JP6139206B2 - 半透明性乃至透明性組成物 - Google Patents
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例えば、油を水中に透明に分散させる方法として、親水性の高い界面活性剤を用いて油を可溶化させる方法と、その乳化物に高圧ホモジナイザー処理等の物理的な分散方法がある。
また、浸透感に優れ、安定性に優れる化粧料として、ホスファジルコリン75質量%以上含有の水素添加大豆リン脂質と、分岐構造をもつ高級脂肪酸であるイソステアリン酸又は高級アルコールであるイソステアリルアルコールと、多価アルコールである1,3−ブチレングリコールとを含む、透明乃至半透明の化粧料が知られている(例えば、特許文献1参照)。
そこで、本発明は、斯かる実状に鑑み、浸透性に優れ、経時的安定性の高い組成物を提供しようとするものである。
(a)水素添加ホスファチジルグリセロール
(b)ポリオキシアルキレンの付加モル数が10〜30であるポリオキシアルキレンステロールエーテル
(c)モノアルキルグリセリルエーテル
(d)水
水素添加PGの製造方法として、例えば、PG含有溶媒をパラジウム触媒下、水素ガスを付加し、溶媒から析出する水素添加PGを回収することが挙げられる。このときの溶媒は、特に限定されず、水やアルコール類などが挙げられる。
また、水素添加PGの製造方法として、フォスファチジルコリン(以下、「PC」ともいう)及びグリセリンに、ホスホリパーゼDを作用させた後、パラジウム触媒下にて水素ガスを反応させて水素添加PGを得ることができる。さらに、溶媒を用いた析出法にて水素添加PGの純度を高めることが可能であり、この析出方法は、温度変化や、溶媒の量、混合比の変化によって、目的物を析出し、回収する方法である。
なお、ホスホリパーゼDとは、リン酸エステル結合を切断し、ホスファチジン酸とアルコールを生成する酵素として知られているものである。
また、水素添加リン脂質中の水素添加PC含有量は、低含有であるのが好ましく、より好ましくは45質量%未満、さらに好ましくは30質量%未満、よりさらに好ましくは25質量%未満、さらに好ましくは5質量%未満であるのが、半透明性乃至透明性の組成物の浸透性及び経時的安定性がより好適である。
本開示でいう、水素添加リン脂質中のPG及びPC含有量は、これら6成分全量100質量%としたときの数値である。
水素添加リン脂質中のPG及びPC含有量は、HPLC分析法、薄層クロマトグラフ法を用いて測定することが可能である。HPLC分析法の場合には、後述の<各リン脂質組成の含有量の測定方法(HPLC)>にて測定することが可能である。薄層クロマトグラフ法の場合には、基準油脂分析試験法のリン脂質組成(薄層クロマトグラフ法)4.3.3.1−1996を用いて測定することが可能である。
前記ポリオキシアルキレンの平均付加モル数は、好ましくは15〜30、より好ましくは20〜30である。
また、植物系ステロール骨格を有するものは植物から主として得られる。フィトステロールとは、一般的に、β−シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、フコステロール、スピナステロール、ブラシカステロール及びエルゴステロール等から選ばれる1種又は2種以上のものをいい、特に2種以上の混合物をいう。
これらポリオキシアルキレンステロールエーテルは単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
より具体的には、POE(10)コレステリルエーテル、POE(15)コレステリルエーテル、POE(20)コレステリルエーテル、POE(24)コレステリルエーテル及びPOE(30)コレステリルエーテル等のポリオキシエチレンコレステリルエーテル類;POE(20)コレスタノール、POE(25)コレスタノール及びPOE(30)コレスタノール等のポリオキシエチレンコレスタノール類;POE(5)フィトステロール、POE(10)フィトステロール、POE(20)フィトステロール、POE(25)フィトステロール及びPOE(30)フィトステロール等のポリオキシエチレンフィトステロール類;POE(20)フィトスタノール、POE(25)フィトスタノール及びPOE(30)フィトスタノール等のポリオキシエチレンフィトスタノール類等が挙げられる。
市販品としては、EMALEX CS−10(日本エマルジョン社製)、EMALEX CS−20(日本エマルジョン社製)、EMALEX CS−30(日本エマルジョン社製)、NIKKOL BPS−10(日本サーファクタント工業社製)、NIKKOL BPS−20(日本サーファクタント工業社製)、NIKKOL BPS−30(日本サーファクタント工業社製)等が挙げられる。
なお、前記具体例における括弧内の数値は、エチレンオキサイドの平均付加モル数を示す。以下も同様である。
(Rは直鎖又は分岐鎖の炭素数6〜30のアルキル基)
これらのうち、前記アルキル基が炭素数12〜22のものが好ましく、更に炭素数16〜22のものが好ましい。更に、前記成分(B)のうち、モノステアリルグリセリルエーテル、グリセリルモノセチルエーテル及びモノオレイルグリセリルエ一テルが好ましく、モノステアリルグリセリルエーテル、グリセリルモノセチルエーテルがより好ましい。
市販品としては、バチルアルコールEX(日本サーファクタント工業社製)、NIKKOL キミルアルコール100(日光ケミカルズ社製)等が挙げられる。
前記一価アルコール類は、親水性有機溶媒として好適であり、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられる。このうち、エタノールが好ましい。
前記多価アルコール類として、より使用感を高める点、保湿効果を高める点で好適であり、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールが挙げられる。このうち、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリンが好適である。
これらを単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
本開示に用いられる有機溶媒の含有量は、全成分量中、好ましくは0.01〜50質量%、より好ましくは0.1〜40質量%、さらに好ましくは5〜25質量%とするのが、保存安定性、各成分を水に分散性させるために好適である。
前記一価アルコール類を含有させる場合、全成分量中、好ましくは0.01〜15質量%、より好ましくは0.1〜5質量%とするのが、経時安定性の点で、好ましい。
前記多価アルコール類を含有させる場合、全成分量中、好ましくは0.01〜50質量%、より好ましくは0.01〜30質量%、より好ましくは0.1〜25質量%とするのが、経時安定性、保湿性の点で、好ましい。
本開示の組成物には、本技術の効果を損なわない範囲で、上記成分のほかに、通常、医薬品、皮膚外用剤、化粧料、食品等に基剤として含有させる成分を、必要に応じて含有させることができる。さらに、本開示の組成物では、油溶性物質及び電解質を含有させることができることが利点である。
皮膚外用剤、化粧料等の場合、例えば、油分として、炭化水素油、合成エステル油、シリコーン油、液体油脂、固体油脂、ロウ類等を含有させてもよく、その他の配合可能な成分(例えば、防腐剤、消炎剤、美白剤、抗酸化剤、各種植物抽出物、賦活剤、血行促進剤、抗脂漏剤、抗炎症剤など)を、必要に応じて適宜含有させてもよい。
また、本開示における「電解質」とは、溶媒(特に水)中でイオンに解離する物質をいい、高分子電解質や低分子電解質等が挙げられる。この電解質の使用目的としては、例えば、薬理効果(例えば、皮膚科学的に肌に有効な美容等)、安定性向上、保存性向上、増粘調整やpH調整等が挙げられる。前記皮膚科学的に肌に有効な美容目的としては、保湿、消炎、美白、紫外線防御等が挙げられる。
本開示に用いられる成分(e)油溶性物質には、水、エタノール等の極性溶媒に溶けにくい難溶性物質があり、この難溶性物質として、例えば、セラミド類、ステロール類、飽和又は不飽和脂肪酸誘導体が挙げられ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。前記セラミド類及びステロール類は、細胞間脂質の構成要素で、保湿効果を高める上で重要であるが、本開示の組成物に含有させることで好適に効能を発揮させることが可能となる。特にセラミド類は、結晶性が高く、一般油剤にも溶解し難い物質であるが、本開示の組成物であれば好適に効能を発揮させることが可能となる。
このうち、低コストで純度調整が容易なので、合成セラミド及び/又はプソイドセラミドを用いることが、好ましい。これらのうち、具体的には、N−アシルスフィンゴシン、N−ヒドロキシアシルフィトスフィンゴシン、N−アシルフィトスフィンゴシンやタイプ1〜4のセラミド等が挙げられる。このうち、セラミド2が好ましい。
なお、上述のセラミド類を1種又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
このうち、動物性ステロール類及び植物性ステロール類が好ましく、更にコレステロール及びフィトステロール等が好ましい。
なお、上述のステロール類を1種又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
また、前記不飽和脂肪酸(好適にはC16〜18の不飽和脂肪酸)誘導体として、例えば、オレイン酸誘導体、リノール酸誘導体、リノレン酸誘導体等が挙げられ、当該オレイン酸誘導体として、具体的にはオレイン酸エチル等が挙げられる。
また、前記飽和脂肪酸誘導体として、例えば、ステアリン酸誘導体が挙げられ、当該ステアリン酸誘導体として、具体的には、グリチルレチン酸ステアリル、ステアリン酸グリセリド等が挙げられる。
また、セラミド類の場合、この含有量は、全成分量中、好ましくは0.001〜0.5質量%、よりさらに好ましくは0.01〜0.1質量%とするのが、浸透性、経時安定性、保湿性の点で、好適である。
前記無機低分子電解質として、例えば、保湿効果目的としての、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸アルミニウムカリウム、リン酸2水素1ナトリウム、リン酸1水素2ナトリウム等のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩等が挙げられる。
前記有機低分子電解質として、例えば、ピロリドンカルボン酸塩、エデト酸塩、尿素、クエン酸、乳酸、乳酸ナトリウム、クエン酸塩、乳酸塩、コハク酸塩、リンゴ酸塩、L−アラニン、β−アラニン、L−アルギニン、L−アルギニン塩酸塩、L−アスパラギン一水和物、L−アスパラギン酸、ポリアスパラギン酸、L−シトルリン、L−システイン、L−システイン塩酸塩一水和物、L−シスチン、L−ドーパ、L−グルタミン酸、N−アシルグルタミン酸、L−グルタミン酸塩酸塩、L−グルタミン、ポリグルタミン酸、グルタミン酸塩、グリシン、トリメチルグリシン、L−ヒスチジン、L−ヒスチジン塩酸塩一水和物、L−ヒドロキシプロリン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リジン、L−リジン塩酸塩、L−メチオニン、L−オルニチン塩酸塩、L−プロリン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−αアミノ酪酸、グルコサミン塩酸塩、グルクロン酸ナトリウム、ビタミンC誘導体(例えばアスコルビン酸2−グルコシド等)の等の有機酸、アミノ酸又は糖類等が挙げられる。ビタミンC誘導体は美白主剤として用いるのが好適である。
一例として、成分(a)〜(c)を、前記有機溶媒で70〜100℃にて溶解させた溶液Aと、成分(d)水にて水溶性の任意成分を溶解させた溶液Bとを、70〜100℃条件下で、撹拌混合させた後に、徐々に室温(10〜30℃程度)まで冷却する方法がある。
また、前記有機溶媒は親水性有機溶媒が好適である。前記溶液A調製の際に所望により前記成分(e)油溶性物質を含有させてもよいし、前記溶液B調整の際に所望により前記電解質を含有させてもよく、前記難溶性物質を製造工程において適宜含有させればよい。また、各成分及びその含有させる量を調整することで、ミセル(可溶化で調製される自己会合体)及びベシクル等を形成することも可能である。
また、本開示の組成物は、浸透性及び経時的安定性も高く、使用する際の浸透感、保湿感も良好であり、長期間品質的に安定したものとなった。
特に、本開示の組成物では、結晶性が高く、難溶性の油溶性物質(例えば、セラミド、ステロール類等)を微細化し、安定的に含有させることが(組成物の平均粒子径を20nm程度とすることも可能)できるため、肌の水分改善効果及び肌バリア機能等の保湿効果や肌改善効果を高めることが可能である。
本開示の組成物は、そのままの状態で使用することが可能であり、また、本開示の組成物は、半透明性乃至透明性の組成物を形成後、上述の種々の用途分野の製品に含有させてもよい。本開示の組成物の含有量は、製品中、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10〜100質量%、さらに好ましくは50〜100質量%である。
表1の実施例1〜10の欄に示す各成分を用いて下記の組成物製造方法により実施例1〜10の半透明性乃至透明性の組成物を調製した。また、表1の比較例1〜7の欄に示す各成分を用いて下記の組成物製造方法により比較例1〜7の組成物を調製した。なお、表中の各組成物は、精製水にて全量100質量部(100質量%)となるように調製するものである。
〔実施例2〕:水素添加PG80質量%含有の水素添加リン脂質1を0.125質量%含有させた場合、組成物中の成分(a)水素添加PGの含有量は、0.1質量%である。
〔実施例4〕:水素添加PG50質量%含有の水素添加リン脂質2を0.25質量%含有させた場合、組成物中の成分(a)水素添加PGの含有量は、0.125質量%である。
なお、実施例1〜10では、組成物が成分(a)〜(d)を少なくとも含むように、表1に示すように、成分(b)として、POE(30)フィトステリルエーテル、POE(10)フィトステリルエーテルを、成分(c)としてモノステアリルグリセリルエーテル、モノセチルグリセリルエーテルを、成分(d)エタノール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールを含有させた。
また、成分(a):成分(b)の含有質量比は、成分(a)を1としたとき、〔実施例1、5〜10〕のとき成分(b)1.25、〔実施例2〕のとき成分(b)1.25、〔実施例3〕のとき成分(b)0.625、〔実施例4〕のとき成分(b)2.0である。
〔比較例5〕:実施例1の水素添加リン脂質1を含有させず、組成物中の成分(a)水素添加PGは含まれていない。
〔比較例6〕:水素添加PC90質量%含有の水素添加リン脂質3を0.25質量%含有させた場合、組成物中の水素添加PCの含有量は、0.225質量%であり、水素添加PGは未検出である。
工程A:表中のNo.(1)〜(10)の各成分を表1のとおり配合して80℃にて加熱溶解して混合物Aを得る。
工程B:表中のNo.(11)〜(17)の各成分を表1のとおり配合して、80℃にて加熱溶解して混合物Bを得る。
工程C:混合物Aに混合物Bを徐々に添加し、混合、可溶化して、組成物を得る。
未水素添加PCを90質量%含有するリン脂質(LIPOID社)及びグリセリンを、水に溶かし、30〜50℃のホスホリパーゼDと水を添加し、加水分解、さらにエステル化させて、未水素添加PGを調整した。次いで、パラジウム触媒下、水素ガスを付加し、水から析出させて、水素添加PG高含有の水素添加リン脂質1を得た。この水素添加PG含有量は、下記の<各リン脂質組成の含有量の測定方法(HPLC)>にて、80質量%であった。
また、原料のPC含有リン脂質のPC含有量「90質量%」を「50質量%」に代えた以外は、上述の製造例1と同様にして、水素添加PG高含有の水素添加リン脂質2を得た。この水素添加PG含有量は、下記の<各リン脂質組成の含有量の測定方法(HPLC)>にて、50質量%であった。
また、未水素添加PCを90質量%含有するリン脂質(LIPOID社)を、パラジウム触媒下、水素ガスを付加し、水から析出させて、水素添加PC高含有の水素添加リン脂質3を得た。下記の<各リン脂質組成の含有量の測定方法(HPLC)>にて、水素添加PGは認められず、この水素添加PC含有量は、90質量%であった。
ヘキサンをリン脂質組成物1mLに対し3mLの割合で加え、よく混合した。3000rpmで10分間遠心分離し、上層を採取した。得られた上層3〜4滴にクロロホルム1mLを加えた。この溶液10μLを液体クロマトグラフに注入し、リン脂質組成を下記式(1)より求めた。
〔液体クロマトグラフ測定条件〕
カラム:ワコーシルNH2(5μm)、4.0×150mm (和光純薬工業)
カラム温度:40℃
溶離液:アセトニトリル/エタノール/12mMリン酸二水素アンモニウム水溶液(30/65/5容量比)
流速:1.0ml/min
検出:UV 210nm
波長600nmにおける組成物の透過率が、水の透過率を100%とした際に、90%以上(◎)、80%以上(○)、70%以上(△)、70%未満(×)とする。
<粒子径測定>
調製後24時間経過に組成物の「平均粒子径(初期値)」をコールターカウンターによって測定した値を平均粒子径(nm)とする。なお、ここでの平均粒子径の測定は、コールターカウンター(ベックマン・コールター株式会社製:サブミクロン粒子アナライザーN5)による測定値である。
実施例1〜10、及び比較例1〜7の化粧水に対して、化粧品評価専門パネル20名に、「浸透感」の項目について、各自が以下の評価基準に従って7段階評価し、更に全パネルの評点の平均点を用いて、以下の判定基準に従って判定した。
[評価基準]
(評価結果) :(評点)
非常に良好 : 6点
良好 : 5点
やや良好 : 4点
普通 : 3点
やや不良 : 2点
不良 : 1点
非常に不良 : 0点
[判定基準]
(評点の平均点) :(判定)
5.0以上 : ◎(非常に良好)
3.5以上〜5.0未満 : ○(良好)
1.5以上〜3.5未満 : △(不良)
1.5未満 : ×(非常に不良)
アセトンエーテルで惹起した荒れ肌に対して、朝晩2回、1週間連用使用し、肌内部の水分量を測定した。なお水分量は、SKIKON−200EX(IBS社製)を用いて測定した。以下による惹起前を100とした場合、200以上(◎)、100〜200(○)、100以下(△)、50以下(×)と評価した。
アセトンエーテルで惹起した荒れ肌に対して、朝晩2回、1週間連用使用し、水分蒸散量(TEWL)を測定した。なお、水分蒸散量は、Vapometer(デルフィン社製)を用いて測定した。惹起前を100とした場合、100未満(◎)、100〜150(○)、150〜200(△)、200以上(×)と評価した。
組成物調製後、50℃で1ヶ月保存した際の外観性状を目視にて評価し、
初期状態から変化なし(◎)、
初期状態からわずかに変化(透明性の低下)あり(○)、
初期状態から変化(白濁)あり(△)、
初期状態から析出物、沈殿が見られる(×)
として評価した。
このときの本開示の組成物の透過性が80%以上と良好であり、平均粒子径も100nm以下(10〜30nm程度も可能)であり、目視にても半透明性乃至透明性の組成物であった。また、アルコール類を含有させることで防腐的効果も高まり、保存安定性が向上した。
さらに、本開示の組成物は、電解質を含んでも、また弱酸〜弱アルカリという幅広いpH範囲(pH5〜8程度)であっても、浸透性、経時的安定性、肌改善効果が良好である。また、本開示の組成物は、セラミド類という油溶性物質を含有させても半透明性乃至透明性を維持でき、またバリア機能改善効果も高い。よって、本開示の組成物は、幅広い種々の任意の成分を含有させても、半透明性乃至透明性を維持することができ、この任意成分による新たな効能や機能の付加などが期待できるものである。
なお、化粧料で水素添加リン脂質としてよく利用されている水素添加ホスファチルコリンを、成分(a)水素添加PGに代えて用いても、透明性が良くないことの他、浸透性も経時的安定性も非常に悪かった。成分(b)ポリオキシアルキレンステロールエーテルは、付加モル数が、5の場合には、浸透性も経時的安定性も非常に悪かった。成分(c)モノアルキルグリセリルエーテルが含有されないと、経時的安定性が非常に悪かった。よって、少なくとも成分(a)〜(d)を含有させることが本開示の半透明性乃至透明性の組成物において重要である。
(*2)NIKKOL BPS−10(日本サーファクタント社製)
(*3)NIKKOL BPS−5(日本サーファクタント社製)
(*4)バチルアルコールEX(日本サーファクタント社製)
(*5)NIKKOL キミルアルコール100(日光ケミカルズ社製)
(*6)セラミドTIC−001(高砂香料工業社製)
(成分) (質量%)
1.水素添加PG高含有水素添加リン脂質1 10.0
2.POE(30)フィトステリルエーテル(*1) 10.0
3.モノステアリルグリセリルエーテル(*4) 5.0
4.セラミドII(*6) 0.5
5.ジプロピレングリコール 30.0
6.1,3−ブチレングリコール 20.0
7.精製水 残量
8.防腐剤 適量
(1)成分1〜5を90℃にて加熱し、均一溶解する。
(2)成分6〜8を90℃にて加熱し、均一溶解する。
(3)(1)に(2)を添加し、可溶化して透明組成物を得た。
(成分) (質量%)
1.水素添加PG高含有水素添加リン脂質1 10.0
2.POE(30)コレステリルエーテル(*7) 10.0
3.モノステアリルグリセリルエーテル(*4) 5.0
4.セラミドII(*6) 0.5
5.ジプロピレングリコール 30.0
6.1,3−ブチレングリコール 20.0
7.精製水 残量
8.防腐剤 適量
(*7)EMALEX CS−30(日本エマルジョン社製)
(1)成分1〜5を90℃にて加熱し、均一溶解する。
(2)成分6〜8を90℃にて加熱し、均一溶解する。
(3)(1)に(2)を添加し、可溶化して透明組成物を得た。
(成分) (質量%)
1.水素添加PG高含有水素添加リン脂質1 10.0
2.POE(30)フィトステリルエーテル(*1) 10.0
3.モノステアリルグリセリルエーテル(*4) 5.0
4.グリチルレチン酸ステアリル(*8) 0.1
5.ジプロピレングリコール 30.0
6.1,3−ブチレングリコール 20.0
7.精製水 残量
8.防腐剤 適量
(*8)シーオーグレチノール(丸善製薬社製)
(1)成分1〜5を90℃にて加熱し、均一溶解する。
(2)成分6〜8を90℃にて加熱し、均一溶解する。
(3)(1)に(2)を添加し、可溶化して透明組成物を得た。
(成分) (質量%)
1.アスコルビン酸2−グルコシド 2.0
2.クエン酸 0.01
3.リン酸一水素ナトリウム 0.1
4.精製水 残量
5.エタノール 8.0
6.ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシル
エーテル(30EO,6PO) 0.3
7.防腐剤 適量
8.香料 適量
9.実施例11の透明組成物 10.0
(1)成分1〜5を均一に攪拌する。
(2)(1)に成分6〜8を添加、均一に攪拌し、可溶化する。
(3)(2)に成分9を添加、均一混合し、化粧水を得た。
実施例14の化粧水は、肌への浸透性(浸透感)、長期間の経時的安定性が良好な化粧水であった。
(成分) (質量%)
1.アクリル酸/メタクリル酸アルキルエステル共重合体 0.2
2.1,3−ブチレングリコール 7.0
3.水酸化ナトリウム 0.08
4.グリセリン 5.0
5.精製水 残量
6.エタノール 5.0
7.美容成分 適量
8.防腐剤 適量
9.香料 適量
10.実施例11の透明組成物 5.0
(1)成分1〜9を常温にて混合溶解する。
(2)(1)に成分10を添加、均一混合し、美容液を得た。
(成分) (質量%)
1.ペンタオレイン酸デカグリセリル 2.5
2.ベヘニルアルコール 1.5
3.ワセリン 3.0
4.重質流動イソパラフィン 1.0
5.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 3.0
6.メチルポリシロキサン 1.0
7.精製水 残量
8.グリセリン 5.0
9.アクリル酸/メタクリル酸アルキルエステル共重合体 0.2
10.水酸化ナトリウム 0.09
11.防腐剤 適量
12.香料 適量
13.実施例11の透明組成物 3.0
(1)成分1〜6を80℃にて均一に混合する。
(2)成分7〜12を80℃にて均一に混合する。
(3)(1)に(2)を添加し、乳化する。
(4)(3)に成分13を添加、均一混合し、クリームを得た。
(成分) (質量%)
1.エタノール 15.0
2.塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.2
3.イソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.2
4.精製水 残量
5.ヒドロキシプロピルセルロース 0.01
6.高重合メチルポリシロキサンエマルション(*9) 5.0
7.防腐剤 適量
8.香料 適量
9.実施例11の透明組成物 2.0
(*9)BY11−007(東レ・ダウコーニング社製)
(1)成分1〜8を常温にて均一に混合する。
(2)(1)に成分9を添加、均一混合し、ヘアウォーターを得た。
(成分) (質量%)
1.セトステアリルアルコール 2.0
2.パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 5.0
3.ジメチルポリシロキサン 5.0
4.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 5.0
5.精製水 残量
6.N−ステアロイル−N−メチルタウリンナトリウム 0.5
7.カルボキシビニルポリマー 0.1
8.アクリル酸/メタクリル酸アルキルエステル共重合体 0.1
9.水酸化ナトリウム 0.05
10.エタノール 10.0
11.1,3−ブチレングリコール 10.0
12.防腐剤 適量
13.香料 適量
14.実施例11の透明組成物 5.0
(1)成分1〜4を80℃にて均一に溶解する。
(2)成分5〜13を80℃にて均一に溶解する。
(3)(2)に(1)を添加し、乳化する。
(4)(3)に成分14を添加、均一混合し、化粧下地を得た。
(成分) (質量%)
1.ステアリン酸 1.0
2.モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20EO) 0.5
3.セスキオレイン酸ソルビタン 0.5
4.ベヘニルアルコール 0.5
5.2−エチルヘキサン酸グリセリル 5.0
6.流動パラフィン 2.0
7.ジメチルポリシロキサン 2.0
8.エタノール 10.0
9.ジプロピレングリコール 10.0
10.トリエタノールアミン 1.0
11.精製水 残量
12.グリセリン 5.0
13.1,3−ブチレングリコール 5.0
14.アクリル酸/メタクリル酸アルキルエステル共重合体 0.2
15.防腐剤 適量
16.香料 適量
17.実施例11の透明組成物 3.0
(1)成分1〜7を80℃にて均一に溶解する。
(2)成分8〜16を80℃にて均一に溶解する。
(3)(2)に(1)を添加し、乳化する。
(4)(3)に成分17を添加、均一混合し、乳液を得た。
(成分) (質量%)
1.ラウリン酸 5.0
2.ミリスチン酸 10.0
3.パルミチン酸 3.5
4.精製水 残量
5.水酸化カリウム 5.0
6.ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン 3.0
7.ヤシ油脂肪酸時エタノールアミド 3.0
8.ジステアリン酸エチレングリコール 1.0
9.防腐剤 適量
10.香料 適量
11.実施例11の透明組成物 3.0
(1)成分1〜3を80℃にて均一に溶解する。
(2)成分4〜10を80℃にて均一に溶解する。
(3)(1)に(2)を添加し、攪拌混合する。
(4)(3)に成分11を添加、均一混合し、ボディソープを得た。
(成分) (質量%)
1.アスコルビン酸2−グルコシド 2.0
2.クエン酸 0.01
3.リン酸一水素ナトリウム 0.1
4.精製水 残量
5.エタノール 8.0
6.ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシル
エーテル(30EO,6PO) 0.3
7.防腐剤 適量
8.香料 適量
9.実施例12の透明組成物 10.0
(1)成分1〜5を均一に攪拌する。
(2)(1)に成分6〜8を添加、均一に攪拌し、可溶化する。
(3)(2)に成分9を添加、均一混合し、化粧水を得た。
(成分) (質量%)
1.アスコルビン酸2−グルコシド 2.0
2.クエン酸 0.01
3.リン酸一水素ナトリウム 0.1
4.精製水 残量
5.エタノール 8.0
6.ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシル
エーテル(30EO,6PO) 0.3
7.防腐剤 適量
8.香料 適量
9.実施例13の透明組成物 10.0
(1)成分1〜5を均一に攪拌する。
(2)(1)に成分6〜8を添加、均一に攪拌し、可溶化する。
(3)(2)に成分9を添加、均一混合し、化粧水を得た。
(成分) (質量%)
1.ポリオキシエチレンメチルシロキサン・ポリオキプロピレンオレイル
メチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(*10) 2.0
2.PEG−3ジメチコン(*11) 1.0
3.ジメチルポリシロキサン 20.0
4.シリコーン処理赤酸化鉄 1.0
5.シリコーン処理黄酸化鉄 1.5
6.シリコーン処理黒酸化鉄 0.5
7.シリコーン処理酸化チタン 10.0
8.シリコーン処理タルク 5.0
9.トリ2−エチルへキサン酸グリセリル 5.0
10.セスキオレイン酸ソルビタン 0.5
11.精製水 残量
12.実施例12の透明組成物 5.0
13.1,3−ブチレングリコール 15.0
14.塩化ナトリウム 0.5
15.防腐剤 適量
16.香料 適量
(*10)KF−6026(信越化学工業社製)
(*11)KF−6015(信越化学工業社製)
(1)成分1〜3を均一に混合する。
(2)成分4〜10をローラーにて均一に分散する。
(3)(1)に(2)を添加し、均一混合する。
(4)(3)に成分11〜16を添加、乳化し、W/O型ファンデーションを得た。
(成分) (質量%)
1.モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20EO) 0.5
2.セスキオレイン酸ソルビタン 0.5
3.1,3−ブチレングリコール 10.0
4.シリコーン処理酸化チタン 10.0
5.シリコーン処理ベンガラ 0.4
6.シリコーン処理黄酸化鉄 2.0
7.シリコーン処理黒酸化鉄 0.1
8.シリコーン処理タルク 5.0
9.カルボキシビニルポリマー 0.3
10.トリエタノールアミン 1.0
11.精製水 残量
12.エタノール 2.0
13.ステアリン酸 1.0
14.ベヘニルアルコール 0.5
15.流動パラフィン 1.0
16.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 1.0
17.パラメトキシケイ皮酸2−エチルへキシル 2.0
18.ワセリン 0.5
19.実施例12の透明組成物 10.0
20.防腐剤 適量
21.香料 適量
(1)成分1〜8をローラーにて均一に分散する。
(2)成分9〜12を均一に混合する。
(3)(2)に(1)を添加し、均一に混合する。
(4)成分13〜18を80℃にて混合溶解する。
(5)(3)に(4)を80℃にて添加し、乳化する。
(6)(5)を冷却し、成分19〜21を添加し、O/W型ファンデーションを得た。
よって、本開示の技術は、化粧品、医薬品及び食品分野等の幅広い分野で利用することが可能である、本開示の技術は、特に皮膚に接触させる皮膚外用剤、化粧料、医薬部外品等への利用に貢献できる。
〔1〕 次の成分(a)〜(d);
(a)水素添加ホスファチジルグリセロール
(b)ポリオキシアルキレンの付加モル数が10〜30であるポリオキシアルキレンステロールエーテル
(c)モノアルキルグリセリルエーテル
(d)水
を含有する、半透明性乃至透明性組成物。
〔3〕 前記成分(c)のアルキルの炭素数が、16〜22である前記〔1〕又は〔2〕項記載の組成物。
〔4〕 成分(a)水素添加ホスファチジルグリセロールの含有量が、0.01〜30質量%である前記〔1〕〜〔3〕の何れか1項記載の組成物。
〔5〕 成分(a)と成分(b)の含有質量比が、(a):(b)=1:25〜1:0.5である前記〔1〕〜〔4〕の何れか1項記載の組成物。
〔7〕 成分(e)がセラミド類である前記〔6〕項記載の組成物。
〔8〕 前記成分(a)を50質量%以上含む水素添加リン脂質を用いるものである前記〔1〕〜〔7〕の何れか1項記載に組成物。
〔9〕 外用組成物である前記〔1〕〜〔8〕の何れか1項記載の組成物。
〔10〕皮膚外用剤又は化粧料である前記〔1〕〜〔9〕の何れか1項記載の組成物。
〔11〕前記〔1〕〜〔9〕の組成物を含有させる皮膚外用剤又は化粧料。
Claims (10)
- 次の成分(a)〜(d);
(a)水素添加ホスファチジルグリセロール
(b)ポリオキシアルキレンの付加モル数が10〜30であるポリオキシアルキレンステロールエーテル
(c)モノアルキルグリセリルエーテル
(d)水
を含有し、前記成分(a)の供給源として、前記成分(a)を50質量%以上含む水素添加リン脂質を用いる、半透明性乃至透明性組成物。 - 次の成分(a)〜(d);
(a)水素添加ホスファチジルグリセロール
(b)ポリオキシアルキレンの付加モル数が10〜30であるポリオキシアルキレンステロールエーテル
(c)モノアルキルグリセリルエーテル
(d)水
を含有し、前記成分(a)と前記成分(b)の含有質量比が、(a):(b)=1:25〜1:0.5である、半透明性乃至透明性組成物。 - 前記成分(a)と前記成分(b)の含有質量比が、(a):(b)=1:25〜1:0.5である請求項1記載の組成物。
- 前記成分(b)が、ポリオキシエチレンコレステロール及び/又はポリオキシエチレンフィトステロールである請求項1〜3の何れか1項記載の組成物。
- 前記成分(c)のアルキルの炭素数が、16〜22である請求項1〜4の何れか1項記載の組成物。
- 成分(a)水素添加ホスファチジルグリセロールの含有量が、0.01〜30質量%である請求項1〜5の何れか1項記載の組成物。
- さらに成分(e)油溶性物質を含有する請求項1〜6の何れか1項記載の組成物。
- 前記成分(e)が、セラミド類である請求項7項記載の組成物。
- 外用組成物である請求項1〜8の何れか1項記載の組成物。
- 皮膚外用剤又は化粧料である請求項1〜9の何れか1項記載の組成物。
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