JP4412427B2 - 混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセロリン脂質の製造方法 - Google Patents

混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセロリン脂質の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセロリン脂質を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、リン脂質は、乳化剤に広く用いられているが、近年、リポソームの基材として薬剤運搬体、人工血液、人工細胞等への応用が注目されている上に、リン脂質自体が生理活性・薬剤作用を持つものとして、医学・薬学・工学的分野の様々な用途が考えられている。
このような多様な要求に対応するために、各々の用途に応じた適切な機能を有する種々のリン脂質が求められており、これまで数多くの合成リン脂質の製造方法が報告されている。
例えば、従来の同種の脂肪酸残基が2個結合したグリセロリン脂質の製造方法については、特開昭51−91213号公報に記載されている。また、リゾリン脂質の精製方法については、特開平3−141289号公報に開示されていて、ホスホリパーゼDによる塩基交換反応を用いたグリセロリン脂質の製造方法については特開平5−292981号公報に記載されている。
しかし、これらの公知の方法では、2種の脂肪酸残基が同種であるため、その使用用途範囲が限定されたり、機能面において需要に対応した性能を満たすために不十分であった。
一方、2種のアシル基が結合している混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセロリン脂質は生体中に多く含まれており、その生体における部位によって脂肪酸組成が異なる。なかでも1位が飽和脂肪酸、2位が不飽和脂肪酸である混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセロリン脂質が生体中に最も多く含まれており、生体への親和性が高い特性を有する。
医薬用リポソーム、診断薬への応用では、生体適合性の良好な天然リン脂質類似の構造および組成を有する高純度の混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセロリン脂質が強く要望されている。
このようなことから、高純度の混合酸型グリセロリン脂質の製造方法については、特開昭52−89622号公報、特開昭63−54385号公報、特開昭63−54384号公報、特開昭63−157993号公報などが知られている。しかし、これらの公報記載の製造技術は、化学構造の上で、脂肪酸組成が重合性脂肪酸でなければならないという制限及びリン脂質の種類がホスファチジルコリンあるいはホスファチジルイノシトールでなければならないという制限があり、任意の構造の混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセロリン脂質を製造することができない欠点がある。
多様な用途に適切に対応するために、このような構造制限のない条件で1位と2位に異種の脂肪酸残基を有する混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセロリン脂質を高純度で製造する方法は、知られていない。
このような状況において、多様な用途に応じた多様な機能を有する混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセロリン脂質を効率的に製造する方法を提供することは、産業上非常に意義あることである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上の観点からなされたもので、混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセロリン脂質を高純度で、かつ、1位と2位にどのようなカルボン酸の組み合わせの化合物であっても、単一の製造方法によって、工業的スケールで容易に製造しうる方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記問題点を鑑み、鋭意検討を重ねた結果、アシル基交換において、特定の溶剤混合物を用いることにより、上記課題を解決することを見いだした。
すなわち、本発明は次の各項の発明よりなる。
(1)
【化3】
Figure 0004412427
(式中、R1、R2のいずれか一方が炭素数12〜22の飽和アシル基であり、他方が炭素数12〜22の不飽和アシル基であり、Xは、メタノール、エタノール、プロパノール、エタノールアミン、セリン、1−アミノ−2−プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール又はグリセロールである水酸基を有する塩基から水酸基1個を除いた残基である)
上記式[1]で示される1,2−ジアシル−3−グリセリルホスファチジルコリンを出発原料として上記式[2]で示される混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセロリン脂質を製造するに際して、下記の(a)工程、(b)工程、(c)工程、(d)工程、(e)工程、(f)工程の順序で行うことを特徴とする混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセロリン脂質の製造方法。
(a)工程
1,2−ジアシル−3−グリセリルホスファチジルコリンをリパーゼで脱アシル化したのち、ヘキサン:アセトン:メタノール=7〜5:4〜0:2〜0(容量比)の有機溶媒により晶析してモノアシル−3−グリセリルホスファチジルコリンを得る工程。
(b)工程
混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセリルホスファチジルコリンを分離する工程
(a)工程で得られたモノアシル−3−グリセリルホスファチジルコリンと脂肪酸無水物を3級アミンの存在下に反応して、混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセリルホスファチジルコリン反応溶液を得て、該反応溶液をシリカゲルカラムに吸着し、該カラムにクロロホルム:メタノール=95〜80:20〜5(容量比)の混合溶媒を流して、不純物をカラムから溶出除去したのち、クロロホルム:メタノール:水=85〜75:20〜18:3〜1.5(容量比)の混合溶媒を流して、該混合溶媒中に混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセリルホスファチジルコリンを分離する工程。
(c)工程
(b)工程で得られた任意のアシル基を導入した混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセリルホスファチジルコリンと塩基にホスホリパーゼDを作用させ、混合酸型1,2−ジアシル−グリセロリン脂質を得る工程。
(d)工程
(c)工程で得られた混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセリルホスファチジルコリンまたは混合酸型1,2−ジアシル−グリセロリン脂質をクロロホルム:メタノール:アセトン=13〜0:2〜0:9〜7(容量比)にて溶解し、濃度を5〜50重量%にし、混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセロリン脂質を晶析する工程。
(e)工程
上記(d)工程で得られた混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセロリン脂質の結晶を5〜20重量倍のクロロホルム:メタノール:アセトン=13〜9:2〜1:11〜8(容量比)にて溶解し、混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセロリン脂質を晶析する工程。
(f)工程
上記(e)工程で得られた混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセロリン脂質の結晶を5〜20重量倍のクロロホルム:メタノール:アセトン=13〜9:2〜1:7〜6(容量比)にて溶解し、混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセロリン脂質を晶析する工程。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の(a)工程は、1,2−ジアシル−3−グリセリルホスファチジルコリンを酵素リパーゼで部分加水分解して、モノアシル−3−グリセリルホスファチジルコリンを合成し、有機溶媒により晶析を行い、結晶としてモノアシル−3−グリセリルホスファチジルコリンを選択的に得る工程である。
本発明の(a)工程で用いる1,2−ジアシル−3−グリセリルホスファチジルコリンは、一般に市販されている合成品で良いが、純度の低いものは脱アシル化反応時に副生成物が多く生成するので、純度98%以上のものが特に好ましく、また、同じく純度の点から2個のアシル基が同一のアシル基であるものを使用する。
また、1,2−ジアシル−3−グリセリルホスファチジルコリンのアシル基は炭素数12〜22の飽和または不飽和アシル基であり、例えばラウリン酸、トリカデン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ヘンエイコサン酸、ベヘン酸等の直鎖飽和カルボン酸および2−ドデセン酸、3−ドデセン酸、4−ドデセン酸、5−ドデセン酸、11−ドデセン酸、2−トリデセン酸、cis−9−cis−9−トリデセン酸、12−トリデセン酸、4−テトラデセン酸、5−テトラデセン酸、9−テトラデセン酸、6−ペンタデセン酸、cis−9−ペンタデセン酸、14−ペンタデセン酸、2−ヘキサデセン酸、trans−3−ヘキサデセン酸、cis−7−ヘキサデセン酸、cis−9−パルミトレイン酸、trans−9−ヘキサデセン酸、2−ヘプタデセン酸、cis−7−ヘプタデセン酸、cis−8−ヘプタデセン酸、cis−9−ヘプタデセン酸、trans−2−オクタデセン酸、cis−2−オクタデセン酸、trans−3−オクタデセン酸、cis−3−オクタデセン酸、trans−4−オクタデセン酸、ペトロセリン酸、ペトロエライジン酸、cis−7−オクタデセン酸、trans−7−オクタデセン酸、cis−8−オクタデセン酸、trans−8−オクタデセン酸、オレイン酸、エライジン酸、cis−11−オクタデセン酸、バセニン酸、cis−9−ノナデセン酸、ゴンドイン酸、trans−ゴンドイン酸、エルシン酸、ブラシン酸、trans−8、trans−10−オクタデカジエン酸、リノール酸、リノエライジン酸、cis−9、trans−11−オクタデカジエン酸、trans−10、cis−12−オクタデカジエン酸、cis−9、cis−11−オクタデカジエン酸、cis−10、cis−12−オクタデカジエン酸、trans−10、trans−12−オクタデカジエン酸、trans−9、trans−11−オクタデカジエン酸、α−エレオステアリン酸、β−エレオステアリン酸、cis−9、cis−11、trans−13−オクタデカトリエン酸、リノレン酸、リノレンエライジン酸、プソイドエレオステアリン酸、α−パリナリン酸、β−パリナリン酸、2,2−ジメチル−cis−9、cis−12−オクタデカジエン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等の直鎖不飽和カルボン酸等を使用することができる。
【0006】
本発明(a)工程で用いるリパーゼは、脱アシル化するための触媒であり、グリセリル基の1及び2位に特異的に作用するリパーゼ、ホスホリパーゼA1又はその類緑酵素、ホスホリパーゼA2またはその類緑酵素が特に好適に使用することができる。1位に特異的に作用するホスホリパーゼA1としては各種バクテリア、例えばエシエリチア・コリ、ミコバクテリウム・フレイ、バチルス・メガテリウム、バチルス・スブチリス、または動物の各種臓器、例えばウシの膵臓、ラットの胸腺、腎臓、脾臓、肺などから得られるホスホリパーゼA1等を使用することができる。中でも工業的に使用されているウシ膵臓を起源とするホスホリパーゼA1を特に好適に使用することができる。また、2位に特異的に作用するホスホリパーゼA2としては、ヘビ毒、例えばクロタラス・アドマンテウス、ナジャ・ナジャ、トリメレスラス・フラボビリデイスなどの毒、ハチ毒、例えばミツバチなどの毒、トカゲ毒、例えばヘロデルマ・ホリダムなどの毒、サソリ毒、例えばロイラス・クインケス・トリアタスなどの毒、または動物の各種臓器、例えばブタの膵臓、ラットの肝臓などから得られるホスホリパーゼA2等を使用することができる。中でも工業的に使用されているブタ膵臓を起源とするホスホリパーゼA2が特に好適に使用することができる。
本発明製造方法のリパーゼの使用量は、1,2−ジアシル−3−グリセリルホスファチジルコリン1gに対して100〜300単位、好ましくは150〜250単位を使用することができる。100単位未満では反応率が低くなり、300単位を超えても使用量に見合う反応率の向上がなく経済性が悪くなる。
(a)工程の部分加水分解による脱アシル化反応の温度は0〜80℃の範囲が好ましく、より好ましくは10〜60℃、さらに好ましくは30〜50℃である。この反応温度の範囲外では脱アシル化反応速度は著しく低下する。
(a)工程の脱アシル化反応で用いる有機溶媒としてはホスファチジルコリンを溶解するものであれば特に制限なく使用することができ、例えばクロロホルム、ジクロルメタン、四塩化炭素等のハロゲン系溶媒、ヘキサン、ペンタン等の炭化水素系溶媒、ベンゼン、キシレン等の芳香族系溶媒、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等のエーテル系溶媒などを例示することができ、それらを単独もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0007】
有機溶媒の使用量は、重量比でホスファチジルコリンの5〜100倍であり、5倍未満では溶液の粘度が高くなり、100倍を超えると工業的生産効率が悪くなる。
(a)工程の脱アシル化反応に使用する水は、酵素反応を阻害するような金属イオンを含まない蒸留水が好ましく、また、緩衝剤を添加して、pH6.5〜9.0の緩衝液とするのがより好ましい。例えば、塩酸−トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液、リン酸緩衝液、ピロリン酸−水酸化ナトリウム緩衝液、ホウ酸−水酸化ナトリウム緩衝液、ホウ酸−炭酸ナトリウム緩衝液を使用することができる。水の使用量は、重量比でホスファチジルコリンの有機溶媒溶液の0.1〜2倍量である。
反応終了後、分層を行い、下層の有機溶媒層を得る。有機溶媒層をエバポレーターなどで濃縮する。
また、(a)工程の晶析において、ヘキサン:アセトン:メタノール=7〜5:4〜0:2〜0(容量比)の有機溶媒を使用する。温度35〜45℃で溶解して、リン脂質濃度を5〜50重量%、好ましくは20〜40重量%に調整して、この溶液の温度を0〜30℃、好ましくは3〜10℃に下げて、リン脂質を晶析させ、これをろ過してリン脂質粉末を得ることができる。
この晶析条件の溶媒組成及び温度条件の範囲外では、目的とするリン脂質の純度あるいは収率が低下する。晶析により、未反応の1,2−ジアシル−3−グリセリルホスファチジルコリンおよび反応後に生成する不純物の脂肪酸を除去することができる。
本発明(b)工程において、(a)工程で得たモノアシル−3−グリセリルホスファチジルコリンに任意の所望のアシル基を導入して、混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセリルホスファチジルコリンを得て、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて、反応液から混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセリルホスファチジルコリンを溶出させ、該溶出液を凍結乾燥等によって濃縮して結晶化することができる。
本発明(b)工程のアシル化反応で導入するアシル基は、天然もしくは合成の直鎖状の炭素数12〜22の飽和または不飽和カルボン酸のアシル基であり、これらの中から所望のアシル基を導入することができる。
本発明(b)工程で導入するアシル基原料としては、対応するカルボン酸の無水物を使用する。
【0008】
本発明(b)工程で導入するアシル基に対応するカルボン酸としては、例えばラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ヘンエイコサン酸、ベヘン酸等の直鎖飽和カルボン酸、2−ドデセン酸、3−ドデセン酸、4−ドデセン酸、5−ドデセン酸、11−ドデセン酸、2−トリデセン酸、cis−9−トリデセン酸、12−トリデセン酸、4−テトラデセン酸、5−テトラデセン酸、9−テトラデセン酸、6−ペンタデセン酸、cis−9−ペンタデセン酸、14−ペンタデセン酸、2−ヘキサデセン酸、trans−3−ヘキサデセン酸、cis−7−ヘキサデセン酸、cis−9−パルミトレイン酸、trans−9−ヘキサデセン酸、2−ヘプタデセン酸、cis−7−ヘプタデセン酸、cis−8−ヘプタデセン酸、cis−9−ヘプタデセン酸、trans−2−オクタデセン酸、cis−2−オクタデセン酸、trans−3−オクタデセン酸、cis−3−オクタデセン酸、trans−4−オクタデセン酸、ペトロセリン酸、ペトロセエライジン酸、cis−7−オクタデセン酸、trans−7−オクタデセン酸、cis−8−オクタデセン酸、trans−8−オクタデセン酸、オレイン酸、エライジン酸、cis−11−オクタデセン酸、バセニン酸、cis−9−ノナデセン酸、ゴンドイン酸、trans−ゴンドイン酸、エルシン酸、ブラシン酸、trans−8,trans−10−オクタデカジエン酸、リノール酸、リノエライジン酸、cis−9−trans−11−オクタデカジエン酸、trans−10,cis−12−オクタデカジエン酸、cis−9,cis−11−オクタデカジエン酸、cis−10,cis−12−オクタデカジエン酸、trans−10,trans−12−オクタデカジエン酸、trans−9,trans−11−オクタデカジエン酸、α−エレオステアリン酸、β−エレオステアリン酸、cis−9,cis−11、trans−13−オクタデカトリエン酸、リノレン酸、リノレンエライジン酸、プソイドエレオステアリン酸、α−パリナリン酸、β−パリナリン酸、2,2−ジメチル−cis−9,cis−12−オクタデカジエン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等の直鎖不飽和カルボン酸等の1種又は2種以上のアシル基を混合して導入することができる。
アシル基としては、好ましくはミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸およびパルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、エルシン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、アラキドン酸を使用することができる。中でも、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、アラキドン酸の直鎖不飽和カルボン酸のアシル基が特に好ましい。
【0009】
また、(b)工程で使用する脂肪酸無水物は、上記カルボン酸の無水物を特に制限なく使用することができる。既に市販されている製品を使用することができ、またジシクロヘキシルカルボジイミドなどの縮合剤を用いて上記脂肪酸から無水物を適宜製造して使用することができる。(b)工程で、2種以上の脂肪酸無水物を用いた場合は、反応物も2種以上の混合物が得られる。
(b)工程での脂肪酸無水物の添加量はモノアシル−3−グリセリルホスファチジルコリンに対し、1〜20当量、好ましくは1〜5当量とするのが良い。1当量未満では、アシル化反応が十分進行せず、純度および収率が低下する。20当量を超過しても、添加量に見合う反応率および反応速度の向上はほとんどなく、経済性の点から望ましくない。
本発明(b)工程のアシル化反応は、有機溶媒を使用することができる。この反応に用いることのできる有機溶媒としてはホスファチジルコリンを溶解するものであればよく、例えばクロロホルム、ジクロルメタン、四塩化炭素等のハロゲン系溶媒、ヘキサン、ペンタン等の炭化水素系溶媒、ベンゼン、キシレン等の芳香族系溶媒、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等のエーテル系溶媒などが挙げられ、それらを単独で用いてもよいし、2種以上で組み合わせて使用することができる。有機溶媒の使用量は、ホスファチジルコリンの重量比で5〜100倍量を使用することができ、5倍量未満では溶液の粘度が高くなり、100倍量を超えると生産効率が悪くなる。
本発明(b)工程のアシル化反応に使用する塩基性触媒としては3級アミンを使用する。例えば、ジメチルアミノピリジン、ジメチル−4−アミノ−2−メチルピリジン、4−ピロリジノピロリジン等のピリジン誘導体、およびトリエチルアミン、トリブチルアミン等の3級アミン類等を使用できるが、この中でジメチルアミノピリジンまたは4−ピロリジノピロリジンの使用が特に好適である。3級アミン触媒の添加量は、原料に対し0.01〜20当量程度、好ましくは0.1〜2当量を使用することができる。0.01当量未満では反応率が低くなり、20当量を超えても、反応率が高くならず、経済性が悪くなる。
アシル化反応は温度0〜80℃、好ましくは10〜50℃の範囲で行うことができる。0℃未満では、反応速度が低下し、80℃を超えると、リン脂質の熱分解が起こり、純度が低下するので好ましくない。
アシル化反応終了後、後処理として、触媒等の固形物をろ過により除き、混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセリルホスファチジルコリン反応溶液を得る。
【0010】
本発明(b)工程において、該反応液を吸着するシリカゲルカラムとしては、リン脂質を分離できるものであれば、特に制限なく使用することができ、市販のものをそのまま使用することができる。
(b)工程のシリカゲルカラムの吸着物質の分離精製は、混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセリルホスファチジルコリンを選択的に溶出する溶媒を使用して、分離精製することができる。この場合、2種類の溶媒を用いて、2段階の溶出を行う。
本発明(b)工程のシリカゲルカラムによる分離精製は、次の2種の混合溶媒を用いて2段階で溶出操作を行うことができる。
(1)クロロホルム:メタノール=95〜80:20〜5(容量比)の混合溶媒を、(b)工程のアシル化反応に使用したモノアシル−3−グリセリルホスファチジルコリン1gに対して400〜600ミリリットルの割合で用いる。この溶出操作により、主として遊離の脂肪酸と塩基性触媒が溶出される。
(2)クロロホルム:メタノール:水=85〜75:20〜18:3〜1.5(容量比)の混合溶媒をモノアシル−3−グリセリルホスファチジルコリン1gに対して400〜600ミリリットルの割合で用いる。この溶出操作により、目的とする混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセリルホスファチジルコリンが溶出される。
上記の方法で混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセリルホスファチジルコリンの精製に際し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより未反応酸、副生成物および触媒を効率よく除去でき、簡単な工程により高純度の混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセリルホスファチジルコリンを得ることができる。
本発明(c)工程は、混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセリルホスファチジルコリンを塩基の存在下でホスホリパーゼDによって、混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセロリン脂質に変える工程である。
本発明(c)工程の反応系に用いる有機溶媒としては、ホスファチジルコリンを溶解するものであればよく、例えばクロロホルム、ジクロルメタン、四塩化炭素等のハロゲン系溶媒、ヘキサン、ペンタン等の炭化水素系溶媒、ベンゼン、キシレン等の芳香族系溶媒、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等のエーテル系溶媒などを、単独若しくは2種以上で組み合わせて使用することができる。有機溶媒の使用量は、ホスファチジルコリンの5〜100重量倍であり、5重量倍未満では溶液の粘度が高くなり、100重量倍を超えると生産効率が悪くなる。
【0011】
(c)工程に用いるホスホリバーゼDは、ストレプトマイセス属由来で、例えばストレプトマイセス・クロモフォスカス、ストレプトマイセス・ハチジョウエンシス、ストレプトマイセス・プルニコーラなどのホスホリバーゼD生産菌から得られるホスホリパーゼDを使用することができる。
ホスホリパーゼDの使用量は、混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセリルホスファチジルコリン1gに対して、5〜90単位であり、好ましくは10〜80単位である。5単位未満では反応率が低く、90単位を超えても反応率の向上が少なく、経済性が悪くなる。
(c)工程に用いる塩基としては、メタノール、エタノール、プロパノールなどの脂肪族アルコール類、エタノールアミン、セリン、1−アミノ−2−プロパノールなどの含窒素アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールなどのポリオール類が挙げられ、一般に市販されているものでよい。塩基の使用量は、ホスファチジルコリン1モルに対して5〜100モルであり、好ましくは20〜80モルである。5モル未満では反応率が低く、100モルを超えると収率が低下することがある。
(c)工程の塩基交換反応は、温度20〜60℃程度、好ましくは35〜45℃の範囲で行うことができる。20℃未満では、反応速度が低下し、60℃を超えると、酸素の失活が起こるので好ましくない。
(c)工程に用いる水は酵素反応を阻害するような金属イオンを含まない蒸留水が好ましく、また緩衝剤を添加して、pH5.0〜7.0の緩衝液とするのがより好ましい。例えば酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液、酢酸−酢酸アンモニウム緩衝液、クエン酸−クエン酸ナトリウム緩衝液、3、3−ジメチルグルタル酸−水酸化ナトリウム緩衝液、コハク酸−水酸化ナトリウム緩衝液、リン酸緩衝液等がある。水の使用量は、重量比で混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセリルホスファチジルコリンの有機溶媒溶液の0.1〜2倍である。
【0012】
本発明(d)工程において、(c)工程で得られた有機溶媒溶液を濃縮乾固して、クロロホルム:メタノール:アセトン=13〜0:2〜0:9〜7(容量比)に35〜45℃で溶解して、溶液のリン脂質濃度を5〜50重量%、好ましくは20〜40重量%に調整した後、この溶液の温度を0〜30℃、好ましくは3〜10℃に下げて、リン脂質を晶析させて、ろ過してリン脂質粉末を得ることができる。この限定条件の範囲外では目的とするリン脂質の純度あるいは収率が低下する。
本発明の(e)工程は、(d)工程で得られたリン脂質の結晶を重量比で5〜20倍のクロロホルム:メタノール:アセトン=13〜9:2〜1:11〜8(容量混合比)の混合溶媒に35〜45℃で溶解し、溶液のリン脂質濃度を5〜50重量%、好ましくは20〜40重量%に調整した後、温度0〜30℃、好ましくは3〜10℃でリン脂質を晶析させて、ろ過してリン脂質粉末を得る工程である。この限定条件の範囲外では目的とするリン脂質の純度あるいは収率が低下する。
本発明の(f)工程は、(e)工程で得られたリン脂質の結晶を5〜20重量倍のクロロホルム:メタノール:アセトン=13〜9:2〜1:7〜6(容量比)の混合溶媒に35〜45℃で溶解し、溶液のリン脂質濃度を5〜50重量%、好ましくは20〜40重量%に調整した後、温度0〜30℃、好ましくは3〜10℃でリン脂質を晶析させて、ろ過してリン脂質粉末を得る工程である。この限定条件の範囲外では目的とするリン脂質の純度あるいは収率が低下する。
【0013】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明を更に詳しく説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。尚、リン脂質の組成分析、純度測定は薄層クロマトグラフィー(以下、TLCという)で行った。
TLCは、Kieselgel 60(Merck & Co. Inc.)を用い、5重量%の試料2マイクロリットルをスポットし、クロロホルム:メタノール:蒸留水:28%アンモニア水=65:25:4:0.3(容量比)で展開し、硫酸銅(無水)10gとリン酸(85%)8ミリリットルを蒸留水で100ミリリットルとした溶液を噴霧後加熱する方法により行った。
また、実施例で用いた脂肪酸無水物の製造方法は、脂肪酸をクロロホルム中に1モル濃度になるように溶解し、40℃でジシクロヘキシルカルボジイミドを0.7モル濃度になるように加え、白色のジシクロヘキシルウレアが沈殿してきたら、ジシクロヘキシルウレアをろ過により除去する方法により行った。
【0014】
実施例1
ジパルミトイルホスファチジルコリン120gをクロロホルム1800ミリリットルに溶解し塩酸−100ミリモルトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液(pH=8.0)880ミリリットル、100ミリモル塩化カルシウム水溶液1320ミリリットルおよびレシターゼ24000単位を加え、40℃で24時間反応したのち、反応液を分液ロートに移し、1時間静置した。2層に分離したことを確認したのち下層をフラスコに分取し、エバポレーターで溶媒留去し、ヘキサン5000ミリリットルを加えて4℃に冷却し、同温度で1時間保ったのち、ろ過して、析出物62.4gを得た。得られた析出物の組成は、モノパルミトイルホスファチジルコリン95.5重量%、遊離脂肪酸4.5重量%であった。
析出物10g、オレイン酸無水物177.4g、ジメチルアミノピリジン4.9gを加え、40℃で24時間反応したのち、反応液をシリカゲルカラム(シリカゲル:ダイソーゲルIR−60(ダイソー株式会社製)カラム容量500ミリリットル)に吸着させ、クロロホルム:メタノール=80:20(容量比)の混合溶媒をカラム容量の5倍量流したのち、クロロホルム:メタノール:水=80:20:3(容量比)の混合溶媒をカラム容量の5倍量流して溶出される溶出液を集めた。得られた溶出液をエバポレーターで溶媒留去し、注射用水に分散して、凍結乾燥し、乾燥物14gを得た。得られた乾燥物の組成は、1−パルミトイル−2−オレオイル−3−ホスファチジルコリン97重量%、モノパルミトイルホスファチジルコリン0.5重量%、遊離脂肪酸2.5重量%であった。
乾燥物10gをクロロホルム80ミリリットルに溶解し、これに酢酸アンモニウム/酢酸緩衝液(pH=6.25)33ミリリットルにグリセリン27.25g、ホスホリパーゼD200単位を溶解して加え、40℃で18時間反応したのち、反応液を分液ロートに移し、1時間静置して下層を分取する。分取した下層をエバポレーターで溶媒留去し、メタノール:アセトン=15/85(容量比)の混合溶液100ミリリットルを加えて4℃に冷却し、同温度で1時間保ったのち、ろ過して粗1−パルミトイル−2−オレオイル−3−ホスファチジルグリセロールアンモニウム塩を得た。これをクロロホルム:メタノール:アセトン=13/1/9(容量比)の混合溶液200ミリリットルに溶解し、冷却して析出させ、ろ取した。得られた結晶を再びクロロホルム:メタノール:アセトン=13/1/6(容量比)の混合溶液100ミリリットルに溶解し、4℃に冷却し、同温度で1時間保ったのち、ろ過して乾燥し、7.09gを得た。得られた結晶の組成は、精製1−パルミトイル−2−オレオイル−3−ホスファチジルグリセロールアンモニウム塩99.5重量%、1−パルミトイル−2−オレオイル−3−ホスファチジルコリン0.1重量%、リゾ体0.2重量%、遊離脂肪酸0.2重量%であった。
【0015】
実施例2
ジステアロイルホスファチジルコリン130gをクロロホルム1800ミリリットルに溶解し、酵素をホスホリパーゼA1水溶液26000単位とした以外は実施例1と同様に反応してヘキサン:アセトン:メタノール=6:2:1(容量比)2700ミリリットルを加えて4℃に冷却し、同温度で1時間保ったのち、ろ過して、析出物67.6gを得た。得られた析出物の組成は、モノステアロイルホスファチジルコリン95重量%、遊離脂肪酸5重量%であった。
析出物10g、リノール酸無水物177.4g、ジメチルアミノピリジン4.9gを加え、実施例1と同様に反応した。シリカゲルカラムに吸着させたのち、クロロホルム:メタノール=9:1(容量比)、クロロホルム:メタノール:水=80:18:2(容量比)にて実施例1と同様に溶出液を集め、凍結乾燥し、乾燥物14gを得た。得られた乾燥物の組成は、1−リノレオイル−2−ステアロイル−3−ホスファチジルコリン96.5重量%、モノステアロイルホスファチジルコリン0.5重量%、遊離脂肪酸3%であった。
乾燥物10gをクロロホルム270ミリリットルに溶解し、エタノールアミン5.8gを100ミリリットルの蒸留水に溶解して酢酸でpH6.0に調製したのち、ホスホリパーゼD800単位を加えて1−リノレオイル−2−ステアロイル−ホスファチジルコリンのクロロホルム溶液に添加し、40℃で6時間撹拌した。反応液を分液ロートに移し、1時間静置して下層をフラスコに分取したのち濃縮し、アセトン210ミリリットルを加えて4℃に冷却し、同温度で1時間保ったのち、ろ過して、粗1−リノレオイル−2−ステアロイル−3−ホスファチジルエタノールアミンを得た。得られた結晶を実施例1と同様に処理し、6.65gを得た。得られた結晶の組成は、精製1−リノレオイル−2−ステアロイル−3−ホスファチジルエタノールアミン99.5重量%、1−リノレオイル−2−ステアロイル−ホスファチジルコリン0.1重量%、リゾ体0.3重量%、遊離脂肪酸0.2重量%であった。
【0016】
実施例3
ジパルミトイルホスファチジルコリン120gをクロロホルム1800ミリリットルに溶解し、酵素をホスホリパーゼA224000単位とした以外は実施例1と同様に反応してヘキサン:アセトン:メタノール=6:3:1(容量比)3000ミリリットルを加えて4℃に冷却し、同温度で1時間保ったのち、ろ過して、析出物62.4gを得た。得られた析出物の組成は、モノパルミトイルホスファチジルコリン95重量%、遊離脂肪酸5重量%であった。
析出物10gにリノール酸無水物2.86gを加え、実施例2と同様に反応し、シリカゲルカラムに吸着させたのち、クロロホルム:メタノール=95:5(容量比)、クロロホルム:メタノール:水=80:18:1.5(容量比)にて実施例1と同様に溶出液を集め、凍結乾燥し、乾燥物14gを得た。得られた乾燥物の組成は、1−パルミトイル−2−リノレオイル−3−ホスファチジルコリン96.5重量%、モノパルミトイルホスファチジルコリン0.5重量%、遊離脂肪酸3%であった。
乾燥物10gをクロロホルム80ミリリットルに溶解し、酢酸ナトリウム/酢酸緩衝液(pH=6.25)33ミリリットルにグリセリン27.25g、ホスホリパーゼD800単位を溶解し、1−リノレオイル−2−ステアロイル−3−ホスファチジルコリンのクロロホルム溶液に添加し、40℃で18時間反応した。反応液を分液ロートに移し、1時間静置して下層を分取したのち濃縮し、得られた濃縮物にメタノール:アセトン=15/85(容量比)の混合溶液100ミリリットルを加えて、4℃に冷却し、同温度で1時間保ったのち、ろ過して、1−パルミトイル−2−リノレオイル−3−ホスファチジルグリセロールナトリウム塩を得た。得られた結晶を実施例1と同様に処理し、7.14gを得た。得られた結晶の組成は、精製1−パルミトイル−2−リノレオイル−3−ホスファチジルグリセロールナトリウム塩99.5重量%、1−パルミトイル−2−リノレオイル−3−ホスファチジルコリン0.2重量%、リゾ体0.1重量%、遊離脂肪酸0.2重量%であった。
【0017】
実施例4
ジパルミトイルホスファチジルコリン120gを実施例1と同様に反応してヘキサン:アセトン=7:4(容量比)3000ミリリットルを加えて4℃に冷却し、同温度で1時間保ったのち、ろ過して析出物62.3gを得た。得られた析出物の組成は、モノパルミトイルホスファチジルコリン95.5重量%、遊離脂肪酸4.5重量%であった。
析出物10g、リノール酸無水物177.4g、ジメチルアミノピリジン4.9gを加え、実施例2と同様に反応しシリカゲルカラムに吸着させたのち、クロロホルム:メタノール=8:2(容量比)、クロロホルム:メタノール:水=75:20:3(容量比)にて実施例1と同様に溶出液を集め、凍結乾燥し、乾燥物14gを得た。得られた乾燥物の組成は、1−パルミトイル−2−リノレオイル−3−ホスファチジルコリン96.5重量%、モノパルミトイルホスファチジルコリン0.5重量%、遊離脂肪酸3%であった。
乾燥物10gを実施例2と同様に反応して、メタノール:アセトン=15/85(容量比)の混合溶液100ミリリットルを加えて、4℃に冷却し、同温度で1時間保ったのち、ろ過して1−パルミトイル−2−リノレオイル−3−ホスファチジルエタノールアミンを得た。得られた結晶を実施例1と同様に処理し、6.66gを得た。得られた結晶の組成は、精製1−パルミトイル−2−リノレオイル−3−ホスファチジルエタノールアミン99.3重量%、1−パルミトイル−2−リノレオイル−3−ホスファチジルコリン0.2重量%、リゾ体0.2重量%、遊離脂肪酸0.3重量%であった。
【0018】
実施例5
ジステアロイルホスファチジルコリン130gを実施例2と同様に反応してヘキサン:アセトン:メタノール=5:4:2(容量比)2700ミリリットルを加えて4℃に冷却し、同温度で1時間保ったのち、ろ過して、析出物67.6gを得た。得られた析出物の組成は、モノステアロイルホスファチジルコリン95重量%、遊離脂肪酸5重量%であった。
析出物10gにリノール酸無水物177.4g、ジメチルアミノピリジン4.9gを加え、40℃で24時間反応させたのち、シリカゲルカラムに吸着させたのち、クロロホルム:メタノール=90:10(容量比)、クロロホルム:メタノール:水=75:20:1.5(容量比)にて実施例1と同様に溶出液を集め、凍結乾燥し、乾燥物14gを得た。得られた乾燥物の組成は、1−リノレオイル−2−ステアロイル−3−ホスファチジルコリン96.5重量%、モノステアロイルホスファチジルコリン0.5重量%、遊離脂肪酸3%であった。
乾燥物10gをクロロホルム80ミリリットルに溶解し、これに酢酸ナトリウム/酢酸緩衝液(pH=6.25)33ミリリットルにセリン27.25g、ホスホリパーゼD200単位を溶解して加え、40℃で18時間反応したのち、反応液を分液ロートに移し、1時間静置して下層を分取する。分取した下層を濃縮し、クロロホルム:メタノール:アセトン=13/2/8(容量比)100ミリリットルを加えて4℃に冷却し、同温度で1時間保ったのち、ろ過して、粗1−リノレオイル−2−ステアロイル−3−ホスファチジルセリンナトリウム塩を得た。得られた結晶をクロロホルム:メタノール:アセトン=13/1/11(容量比)の混合溶液200ミリリットルに溶解し、冷却して析出させ、ろ取した。これを再びクロロホルム:メタノール:アセトン=9/2/6(容量比)の混合溶液100ミリリットルに溶解し、冷却して析出させ、ろ取して乾燥し、7.27gを得た。得られた結晶の組成は、精製1−リノレオイル−2−ステアロイル−3−ホスファチジルセリンナトリウム塩99.4重量%、1−リノレオイル−2−ステアロイル−ホスファチジルコリン0.2重量%、リゾ体0.2重量%、遊離脂肪酸0.2重量%であった。
【0019】
実施例6
ジパルミトイルホスファチジルコリン120gを実施例3と同様に反応してヘキサン3000ミリリットルを加えて4℃に冷却し、同温度で1時間保ったのち、ろ過して、析出物62.4gを得た。得られた析出物の組成は、モノパルミトイルホスファチジルコリン95.5重量%、遊離脂肪酸4.5重量%であった。
析出物10gをアラキドン酸無水物180g、ジメチルアミノピリジン4.9gを加え、40℃で24時間反応させ、シリカゲルカラムに吸着させたのち、クロロホルム:メタノール=95:5(容量比)、クロロホルム:メタノール:水=85:18:1.5(容量比)にて実施例1と同様に溶出液を集め、凍結乾燥し、乾燥物14gを得た。得られた乾燥物の組成は、1−パルミトイル−2−アラキドノイル−3−ホスファチジルコリン95.5重量%、モノパルミトイルホスファチジルコリン3.5重量%、遊離脂肪酸1重量%であった。
乾燥物10gを実施例2と同様に反応して、クロロホルム:メタノール:アセトン=6/1/7(容量比)の混合溶液100ミリリットルを加え、4℃に冷却し、同温度で1時間保ったのち、ろ過して粗1−パルミトイル−2−アラキドノイル−3−ホスファチジルエタノールアミンを得た。得られた結晶をクロロホルム:メタノール:アセトン=9/2/8(容量比)の混合溶液200ミリリットルに溶解し、冷却して析出させ、ろ取した。これを再びクロロホルム:メタノール:アセトン=13/1/7(容量比)の混合溶液100ミリリットルに溶解し、冷却して析出させ、ろ取して乾燥し、6.67gを得た。得られた結晶の組成は、精製1−パルミトイル−2−アラキドノイル−3−ホスファチジルエタノールアミン99.4重量%、1−パルミトイル−2−アラキドノイル−3−ホスファチジルコリン0.2重量%、リゾ体0.2重量%、遊離脂肪酸0.2重量%であった。
【0020】
実施例7
ジステアロイルホスファチジルコリン130gを実施例2と同様に反応してヘキサン:アセトン:メタノール=6:3:2(容量比)2700ミリリットルを加えて4℃に冷却し、同温度で1時間保ったのち、ろ過して析出物67.6gを得た。得られた析出物の組成は、モノステアロイルホスファチジルコリン95.5重量%、遊離脂肪酸4.5重量%であった。
析出物10gにオレイン酸無水物177.4g、ジメチルアミノピリジン4.9gを加え、実施例1と同様に反応した。反応液をシリカゲルカラムに吸着させ、クロロホルム:メタノール=80:20(容量比)、クロロホルム:メタノール:水=80:19:1(容量比)にて実施例1と同様に溶出液を集め、凍結乾燥し、乾燥物14gを得た。得られた乾燥物の組成は、1−オレオイル−2−ステアロイル−3−ホスファチジルコリン97重量%、モノステアロイルホスファチジルコリン0.5重量%、遊離脂肪酸2.5重量%であった。
乾燥物10gを実施例3と同様に反応しアセトン100ミリリットルを加えて、4℃に冷却し、同温度で1時間保ったのち、ろ過して粗1−パルミトイル−2−オレオイル−3−ホスファチジルグリセロールナトリウム塩を得た。得られた結晶をクロロホルム:メタノール:アセトン=11/1/9(容量比)の混合溶液200ミリリットルに溶解し、冷却して析出させ、ろ取した。これを再びクロロホルム:メタノール:アセトン=11/1/7(容量比)の混合溶液100ミリリットルに溶解し、冷却して析出させ、ろ取して乾燥し、7.14gの結晶を得た。得られた結晶の組成は、精製1−パルミトイル−2−オレオイル−3−ホスファチジルグリセロールナトリウム塩99.4重量%、1−オレオイル−2−ステアロイル−ホスファチジルコリン0.1重量%、リゾ体0.2重量%、遊離脂肪酸0.3重量%であった。
【0021】
比較例1
ジパルミトイルホスファチジルコリン120gを実施例1と同様に反応し、アセトン5000ミリリットルを加えて4℃に冷却し、同温度で1時間保ったのち、ろ過して析出物52.4gを得た。得られた析出物の組成は、モノパルミトイルホスファチジルコリン89.5重量%、遊離脂肪酸10.5重量%であった。
析出物10gとオレイン酸無水物を実施例1と同様に反応させ、反応液をシリカゲルカラムに吸着させ、クロロホルム:メタノール=8:2(容量比)、クロロホルム:メタノール:水=80:20:3(容量比)にて実施例1と同様に溶出液を集め、凍結乾燥して乾燥物9gを得た。得られた乾燥物の組成は、1−パルミトイル−2−オレオイル−ホスファチジルコリン92.5重量%、モノパルミトイルホスファチジルコリン2.5重量%、遊離脂肪酸5重量%であった。
乾燥物10gを実施例1と同様に反応してメタノール:アセトン=15/85(容量比)の混合溶液100ミリリットルを加えて4℃に冷却し、同温度で1時間保ったのち、ろ過して粗1−パルミトイル−2−オレオイル−3−ホスファチジルグリセロールアンモニウム塩を得た。これをクロロホルム:メタノール:アセトン=13/1/9(容量比)の混合溶液200ミリリットルに溶解し、冷却して析出させ、ろ取した。得られた結晶を再びクロロホルム:メタノール:アセトン=13/1/6(容量比)の混合溶液100ミリリットルに溶解し、4℃に冷却し、同温度で1時間保ったのち、ろ過して乾燥し、6.09gを得た。得られた結晶の組成は、精製1−パルミトイル−2−オレオイル−3−ホスファチジリゾ体ルグリセロールアンモニウム塩90.5重量%、モノパルミトイルホスファチジルコリン2重量%、リゾ体1重量%、遊離脂肪酸6.5重量%であった。(a)の工程の混合溶媒組成が本発明の範囲外では純度、収率が低くなる。
【0022】
比較例2
ジステアロイルホスファチジルコリン130gを実施例2と同様に反応しヘキサン:アセトン:メタノール=6:2:1(容量比)2700ミリリットルを加えて4℃に冷却し、同温度で1時間保ったのち、ろ過して析出物67.6gを得た。得られた析出物の組成は、モノステアロイルホスファチジルコリン95重量%、遊離脂肪酸5重量%であった。
析出物10gを実施例2と同様に反応したのち、反応液をシリカゲルカラムに吸着させ、クロロホルム:メタノール=80:25(容量比)、クロロホルム:メタノール:水=80:20:5(容量比)にて実施例1と同様に溶出液を集め、凍結乾燥し、乾燥物8gを得た。得られた乾燥物の組成は、1−リノレオイル−2−ステアロイル−3−ホスファチジルコリン87.5重量%、モノステアロイルホスファチジルコリン7.5重量%、遊離脂肪酸5重量%であった。
乾燥物10gを実施例2と同様に反応し、アセトン2100ミリリットルを加え、粗1−リノレオイル−2−ステアロイル−3−ホスファチジルエタノールアミンを得た。得られた結晶を実施例1と同様に処理し、5.49gを得た。得られた結晶の組成は、精製1−リノレオイル−2−ステアロイル−3−ホスファチジルエタノールアミン91.5重量%、1−リノレオイル−2−ステアロイル−3−ホスファチジルコリン3.5重量%、リゾ体2重量%、遊離脂肪酸2重量%であった。
(b)の工程の混合溶媒組成が本発明の範囲外では純度、収率が低くなる。
【0023】
比較例3
ジパルミトイルホスファチジルコリン120gを実施例3と同様に反応し、ヘキサン:アセトン:メタノール=3:2:5(容量比)3000ミリリットルを加えて4℃に冷却し、同温度で1時間保ったのち、ろ過して析出物52.4gを得た。得られた析出物の組成は、モノパルミトイルホスファチジルコリン90重量%、遊離脂肪酸10重量%であった。
析出物10gを実施例3と同様に反応したのち、反応液をシリカゲルカラムに吸着させ、クロロホルム:メタノール=75:25(容量比)、クロロホルム:メタノール:水=80:19:1(容量比)にて実施例1と同様に溶出液を集め、凍結乾燥し、乾燥物8gを得た。得られた乾燥物の組成は、1−パルミトイル−2−リノレオイル−3−ホスファチジルコリン92.5重量%、モノパルミトイルホスファチジルコリン5.5重量%、遊離脂肪酸2重量%であった。
乾燥物10gを実施例3と同様に反応し、メタノール:アセトン=15/85(容量比)の混合溶液100ミリリットルを加え、粗1−パルミトイル−2−リノレオイル−3−ホスファチジルグリセロールナトリウム塩を得た。得られた結晶を実施例1と同様に処理し、5.73gを得た。得られた結晶の組成は、1−パルミトイル−2−リノレオイル−3−ホスファチジルグリセロールナトリウム塩91.5重量%、1−パルミトイル−2−リノレオイル−3−ホスファチジルコリン3.5重量%、リゾ体3重量%、遊離脂肪酸2重量%であった。
(a)、(b)の工程の混合溶媒組成が本発明の範囲外では純度、収率が低くなる。
【0024】
比較例4
ジステアロイルホスファチジルコリン130gを実施例2と同様に反応し、ヘキサン:アセトン:メタノール=6:2:1(容量比)2700ミリリットルを加えて4℃に冷却し、同温度で1時間保ったのち、ろ過して析出物67.6gを得た。得られた析出物の組成は、モノステアロイルホスファチジルコリン95重量%、遊離脂肪酸5重量%であった。
析出物10gを実施例2と同様に反応したのち、反応液をシリカゲルカラムに吸着させ、クロロホルム:メタノール=9:1(容量比)、クロロホルム:メタノール=1:1(容量比)、クロロホルム:メタノール=3:7(容量比)にて実施例1と同様に溶出液を集め、凍結乾燥し、乾燥物8gを得た。得られた乾燥物の組成は、1−リノレオイル−2−ステアロイル−ホスファチジルコリン89.5重量%、モノパルミトイルホスファチジルコリン6.5重量%、遊離脂肪酸4重量%であった。
乾燥物10gを実施例2と同様に反応し、アセトン2100ミリリットルを加え、粗1−リノレオイル−2−ステアロイル−3−ホスファチジルエタノールアミンを得た。得られた結晶を実施例1と同様に処理し、5.49gを得た。得られた結晶の組成は、精製1−リノレオイル−2−ステアロイル−3−ホスファチジルエタノールアミン91.5重量%、1−リノレオイル−2−ステアロイル−3−ホスファチジルコリン5.5重量%、リゾ体2重量%、遊離脂肪酸2重量%であった。
(b)の工程の混合溶媒組成が本発明の範囲外では純度、収率が低くなる。
【0025】
比較例5
ジパルミトイルホスファチジルコリン120gを実施例3と同様に反応し、ヘキサン:アセトン:メタノール=3:2:5(容量比)3000ミリリットルを加えて4℃に冷却し、同温度で1時間保ったのち、ろ過して析出物52.4gを得た。得られた析出物の組成は、モノパルミトイルホスファチジルコリン95重量%、遊離脂肪酸5重量%であった。
析出物10gを実施例5と同様に反応したのち、反応液をシリカゲルカラムに吸着させ、クロロホルム、クロロホルム:メタノール:水=65:25:2(容量比)にて実施例1と同様に溶出液を集め、凍結乾燥し、乾燥物8gを得た。得られた乾燥物の組成は、1−パルミトイル−2−オレオイル−3−ホスファチジルコリン90.5重量%、モノパルミトイルホスファチジルコリン5.5重量%、遊離脂肪酸4重量%であった。
乾燥物10gを実施例3と同様に反応し、メタノール:アセトン=15/85(容量比)の混合溶液100ミリリットルを加え、粗1−パルミトイル−2−オレオイル−3−ホスファチジルセリンナトリウム塩を得た。得られた結晶を実施例1と同様に処理し、5.73gを得た。得られた結晶の組成は、精製1−パルミトイル−2−オレオイル−3−ホスファチジルセリンナトリウム塩91重量%、1−パルミトイル−2−オレオイル−3−ホスファチジルコリン5重量%、リゾ体2重量%、遊離脂肪酸2重量%であった。
(a)、(b)の工程の混合溶媒組成が本発明の範囲外では純度、収率が低くなる。
【0026】
比較例6
ジパルミトイルホスファチジルコリン120gをクロロホルム1800ミリリットルに溶解し、酵素をホスホリパーゼA124000単位とした以外は実施例1と同様に反応して、ヘキサン3000ミリリットルを加えて4℃に冷却し、同温度で1時間保ったのち、ろ過して析出物62.4gを得た。得られた析出物の組成はモノパルミトイルホスファチジルコリン95重量%、遊離脂肪酸5重量%であった。
析出物10gとミリスチン酸無水物168.5g、ジメチルアミノピリジン4.9gを加え、40℃で24時間反応したのち、反応液をシリカゲルカラムに吸着させ、クロロホルム:メタノール=9:1(容量比)、クロロホルム:メタノール=1:1(容量比)、クロロホルム:メタノール=3:7(容量比)にて実施例1と同様に溶出液を集め、凍結乾燥し、乾燥物8gを得た。得られた乾燥物の組成は、1−ミリストイル−2−パルミトイル−3−ホスファチジルコリン90.5重量%、モノパルミトイルホスファチジルコリン5.5重量%、遊離脂肪酸4重量%であった。
乾燥物10gを実施例3と同様に反応し、クロロホルム:メタノール:アセトン=13/2/8(容量比)の混合溶液1000ミリリットルを加え、粗1−ミリストイル−2−パルミトイル−3−ホスファチジルグリセロールナトリウム塩を得た。得られた結晶をクロロホルム:メタノール:アセトン=8/1/5(容量比)の混合溶液2000ミリリットルに溶解し、冷却して析出させ、ろ取した。これを再びクロロホルム:メタノール:アセトン=8/1/5(容量比)の混合溶液1000ミリリットルに溶解し、冷却して析出させ、ろ取して乾燥し5.29gを得た。得られた結晶の組成は、精製1−ミリストイル−2−パルミトイル−3−ホスファチジルグリセロールナトリウム塩91.5重量%、1−ミリストイル−2−パルミトイル−3−ホスファチジルコリン4.5重量%、リゾ体3重量%、遊離脂肪酸2重量%であった。
(b)、(e)および(f)工程の混合溶媒組成が本発明の範囲外では純度、収率が低くなる。
【0027】
比較例7
ジステアロイルホスファチジルコリン130gを実施例3と同様に反応し、ヘキサン:アセトン:メタノール=3:2:5(容量比)2700ミリリットルを加えて4℃に冷却し、同温度で1時間保ったのち、ろ過して析出物57.1gを得た。得られた析出物の組成は、モノステアロイルホスファチジルコリン95重量%、遊離脂肪酸5重量%であった。
析出物10gとオレイン酸無水物177.4gを実施例1と同様に反応したのち、反応液をシリカゲルカラムに吸着させ、クロロホルム:メタノール=80:25(容量比)、クロロホルム:メタノール:水=80:20:5(容量比)にて実施例1と同様に溶出液を集め、凍結乾燥し、乾燥物8gを得た。得られた乾燥物の組成は、1−ステアロイル−2−オレオイル−3−ホスファチジルコリン89.5重量%、モノステアロイルホスファチジルコリン6.5重量%、遊離脂肪酸4重量%であった。
乾燥物10gを実施例5と同様に反応し、クロロホルム:メタノール:アセトン=13/2/8(容量比)の混合溶液100ミリリットルを加え、粗1−ステアロイル−2−オレオイル−3−ホスファチジルグリセロールナトリウム塩を得た。得られた結晶をクロロホルム:メタノール:アセトン=13/1/5(容量比)の混合溶液200ミリリットルに溶解し、冷却して析出させ、ろ取した。これを再びクロロホルム:メタノール:アセトン=7/1/3(容量比)の混合溶液100ミリリットルに溶解し、冷却して析出させ、ろ取して乾燥し、5.13gを得た。得られた結晶の組成は、精製1−ステアロイル−2−オレオイル−3−ホスファチジルグリセロールナトリウム塩90.5重量%、1−ステアロイル−2−オレオイル−3−ホスファチジルコリン6.5重量%、リゾ体1重量%、遊離脂肪酸2重量%であった。
(a)、(b)、(d)、(e)、および(f)の工程の混合溶媒組成が本発明の範囲外では純度、収率が低くなる。
【0028】
【発明の効果】
本発明により、所望のアシル基を有する高純度の多種多様のリン脂質を工業的に容易な同一の製造工程で、高収率で得ることができる。
本発明により得られるリン脂質は、高純度であるので、医薬品、化粧品分野での利用に適している。

Claims (1)

  1. Figure 0004412427
    (式中、R1、R2のいずれか一方が炭素数12〜22の飽和アシル基であり、他方が炭素数12〜22の不飽和アシル基であり、Xは、メタノール、エタノール、プロパノール、エタノールアミン、セリン、1−アミノ−2−プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール又はグリセロールである水酸基を有する塩基から水酸基1個を除いた残基である)
    上記式[1]で示される1,2−ジアシル−3−グリセリルホスファチジルコリンを出発原料として上記式[2]で示される混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセロリン脂質を製造するに際して、下記の(a)工程、(b)工程、(c)工程、(d)工程、(e)工程、(f)工程の順序で行うことを特徴とする混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセロリン脂質の製造方法。
    (a)工程
    1,2−ジアシル−3−グリセリルホスファチジルコリンをリパーゼで脱アシル化したのち、ヘキサン:アセトン:メタノール=7〜5:4〜0:2〜0(容量比)の有機溶媒により晶析してモノアシル−3−グリセリルホスファチジルコリンを得る工程。
    (b)工程
    混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセリルホスファチジルコリンを分離する工程
    (a)工程で得られたモノアシル−3−グリセリルホスファチジルコリンと脂肪酸無水物を3級アミンの存在下に反応して、混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセリルホスファチジルコリン反応溶液を得て、該反応溶液をシリカゲルカラムに吸着し、該カラムにクロロホルム:メタノール=95〜80:20〜5(容量比)の混合溶媒を流して、不純物をカラムから溶出除去したのち、クロロホルム:メタノール:水=85〜75:20〜18:3〜1.5(容量比)の混合溶媒を流して、該混合溶媒中に混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセリルホスファチジルコリンを分離する工程。
    (c)工程
    (b)工程で得られた任意のアシル基を導入した混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセリルホスファチジルコリンと塩基にホスホリパーゼDを作用させ、混合酸型1,2−ジアシル−グリセロリン脂質を得る工程。
    (d)工程
    (c)工程で得られた混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセリルホスファチジルコリンまたは混合酸型1,2−ジアシル−グリセロリン脂質をクロロホルム:メタノール:アセトン=13〜0:2〜0:9〜7(容量比)にて溶解し、濃度を5〜50重量%にし、混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセロリン脂質を晶析する工程。
    (e)工程
    上記(d)工程で得られた混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセロリン脂質の結晶を5〜20重量倍のクロロホルム:メタノール:アセトン=13〜9:2〜1:11〜8(容量比)にて溶解し、混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセロリン脂質を晶析する工程。
    (f)工程
    上記(e)工程で得られた混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセロリン脂質の結晶を5〜20重量倍のクロロホルム:メタノール:アセトン=13〜9:2〜1:7〜6(容量比)にて溶解し、混合酸型1,2−ジアシル−3−グリセロリン脂質を晶析する工程。
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