JP6411050B2 - リポソーム及びそれを含有する化粧料 - Google Patents

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Description

本発明は、肌への浸透感及び肌馴染みがよく、優れた安定性を備えるリポソームに関する。また、本発明は、当該リポソームを使用した皮膚外用組成物に関する。
従来、保湿感を高めるために、多くの皮膚外用組成物においてヒアルロン酸が配合されてきている。しかしながら、ヒアルロン酸は、分子量が大きく、べたつき感や肌への浸透感の点で劣るという問題があった。一方、分子量を小さくした加水分解ヒアルロン酸は、べたつき感を低減でき、肌への浸透感の向上も図られることが知られている。しかしながら、加水分解ヒアルロン酸では、肌馴染みが悪く、また保湿感が劣るという欠点があり、未だ満足できるものではなかった。
そこで、従来、加水分解ヒアルロン酸による保湿感を向上させる製剤処方として、リン脂質誘導体及び/又はリン脂質重合体、加水分解ヒアルロン酸、ブルーベリー抽出物、並びに非イオン界面活性剤及び/又はシリコーン系界面活性剤を含む皮膚用化粧料が提案されている(特許文献1)。しかしながら、特許文献1が開示する製剤処方では、べたつき感や保湿感などは改善されるものの、肌馴染みや浸透感については満足のいくものではなかった。
一方、リポソームは、生体膜の主要成分であるリン脂質の二分子膜からなるナノサイズの小胞体であり、皮膚浸透機能があり、皮膚外用組成物に使用されている。例えば、特許文献2では、ホスファチジルコリン含量90重量%以上でヨウ素価0.1以下の水素添加大豆リン脂質を使用し、平均粒径を100〜500nmに調整した化粧料用リポソームは、経時的に安定で、べたつき感がなく、肌のなめらかさを持続できることが報告されている。しかしながら、特許文献2に記載の化粧料用リポソームでも、依然として浸透感や肌馴染みは満足のいくものではなかった。更に、特許文献2に記載の化粧料用リポソームは、使用するレシチンの種類によっては、安定性が悪くなったり、着色したりすることがあり、製剤化が困難という問題もあった。
近年、皮膚外用組成物に対する高機能化や使用感の向上に対する要望は高まっており、従来の製剤処方では、消費者の要望に十分に追従できなくなっている。そこで、皮膚外用組成物の高機能化や使用感の向上の要望に追従できる新たな製剤技術の開発が切望されている。
特開2009−14624号公報 特開2006−124378号公報
本発明は、肌への浸透感及び肌馴染みがよく、優れた安定性を備えるリポソームを提供することを目的とする。また、本発明は、当該リポソームを使用した皮膚外用組成物を提供することを目的とする。
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、天然レシチンと水素添加レシチンを含むリポソームは、肌への浸透感及び肌馴染みが向上しており、更に、長期間保存してもリポソーム形態を安定に維持でき、優れた安定性も備えていることを見出した。更に、当該リポソームと共に機能性成分を配合した皮膚外用組成物は、当該機能性成分の肌への浸透感及び肌馴染みが向上することも見出した。本発明は、これらの知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様のリポソーム及び皮膚外用組成物を提供する。
項1. 天然レシチン及び水素添加レシチンを含むことを特徴とする、リポソーム。
項2. 前記天然レシチンが卵黄レシチンである、項1に記載のリポソーム。
項3. 前記水素添加レシチンが水素添加大豆レシチンである、項1又は2に記載のリポソーム。
項4. 前記天然レシチン1重量部に対して、前記水素添加レシチンが20〜130重量部含まれる、項1〜3のいずれかに記載のリポソーム。
項5. 前記卵黄レシチンとして、卵黄の低級アルコール抽出物が使用される、項2〜4のいずれかに記載のリポソーム。
項6. 項1〜5のいずれかに記載のリポソームを含有する、皮膚外用組成物。
項7. 更に、卵黄の低級アルコール抽出物を含有する、項6に記載の皮膚外用組成物。
項8. 化粧料である、項6又は7に記載の皮膚外用組成物。
本発明のリポソームは、肌への浸透感及び肌馴染みが優れており、皮膚外用組成物への添加原料として使用することにより、優れた使用感及び機能性を皮膚外用組成物に付与することができる。特に、本発明のリポソームは、ヒアルロン酸又はその加水分解物等の機能性成分を内水相に封入又は外水相に共存させることによって、当該機能性成分の肌への浸透感、及び肌馴染みを格段に向上させることもできる。また、本発明のリポソームは、安定性に優れており、長期間保存してもリポソーム形態を安定に維持できる。
本発明のリポソームは、天然レシチン及び水素添加レシチンを含むことを特徴とする。以下、本発明のリポソームについて詳述する。
天然レシチン
本発明のリポソームは、天然レシチンを含む。本発明のリポソームにおいて、天然レシチンは、リポソームの膜構成成分としての機能を果たすと考えられる。天然レシチンとは、動物又は植物から得られ、脂肪酸鎖として不飽和脂肪酸鎖を含むレシチンである。天然レシチンは、不飽和二重結合を多く含んでおり、ヨウ素価は通常20以上である。本発明で使用される天然レシチンとして、肌への浸透感、肌馴染み、及び安定性をより一層向上させるという観点から、天然レシチンのヨウ素価として、好ましくは25以上、更に好ましくは30以上が挙げられる。天然レシチンのヨウ素価の上限としては、通常120以下、好ましくは100以下、更に好ましくは95以下が挙げられる。
天然レシチンに含まれるリン脂質の種類については、特に制限されず、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴミエリン、ホスファチジン酸等が挙げられる。本発明で使用される天然レシチンは、これらのリン脂質の内の1種単独で構成されていてもよく、また2種以上の組み合わせによって構成されていてもよい。本発明で使用される天然レシチンとして、肌への浸透感、肌馴染み、及び安定性をより一層向上させるという観点から、ホスファチジルコリン含量が、10重量%以上、好ましくは15重量%以上、更に好ましくは20重量%以上である天然レシチンが挙げられる。ホスファチジルコリン含量の上限としては、特に制限されないが、95重量%以下が挙げられる。
本発明で使用される天然レシチンの由来については、特に制限されず、動物由来又は植物由来のいずれであってもよい。
動物由来のレシチンとしては、具体的には、卵黄レシチン、魚介類由来のレシチン等が挙げられる。これらの動物由来のレシチンは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、植物由来のレシチンとしては、具体的には、大豆レシチン、ゴマレシチン、とうもろこしレシチン、アマニレシチン、オリーブレシチン、米レシチン、なたねレシチン、ひまわりレシチン、サフラワーレシチン、綿実レシチン、キリレシチン、グレープレシチン、アボガドレシチン、ヤシレシチン、パームレシチン等が挙げられる。これらの植物由来のレシチンは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明のリポソームにおいて、天然レシチンは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明で使用される天然レシチンとして、肌への浸透感、肌馴染み、及び安定性をより一層向上させるという観点から、好ましくは、卵黄レシチン、大豆レシチン、更に好ましくは卵黄レシチンが挙げられる。
また、本発明に使用される天然レシチンは、精製物を使用してもよいが、天然レシチンが含まれていることを限度として他の成分が含まれていてもよい。特に、卵黄レシチンを使用する場合であれば、卵黄の低級アルコール抽出物を使用することが好ましい。
卵黄の低級アルコール抽出物は、卵黄を、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコールでレシチン等の脂質、その他の油脂成分を抽出したものであり、卵黄レシチン、及びその他の油脂成分が含まれる。卵黄の低級アルコール抽出物は、低級アルコールで抽出処理をして得られた抽出液をそのまま使用してもよく、また必要に応じて当該抽出液を乾燥・固化したものを使用してもよい。更には、乾燥・固化した抽出物を、更に低級アルコールでの抽出処理に供し、レシチン以外の脂質や油脂成分を低減又は除去したものを使用してもよい。卵黄の低級アルコール抽出物は、卵黄レシチンが15重量%以上含まれていることが好ましく、20重量%以上含まれていることが好ましく、25重量%以上含まれていることが更に好ましい。卵黄の低級アルコール抽出物には、レシチン以外の油脂成分が含まれており、これを後述する水素添加レシチンと組み合わせることで、リポソームの安定性を担保しながら、より一層効果的に肌馴染みと浸透感の向上を図ることが可能になる。
天然レシチンは商業的に入手可能であり、本発明では商業的に入手可能な天然レシチンを使用することができる。商業的に入手可能な天然レシチンとしては、例えば、大豆レシチンとして、日油株式会社(商品名:COATSOME NC−20(SPC))、Lipoid社(商品名:LIPOID P100)等が挙げられ、卵黄レシチンとして、日油株式会社(商品名:COATSOME NC−50(EPC))、Lipoid社(商品名:LIPOID E PC S)、キユーピー株式会社(商品名:卵黄レシチンPL−30S)等が挙げられる。
水素添加レシチン
本発明のリポソームは、前記天然レシチンと共に、水素添加レシチンを含む。本発明のリポソームにおいて、水素添加レシチンは膜構成成分としての機能を果たすと考えられる。水素添加レシチンとは、前記天然レシチンに対して水素添加処理することにより、不飽和二重結合の少なくとも一部が飽和結合に変換されたレシチンである。水素添加レシチンは、不飽和二重結合が減じられており、ヨウ素価は通常10以下である。本発明で使用される水素添加レシチンとして、肌への浸透感、肌馴染み、及び安定性をより一層向上させるという観点から、水素添加レシチンのヨウ素価として、好ましくは8以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは3以下が挙げられる。
水素添加レシチンに含まれるリン脂質の種類については、特に制限されず、前記天然レシチンで例示したリン脂質が水素添加されたものであればよい。また、本発明で使用される水素添加レシチンは、1種のリン脂質で構成されていてもよく、また2種以上のリン脂質組み合わせによって構成されていてもよい。本発明で使用される水素添加レシチンとして、肌への浸透感、肌馴染み、及び安定性をより一層向上させるという観点から、ホスファチジルコリン含量が、10重量%以上、好ましくは15重量%以上、更に好ましくは20重量%以である水素添加レシチンが挙げられる。ホスファチジルコリン含量の上限としては、特に制限されないが、99重量%以下が挙げられる。
本発明で使用される水素添加レシチンの由来については、特に制限されず、前記天然レシチンで例示した動物又は植物由来のレシチンが水素添加されたものであればよい。本発明のリポソームにおいて、水素添加レシチンは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明で使用される水素添加レシチンとして、肌への浸透感、肌馴染み、及び安定性をより一層向上させるという観点から、好ましくは、水素添加大豆リン脂質、水素添加卵黄レシチン、更に好ましくは水素添加大豆リン脂質が挙げられる。
水素添加レシチンは商業的に入手可能であり、本発明では商業的に入手可能な天然レシチンを使用することができる。商業的に入手可能な水素添加レシチンとしては、例えば、水素添加大豆リン脂質として、日光ケミカルズ株式会社(NIKKOL レシノール S−10、NIKKOL レシノール S−10E、NIKKOL レシノール S−10EX)、日油株式会社(商品名:COATSOME NC−21)等が挙げられ、水素添加卵黄レシチンとして、キユーピー株式会社(商品名:卵黄レシチンPL−100P)、日油株式会社(商品名:COATSOME NC−11)等が挙げられる。
天然レシチンと水素添加レシチンの比率
本発明のリポソームにおいて、天然レシチンと水素添加レシチンの比率については、特に制限されないが、例えば、天然レシチン1重量部に対して、水素添加レシチンが20〜130重量部であることが好ましく、30〜100重量部であることがより好ましく、35〜85重量部が更に好ましい。このような比率を充足することによって、肌への浸透感、肌馴染み、及び安定性をより一層向上させることが可能になる。更に、このような比率を充足することにより、リポソームのニオイや着色を抑制することもできる。
本発明のリポソームにおいて、天然レシチン及び水素添加レシチンの含有量については、本発明の効果を損なわない範囲で適宜設定すればよいが、例えば、リポソームの膜構成成分の総量100重量部当たり、天然レシチン及び水素添加レシチンが総量で20〜100重量部、好ましくは30〜100重量部、更に好ましくは40〜100重量部が挙げられる。
その他の膜構成成分
本発明のリポソームは、天然レシチン及び水素添加レシチン以外に、本発明の効果を妨げないことを限度として、必要に応じて他の成分が膜構成成分として含まれていてもよい。このような膜構成成分としては、例えば、リン脂質重合体、ステロール類、荷電物質、アシルアミノ酸系界面活性剤等が挙げられる。
リン脂質重合体としては、例えば、ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル・メタクリル酸ナトリウム共重合体、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド共重合体、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ステアリル共重合体等が挙げられる。これらのリン脂質重合体の中でも、好ましくは、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体が挙げられる。これらのリン脂質重合体は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ステロール類としては、例えば、コレステロール、酢酸コレステリル、ノナン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、ステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、パルミトレイン酸フィトステリル、軟質ラノリン脂肪酸コレステリル、硬質ラノリン脂肪酸コレステリル、長鎖分岐脂肪酸コレステリル、長鎖α−ヒドロキシ脂肪酸コレステリル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・2−オクチルドデシル)、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル等が挙げられる。これらのステロール類は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
荷電物質としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、エレオステアリン酸、2,4−オクタデカジエン酸等の脂肪酸;これらのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩等の脂肪酸塩;ホスファチジン酸、ジセチルホスフェート等が挙げられる。また、リン脂質成分としてホスファチジルグリセロールを又はその塩を用いた場合、それ自身が荷電物質としても作用する。これらの荷電物質は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
アシルアミノ酸系界面活性剤としては、例えば、サルコシン、グルタミン酸、タウリン、グリシン等のアミノ酸の脂肪酸アミド塩が挙げられる。これらのアシルアミノ酸系界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
その他の含有成分
本発明のリポソームには、必要に応じて、香粧学的又は薬学的な機能性を示す機能性成分が含まれていてもよい。このような機能性成分としては、特に制限されないが、例えば、水溶性のビタミン及びその誘導体、油溶性のビタミン及びその誘導体、グリチルリチン酸及びその誘導体、グリチルレチン酸及びその誘導体、アスタキサンチン、コエンザイムQ10、α−リポ酸、セラミド又はその類似物質、リノール酸、アルブチン、トラネキサム酸、コウジ酸、酵素、ペプチド、ホルモン、各種サイトカイン、ヒアルロン酸等のグリコサミノグリカン類及びその塩類或いはその誘導体、ヒアルロン酸加水分解物、コラーゲン又はその加水分解物、エラスチン又はその加水分解物、糖類等の生理活性物質、各種動植物抽出物、微生物による発酵で得られる物質、ステロイド剤、抗ヒスタミン、局所麻酔剤、抗炎症剤、抗菌剤、抗菌剤、鎮痒剤、皮膚保護剤、血行促進剤、ステロール類等が挙げられる。特に、ヒアルロン酸又はその加水分解物は、従来技術では肌への浸透感及び肌馴染みの双方を満足させることが困難な機能性成分であるが、本発明のリポソームによれば、ヒアルロン酸又はその加水分解物の肌への浸透感及び肌馴染みの双方を効果的に向上させることができる。かかる本発明の効果に鑑みれば、機能性成分として、好ましくはヒアルロン酸又はその加水分解物、更に好ましくはヒアルロン酸の加水分解物が挙げられる。ヒアルロン酸の加水分解物の平均分子量については、特に制限されないが、例えば、1万以下が挙げられる。
本発明のリポソームにおいて、前記機能性成分は、内水相(リポソームの内相)、外水相(リポソームの外相)、及び膜内部(リポソーム膜内)のいずれか1つに含まれていればよい。機能性成分の肌への浸透感及び肌馴染みをより一層向上させるという観点から、好ましくは、少なくとも内水相に機能性成分が含まれている態様が挙げられる。
本発明のリポソームにおける前記機能性成分の含有量については、使用する機能性成分の種類に応じて適宜設定されるが、例えば、リポソームの膜構成成分の総量100重量部当たり、機能性成分が0.01〜35重量部、好ましくは0.1〜25重量部、更に好ましくは0.5〜20重量部が挙げられる。
また、本発明のリポソームには、内水相及び外水相を形成する水以外に、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じて、皮膚外用組成物に配合される添加剤が含まれていてもよい。このような添加剤としては、例えば、エタノール、イソプロパノール等の低級1価アルコール;グリセリン、プロピレングリコール等の多価アルコール;スクワラン、ワセリン等の油剤;ジブチルヒドロキシトルエン、亜硫酸塩等の酸化防止剤;フェノキエタノール、オクトキシグリセリン、パラベン等の防腐剤;顔料、パール化剤、増粘剤、界面活性剤、安定化剤、キレート剤、着色料、香料、緩衝剤、pH調整剤等が挙げられる。
これらの添加剤は、本発明のリポソームにおける内水相(リポソームの内相)、外水相(リポソームの外相)、及び膜内部(リポソーム膜内)のいずれに含まれていてもよい。
製造方法・形態
本発明のリポソームは、膜構成成分、水、必要に応じて添加される機能性成分や添加剤を混合し、公知のリポソーム形成方法に供することによって調製される。リポソーム形成方法については、特に制限されないが、例えば、ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、真空乳化機等で処理する方法、超音波処理法、フレンチプレス法、凍結融解法、逆相蒸発法、界面活性剤法、エクストルージョン法、カルシウム−EDTAキレート法等が挙げられる。
また、リポソーム形成方法によって得られたリポソームは、公知のサイジング処理に供して、粒子径を調製してもよい。サイジング処理としては、特に制限されないが、例えば、所定の孔径のフィルターを通過させる方法、ゲル濾過等が挙げられる。
本発明のリポソームの平均粒径については、特に制限されないが、例えば50〜500nm程度が挙げられる。
また、本発明のリポソームは、リポソーム形成方法によって得られた状態のまま使用してもよく、また公知の粉末化処理に供して粉末リポソームとして使用してもよい。
用途
本発明のリポソームは、化粧料、外用医薬品等の皮膚外用組成物に添加される原料として使用される。本発明のリポソームを皮膚外用組成物に添加することによって、皮膚外用組成物中で本発明のリポソームがリポソーム形態を保持したまま分散し、当該皮膚外用組成物の肌への浸透感及び肌馴染みを向上させることができる。
本発明のリポソームが添加される皮膚外用組成物は、液状、固形状、クリーム状、ジェル状等のいずれの剤型であってもよい。また、本発明のリポソームが添加される皮膚外用組成物は、油中水型乳化組成物、水中油型乳化組成物等の乳化形態であってもよい。
本発明のリポソームが添加される皮膚外用組成物の製剤形態として、例えば、クリーム、化粧水、美容液、乳液、ジェル、口紅、ファンデーション等の化粧料;液剤(ローション剤、スプレー剤、エアゾール剤、及び乳液剤を含む)、フォーム剤、軟膏剤、クリーム剤、ジェル剤、貼付剤等の外用医薬品が挙げられる。これらの製剤形態の中でも、肌への浸透感、肌馴染みをより一層向上させるという観点から、好ましくは化粧料、更に好ましくは、クリーム、化粧水、美容液、及び乳液が挙げられる。
皮膚外用組成物において、本発明のリポソームの添加量については、その製剤形態等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、皮膚外用組成物中で、天然レシチンと水素添加レシチンの合計量が0.00005〜5重量%、好ましくは0.00005〜3重量%、更に好ましくは0.00005〜2重量%となる範囲が挙げられる。
また、本発明のリポソームが添加される皮膚外用組成物は、その製剤形態に応じて、香粧学的又は薬学的な機能性を示す機能性成分、所定の製剤形態に調製するための添加剤、水等が含まれていてもよい。このような機能性成分や添加剤の種類については、本発明のリポソームの内水相、外水相又は膜内部に含有させ得る成分として例示したものと同様である。
また、皮膚外用組成物中で、本発明のリポソーム及び卵黄の低級アルコール抽出物を共存させることによって、肌馴染みと浸透感を格段顕著に向上させることができる。従って、本発明のリポソームが添加された皮膚外用組成物の好適な一態様として、卵黄の低級アルコール抽出物を含有している態様が挙げられる。ここで、皮膚外用組成物に配合される卵黄の低級アルコール抽出物については、前記「天然レシチン」の欄に記載の通りである。
また、皮膚外用組成物中の卵黄の低級アルコール抽出物の含有量については、特に制限されないが、例えば、乾燥重量換算で、0.001〜5重量%、好ましくは0.001〜3重量%、更に好ましくは0.001〜2重量%が挙げられる。
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
試験例1
1.リポソームの製造
水素添加大豆レシチン[日光ケミカルズ株式会社製「NIKKOL レシノール S−10E」、ヨウ素価0.1、ホスファチジルコリン含量82.2重量%]及び/又は卵黄のエタノール抽出物(卵黄油)[キユーピー株式会社製「卵黄レシチンPL−30S」;当該抽出物には、卵黄レシチン(ヨウ素価73、ホスファチジルコリン含量29.6重量%)が30重量%含有されている]を用いてリポソームの製造を行った。具体的には、水素添加大豆レシチン及び/又は卵黄のエタノール抽出物を表1に示す所定量混合して85℃で加熱分散させた混合液を、表1の(B)に示す所定量の各成分を85℃で加熱溶解させた液に添加し、80℃で6,000rpmで5分間ホモジナイズ処理(プライミクス株式会社、ロボミックスを使用)を行った。ホモジナイズ処理後、60℃まで空冷で冷却した後に、水冷して室温まで冷却してリポソーム組成物を得た。
2.リポソームの性能評価
リポソームの安定性
リポソームは、リオトロピック液晶を形成するので、リオトロピック液晶の形成は偏光顕微鏡でマルテーゼクロスと呼ばれる十字模様によって確認できることが知られている。そこで、本試験では、マルテーゼクロス像を確認することによって、上記で得られた各リポソームの安定性について評価した。具体的には、前記でえられた各リポソーム組成物を25℃にて24時間暗所で保存した後に、保存前後でリポソーム組成物において認められるマルテーゼクロス像の数を、偏光顕微鏡を用いて計測し、下記の判定基準に従って、リポソームの安定性を評価した。
<リポソームの安定性の判定基準>
○:保存後のリポソーム組成物において、マルテーゼクロス像の数の減少率が10%未満である。
△:保存後のリポソーム組成物において、マルテーゼクロス像の数の減少率が10%以上40%未満である。
×:保存後のリポソーム組成物において、マルテーゼクロス像の数の減少率が40%以上である。
ニオイ
評価モニター10名が各リポソーム組成物のニオイについて評価した。具体的には、ニオイが気になるを「1」、ニオイが気にならないを「10」としたVisual Analogue Scale(以下、VASと記載する)によるアンケートを実施することにより評価した。アンケート結果を平均し、小数点第一位を四捨五入することにより、評価結果をまとめた。
着色
評価モニター10名が各リポソーム組成物の着色について評価した。着色が気になるを「1」、着色が気にならないを「10」としたVASによるアンケートを実施することにより評価した。アンケート結果を平均し、小数点第一位を四捨五入することにより、評価結果をまとめた。
肌馴染み・浸透感・保湿感
評価モニター10名が各リポソーム組成物の肌馴染み、浸透感、及び保湿感について評価した。具体的には、各リポソーム組成物約0.8gを顔に塗布し、感じられる肌馴染み、浸透感、及び保湿感について評価した。各評価は、肌馴染みが悪いと感じるを「1」、肌馴染が良いと感じるを「10」;浸透感が悪いと感じるを「1」、浸透感が良いと感じるを「10」;保湿感が低いと感じるを「1」、保湿感が高いと感じるを「10」として、VASによるアンケートを実施することにより行った。アンケート結果を平均し、小数点第一位を四捨五入することにより、評価結果をまとめた。なお、比較例2では、安定なリポソームを形成できていなかったので、本評価は行わなかった。
3.評価結果
得られた結果を表1に示す。水素添加大豆レシチンのみでリポソームを形成させると、リポソームの安定性は良好であったが、肌馴染み、浸透感、及び保湿感が劣っており、使用感の点で不十分であった。また、卵黄のエタノール抽出物(卵黄レシチン)のみでは、安定なリポソームを形成することはできず、更にニオイの点でも問題があった。一方、水素添加大豆レシチンと卵黄のエタノール抽出物(卵黄レシチン)を併用してリポソームを形成すると、リポソームの安定性が良好であり、しかも優れた肌馴染み、浸透感、及び保湿感を備えていた。特に、卵黄レシチン1重量部に対して、水素添加大豆レシチンが30〜100重量部の割合で含まれる場合には、リポソームの安定性が一層向上すると共に、ニオイや着色をより効果的に抑制でき、更には格段に優れた肌馴染み、浸透感、及び保湿感が得られることも明らかとなった。
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試験例2
表2に示す組成の化粧水を調製した。具体的には、表2に示す(A)の各成分と、表2に示す(B)の各成分をそれぞれ撹拌溶解し、得られた(B)に(A)を加えて撹拌した。その後、所定量のリポソーム組成物を添加し、更に撹拌することにより、化粧水を製造した。
得られた化粧水について、前記試験例1と同様の方法で、肌馴染み、浸透感、及び保湿感について評価した。得られた結果を表2に示す。この結果から、実施例1で得られたリポソームを含有させることにより、優れた肌馴染み、浸透感、及び保湿感を化粧水に付与できることが確認された。
Figure 0006411050
試験例3
表3に示す組成の化粧水を調製した。具体的には、表3に示す(A)の各成分と、表2に示す(B)の各成分をそれぞれ撹拌溶解し、得られた(B)に(A)を加えて撹拌した。その後、表3に示す(C)の各成分を添加し、更に撹拌することにより、化粧水を製造した。ここで、卵黄のエタノール抽出物としては、キユーピー株式会社製「卵黄レシチンPL−30S」(当該抽出物には、卵黄レシチン(ヨウ素価73、ホスファチジルコリン含量29.6重量%)を30重量%含有している)を使用した。
得られた化粧水について、前記試験例1と同様の方法で、肌馴染み、浸透感、及び保湿感について評価した。得られた結果を表3に示す。この結果からも、水素添加大豆レシチンと卵黄のエタノール抽出物(卵黄レシチン)で形成したリポソームを化粧水に配合することによって、優れた肌馴染み、浸透感、及び保湿感が得られることが確認された。
Figure 0006411050
処方例1〜34
表4〜7に記載の処方に従い、リポソーム組成物を調製した。具体的には、試験例1と同様にして、肌への浸透感及び肌馴染みがよく、安定性に優れたリポソーム組成物を調製した。また、試験例3と同様にして、得られた各リポソーム組成物を含有する化粧水を調製した。
Figure 0006411050
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Claims (7)

  1. 天然レシチン及び水素添加レシチンを含み、天然レシチン1重量部に対して水素添加レシチンが20〜130重量部含まれる、リポソーム。
  2. 前記天然レシチンが卵黄レシチンである、請求項1に記載のリポソーム。
  3. 前記水素添加レシチンが水素添加大豆レシチンである、請求項1又は2に記載のリポソーム。
  4. 前記卵黄レシチンとして、卵黄の低級アルコール抽出物が使用される、請求項2又は3に記載のリポソーム。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載のリポソームを含有する、皮膚外用組成物。
  6. 更に、卵黄の低級アルコール抽出物を含有する、請求項に記載の皮膚外用組成物。
  7. 化粧料である、請求項又はに記載の皮膚外用組成物。
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