の塗布により比較的簡便に多彩模様を付与することができ、前記の各方法に比べ使用しやすいというメリットを有している。このような多彩模様塗料の種類としては、油性分散媒の中に油性の色の粒を分散した油中油型(O/O型)、油性分散媒の中に水性の色の粒を分散した油中水型(W/O型)、水性分散媒の中に油性の色の粒を分散した水中油型(O/W型)、水性分散媒の中に水性の色の粒を分散した水中水型(W/W型)の4種に区分される。
中でも、塗料中の有機溶剤濃度が少ないか有機溶剤を含有しない環境対応型の塗料として、O/W型もしくはW/W型が注目されている。O/W型の多彩模様塗料はJ.C.Zoraにより実用化されたとされ汎用されているが、構造物の内装施工後に有機溶剤が残留しないW/W型が、より好ましいと考えられている。
多彩模様塗料において、模様を形成する色の粒の形態としては、液状又はゲル状の二種が知られている(JIS K 5667)。このうちゲル状のものである着色ゲルのほうが、粒の大きさが経時で変化せず安定しており、貯蔵による特性の安定性が良好である。また、スプレー塗装にさいしては勿論のこと、ローラー塗布や刷毛塗りの際に加わる高いシェアー下でも色の粒が破壊されにくく品質の維持が図りやすいという点で、着色ゲルを使用したものが注目されている。例えば非特許文献1には、多彩模様塗料における従来のスプレー塗装による塗料の飛散の問題への対処のため、ローラー塗装が可能な多彩模様塗料として、水中に分散した粒子に内部架橋を導入することによりカラー粒子に塗装シェア耐性を与え、つなぎとしてのクリヤーバインダーとして高耐候性・高耐久性を備えた水性樹脂を用いることにより造膜安定性と耐候性・耐久性を両立させた多彩模様塗料が提案されている。
ゲルの着色には染料あるいは顔料の使用があり得るが、耐久性の点で一般に顔料が用いられている。着色顔料を含む成分をゲル化することにより、水性分散媒に着色ゲルを分散した多彩模様塗料が得られる。
これらO/W型もしくはW/W型の多彩模様塗料における着色ゲルを形成するには、ゲル化反応が利用される。例えば、O/W型では、ポリイソシアネート、ポリアミン、ポリオール、自己架橋性樹脂等の架橋剤、硬化触媒がゲル化剤として用いられている。O/W型の多彩模様塗料としては例えば特許文献5、特許文献6には、有機溶媒ベースのエナメルを不連続相として分散した水中油型の多彩模様塗料において、ローラー塗装のような高シェア塗装においてもエナメル分散粒子が融着することなく塗装できる多彩模様塗料を提供するべく、架橋性官能基を有する共重合体を用いて得られたエナメルを水分散後に架橋成分を添加してエナメル粒子の表層を架橋することが記載されている。ここで共重合体としてはイソシアネート基、エポキシ基、アミノ基、アルコキシシリル基等の架橋性官能基を有するものを用い、架橋成分としてはポリオール、ポリアミン等の硬化触媒を用いている。また着色エナメル粒子の製造は単に共重合体溶液、顔料、溶剤を配合、撹拌して分散することにより行い、得られた着色エナメル粒子を水分散媒に分散して架橋成分を配合している。
またW/W型としては例えば特許文献7には、水溶性樹脂をビヒクル成分とする着色水性塗料をポリアミノカルボン酸誘導体で分散相粒子表面をゲル化せしめて水分散体として水性多彩模様塗料を得ることが記載されている。すなわち水溶性樹脂を用いた着色水性塗料を分散相とし、これをポリアミノカルボン酸誘導体の分散媒の中に配合して撹拌混合して水性多彩模様塗料を得ることが記載されている。
また特許文献8には、粒子経10〜500μmの液状着色粒子を含有する着色塗料組成物が記載され、この液状着色粒子が塗膜形成成分を含有しかつカプセル化された粒子であることが記載されている。着色粒子をゲル化膜でカプセル化する方法としてはポリビニルアルコールのような親水性コロイド形成物質と、該コロイド物質を不溶化することのできるホウ酸のような不溶化剤(ゲル化剤)とが作用しあって一種の三次元網状組織の形成されるゲル化反応を利用することが記載されており、より具体的には塗料バインダーを合成樹脂エマルジョンとし、かつ親水性コロイド形成物質を含有せしめた液状物を、ゲル化剤を含む水性分散媒中に加えて分散機で分散することが記載されている。
その他W/W型として特許文献9号公報には、樹脂エマルジョンにジェランガムの繊維状、鱗片状の含水着色ゲル粒子を分散させた多彩模様被覆組成物が記載されている。ここで繊維状ゲル着色粒子は例えばジェランガムの水溶液とアクリルウレタン共重合体樹脂エマルジョン並びに着色顔料の水分散体との混合物に塩化カルシウム等のゲル化剤を添加して繊維状にゲル化させて得ることが記載されている。
また特許文献10には、半透明水系分散媒に着色粒子が分散された塗料組成物が記載されており、このためにまずアクリル樹脂等の樹脂成分、顔料、溶剤等を配合して着色塗料を調製し、これを水系分散媒中に分散しここに架橋剤、硬化触媒を添加して混合することが記載されている。
また特許文献11には、熱不可逆ゲル粒子を含有する水性塗料組成物が記載されている。ここで熱不可逆ゲル粒子は、ゲル形成物質のゲル化により形成され、粒子全体が均一にゲル化した粒子であり、70℃に加熱しても溶融しない性質を有するものであるとされている。ゲル形成物質として例えばグルカン、グルコマンナン等が挙げられ、さらに必要に応じ樹脂、顔料等を含む液状組成物をゲル化して粉砕して粒子状に分散させる方法が記載されている。
特許文献12には、顔料をキトサンで被覆したものを含有する、キトサン含有水性多彩模様塗料組成物が記載されている。より具体的には市販の樹脂分散型着色顔料を水酸化ナトリウム等の水溶液に添加して着色顔料の表層を被覆化しゲル化現象を起こす。このゲル化した着色顔料の液にキトサン/酸イオン錯体を添加してキトサン膜被覆顔料を得、多彩模様塗料に用いることが記載されている。
特許文献13には、水性合成樹脂エマルジョン、感熱ゲル化剤及び着色剤を含有する感熱ゲル型エマルジョン組成物を当該組成物のゲル化温度以上の水中に滴下してゲル化することにより着色高分子粒体を得ることと、この着色高分子粒体を二種以上と水性合成樹脂エマルジョン系クリヤー塗料を含有させた水性多彩模様塗料組成物が記載されている。
「塗料の研究」No.130 Apr.1998 特開平6−220971号公報 特公平6−64750号公報 特開平10−34073号公報 特開平10−34074号公報 特開平9−302281号公報 特開平9−302282号公報 特開昭51−7035号公報 特開昭64−16879号公報 特開平9−208862号公報 特開2003−25528号公報 特開2003−165954号公報 特開2003−306646号公報 特開2003−41196号公報
O/W型やW/W型の多彩模様塗料を前述した各方法により作製した場合、得られた塗料は時に着色ゲルから色が溶出して、分散媒が濁ったり色が変わったりすることがあることが本発明者らの検討によりわかった。さらに、このような塗料を塗工すると、着色ゲル部と分散媒の境界が曖昧になったり、濁りを生じて鮮明な多彩模様が得られない現象が見られることも本発明者らの検討によりわかった。本発明は着色ゲルからの色の溶出を抑制することにより、分散媒に濁りを生じず、鮮明な多彩模様を得ることができる多彩模様塗料用着色ゲル及び多彩模様塗料を提供することを目的とする。
本発明者らは上記の目的に鑑みて鋭意検討を重ねた。その結果、ある特定の粒径の着色材で着色された着色ゲル粒子により上記目的を達成できること、またこのような着色ゲル粒子を得るために有用な特定の方法を見出して本発明に到達した。すなわち、平均粒径が0.08〜6μmの間にある顔料を用いてゲル粒子を着色することにより上記課題を解決できることを見出し本発明に至った。
本発明によれば、貯蔵安定性に優れた着色成分を用いることにより安定して多彩模様塗料を作製することができ、かつ分散媒が濁ったり分散媒本来の色が変わったりすることのない鮮明な多彩模様塗料が得られる。そして、この塗料を塗布することにより、濁りのない鮮明な塗膜を有する塗布物が得られる。
すなわち本発明は、
(1)着色ゲルを含有する多彩模様塗料であって、該着色ゲル中の顔料の平均粒径が0.08〜6μmである多彩模様塗料、
(2)分散媒として水性分散媒を含有する上記(1)記載の多彩模様塗料、
(3)平均粒径が0.08〜6μmである多彩模様塗料用着色ゲル用着色顔料、
(4)顔料を予め平均粒径が0.08〜6μmに分散しておき、これをゲル化可能な材料を含む液体と混合してゲル化反応を行うことにより着色されたゲル粒子を生成させる工程を含むことを特徴とする多彩模様塗料の製造方法、
(5)顔料を、単独あるいは他の液体と混合してゲル化可能な材料を含む液体中に、予め平均粒径が0.08〜6μmの状態に分散しておき、その後ゲル化反応を行って着色されたゲル粒子を生成させる工程を含むことを特徴とする多彩模様塗料の製造方法、
(6)着色されたゲル粒子であって、該ゲル粒子中に顔料を含み、該顔料の平均粒径が0.08〜6μmである着色されたゲル粒子を含有することを特徴とする多彩模様塗料、
に存する。
〔多彩模様塗料〕
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の多彩模様塗料は、着色ゲル粒子すなわち着色成分を含むことにより着色されたゲル粒子を含有するものである。一般には、着色ゲル粒子、塗膜形成材料、及び溶剤を主な成分としている。
〔着色ゲル粒子〕
着色ゲル粒子は、代表的には以下の方法により得ることができる。例えば、ゲル化可能な材料(A)、顔料等の着色材(B)、溶剤(C)を予め均一に分散しておく(これを液Iとする)。また塗膜形成材料(D)、ゲル化剤(E)、水を予め均一に分散しておく(これを液IIとする)。これら液Iと液IIを混合することによりゲル化反応を行い、着色ゲル粒子を形成する。液Iと液IIによるゲル化反応の方法は制限されないが、液Iと液IIを混合することにより反応させることができる。例えば、液IIに液Iを滴下し、この時に、滴下条件を調整することによりゲル粒子の粒径その他の形状を調整できる。
液Iを液II中に滴下すると、液I中のゲル化可能な材料(A)が塗料II中のゲル化剤(E)と反応してゲルを形成する。その際に着色材(B)がゲルの網目構造の中に固定される。その結果、おもに液IIに由来する水性分散媒中におもに液Iに由来する着色ゲルが分散された多彩模様塗料が得られる。
油性ゲルを形成する場合のゲル化可能な材料(A)は、ゲル化可能な材料であれば特に制限されない。一般には硬化剤や硬化触媒によって架橋する官能基を有しており、顔料分散性が良好で塗膜強度、耐光性、耐水性等、必要な塗膜物性を満たす樹脂あるいはその前駆体等を含んでいるものが挙げられ、特に種類を問わない。例えば、アクリル系、ウレタン系、アクリル・ウレタン系、アクリル・シリコーン系、シリコーン系、フッ素系、エポキシ系、エステル系、ビニル系等あるいはこれらの複数種類の樹脂を混合したものが挙げられる。
水性ゲルを形成する場合のゲル化可能な材料(A)も、ゲル化反応が起こり顔料分散性、塗膜物性が良好であれば特に種類を問わない。例えば、アクリル系、ウレタン系、アクリル・ウレタン系、アクリル・シリコーン系、シリコーン系、フッ素系、エポキシ系、エステル系、ビニル系の樹脂等、特に水溶性樹脂等が挙げられる。また、これらの1種あるいは2種以上を使用することもできるし、水溶性樹脂に限らず水系エマルジョンであっても問題ない。特に金属塩、ホウ酸塩等とのゲル化反応が進みやすい有機高分子として、グルカン、アラビアガム、アルギン酸、カラギーナン、ガラクトマンナン、キサンタンガム、キトサン、グルコマンナン、ジェランガム等の多糖類およびその誘導体、ポリビニルアルコール等を使用もしくは添加することができる。さらに個々の物性を満たすためにラテックス系等の樹脂を添加してもよい。
塗膜形成材料(D)も塗膜を形成しうる材料であれば制限されないが、一般には、水溶性樹脂あるいは水系エマルジョンが望ましい。要求される塗膜物性が満たされ、液II中に共存するゲル化剤(E)との反応が進まなければ構わず、具体的にはアクリル系、ウレタン系、アクリル・シリコーン系、シリコーン系、フッ素系、エポキシ系、エステル系、ビニル系等の樹脂が挙げられ、特に種類を問わない。
油性ゲルを形成する場合のゲル化剤(E)は、例えばポリイソシアネート、ポリアミン、ポリオール、自己架橋性樹脂等の架橋剤、硬化触媒が挙げられる。
水性ゲルを形成する場合のゲル化剤(E)は、ゲル化可能な材料の種類に応じてポリアミノカルボン酸誘導体、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩、ストロンチウム塩、アルミニウム塩、ホウ酸塩、リン酸塩、タンニン酸等が用いられる。
溶剤(C)はゲル化可能な材料、顔料が安定して溶解もしくは分散するものであれば特に種類を問わない。油性ゲルを形成する場合、例えば、ミネラルスピリット、ターペン、石油ベンゼン等の脂肪族炭化水素類、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素類、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブ等のエーテルアルコール類、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類が挙げられる。水性ゲルを形成する場合は水あるいは水性媒体が該当する。
着色材(B)としては主に顔料が好ましい。顔料としては特に制限されず、通常の塗料に用いられるものを適宜選択して用いればよい。例えば、カーボンブラック、鉄黒、黒鉛、弁柄、黄色酸化鉄、群青、酸化チタン等の無機顔料、キナクリドンレッド、キナクリドンバイオレット、パーマネントカーミン、ファーストエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の有機顔料が使用できる。屋外使用の場合は、耐候性の面で無機顔料が推奨される。
顔料(B)を液I中に添加する順序は、まず顔料(B)を分散媒に分散して分散体を得た後に、これを液Iの他の成分と配合しても良いし、顔料(B)をゲル化可能な材料と配合して分散してから液Iの他の成分と配合してもよいが、着色材の粒径の調整は、予め分散体を得る方法のほうが容易であり望ましい。
本発明では、顔料(B)がゲル粒子中で、平均粒径は0.08〜6μmであることを特徴とする。特に好ましくは0.1〜5μm、さらに好ましくは0.2〜5μmである。
着色材の平均粒径が0.08μm未満だと、液IIの分散媒が濁ったり色が変わったりして塗料の鮮明性を損なうという問題を生じる。一方、6μmを越えると着色ゲル粒子を作製するまでに経時で液I中の顔料が沈降して色むらが起こりやすくなるという問題を生じる。これは、着色ゲル粒子は、ゲル化した樹脂の網目構造の中に着色顔料粒子が分散された状態にあるが、着色顔料粒子が小さいとゲルの網目から抜けやすくなり、その結果、溶出した顔料に起因する水性分散媒の着色が生じることが考えられる。また、水性分散媒が既に着色ゲルとは異なる色に着色されている場合には、そこに着色ゲルから溶出した顔料が混じって色濁りが生じることが考えられる。このような現象を抑えるには、着色顔料の平均粒径は0.08μm以上とすることにより色の溶出、色濁りが抑えられると考えられる。
着色ゲル粒子中の顔料の粒径をこの範囲に調整するには、予め、顔料を分散媒に分散しておくことが挙げられる。この際の粒径を、この範囲に調整しておけば、ゲル化可能な材料等と配合して液Iとし、さらには液IIと配合してゲル化反応を行いゲル粒子を形成させることにより、得られる着色ゲル粒子中の顔料の粒径もこの範囲に調整できる。このことにより、着色ゲル粒子からの色の溶出、色濁りを抑えることができる。ここで、予め顔料を分散媒に分散して粒径を調整する方法としては、顔料分散の一般的な手法を採用すればよく、粒径モニタリングの一般的な方法を採用することができる。具体的には、顔料分散体中の粒径の一般的な測定方法を用いることができ、より具体的には、粒径測定装置(ベックマンコールター社製N4PLUS、ハネウェル社製マイクロトラックUPA等)による測定が挙げられる。
また、ここでいう顔料の粒径とは分散媒中、ゲル粒子中で存在している状態での粒径であり、前記の顔料分散体中の粒径の一般的な測定方法を用いることができる。
本発明者らの検討により、顔料分散体中での粒径がゲル粒子中でも維持されることが確認された(後述の実施例参照)。また実際にゲル粒子中での顔料粒子の分散粒径も特定することができる。その確認方法は例えば、ゲル化可能な材料(A)にアルギン酸を、ゲル化剤(E)にカルシウムイオンを使用した場合、着色ゲル粒子を十分に水洗した後、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)水溶液に浸漬、加温する。これによりアルギン酸と結合していたカルシウムイオンがEDTAと結合する結果、ゲル構造の一部が破壊されて顔料粒子が溶出する。この溶出液を粒径測定に供することによりゲル粒子中の顔料の平均粒径が求められる。またこの方法により、ゲル形成前の顔料分散体での顔料粒径に近い値が得られること、これより、顔料はゲル形成後もゲル形成前の粒径をほぼ維持していることが確認できた。
一方、顔料の分散粒径が大きい場合には、顔料分散体の経時安定性に問題が生じ沈降が起こることがある。また液Iの保管時にも沈降が起こりやすくなる。その結果、安定した色、品質の多彩模様塗料を作製することが困難になり、顔料分散体や液Iを使用の都度十分に攪拌あるいは攪拌を継続するといった煩雑さが生じる。顔料の平均粒径を6μm以下とすることにより、このような沈降等の問題を抑えることができる。
以上、基本的な構成成分について記述したが、他に必要に応じて体質顔料、増粘剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤等を適宜配合することができる。例えば、体質顔料としては炭酸カルシウム、タルク、カオリン、クレー、珪藻土等が挙げられる。
中間色のゲルを得るには、複数の色の顔料(B)を液Iの他の成分中に同時に添加することにより達成される。また、個々の色が異なる複数色のゲル粒子を得るには、1種類ずつ着色ゲル粒子を作製した後にこれらを混合することにより達成される。
水性分散媒を着色するには、液IIに着色材を添加しておくか、ゲル形成後の塗料に着色材を添加すれば良い。こうすることにより、着色された水性分散媒の中に着色ゲル粒子が分散された塗料が得られる。水性分散媒の着色顔料の種類は、着色ゲル粒子の作製に用いられる顔料と同様、特に制約はないが、沈降抑制の点で平均粒径は6μm以下が好ましい。
水性分散媒の中には、塗料成分の溶解性向上剤、塗布乾燥時の造膜助剤として、有機溶剤を微量添加することがある。有機溶剤として、例えばブチルセロソルブ、メチルセロソルブ等のエーテルアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類等が挙げられる。しかし、これらを用いることによりゲル化反応が阻害されたり、顔料が溶出しやすくなる等の悪影響が懸念されるため、有機溶剤の含有量は5%以下であることが望ましい。
液Iを液IIに添加する方法としては、液IIを撹拌した状態のところに液Iを滴下するのが好ましい。着色ゲル粒子の大きさは、液IIの撹拌速度や液Iの滴下速度により調整できる。
多彩模様塗料の作製方法として、他に、液Iにゲル化剤を混合してまず着色ゲルを形成した後にゲル化剤を含まない液IIに分散する方法も存在する(例えば特開2003−165954号公報)。この方法においてもゲル粒子を着色している顔料は既にゲルの網目構造の中に捕捉されているので本発明の効果が十分発揮される。
また、別法として、ゲル化剤だけを含む水に液Iを滴下してまず着色ゲル粒子を作製し、着色ゲル粒子を濾過、水洗、回収した後に液IIに分散する方法がある。この場合はゲル着色顔料が小さくてゲルの網目構造 から抜け出すことがあっても水洗により除去されるため、液IIに分散した後の塗料の濁りは比較的抑制される。しかし、本発明による着色ゲル粒子を使用すると、このような製法においても顔料がゲル粒子の網目構造から抜け出すのを抑制できるので水洗の必要性が低くなるとともに、着色ゲル粒子を液IIに分散した後でも着色顔料が溶出するのを抑制する効果がある。
以上のように、O/W型、W/W型の多彩模様塗料には複数の作製方法があるが、本発明に基づく着色ゲル粒子を用いれば、いずれの方法においても着色ゲル粒子からの色の溶出を抑える効果があり、濁りのない鮮明な意匠性を有する多彩模様塗料を得ることができる。このように本発明に基づく着色ゲル粒子は特に作製方法を選ぶものではないが、製法上水洗や濾過等の工程を含まず、水性分散媒中で直接着色ゲル粒子を形成するという最も安価で容易な多彩模様塗料の作製方法に適用されることが効果的であり好ましい。
以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明する。なお特に断りのない限り、「部」及び「%」は「重量部」及び「重量%」を示す。
(実施例1)
まず表−1に示す各種カラー(顔料分散体)を準備した。表−1に記載した種類の各顔料を、表−1に示した液中顔料濃度で、アクリル系の分散剤水溶液(各々のカラーにおける分散剤の固形分換算濃度も表−1に示す)に添加して、縦型ビーズミルで分散した。顔料の粒径制御は顔料グレードの選定と分散時間の調整にて行なった。得られた分散体中の顔料の平均粒径を表−1に示す。平均粒径の測定は粒径測定装置(ベックマンコールター社製N4PLUS)による測定、もしくはビデオマイクロスコープによる観察によった。すなわち、平均粒径がおよそ1μm以下の場合は粒径測定装置による測定を、平均粒径がおよそ1μm以上の場合はビデオマイクロスコープによる観察を適用した。

















Figure 2006213741
次に表−2に示す液I、表−3に示す液IIを作製した。続いて液II50gをインペラーで攪拌しながら液I100gを滴下していった。ここで液I中のポリビニルアルコールが液II中のホウ酸イオンと、液I中のアルギン酸が液II中のカルシウムイオンと結合してゲル化が促進される。その結果、液II主体の水性分散媒中に液I主体の着色ゲルが形成された。
Figure 2006213741
Figure 2006213741
カラーの貯蔵安定性および液Iの貯蔵安定性は、作製後1日間静置した後に沈降の程度を目視観察することにより評価した。
○:沈降ほとんどなし
△:沈降わずか
×:沈降大
着色ゲル粒子を分散した塗料の鮮明性の評価は、ゲル分散塗料を作製後1時間静置してから、おもに液IIに由来するゲル化していない液状部分の着色の程度を目視判定することにより行なった。
○:着色ほとんどなし
△:若干着色気味
×:着色大
判定結果を表−4に示す。
Figure 2006213741
カラーおよび液Iの貯蔵安定性は、顔料の平均粒径が6μm以下で良好な結果となった。また、着色ゲルを分散した塗料は、顔料の平均粒径が0.08μm以上においてゲル化していない液状部分の着色があまりない鮮明な塗料が得られた。
さらに、カラー2を用いて作製した黒色ゲル分散塗料とカラー7を用いた白色ゲル分散塗料を1:1で混合したものを、刷毛で台紙の上に広げて乾燥した。その結果、白色部分と黒色部分が混在し、かつ灰色部分のない鮮明な多彩模様が得られた。一方、カラー14を用いて作製した黒色ゲル分散塗料とカラー7を用いた白色ゲル分散塗料を1:1で混合したものを、刷毛で台紙の上に広げて乾燥した。その結果、白色部分、黒色部分以外に灰色が混じった濁りのある多彩模様が得られた。
なお一部の実施例において、作製された着色ゲル中に存在する顔料の粒径測定を行った。カラー6を用いた着色ゲル粒子を十分に水洗した後、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)水溶液に浸漬、加温した。これによりアルギン酸と結合していたカルシウムイオンがEDTAと結合する結果、ゲル構造の一部が破壊されて酸化チタンが溶出する。この溶出液を粒径測定に供したところ、0.81μmと、ゲル形成前の顔料粒径に近い値が得られた。これより、顔料はゲル形成後もゲル形成前の粒径をほぼ維持していることがわかる。
本発明により、貯蔵安定性に優れた着色成分を用いることにより安定して多彩模様塗料を作製することができ、かつ分散媒が濁ったり分散媒本来の色が変わったりすることのない鮮明な多彩模様塗料が得られる。そして、この塗料を塗布することにより、濁りのない鮮明な塗膜を有する塗布物が得られる。

Claims (6)

  1. 着色ゲルを含有する多彩模様塗料であって、該着色ゲル中の顔料の平均粒径が0.08〜6μmである多彩模様塗料。
  2. 分散媒として水性分散媒を含有する請求項1記載の多彩模様塗料。
  3. 平均粒径が0.08〜6μmである多彩模様塗料用着色ゲル用着色顔料。
  4. 顔料を予め平均粒径が0.08〜6μmに分散しておき、これをゲル化可能な材料を含む液体と混合してゲル化反応を行うことにより、着色されたゲル粒子を生成させる工程を含むことを特徴とする多彩模様塗料の製造方法。
  5. 顔料を、単独あるいは他の液体と混合してゲル化可能な材料を含む液体中に、予め平均粒径が0.08〜6μmの状態に分散しておき、その後ゲル化反応を行って着色されたゲル粒子を生成させる工程を含むことを特徴とする多彩模様塗料の製造方法。
  6. 着色されたゲル粒子であって、該ゲル粒子中に顔料を含み、該顔料の平均粒径が0.08〜6μmである着色されたゲル粒子を含有することを特徴とする多彩模様塗料。
JP2005005487A 2004-11-22 2005-01-12 多彩模様塗料用ゲル着色顔料及びその製造方法、並びに多彩模様塗料 Pending JP2006213741A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008214385A (ja) * 2007-02-28 2008-09-18 Kansai Paint Co Ltd 着色塗料粒子分散物の製造方法
JP2008221197A (ja) * 2007-02-16 2008-09-25 Sk Kaken Co Ltd 塗装方法
JP2009067870A (ja) * 2007-09-12 2009-04-02 Kansai Paint Co Ltd 水性多彩模様塗料
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KR102410048B1 (ko) * 2021-09-28 2022-06-16 박윤정 수성 무늬도료 조성물 제조방법 및 이에 의해 제조된 수성 무늬도료 조성물

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