JP5072876B2 - ポリアミド樹脂の精製方法 - Google Patents
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特に、アミンとカルボン酸を芳香族亜リン酸エステルとピリジン誘導体の存在下で縮合させる方法は、広く世界で行われている重縮合反応であるが、本法で合成されたポリアミド樹脂中には芳香族亜リン酸エステルに由来するリン系のイオン性不純物が残りやすい。
特許文献1において調製されたポリアミド樹脂を洗浄性の良い微粉末として取り出すことによりイオン性不純物の少ない高品質なポリアミド樹脂を製造する方法が考案されたが、ますます高度化する電気絶縁性の要求水準を完全に満足させることは出来なかった。
(a)
(1)下記(a)〜(c)のいずれかの反応を芳香族亜リン酸エステルとピリジン誘導体の存在下に行い、ポリアミド樹脂を得る工程
(a)芳香族または脂肪族ジカルボン酸と芳香族または脂肪族ジアミンとの重縮合反応
(b)構造中にカルボン酸とアミンを1つずつ有する脂肪族または芳香族化合物の重縮合反応
(c)ポリアミドオリゴマーをゴム変性する反応
(2)上記工程(1)により得られたポリアミド樹脂を単離する工程
(3)上記工程(2)により得られたポリアミド樹脂を溶媒に溶解し、これに塩基性化合物を添加する工程
(4)上記工程(3)に続き、ポリアミド樹脂の貧溶媒を加えてポリアミド樹脂を析出させる工程
(5)上記工程(4)で析出したポリアミド樹脂を水浄、濾過する工程
(6)上記工程(5)で得られたポリアミド樹脂を乾燥する工程
をからなることを特徴とするポリアミド樹脂の精製方法
(b)
析出したポリアミド樹脂を一旦濾別後、水溶性有機溶剤で洗浄する工程を含むことを特徴とする上記(a)記載のポリアミド樹脂の精製方法
(c)
塩基性化合物が有機アミン化合物である上記(a)又は(b)に記載のポリアミド樹脂の精製方法
に関する。
X−NH−R1−NH(CO−R2−CONH−R1−NH)n−
[{CO−A−CONH−R1−NH−
(CO−R2−CONH−R1−NH)n}m]−X (1)
{式中、Aは2価のオリゴマー構造を表し、R1およびR2はそれぞれ2価の有機基を表し、Xは水素原子またはR3−CO−基を表し、R3は置換されていてもよいアルキル基または置換されていてもよいアリール基を表し、mおよびnは平均重合度を表し、n=1〜30、m=1〜20である。}
で示されるポリアミド系ブロック共重合体が挙げられる。
一般式(1)でXが水素原子であるポリアミド系ブロック共重合体は、まず、一般式(2)
H2N−R1−NH2 (2)
(式中R1は式(1)におけるのと同じ意味を表す。)
で示されるジアミンと一般式(3)
HOOC−R2−COOH (3)
(式中R2は式(1)におけるのと同じ意味を表す。)
で示されるジカルボン酸を、ジアミンのモル数がジカルボン酸のモル数に対して過剰になるように仕込んで重縮合することにより、下記一般式(4)
H2N−R1−NH(CO−R2−CONH−R1−NH)n−H (4)
(式中R1、R2及びは式(1)におけるのと同じ意味を表す。)
で示される両末端にアミノ基を有するポリアミド体を調製し、次いで、この両末端にアミノ基を有するポリアミド体と一般式(5)
HOOC−A−COOH (5)
(式中Aは式(1)におけるのと同じ意味を表す。)
で示される両末端にカルボキシル基を有するオリゴマーを、式(5)の化合物のモル数が式(4)の化合物のモル数を越えないように仕込んで重縮合することにより得ることが出来る。
R3−COOH (6)
(R3は式(1)におけるのと同じ意味を表す。)
で示される化合物を重縮合することにより得ることが出来る。
また、式(1)におけるmは、式(4)のポリアミド体と式(5)のオリゴマーの仕込み比によって決定され、平均値で通常1〜20、好ましくは1〜10である。
ここで用いられるジアミンは、1種のみ用いても良く2種以上を混合して用いても良いが、芳香族ジアミンまたは水酸基を含有するジアミンを使用するのが好ましい。
一般式(3)で示されるジカルボン酸は、1種のみ用いても良く2種以上を混合して用いても良いが、水酸基を有する芳香族ジカルボン酸を使用するのが好ましく、特にイソフタル酸とヒドロキシイソフタル酸を併用することが好ましい。
一般式(6)で示されるカルボキシ基含有化合物は、1種のみ用いても良く2種以上を混合して用いても良いが、特に4−メチル安息香酸、サリチル酸、イソフタル酸の使用が好ましい。
用いうる塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ソーダなどアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、脂肪酸塩や、アンモニア、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、酢酸アンモニウム、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、有機アミン化合物等が挙げられるが、有機アミン化合物の使用が好ましい。
その使用量は、析出したポリアミド樹脂が操作上問題なく濾別できる範囲で出来るだけ少量であることが望ましく、ポリアミド溶液に用いられた溶媒1重量部に対して0.5〜50重量部が好ましく、特に、1〜10重量部が好ましい。
ポリアミド溶液と貧溶媒の混合を行う温度は通常0〜150℃、好ましくは、20〜80℃の範囲で行われ、混合に要する時間は、通常0.01〜20時間、好ましくは、0.05〜5時間である。
この場合の水溶性有機溶剤の使用量は、正味のポリアミド樹脂1重量部に対して1〜100重量部、好ましくは2〜50重量部であり、攪拌の温度は常温から懸濁液の沸点が好ましく特に沸点での攪拌が好ましい。また、攪拌時間は、0.1〜24時間好ましくは1〜5時間である。
更に、通常この操作は常圧下で行われるが、加圧下でおこなうこともできる。
温度計、環流冷却器、滴下ロート、窒素導入装置、攪拌装置のついた1000mlの反応器に、イソフタル酸10.12g(0.0609モル)、5−ヒドロキシイソフタル酸1.86g(0.0102モル)、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル15.96g(0.0797モル)と、塩化リチウム1.52gを仕込み、乾燥窒素を流しながら、N−メチル−2−ピロリドン179.4gと、ピリジン18.0gを加え、攪拌しながら反応器内が95℃になるまで徐々に加熱し、固形分を溶解させた。その後、反応器内を攪拌し95℃に保ち、亜リン酸トリフェニル39.0gを2時間で滴下し、さらに2時間反応させた。 次に、反応器内を95℃に保ち、カルボキシル末端ブタジエンアクリロニトリル共重合体(HYCAR CTBN 1300×8 BF Goodrich社製 カルボキシル当量=0.052EPHR)25.2gをN−メチル−2−ピロリドン25.2gに溶解させた溶液全量を1時間で滴下し、さらに2時間反応させた。
濾過して得られた水蒸気洗浄後のポリアミド系ブロック共重合体の微粉末ケーキを、75℃で72時間熱風乾燥し、ポリアミド樹脂微粉末Sを得た。
温度計、攪拌装置のついた1000mlの反応器に、N,N−ジメチルホルムアミド142gを仕込み、攪拌下反応器内を40〜45℃に保ちながら、合成例で調製したポリアミド樹脂微粉末S25gを少量ずつ添加し溶解させた。次いで、トリエチルアミン1.25gを40〜45℃で添加し、同温度で1時間攪拌した後、蒸留水350gを攪拌下合計90分を要して段階的に加え、ポリアミド樹脂を析出させた。その後、反応器内を25℃以下に冷却して1時間攪拌してから濾過し、得られたケーキを蒸留水500gで洗浄した後、75℃で24時間熱風乾燥し、精製ポリアミド樹脂Aの粉末を得た。
温度計、環流冷却器、攪拌装置のついた500mlの反応器に、実施例1と同様の操作により得られた蒸留水500gで洗浄後のケーキ63.2g(ポリアミド樹脂分25g)とメタノール200gを仕込み、攪拌懸濁下加熱して2時間還流した。その後、反応器内を25℃以下に冷却してから濾過し、得られたケーキを蒸留水500gで洗浄した後、75℃で24時間熱風乾燥し、精製ポリアミド樹脂Bの粉末を得た。
トリエチルアミンの代わりに炭酸ナトリウム25gを用いた以外は実施例1と同様にして、精製ポリアミド樹脂Cを得た。
温度計、攪拌装置のついた1000mlの反応器に、ピリジン225gを仕込み、攪拌下反応器内を40〜45℃に保ちながら、合成例で調製したポリアミド樹脂微粉末S25gを少量ずつ添加し溶解させた。同温度で1時間攪拌した後、蒸留水430gを攪拌下合計60分を要して段階的に加え、ポリアミド樹脂を析出させた。その後、反応器内を25℃以下に冷却して1時間攪拌してから濾過し、得られたケーキを蒸留水1000gで洗浄した後、75℃で24時間熱風乾燥し、精製ポリアミド樹脂Dの粉末を得た。
50mlのプレッシャークッカーテスト容器に、実施例1で得られた精製ポリアミド樹脂A4.0gと蒸留水40.0gを仕込んで密閉し、よく振とう後、121℃にセットした定温恒温器に20時間保管した。その後容器を室温まで冷却した後内容物を濾過し、濾液中のイオン性不純物濃度をイオンクロマト法により測定した。
実施例2〜4で得られた精製ポリアミド樹脂B〜Dおよび合成例で調製したポリアミド樹脂微粉末Sについても同様にして濾液中のイオン性不純物濃度を測定した。
得られた結果を表1に示す。
温度計、攪拌装置のついた1000mlの反応器に、N,N−ジメチルホルムアミド142gを仕込み、攪拌下反応器内を40〜45℃に保ちながら、合成例で調製したポリアミド樹脂微粉末S25gを少量ずつ添加し溶解させた。
同温度で1時間攪拌した後、蒸留水350gを攪拌下合計90分を要して段階的に加え、ポリアミド樹脂を析出させた。その後、反応器内を25℃以下に冷却して1時間攪拌してから濾過し、得られたケーキを蒸留水500gで洗浄した後、75℃で24時間熱風乾燥し、ポリアミド樹脂Eの粉末を得た。
ポリアミド樹脂Eの粉末を用い、試験例と同様にして濾液中のイオン性不純物濃度を測定した。得られた結果を表1に示す。
温度計、環流冷却器、攪拌装置のついた500mlの反応器に、比較例1と同様の操作により得られた蒸留水500gで洗浄後のケーキ62.3g(ポリアミド樹脂分25g)とメタノール200gを仕込み、攪拌懸濁下加熱して2時間還流した。その後、反応器内を25℃以下に冷却してから濾過し、得られたケーキを蒸留水500gで洗浄した後、75℃で24時間熱風乾燥し、ポリアミド樹脂Fの粉末を得た。
ポリアミド樹脂Fの粉末を用い、試験例と同様にして濾液中のイオン性不純物濃度を測定した。得られた結果を表1に示す。
Claims (3)
- (1)下記(a)〜(c)のいずれかの反応を芳香族亜リン酸エステルとピリジン誘導体の存在下に行い、ポリアミド樹脂を得る工程
(a)芳香族または脂肪族ジカルボン酸と芳香族または脂肪族ジアミンとの重縮合反応
(b)構造中にカルボン酸とアミンを1つずつ有する脂肪族または芳香族化合物の重縮合反応
(c)ポリアミドオリゴマーをゴム変性する反応
(2)上記工程(1)により得られたポリアミド樹脂を単離する工程
(3)上記工程(2)により得られたポリアミド樹脂を溶媒に溶解し、これに塩基性化合物を添加する工程
(4)上記工程(3)に続き、ポリアミド樹脂の貧溶媒を加えてポリアミド樹脂を析出させる工程
(5)上記工程(4)で析出したポリアミド樹脂を水浄、濾過する工程
(6)上記工程(5)で得られたポリアミド樹脂を乾燥する工程
をからなることを特徴とするポリアミド樹脂の精製方法。 - 析出したポリアミド樹脂を一旦濾別後、水溶性有機溶剤で洗浄する工程を含むことを特徴とする請求項1記載のポリアミド樹脂の精製方法。
- 塩基性化合物が有機アミン化合物である請求項1又は2記載のポリアミド樹脂の精製方法。
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