JP4518853B2 - ポリアミド樹脂の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は純度の高い芳香族ポリアミド樹脂、及び工業的に効率の良い当該芳香族ポリアミド樹脂の製造方法に関する。
ポリアミド樹脂、特に主鎖に芳香族基を含有するポリアミド樹脂は、耐熱性、機械強度等に優れた特性を持ち、さまざまな工業用途に応用が期待されている。これらポリアミド樹脂は一般にジカルボン酸とジアミン、及び/または構造中にカルボキシル基とアミノ基を1つずつ有する化合物を原料とし、縮合反応により得られるが、反応を進行させるために加えられる縮合剤や触媒、添加剤、副生成物等に由来するイオン性の不純物を含有するため、電気的絶縁性を求められる用途への使用が制限されている。特に、アミンとカルボン酸を芳香族亜リン酸エステルとピリジン誘導体の存在下で縮合させる方法は広く行われている重縮合反応であるが、本法で合成された芳香族ポリアミド樹脂中には芳香族亜リン酸エステルに由来するリン系のイオン性不純物が残りやすい。特許文献1において調製されたポリアミド樹脂を洗浄性の良い微粉末として取り出すことにより不純物の少ないポリアミド樹脂を製造する方法が提案されたが、ますます高度化する電気絶縁性の要求水準を満足させるまでには至っていない。また、特許文献2においてはポリアミド樹脂を反応溶液から微粉末として析出させ、反応溶液から単離されたポリアミド樹脂の微粉末から低分子量成分を水蒸気洗浄した後、更に溶剤に溶解し有機アミン化合物等の塩基性化合物を添加して処理し、再度微粉末として析出させる方法が記載されている。この場合は微粉末の水蒸気洗浄が不均一系での洗浄であり、突沸やその結果として収率の低下などの問題が指摘されている。また、原料の有機アミンがポリアミド樹脂の微粉末中に残存し、その後の樹脂組成物の物性に悪影響を与える点も問題視されている。
特開2002−97282号 特開2004−35677号
本発明は、高度な電気絶縁性を要する分野の材料としても使用できるレベルまで不純物が少ない芳香族ポリアミド樹脂、及び工程も簡略で安全な芳香族ポリアミド樹脂の製造方法を提供することを目的としたものである。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討の結果、芳香族ポリアミド樹脂が含有する不純物を効率よく除去する方法及び高純度な芳香族ポリアミド樹脂を開発し、本発明を完成した。
すなわち本発明は
(1)芳香族ジアミンと芳香族ジカルボン酸とを、リン原子を含有する縮合剤の存在下、縮合して得られる下記式(1)
Figure 0004518853
(式中、m、nは平均値でありm+nは2〜200の正数であり、nは0.1以上の正数である。Ar、Arは二価の芳香族基、Arはフェノール性水酸基を有する二価の芳香族基である。)
で表される芳香族ポリアミド樹脂であって、樹脂中のリンの含有量が5000ppm以下である芳香族ポリアミド樹脂、
(2)Ar、Arがイソフタル酸由来の構造であり、Arがジアミノジフェニルエーテル由来の構造である上記(1)記載の芳香族ポリアミド樹脂、
(3)リンの含有量が1000ppm以下である上記(1)または(2)記載の芳香族ポリアミド樹脂、
(4)芳香族ジアミンと芳香族ジカルボン酸とを、リン原子を含有し、塩基性化合物により加水分解する縮合剤の存在下、縮合した後、反応溶液中に塩基性化合物及び水を添加し、加熱下で縮合剤を加水分解した後、分留により、水及び低分子化合物を除去し、ついで生成した芳香族ポリアミド樹脂の貧溶媒を添加し、芳香族ポリアミド樹脂を析出させ、これを濾別した後、洗浄し残存イオン性不純物を除去する工程を含むことを特徴とする上記(1)記載の芳香族ポリアミド樹脂の製造方法、
(5)塩基性化合物が有機アミン化合物である上記(4)記載の芳香族ポリアミド樹脂の製造方法、
(6)縮合剤の加水分解温度が70〜130℃である上記(4)または(5)記載の製造方法、
(7)縮合剤が芳香族亜リン酸エステルである上記(4)〜(6)のいずれか1項に記載の製造方法
を提供するものである。
本発明の芳香族ポリアミド樹脂は、リン含有量が少ないため、高度な電気絶縁性を要する分野の材料としても使用可能である。具体的には、リジッド基板材料、フレキシブル基板材料、ビルドアップ基板材料、半導体用封止材、ソルダーレジスト、塗料、接着剤等の材料に好適に使用可能である。また、本発明の製法によれば、不純物の少ない芳香族ポリアミド樹脂を効率的に製造することが出来る。
以下、本発明の芳香族ポリアミド樹脂の製法について説明する。本発明の芳香族ポリアミド樹脂は芳香族ジアミンを、芳香族ジカルボン酸のモル数に対して過剰になるように仕込んで重縮合することにより得ることが出来る。
本発明の芳香族ポリアミド樹脂の製造に用いられる芳香族ジアミンの具体例としてはジアミノベンゼン、ジアミノトルエン、ジアミノフェノール、ジアミノメチルベンゼン、ジアミノメシチレン、ジアミノクロロベンゼン、ジアミノニトロベンゼンまたはジアミノアゾベンゼン等のジアミノベンゼン類;ジアミノナフタレン等のジアミノナフタレン類;ジアミノビフェニルまたはジアミノジメトキシビフェニル等のジアミノビフェニル類;ジアミノジフェニルエーテルまたはジアミノジメチルジフェニルエーテル等のジアミノジフェニルエール類、メチレンジアニリン、メチレンビス(メトキシアニリン)、メチレンビス(ジメトキシアニリン)、メチレンビス(エチルアニリン)、メチレンビス(ジエトキシアニリン)、メチレンビス(エトキシアニリン)、メチレンビス(ジエトキシアニリン)、メチレンビス(ジブロモアニリン)、イソプロピリデンジアニリンまたはヘキサフルオロイソプロピリデンジアニリン等のアニリン類、ジアミノベンゾフェノン等のジアミノジメチルベンゾフェノン等のジアミノベンゾフェノン類;ジアミノアントラキノン、ジアミノジフェニルチオエーテル、ジアミノジフェニルスルホキシドやジアミノフルオレンなどが挙げられ、中でもジアミノジフェニルエーテル類またはメチレンビス(ジエチルアニリン)が好ましい。芳香族ジアミンの使用量は、下記する芳香族ジカルボン酸1モルに対して、通常1.001〜1.5モルである。
本発明のポリアミドの製造に用いられる芳香族ジカルボン酸の具体例としてはフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のフタル酸類、ベンゼン二酢酸、ベンゼンジプロピオン酸、ビフェニルジカルボン酸、オキシジ安息香酸、チオジ安息香酸、ジチオジ安息香酸、ジチオビス(ニトロ安息香酸)、カルボニルジ安息香酸、スルホニルジ安息香酸、メチレンジ安息香酸、イソプロピリデンジ安息香酸、ヘキサフルオロイソプロピリデン安息香酸等の安息香酸類、ナフタレンジカルボン酸、、ピリジンジカルボン酸等の水酸基を有しない芳香族ジカルボン酸、または、ヒドロキシイソフタル酸、ヒドロキシテレフタル酸、ジヒドロキシイソフタル酸、ジヒドロキシテレフタル酸等のヒドロキシフタル酸類等の水酸基を有するジカルボン酸が挙げられる。本発明においては、これら芳香族ジカルボン酸のうち、水酸基を有しないジカルボン酸と水酸基を有する芳香族ジカルボン酸を併用することが好ましい。併用する場合、芳香族ジカルボン酸の構造は、同一であっても異なっていてもよいが、同一であるほうが好ましく、両者ともイソフタル酸骨格を有する組み合わせが特に好ましい。水酸基を有しないジカルボン酸と水酸基を有する芳香族ジカルボン酸は、ジカルボン酸成分中に水酸基が含まれる割合が通常0.5モル%以上、好ましくは1モル%以上、特に好ましくは、5モル%以上となる範囲で両者を使用する。なお、本発明により得られる芳香族ポリアミド樹脂を溶剤に溶解して、ワニスとして使用する場合、溶剤も蒸発除去は、水酸基を有するジカルボン酸の含有量が少ない方が好ましいが、一方で、接着剤としての接着力の面では、前記において水酸基の含有割合が30〜60モル%となる範囲が好ましい。
芳香族カルボン酸と芳香族ジアミンの縮合反応は、縮合剤としての芳香族亜リン酸エステルの存在下で行う。また、この際ピリジン誘導体を触媒として使用するのが好ましい。
ここで用いられる芳香族亜リン酸エステルとしては、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸トリ−o−トリル、亜リン酸ジ−o−トリル、亜リン酸トリ−m−トリル、亜リン酸ジ−m−トリル、亜リン酸トリ−p−トリル、亜リン酸ジ−p−トリル、亜リン酸トリ−p−クロロフェニルなどが挙げられる。芳香族亜リン酸エステルの使用量は、芳香族ジアミンと芳香族ジカルボン酸の合計1モルに対して、通常0.6〜1.5モル、好ましくは0.7〜1.2モルである。
ピリジン誘導体としては、ピリジン、2−ピコリン、3−ピコリン、4−ピコリン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジン、3,5−ルチジンなどが挙げられる。ピリジン誘導体の使用量は、芳香族ジアミンと芳香族ジカルボン酸の合計1モルに対して、通常1.0〜5.0モル、好ましくは2.0〜4.0モルである。
また、より大きい分子量の芳香族ポリアミド樹脂を得るために、塩化リチウム等の無機塩類を添加し反応を行うこともできる。無機塩類の使用量は、芳香族ジアミンと芳香族ジカルボン酸の合計1モルに対して、通常0.01〜0.5モル、好ましくは0.05〜0.3モルである。
反応は溶媒中に芳香族ジカルボン酸、芳香族ジアミン及び縮合剤並びに必要によりピリジン誘導体及び無機塩類を溶媒に仕込んで行う。溶媒としては、芳香族ポリアミド樹脂と溶媒和を起こす溶媒であれば特に制限は無いが、具体例としてはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド等やこれらの混合溶媒が挙げられるが、特にN−メチル−2−ピロリドンが好ましい。また溶媒の使用量は、生成する芳香族ポリアミド樹脂の濃度が2〜50重量%となる量が好ましいが、生産効率と操作性の良い溶液粘度とを考慮すると5〜30重量%となる量が特に好ましい。縮合反応における反応温度は通常60〜150℃、好ましくは70〜120℃、反応時間は通常1〜15時間、好ましくは2〜10時間である。
こうして得られる式(1)の芳香族ポリアミド樹脂のmとnの値は芳香族ジアミンと芳香族ジカルボン酸の仕込み比によって決定され、通常平均値で2〜200であり、好ましくは5〜150である。
この好ましい平均重合度を有する芳香族ポリアミド樹脂の固有粘度値(30℃における0.5g/dlのN,N−ジメチルアセトアミド溶液で測定)は0.1〜4.0dl/gの範囲にある。一般に好ましい平均重合度を有するか否かは、固有粘度を参照することにより判断する。固有粘度が0.1dl/gより小さいと、成膜性や芳香族ポリアミド樹脂としての性質出現が不十分であるため、好ましくない。逆に固有粘度が4.0dl/gより大きいと、重合度が高すぎ溶剤溶解性が悪くなり、かつ成形加工性が悪くなるといった問題が発生する恐れがある。
本発明の製造方法では、縮合反応終了後に芳香族ポリアミド樹脂を含む溶媒中に塩基性化合物及び水を添加する。用い得る塩基性化合物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ソーダなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、脂肪酸塩や、アンモニア、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、酢酸アンモニウム、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、有機アミン化合物などが挙げられ、得られる芳香族ポリアミド樹脂から除去しやすい有機アミン化合物が好ましい。
有機アミン化合物の具体例としては、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n-ブチルアミン、イソブチルアミン、ターシャリーブチルアミンまたは2−アミノエタノールなどの第1級脂肪族アミン類;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミンまたはジエタノールアミンなどの第2級脂肪族アミン類;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミンまたはジメチルエタノールアミンなどの第3級脂肪族アミン類;アニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、メチルアニリン、エチルアニリン、ジメチルアニリンまたはジエチルアニリンなどの芳香族アミン類;ピロール、ピロリジン、イミダゾール、ピリジン、ピペリジン、ピペラジンまたはモルホリンなどの窒素含有複素単環式化合物などが挙げられるが、第3級アミン類が好ましく、特にトリエチルアミンが好ましい。
水及び塩基性化合物を添加する際は、通常撹拌下0〜80℃、好ましくは20〜70℃の範囲で添加される。水の添加量は縮合反応後の芳香族ポリアミド樹脂を含む溶液の重量に対して通常5〜100重量%、好ましくは10〜80重量%である。塩基性化合物の添加量は使用した縮合剤(例えば亜リン酸トリフェニル)1モル数に対して、通常0.1〜50モル、好ましくは0.5〜20モルである。なお、窒素含有複素単環式化合物のうち、例えばピリジンのような芳香族ポリアミド樹脂を溶解する能力を持つものについては溶媒と塩基性化合物の両方の役割を兼ねることが出来る。
反応系内に水及び塩基性化合物を添加した後、加熱下撹拌を行い、残存する縮合剤をリン酸イオン及びフェノール類への加水分解反応を行う。反応温度は通常70〜130℃であり、好ましくは水の還流温度である。70℃未満では縮合剤の加水分解が不十分であり、また、130℃を越えて加温しても加温した効果は変わらない。反応時間は通常0.5〜20時間、好ましくは1〜10時間である。この反応は残存する縮合剤が極力、フェノールなどの低分子化合物に分解されるまで行う。
加水分解反応終了後、分留管を用いて加熱撹拌下で水、残存する原料の有機アミン、触媒、副生したフェノール類を系外へ除去する。この洗浄工程の温度としては溶媒の沸点にもよるが、通常90〜170℃、好ましくは100〜160℃である。水などの低分子量成分が、ある程度留去されたら系内を80℃以下に冷却し、再度水を加え加熱撹拌下で低分子量成分の留去を繰り返す。この水と共に低分子量成分を留去する洗浄工程は通常1〜10回行う。留去の際、低分子量成分が除去しやすいよう系内を減圧にすることも可能である。また系内に水蒸気を吹き込む水蒸気蒸留法も可能である。ここで低分子量成分とは、未反応原料、副生物、すなわち縮合剤、縮合剤の分解物(例えばリン酸イオンとフェノール類)や変性物、ピリジン誘導体、塩化リチウムなどの無機塩類などがある。
低分子量成分を極力除去した後で、洗浄された反応液を貧溶媒に加え芳香族ポリアミド樹脂を析出させる。貧溶媒としては芳香族ポリアミド樹脂と溶媒和を起こし難い液体であれば特に制限は無いが、具体例としては水、メタノール、エタノールなどやこれらの混合溶媒が挙げられる。その使用量は析出した芳香族ポリアミド樹脂が操作上問題なく濾別できる範囲で出来るだけ少量であることが望ましく、反応に用いられた溶媒1重量部に対して0.5〜50重量部が好ましく、特に1〜10重量部が好ましい。
低分子量成分の除去された反応液と貧溶媒の混合は反応液中に撹拌下で貧溶媒を徐々に添加しても良いし、貧溶媒中に撹拌下で反応液を添加しても良い。送液ポンプ、コンプレッサー及び2流体ノズル、あるいは送液ポンプ及び1流体ノズルを用いて反応液を貧溶媒中に噴霧する方法は、適度な粒径の芳香族ポリアミド樹脂を容易に析出させることができるため好ましい。反応液と貧溶媒の混合を行う温度は通常0〜100℃、好ましくは20〜80℃である。
貧溶媒との混合により析出した芳香族ポリアミド樹脂は、濾別により単離され、水でケーキ洗浄することによりイオン性不純物が除去される。このケーキを乾燥することにより芳香族ポリアミド樹脂が得られるが、更に水溶性有機溶剤で洗浄することによりイオン性不純物量をより低減することが出来る。
用い得る水溶性有機溶剤としてはメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールなどのアルコール類やアセトンなどが挙げられ、これらの単独または混合して用いられるが、メタノールが特に好ましい。
水溶性有機溶剤での洗浄は、上記で濾別により単離された芳香族ポリアミド樹脂ケーキを濾過器上で洗浄しても効果があるが、ウエット状態、すなわち良溶媒と貧溶媒を含んだ芳香族ポリアミド樹脂ケーキや、このケーキをいったん乾燥により良溶媒及び貧溶媒を除いた芳香族ポリアミド樹脂と上記水溶性有機溶剤とを新たに容器に仕込み、撹拌懸濁させた後、再度濾別することにより、更に優れた精製効果を発揮する。この場合の水溶性有機溶剤の使用量は、正味の芳香族ポリアミド樹脂1重量部に対して通常1〜100重量部、好ましくは2〜50重量部であり、撹拌の温度は常温から懸濁液の沸点が好ましく、特に沸点での撹拌が好ましい。また、撹拌時間は0.1〜24時間、好ましくは、1〜5時間である。通常この操作は常圧下で行われるが、加圧下で行うことも出来る。
上記、懸濁洗浄処理を行った後、芳香族ポリアミド樹脂を濾別し、通常更に上記水溶性有機溶剤を用いてケーキ洗浄を行い、次いで場合により更に水でケーキ洗浄を行った後、乾燥することにより目的のイオン性不純物の少ない芳香族ポリアミド樹脂を得ることが出来る。
本発明の芳香族ポリアミド樹脂中のイオン性不純物は、縮合剤として加えた芳香族亜リン酸エステル由来のリン原子を含むイオン性不純物が大部分であるが、本発明の製造方法によれば、このリン原子を含むイオン性不純物の含有量は、リン原子換算で5000ppm以下、好ましい条件下で得られたものにおいては1000ppm以下となる。このようにリン原子を含むイオン性不純物の量が少ないと、高度に電気絶縁性を要する分野に好適に使用できる。
本発明の芳香族ポリアミド樹脂はフェノール性水酸基、アミノ基などの官能基を有するためエポキシ樹脂、硬化剤、硬化触媒、シアネート樹脂などと組み合わせることにより、硬化性樹脂組成物として使用することが出来る。具体的な用途例としては、リジッド基板材料、フレキシブル基板材料、ビルドアップ基板材料、半導体用封止材、ソルダーレジスト、塗料、接着剤などが挙げられる。
次に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、以下において部は特に断わりのない限り重量部である。
実施例1
温度計、冷却管、分留管、撹拌機を取り付けたフラスコに窒素パージを施しながら、5−ヒドロキシイソフタル酸53.5部、イソフタル酸48.8部、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル120部、塩化リチウム6.4部、N−メチルピロリドン680.4部、ピリジン136.1部を加え撹拌溶解させた後、亜リン酸トリフェニル295部を加えて95℃で4時間縮合反応をさせ、芳香族ポリアミド樹脂を含む反応液(A)を得た。この反応液(A)中にトリエチルアミン67.5部、水337.5部を加え加熱し105℃で4時間還流した。次いで系中を140℃まで昇温し、分留管を用いてフェノール、ピリジン、トリエチルアミンを水と同時に系外へ留去した。次いで系中の温度を90℃まで下げて水337.5部を加えた後、反応混合物を140℃まで昇温し、分留管を用いて更に残存するフェノール、ピリジン、トリエチルアミンを水と同時に系外へ留去した(水洗工程)。この水洗工程を更に2回繰り返した。この芳香族ポリアミド樹脂溶液を水3000部中に撹拌しながら2流体ノズルを用いて噴霧し、粒径5〜50μmの微粉状の芳香族ポリアミド樹脂を析出させ濾別した。得られたウェットケーキをメタノール1600部に分散させ、撹拌下で2時間還流した。次いでメタノールを濾別し水1600部で洗浄し、乾燥することにより、下記式(2)
Figure 0004518853
で表される本発明の芳香族ポリアミド樹脂190部を得た。この芳香族ポリアミド樹脂を硫酸・硝酸で湿式酸化分解し、全リン含有量をモリブデン青―アスコルビン酸吸光光度法により定量したところ、800ppmであった。またガスクロマトグラフィーを用いて残存するトリエチルアミン量を測定したところ検出限界以下であった。得られた芳香族ポリアミド樹脂の固有粘度は0.54dl/g(ジメチルアセトアミド溶液、30℃)であり、式中、m、nの値はそれぞれ約20(平均値)であった。また仕込み比率から計算されたフェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド樹脂の活性水素当量は650g/eqであった。
比較例1
実施例1と同様に反応を行い反応液(A)を得た。
この反応液(A)を水3000部中に撹拌しながら2流体ノズルを用いて噴霧し、粒径5〜50μmの微粉状の芳香族ポリアミド樹脂を析出させ濾別した。得られたウェットケーキを水2000部に分散させ、撹拌下で100℃に加熱し水蒸気と同時にフェノール及びピリジンを系外に留去した。このフェノールとピリジンを含む水を800部回収したところで、系内に純水800部を加え加熱、不純物留去の操作を再度行った。更にこの操作をもう一度行った。この工程において2度突沸が生じた。次いでウェットケーキを濾過した後、乾燥させ芳香族ポリアミド樹脂の微粉末を得た。この芳香族ポリアミド樹脂をN,N−ジメチルホルムアミド1600部に溶解させ、トリエチルアミン10部を加え、40〜45℃で1時間撹拌した後、水3000部中に撹拌しながら2流体ノズルを用いて噴霧し粒径5〜50μmの微粉として析出させた。得られたケーキを水300部で洗浄し、乾燥させることにより、前記式(2)で表される芳香族ポリアミド樹脂145部を得た。この芳香族ポリアミド樹脂を硫酸・硝酸で湿式酸化分解し、全リン含有量をモリブデン青―アスコルビン酸吸光光度法により定量したところ、6000ppmであった。またガスクロマトグラフィーを用いて残存するトリエチルアミン量を測定したところ1400ppmであった。得られた芳香族ポリアミド樹脂の固有粘度は0.56dl/g(ジメチルアセトアミド溶液、30℃)であり、式中、m、nの値はそれぞれ約20(平均値)であった。また仕込み比率から計算されたフェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド樹脂の活性水素当量は650g/eqであった。

Claims (6)

  1. 芳香族ジアミンと芳香族ジカルボン酸とを、リン原子を含有し、塩基性化合物により加水分解する縮合剤の存在下、縮合した後、反応溶液中に塩基性化合物及び水を添加し、加熱下で残存する縮合剤を加水分解した後、分留により、水及び低分子化合物を除去し、ついで生成した芳香族ポリアミド樹脂の貧溶媒を添加し、芳香族ポリアミド樹脂を析出させ、これを濾別した後、洗浄し残存イオン性不純物を除去する工程を含む下記式(1)
    Figure 0004518853
    (式中、m、nは平均値でありm+nは2〜200の整数であり、nは0.1以上の整数である。Ar1、Ar3は二価の芳香族基、Ar2はフェノール性水酸基を有する二価の芳香族基である。)
    で表される芳香族ポリアミド樹脂の製造方法であって、樹脂中のリンの含有量が5000ppm以下である芳香族ポリアミド樹脂の製造方法。
  2. Ar1、Ar2がイソフタル酸由来の構造であり、Ar3がジアミノジフェニルエーテル由来の構造である請求項1記載の芳香族ポリアミド樹脂の製造方法
  3. リンの含有量が1000ppm以下である請求項1または2記載の芳香族ポリアミド樹脂の製造方法
  4. 塩基性化合物が有機アミン化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の芳香族ポリアミド樹脂の製造方法。
  5. 縮合剤の加水分解温度が70〜130℃である請求項1〜4のいずれか1項に記載の芳香族ポリアミド樹脂の製造方法。
  6. 縮合剤が芳香族亜リン酸エステルである請求項1〜5のいずれか1項に記載の芳香族ポリアミド樹脂の製造方法。
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