JP5074637B2 - ベシクル組成物、それを含有する皮膚外用剤及び化粧料 - Google Patents

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Description

本発明は、ベシクル組成物、それを含有する皮膚外用剤及び化粧料に関する。
ベシクル(両親媒性物質が形成する二分子膜構造を有した閉鎖小胞)は、この特異的な構造ゆえに有効成分を内包することができるので、ドラッグデリバリーシステム等へのキャリアとして注目されている。
このベシクルを構成する代表的な両親媒性物質として生体由来のリン脂質が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。そして、このリン脂質からなるベシクルはリポソームと呼ばれ、天然由来の成分であり、生体への安全性の面からも多くの検討がなされている。しかしながら、リン脂質は、pHや温度、更には電解質の影響等を受けやすいため、経時安定性上の多くの制約がある(例えば、非特許文献1)。このため、非特許文献1では、ヒマシ油、大豆油、アルギニン、メチオニン、コレステロール、フィトステロール、カゼイン、モノグリセリド、ジグリセリドが安定化する添加剤として挙げられている。
また、電解質を配合しても保存安定性が有効となるように、リゾリン脂質、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリン等の油、電解質美容成分及び水、更にポリオキシエチレンステロールエーテルを含有する液状乳化化粧料が知られている(例えば、特許文献3参照)。
一方で、リン脂質以外の両親媒性物質としてポリオキシエチレン硬化ヒマシ油エーテル又はポリオキシエチレンヒマシ油エーテルという非イオン性の合成界面活性剤を用いたベシクルが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
特開2010−59066号公報 特開2008−88133号公報 国際公開第2005/77322号パンフレット 特開昭59−16534号公報
「機能性化粧品の開発」 P.122−123、(2000)
しかしながら、リン脂質は、一般的に、グリセリン骨格のC−1,2位に脂肪酸がエステル結合している。このため、経時によって、ベシクル系に含まれるリン脂質の結合が切断されてしまい、その結果、脂肪酸が遊離することがしばしばある。更に、遊離した脂肪酸が系のpHを低下させ、更にベシクルの分散安定性を低下させる。また遊離した脂肪酸は、製品の黄色化及び臭気を生じさせ、製品の品質の低下の原因となる。このため、リン脂質は水難溶性物質の安定配合や皮膚内への浸透貯留性に優れるとともに高い保湿効果を有しているものの、電解質やpH等の外部因子に大きく影響されやすく、経時安定性が重要な問題点となっている。
また、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油エーテル又はポリオキシエチレンヒマシ油エーテルの非イオン性界面活性剤を用いても、後述する比較例3に示すように経時安定性がよくないという実状がある。
このように、更なるベシクルの経時安定性について検討が必要である。
そこで、本発明は、斯かる従来の問題と実状に鑑み、経時安定性に優れているベシクル組成物、それを含有する皮膚外用剤及び化粧料を提供することに関するものである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ステロール骨格を有するエーテル系非イオン性界面活性剤及びモノアルキルグリセリルエーテルを含有するベシクル組成物を使用することにより、優れた経時安定性、特に耐塩性及び耐酸性・耐アルカリ性を有する新たなベシクルが形成されることを見出した。そして、斯様なベシクル組成物を用いれば、通常電解質を含んでいる皮膚外用剤及び化粧料等でも、ベシクルの経時安定性が維持され易いことも見出した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[7]に係わるものである。
[1]次の成分(A)及び(B):
(A)ステロール骨格を有するエーテル系非イオン性界面活性剤
(B)モノアルキルグリセリルエーテル
を含む構成膜を有するベシクルを含有するベシクル組成物。
[2]前記膜成分が、さらに成分(C)としてベシクル形成助剤を含む上記[1]記載のベシクル組成物。
[3]前記ベシクル形成助剤が、ステロール類及びセラミド類から選ばれる1種又は2種以上のものである上記[2]記載のベシクル組成物。
[4]前記成分(A)及び前記成分(C)の含有質量比が、1:4〜4:1である上記[2]又は[3]記載のベシクル組成物。
[5]前記成分(A)と前記成分(C)の合計質量と前記成分(B)の質量との含有質量比が、〔(A)+(C)〕:(B)=12:1〜1:12である上記[2]〜[4]のいずれか1つ記載のベシクル組成物。
[6]前記[1]〜[4]のいずれか1つのベシクル組成物を含有する皮膚外用剤。
[7]前記[1]〜[4]のいずれか1つのベシクル組成物を含有する化粧料。
本発明によれば、ベシクルの経時安定性が優れているベシクル組成物、それを含有する皮膚外用剤及び化粧料を提供することができる。
本発明のベシクル組成物の小角X線散乱(Saxs)測定結果を示す。 本発明のベシクル組成物の透過型電子顕微鏡(TEM)観察結果を示す。 本発明のベシクル組成物の示差走査熱量(DSC)測定結果を示す。 本発明のべシクル組成物の蛍光偏光度測定結果を示す。 比較例のベシクル組成物の蛍光偏光度測定結果を示す。 比較例のベシクル組成物の蛍光偏光度測定結果を示す。
本発明のベシクル組成物は、成分(A)ステロール骨格を有するエーテル系非イオン性界面活性剤及び成分(B)モノアルキルグリセリルエーテルを含む構成膜を有するベシクルを含有するものである。
本発明の成分(A)ステロール骨格を有するエーテル系非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンステロールエーテルが挙げられ、フィトステロール骨格又はコレステロール骨格等のステロール骨格に、アルキレンオキサイドが付加したものを使用することができる。前記成分(A)を主としてベシクル膜を形成するための成分として用いているため、酸性やアルカリ性の条件下でも加水分解されにくく、ベシクル組成物の経時安定性を良好なものにする。
前記ステロール骨格部分の構造としては、コレステロール、コレスタノール、ラノステロール、セレグロステロール、デヒドロコレステロール、コプロスタノール等の動物系ステロール骨格;β−シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール及びエルゴステロール、フコステロール、スピナステロール及びブラシカステロール等の植物系ステロール骨格;ミコステロール及びチモステロール等の微生物系ステロール骨格;これらを水素付加又は水付加した誘導体が挙げられる。
動物系ステロール骨格を有するものは動物から主として得られる。例えば、羊毛脂から得られ、コレステロールやラノステロールを主成分とするラノリンアルコール又はその水素付加物等が挙げられる。
また、植物系ステロール骨格を有するものは植物から主として得られる。フィトステロールとは、一般的に、β−シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、フコステロール、スピナステロール、ブラシカステロール及びエルゴステロール等から選ばれる1種又は2種以上のものをいい、特に2種以上の混合物をいう。
前記ステロールに付加させるアルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、エチレン・プロピレンオキサイド等の炭素数2〜5のアルキレンが挙げられる。
また、前記アルキレンオキサイドの平均付加モル数は、好ましくは3〜40、より好ましくは5〜30、さらに好ましくは5〜10である。
これらは単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
このうち、ステロール骨格にエチレンオキサイド(「POEステロール」ともいう)が付加されたものが好ましい。当該ステロール骨格及びエチレンオキサイドの平均付加モル数は上述のとおりである。以下のこれらは単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
より具体的には、POE(5)コレステリルエーテル、POE(10)コレステリルエーテル、POE(15)コレステリルエーテル、POE(20)コレステリルエーテル、POE(24)コレステリルエーテル及びPOE(30)コレステリルエーテル等のポリオキシエチレンコレステリルエーテル類;POE(20)コレスタノール、POE(25)コレスタノール及びPOE(30)コレスタノール等のポリオキシエチレンコレスタノール類;POE(5)フィトステロール、POE(10)フィトステロール、POE(20)フィトステロール、POE(25)フィトステロール及びPOE(30)フィトステロール等のポリオキシエチレンフィトステロール類;POE(20)フィトスタノール、POE(25)フィトスタノール及びPOE(30)フィトスタノール等のポリオキシエチレンフィトスタノール類等が挙げられる。なお、前記具体例における括弧内の数値は、エチレンオキサイドの平均付加モル数を示す。以下も同様である。
これらのなかでも、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル類及びポリオキシエチレンフィトステロール類が、経時安定性の点から好ましい。更に、POE(5〜30)コレステロール及びPOE(5〜30)フィトステロールが好ましい。より、POE(5〜10)コレステロール及びPOE(5〜10)フィトステロールが好ましい。
本発明に用いられる成分(A)ステロール骨格を有するエーテル系非イオン性界面活性剤の使用量は、特に限定されないが、ベシクル組成物を得る際の全成分の使用量を100質量%としたとき(以下、「全使用量中」ともいう)、0.01〜10質量%とするのが好ましく、より0.05〜5質量%とするのが好ましく、更に0.1〜0.5質量%、より更に0.3〜0.5質量%とするのが、経時安定性の点から好ましい。
本発明の成分(B)モノアルキルグリセリルエーテルは、グリセリン中の1位の水酸基がエーテル化されているものである。前記成分(B)を主としてベシクル膜を形成するための成分として用いているため、酸性やアルカリ性の条件下でも加水分解されにくく、ベシクル組成物の経時安定性を良好なものにする。
例えば、下式に示すものが好適である。
R−O−CHCH(OH)−CHOH
(Rは直鎖又は分岐鎖の炭素数6〜30のアルキル基)
前記アルキル基が直鎖又は分岐鎖の炭素数8〜24を有するものが好ましい。このときの前記成分(B)としては、例えば、バチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、モノベヘニルグリセリルエーテル、モノ2−エチルヘキシルグリセリルエーテル、モノイソステアリルグリセリルエーテル、モノカプリルグリセリルエーテル、モノイソデシルグリセリルエーテル等が挙げられる。
これらのうち、前記アルキル基が炭素数12〜22のものが好ましく、更に炭素数16〜22のものが好ましい。更に、前記成分(B)のうち、バチルアルコール、キミルアルコール及びセラキルアルコールが好ましい。
本発明に用いられる成分(B)モノアルキルグリセリルエーテルの使用量は、特に限定されないが、全使用量中、0.01〜5質量%とするのが好ましく、より0.1〜2質量%とするのが好ましく、更に0.1〜1質量%とするのが好ましく、より更に0.1〜0.9質量%、殊更に0.1〜0.3質量%とするのが、経時安定性の点から好ましい。
更に成分(C)ベシクル形成助剤を含有するのが、経時安定性の点で好適である。
本発明に用いられる成分(C)ベシクル形成助剤は、ベシクルの形成や経時安定性をより良好にするためのベシクル膜形成成分であり、例えば、ステロール類及びセラミド類が挙げられ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。当該ステロール類は、難水溶性で低級アルコール等の有機溶媒に溶解しやすいものが好適である。
前記ステロール類としては、公知のステロール類を使用することができ、例えばコレステロール、コレスタノール、ラノステロール、セレグロステロール、デヒドロコレステロール、コプロスタノール等の動物性ステロール類;β−シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、フコステロール、スピナステロール、ブラシカステロール及びエルゴステロール等から選ばれる1種又は2種以上のフィトステロール、マカデミアンナッツ油脂肪酸コレステリル、ヤシ油脂肪酸コレステリル等の植物性ステロール類;ミコステロール、チモステロール等の微生物由来ステロール類等;及びこれらを水素付加又は水付加した誘導体が挙げられる。
このうち、動物性ステロール類及び植物性ステロール類が好ましく、更にコレステロール及びフィトステロール等が、耐塩性及び耐酸性・耐アルカリ性の点で好ましく、更にフィトステロールが好ましい。一般的にコレステロール及びフィトステロールは、水との親和性が低くかつ親油性があり、具体的には、水に溶けにくく有機溶媒(例えば炭素数1〜3の低級(一価や二価等)アルコール等)に溶けやすい性質を有している。
なお、上述のステロール類を1種又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
また、前記セラミド類としては、公知のセラミド類を使用することができ、例えば、天然セラミド、合成セラミド及びプソイドセラミド(合成擬似セラミド)等が挙げられる。このようなセラミド類は、経時安定性の他、保湿効果を高める点でも好適である。
このうち、低コストで純度調整が容易なので、合成セラミド及び/又はプソイドセラミドを用いることが、好ましい。これらのうち、具体的には、N−アシルスフィンゴシン、N−ヒドロキシアシルフィトスフィンゴシン、N−アシルフィトスフィンゴシンやタイプ1〜4のセラミド等が挙げられる。このうち、N−ステアロイルスフィンゴシン(セラミド2)が好ましい。
なお、上述のセラミド類を1種又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いられる成分(C)ベシクル形成助剤の使用量は、特に限定されないが、全使用量中、0.001〜3質量%とするのが好ましく、より0.05〜2質量%とするのが好ましく、更に0.05〜1質量%とするのが好ましく、より更に0.05〜0.5質量%、殊更0.2〜0.5質量%、より殊更0.3〜0.5質量%とするのが、経時安定性の点で、好ましい。
このとき、前記成分(A)及び前記成分(C)の含有質量比は、特に限定されないが、1:4〜4:1とするのが好ましく、更に1:2〜2:1、より更に2:3〜3:2とするのが、経時安定性、特に耐塩性及び耐酸性・耐アルカリ性の点で好ましい。
また、前記成分(A)と前記成分(C)の合計質量と前記成分(B)の質量との含有質量比は、特に限定されないが、〔(A)+(C)〕:(B)=12:1〜1:12とするのが好ましく、より9:1〜1:9とするのが好ましく、更に6:1〜3:7、より更に5:1〜3:2、殊更に5:1〜3:1とするのが経時安定性、特に耐塩性及び耐酸性・耐アルカリ性の点で好ましい。
本発明のベシクル組成物には、更に成分(D)電解質や難溶性物質を任意成分として含有させてもよい。ここで、電解質とは、溶媒(特に水)中でイオンに解離する物質をいい、高分子電解質や低分子電解質等が挙げられる。この電解質の使用目的としては、例えば、薬理効果(例えば、皮膚科学的に肌に有効な美容等)、安定性向上、保存性向上、増粘調整やpH調整等が挙げられる。前記皮膚科学的に肌に有効な美容目的としては、保湿、消炎、美白、紫外線防御等が挙げられる。また、難溶性物質とは、極性溶媒及び/又は非極性溶媒に溶けにくい物質をいい、例えば、上述のような薬効、安定性向上、保存性向上等を目的とする物質が挙げられ、このような物質をベシクル内部に内包させることが可能となる。
前記電解質(低分子電解質及び高分子電解質)としては、医薬品や化粧料等として通常用いられるものであれば、有機・無機を問わず用いることができ、特に限定されるものではない。また、以下の塩としては、特に限定されないが、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩又はマグネシウム、カルシウムアルカリ土類金属塩等が挙げられる。なお、以下の電解質を1種又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
前記低分子電解質としては、例えば、保湿効果目的としての、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸アルミニウムカリウム、リン酸水素ナトリウム等のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩等の無機電解質;ピロリドンカルボン酸塩、エデト酸塩、尿素、クエン酸、乳酸、乳酸ナトリウム、クエン酸塩、乳酸塩、コハク酸塩、リンゴ酸塩、L−アラニン、β−アラニン、L−アルギニン、L−アルギニン塩酸塩、L−アスパラギン一水和物、L−アスパラギン酸、ポリアスパラギン酸、L−シトルリン、L−システイン、L−システイン塩酸塩一水和物、L−シスチン、L−ドーパ、L−グルタミン酸、N−アシルグルタミン酸、L−グルタミン酸塩酸塩、L−グルタミン、ポリグルタミン酸、グルタミン酸塩、グリシン、トリメチルグリシン、L−ヒスチジン、L−ヒスチジン塩酸塩一水和物、L−ヒドロキシプロリン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リジン、L−リジン塩酸塩、L−メチオニン、L−オルニチン塩酸塩、L−プロリン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−αアミノ酪酸、グルコサミン塩酸塩、グルクロン酸ナトリウム等の有機酸、アミノ酸又は糖類等の有機電解質が挙げられる。
また、消炎効果目的としての、グリチルリチン酸塩類、グリチルレチン酸塩、サリチル酸、サリチル酸塩等が挙げられる。また、美白効果や抗酸化目的としての、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸−2−リン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸−2−リン酸マグネシウム、L−アスコルビン酸グルコシド(例えばL−アスコルビン酸2−グルコシド)、トラネキサム酸等のビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンE等のビタミン類等が挙げられる。紫外線防御目的として、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸塩、及びヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸塩等が挙げられる。
また、pH(アルカリ領域)調整目的としての、L−アルギニン等の塩基性アミノ酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物又は炭酸塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール等のアミン類等が挙げられる。
また、pH(酸領域)調整目的としての、L−アスパラギン酸、グルタミン酸等の酸性アミノ酸;乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、酢酸、コハク酸、リン酸、塩酸、硫酸、硝酸等の有機酸又は鉱酸等が挙げられる。
前記低分子電解質のうち、無機電解質(特にアルカリ金属塩)、有機電解質(特に有機酸)、ビタミン類(特にビタミンC類)が好適である。
前記高分子電解質としては、保湿、美白、抗酸化等を目的としての、ヒアルロン酸塩やキトサン塩酸塩等の動物系多糖類(酸性ムコ多糖類、塩基性多糖類等)又はその糖タンパク質、ガラクトマンナン等の植物系多糖類やカラギーナン等の海藻系多糖類、キサンタンガム等の微生物系多糖類;DNA−塩等の核酸類;ポリアクリル酸塩等が挙げられる。
なお、本発明のベシクル組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、ベシクル粒子中に内包させる目的で、例えば、酵素、ペプチド、ホルモン、細胞増殖因子、プラセンタエキス、ATP、サイクリックATP、インターフェロン、ビタミン類、ローヤルゼリー、菌代謝物、プロスタグランディン、スフィンゴシン誘導体、アスタキサンチン、糖類等の生理活性物質を配合してもよい。また、本発明のベシクル組成物には、上記成分以外に、界面活性剤、水溶性高分子等の添加剤を種々添加してもよい。
本発明のベシクル組成物の調製方法については特に制限されず、一般的な方法により調製することができる。例えば、ボルテクスイング法〔A.D.Bangham, J.Mol.Biol., 13, 238(1965)〕、ソニケーション法〔C.Huang, Biochem., 8, 344(1969)〕、プレベシクル法〔H.Trauble, Neurosci.Res.Prog.Bull., 9, 273(1971)〕、エタノール注入法〔S.Batzri, Biochem.Biophys.Acta., 298, 1015(1973)〕、フレンチプレス押出法〔Y.Barenholz, FEBS Lett., 99, 210(1979)〕、コール酸除去法〔Y.Kagawa, J.Biol.Chem., 246, 5477(1971)〕、トリトンX−100バッチ法〔W.J.Gerritsen, Eur.J.Biochem., 85, 255(1978)〕、Ca2+融合法〔D.Papahadojopoulos, Biochem.Biophys.Acta., 394, 483(1975)〕、エーテル注入法〔D.Deazer, Biochem.Biophys.Acta., 443, 629(1976)〕、アニーリング法〔R.Lawaczeck, Biochem.Biophys.Acta., 443, 313(1976)〕、凍結融解融合法〔M.Kasahara, J.Biol.Chem., 252, 7384(1977)〕、W/O/Wエマルジョン法〔S.Matsumoto, J.Colloid Interface Sci., 62, 149(1977))、逆相蒸発法〔F.Szoka, Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 75, 4194(1978)〕、多価アルコール法〔特開昭60-7932号公報〕等により調製することができる。
本発明のベシクル組成物の製造法としては、例えば、前記成分(A)及び前記成分(B)、必要に応じて前記成分(C)をベシクル粒子の主な膜構成成分として用い、適宜その他の任意成分を配合して、これらよりベシクル粒子を形成し、ベシクル組成物を得ることが挙げられる。
具体的には、前記成分(A)及び成分(B)、更に成分(E)分散溶媒を含有させ、加熱撹拌しながらこれら成分を分散させて、その後室温まで冷却させてベシクル粒子を形成させ、ベシクル組成物を得る。
前記成分(E)分散媒体については、特に制限はなく、例えば、精製水及び/又は親水性有機溶媒を使用してもよい。このうち、精製水と親水性有機溶媒とを使用するのが、ベシクルを形成する上で良好である。
なお、ベシクル組成物を得る際の全成分の使用量を100質量%とする場合には、成分(E)分散溶媒(好ましくは精製水)を用いて調整すればよい。
より具体的な一例として、本発明のベシクル組成物は、前記成分(A)及び前記成分(B)を、成分(E)親水性有機溶媒に70℃以上(好ましくは90〜100℃程度)の温度で2〜10分程度撹拌して分散させ、次いでこの分散液に、成分(E)精製水を添加し、70℃以上(好ましくは70〜80℃)の温度を保持しながら2〜10分程度添加撹拌して、徐々に室温(20〜40℃程度)にまで冷却させることにより得られる。
なお、更に前記成分(C)や前記成分(D)を前記成分(A)及び(B)に混合する際には、前記成分(C)や前記成分(D)を成分(E)の親水性有機溶媒に添加するのが好適である。また、前記成分(D)は成分(E)の精製水に添加してもよい。
前記成分(E)の親水性有機溶媒としては、例えば一価アルコール及び多価アルコール等のアルコール類が挙げられる。
前記一価アルコールとしては、炭素数1〜3の低級アルコール(例えば、エタノール等)等が挙げられる。
また、前記多価アルコールは、分子内に水酸基を2個以上有するものである。例えば、分子内に水酸基を2個有するもの(二価アルコール)としては、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のポリプロピレングリコール;1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール等のブチレングリコール;1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール等のペンタンジオール等が挙げられる。また、分子内に水酸基を3個以上含むものとしては、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン等のポリグリセリン;ポリエチレン誘導体等が挙げられる。
これらアルコール類のうち、多価アルコールが好ましく、この中でも、二価アルコールが好ましく、更に、ブチレングリコール、特に1,3−ブチレングリコールが、経時安定性の優れるベシクル形成の点で、好ましい。
なお、上記アルコール類を1種又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
前記アルコール類の使用量は、特に限定されないが、成分(A)及び(B)又は成分(A)〜(C)の合計使用量の少なくとも3倍量(質量)であることが好適である。より具体的には、全使用量中、0.01〜50質量%とするのが好ましく、より0.1〜20質量%とするのが好ましく、更に1〜10質量%、特に3〜8質量%とするのが好適である。
ところで、従来のベシクル組成物(特にリン脂質を含有するベシクル組成物)から形成されたベシクル粒子では、耐塩性及び耐酸性・耐アルカリ性が弱かったためにベシクルの経時安定性もあまり良好ではなかった。
これに対し、後記実施例に示すように、リン脂質を使用しなくとも本発明の上記成分を使用すれば、新規ベシクルを形成することが可能である。当該形成されたベシクルは、ベシクル内部に電解質や難溶性物質等を配合することができるので、生体内での有効成分の搬送や肌へのこのような有効成分の浸透貯留性を向上させること等も可能である。
しかも、本発明のベシクルは、熱力学的に安定であり、また内部及び外部に電解質が存在する場合(例えば、塩基性薬・酸性薬、高伝導性溶液、アルカリ溶液、酸溶液等の共存)でも安定的である。すなわち、経時安定性に非常に優れている。更に、膜流動性にも優れており、この膜流動性に優れていることによって有効成分を肌へ浸透貯留させることが可能となり、有効成分の効果を良好にする。
従って、本発明のベシクル組成物は、幅広い利用形態が可能であり、かつ種々の有効成分も内包でき、特にベシクル組成物中に上述のような電解質を含有させても優れた経時安定性が期待できる。本発明のベシクルは、更なる電解質や難溶性物質の作用効果が付与されると共にベシクル特性との相乗効果も期待できる。しかも、上記成分(A)、成分(B)及び成分(C)は、安価で安定的な供給が可能な原材料であるので、安価で安定的供給できるベシクル組成物の提供が可能となる。すなわち、ベシクルの特性を十二分に活かしつつ、医薬品、皮膚外用剤、化粧料等の幅広い分野でも良好に利用することが可能である。
ここで、本発明のベシクル組成物のpH(20℃)は、2〜11、より3〜10とするのが好適である。本発明のベシクル組成物は、上述のとおり中性領域6〜7の他、酸性領域3〜5やアルカリ領域8〜10であっても経時安定性に優れている。
また、ベシクル組成物の電気伝導度(20℃)は通常0.001S/m程度未満であるが、0.001〜3S/mの範囲内、より0.001〜1S/m、更に0.001〜0.5S/mと電解質を含有させた場合であっても、本発明のベシクル組成物は、従来のベシクル組成物と比較し、ベシクルの経時安定性が高い点で有利である。当該電気伝導度は、20℃にて導電率計を用いて測定して行ったものである。
上述の如き本発明のベシクル組成物は、上記ベシクル組成物をそのままの状態で、医薬品、医薬部外品、皮膚外用剤、化粧料等の種々の用途に使用することが可能である。
また、本発明のベシクル組成物を、上述の種々の用途の製品に含有させてもよく、このときの本発明のベシクル組成物の含有量は特に限定されないが、製品中、1.0〜90質量%とするのが好ましく、より3.0〜50質量%とするのが好ましい。また、前記製品中のpHや電気伝導度の範囲は上述の範囲内であれば、ベシクルの経時安定性の点から有利である。
このときの前記製品の製造方法は、特に限定されず、予めベシクル組成物を調製したのちに、他の任意成分と組み合わせてもよく、上述の如くベシクル組成物の製造方法に準じて前記製品を調製しながら同時にベシクル組成物を得ることも可能である。
なお、他の任意成分として、上述の医薬品、皮膚外用剤や化粧料等に通常使用される各種の成分(例えば、水、アルコール、油剤、界面活性剤、増粘剤、粉体、キレート剤、pH調整剤、保湿剤、美白剤、抗炎症剤、細胞賦活剤等の各種薬効剤、動植物・微生物由来の抽出物、香料等)を、本発明の効果を損なわない範囲で、適宜配合してもよい。
本発明の前記製品の使用形態は特に限定されない。このうち、本発明のベシクル組成物は、ベシクルの特性上、皮膚浸透性が高いことから、皮膚外用剤や化粧料に使用するのが好ましい。
皮膚外用剤や化粧料の使用形態は、例えば、乳液、クリーム、化粧水、美容液、パック、洗浄料、メーキャップ化粧料の化粧料、また、分散液、軟膏、液剤、エアゾール、貼付剤、パップ剤、リニメント剤等の外用医薬品であってもよい。
以下、本発明を具体的に説明するために実施例及び試験例を挙げるが本発明はこれらの実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1〜15のベシクル組成物〕
表1の実施例1〜15の欄に示す各成分を用いて下記の製法によりベシクル組成物を調製した。
また、実施例13のベシクル組成物(図3のサンプルB)は、実施例2のベシクル組成物(図3のサンプルA)の成分(A)ポリオキシエチレン(5モル)フィトステロール、成分(B)バチルアルコール及び成分(C)コレステロールの含有量を代えた以外は実施例2と同様にして調製した。
工程1:成分1〜17のうちから選ばれた成分を95℃に加熱して溶液とした。
工程2:工程1で得られた溶液に、75℃に保持しながら精製水を添加し、ディスパミキサーにて、分散液を得た。
工程3:工程2で得られた分散液を40℃まで徐々冷却して、実施例1〜15の各ベシクル組成物を得た。
得られた各ベシクル組成物のpH(20℃)は、概ね4〜5であり、電気伝導度(20℃)は、0.001(S/m)以下であった。
〔試験例1〜3のベシクル組成物〕
表2の試験例1〜3の欄に示すように、上記製造工程1〜3で得られたベシクル組成物に成分18〜20から選ばれる成分を添加して、試験例1〜3の各ベシクル組成物を調製した。
試験例1のベシクル組成物の電気伝導度(20℃)は、0.36(S/m)であった。
試験例2のベシクル組成物のpH(20℃)は、3.2であり、電気伝導度(20℃)は、0.07(S/m)であった。
試験例3のベシクル組成物のpH(20℃)は、9.7であり、電気伝導度(20℃)は、0.03(S/m)であった。
〔比較例1〜7のベシクル組成物〕
表2の比較例1〜7の欄に示す各成分を用いて、上記実施例1〜15のベシクル組成物の製法と同様にして、比較例1〜7の各ベシクル組成物を調製した。
〔ベシクル組成物のマルテーゼクロス像の確認試験及び経時安定性〕
一次スクリーニングとして偏光顕微鏡(オリンパス社製)を用いて、直交ニコル下にて製造直後及び40℃2週間静置後のサンプルを観察し、上記各ベシクル組成物のマルテーゼクロス像の有無を確認した。この判定基準を下記に、その結果を表1に示す。
また、上記各ベシクル組成物を顕微鏡観察にて、40℃、2週間静置後の成分の析出の有無を確認した。
(イ)判定基準:マルテーゼクロス像
◎:マルテーゼクロス像が多数確認できる
○:マルテーゼクロス像が多数存在しないが容易に確認できる
×:マルテーゼクロス像が確認できない
(ロ)判定基準:析出
◎:沈殿が全くみられない
○:顕微鏡にて確認されるが問題にならない程度
×:沈殿がかなり見られ、問題がある
また、経時安定性の良かった実施例2のベシクル組成物において、高輝度小角X線散乱装置SAXS(Anton Paar社製)を用いて小角X線散乱スペクトル測定を行った。図1に示すように、この小角X線散乱スペクトルを測定したところ小角にラメラ構造特有のピークが観察された。
また、透過型電子顕微鏡(TEM)(リンタングステン酸コーティング)を用いてマルチラメラベシクルの形成の有無を確認した。図2に示すように、TEM観察においても、多重層構造を示すマルチラメラベシクル像が観察された。
以上のことから、本発明のベシクル組成物(実施例1〜15のベシクル組成物及び試験例1〜3のベシクル組成物)は、マルチラメラ構造を形成していることが確認できた。また、優れた経時安定性を有していた。
〔ベシクルの熱力学的安定確認試験〕
実施例2及び13のベシクル組成物について、熱流速型示差走査熱量計(SIIナノテクノロジー社製)を用いて示差走査熱量(DSC)測定を行った。実施例2をサンプルA、実施例13をサンプルBと表記した。
実施例2及び13のベシクル組成物では40〜50℃付近に表れるゲル液晶転移温度に相当する吸熱ピークが消失しており、熱力学的に安定な構造を有していることが示唆された。
以上のことから、本発明のベシクル(実施例1〜15のベシクル組成物及び試験例1〜3のベシクル組成物)は、熱力学的に安定であることが示唆された。
〔本発明のベシクル組成物の電解質による影響〕
試験例1〜3のベシクル組成物について、上記(イ)(ロ)評価基準にて試験を行った結果を表1に示す。
また、実施例2のベシクル組成物中に、0.5質量%になるようにNaClを添加し、50℃で14日間の経時安定性を透過率にて検討した結果、ほとんど透過率の変化がみられず、経時安定性が良好であった。
また、試験例2及び3のように、電解質であるL-アスコルビン酸2−グルコシド、クエン酸及び水酸化ナトリウムを含有させても、経時安定性は良好であった。
以上のことから、本発明のベシクル(実施例1〜15のベシクル組成物及び試験例1〜3のベシクル組成物)は、電解質共存下、酸性やアルカリ領域下においても優れた経時安定性を有していた。
〔ベシクルの膜流動性試験〕
実施例2のベシクル組成物の膜流動性の評価を、蛍光偏光度測定法を用いて行った。
また、比較例6及び7のベシクル組成物を製造する際に、L−アスコルビン酸2−グルコシド及び水酸化ナトリウムを含有させずに作製したものを、比較例8及び9のベシクル組成物とし、同様に膜流動性の評価を行った。
このとき、NaCl濃度が0、0.3、0.5%となるように、各サンプルを調整した。
このとき蛍光偏光度に用いた装置は、蛍光光度計RF−5300(島津製作所社製)
試薬は、親油性蛍光プローブとしてDPH(1,6‐ジフェニル‐1,3,5‐ヘキサトリエン)(励起光360nm、蛍光検出430nm)、親水性蛍光プローブとしてANS(1−アニリノナフタレン−8−スルホン酸)(励起光380nm、蛍光検出465nm)を用いた。蛍光偏光度は以下の算出にて求め、また、図4の左側の目盛軸にてプロットした(DPH:図4にて□。ANS:図4にて◇)。さらに、DPHを用いた際の蛍光偏光度(PDPH)とANSを用いた際の蛍光偏光度(PANS)の比率(PANS/PDPH)を求め、図4の右側の目盛軸にてプロットした(図4にて△)。
これにより、ベシクルの親水基と親油基の運動性を測定することが可能となり、微視的な膜の流動性を評価することが可能となる。
図4に示すように、本発明のベシクル組成物である実施例2は、電解質であるNaClを添加してもPANS/PDPHがほぼ一定であり、親水基と親油基の膜流動性のバランスが維持されていた。
一方、図5〜6に示すように、比較例8〜9のベシクル組成物は、PANS/PDPHが大きく変動している。これは電解質であるNaClを添加することで親水基と親油基の膜流動性のバランスが大きく崩れており、実施例より劣っているものである。
本発明のベシクル粒子の膜流動性のバランスは維持されていたので、本発明のベシクルを用いれば有効成分を肌へ浸透貯留させることが可能となり、有効成分の効果を良好にすることが期待できる。
以上のことから本発明のベシクル組成物(実施例1〜15のベシクル組成物及び試験例1〜3のベシクル組成物)は、優れた経時安定性、特に耐塩性及び耐pH性を有していることが確認できた。
よって、本発明のベシクル組成物は、幅広い条件下において有効成分を内包できる可能性を有した製剤であると考えられる。
また、原材料に実質的にレシチン等のリン脂質を使用しなくとも、少なくともステロール骨格を有する非イオン性界面活性剤及びモノアルキルグリセリルエーテルを使用すればベシクルを形成できることも確認できた。
実施例16:軟膏剤
下記成分および製造方法により、軟膏剤を調製した。
( 成 分 ) (質量%)
1 ステアリン酸 18.0
2 セタノール 4.0
3 トリエタノールアミン 2.0
4 グリセリン 5.0
5 グリチルリチン酸ジカリウム(注1) 0.5
6 実施例2のベシクル組成物 1.0
7 酢酸dl−α−トコフェロール(注2) 0.2
8 パラオキシ安息香酸メチル 0.1
9 精製水 残 量
(注1)和光純薬工業社製
(注2)エーザイ社製
( 製造方法 )
A : 成分(3)、(4)および(9)の一部を加熱混合し、75℃に保つ。
B : 成分(1)、(2)、(7)、(8)を加熱混合し、75℃に保つ。
C : AにBを徐々に加え、これを冷却しながら成分(9)の残部で溶解した(5)を加え、さらに成分(6)を加えて軟膏剤を得た。
実施例16の軟膏剤はベシクル組成物の安定性に優れる軟膏剤であった。
実施例17:化粧水
下記成分および製造方法により、化粧水を調製した。
( 成 分 ) (質量%)
1 グリセリン 5.0
2 1,3−ブチレングリコール 5.0
3 乳酸 0.05
4 乳酸ナトリウム 0.1
5 モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタン
1.2
6 エタノール 8.0
7 パラオキシ安息香酸メチル 0.1
8 香料 0.05
9 実施例3のベシクル組成物 10.0
10 精製水 残 量
( 製造方法 )
A : 成分(5)〜(8)を混合溶解する。
B : 成分(1)〜(4)、(10)を混合溶解する。
C : BにAを添加混合し、さらに、成分(9)を添加混合して化粧水を得た。
実施例17の化粧水はベシクル組成物の安定性に優れる化粧水であった。
実施例18:乳液
下記成分および製造方法により、乳液を調製した。
( 成 分 ) (質量%)
1 モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタン
1.0
2 トリオレイン酸ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタン
0.5
3 グリセリルモノステアレート 1.0
4 ステアリン酸 0.5
5 ベヘニルアルコール 0.5
6 スクワラン 8.0
7 カルボキシビニルポリマー 0.1
8 パラオキシ安息香酸メチル 0.1
9 水酸化ナトリウム 0.05
10 エタノール 5.0
11 実施例9のベシクル組成物 5.0
12 精製水 残 量
13 香料 0.05
14 精製水 5.0
( 製造方法 )
A : 成分(12)に成分(7)〜(9)を加えて70℃で均一に混合する。
B : 成分(1)〜(6)を70℃で均一に混合する。
C : AにBを加えて乳化し、室温まで冷却する。
D : 成分(10)、(11)、(13)、(14)を加えて均一に混合し、乳液を得た。
実施例18の乳液はベシクル組成物の安定性に優れる乳液であった。

Claims (7)

  1. 次の成分(A)及び(B):
    (A)ステロール骨格を有するエーテル系非イオン性界面活性剤としてポリオキシアルキレンステロールエーテル
    (B)モノアルキルグリセリルエーテル
    を含む構成膜を有するベシクルを含有し、
    前記成分(A)ポリオキシアルキレンステロールエーテルの含有量が0.01〜10質量%及び前記成分(B)モノアルキルグリセリルエーテルの含有量が0.01〜5質量%であるベシクル組成物。
  2. 前記構成膜が、さらに成分(C)としてベシクル形成助剤を含む請求項1記載のベシクル組成物。
  3. 前記成分(C)ベシクル形成助剤がステロール類及びセラミド類から選ばれる1種又は2種以上のベシクル形成助剤である請求項2記載のベシクル組成物。
  4. 前記成分(A)と前記成分(C)の含有質量比が、1:4〜4:1である請求項2又は3記載のベシクル組成物。
  5. 前記成分(A)と前記成分(C)の合計質量と前記成分(B)の質量との含有質量比が、〔(A)+(C)〕:(B)=12:1〜1:12である請求項2〜4の何れか1項記載のベシクル組成物。
  6. 請求項1〜5の何れか1項記載のベシクル組成物を含む皮膚外用剤。
  7. 請求項1〜5の何れか1項記載のベシクル組成物を含む化粧料。
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