JP5067506B2 - 射出成形用ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、射出成形用ポリアミド樹脂組成物に関し、詳しくは機械的強度、薄肉成形性、寸法安定性に優れるとともに、射出成形品のバリ発生を極力低減でき、さらには、塗装密着性に優れたポリアミド樹脂組成物である。
携帯電話、携帯ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)などの小型電子機器は、近年ますます機器全体の薄型軽量化の要求が高くなり、この要求に応えるためには射出成形で製造される電子機器筐体の薄肉化が必要である。この電子機器筐体の薄肉化を達成するためには、射出成形機が射出成形時に高い射出圧力や射出速度を実現するとともに、成形材料としては機械強度、薄肉成形性、寸法安定性などが求められる。
ポリカーボネート(PC)やABS樹脂などの非晶性樹脂は、高寸法安定性や高靭性を有するが、流動性が低く、繊維状補強材を加えると、さらに流動性が低下して成形性がより悪化するため、繊維状補強材の充填は20重量%程度が限度であり(例えば特許文献1)、非晶性樹脂による高剛性化と成形品の薄肉化の両立は困難であると考えられてきた。
一方、結晶性ポリアミド樹脂は、一般的に高流動性であり、繊維状補強材を加えても薄肉成形に十分な流動性を維持できるため、結晶性ポリアミド樹脂が電子機器筐体用に使用されてきている。
芳香族ポリアミド、ポリアミド6の結晶性ポリアミド樹脂に非晶性ポリアミド樹脂を配合し、繊維状補強材を高充填した成形材料(特許文献2)や低粘度の結晶性ポリアミド樹脂に非晶性または微結晶性ポリアミド樹脂と異形断面形状のガラス繊維を40重量%以上配合し、剛性と強度を向上させた成形材料が提案されている(特許文献3、4)。
しかしながら、これらの方法では、結晶性ポリアミド樹脂を主体とし、多品種の樹脂の配合や反応性の樹脂、化合物の配合などで複雑な組成であるため、製造安定性に難点があるとともに、成形時の寸法安定性やバリ発生抑制効果にバラツキがあり、改善の余地がある。
特開平7−252412号公報 特開2004−168849号公報 特開2008−163340号公報 特開2009−215534号公報
本発明は上記の問題点を解決しようとするものであり、簡単な組成で製造安定性に優れ、機械的強度、薄肉成形性、寸法安定性などに変動が少なく、薄肉射出成形品のバリ発生を極力低減でき、さらには、塗装密着性にも優れるポリアミド樹脂組成物を提供しようとするものである。
本発明者らは、優れた薄肉成形性とバリ発生の抑制とを両立させるべく鋭意検討し、金型のキャビティ内へ溶融成形樹脂を充填させる際に、成形不良を発生させないためには、溶融成形樹脂の射出速度のパターンを、速く(初期)―遅く(終期)と変化させてフローフロント速度が一定になるようにし、かつその溶融成形樹脂に適した過不足のないフローフロント速度になるようにすることであることを知見した。
すなわち、溶融成形樹脂の金型キャビティ内への充填の最盛期である射出速度が速い(高いせん断速度)初期に、高いせん断速度で溶融粘度を低下させることができれば高流動性を発現でき、射出速度が遅い(低いせん断速度)終期に、低いせん断速度で溶融粘度を上昇させることができればバリ発生を抑制できると考えられる。また、非晶性であれば固化速度は遅く、フローフロント速度の制約は小さく、成形条件幅を広くできると考えられる。
そこで、溶融樹脂組成物が金型内へ充填される際の溶融流動特性について鋭意研究を重ねた結果、特定組成の非晶性ポリアミド樹脂と少量のテルペンフェノール系樹脂と異形断面を有する異形断面ガラス繊維とを組み合わせて、溶融粘度特性を特定の範囲にすると、ガラス繊維の含有率が40質量%を超える高含有率であっても、溶融流動性を高くでき、薄肉成形が容易で、しかもバリ発生の抑制ができることを見出し本発明に到達した。
すなわち本発明は、
(1) 脂環族基を有し、芳香族基を有さない非晶性ポリアミド樹脂(A)、テルペンフェノール系樹脂(B)、及び長径/短径の比が1.5〜10の異形断面を有する異形断面ガラス繊維(C)を含有するポリアミド樹脂組成物で、該組成物が下記特性を示すことを特徴とする射出成形用ポリアミド樹脂組成物。
(イ)見かけのガラス転移温度が125〜160℃
(ロ)温度285℃での溶融粘度が、せん断速度12.2sec-1において1000〜2000Pa・sで、かつせん断速度1216sec-1において100〜350Pa・s
(2) 前記非晶性ポリアミド樹脂(A)、前記テルペンフェノール系樹脂(B)、及び前記異形断面ガラス繊維(C)の合計質量に対し、前記非晶性ポリアミド樹脂(A)の配合量が30〜69.5質量%、前記テルペンフェノール系樹脂(B)の配合量が0.5〜10質量%であり、前記異形断面ガラス繊維(C)の配合量が30〜60質量%である(1)に記載の射出成形用ポリアミド樹脂組成物。
(3) 前記非晶性ポリアミド樹脂(A)が、脂肪族ジカルボン酸と脂環族ジアミンとの重縮合により形成されたポリアミド樹脂である(1)または(2)に記載の射出成形用ポリアミド樹脂組成物。
(4) 前記非晶性ポリアミド樹脂(A)の脂肪族ジカルボン酸が、炭素原子12〜18個を有するジカルボン酸から選択され、脂環族ジアミンが、ビス(4−アミノ−シクロヘキシル)メタン、ビス(3−アミノ−シクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノ−シクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノ−シクロヘキシル)プロパンから選択されたものである、(3)に記載の射出成形用ポリアミド樹脂組成物。
(5) 異形断面ガラス繊維(C)が配合される際に、異形断面ガラス繊維(C)100質量部に対し、0.1〜3質量部のシランカップリング剤が付与されてなる、(1)〜(4)のいずれかに記載の射出成形用ポリアミド樹脂組成物。
(6) せん断速度12.2sec-1における溶融粘度(LSv)とせん断速度1216sec-1における溶融粘度(HSv)との比(LSv/HSv)が、4.0〜7.0である(1)〜(5)のいずれかに記載の射出成形用ポリアミド樹脂組成物。
(7) (1)〜(6)のいずれかに記載の射出成形用ポリアミド樹脂組成物で成形された電子機器用成形品。
(8) 電子機器が携帯電子機器である(7)の電子機器用成形品。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、特定の構成成分の非晶性ポリアミド樹脂と異形断面のガラス繊維とを主体とし、テルペンフェノール系樹脂を含有させて、見かけのガラス転移温度を特定範囲とし、射出成形時の溶融粘度を低せん断速度と高せん断速度で特定の範囲になるように制御しているため、薄肉成形性とバリ発生の抑制とを両立させることができ、バリ取り作業が不要なガラス繊維強化系のポリアミド射出成形品を提供することができる。
図1は、バリ発生の評価を実施したモデル成形品の投影図である。 携帯電話モデル形状であり、詳細は以下の通り。 成形品厚さ:1.3mm、 ゲート位置:図中●位置、φ1.2mmピンゲート、 ガス抜きとして、成形品全周に0.02mmの溝を設置、 バリ観察部(1):図中 □ 位置、ゲート付近、 バリ観察部(2):図中 ■ 位置、最終充填部付近
以下に本発明を具体的に説明する。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、脂環族基を有し、芳香族基を有さない非晶性ポリアミド樹脂(A)、テルペンフェノール系樹脂(B)、及び長径/短径の比が1.5〜10の異形断面を有する異形断面ガラス繊維(C)を含有し、該ポリアミド樹脂組成物の見かけのガラス転移温度が125〜160℃である。見かけのガラス転移温度は、130〜155℃が好ましく、135〜153℃がより好ましい。ポリアミド樹脂組成物の見かけのガラス転移温度が125℃未満だと、吸水によってガラス転移温度が更に低下するために熱時の剛性が低下し、変形などの問題が発生する恐れがあり好ましくない。160℃を超えると、充填性や良好な外観を得るために必要な金型温度が著しく高くなるために成形性を損なうために好ましくない。
見かけのガラス転移温度とは、一般的なDSC測定装置を用い、窒素気流下で20℃/分の昇温速度で300℃まで昇温し、その温度で5分間保持した後、10℃/分の速度にて50℃まで降温させたときに認められるJIS K7121に記載の中間点ガラス転移温度(Tmg)を測定した数値である。
本発明のポリアミド樹脂組成物が、見かけのガラス転移温度が125〜160℃を示すためには、本発明における非晶性ポリアミド樹脂(A)は、ガラス転移温度が130〜165℃程度であることが好ましい。より好ましくは、135〜160℃、さらに好ましくは135〜155℃である。非晶性ポリアミド樹脂(A)のガラス転移温度が130℃未満では吸水によってガラス転移温度が更に低下するために熱時の剛性が低下し、変形などの問題が発生する恐れがあり好ましくない。非晶性ポリアミド樹脂(A)のガラス転移温度が165℃を超えると、耐衝撃性や靭性が劣るようになる。また、ガラス転移温度が高い場合には充填性に難があるために成形時の金型温度や樹脂温度を極めて高く設定する必要があり、省エネの点でも好ましくない。また、芳香族基を有すると靭性が劣るようになる。
本発明における非晶性とは、JIS K7121に準じて昇温速度20℃/分でDSC測定した場合に、明確な融点を示さないものである。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、温度285℃での溶融粘度が、せん断速度12.2sec-1において1000〜2000Pa・sで、かつせん断速度1216sec-1において100〜350Pa・sであることが必要である。温度285℃での溶融粘度が、せん断速度1216sec-1において100〜350Pa・sであることにより、溶融樹脂組成物の金型キャビティ内への充填の最盛期である成形充填中期の溶融流動性が確保されて薄肉成形性が良好であり、せん断速度12.2sec-1において1000〜2000Pa・sであることにより、成形充填終期に溶融流動性が低下してバリ発生抑制効果が発現される。
この溶融流動性の挙動は、脂環族基を有し、芳香族基を有さない非晶性ポリアミド樹脂(A)、テルペンフェノール系樹脂(B)、及び長径/短径の比が1.5〜10の異形断面を有する異形断面ガラス繊維(C)との組み合わせによって発現させることができる。
非晶性ポリアミド樹脂(A)、テルペンフェノール系樹脂(B)、及び異形断面ガラス繊維(C)の配合量比は、下記で説明する量比が好ましい。
また、せん断速度12.2sec-1における溶融粘度(LSv)とせん断速度1216sec-1における溶融粘度(HSv)との比(LSv/HSv)は、4.0〜7.0であることが成形安定性の点で好ましい。LSv/HSvが7.0を超える場合は成形のバラツキが発生しやすい傾向があり、LSv/HSvが4.0未満では、バリ抑制効果の発現がしにくくなる傾向がある。
さらに、本発明のポリアミド樹脂組成物は、ISO1133に準じて測定したメルトインデックス(温度275℃、荷重5kg)が10g/10分以上であると、薄肉成形性とバリ発生抑制効果の両立をさせやすくなるため好ましい。
本発明における脂環族基を有し、芳香族基を有さない非晶性ポリアミド樹脂(A)は、ポリアミドを構成するモノマーの少なくとも1種が、脂環族基を有するモノマーであり、構成するモノマーとして芳香族基を含有しない非晶性ポリアミドである。本発明における非晶性とは、前記した通り、JIS K7121に準じて昇温速度20℃/分でDSC測定した場合に、明確な融点ピークを示さないものである。
本発明における非晶性ポリアミド樹脂(A)としては、脂肪族ジカルボン酸と脂環族ジアミンとの重縮合により形成されたポリアミド樹脂であることが好ましい。
非晶性ポリアミド樹脂(A)を構成するモノマーのうち、脂環族ジアミンとしては、ビス(4−アミノ−シクロヘキシル)メタン(PACMと略記することがある)、ビス(3−アミノ−シクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノ−シクロヘキシル)メタン(MACMと略記することがある)、2,2−ビス(4−アミノ−シクロヘキシル)プロパン、イソホロンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3−アミノシクロヘキシル−4−アミノシクロヘキシルメタン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、ビス(アミノエチル)ピペラジンなどが挙げられる。
非晶性ポリアミド樹脂(A)を構成するモノマーのうち、脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸(12と略記することがある)、トリデカン二酸、テトラデカン二酸(14と略記することがある)など、炭素原子数4〜36の直鎖状または分岐鎖を有する脂肪族ジカルボン酸類が挙げられる。
非晶性ポリアミド樹脂(A)を構成するモノマーとして、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム類、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などのアミノカルボン酸、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン類が含まれても良い。
上記モノマーの組み合わせとしては、ビス(4−アミノ−シクロヘキシル)メタン(PACM)、ビス(3−アミノ−シクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノ−シクロヘキシル)メタン(MACM)、2,2−ビス(4−アミノ−シクロヘキシル)プロパンから選択される脂環族ジアミンと、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸などの炭素数12〜18のジカルボン酸から選択される脂肪族ジカルボン酸との組み合わせが溶融流動特性の点で好ましい。脂肪族ジカルボン酸としては、より好ましくはドデカン二酸、テトラデカン二酸であり、さらに好ましくはテトラデカン二酸である。
また、MACMとドデカン二酸(MACM・12)、MACMとテトラデカン二酸(MACM・14)の組み合わせが、吸水率が低く、吸水寸法変化が小さい点で好ましい。中でも、MACM・14は、成形温度を300℃以下で成形でき、金型温度を100℃でも薄肉成形性とバリ発生抑制性が優れ、強度、剛性、耐衝撃性、靭性に優れた成形品が得られやすい点で好ましい。
本発明に用いる非晶性ポリアミド樹脂の分子量は特に限定されないが、下記に記載の方法で測定した数平均分子量が、3000〜40000の範囲であることが好ましい。7000〜30000の範囲がより好ましく、10000〜25000の範囲がさらに好ましい。数平均分子量が3000より小さいと機械的強度が低下し、逆に40000より大きいと分子量が高くなりすぎて成形性が悪くなるので好ましくない。本発明における非晶性ポリアミド樹脂の配合量は、該非晶性ポリアミド樹脂(A)、テルペンフェノール系樹脂(B)、及び異形断面ガラス繊維(C)の合計質量に対し、30〜69.5質量%が好ましい。より好ましくは、35〜59質量%であり、さらに好ましくは、40〜54質量%である。この好ましい範囲は、テルペンフェノール系樹脂(B)、及び異形断面ガラス繊維(C)の好ましい範囲を下記で説明しているが、これら範囲から導き出される。
本発明に用いるテルペンフェノール系樹脂は、本発明に用いる非晶性ポリアミド樹脂と相溶して非晶性ポリアミド樹脂含有組成物の見かけのガラス転移温度を下げることができ、かつ溶融流動性を高めることができるため、テルペンフェノール系樹脂を配合しない場合に比べて成形温度や金型温度を下げても充填性に問題が出難いため、冷却時間の短縮が可能となったり、成形条件幅を広く取ることができる。特に、MACM・14との組み合わせは、見かけのガラス転移温度低下が大きく好ましい。
テルペンフェノール系樹脂は、多くの水酸基を有するため、ポリアミドのアミド基中に水素結合によって取り込まれ、その結果ポリアミドのガラス転移温度を見かけ上、下げることが可能である。吸水や液状の可塑剤によっても同様の効果を出し得るが、成形や押出し加工によって揮発するために、効果が出にくかったり、安定しなかったりする。また、薄肉の成形品の場合、成形時の揮発量が多いと製品の最終充填部が焦げたりして良品が取りにくい。テルペンフェノール樹脂は揮発せずにポリアミド樹脂中に残存するために、安定した効果を発揮することが可能である。
本発明に用いるテルペンフェノール系樹脂は、テルペン類モノマーとフェノール系モノマーから成るモノマー成分を有機溶媒中でフリーデルクラフト型触媒存在下で共重合、または共重合後さらに水素添加処理して得られる反応混合物の一部または組成物全体を意味する。
テルペン類モノマーとは、(C)nの分子式で表される炭化水素化合物またはこれから導かれる含酸素化合物であり、例えばモノテルペン類(n=2の場合、ミルセン、オシメン、ピネン、リモネン、シトロネオール、ボルネオール、メントール、ショウノウ等)、セスキテルペン類(n=3の場合、クルクメン等)、ジテルペン類(n=4の場合、カンホレン、ヒノキオール等)、テトラテルペン類(n=8の場合、カロチノイド等)、ポリテルペン(天然ゴム)などを挙げることができる。好ましいテルペン類は、モノテルペン類であり、特にピネン、リモネン等である。
フェノール類モノマーとは、ベンゼン環、ナフタレン環等の芳香環にヒドロキシル基を少なくとも1個有する化合物であり、芳香環に置換基(例えばハロゲン原子、アルキル基等)を有していても良い。例えばフェノール、クレゾール、キシレノール、ナフトール、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ピロガロール等が挙げられる。
耐変色性の点で好ましいテルペンフェノール系樹脂は、モノテルペン類とフェノールの共重合体である。α−ピネンやリモネンなどのモノテルペン類とフェノールとの共重合体が、工業的に製造が容易でより好ましい。
本発明に用いるテルペンフェノール系樹脂の水酸基価(KOHmg/g)は、通常、150以上であることが好ましく、吸水による寸法変化の抑制効果の観点から、より好ましくは200以上である。
本発明に用いるテルペンフェノール系樹脂の重合度は、数平均分子量500〜10000程度が好ましい。500未満であると、低分子量成分が加熱時に発煙して作業性が悪化する可能性がある。10000を超えると脆い材料となり、粘着性や相溶性の点で影響が出ることがある。具体的には、例えばヤスハラケミカル(株)製のYSポリスターシリーズ、マイティエースシリーズなどがある。
本発明におけるテルペンフェノール系樹脂の配合量は、前記非晶性ポリアミド樹脂(A)、該テルペンフェノール系樹脂(B)、及び異形断面ガラス繊維(C)の合計質量に対し、0.5〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜5質量%である。0.5質量%未満では、配合効果の発現がほとんど認められず、10質量%を超えると、機械的強度が低下したり、表面に析出したテルペンフェノールが剥離したりするため好ましくない。
本発明に用いるガラス繊維は、長径/短径の比が1.5〜10である異形断面形状のガラス繊維であり、好ましくは、長径/短径の比が2.0〜6.0のものである。長径/短径比が1.5未満では反りを低減させる効果に乏しく、長径/短径比が10超のものはガラス繊維自体の製造が困難である。異形断面形状とは、楕円型、ひょうたん型、まゆ型、長円型、矩形などいずれの形状でもよく、短径とは、断面の最短径距離であり、長径とは、断面の最長径距離を指す。長径は、10〜50μm、短径は、5〜20μmの範囲内のものが好ましい。
また、ガラス繊維は、短繊維タイプのチョップドストランドを用いることが好ましい。チョップドストランドは、長さが3〜6mmのガラス繊維であることが好ましく、長さが4〜5mmであることが更に好ましい。
本発明における異形断面ガラス繊維の配合量は、前記非晶性ポリアミド樹脂(A)、前記テルペンフェノール系樹脂(B)、及び該異形断面ガラス繊維(C)の合計質量に対し、30〜60質量%が好ましい。より好ましくは、40〜60質量%であり、さらに好ましくは、45〜55質量%である。30質量%未満であると成形品の機械的強度が低く、60質量%超であると樹脂の流動性が悪く、薄肉の場合、寸法精度が高い成形体を得ることが難しい。
異形断面ガラス繊維は、シラン系、チタネート系などのカップリング剤で処理されているものが好ましく、特にシラン系カップリング剤で処理されているものが好ましく使用できる。
好ましいシラン系カップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を例示することができ、特にγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
シラン系カップリング剤は、ガラス繊維製造時に予め付与されたもの以外に、ポリアミド樹脂に配合する直前に新たに付与することが好ましい。カップリング剤の付与量はガラス繊維100質量部に対して0.1〜3質量部が好ましい。0.1質量部未満では付与の効果が小さく、3質量部を超えることは経済的でなく、また、成形時のガス発生が多くなり、外観が悪くなったりするため好ましくない。但し、ガラス繊維製造時に予め付与されるシラン系カップリング剤の改良されたガラス繊維を使用する場合は、新たな付与は特に必要としない。
また、本発明のポリアミド樹脂組成物には、前記以外に、必要に応じて公知の範囲で光又は熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、滑材、結晶核剤、離型剤、帯電防止剤、ハロゲン系難燃剤と酸三化アンチモンの組み合わせ、各種リン酸系難燃剤、メラミン系難燃剤、無機顔料、有機顔料、染料、あるいは他種ポリマーなども添加することが出来る。
本発明のポリアミド樹脂組成物を製造する製造法としては、上述した少なくとも(A)、(B)、(C)の各成分、およびその他の配合物を上記配合組成にて任意の配合順列で配合した後、タンブラー或いはヘンシェルミキサー等で混合し、溶融混錬される。溶融混錬方法は、当業者に周知のいずれかの方法が可能であり、単軸押出機、2軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、ロール等が使用できるが、なかでも2軸押出機を使用することが好ましい。
また、押出加工時に破損し易い(C)成分の異形断面形状を有するガラス繊維等は、2軸押出機のサイド口から投入し、該ガラス繊維の破損を防止することが好ましいが、特に限定されるものではない。また、シランカップリング剤は、(C)以外の原料成分と同時に添加しても良いが、あらかじめ(C)成分に付与して添加するのが好ましい。
また、加工時の揮発成分、分解低分子成分を除去するため、さらに、変性された樹脂や強化材とポリアミド樹脂の反応性を高めるためには、ガラス繊維投入部分のサイド口と押し出し機先端のダイヘッドとの間で真空ポンプによる吸引を行うことが望ましい。
次に実施例および比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)実施例、比較例で使用した原材料
実施例、比較例で使用した原材料は以下である。
(A)ポリアミド樹脂
MACM・14:アルケマ社製G350、ガラス転移温度145℃、数平均分子量14200、非晶性
MACM・12:EMS社製TR−90、ガラス転移温度155℃、数平均分子量13300、非晶性
MACM・12・I:EMS社製TR−55、ガラス転移温度162℃、数平均分子量18600、非晶性
ポリアミド66:東レ社製、E3000F、ガラス転移温度49℃、重量平均分子量13000、結晶性
6T6I(6T/6I=33/67(モル%)):EMS社製グリボリーG21、ガラス転移温度125℃、数平均分子量15100、非晶性
MACMはビス(3−メチル−4−アミノ−シクロヘキシル)メタン、12はドデカン二酸、14はテトラデカン二酸、Iはイソフタル酸、Tはテレフタル酸を表す。
数平均分子量は、次の様に求めた。
各試料を2mg秤量し、4mlのHFIP/トリフルオロ酢酸ナトリウム10mMに溶解させた。0.2μmのメンブレンフィルターでろ過し、得られた試料溶液のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析を次の条件で行った。
装置:TOSOH HLC−8220GPC
カラム:TSKgel SuperHM−H×2、TSKgel SuperH2000
流速:0.25ml/分、濃度:0.05%、温度:40℃、検出器:RI
分子量換算は標準ポリメチルメタクリレート換算で計算した。
分子量は、1000以下のものは、オリゴマーとして除いて計算した。
(B)テルペンフェノール系樹脂
ヤスハラケミカル社製、YSポリスターS145
(C−1)異形断面ガラス繊維
日東紡(株)製 3PA820S(長径/短径の比 4)
(C−2)異形断面ガラス繊維2
日東紡(株)製 3PA810S(長径/短径の比 4)
(D)その他の添加剤
・安定剤:ヒンダードフェノール チバ・スペシャリティケミカルズ社製、IRGANOX245;(A)、(B)、(C−1)または(C−2)の合計100質量部に対して、0.5質量部を使用した。
・離型剤:モンタン酸エステル クラリアントジャパン社製、WE40;(A)、(B)、(C)の合計100質量部に対して、0.6質量部を使用した。
・カップリング剤:アミノプロピルトリエトキシシラン、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、A−1100;異型断面ガラス繊維(C)100質量部に対して0.3質量部を使用した。
(2)特性および物性値
以下に実施例、比較例において示した樹脂及び樹脂組成物の各特性および物性値は、下記に示した試験方法を採用した。
(イ)ガラス転移温度:
DSC測定装置(セイコーインスツルメンツ社製、EXSTAR6000)を使用した。窒素気流下で20℃/分の昇温速度で300℃まで昇温し、その温度で5分間保持した後、10℃/分の速度にて50℃まで降温させたときに認められるJIS K7121に記載の中間点ガラス転移温度(Tmg)を測定した。
ガラス転移温度の測定は、吸水の影響や熱履歴の影響を除くために、同一サンプルを用いて同一条件で2サイクル測定し、2サイクル目の結果から求めた。
(ロ)溶融せん断粘度:
キャピラリーレオメーター(東洋精機(株)、製品名キャピログラフ1B)を使用した。
キャピラリー形状:穴の直径1.0mm、長さ30mm
せん断速度:12.2sec−1(1.0mm/分)
せん断速度:1216sec−1(100.0mm/分)
測定温度:285℃
(ハ)メルトインデックス:
ISO1133に準じて測定した。
測定温度:275℃
荷重:5kg
(ニ)引張強度、引張伸度:ISO−527−1.2に準じて測定した。
(ホ)曲げ強度、曲げ弾性率、曲げたわみ率:ISO−178に準じて測定した。
(ヘ)シャルピー衝撃強度:ISO−179−1eAに準じて測定した。
(ト)塗装密着性:
ウレタン塗料をスプレーガンで、塗料膜厚は約30μmに塗装した。焼付温度は100℃×30分で行い、密着性の強度は、φ10mm長さ300mm片側フック付き円筒形治具の金属治具を塗装後の成形品にアロンアルファ101を用いて接着し、フック部分をプッシュプルゲージで引張って塗膜の剥離力を求めた。
◎: 剥離力が25Kgを超え、剥離した塗料に破壊した母材が付着している。
○: 剥離力が15Kg以上、25Kg以下。
×: 剥離力が15Kg未満。
(チ)寸法安定性:
実施例、比較例の組成物で、100×100×2mm(フィルムゲート)の平板を成形(シリンダー温度295℃、金型温度110℃)し、95%RH平衡吸水時の寸法増加率で評価した。吸水処理は、95%相対湿度の恒温槽中で80℃にて加速吸水処理した。
◎:0.05%未満、 ○:0.05〜0.1%未満、 ×:0.1%以上
(3)成形特性
易成形性及びバリの評価
射出成形機(東芝機械社製、EC−100N、電動式成形機、型締め力100ton、スクリュー口径はφ32mm)で、図1に示した形状の携帯電話モデル金型(φ1.2mmピンゲート1点、厚み1.3mm、幅45mm、長さ100mm)を用いて、成形のしやすさについて、必要とするシリンダー温度、金型温度、射出圧力を表1の評価点で評価した。
Figure 0005067506
・易成形性
上記の得点の合計を以下のように、易成形性を判定した。
6以上:◎(良好)、
5〜3:○(ほぼ良好)
2〜1:△(やや不良)
1〜0:×(不良)
・バリの評価:
図1に示した携帯電話モデル金型による成形品のバリの発生しやすいゲート付近部と最終充填部付近の2箇所をHIROX社製マイクロスコープ
KH−7700で測定した。
200ショット成形して、観察部(1)、観察部(2)で発生したバリのばらつきを評価した。表3には、観察部(1)で発生したバリを「最小値(μm)〜最大値(μm)」、観察部(2)で発生したバリを「平均値(μm)」で表す。
生産性に関係するバリ発生の安定性評価については、200ショット成形して、観察部(1)の200ショット中の発生したバリの最大値、ばらつき(最大値と最小値の差)から、以下のように評価した。
◎:バリの最大値が50μm以下で、かつばらつきが25μm以下である
○:バリの最大値が60μm以下で、かつばらつきが30μm以下である
△:バリの最大値が100μm以下で、かつばらつきが50μm以下である
×:バリの最大値が100μmを超える
実施例1〜7、比較例1〜4
後記の表2に示す組成(前記の安定剤、離型剤を含む)になるように、ガラス繊維を除く各成分をタンブラーにてブレンド後、二軸押出機(コペリオン社製STS35)で溶融混練して組成物ペレットを得た。なお、アミノシランカップリング剤は、ガラス繊維をサイドフィードで投入する直前に、所定量をガラス繊維にまぶして添加した。
得られた組成物ペレットを乾燥後、上記した方法によって評価した。その結果を表2、3に示した。
Figure 0005067506
Figure 0005067506
実施例1〜7の樹脂組成物は、見かけのガラス転移温度及び溶融粘度が本発明の範囲を満足しているため、成形性に優れてバリ発生抑制効果が優れ、しかも、成形品の物性や塗装密着性にも優れていることが判る。特に、実施例1、3においては、引張伸度や曲げたわみ率が大きく、靭性に優れることが判る。さらに充填圧力低くても問題なく成形可能なため、連続成形時の安定性にも優れている。また、吸水後の寸法変化も極めて小さく製品の寸法安定性にも優れている。
テルペンフェノール系樹脂が配合されていない比較例1は、成形性、バリ抑制効果、塗装密着性などに改善の余地が認められる。特に、成形性が悪いために極めて高い充填圧力を掛けないと充填しないため、連続成形時の樹脂の滞留や金型温度が僅かに変化しただけで、バリの発生量にばらつきが発生している。脂環族基を有するが芳香族基を有する非晶性ポリアミド樹脂を用いた比較例2は、ガラス転移温度が高いために、充填性が低下しバリ発生抑制効果が劣るとともに成形品の靭性が劣る。また、バリの発生にもばらつきが見られる。
比較例3の非晶性ポリアミド樹脂は、元々のガラス転移温度が低いためテルペンフェノールを添加しなくても、成形性については良好であったが、吸水時の寸法安定性が劣る結果であった。また、芳香族比率が高いために、非常に脆い成形品となった。比較例4の結晶性ポリアミドは、寸法安定性に劣るとともにバリ抑制が困難であった。
産業上の利用の可能性
本発明のポリアミド樹脂組成物は、製造安定性に優れ、機械強度、薄肉成形性、寸法安定性などに変動が少なく、薄肉射出成形品のバリ発生を極力低減でき、さらには、塗装密着性にも優れるため、機械特性と共に軽量化と意匠性が重視される携帯用電化製品、例えば、例えば携帯電話、携帯用の音楽を聞く製品、携帯用の映像を見る製品および携帯用パソコン等の筐体用材料などに適するものである。
1:ゲート位置
2:バリ観察部(1);ゲート付近
3:バリ観察部(2);最終充填部付近

Claims (8)

  1. 脂環族基を有し、芳香族基を有さない非晶性ポリアミド樹脂(A)、テルペンフェノール系樹脂(B)、及び長径/短径の比が1.5〜10の異形断面を有する異形断面ガラス繊維(C)を含有するポリアミド樹脂組成物で、該組成物が下記特性を示すことを特徴とする射出成形用ポリアミド樹脂組成物。
    (イ)見かけのガラス転移温度が125〜160℃
    (ロ)温度285℃での溶融粘度が、せん断速度12.2sec-1において1000〜2000Pa・sで、かつせん断速度1216sec-1において100〜350Pa・s
  2. 前記非晶性ポリアミド樹脂(A)、前記テルペンフェノール系樹脂(B)、及び前記異形断面ガラス繊維(C)の合計質量に対し、前記非晶性ポリアミド樹脂(A)の配合量が30〜69.5質量%、前記テルペンフェノール系樹脂(B)の配合量が0.5〜10質量%であり、前記異形断面ガラス繊維(C)の配合量が30〜60質量%である請求項1に記載の射出成形用ポリアミド樹脂組成物。
  3. 前記非晶性ポリアミド樹脂(A)が、脂肪族ジカルボン酸と脂環族ジアミンとの重縮合により形成されたポリアミド樹脂である請求項1または2に記載の射出成形用ポリアミド樹脂組成物。
  4. 前記非晶性ポリアミド樹脂(A)の脂肪族ジカルボン酸が、炭素原子12〜18個を有するジカルボン酸から選択され、脂環族ジアミンが、ビス(4−アミノ−シクロヘキシル)メタン、ビス(3−アミノ−シクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノ−シクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノ−シクロヘキシル)プロパンから選択されたものである、請求項3に記載の射出成形用ポリアミド樹脂組成物。
  5. 異形断面ガラス繊維(C)が配合される際に、異形断面ガラス繊維(C)100質量部に対し、0.1〜3質量部のシランカップリング剤が付与されてなる、請求項1〜4のいずれかに記載の射出成形用ポリアミド樹脂組成物。
  6. せん断速度12.2sec-1における溶融粘度(LSv)とせん断速度1216sec-1における溶融粘度(HSv)との比(LSv/HSv)が、4.0〜7.0である請求項1〜5のいずれかに記載の射出成形用ポリアミド樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の射出成形用ポリアミド樹脂組成物で成形された電子機器用成形品。
  8. 電子機器が携帯電子機器である請求項7の電子機器用成形品。
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