JP5072876B2 - ポリアミド樹脂の精製方法 - Google Patents

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Description

本発明はポリアミド樹脂の精製方法に関する。
ポリアミド樹脂、特に主鎖に芳香族基を含有するポリアミド樹脂は、耐熱性、機械強度等に優れた特性を持ち、様々な工業的用途に応用が期待される樹脂である。これらポリアミド樹脂は一般にジカルボン酸とジアミン、および/または構造中にカルボン酸とアミンを1つずつ有する化合物を原料とし、重縮合反応により得られるが、反応を進行させるために加えられる縮合剤や触媒、添加剤、副生成物等に由来するイオン性の不純物を含有するため、電気的絶縁性を求められる用途への使用が制限されている。
特に、アミンとカルボン酸を芳香族亜リン酸エステルとピリジン誘導体の存在下で縮合させる方法は、広く世界で行われている重縮合反応であるが、本法で合成されたポリアミド樹脂中には芳香族亜リン酸エステルに由来するリン系のイオン性不純物が残りやすい。
特許文献1において調製されたポリアミド樹脂を洗浄性の良い微粉末として取り出すことによりイオン性不純物の少ない高品質なポリアミド樹脂を製造する方法が考案されたが、ますます高度化する電気絶縁性の要求水準を完全に満足させることは出来なかった。
特開2002−97282号公報
本発明は、高度な電気絶縁性を要する分野の材料としても使用できる、イオン性不純物量の少ないポリアミド樹脂を得ることができる、ポリアミド樹脂の精製方法を提供することを目的としたものである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究の結果、ポリアミド樹脂が含有するイオン性不純物を効率よく除去する方法を見出し、本発明を完成した。すなわち本発明は、
(a)
(1)下記(a)〜(c)のいずれかの反応を芳香族亜リン酸エステルとピリジン誘導体の存在下に行い、ポリアミド樹脂を得る工程
(a)芳香族または脂肪族ジカルボン酸と芳香族または脂肪族ジアミンとの重縮合反応
(b)構造中にカルボン酸とアミンを1つずつ有する脂肪族または芳香族化合物の重縮合反応
(c)ポリアミドオリゴマーをゴム変性する反応
(2)上記工程(1)により得られたポリアミド樹脂を単離する工程
(3)上記工程(2)により得られたポリアミド樹脂を溶媒に溶解し、これに塩基性化合物を添加する工程
(4)上記工程(3)に続き、ポリアミド樹脂の貧溶媒を加えてポリアミド樹脂を析出させる工程
(5)上記工程(4)で析出したポリアミド樹脂を水浄、濾過する工程
(6)上記工程(5)で得られたポリアミド樹脂を乾燥する工程
をからなることを特徴とするポリアミド樹脂の精製方法
(b)
析出したポリアミド樹脂を一旦濾別後、水溶性有機溶剤で洗浄する工程を含むことを特徴とする上記(a)記載のポリアミド樹脂の精製方法
(c)
塩基性化合物が有機アミン化合物である上記(a)又は(b)に記載のポリアミド樹脂の精製方法
に関する。
本発明の精製方法で精製処理したポリアミド樹脂は、高い電気絶縁性を求められる用途へ使用されることが可能である。
本発明におけるポリアミド樹脂が溶媒に溶解したポリアミド溶液は、ジカルボン酸とジアミン、および/または構造中にカルボン酸とアミンを1つずつ有する化合物を原料とし、重縮合反応により生成するポリアミド樹脂と、該ポリアミド樹脂が可溶な溶媒とを必須成分とする溶液である。
ポリアミド樹脂構造に関して特に制限はなく、例えば芳香族または脂肪族ジカルボン酸と芳香族または脂肪族ジアミンとの重縮合反応により生成するポリアミド樹脂、構造中にカルボン酸とアミンを1つずつ有する脂肪族または芳香族化合物の重縮合反応により生成するポリアミド樹脂やポリアミドオリゴマーをゴム変性したポリアミド樹脂等が挙げられる。中でも、本発明を適用するのみ好ましいポリアミド樹脂としては下記一般式(1)、
X−NH−R−NH(CO−R−CONH−R−NH)
[{CO−A−CONH−R−NH−
(CO−R−CONH−R−NH)]−X (1)
{式中、Aは2価のオリゴマー構造を表し、RおよびRはそれぞれ2価の有機基を表し、Xは水素原子またはR−CO−基を表し、Rは置換されていてもよいアルキル基または置換されていてもよいアリール基を表し、mおよびnは平均重合度を表し、n=1〜30、m=1〜20である。}
で示されるポリアミド系ブロック共重合体が挙げられる。
以下、本発明におけるポリアミド樹脂の製法につき、好ましい実施態様である式(1)のポリアミド樹脂を主体にして説明する。
一般式(1)でXが水素原子であるポリアミド系ブロック共重合体は、まず、一般式(2)
N−R−NH (2)
(式中Rは式(1)におけるのと同じ意味を表す。)
で示されるジアミンと一般式(3)
HOOC−R−COOH (3)
(式中Rは式(1)におけるのと同じ意味を表す。)
で示されるジカルボン酸を、ジアミンのモル数がジカルボン酸のモル数に対して過剰になるように仕込んで重縮合することにより、下記一般式(4)
N−R−NH(CO−R−CONH−R−NH)−H (4)
(式中R、R及びは式(1)におけるのと同じ意味を表す。)
で示される両末端にアミノ基を有するポリアミド体を調製し、次いで、この両末端にアミノ基を有するポリアミド体と一般式(5)
HOOC−A−COOH (5)
(式中Aは式(1)におけるのと同じ意味を表す。)
で示される両末端にカルボキシル基を有するオリゴマーを、式(5)の化合物のモル数が式(4)の化合物のモル数を越えないように仕込んで重縮合することにより得ることが出来る。
また、一般式(1)でXがR−CO−(Rは式(1)におけるのと同じ意味を表す。)であるポリアミド系ブロック共重合体は、上記一般式(1)でXが水素原子の化合物と一般式(6)
−COOH (6)
(Rは式(1)におけるのと同じ意味を表す。)
で示される化合物を重縮合することにより得ることが出来る。
こうして得られる式(1)のポリアミド系ブロック共重合体のnは式(2)のジアミンと式(3)のジカルボン酸の仕込み比によって決定され、平均値で通常1〜30、好ましくは3〜20である。
また、式(1)におけるmは、式(4)のポリアミド体と式(5)のオリゴマーの仕込み比によって決定され、平均値で通常1〜20、好ましくは1〜10である。
上記ジカルボン酸とジアミン、および/または構造中にカルボン酸とアミンを1つずつ有する化合物の重縮合反応、及び式(2)のジアミンと式(3)のジカルボン酸との重縮合反応や式(4)のポリアミド体と式(5)のジカルボン酸との重縮合反応、更には一般式(1)でXが水素原子の化合物と一般式(6)で示される化合物の重縮合反応は、好ましくは縮合剤としての芳香族亜リン酸エステルとピリジン誘導体の存在下で行うことが出来るが、本発明の精製方法は、その他の縮合剤を用いた場合にも適用することが出来る。
ここで用いられる芳香族亜リン酸エステルとしては、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸トリ−o−トリル、亜リン酸ジ−o−トリル、亜リン酸トリ−m−トリル、亜リン酸ジ−m−トリル、亜リン酸トリ−p−トリル、亜リン酸ジ−p−トリルや、亜リン酸トリ−p−クロロフェニル等が挙げられる。
また、ピリジン誘導体としては、ピリジン、2−ピコリン、3−ピコリン、4−ピコリン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジン、3,5−ルチジンなどが挙げられる。
上記ポリアミド樹脂の製造に用いられるジアミン、好ましくは一般式(1)のポリアミド系ブロック共重合体の製造に用いられる一般式(2)で示されるジアミンは、芳香族ジアミンでも脂肪族ジアミンでも良く、芳香族ジアミンの具体例としては、ジアミノベンゼン、ジアミノトルエン、ジアミノフェノール、ジアミノジメチルベンゼン、ジアミノメシチレン、ジアミノクロロベンゼン、ジアミノニトロベンゼン、ジアミノアゾベンゼン、ジアミノナフタレン、ジアミノビフェニル、ジアミノジメトキシビフェニル、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジメチルジフェニルエーテル、メチレンジアニリン、メチレンビス(メチルアニリン)、メチレンビス(ジメチルアニリン)、メチレンビス(メトキシアニリン)、メチレンビス(ジメトキシアニリン)、メチレンビス(エチルアニリン)、メチレンビス(ジエチルアニリン)、メチレンビス(エトキシアニリン)、メチレンビス(ジエトキシアニリン)、メチレンビス(ジブロモアニリン)、イソプロピリデンジアニリン、ヘキサフルオロイソプロピリデンジアニリン、ジアミノベンゾフェノン、ジアミノジメチルベンゾフェノン、ジアミノアントラキノン、ジアミノジフェニルチオエーテル、ジアミノジメチルジフェニルチオエーテル、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルスルホキシドや、ジアミノフルオレンなどが挙げられ、中でもジアミノジフェニルエーテルとメチレンビス(ジエチルアニリン)が好ましい。
脂肪族ジアミンの具体例としては、エチレンジアミン、プロパンジアミン、ヒドロキシプロパンジアミン、ブタンジアミン、ヘプタンジアミン、ヘキサンジアミン、ジアミノジエチルアミン、ジアミノジプロピルアミン、シクロペンタンジアミン、シクロヘキサンジアミン、アザペンタンジアミンや、トリアザウンデカンジアミンなどが挙げられる。
ここで用いられるジアミンは、1種のみ用いても良く2種以上を混合して用いても良いが、芳香族ジアミンまたは水酸基を含有するジアミンを使用するのが好ましい。
上記ポリアミド樹脂の製造に用いられるジカルボン酸、好ましくは一般式(1)のポリアミド系ブロック共重合体の製造に用いられる一般式(3)で示されるジカルボン酸は、芳香族ジカルボン酸でも脂肪族ジカルボン酸でも良く、芳香族ジカルボン酸の具体例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ベンゼン二酢酸、ベンゼンジプロピオン酸、ビフェニルジカルボン酸、オキシジ安息香酸、チオジ安息香酸、ジチオジ安息香酸、ジチオビス(ニトロ安息香酸)、カルボニルジ安息香酸、スルホニルジ安息香酸、ナフタレンジカルボン酸、メチレンジ安息香酸、イソプロピリデンジ安息香酸、ヘキサフルオロイソプロピリデンジ安息香酸、ピリジンジカルボン酸、ヒドロキシイソフタル酸、ヒドロキシテレフタル酸、ジヒドロキシイソフタル酸や、ジヒドロキシテレフタル酸などが挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸の具体例としては、シュウ酸、マロン酸、メチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、りんご酸、酒石酸、(メタ)アクリロイルオキシコハク酸、ジ(メタ)アクリロイルオキシコハク酸、(メタ)アクリロイルオキシりんご酸、(メタ)アクリルアミドコハク酸や、(メタ)アクリルアミドりんご酸などが挙げられる。
一般式(3)で示されるジカルボン酸は、1種のみ用いても良く2種以上を混合して用いても良いが、水酸基を有する芳香族ジカルボン酸を使用するのが好ましく、特にイソフタル酸とヒドロキシイソフタル酸を併用することが好ましい。
上記ポリアミド樹脂の製造に用いられる構造中にカルボン酸とアミンを1つずつ有する化合物としては、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸などが挙げられる。
一般式(1)のポリアミド系ブロック共重合体の製造に用いられる一般式(5)で示される両末端にカルボキシル基を有するオリゴマーは、数平均分子量200〜10,000、好ましくは数平均分子量500〜5,000のオリゴマーであり、その具体例としては、両末端にカルボキシル基を持ったポリブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、エチレンプロピレン共重合体、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリウレタンや、シリコーンゴムなどが挙げられ、中でも両末端カルボキシル基を有するブタジエン−アクリロニトリル共重合体が好ましい。
一般式(1)のポリアミド系ブロック共重合体の製造に用いられる一般式(6)で示されるカルボキシ基含有化合物は、分子内に1個以上のカルボキシル基を有する脂肪族または芳香族化合物であり、その具体例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの脂肪族モノカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、りんご酸、酒石酸などの脂肪族ジカルボン酸、安息香酸、4−メチル安息香酸、2−メチル安息香酸、4−ノニル安息香酸、4−クロル安息香酸、サリチル酸、4−ヒドロキシ安息香酸、ナフタレンカルボン酸、ナフトールカルボン酸などの芳香族モノカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヒドロキシイソフタル酸、ヒドロキシテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸を挙げることが出来る。
一般式(6)で示されるカルボキシ基含有化合物は、1種のみ用いても良く2種以上を混合して用いても良いが、特に4−メチル安息香酸、サリチル酸、イソフタル酸の使用が好ましい。
ポリアミド樹脂が可溶な溶媒は、用いるポリアミド樹脂と溶媒和を起こす溶媒であれば特に制限はないが、具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ピリジンなどや、これらの混合溶媒、これらを含有する溶媒が挙げられる。また、ポリアミド溶液中のポリアミド樹脂の濃度は、2〜50重量%が好ましく、生産効率と操作性の良い溶液粘度とを考慮すると、5〜30重量%が特に好ましい。
本発明におけるポリアミド溶液は、一旦単離されたポリアミド樹脂を改めてポリアミド樹脂が可溶な溶媒に溶解したポリアミド溶液を使用する。
本発明の精製方法は、ポリアミド溶液に塩基性化合物を添加して行う。
用いうる塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ソーダなどアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、脂肪酸塩や、アンモニア、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、酢酸アンモニウム、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、有機アミン化合物等が挙げられるが、有機アミン化合物の使用が好ましい。
有機アミン化合物の具体例としては、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、tert−ブチルアミン、2−アミノエタノールなどの第1級脂肪族アミン類、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジエタノールアミンなどの第2級脂肪族アミン類、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミンなどの第3級脂肪族アミン類、アニリン、o−トルイジン、p−トルイジン、p−トルイジン、メチルアニリン、エチルアニリン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリンなどの芳香族アミン類、ピロール、ピロリジン、イミダゾール、ピリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリンなどの窒素含有複素単環式化合物等が挙げられるが、第3級脂肪族アミン類の使用が好ましく、特にトリエチルアミンの使用が好ましい。
ポリアミド溶液に塩基性化合物を添加する場合は、通常攪拌下0〜150℃、好ましくは、20〜80℃の範囲で添加され、その添加量は、ポリアミド樹脂100重量部に対して、通常0.01〜100重量部、好ましくは0.05〜30重量部である。
塩基性化合物の添加に当たっては、そのまま添加しても良いが、水その他の液体に溶解して添加しても良い。
ポリアミド溶液に塩基性化合物を添加した後、必要により攪拌混合の時間を設ける。その温度と時間は使用する塩基性化合物の種類により異なるが、通常温度は0〜150℃、好ましくは、20〜80℃、時間は0〜20時間、好ましくは0〜5時間である。
ポリアミド溶液からポリアミド樹脂を析出させる際に用いる貧溶媒は、ポリアミド樹脂と溶媒和を起こし難い溶媒であれば特に制限はないが、具体例としては、水、メタノール、エタノールなどや、これらの混合溶媒、これらを含有する溶媒が挙げられる。
その使用量は、析出したポリアミド樹脂が操作上問題なく濾別できる範囲で出来るだけ少量であることが望ましく、ポリアミド溶液に用いられた溶媒1重量部に対して0.5〜50重量部が好ましく、特に、1〜10重量部が好ましい。
塩基性化合物を添加したポリアミド溶液と貧溶媒の混合は、ポリアミド溶液中に攪拌下で貧溶媒を徐々に添加しても良いし、貧溶媒中に攪拌下でポリアミド溶液を添加しても良く、また、ポリアミド溶液中に攪拌下で貧溶媒を一部添加した溶液を攪拌下で貧溶媒中に添加することも出来る。
ポリアミド溶液と貧溶媒の混合を行う温度は通常0〜150℃、好ましくは、20〜80℃の範囲で行われ、混合に要する時間は、通常0.01〜20時間、好ましくは、0.05〜5時間である。
貧溶媒との混合により析出したポリアミド樹脂は、濾別により単離され、必要に応じ水でケーキ洗浄される。得られたポリアミド樹脂のケーキを乾燥すると、イオン性不純物の少ないポリアミド樹脂が得られるが、更に水溶性有機溶剤で洗浄することによりイオン性不純物を更に低減することが出来る。
用いうる水溶性有機溶剤とは、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類やアセトン等が挙げられ、これらの単独または混合で用いられるが、メタノールが特に好ましい。
水溶性有機溶剤での洗浄は、上記で濾別により単離されたポリアミド樹脂ケーキを濾過機上で洗浄しても効果があるが、単離され、溶媒と貧溶媒を含んだポリアミド樹脂ケーキまたはこのケーキを一旦乾燥により溶媒および貧溶媒を除いたポリアミド樹脂と上記水溶性有機溶剤とを新たに容器に仕込み、攪拌懸濁させた後、再度濾別する事により、更に優れた精製効果を発揮する。
この場合の水溶性有機溶剤の使用量は、正味のポリアミド樹脂1重量部に対して1〜100重量部、好ましくは2〜50重量部であり、攪拌の温度は常温から懸濁液の沸点が好ましく特に沸点での攪拌が好ましい。また、攪拌時間は、0.1〜24時間好ましくは1〜5時間である。
更に、通常この操作は常圧下で行われるが、加圧下でおこなうこともできる。
上記懸濁処理を行った後、ポリアミド樹脂を濾別し、通常更に上記水溶性有機溶剤を用いてケーキ洗浄を行い、次いで場合により更に水でケーキ洗浄を行った後、乾燥して、目的のイオン性不純物含有量の少ないポリアミド樹脂を得ることができる。
本発明の精製方法で精製されたポリアミド樹脂は、イオン性不純物含有量が極微量であるため、電気絶縁性を要求される用途に特に有用であり、具体的用途としては、フォトレジスト、液状レジスト、電子写真、ダイレクト刷版材料、ホログラム材料、接着剤、粘着剤、粘接着剤、封止剤、塗料、コーティング剤や、ガラス繊維含浸剤等が挙げられる。
以下に実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
合成例
温度計、環流冷却器、滴下ロート、窒素導入装置、攪拌装置のついた1000mlの反応器に、イソフタル酸10.12g(0.0609モル)、5−ヒドロキシイソフタル酸1.86g(0.0102モル)、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル15.96g(0.0797モル)と、塩化リチウム1.52gを仕込み、乾燥窒素を流しながら、N−メチル−2−ピロリドン179.4gと、ピリジン18.0gを加え、攪拌しながら反応器内が95℃になるまで徐々に加熱し、固形分を溶解させた。その後、反応器内を攪拌し95℃に保ち、亜リン酸トリフェニル39.0gを2時間で滴下し、さらに2時間反応させた。 次に、反応器内を95℃に保ち、カルボキシル末端ブタジエンアクリロニトリル共重合体(HYCAR CTBN 1300×8 BF Goodrich社製 カルボキシル当量=0.052EPHR)25.2gをN−メチル−2−ピロリドン25.2gに溶解させた溶液全量を1時間で滴下し、さらに2時間反応させた。
上記で調製したポリアミド系ブロック共重合体溶液を50℃以下に冷却した後、全量1000ml容器に移し、室温で攪拌しながら、メタノール126gを加えた後、10℃以下に冷却し、イオン交換水50gを30分かけて滴下した。その後更に10℃以下で1時間攪拌し、ポリアミド系ブロック共重合体の分散スラリーを調製した。
2000ml容器にイオン交換水700gを仕込み、室温で攪拌しながら、前記ポリアミド系ブロック共重合体分散スラリーを1分程度で加え、ポリアミド系ブロック共重合体の微粉末分散液を得た。その後さらに室温で1時間攪拌し、分散液を濾過した後、1000ml容器にイオン交換水500gを仕込み、攪拌しながら、前記濾過して得られたポリアミド系ブロック共重合体微粉末を徐々に加え、再分散させ、室温で30分攪拌洗浄した後、濾過した。
温度計、分留装置、水蒸気導入口、攪拌装置のついた1000mlの反応器に、前記濾過して得られた水洗後のポリアミド系ブロック共重合体微粉末と、イオン交換水500gを加え、攪拌しながら反応器内が95℃になるまで徐々に加熱した。その後加熱を停止し、反応器内を攪拌しながら、水蒸気を150g/時間程度で約24時間吹込み、洗浄を行った。分留装置より留出する液量は、3,600gであった。その後、反応器内を50℃以下に冷却した後、濾過した。
濾過して得られた水蒸気洗浄後のポリアミド系ブロック共重合体の微粉末ケーキを、75℃で72時間熱風乾燥し、ポリアミド樹脂微粉末Sを得た。
実施例1
温度計、攪拌装置のついた1000mlの反応器に、N,N−ジメチルホルムアミド142gを仕込み、攪拌下反応器内を40〜45℃に保ちながら、合成例で調製したポリアミド樹脂微粉末S25gを少量ずつ添加し溶解させた。次いで、トリエチルアミン1.25gを40〜45℃で添加し、同温度で1時間攪拌した後、蒸留水350gを攪拌下合計90分を要して段階的に加え、ポリアミド樹脂を析出させた。その後、反応器内を25℃以下に冷却して1時間攪拌してから濾過し、得られたケーキを蒸留水500gで洗浄した後、75℃で24時間熱風乾燥し、精製ポリアミド樹脂Aの粉末を得た。
実施例2
温度計、環流冷却器、攪拌装置のついた500mlの反応器に、実施例1と同様の操作により得られた蒸留水500gで洗浄後のケーキ63.2g(ポリアミド樹脂分25g)とメタノール200gを仕込み、攪拌懸濁下加熱して2時間還流した。その後、反応器内を25℃以下に冷却してから濾過し、得られたケーキを蒸留水500gで洗浄した後、75℃で24時間熱風乾燥し、精製ポリアミド樹脂Bの粉末を得た。
実施例3
トリエチルアミンの代わりに炭酸ナトリウム25gを用いた以外は実施例1と同様にして、精製ポリアミド樹脂Cを得た。
実施例4
温度計、攪拌装置のついた1000mlの反応器に、ピリジン225gを仕込み、攪拌下反応器内を40〜45℃に保ちながら、合成例で調製したポリアミド樹脂微粉末S25gを少量ずつ添加し溶解させた。同温度で1時間攪拌した後、蒸留水430gを攪拌下合計60分を要して段階的に加え、ポリアミド樹脂を析出させた。その後、反応器内を25℃以下に冷却して1時間攪拌してから濾過し、得られたケーキを蒸留水1000gで洗浄した後、75℃で24時間熱風乾燥し、精製ポリアミド樹脂Dの粉末を得た。
試験例
50mlのプレッシャークッカーテスト容器に、実施例1で得られた精製ポリアミド樹脂A4.0gと蒸留水40.0gを仕込んで密閉し、よく振とう後、121℃にセットした定温恒温器に20時間保管した。その後容器を室温まで冷却した後内容物を濾過し、濾液中のイオン性不純物濃度をイオンクロマト法により測定した。
実施例2〜4で得られた精製ポリアミド樹脂B〜Dおよび合成例で調製したポリアミド樹脂微粉末Sについても同様にして濾液中のイオン性不純物濃度を測定した。
得られた結果を表1に示す。
比較例1
温度計、攪拌装置のついた1000mlの反応器に、N,N−ジメチルホルムアミド142gを仕込み、攪拌下反応器内を40〜45℃に保ちながら、合成例で調製したポリアミド樹脂微粉末S25gを少量ずつ添加し溶解させた。
同温度で1時間攪拌した後、蒸留水350gを攪拌下合計90分を要して段階的に加え、ポリアミド樹脂を析出させた。その後、反応器内を25℃以下に冷却して1時間攪拌してから濾過し、得られたケーキを蒸留水500gで洗浄した後、75℃で24時間熱風乾燥し、ポリアミド樹脂Eの粉末を得た。
ポリアミド樹脂Eの粉末を用い、試験例と同様にして濾液中のイオン性不純物濃度を測定した。得られた結果を表1に示す。
比較例2
温度計、環流冷却器、攪拌装置のついた500mlの反応器に、比較例1と同様の操作により得られた蒸留水500gで洗浄後のケーキ62.3g(ポリアミド樹脂分25g)とメタノール200gを仕込み、攪拌懸濁下加熱して2時間還流した。その後、反応器内を25℃以下に冷却してから濾過し、得られたケーキを蒸留水500gで洗浄した後、75℃で24時間熱風乾燥し、ポリアミド樹脂Fの粉末を得た。
ポリアミド樹脂Fの粉末を用い、試験例と同様にして濾液中のイオン性不純物濃度を測定した。得られた結果を表1に示す。
Figure 0005072876

Claims (3)

  1. (1)下記(a)〜(c)のいずれかの反応を芳香族亜リン酸エステルとピリジン誘導体の存在下に行い、ポリアミド樹脂を得る工程
    (a)芳香族または脂肪族ジカルボン酸と芳香族または脂肪族ジアミンとの重縮合反応
    (b)構造中にカルボン酸とアミンを1つずつ有する脂肪族または芳香族化合物の重縮合反応
    (c)ポリアミドオリゴマーをゴム変性する反応
    (2)上記工程(1)により得られたポリアミド樹脂を単離する工程
    (3)上記工程(2)により得られたポリアミド樹脂を溶媒に溶解し、これに塩基性化合物を添加する工程
    (4)上記工程(3)に続き、ポリアミド樹脂の貧溶媒を加えてポリアミド樹脂を析出させる工程
    (5)上記工程(4)で析出したポリアミド樹脂を水浄、濾過する工程
    (6)上記工程(5)で得られたポリアミド樹脂を乾燥する工程
    をからなることを特徴とするポリアミド樹脂の精製方法。
  2. 析出したポリアミド樹脂を一旦濾別後、水溶性有機溶剤で洗浄する工程を含むことを特徴とする請求項1記載のポリアミド樹脂の精製方法。
  3. 塩基性化合物が有機アミン化合物である請求項1又は2記載のポリアミド樹脂の精製方法。
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