JP5109065B2 - ベシクル組成物、及びそれを用いた皮膚外用剤 - Google Patents

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Description

本発明は、所定のリン脂質誘導体を含有するベシクル組成物、及びそれを用いた皮膚外用剤に関する。
従来、化粧料等の皮膚外用剤中に、非水溶性の有効成分を配合する方法として、水系担体に、ベシクル粒子として分散させる方法が広く利用されている。その一例として、セラミドと、リン脂質と、所定のカチオン性界面活性剤とを含有する外用組成物;及びセラミドと、ステロール乃至はその配糖体と、所定のカチオン性界面活性剤と、リン脂質とを含有する外用組成物が提案されている(例えば、特許文献1及び2)。また、角質層の皮膚バリア回復を高める活性物質に対する水ベースの伝達システムであって、水、脂肪酸、コレステロール、セラミド/リン脂質部分を含む伝達システムが提案されている(例えば、特許文献3)。この様に、従来、リン脂質は、ベシクル分散系の調製に広く用いられている。
ところで、リン脂質は、一般的に、グリセリン骨格のC−1、2位に脂肪酸がエステル結合している。従来ベシクル分散系の調製に用いられているリン脂質では、このエステル結合が経時によって切断されてしまい、その結果、脂肪酸が遊離することがしばしばある。遊離した脂肪酸は、系のpHを低下させ、ベシクルの分散安定性を低下させる。また、遊離した脂肪酸は、皮膚外用剤の黄色化及び臭気を生じさせ、皮膚外用剤の品質の低下の原因になる。かかる状況下、脂肪酸の遊離等による劣化がなく、経時安定性に優れたベシクル組成物の提供が望まれている。
一方、有効成分の中には、皮膚吸収性が低い物質もあり、かかる有効成分を安定的に配合するのみならず、皮膚に適用した際には、皮膚に効率よく吸収させることができる技術も望まれている。例えば、有効成分を所定の光分解性リン脂質を成分とする光破砕性リポソームに内包させることにより、有効成分の皮膚吸収性を改善させた皮膚化粧料が提案されている(例えば、特許文献4)。
特開2006−193464号公報 特開2006−199633号公報 特表2005−522463号公報 特開平4−29915号公報
本発明は前記諸問題に鑑みなされてものであって、pHの変動、変色及び異臭がなく、経時安定性に優れているとともに、皮膚浸透性にも優れたベシクル組成物及び皮膚外用剤を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明のベシクル組成物は、2位アシル基が不飽和脂肪酸の残基であるリン脂質誘導体の少なくとも1種と、スフィンゴシン誘導体の少なくとも1種とを含有することを特徴とする。
本発明の態様として、前記スフィンゴシン誘導体が、セラミドであることを特徴とする前記ベシクル組成物;前記不飽和脂肪酸の残基が、オレイン酸の残基であることを特徴とする前記ベシクル組成物;前記リン脂質誘導体と前記スフィンゴシン誘導体とを、重量比で1:0.001〜1:0.5含有することを特徴とする前記ベシクル組成物;前記リン脂質誘導体が、大豆由来のリン脂質を原料とするリン脂質誘導体であることを特徴とする前記ベシクル組成物;コレステロール及び/又はフィトステロールをさらに含有する前記ベシクル組成物;及び前記リン脂質誘導体が、天然水素添加リン脂を原料とし、且つ下記一般式(1)で表されるリン脂質誘導体であることを特徴とする前記ベシクル組成物;が提供される。
Figure 0005109065
(式中、R1COは、炭素数14〜18の飽和脂肪酸の残基であり;R2COは、炭素数18〜22の分子内に二重結合を一つ有する不飽和脂肪酸の残基である。)
また、別の観点から前記ベシクル組成物を含有することを特徴とする皮膚外用剤;及びスフィンゴシン誘導体を2位アシル基が不飽和脂肪酸の残基であるリン脂質誘導体のリポソームに内包させることを含むスフィンゴシン誘導体の皮膚浸透性を向上させる方法;が提供される。
本発明によれば、pHの変動、変色及び異臭がなく、経時安定性に優れているとともに、皮膚浸透性にも優れたベシクル組成物及び皮膚外用剤を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本発明のベシクル組成物は、2位アシル基が不飽和脂肪酸の残基であるリン脂質誘導体の少なくとも1種を含有する。前記リン脂質誘導体は、スフィンゴシン誘導体のベシクルの安定化に寄与するとともに、スフィンゴシン誘導体を皮膚へ浸透させ易くする作用を有する。さらに、前記リン脂質誘導体は、脂肪酸の遊離がない又は少ないので、経時安定性に優れたベシクル組成物の調製が可能となる。
前記リン脂質誘導体は、2位アシル基として不飽和脂肪酸の残基を有する。前記不飽和脂肪酸としては、炭素数14〜22の不飽和脂肪酸が好ましく、炭素数18〜22の不飽和脂肪酸がより好ましく、オレイン酸、ガドレイン酸及びエルカ酸等の炭素数18〜22のモノ(不飽和結合が一つ)不飽和脂肪酸がさらに好ましい。中でも、オレイン酸が特に好ましい。また、前記リン脂質誘導体の1位については特に制限はないが、飽和脂肪酸の残基であるのが好ましい。該飽和脂肪酸としては、ミリスチン酸及びステアリン酸等の炭素数14〜18の飽和脂肪酸が好ましい。
本発明に用いる前記リン脂質誘導体の原料は、安定性の観点から、天然由来のリン脂質であるのが好ましく、天然由来であり且つ水素添加によって不飽和脂肪酸を実質的に有しない天然水素添加リン脂質であるのがより好ましい。このような水素添加天然リン脂質原料としては、植物又は黄卵由来のリン脂質がより好ましく、水素添加大豆リン脂質がさらに好ましい。また、ベシクルの分散安定性の観点から、リン脂質原料中のホスファチジルコリン含有量は、85重量%であるのが好ましく、90重量%であるのがより好ましい。
本発明に用いる前記リン脂質誘導体の好ましい例には、下記一般式(1)で表されるリン脂質誘導体が含まれる。
Figure 0005109065
式中、R1COは、炭素数14〜18の脂肪酸(好ましくは飽和脂肪酸)の残基であり、R2COは、炭素数18〜22の分子内に二重結合を一つ有する不飽和脂肪酸の残基である。なお、用いる原料の純度によっては、R1COには不飽和脂肪酸の残基が混在する場合があるが、その場合には不飽和脂肪酸の割合は0.1モル%以下であるのが好ましい。また、同様に用いる原料の純度によっては、R2COには2個以上の不飽和基を持つ炭素数14〜22の不飽和脂肪酸の残基が混在するが、かかる場合は、2個以上の不飽和基を持つポリ不飽和脂肪酸の割合が0.1モル%以下で、且つ分子内に二重結合を一つ有する不飽和脂肪酸の割合が90モル%以上であるのが好ましい。混在する割合が上記範囲であると、脂肪酸の遊離がない又は少ないリン脂質誘導体となる。
上記一般式(1)で表されるリン脂質誘導体は、天然水素添加リン脂質を原料とし製造されたものであるのが、安全性等の観点で好ましい。
前記リン脂質誘導体の合成例としては以下の例が挙げられる。
まず、天然水素添加リン脂質(特に好ましくは水素添加大豆リン脂質)を原料に用い、2位を塩化カルシウム共存下、ホスホリパーゼA2で加水分解し、リゾリン脂質を得る。次に、このリゾリン脂質の2位を、炭素数18〜22の脂肪酸(2個以上の不飽和基を持つ不飽和脂肪酸が0.1モル%以下であり、分子内に二重結合を一つ有する不飽和脂肪酸が90モル%以上である)でアシル化する。アシル化の方法としては、特に限定されず、通常のアシル化法を用いればよい。アシル化によって、2位アシル基が不飽和脂肪酸の残基であるリン脂質誘導体が得られる。
前記リン脂質誘導体の相転移温度は、低いのが好ましい。37℃以下であるのが好ましく、25℃以下であるのがより好ましく、0℃以下であるのがさらに好ましい。相転移温度が前記範囲であると、より安定なベシクル組成物を調製できるとともに、経時安定性がより改善される。
本発明のベシクル組成物は、スフィンゴシン誘導体の少なくとも1種を含有する。スフィンゴシン誘導体の例には、N−アシルスフィンゴシン、N−ヒドロキシアシルフィトスフィンゴシン、及びN−アシルフィトスフィンゴシンが含まれる。中でもセラミドが好ましい。セラミドには、タイプ1〜タイプ7の7タイプが存することが知られており、それらのいずれも利用できる。中でも、N−ステアロイルフィトスフィンゴシン等のN−アシルフィトスフィンゴシンが好ましい。また、下記一般式(2)又は(3)で表される化合物も好ましい。
Figure 0005109065
前記式(2)中、R1及びR2は、各々1個以上の水酸基が置換することのある炭素数6〜28の直鎖もしくは分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を表す。
前記式(3Z)中、aは12〜20、bは20〜40、dは7〜49、及びeは10〜98の整数を表し、R3は、各々1個以上の水酸基が置換することのある炭素数6〜28の直鎖もしくは分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を表す。
また、本発明では、スフィンゴシン誘導体として、市販品を用いてもよい。
本発明のベシクル組成物は、前記リン脂質誘導体の1種のみを含有していてもよいし、2種以上を含有していてもよい。また、前記スフィンゴシン誘導体についても、1種のみを含有していてもよいし、2種以上を含有していてもよい。本発明のベシクル組成物における前記リン脂質誘導体と前記スフィンゴシン誘導体との重量比は、1:0.001〜1:0.5であるのが好ましく、1:0.01〜1:0.3であるのがより好ましい。重量比が前記範囲であると、より安定性の高いベシクル組成物となる。
本発明のベシクル組成物は、分散安定性等に寄与する添加剤をさらに含有していてもよい。中でもコレステロール及びフィトステロールを添加すると、より安定なベシクル組成物となるので好ましい。コレステロール又はフィトステロールを含有した態様では、前記リン脂質誘導体とコレステロール又はフィトステロールとの質量比は、1:0.001〜1:0.7であるのが好ましく、1:0.02〜1:0.4であるのがより好ましい。また、前記スフィンゴシン誘導体とコレステロール又はフィトステロールとの質量比は、1:10〜1:0.001であるのが好ましく、1:5〜1:0.01であるのがより好ましい。
また、本発明のベシクル組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、ベシクル粒子中に内包される成分として、スフィンゴシン誘導体とともに、他の生理活性物質、例えば、酵素、ペプチド、ホルモン、細胞増殖因子、プラセンタエキス、ATP、サイクリックATP、インターフェロン、ビタミンA類、トコフェロール、カロチン、ローヤルゼリー、菌代謝物、プロスタグランディン及びビタミンD、などが配合されていてもよい。さらに、スフィンゴシン誘導体とともに、他の有効成分、例えば、アスタキサンチン、及びその誘導体等の有効成分を配合してもよい。
本発明のベシクル組成物の分散媒については特に制限はなく、精製水のみであっても、精製水と親水性有機溶媒との混合溶媒であってもよい。また、本発明のベシクル組成物には、pH調整剤、界面活性剤、水溶性高分子等の添加剤を種々添加してもよい。
本発明のベシクル組成物の調製方法については特に制限されず、一般的な方法により調製することができる。例えば、ボルテクスイング法(A.D.Bangham、J.Mol.Biol.,13,238(1965))、ソニケーション法(C.Huang,Biochem.,8,344(1969))、プレベシクル法(H.Trauble,Neurosci.Res.Prog.Bull.,9,273(1971))、エタノール注入法(S.Batzri,Biochem.Biophys.Acta.,298,1015(1973))、フレンチプレス押出法(Y.Barenholz,FEBS Lett.,99,210(1979))、コール酸除去法(Y.Kagawa,J.Biol.Chem.,246,5477(1971))、トリトンX−100バッチ法(W.J.Gerritsen,Eur.J.Biochem.,85,255(1978))、Ca2+融合法(D.Papahadojopoulos,Biochem.Biophys.Acta.,394,483(1975))、エーテル注入法(D.Deazer,Biochem.Biophys.Acta.,443,629(1976))、アニーリング法(R.Lawaczeck,Biochem.Biophys.Acta.,443,313(1976))、凍結融解融合法(M.Kasahara,J.Biol.Chem.,252,7384(1977))、W/O/Wエマルジョン法(S.Matsumoto,J.Colloid InterfaceSci.,62,149(1977))、逆相蒸発法(F.Szoka,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,75,4194(1978))、多価アルコール法(特開昭60−7932号)等により調製することができる。
本発明のベシクル組成物は、種々の用途に用いることができる。皮膚浸透性が高いことから、皮膚外用剤中に配合するのが好ましい。皮膚外用剤に対する本発明のベシクル組成物の含有量は特に限定されないが、好ましくは、1.0〜90質量%(以下、単に「%」という)であり、より好ましくは3.0〜50%である。皮膚外用剤における前記リン脂質誘導体の最終的濃度が、5%以下であるのが好ましく、0.01〜3%であるのがより好ましい。
本発明の皮膚外用剤の形態は、特に限定されず、例えば、乳液、クリーム、化粧水、美容液、パック、洗浄料、メーキャップ化粧料のいずれの皮膚外用剤であってもよい。また、剤型についても特に限定されず、分散液、軟膏、液剤、エアゾール、貼付剤、パップ剤、リニメント剤等のいずれの化粧料であっても外用医薬品等であってもよい。
又、本発明の皮膚外用剤は、前記ベシクル組成物以外に、化粧料や医薬部外品、外用医薬品等に通常使用される各種の成分、即ち、水、アルコール、油剤、界面活性剤、増粘剤、粉体、キレート剤、pH調整剤、保湿剤、美白剤、抗炎症剤、細胞賦活剤等の各種薬効剤、動植物・微生物由来の抽出物、香料等を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜加えることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
[リン脂質誘導体1の調製]
水素添加大豆リン脂質ホスファチジルコリン(ホスファチジルコリン純度:90%品、C16:0=17.7モル%、C18:0=81.9モル%)120gを、クロロホルム1800ミリリットルに溶解し、塩酸100ミリモルトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液(pH=8.0)880ミリリットル、100ミリモル塩化カルシウム水溶液1320ミリリットル、及びホスホリパーゼA22400単位を加え、40℃で24時間反応し、2位のアシル基を加水分解した。反応後、反応液に蒸留水を加え、2層に分離した後、下層をフラスコに分取し、エバポレータで溶媒留去し、さらにヘキサンを加えて冷却した後、ろ過して析出物64.3gを得た。これにクロロホルム及びメタノールを加え、溶解し、イオン交換樹脂(アンバーライトIRC−50、ロームアンドハース社製)を充填したカラムに通液し、その後濃縮した。アセトンに溶解して、静置後、ろ過して析出物60.3gを得た。この析出物は、1−アシル−2−リゾホスファチジルコリン(1位アシルC16:0=24.6mol%、C18:0=75.4mol%)であった。
上記得られた析出物に、オレイン酸無水物溶液、ジメチルアミノピリジンを加え、40℃で24時間反応させた。得られた反応液をエバポレータで溶媒留去し、酢酸エチル及び蒸留水を加え、2層に分離させた。下層を分取し、クロロホルムを加え、2層に分離し、下層を分取した。得られた下層にクロロホルムを加えて希釈し、イオン交換樹脂(アンバーライトIRC−50、ロームアンドハース社製)を充填したカラムに通液し、その後濃縮した。アセトンに溶解して、ろ過して静置後、1−アシル−2−オレオイル−3−ホスファチジルコリンを50.1g得た。これをリン脂質誘導体1として用いた。得られたリン脂質誘導体1は、R1COが、水素添加飽和大豆リン脂質由来の脂肪酸の残基(パルミチン酸およびステアリン酸が主構成脂肪酸、双方の合計が100mol%)であり、R2COがオレイン酸の残基(99.2mol%)である前記一般式(1)で表される化合物であった。
[リン脂質誘導体1の安定性評価]
上記調製したリン脂質誘導体1、卵黄レシチン、及び大豆レシチンをそれぞれ用いて、下記表1に示す組成のリポソーム含有水分散液(分散液1〜3)をそれぞれ調製し、40℃で1ヶ月保存して、pH変化、臭いの変化及び色の変化を評価した。
(調製方法)
A:成分1〜3のいずれかを成分6の一部で水和した後、成分6の残部に分散する。
B:Aをマイクロフルイダイザーにて処理する。
C:Bに成分4及び5を添加し、リポソーム含有水分散液(試料1〜3)を得る。
(評価)
pH変化量:調製直後及び上記条件で保存後に、各試料のpHをpHメータで測定し、算出した。
臭いの変化:◎ ほとんど変化なし
× 明らかに変化を感じる
色の変化: ◎ ほとんど変化なし
× 目視で明らかに変化がわかる
(組成と評価結果)
Figure 0005109065
上記表1に示す結果から、リン脂質誘導体1を用いて調製した分散液1は、卵黄レシチン及び大豆レシチンをそれぞれ用いて調製した分散液2及び3と比較して、pHの変化量が小さく、臭い及び色の変化もなかった。これは、リン脂質誘導体1が安定で、保存中に脂肪酸の遊離が生じないことによるものと考えられる。
[ベシクル組成物の皮膚浸透性評価]
下記表に示す成分(1)〜(9)を80℃に加熱混合し、均一に分散した後、マイクロフルイダイザーにて処理し、蛍光物質(C−12 NBD Ceramide、Cayman Chemical社製)で標識したベシクル組成物、試料4(実施例)、試料5及び6(ともに比較例)をそれぞれ調製した。
Figure 0005109065
*1 日光ケミカルズ社製
東洋紡社製3次元皮膚モデル(TESTSKIN LSE)を、フランツ型拡散セルにセットし、蛍光物質(C−12 NBD Ceramide、Cayman Chemical社製)で標識した、上記試料4〜6をそれぞれ一定時間塗布した。その後、3次元皮膚モデルを取り出し、凍結した後、薄層切片とし、共焦点レーザー顕微鏡(FV−1000、オリンパス社製)で撮影を行った。蛍光物質の角層への浸透度合いを、下記の式より算出した。
浸透度合い (%)=蛍光物質が浸透した厚さ/角層全体の厚さ×100
算出された浸透度合いは、試料4は56%、試料5は28%及び、試料6は20%であった。即ち、本発明の実施例である試料4が、比較例である試料5及び6と比較して、皮膚浸透性が非常に高いことがわかった。
[ベシクル組成物の安定性評価]
下記表に示す組成のベシクル組成物試料をそれぞれ調製した。
(調製方法)
下記表3に示す成分(1)〜(9)を80℃に加熱混合し、均一に分散した後、マイクロフルイダイザーにて処理した。そこに、(10)〜(13)を添加混合し、ベシクル組成物の試料7〜15をそれぞれ調製した。
(評価方法)
調製した各試料を顕微鏡にて観察し、セラミドの結晶析出の有無を確認した。また、各試料についてベシクルがその形態を保っているか否かについて、電子顕微鏡で観察し、ベシクルの形態保持性を評価した。
さらに、各試料を40℃の恒温槽に4週間放置し、セラミドの結晶析出の有無、及びベシクルの形態保持性を評価した。
[評価]
◎:セラミドの結晶析出もなく、ベシクルの形態についても全く変化は認められない。
○:セラミドの結晶析出もほとんどなく、またベシクルの形態についてもほとんど変化は認められない。
△:セラミドの結晶析出及び/又はベシクルの形態について、やや変化が認められる。
×:セラミドの結晶析出及び/又はベシクルの形態について明らかに変化が認められる。
(組成と評価結果)
Figure 0005109065
上記表3の結果から明らかなように、本発明の実施例である試料7〜12のベシクル組成物は、セラミドの分散性及び分散安定性の双方に優れたものであった。これらの試料は、上記条件で放置した後も、その良好な分散性及び分散安定性を維持したが、中でも、コレステロール又はフィトステロールをリン脂質に対して1:0.25〜1:0.02含有する試料7、10、11、12は、経時安定性に特に優れていた。試料7〜12は、リン脂質誘導体1の代わりに水素大豆リン脂質又は卵黄レシチンを用いた比較例用の試料13〜15と比較して、いずれの項目の評価結果も優れていた。
なお、試料13及び15は、コレステロールとの併用により、調製時の分散性及び分散安定性はある程度改善があるものの、上記条件で放置した後には、セラミドの結晶析出及びベシクル粒子の変形又は破壊が観察され、実施例の試料と比較して、経時安定性は格段に劣っていた。
[ベシクル組成物の調製]
下記の成分(1)〜(6)を80℃に加熱混合し、均一に分散した後、マイクロフルイダイザーにて処理してベシクル組成物1を調製した。
(成分) (%)
(1) リン脂質誘導体1 10.0
(2) コレステロール 2.5
(3) セラミドII 2.5
(4) グリセリン 10.0
(5) 1,3−ブチレングリコール 10.0
(6) 精製水 残量
[化粧水の調製]
下記の成分(1)〜(6)を混合して攪拌し、化粧水1を調製した。
(成分) (%)
(1) ベシクル組成物1 40.0
(2) 1,3−ブチレングリコール 15.0
(3) グリセリン 5.0
(4) キサンタンガム 0.1
(5) 防腐剤 適量
(6) 精製水 残量
得られた化粧水は、皮膚浸透性に優れ、肌に保湿及びエモリエント感に与え、且つ安定性も良好な化粧水であった。
[軟膏の調製]
A.下記成分(1)〜(5)を加熱溶解し、75℃に保つ。
B.下記成分(7)及び(8)を加熱混合し、75℃に保つ。
C.AをBに徐々に加える。
D.Cを冷却しながら下記成分(6)を加え、軟膏を調製した。
(成分) (%)
(1) ステアリン酸 18.0
(2) セタノール 4.0
(3) ポリオキシエチレン付加コレステロール*1 0.5
(4) トリエタノールアミン 1.0
(5) グリセリン 5.0
(6) ベシクル組成物1 30.0
(7)防腐剤 適量
(8)精製水 残量
*1 日光ケミカルズ社製
得られた軟骨は、皮膚浸透性に優れ、肌荒れ改善効果に有効な軟膏であった。
[パックの調製]
A.成分(1)、(2)、(6)及び(9)を混合し、70℃に加熱し、撹拌する。
B.成分(3)、(4)及び(5)を加熱し、混合する。
C.上記Bを先のAに加え、混合した後、冷却して(7)及び(8)を均一に分散してパックを得た。
(成分) (%)
(1) ポリビニルアルコール 20.0
(2) エタノール 20.0
(3) グリセリン 5.0
(4) フィトステロール*1 0.2
(5) カオリン 6.0
(6) 防腐剤 適量
(7) 香料 適量
(8) ベシクル組成物1 10.0
(9)精製水 残量
*1 エーザイ社製
得えられたパックは、肌に潤いを付与するパックであった。
[洗浄料の調製]
A.下記成分(8)、(9)、(10)及び(11)を混合し、70℃に加熱する。
B.下記成分(1)〜(6)を混合し、70℃に加熱する。
C.上記Bを先のAに加え、しばらく70℃に保ち、反応が終了後、50℃まで冷却し、成分(7)、(12)を加え、冷却して洗浄料を得た。
(成分) (%)
(1) ステアリン酸 10.0
(2) パルミチン酸 8.0
(3) ミリスチン酸 12.0
(4) ラウリン酸 4.0
(5) オレイルアルコール 1.5
(6) 精製ラノリン 1.0
(7) 香料 適量
(8)防腐剤 適量
(9)グリセリン 18.0
(10)水酸化カリウム 6.0
(11)精製水 残量
(12) ベシクル組成物1 15.0
*1 旭化成社製
*2 日光ケミカルズ社製
得られた洗顔料は、洗浄後の肌に潤いを付与し、肌のかさつきを防止する洗浄料であった。

Claims (5)

  1. 1−アシル−2−オレオイル−3−ホスファチジルコリンと、セラミドを、重量比1:0.001〜1:0.5で含有することを特徴とするベシクル組成物。
  2. 前記1−アシル−2−オレオイル−3−ホスファチジルコリンが、大豆リン脂質を原料とするリン脂質誘導体であることを特徴とする請求項1に記載のベシクル組成物。
  3. コレステロール及び/又はフィトステロールをさらに含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のベシクル組成物。
  4. 前記1−アシル−2−オレオイル−3−ホスファチジルコリンが、天然水素添加リン脂質を原料とし、且つ下記一般式(1)で表されるリン脂質誘導体であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のベシクル組成物。
    Figure 0005109065
    (式中、R1COは、炭素数14〜18の飽和脂肪酸の残基であり;R2COは、オレイン酸の残基である。)
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載のベシクル組成物を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
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