JPH0912543A - 芳香族ジイミドジカルボン酸及びその製造方法並びにそれを含む溶液 - Google Patents
芳香族ジイミドジカルボン酸及びその製造方法並びにそれを含む溶液Info
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- JPH0912543A JPH0912543A JP7165470A JP16547095A JPH0912543A JP H0912543 A JPH0912543 A JP H0912543A JP 7165470 A JP7165470 A JP 7165470A JP 16547095 A JP16547095 A JP 16547095A JP H0912543 A JPH0912543 A JP H0912543A
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- aprotic polar
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Abstract
(57)【要約】
【目的】耐熱性樹脂の原料となる合成時の溶媒に可溶
で、ろ過や洗浄工程が不用な芳香族ジイミドジカルボン
酸及びその製造方法、そしてその溶媒溶液を提供する。 【構成】2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)
フェニル]プロパンと無水トリメリット酸を非プロトン
性極性溶媒中で50〜90℃で反応させた後、さらに水
と共沸可能な芳香族炭化水素を添加し120〜180℃
の範囲で反応を行なう。
で、ろ過や洗浄工程が不用な芳香族ジイミドジカルボン
酸及びその製造方法、そしてその溶媒溶液を提供する。 【構成】2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)
フェニル]プロパンと無水トリメリット酸を非プロトン
性極性溶媒中で50〜90℃で反応させた後、さらに水
と共沸可能な芳香族炭化水素を添加し120〜180℃
の範囲で反応を行なう。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、2,2−ビス[4−
(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンと無水ト
リメリット酸を反応させて得られる工業的に有用な化1
で示す芳香族ジイミドジカルボン酸(2,2−ビス[4
−(5−ヒドロカルボキシ−1,3−ジオン−イソイン
ドイルフェノキシ)フェニル]プロパン、以下芳香族ジ
イミドジカルボン酸と称する。)およびその製造方法、
またそれを含む溶液に関するものである。この芳香族ジ
イミドジカルボン酸は、ポリアミドイミドやポリエステ
ルイミドなどの耐熱性に優れたポリマーのジカルボン酸
成分として、またエポキシ樹脂の硬化剤として使用する
ことができるものである。
(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンと無水ト
リメリット酸を反応させて得られる工業的に有用な化1
で示す芳香族ジイミドジカルボン酸(2,2−ビス[4
−(5−ヒドロカルボキシ−1,3−ジオン−イソイン
ドイルフェノキシ)フェニル]プロパン、以下芳香族ジ
イミドジカルボン酸と称する。)およびその製造方法、
またそれを含む溶液に関するものである。この芳香族ジ
イミドジカルボン酸は、ポリアミドイミドやポリエステ
ルイミドなどの耐熱性に優れたポリマーのジカルボン酸
成分として、またエポキシ樹脂の硬化剤として使用する
ことができるものである。
【0002】
【従来の技術】芳香族二価アミンと無水トリメリット酸
を反応させてジイミドジカルボン酸を製造する方法は、
特開平4−182466号公報により開示されている。
この公報には、ジイミドジカルボン酸を製造するに際し
て、非プロトン性極性溶媒と芳香族炭化水素からなる混
合溶媒を使用し、反応物質であるジアミン、およびトリ
メリット酸無水物もしくはその誘導体を混合溶媒に溶解
させて反応させる。その結果得られた反応最終生成物の
ジイミドジカルボン酸は、この溶媒系にほとんど溶解せ
ず析出してしまう。そのため、製品の分離回収や精製が
容易になり、さらに、使用する芳香族炭化水素が水と共
沸可能な溶媒であるため、反応中に生成した水を反応系
外に除去でき、その結果、反応時間を短縮できることが
記載されている。
を反応させてジイミドジカルボン酸を製造する方法は、
特開平4−182466号公報により開示されている。
この公報には、ジイミドジカルボン酸を製造するに際し
て、非プロトン性極性溶媒と芳香族炭化水素からなる混
合溶媒を使用し、反応物質であるジアミン、およびトリ
メリット酸無水物もしくはその誘導体を混合溶媒に溶解
させて反応させる。その結果得られた反応最終生成物の
ジイミドジカルボン酸は、この溶媒系にほとんど溶解せ
ず析出してしまう。そのため、製品の分離回収や精製が
容易になり、さらに、使用する芳香族炭化水素が水と共
沸可能な溶媒であるため、反応中に生成した水を反応系
外に除去でき、その結果、反応時間を短縮できることが
記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来法は、生成したジ
イミドジカルボン酸が溶媒に溶解しない製造方法であっ
た。このため生成したジイミドジカルボン酸をろ過、洗
浄して固形のジイミドジカルボン酸を得ているが、この
方法ではそのろ過や洗浄工程により、コストが上昇して
しまう欠点があった。また、ジイミドジカルボン酸は、
その用途からして溶媒に溶解させて使用することが多
く、溶媒溶液としての供給が望まれていた。
イミドジカルボン酸が溶媒に溶解しない製造方法であっ
た。このため生成したジイミドジカルボン酸をろ過、洗
浄して固形のジイミドジカルボン酸を得ているが、この
方法ではそのろ過や洗浄工程により、コストが上昇して
しまう欠点があった。また、ジイミドジカルボン酸は、
その用途からして溶媒に溶解させて使用することが多
く、溶媒溶液としての供給が望まれていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、従来技術とは
逆に、溶媒に溶解する芳香族ジイミドジカルボン酸を製
造し、反応終了後の製品を芳香族ジイミドジカルボン酸
を含む溶液として提供することにある。本発明者は、従
来の技術とは逆に、溶解しやすい芳香族ジイミドジカル
ボン酸を製造するために鋭意検討した結果、芳香族ジア
ミンに2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フ
ェニル]プロパンを用いて、無水トリメリット酸と反応
させた芳香族ジイミドジカルボン酸が非プロトン極性溶
媒に溶解することを見いだした。
逆に、溶媒に溶解する芳香族ジイミドジカルボン酸を製
造し、反応終了後の製品を芳香族ジイミドジカルボン酸
を含む溶液として提供することにある。本発明者は、従
来の技術とは逆に、溶解しやすい芳香族ジイミドジカル
ボン酸を製造するために鋭意検討した結果、芳香族ジア
ミンに2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フ
ェニル]プロパンを用いて、無水トリメリット酸と反応
させた芳香族ジイミドジカルボン酸が非プロトン極性溶
媒に溶解することを見いだした。
【0005】一般に、芳香族ジアミンと無水トリメリッ
ト酸を反応させて得られるほとんどの芳香族ジイミドジ
カルボン酸は、溶剤に溶解しにくく析出してしまう。例
えば、後述する比較例で示したように、芳香族ジアミン
として、4,4’−ジアミノジフェニルメタンを使用し
無水トリメリット酸と反応させて得られる芳香族ジイミ
ドジカルボン酸も析出してしまう。しかしながら、本発
明のように、特定の芳香族ジアミンとして、2,2−ビ
ス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
を選択し採用することにより、最終生成物となっても析
出しない系があることを見出した。
ト酸を反応させて得られるほとんどの芳香族ジイミドジ
カルボン酸は、溶剤に溶解しにくく析出してしまう。例
えば、後述する比較例で示したように、芳香族ジアミン
として、4,4’−ジアミノジフェニルメタンを使用し
無水トリメリット酸と反応させて得られる芳香族ジイミ
ドジカルボン酸も析出してしまう。しかしながら、本発
明のように、特定の芳香族ジアミンとして、2,2−ビ
ス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
を選択し採用することにより、最終生成物となっても析
出しない系があることを見出した。
【0006】本発明は、前記の芳香族ジアミン 1mo
lと無水トリメリット酸 2molを反応させて芳香族
ジイミドジカルボン酸を合成する。この芳香族ジイミド
ジカルボン酸を製造するに際し、非プロトン性極性溶媒
中で、50〜90℃で予め反応させてアミドカルボン酸
にした後、芳香族炭化水素をさらに添加して120〜1
80℃の範囲で反応を行なわせる。このようにすること
により、純度の高い芳香族ジイミドジカルボン酸を製造
することができる。また、反応終了後、生成した芳香族
ジイミドジカルボン酸は前記の混合溶媒に溶解してお
り、混合溶媒の溶液として製品となるが、さらに、温度
を上げて、芳香族炭化水素を除去してから製品にして用
いることもできる。非プロトン性極性溶媒中、50〜9
0℃での反応は副反応を抑制し予めアミドカルボン酸と
するためであり、50℃未満だと反応が遅く、90℃を
越えると副反応が生じやすくなるためである。また、芳
香族炭化水素を添加して120〜180℃で反応させる
のは、脱水閉環反応させ、生じた水を芳香族炭化水素と
共に系外に移動させるためであり、120℃未満ではそ
の効果が少なく、180℃を越えると非プロトン性極性
溶媒の系外への移動が激しくなったり、副反応を生じる
ためである。
lと無水トリメリット酸 2molを反応させて芳香族
ジイミドジカルボン酸を合成する。この芳香族ジイミド
ジカルボン酸を製造するに際し、非プロトン性極性溶媒
中で、50〜90℃で予め反応させてアミドカルボン酸
にした後、芳香族炭化水素をさらに添加して120〜1
80℃の範囲で反応を行なわせる。このようにすること
により、純度の高い芳香族ジイミドジカルボン酸を製造
することができる。また、反応終了後、生成した芳香族
ジイミドジカルボン酸は前記の混合溶媒に溶解してお
り、混合溶媒の溶液として製品となるが、さらに、温度
を上げて、芳香族炭化水素を除去してから製品にして用
いることもできる。非プロトン性極性溶媒中、50〜9
0℃での反応は副反応を抑制し予めアミドカルボン酸と
するためであり、50℃未満だと反応が遅く、90℃を
越えると副反応が生じやすくなるためである。また、芳
香族炭化水素を添加して120〜180℃で反応させる
のは、脱水閉環反応させ、生じた水を芳香族炭化水素と
共に系外に移動させるためであり、120℃未満ではそ
の効果が少なく、180℃を越えると非プロトン性極性
溶媒の系外への移動が激しくなったり、副反応を生じる
ためである。
【0007】本発明で用いる芳香族ジアミンは2,2−
ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパ
ン(以下、BAPPと略す)であり、無水トリメリット
酸(以下、TMAと略す)と反応させる。本発明で用い
る混合溶媒は、BAPPおよびTMAと反応しない有機
溶媒であり、使用する混合溶媒の種類とその混合比は極
めて重要である。本発明で使用する非プロトン性極性溶
媒として、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルスルフォキシド、N−メチル−2−ピロリ
ドンなどが例示でき、特に、N−メチル−2−ピロリド
ン(以下、NMPと略す)が好ましく、NMPに含まれ
る水分量が0.2%以下で管理されていれば、さらに好
ましい。NMPに含まれる水分量が0.2%より多いと
TMAが水和して生成するトリメリット酸とジアミンと
が反応してポリアミドになり、不純物の原因になる。ま
た、本発明で使用する非プロトン性極性溶媒量は、芳香
族ジアミンと無水トリメリット酸を合わせた重量の割合
が反応溶液の10%〜70%の範囲になることが好まし
い。
ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパ
ン(以下、BAPPと略す)であり、無水トリメリット
酸(以下、TMAと略す)と反応させる。本発明で用い
る混合溶媒は、BAPPおよびTMAと反応しない有機
溶媒であり、使用する混合溶媒の種類とその混合比は極
めて重要である。本発明で使用する非プロトン性極性溶
媒として、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルスルフォキシド、N−メチル−2−ピロリ
ドンなどが例示でき、特に、N−メチル−2−ピロリド
ン(以下、NMPと略す)が好ましく、NMPに含まれ
る水分量が0.2%以下で管理されていれば、さらに好
ましい。NMPに含まれる水分量が0.2%より多いと
TMAが水和して生成するトリメリット酸とジアミンと
が反応してポリアミドになり、不純物の原因になる。ま
た、本発明で使用する非プロトン性極性溶媒量は、芳香
族ジアミンと無水トリメリット酸を合わせた重量の割合
が反応溶液の10%〜70%の範囲になることが好まし
い。
【0008】使用する非プロトン性極性溶媒量が上記範
囲未満であると工業的に不利になり、上記範囲を超える
とTMAが溶解しにくく充分な反応を行えなくなる。本
発明で使用される水と共沸する芳香族炭化水素として、
ベンゼン、キシレン、エチルベンゼン、トルエンなどの
揮発性の高い芳香族炭化水素が例示でき、特に、トルエ
ンが好ましく、使用量は、非プロトン性極性溶媒の0.
1〜0.4重量比の範囲が好ましい。
囲未満であると工業的に不利になり、上記範囲を超える
とTMAが溶解しにくく充分な反応を行えなくなる。本
発明で使用される水と共沸する芳香族炭化水素として、
ベンゼン、キシレン、エチルベンゼン、トルエンなどの
揮発性の高い芳香族炭化水素が例示でき、特に、トルエ
ンが好ましく、使用量は、非プロトン性極性溶媒の0.
1〜0.4重量比の範囲が好ましい。
【0009】水と共沸可能な芳香族炭化水素の使用量が
上記の範囲未満であると共沸蒸留による水の除去効果が
低下し、さらに、芳香族ジイミドジカルボン酸の生成促
進も低下する。 水と共沸可能な芳香族炭化水素の使用
量が上記の範囲を超えると反応中間体のアミドカルボン
酸や生成した芳香族ジイミドジカルボン酸が析出する。
反応中に芳香族炭化水素溶媒は水と共沸させ、系外に流
出させるため、溶媒中の芳香族炭化水素溶媒量が減少す
るおそれがある。従って、反応系内に存在する芳香族炭
化水素溶媒量を一定割合に維持するために、例えばコッ
ク付きの水分定量受器などを用いて系外に流出した溶媒
を水と分離した後に系内に戻すなどの方法を行う必要が
ある。
上記の範囲未満であると共沸蒸留による水の除去効果が
低下し、さらに、芳香族ジイミドジカルボン酸の生成促
進も低下する。 水と共沸可能な芳香族炭化水素の使用
量が上記の範囲を超えると反応中間体のアミドカルボン
酸や生成した芳香族ジイミドジカルボン酸が析出する。
反応中に芳香族炭化水素溶媒は水と共沸させ、系外に流
出させるため、溶媒中の芳香族炭化水素溶媒量が減少す
るおそれがある。従って、反応系内に存在する芳香族炭
化水素溶媒量を一定割合に維持するために、例えばコッ
ク付きの水分定量受器などを用いて系外に流出した溶媒
を水と分離した後に系内に戻すなどの方法を行う必要が
ある。
【0010】本発明での反応条件は、はじめに、BAP
PとTMAの反応において非プロトン性極性溶媒を用い
て50℃〜90℃で反応させなければならない。初期の
反応条件の後、芳香族炭化水素を投入し、水と共沸する
温度で反応させる。このときの反応温度は芳香族炭化水
素量やコック付きの水分定量受器の容量によって変化す
るが、特に、120℃〜180℃で反応させることが好
ましい。反応は、反応系で水が副生しなくなるまで行わ
れ、特に、水が理論量留去していることを確認すること
が好ましい。反応溶液は芳香族炭化水素を含んだ状態で
も製品になるが、上記の反応後、さらに温度を上げて芳
香族炭化水素を除去してから製品にすることが好まし
い。このため、非プロトン性極性溶媒の沸点が、芳香族
炭化水素の沸点より高い方が望ましい。
PとTMAの反応において非プロトン性極性溶媒を用い
て50℃〜90℃で反応させなければならない。初期の
反応条件の後、芳香族炭化水素を投入し、水と共沸する
温度で反応させる。このときの反応温度は芳香族炭化水
素量やコック付きの水分定量受器の容量によって変化す
るが、特に、120℃〜180℃で反応させることが好
ましい。反応は、反応系で水が副生しなくなるまで行わ
れ、特に、水が理論量留去していることを確認すること
が好ましい。反応溶液は芳香族炭化水素を含んだ状態で
も製品になるが、上記の反応後、さらに温度を上げて芳
香族炭化水素を除去してから製品にすることが好まし
い。このため、非プロトン性極性溶媒の沸点が、芳香族
炭化水素の沸点より高い方が望ましい。
【0011】
【作用】本発明は、芳香族ジアミンと無水トリメリット
酸を反応させて芳香族ジイミドジカルボン酸を製造する
方法において、特定の芳香族ジアミンを使用するもの
で、この使用により溶媒溶液とすることができる。非プ
ロトン性極性溶媒に原材料を入れ、50〜90℃で中間
体である、アミドカルボン酸に反応を相当程度進行さ
せ、その後水と共沸可能な芳香族炭化水素を非プロトン
性極性溶媒の0.1〜0.4重量比で添加して120〜
180℃の範囲で、さらに反応させて芳香族ジイミドジ
カルボン酸を製造する。芳香族炭化水素の添加と温度上
昇は、アミドカルボン酸へのさらなる反応とアミドカル
ボン酸から脱水反応させ芳香族ジイミドジカルボン酸と
するためである。この際、非プロトン性極性溶媒より沸
点の低い芳香族炭化水素が脱水反応により生じた水を含
み蒸発し、別の場所で冷却されるとき温度による水の溶
解度が異なるため水が分離され反応系から縮合水を除去
できる。非プロトン性極性溶媒だけの使用でも、芳香族
ジイミドジカルボン酸を製造でき、しかも溶液状態で得
ることができるが、反応により生じた水の除去をしない
と加水分解されてしまい、アミドカルボン酸を経て分解
してしまう。脱水方法として、モレキュラーシーブ等の
固体の吸湿剤を使用して除去できるが、その分離操作や
吸着剤に付着したものにより、歩留まりが低下してしま
ったり、コストが高くなる問題がある。本発明では、特
定の芳香族アミンを使用するので、非プロトン性極性溶
媒と芳香族炭化水素の混合溶媒中でも得られた製品は、
溶解可能となる。この混合溶媒から芳香族炭化水素を蒸
留により除去すれば、非プロトン性極性溶媒だけとな
る。非プロトン性極性溶媒は、ポリマー原料となる他の
モノマーの溶解力が格段に優れているので適用分野が広
められる。
酸を反応させて芳香族ジイミドジカルボン酸を製造する
方法において、特定の芳香族ジアミンを使用するもの
で、この使用により溶媒溶液とすることができる。非プ
ロトン性極性溶媒に原材料を入れ、50〜90℃で中間
体である、アミドカルボン酸に反応を相当程度進行さ
せ、その後水と共沸可能な芳香族炭化水素を非プロトン
性極性溶媒の0.1〜0.4重量比で添加して120〜
180℃の範囲で、さらに反応させて芳香族ジイミドジ
カルボン酸を製造する。芳香族炭化水素の添加と温度上
昇は、アミドカルボン酸へのさらなる反応とアミドカル
ボン酸から脱水反応させ芳香族ジイミドジカルボン酸と
するためである。この際、非プロトン性極性溶媒より沸
点の低い芳香族炭化水素が脱水反応により生じた水を含
み蒸発し、別の場所で冷却されるとき温度による水の溶
解度が異なるため水が分離され反応系から縮合水を除去
できる。非プロトン性極性溶媒だけの使用でも、芳香族
ジイミドジカルボン酸を製造でき、しかも溶液状態で得
ることができるが、反応により生じた水の除去をしない
と加水分解されてしまい、アミドカルボン酸を経て分解
してしまう。脱水方法として、モレキュラーシーブ等の
固体の吸湿剤を使用して除去できるが、その分離操作や
吸着剤に付着したものにより、歩留まりが低下してしま
ったり、コストが高くなる問題がある。本発明では、特
定の芳香族アミンを使用するので、非プロトン性極性溶
媒と芳香族炭化水素の混合溶媒中でも得られた製品は、
溶解可能となる。この混合溶媒から芳香族炭化水素を蒸
留により除去すれば、非プロトン性極性溶媒だけとな
る。非プロトン性極性溶媒は、ポリマー原料となる他の
モノマーの溶解力が格段に優れているので適用分野が広
められる。
【0012】
【実施例】次に、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらのものに限定されるものではな
い。
るが、本発明はこれらのものに限定されるものではな
い。
【0013】(実施例)還流冷却器を付けたコック付き
の10mlの水分定量受器、温度計、攪拌機を備えた1
リットルのセパラブルフラスコにBAPP(2,2−ビ
ス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパ
ン) 82.1g(0.2mol)、TMA(無水トリ
メリット酸) 78.8g(0.4mol)、NMP
(N−メチル−2−ピロリドン) 483gを仕込み、
80℃で1時間攪拌した。さらに、トルエン 97gを
投入し、昇温させて約170℃で3時間還流させた。水
分定量受器に水が約7.2ml以上たまっていること、
水の留出が見られなくなっていることを確認し、水分定
量受器にたまっている留出液を除去した。そしてさらに
約190℃まで温度を上げて、トルエンを除去し、芳香
族ジイミドジカルボン酸のNMP溶液を得た。得られた
芳香族ジイミドジカルボン酸溶液 10mlを用いて水
中に注入すると、黄色の粉末が析出する。ろ過して乾燥
後、黄色の芳香族ジイミドジカルボン酸を得た。得られ
た芳香族ジイミドジカルボン酸のIRスペクトル、1H
−NMR、13C−NMRスペクトルを図1〜3に示し
た。 図1より、アミド酸に由来する吸収(1650c
m-1付近)が消失し、イミド基に由来する吸収(172
0cm-1,1780cm-1付近)が認められた。図2よ
り、1級アミンと2級アミンに由来するピークが認めら
れないことから、原料のBAPPや反応中間体のアミド
酸は存在しない。図3より、イミド基におけるカルボニ
ルの炭素に由来するピーク(166ppm)が2本認め
られた。
の10mlの水分定量受器、温度計、攪拌機を備えた1
リットルのセパラブルフラスコにBAPP(2,2−ビ
ス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパ
ン) 82.1g(0.2mol)、TMA(無水トリ
メリット酸) 78.8g(0.4mol)、NMP
(N−メチル−2−ピロリドン) 483gを仕込み、
80℃で1時間攪拌した。さらに、トルエン 97gを
投入し、昇温させて約170℃で3時間還流させた。水
分定量受器に水が約7.2ml以上たまっていること、
水の留出が見られなくなっていることを確認し、水分定
量受器にたまっている留出液を除去した。そしてさらに
約190℃まで温度を上げて、トルエンを除去し、芳香
族ジイミドジカルボン酸のNMP溶液を得た。得られた
芳香族ジイミドジカルボン酸溶液 10mlを用いて水
中に注入すると、黄色の粉末が析出する。ろ過して乾燥
後、黄色の芳香族ジイミドジカルボン酸を得た。得られ
た芳香族ジイミドジカルボン酸のIRスペクトル、1H
−NMR、13C−NMRスペクトルを図1〜3に示し
た。 図1より、アミド酸に由来する吸収(1650c
m-1付近)が消失し、イミド基に由来する吸収(172
0cm-1,1780cm-1付近)が認められた。図2よ
り、1級アミンと2級アミンに由来するピークが認めら
れないことから、原料のBAPPや反応中間体のアミド
酸は存在しない。図3より、イミド基におけるカルボニ
ルの炭素に由来するピーク(166ppm)が2本認め
られた。
【0014】(比較例)還流冷却器をつけたコック付きの
10mlの水分定量受器、温度計、攪拌機を備えた1リ
ットルのセパラブルフラスコに4,4’−ジアミノジフ
ェニルメタン39.6g(0.2mol)、TMA 7
8.8g(0.4mol)、NMP355gを仕込み、
80℃で1時間攪拌した。トルエン 71gを投入して
から温度を上げ約170℃で反応させたところ、水の留
出にともなって、反応生成物が析出してきた。水分定量
受器に水が約7.2ml以上たまっていること、水の留
出が見られなくなっていることを確認し、水分定量受器
にたまっている留出液を除去しながら、約190℃まで
温度を上げて、トルエンを除去した。しかし、芳香族ジ
イミドジカルボン酸は溶解せず、溶液は得られなかっ
た。
10mlの水分定量受器、温度計、攪拌機を備えた1リ
ットルのセパラブルフラスコに4,4’−ジアミノジフ
ェニルメタン39.6g(0.2mol)、TMA 7
8.8g(0.4mol)、NMP355gを仕込み、
80℃で1時間攪拌した。トルエン 71gを投入して
から温度を上げ約170℃で反応させたところ、水の留
出にともなって、反応生成物が析出してきた。水分定量
受器に水が約7.2ml以上たまっていること、水の留
出が見られなくなっていることを確認し、水分定量受器
にたまっている留出液を除去しながら、約190℃まで
温度を上げて、トルエンを除去した。しかし、芳香族ジ
イミドジカルボン酸は溶解せず、溶液は得られなかっ
た。
【0015】
【発明の効果】本発明は、芳香族ジイミドジカルボン酸
及びその製造方法並びにそれを含む溶液を提供するもの
で、従来方法に比べ、ろ過や精製工程が不要であるため
に、安価に製造でき、しかも溶剤溶液の状態で供給でき
るので芳香族ジイミドジカルボン酸を原料として用いる
場合、溶剤に溶解させる手間が省ける。また、芳香族ジ
イミドジカルボン酸合成時の溶剤が使用できるので、溶
解のための新たな溶剤が不要であり、経済的、効率的で
あり工業的に有用である。さらに、本発明の芳香族ジイ
ミドジカルボン酸はポリアミドイミド、ポリエステルイ
ミドなどの耐熱性に優れたポリマーのジカルボン酸成分
やエポキシ樹脂の硬化剤として極めて有用な材料であ
り、産業上の利用効果は非常に大きい。特に、この構造
を有する、芳香族ジイミドジカルボン酸は、分子が屈曲
性に富み、ポリマーに組み込まれた場合に、柔軟性や可
撓性を付与できる。
及びその製造方法並びにそれを含む溶液を提供するもの
で、従来方法に比べ、ろ過や精製工程が不要であるため
に、安価に製造でき、しかも溶剤溶液の状態で供給でき
るので芳香族ジイミドジカルボン酸を原料として用いる
場合、溶剤に溶解させる手間が省ける。また、芳香族ジ
イミドジカルボン酸合成時の溶剤が使用できるので、溶
解のための新たな溶剤が不要であり、経済的、効率的で
あり工業的に有用である。さらに、本発明の芳香族ジイ
ミドジカルボン酸はポリアミドイミド、ポリエステルイ
ミドなどの耐熱性に優れたポリマーのジカルボン酸成分
やエポキシ樹脂の硬化剤として極めて有用な材料であ
り、産業上の利用効果は非常に大きい。特に、この構造
を有する、芳香族ジイミドジカルボン酸は、分子が屈曲
性に富み、ポリマーに組み込まれた場合に、柔軟性や可
撓性を付与できる。
【図1】 本発明の実施例により得られた芳香族ジイミ
ドジカルボン酸粉末のIRスペクトル。
ドジカルボン酸粉末のIRスペクトル。
【図2】 本発明の実施例により得られた芳香族ジイミ
ドジカルボン酸粉末の1H−NMRスペクトル。
ドジカルボン酸粉末の1H−NMRスペクトル。
【図3】 本発明の実施例により得られた芳香族ジイミ
ドジカルボン酸粉末の13C−NMRスペクトル。
ドジカルボン酸粉末の13C−NMRスペクトル。
Claims (5)
- 【請求項1】2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル]プロパンと無水トリメリット酸を反応さ
せて得られる化1で表される芳香族ジイミドジカルボン
酸。 【化1】 - 【請求項2】2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル]プロパンと無水トリメリット酸を反応さ
せて得られる化1で表される芳香族ジイミドジカルボン
酸を製造する方法において、非プロトン性極性溶媒を用
いて50〜90℃で反応させた後、非プロトン性極性溶
媒の0.1〜0.4重量比の水と共沸可能な芳香族炭化
水素を投入し、120〜180℃の範囲で反応を行なう
ことを特徴とする芳香族ジイミドジカルボン酸の製造方
法。 - 【請求項3】非プロトン性極性溶媒がN−メチル−2−
ピロリドンであり、水と共沸可能な芳香族炭化水素がト
ルエンであることを特徴とする請求項2記載の芳香族ジ
イミドジカルボン酸の製造方法。 - 【請求項4】請求項2、3により得られる芳香族ジイミ
ドジカルボン酸を含む溶液。 - 【請求項5】芳香族ジイミドジカルボン酸を含む溶液を
製造後、その溶液から芳香族炭化水素を除去した芳香族
ジイミドジカルボン酸を含む非プロトン性極性溶媒溶
液。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7165470A JPH0912543A (ja) | 1995-06-30 | 1995-06-30 | 芳香族ジイミドジカルボン酸及びその製造方法並びにそれを含む溶液 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7165470A JPH0912543A (ja) | 1995-06-30 | 1995-06-30 | 芳香族ジイミドジカルボン酸及びその製造方法並びにそれを含む溶液 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0912543A true JPH0912543A (ja) | 1997-01-14 |
Family
ID=15813030
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7165470A Pending JPH0912543A (ja) | 1995-06-30 | 1995-06-30 | 芳香族ジイミドジカルボン酸及びその製造方法並びにそれを含む溶液 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0912543A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2021509471A (ja) * | 2018-10-05 | 2021-03-25 | エルジー・ケム・リミテッド | 二無水物の分析方法 |
-
1995
- 1995-06-30 JP JP7165470A patent/JPH0912543A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2021509471A (ja) * | 2018-10-05 | 2021-03-25 | エルジー・ケム・リミテッド | 二無水物の分析方法 |
US11327059B2 (en) | 2018-10-05 | 2022-05-10 | Lg Chem, Ltd. | Dianhydride analysis method |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050616 |
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A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20050621 |
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050810 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20060420 |