JP2020059846A - ポリアミド樹脂組成物およびそれを含む成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】吸水前後の弾性率保持率に優れ、加えて耐衝撃性、靭性および薄肉成形性に優れるポリアミド樹脂組成物を提供する。【解決手段】粘度数(VN)が135ml/g以下のポリアミド610樹脂(A)、エチレン−αオレフィン系共重合エラストマー(B)および可塑剤(C)を含有するポリアミド樹脂組成物であって、ポリアミド610樹脂(A)100重量部に対し、前記(B)を10重量部以上35重量部以下、前記(C)を1重量部以上20重量部以下含有するポリアミド樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアミド610樹脂、エチレン−αオレフィン系共重合エラストマー、可塑剤を含むポリアミド樹脂組成物、およびそれを成形してなる成形品に関する。
ポリアミド樹脂は、機械特性、耐熱性、耐薬品性などに優れることから、自動車・車両関連部品、資材・建材部品、スポーツ用品、電気・電子部品などに広く利用されている。
また近年、部品の小型化、高精密化が進行し、樹脂成型品には薄肉における特性が要求される。具体的には、薄肉流動性、ならびに薄肉成形品であっても高剛性、および耐衝撃性のバランスに優れることが要求される。一方、ポリアミド樹脂を用いて薄肉成形品を成形した場合、該薄肉成形品は外部環境の影響で吸水率が変化しやすい。そのため、絶乾時と吸水時の剛性が変化しない材料が要求されている。
この要求に対し、低吸水性であるポリアミド610樹脂を使用した開発が盛んに行われている。
たとえば、耐熱性や耐疲労性に優れるポリアミド66樹脂と、低吸水性で耐塩化カルシウム性に優れるポリアミド610樹脂のような低吸水性脂肪族ポリアミド樹脂とを相溶化することで、強度、耐熱性及び耐塩化カルシウム性が向上する樹脂製プーリが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、ポリアミド610樹脂等、ステンレス鋼繊維および/またはカーボンナノチューブ、衝撃改質剤可塑剤、および可塑剤を含む導電性ポリアミド組成物を用いることにより、燃料耐浸透性、導電性、耐塩化亜鉛性に優れる自動車向け燃料供給装置構成部品が提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、X.Y/Zまたは6.Y2/Zの少なくとも一種のポリアミドA1(ここで、XはC6〜10脂肪族ジアミンの残基、YがC10〜14脂肪族ジカルボン酸の残基、Y2はC15〜20脂肪族ジカルボン酸の残基、Zはラクタムの残基、α、ω−アミノカルボン酸の残基、単位X1、Y1の中から選択される少なくとも一つの単位(ここで、X1は脂肪族ジアミンの残基、Y1は脂肪族ジカルボン酸の残基)を用いることによりポリアミド12樹脂の使用温度より20〜30℃以上高い温度で使用でき、優れた柔軟性、耐衝撃強度、耐化学薬品性および押出成形性を維持できることが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
また、成形品形状によっては流動性を必要とされるケースがある。特に、薄肉形状の成形品を成形場合、溶融樹脂は金型によって内部まで急速に冷却されやすくなる為、流動性に優れる材料でないと金型に樹脂を充填することができない。流動性向上技術としては、結晶性脂肪族ポリアミド樹脂、非晶性あるいは難結晶性ポリアミド樹脂、反応性柔軟成分、異形断面ガラス繊維、および板状結晶無機充填剤を含む組成物を用いることにより、剛性と靭性や低ソリ性、良好な意匠面外観を合わせ持つことはもとより、良好な流動性と低バリ性の相反する特性を両立させる技術が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
特開2008−202693号公報 特表2007−537928号公報 特開2012−107244号公報 特開2010−248406号公報
ネット、格子状成形品、シート、ボタン、電子機器カバー部品等の薄肉成形品は製品形状を形作るために、流動性に優れる組成物であることが求められる。また、高湿下では薄肉成形品の機械物性は絶乾状態から大きく低下する場合がある。そこで、吸水による機械物性低下が抑制されたポリアミド樹脂組成物が必要とされている。
しかしながら、前記特許文献1〜3のいずれにも、吸水による機械物性の変化については評価されていない。
また、特許文献4に記載されたポリアミド樹脂組成物は樹脂の低粘度樹脂を使用することで1.3mm未満の薄肉成形が可能な流動性を有するが、絶乾時と吸水時の特性について評価していない。
本発明においては、上記事情に鑑み、吸水前後の弾性率保持率に優れ、加えて耐衝撃性、靭性および薄肉成形性に優れるポリアミド樹脂組成物を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)粘度数(VN)が135ml/g以下のポリアミド610樹脂(A)、エチレン−αオレフィン系共重合エラストマー(B)および可塑剤(C)を含有するポリアミド樹脂組成物であって、ポリアミド610樹脂(A)100重量部に対し、前記(B)を10重量部以上35重量部以下、前記(C)を1重量部以上20重量部以下含有するポリアミド樹脂組成物。
(2)前記(B)が無水マレイン酸変性エチレン−1−ブテン共重合体である、(1)に記載のポリアミド樹脂組成物。
(3)下記方法によるバーフロー流動長試験による、バーフロー流動長が75mm以上である、(1)および(2)に記載のポリアミド樹脂組成物。
バーフロー流動長試験:厚み1mm、幅10mmのキャビティを使用し、金型温度40℃、ポリアミド樹脂の融点+25℃のシリンダー温度において、射出圧30MPa、射出速度100mm/s、スクリュー回転数100rpm、計量位置50mm、サックバック3mm、射出時間15s、冷却時間15sでバーフロー流動長を測定。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を含む成形品。
(5)(1)〜(3)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を含む、厚み1mm以下の成形品。
本発明によれば、吸水前後の弾性率保持率に優れ、加えて耐衝撃性、靭性および薄肉成形性に優れるポリアミド樹脂組成物を得ることができる。一般的に、薄肉成形品は使用環境下で、吸水により弾性率が大きく変化するが、本発明のポリアミド樹脂組成物によれば、薄肉成形品であったとしても、吸水による弾性率低下を抑制することができる為、成形品形状を維持し、耐変形性に優れる効果を奏する。また、本発明のポリアミド樹脂組成物は薄肉成形品にも関わらず、剛性と耐衝撃性に優れる特徴を有する。また、本発明のポリアミド樹脂組成物は薄肉成形性に優れるため、特に厚み1mm以下の薄肉成形品に好適であり、そのような薄肉成形品であったとしても靭性に優れる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド610樹脂(A)、エチレン−αオレフィン系共重合エラストマー(B)、可塑剤(C)を含む。
本発明で用いるポリアミド610樹脂とは、ジアミンとしてヘキサメチレンジアミン、ジカンルボン酸としてセバシン酸を重合単量体とし、前記ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸とからなる単位を有するポリアミド樹脂である。ポリアミド610樹脂を用いることによって、成形品の吸水前後の剛性保持率、耐衝撃性、靭性および薄肉成形性が向上する。
本発明で使用するポリアミド610樹脂(A)の末端アミノ基濃度には特に制限はないが、末端アミノ基濃度が2.0×10−5mol/g以上であるものが、エチレン−αオレフィン系共重合エラストマー(B)との反応が容易であり好ましく、8.0×10−5mol/g以下であることが好ましい。ここでいう末端アミノ基濃度とは、85%フェノール−エタノール溶液にポリアミド樹脂を溶解し、チモールブルーを指示薬として使用し、塩酸水溶液で滴定することで測定できる。
本発明で使用するポリアミド610樹脂(A)の末端カルボキシル基濃度には制限はないが、末端カルボキシル基濃度が2.0×10−5mol/g以上、15.0×10−5mol/g以下であるものが、耐加水分解性に優れて好ましい。ここでいう末端カルボキシル基濃度とは、ベンジルアルコールにて加熱溶解し、PP指示薬を使用し、0.02Nの規定度をもつ水酸化カリウム水溶液で滴定することで測定できる。
ポリアミド610樹脂(A)の粘度数(VN)は、135ml/g以下である。135ml/gを超えると、粘度が高くなる為、1mm以下の薄肉形状で流動性が悪くなり、成形品が充填不足となる。粘度数(VN)が135ml/g超過の場合、エチレン−αオレフィン系共重合エラストマー(B)が成形時に引き伸ばされ、層形状となり、高速引張破断伸びに劣る。粘度数(VN)が135ml/g以下の場合、エチレン−αオレフィン系共重合エラストマー(B)は球形状を維持することができる為、高速引張破断伸びに優れる。
成形品の剛性、吸水前後の剛性保持率、耐衝撃性、薄肉1mm高速引張破断伸びおよび薄肉成形性が向上するため、粘度数(VN)は120ml/g以下が好ましい。最も好ましい粘度数(VN)は110ml/g以下である。下限としては特に制限はないが、靭性が向上するため、90ml/g以上が好ましく、100ml/g以上が更に好ましい。粘度数(VN)は、ISO307に準拠して測定できる。
尚、ポリアミド樹脂組成物中に含有されるポリアミド樹脂の粘度数(VN)は原料として配合するポリアミド樹脂の粘度数(VN)と同じである。したがって、本発明において、ポリアミド樹脂組成物に含有されるポリアミド樹脂の粘度数(VN)は、原料として用いるポリアミド樹脂の粘度数(VN)を援用する。また、ポリアミド610樹脂(A)の融点は215℃〜230℃が好ましい。
ポリアミド610樹脂(A)は、本発明の実施形態の目的を損なわない範囲で、前記ヘキサメチレンジアミン以外のジアミンを重合単量体として含んでいてもよい。その代表例として、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンなどの芳香族ジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの脂環族ジアミンなどが挙げられる。
また、ポリアミド610樹脂(A)は、本発明の実施形態の目的を損なわない範囲で、前記セバシン酸以外のジカルボン酸を重合単量体として含んでいてもよい。その代表例として、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸などが挙げられる。本発明においては、これらの原料から誘導されるポリアミドホモポリマーまたはコポリマーを2種以上併用してもよい。
本発明で使用するポリアミド610樹脂(A)の製造方法は特に限定されるものではなく、公知の製造方法で製造されたものであればよい。例えば、ヘキサメチレンジアミン、セバシン酸、(必要に応じて前記ヘキサメチレンジアミン以外のジアミン、前記セバシン酸以外のジカルボン酸などの各重合単量体)、溶媒または水、触媒、重合調整成分などを溶融加熱して重合させる方法、途中まで熱重合させたプレポリマーを融点以下の過熱で固体状態のまま重合度を上げる固相重合法、前記プレポリマーを押出機を通して溶融させて重合度を上げる押出重合法等が挙げられる。これらの重合方法は、バッチ生産方式でも連続生産方式でもよい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、エチレン−αオレフィン系共重合エラストマー(B)を含む。本発明のエチレン−αオレフィン系共重合エラストマー(B)とは、一般的にガラス転移温度が室温より低い重合体を含有し、分子間の一部が共有結合・イオン結合・ファンデルワールス力・絡み合い等により、互いに拘束されている、エチレン単量体とαオレフィン系重合体の共重合体のことを指す。例えば、αオレフィン系重合体とは、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンのランダム共重合体およびブロック共重合体、該ブロック共重合体の水素添加物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ブタジエン−イソプレン共重合体などのジエン系ゴム、エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−オクテン等が挙げられる。
これらエチレン−αオレフィン系共重合エラストマー(B)の中でも、ポリアミド樹脂組成物を成形して得られる成形品の耐衝撃性向上の観点から、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体が好ましく、特にエチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体が好ましい。
本発明で用いるエチレン−αオレフィン系共重合エラストマー(B)は、反応性官能基を有していても良い。反応性官能基の具体例としては、酸無水物基、エポキシ基、アミノ基、カルボキシル基、カルボキシル金属塩およびオキサゾリン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の反応性官能基が挙げられる。とりわけエポキシ基、酸無水物基、カルボキシル基はポリアミド樹脂との反応性が高く、しかもそれ自身の分解、架橋などの副反応が少ないため好ましく用いられる。
酸無水物基を導入するための官能基含有成分としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、1−ブテン−3,4−ジカルボン酸無水物等を挙げることができる。中でも、無水マレイン酸、無水イタコン酸が好適に用いられる。これらは、1種でも、複数種同時に併用しても良い。
エポキシ基を導入するための官能基含有成分としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジルなどのα,β−不飽和酸のグリシジルエステル化合物などのエポキシ基を有するビニル系単量体が好適に用いられる。
また、カルボキシル基の一部を金属塩としたカルボキシル金属塩もカルボキシル基を導入するための官能基含有成分として有効であり、例えば、(メタ)アクリル酸金属塩などが挙げられる。金属塩の金属は、特に限定されないが、好ましくは、ナトリウムなどのアルカリ金属やマグネシウムなどのアルカリ土類金属、亜鉛などが挙げられる。
オキサゾリン基を導入するための官能基含有成分としては、2−イソプロペニル−オキサゾリン、2−ビニル−オキサゾリン、2−アクリロイル−オキサゾリン、2−スチリル−オキサゾリンなどのオキサゾリン基を有するビニル系単量体が好適に用いられる。
前記官能基をエチレン−αオレフィン系共重合エラストマーに導入する場合、その方法としては、通常公知の技術で行うことができ、特に制限はない。
反応性官能基を有するエチレン−αオレフィン系共重合エラストマーにおける、一分子鎖当りの官能基の数については、特に制限はないが、通常1〜10個が好ましく、架橋等の副反応を少なくする為に1〜5個がより好ましい。また、官能基を全く有さない分子が含まれていても構わないが、その割合は少ない程好ましい。
本発明において、反応性官能基を有するエチレン−αオレフィン系共重合エラストマーとしては、無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体、無水マレイン酸変性エチレン−1−ブテン共重合体、無水マレイン酸変性エチレン−1−オクテン共重合体、無水マレイン酸変性プロピレン−1−ブテン共重合体が好ましく、特に無水マレイン酸変性エチレン−1−ブテン共重合体、無水マレイン酸変性エチレン−1−オクテン共重合体が好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド610樹脂(A)100重量部に対して、エチレン−αオレフィン系共重合エラストマー(B)を10重量部以上35重量部以下の割合で含有する。
本発明に用いられるエチレン−αオレフィン系共重合エラストマー(B)が10重量部未満の場合、相対的にポリアミド樹脂の含有量が多くなるためとして弾性率が高くなり、成形品の耐衝撃性に劣る。また、エチレン−αオレフィン系共重合エラストマー(B)が10重量部未満の場合、ポリアミド610樹脂(A)量が増える為、成形品の吸水時の強度低下が大きくなり、薄肉成形品の場合、吸水による影響を顕著に受けやすくなる。すなわち、吸水前後の強度保持率が低下する。
一方で、本発明に用いられるエチレン−αオレフィン系共重合エラストマー(B)が35重量部を超えると、相対的にポリアミド樹脂の含有量が少なくなるため弾性率が低くなり、成形品の剛性に劣る。また、エチレン−αオレフィン系共重合エラストマー(B)量が35重量部を超えると、相対的にポリアミド610樹脂(A)の含有量が減る為、薄肉成形可能が困難になる可能性がある。さらに好ましいエチレン−αオレフィン系共重合エラストマー(B)の範囲は11重量部以上30重量部以下である。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂610(A)、エチレン−αオレフィン系共重合エラストマー(B)にさらに可塑剤(C)を含む。
本発明で使用する可塑剤(C)は、ポリアミド樹脂610(A)の非晶部を柔軟化し、ポリアミド樹脂を絶乾状態で柔軟化する役割がある。柔軟化するメカニズムは定かではないが、本発明のポリアミド樹脂組成物において、特定の粘度数を有するポリアミド樹脂分子間に存在する可塑剤が分子間を広げ、ポリアミド樹脂の分子の運動性を向上させる。すなわち、ガラス転移温度を下げることでポリアミド樹脂の柔軟化を達成することができると推測される。
ポリアミド樹脂に適用可能な可塑剤であれば特に制限は無いが、アミド系可塑剤、エステル系可塑剤、アミドエステル系可塑剤を用いることができる。アミド系可塑剤としては、カルボン酸アミド系可塑剤やスルホンアミド系可塑剤が挙げられる。カルボン酸アミド系可塑剤としては、安息香酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの無水物からなる群から選ばれる1種以上の酸と、アルキル基の炭素数が2〜8のジアルキルアミンとのアミドが挙げられる。またアルキル基の炭素数が2〜8のジアルキルアミンとしては、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジ2−エチルヘキシルアミン、ジオクチルアミンなどが挙げられる。本発明で好適に使用される可塑剤はスルホンアミド系可塑剤であるが、例としては、N−アルキルベンゼンスルホンアミドおよびトルエンスルホンアミドを包含するスルホンアミドが挙げられる。好適な例としては、N−ブチルベンゼンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)ベンゼンスルホンアミド、N−エチル−o−トルエンスルホンアミド、N−エチル−p−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミドが挙げられる。最も好ましくはN−ブチルベンゼンスルホンアミドが挙げられる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド610樹脂(A)100重量部に対して、可塑剤(C)を1重量部以上20重量部以下の割合で含有する。本発明に用いられる可塑剤(C)が1重量部未満の場合、ポリアミド610樹脂(A)量が多くなり、ポリアミド樹脂として弾性率が高くなり、成形品の耐衝撃性に劣る。一方で、本発明に用いられる可塑剤(C)が20重量部を超える場合、相対的にポリアミド610樹脂(A)の含有量が少なくなり、ポリアミド樹脂として弾性率が低くなり、成形品の剛性および剛性保持率に劣る。可塑剤(C)の好ましい範囲は5重量部以上15重量部以下である。
上記のように、本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド610樹脂(A)、エチレン−αオレフィン系共重合エラストマー(B)にさらに可塑剤(C)をそれぞれ特定量含む。薄肉形状の成形品は厚肉形状よりも吸水しやすく、吸水性は機械物性に直接的に影響する。本発明の発明者らは、いかに薄肉形状の成形品の吸水性を抑制するかを検討した結果、ポリアミド610樹脂(A)、エチレン−αオレフィン系共重合エラストマー(B)にさらに可塑剤(C)を含むことにより、成形品の絶乾時の弾性率を低くすることにより、吸水前後の弾性率が変化しにくいことを見出した。加えて、流動性も向上することを見出した。このように、本発明によれば、絶乾時の弾性率低下を達成し、吸水前後の弾性率保持率に優れ厚み1mm以下の薄肉成形品に使用できる良流動性を特徴とするポリアミド樹脂組成物を得ることができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、結晶核剤(D)を含むことが好ましい。結晶核剤を添加することにより、結晶化度を高めることができるため、ポリアミド樹脂組成物の剛性を向上することができる。また、結晶化温度が高くなり、射出成形時に固化を早めることができ、成形時間を短縮できることから、薄肉成形性を向上させることができる。結晶核剤の種類はタルク、ワラストナイト、カルサイト、アラゴナイト、ドロマイト、カオリン、マイカ、酸化チタン、カーボンブラックなどの無機核剤やベンゾトリアゾール系、フェノール系、リン系などの紫外線吸収剤、芳香族カルボン酸の金属塩、ソルビトール系誘導体、有機リン酸塩、芳香族アミド化合物などの有機核剤などの有機核剤が挙げられる。ポリアミド樹脂の剛性向上、固化促進の観点から、タルクが好ましい。
タルクの市販品としては、“ミクロンホワイト”(登録商標)#7000、“ミクロンホワイト”(登録商標)#5000A、“ミクロンホワイト”(登録商標)#5000、“タルク”(登録商標)MST(以上、林化成(株)製)、タルクFH104A、タルクPK−C(以上、富士タルク工業(株)製 )などがある。
結晶核剤(D)はポリアミド610樹脂(A)100重量部に対し、0.005以上5.0重量部以下で含有することが好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、離型剤(E)を含むことが好ましい。離型剤を添加することにより、射出成形時にポリアミド樹脂組成物が金型から離型する際の離型抵抗力が小さくなり、成形性に優れる。薄肉成形品や複雑形状の成形品においても、離型性を向上できる。離型性向上のメカニズムは、離型剤が金型表面温度で融解し、成形品と金型の間の滑り性をよくするためである。離型剤の種類は脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩、オキシ脂肪酸、脂肪酸部分鹸化エステル、パラフィン、低分子量ポリオレフィン、アルキレンビス脂肪酸アミドから選ばれる少なくとも1種であることが好ましいが、そのなかでも脂肪酸エステルが好ましい。
脂肪酸エステルとしては、ステアリン酸エステル、オレイン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、アジピン酸エステル、ベヘン酸エステル、アラキジン酸エステル、モンタン酸エステル、イソステアリン酸エステル、重合酸のエステル、また脂肪族部分鹸化エステルとしてモンタン酸部分鹸化エステルなどが挙げられる。上記のうち、モンタン酸エステル、モンタン酸部分鹸化エステルが好ましく用いることができ、なかでもモンタン酸部分鹸化エステルがもっとも好ましい。なお、本発明において上記脂肪酸エステルは1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合せて用いてもよい。
離型剤(E)はポリアミド610樹脂(A)100重量部に対し、0.01以上5.0重量部以下で含有することが好ましい。0.01重量部未満であると、射出成形の離型時に成形品が変形あるいは欠損することがあり、また5.0重量部を越えると、成形時に金型表面に汚れが形成し、これによる転写不良から成形品の外観不良に至る。また、成形後の後加工や組み付けなど、外力が作用する場合は、成形品表面に形成するフローマークや湯じわなどを起点として、製品組付け時に割れが発生することがある。 本発明のポリアミド樹脂組成物の流動性(薄肉成形性)は厚み1mm、幅10mmのキャビティを使用したバーフロー流動長試験で評価を行うことができる。成形条件は金型温度40℃、ポリアミド樹脂の融点+25℃のシリンダー温度において、射出圧30MPaで成形した際のバーフロー成型品の流れ方向の長さを測定することができる。バーフロー流動長75mm以上が好ましく、75mm未満の場合、薄肉流動性に劣る。薄肉流動性に劣る場合、成形品がひずみの影響を受ける為、高速引張破断伸びに劣る。上限としては特に制限はないが、バーフロー流動長150mm以上の場合、流動性に優れる一方で、成形品端部にバリが発生し、外観不良になる。バーフロー流動長がとくに好ましい範囲は78mm以上150mm未満である。
本発明のポリアミド樹脂組成物を製造する方法は特に制限はない。ポリアミド610樹脂(A)、エチレン−αオレフィン系共重合エラストマー(B)、可塑剤(C)および必要に応じて結晶核剤(D)、離型剤(E)を一括して配合して溶融混練して製造する方法、ポリアミド610樹脂(A)、エチレン−αオレフィン系共重合エラストマー(B)および必要に応じて結晶核剤(D)、離型剤(E)を溶融混練する中、可塑剤(C)をサイドフィード等の手法により添加する方法が挙げられる。
本発明において用いられるポリアミド樹脂組成物は、その特性を損なわない範囲で、必要に応じて、その他の熱可塑性樹脂を含有しても構わない。
例えば、その他の熱可塑性樹脂類としては、ポリアミド610樹脂(A)以外のポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリスルホン樹脂、四フッ化ポリエチレン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリチオエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂やABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリアルキレンオキサイド樹脂等が挙げられる。
前記にあるポリアミド610樹脂(A)以外のポリアミド樹脂の事例としては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド56、ポリアミド510、ポリアミド410、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6/66、ポリアミド66/6T、ポリアミド6T/6I、ポリアミド66/6I/6、ポリアミド6T/M5T、ポリアミド9T、ポリアミド9T/M8T、ポリアミド10Tなどを挙げることができる。これらのポリアミド樹脂(A)以外のポリアミド樹脂の中で、成形性、剛性と靱性のバランスから、ポリアミド66、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6T/M5T、ポリアミド9T、ポリアミド9T/M8T、ポリアミド10Tがさらに好ましい。特に好ましいポリアミド樹脂はポリアミド11、ポリアミド12である。これらの熱可塑性樹脂を2種以上併用することも可能である。
かかる熱可塑性樹脂類を用いる場合、その含有量に制限はないが、ポリアミド610樹脂(A)100重量部に対して、0.1重量部以上70重量部未満が好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で紫外線吸収剤、着色防止剤、耐候剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、及び染料・顔料を含む着色剤などの通常の添加剤を1種類以上添加することができる。
かかる各種添加剤類としては、例えば、レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系などの耐候剤、p−オキシ安息香酸オクチル、ワックスなどの滑剤、アルキルサルフェート型アニオン系、4級アンモニウム塩型カチオン系、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートのような非イオン系、ベタイン系両性帯電防止剤、メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンオキシド、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂あるいはこれらの臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせなどの難燃剤、アゾ系、アンスラキノン系、ペリレン系などの染料、アゾ系、アンスラキノン系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ペリレン系、亜鉛系、群青などの顔料を含む着色剤などが挙げられる。
かかる紫外線吸収剤、着色防止剤、耐候剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、及び染料・顔料を含む着色剤などの各種添加剤類は2種類以上併用することも可能である。その含有量は、特に制限はないが、ポリアミド610樹脂(A)100重量部に対し、0.01以上5重量部未満が好ましい。
これらの熱可塑性樹脂類、添加剤類は、熱可塑性樹脂組成物を製造する任意の段階で配合することが可能であり、例えば、ポリアミド610樹脂(A)、エチレン−αオレフィン系共重合エラストマー(B)、可塑剤(C)、結晶核剤(D)、離型剤(E)を配合する際に同時に添加、溶融混練する方法や、溶融混練中にサイドフィード等の手法により添加する方法が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、任意の方法により成形することができる。成形方法としては、例えば、押出成形、射出成形、中空成形、カレンダ成形、圧縮成形、真空成形、発泡成形、ブロー成形、回転成形等が挙げられる。成形形状としては、例えば、板状、繊維状、凹凸状、ストランド状、フィルムまたはシート状、パイプ状、中空状、箱状、爪状等の形状が挙げられる。
得られる成形品は、電気電子部品、自動車用部品、車両関連部品、建材関係部品、一般・産業機械部品、スポーツ用品、生活雑貨用品、家庭・事務用品、家具用部品など各種用途に適用できる。中でもネット、格子状成形品、シート、ボタン、電子機器カバー部品等の薄肉成形品に好適に用いられる。より具体的には厚みが1mm以下の成形品に好適に用いられる。本発明における成形品の厚みとは、成形品の最も厚い部分の厚みをいう。成形品にリブ部、ヒンジ部、ボス部等がある場合は、それらを除く。
前記ネット、格子状成形品としては、格子状形状を有するものが挙げられ、具体的には、ネット網、カーテン、水切りボウル、ザル、三角コーナー、樹脂メッシュ、メッシュフィルターなどが挙げられる。前記ボタンとしては、具体的にはスナップボタン、乾電池用パッキンなどが挙げられる。前記電子機器カバー部品はあらゆる電子機器の筐体のことで、テレビ、パソコン、スマートフォン、携帯電話などの筐体部分が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。まず、各実施例および比較例における評価方法について説明する。
(1)剛性(曲げ弾性率)
(1.1)絶乾燥時の曲げ弾性率(E
各実施例および比較例により得られたISO3167規格Type−IA多目的試験片を用いて、ISO178に従い、曲げ試験を実施し、曲げ弾性率(E)を測定した。
(1.2)大気平衡吸水時の曲げ弾性率(E)
各実施例および比較例により得られたISO3167規格Type−IA多目的試験片を23℃相対湿度50%の大気中に2週間保管した。保管後の多目的試験片の吸水率を大気平衡吸水率とした。大気平衡吸水状態の多目的試験片をISO178に従い、曲げ試験を実施し、曲げ弾性率(E)を測定した。
(1.3)(1.1)および(1.2)に記載の曲げ弾性率の測定は3回行い、その平均値を曲げ弾性率とした。
(2)剛性保持率(E’)
絶乾時の弾性率(E)から吸水時の弾性率(E)を差し引き、絶乾時の弾性率(E)で割り返した数字の百分率で算出している。剛性保持率(E’)の算出式は下記の式(1)の通りである。
E’= E×100/E0 式(1)
E’:吸水前後の弾性率保持率
0 :絶乾時の弾性率
:吸水時の弾性率。
(3)耐衝撃性
各実施例および比較例で得られたISO3167規格Type−IA多目的試験片を射出成形し、得られた試験片の平行部から、長さ80mm×幅10mm×厚さ4mmのシャルピー衝撃試験片(ノッチ有り)を切り出した。このシャルピー衝撃試験片を用いて、ISO179に従ってシャルピー衝撃強度(ノッチ有り)を測定した。シャルピー衝撃強度(ノッチ有り)は7回行い、その平均値をシャルピー衝撃強度(ノッチ有り)とした。
(4)靭性(薄肉1mm高速引張破断伸び)
各実施例および比較例により得られたASTM4号ダンベル型試験片を用いて、ASTMD638に従い、引張速度100mm/minで引張試験を実施し、引張破断伸びを測定した。
(5)薄肉成形性
各実施例および比較例により得られたポリアミド樹脂組成物ペレットを40℃、24時間の条件で真空乾燥し、以下の射出成形条件により、厚み1mm、幅10mmのバーフロー成形品を作製し、バーフロー流動長を測定した。射出条件は、ポリアミド樹脂の融点+25℃のシリンダー温度において、金型温度40℃、射出圧30MPa、射出速度100mm/s、スクリュー回転数100rpm、計量位置50mm、サックバック3mm、射出時間15s、冷却時間15sである。バーフロー流動長測定は10回行い、その平均値をバーフロー流動長とした。
(6)固化特性
各実施例および比較例により得られたポリアミド樹脂組成物ペレットを40℃、24時間の条件で真空乾燥し、DSCにより融点(Tm)、結晶化温度(Tc)を測定した。結晶化特性の指標としてTm−Tcを評価した。
(7)離型性
各実施例および比較例により得られたポリアミド樹脂組成物ペレットを40℃、24時間の条件で真空乾燥し、以下の射出成形条件により、25mm×25mm×25mm、肉厚1mmの箱型成形品を作製した。離型時にかかるエジェクタプレートへの負荷をロードセルで測定し、この数値を離型力とした。射出条件は、ポリアミド樹脂の融点+25℃のシリンダー温度において、金型温度40℃、射出圧100MPa、射出速度100mm/s、スクリュー回転数100rpm、計量位置50mm、サックバック3mm、射出時間15s、冷却時間15sである。
各実施例および比較例に用いた原材料を以下に示す。
ポリアミド樹脂:
A−1:融点225℃、ISO307に準拠して測定した粘度数が109ml/gであるポリアミド610樹脂。
A−2:融点225℃、ISO307に準拠して測定した粘度数が132ml/gであるポリアミド610樹脂。
A−3:融点225℃、ISO307に準拠して測定した粘度数が140ml/gであるポリアミド610樹脂。
A−4: 融点225℃、ISO307に準拠して測定した粘度数が132ml/gであるポリアミド6樹脂。
A−5:融点185℃、ISO307に準拠して測定した粘度数が132ml/gであるポリアミド12樹脂。
エチレン−αオレフィン系共重合エラストマー(B)
B−1:無水マレイン酸変性エチレン−1−ブテン共重合体「“タフマー”(登録商標)MH7020」(三井化学(株)製)。
B−2:エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)(プライムポリマー(株)製)。
可塑剤(C)
C−1:N−ブチルベンゼンスルホンアミド「BBSA」(東レ・ファインケミカル(株)製)。
結晶核剤(D)
D−1:“ミクロンホワイト”(登録商標)#7000(林化成(株)製)。
D−2:酸化チタンA−220(石原産業(株)製)。
離型剤(E)
E−1:Licowax OP(モンタン酸部分鹸化エステルワックス)(クラリアントケミカルズ(株)製)
(実施例1〜10、比較例1〜8)
表1〜3に示した配合組成で混合し、真空ポンプによる揮発分の除去を行いながら、スクリュー径75mmの2軸押出機(東芝機械社製、TEM75)を使用し、バレル設定温度240〜270℃で溶融押出した。吐出量は70kg/hr、スクリュー回転速度は300rpmであった。吐出樹脂をストランド状に引いて冷却バスを通過させて冷却し、ペレタイザーにより引取りながら裁断することにより、ポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。得られたポリアミド樹脂組成物のペレットを40℃、24時間の条件で真空乾燥し、日精樹脂工業社製NEX1000成形機を用いて、ポリアミド樹脂の融点+25℃のシリンダー温度において、金型温度40℃、射出速度100mm/s、スクリュー回転数100rpmの条件で射出成形することにより、ISO3167規格Type−IA多目的試験片(長さ170mm、平行部が幅10mm、厚み4mm)を得た。得られた前記多目的試験片を用いて、曲げ弾性率、耐衝撃性、薄肉1mm引張破断伸びおよび薄肉成形性を測定した。前述の方法により評価した結果を表1〜3に示す。
Figure 2020059846
Figure 2020059846
Figure 2020059846
実施例1〜10は比較例1〜8に比べて、成形品の剛性保持率、耐衝撃特性、および薄肉成形性に優れる。実施例1は実施例6よりも好ましい粘度数(VN)のポリアミド610樹脂(A)を含有している為、流動性により優れる。

Claims (5)

  1. 粘度数(VN)が135ml/g以下のポリアミド610樹脂(A)、エチレン−αオレフィン系共重合エラストマー(B)および可塑剤(C)を含有するポリアミド樹脂組成物であって、ポリアミド610樹脂(A)100重量部に対し、前記(B)を10重量部以上35重量部以下、前記(C)を1重量部以上20重量部以下含有するポリアミド樹脂組成物。
  2. 前記(B)が無水マレイン酸変性エチレン−1−ブテン共重合体である、請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
  3. 下記方法によるバーフロー流動長試験による、バーフロー流動長が75mm以上である請求項1および2に記載のポリアミド樹脂組成物。
    バーフロー流動長試験:厚み1mm、幅10mmのキャビティを使用し、金型温度40℃、ポリアミド樹脂の融点+25℃のシリンダー温度において、射出圧30MPa、射出速度100mm/s、スクリュー回転数100rpm、計量位置50mm、サックバック3mm、射出時間15s、冷却時間15sでバーフロー流動長を測定。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を含む成形品。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を含む、厚み1mm以下の成形品。
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WO2023218686A1 (ja) * 2022-05-13 2023-11-16 Ube株式会社 単層の中空成形体用ポリアミド樹脂組成物

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