JP5056139B2 - 圧電薄膜素子 - Google Patents
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Description
従来からの製法である焼結法を中心とする製造方法により作製した圧電材料は、結晶粒が比較的大きいため、近年の小型化の要求に沿って薄膜化を進めるには大きな問題がある。つまり、10μm程度の薄膜になると、その膜厚が、材料を構成する結晶粒の大きさに近づいてしまうため、個々の結晶粒の特性の影響が無視できなくなる。そのため、特性のばらつきや劣化が顕著になるといった問題が発生する。
また、固形状の焼結体を薄膜形状に加工することは、経済的・工業的見地から見ても現実的な方法とは言い難い。
このような理由から、焼結法に代わって薄膜形成技術を応用した圧電材料の形成法が近年盛んに研究されるようになってきた。薄膜形成技術としては、例えばスパッタリング法(特許文献1参照)や、PLD(レーザーアブレーション法)、ゾルゲル法等がある。最近、RFスパッタリング法で形成したPZT薄膜が高精細高速インクジェットプリンタのヘッド用アクチュエータとして実用化されている(特許文献2参照)。
他方、前記のPZTから成る圧電焼結体や圧電薄膜は、鉛を60〜70重量%程度含有しているため、生態学的見地および公害防止の面から好ましくない。そこで、環境への配慮から鉛を含有しない圧電材料の開発が望まれている。
にするために絶縁耐圧について検討されたものがあるが(特許文献4参照)、(K+Na)/Nbの組成比について検討されたものはない。
したがって、ニオブ酸カリウムナトリウムを構成するK、Na及びNbの組成を検討しないと、ニオブ酸カリウムナトリウム薄膜の結晶の物性を変化させることは困難となり、優れた圧電特性が得られないと考えられる。
以上述べたように、従来のニオブ酸カリウムナトリウム薄膜はK、Na及びNbの組成が全く配慮されておらず、圧電特性低下の要因になっていた。
この知見を基に、以下、本発明を実施するための最良の形態を説明するが、この実施の形態は例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能である。
図1に示すように、本実施形態における圧電薄膜素子8は、基板1、下部電極2、圧電薄膜3、上部電極4から形成される。
基板1はニオブ酸カリウムナトリウムを成膜する際の温度に耐える耐熱性を有することが必要であり、さらに安価であることも工業的には重要な要素である。これに最も適した基板1としてはSi基板が好ましいが、技術的には他の基板も使用できる。また上部電極4及び下部電極2を構成する電極材料も同様に耐熱性を有することが必要であり、白金等を用いることが好ましいが、これに限定されるものではない。
上記圧電薄膜3は、一般式(KxNa1−x)NbO3(0<x<1)で表されるペロブスカイト構造を有するニオブ酸カリウムナトリウム薄膜である。
ニオブ酸カリウムナトリウム薄膜結晶が理想的な立方晶とするときの(K+Na)/Nbの組成比は1.0である。しかし、本実施の形態では、上記圧電薄膜3の(K+Na)/Nbの組成比は、1.15<(K+Na)/Nb<1.50の範囲内とする。圧電薄膜3は一層で形成し、上記組成比を上記範囲内に入るように均一としている。
組成比の下限については、後述する圧電定数と組成比の関係(図7)から、組成比が1.15を越えると充分大きな圧電定数が得られ、逆に組成比が1.15未満であれば大きな圧電定数が得られない。
組成比の上限については、組成比が1.50を越えるとペロブスカイト構造が崩れて圧電特性の劣化を引き起こし、逆に組成比が1.50未満であればペロブスカイト構造は崩れず圧電特性の劣化も生じない。
したがって、組成比は1.15から1.50であることが好ましく、この範囲内であれば、十分大きな圧電定数が得られ、圧電特性の劣化も生じない。
上記圧電薄膜3の膜厚は0.2μm以上かつ10μm以下である。膜厚が0.2μm以上であれば、圧電薄膜素子8としての実効的な圧電特性を得ることができ、10μm以上の膜厚の圧電薄膜3を作製したい場合は、従来のように焼結体を用いればよい。
また、ニオブ酸カリウムナトリウム薄膜に少量の添加物(例えば、原子数濃度8%以下のLi)を混入した場合も、圧電特性の向上といった効果が期待できる。
さらに、圧電薄膜3が多層構造または傾斜組成構造を有する場合において、圧電薄膜3全体の膜厚の5%以上が上記組成比を有する薄膜である場合も同様の効果が期待できる。さらに膜厚の20%以上が上記組成比を有する薄膜であることが望ましい。
図1に示すように、基板1上に、例えばスパッタリング法で白金下部電極2を形成する。その下部電極2上に、上記ニオブ酸カリウムナトリウム薄膜3を成膜する。その成膜方法としては、例えば、スパッタリング法、CVD法、PLD法、ゾルゲル法などが挙げられる。スパッタリング法で製膜する場合、(K+Na)/Nbの組成比を1.15以上にするには、ターゲットとなるニオブ酸カリウムナトリウム焼結体の組成をNbの含有率が少ないもの(例えば(K+Na)/Nb>1))にしたり、ターゲットの水冷具合を調節
し、成膜中のターゲット表面温度を高くしたりすればよい。その後、白金下部電極2と同様に、白金上部電極4を形成する。このように圧電薄膜素子8を製造する。
本実施の形態の圧電薄膜素子によれば、次のような効果が得られる。
圧電薄膜におけるK、Na及びNbの組成が、1.15<(K+Na)/Nb<1.50の関係を有するので、圧電特性の劣化を招くことなく、十分大きな圧電定数を得ることができる。その結果、焼結体に匹敵する優れた圧電特性を実現することができる。また、圧電薄膜素子は、鉛を全く含有していないので、鉛フリーの環境問題に容易に対応することができる。
さらに、圧電薄膜の厚さが0.2μm以上かつ10μm以下であるので、圧電薄膜素子の小型化の要請に充分に応えることができる。例えば、インクジェットプリンタ、スキャナー、ジャイロ、超音波発生装置、超音波センサ、圧力センサ、速度センサ、加速度センサなどの小型電子部品に利用することができる。
例えば、実施の形態では圧電薄膜を単層で形成し、その組成比を上記範囲内に入るように均一としたが、圧電薄膜を二層以上で形成し、そのうちの少なくとも一層(一部の層)の組成比を上記範囲内に入るように均一としてもよい。また、圧電薄膜を組成比が徐々に変化する傾斜層とし、その組成比を上記範囲内に入るように変化させてもよい。これらの場合において、上記組成比を有する一部の層における膜厚は圧電薄膜の全膜厚の5%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましい(図9)。
また、実施の形態では、金属RにKとNaを混入するようにしたが、金属Rに少量の添加物、例えば、原子濃度8%以下のLiを混入しても良く、その場合にも、実施の形態と同様に圧電特性の向上といった効果が期待できる。
第一の態様によれば、基板上に少なくとも下部電極、一般式(KxNa1−x)NbO3(0<x<1)で表されるペロブスカイト構造を有し、膜厚が0.2μm以上かつ10μm以下である圧電薄膜、及び上部電極を配した構造を有する圧電薄膜素子であって、前記圧電薄膜におけるK、Na及びNbの組成が、1.15<(K+Na)/Nb<1.50の関係を有する圧電薄膜素子が提供される。
薄膜を結晶成長させる工程と、前記圧電薄膜上に上部電極を形成する工程とを有し、
前記結晶成長工程では、ターゲットに(KxNa1−x)NbO3焼結体を用いたスパッタリング法により、膜厚が0.2μm以上かつ10μm以下で、K、Na及びNbの組成が、1.15<(K+Na)/Nb<1.50の関係を有する圧電薄膜を結晶成長させる圧電薄膜素子の製造方法が提供される。
前記結晶成長工程では、前記圧電薄膜の一部の層に、K、Na及びNbの組成が、1.15<(K+Na)/Nb<1.50の関係を有する圧電薄膜を結晶成長させる圧電薄膜素子の製造方法が提供される。
(圧電薄膜の作製)
実施例1において、(K0.5Na0.5)NbO3圧電薄膜を作製した。作製した圧電薄膜体を図2に示した。
基板1にはSi基板((001)面方位、厚さ0.5mm)を用いた。
そのSi基板1上にRFマグネトロンスパッタリング法で、白金下部電極2((111)面単独配向、膜厚0.2μm)を形成した。白金下部電極2は、基板温度600℃、放電パワー200W、導入ガスはAr雰囲気、圧力2.5Pa、成膜時間10分の条件で成膜した。
その上に、(K0.5Na0.5)NbO3圧電薄膜5(膜厚3.0μm)をRFマグネトロンスパッタリング法で形成した。(K0.5Na0.5)NbO3圧電薄膜5は、スパッタリングターゲットに(K+Na)/Nbの組成比が1.2およびK/(K+Na)の組成比が0.5の(KxNa1−x)NbO3焼結体を用い、基板温度570℃、放電パワー100W、導入ガスはAr雰囲気、圧力0.4Pa、成膜時間4時間の条件で成膜した。
このように、実施例1における(K0.5Na0.5)NbO3圧電薄膜体9を作製した。
また、比較例の圧電薄膜体についても、スパッタリングターゲットに(K+Na)/Nbの組成比が1.0の(KxNa1−x)NbO3焼結体を用いたこと以外は、実施例1と同様に作製した。
実施例1及び比較例の圧電薄膜体9の深さ方向の元素組成分布をAES(オージェ電子分光測定)で測定し、その結果をそれぞれ図3及び図4に示した。図3によれば、実施例1におけるNbの原子濃度は17.5(atomic%、以後at%という)、Kの原子濃度は11.5(at%)、Naの原子濃度は10.0(at%)であった。その結果、実施例1の圧電薄膜5では、(K+Na)/Nbの組成比は約1.23であり、1.15〜1.50の範囲内にあった。
図4によれば、比較例の圧電薄膜5では、Nbの原子濃度は19.5(at%)、Kの原子濃度は10.8(at%)、Naの原子濃度は9.3(at%)であった。その結果、比較例の圧電薄膜5では、(K+Na)/Nbの組成比は約1.03であり、1.15〜1.50の範囲から外れた。
圧電特性評価測定を行うために、上記圧電薄膜5の上に白金上部電極4(膜厚0.02μm)をRFマグネトロンスパッタリング法で形成し、図1に示す圧電薄膜素子8を得た。
図5(a)は、圧電特性評価測定を行うためのユニモルフカンチレバー15の概略を示す図である。図5(a)に示すように、上記圧電薄膜素子8から、長さ20mm×幅2.5mmの短冊形試料を切り出し、長手方向の端を除震台22の上に設置されたクランプ20で固定し、簡易的なユニモルフカンチレバー15を構成した。除震台22により、震動がユニモルフカンチレバー15に与える影響を除去することができる。
Si基板11上に形成された白金上下両電極12,14間の(K0.5Na0.5)NbO3薄膜13に電圧を印加し、上記薄膜13を伸縮させることで、図5(b)に示すようにユニモルフカンチレバー15全体を屈曲動作させ、それによりユニモルフカンチレバー15の先端を動作させた。その先端最大変位量30(Δt)をレーザードップラ変位計21で測定した。その結果得られた実施例1及び比較例における印加電圧と先端最大変位量(以後、圧電変位量という)との関係を図6に示した。図6より、比較例の圧電薄膜素子と比較して、実施例1の圧電薄膜素子では、圧電によるユニモルフカンチレバー先端の変位量が約3倍になっていることがわかった。
上記試料の寸法及び印加電圧と圧電変位量との関係から、圧電定数d31を計算した結果、本実施例により作製した圧電薄膜素子の圧電定数d31は92(−pm/V)であった。それに対し、比較例により作製した圧電薄膜素子の圧電定数d31は30(−pm/V)であった。
このことより、本発明を用いることで、従来技術よりも圧電特性の優れた(KxNa1−x)NbO3圧電薄膜5を作製できることが確認できた。
さらに、(K+Na)/Nbの組成比が異なる(KxNa1−x)NbO3圧電薄膜を成膜し、上記と同様の方法で、各々の圧電定数d31を計算した。その圧電定数と組成比との関係を図7に示した。図7に示すように、(K+Na)/Nbの組成比が1.15未満では圧電定数d31は40(−pm/V)以下であるが、(K+Na)/Nbの組成比が1.15より大きくなると圧電定数d31の値が急激に向上するのがわかった。
(圧電薄膜素子の作製)
実施例2の(K0.5Na0.5)NbO3圧電薄膜が実施例1と異なる点は、(K0.5Na0.5)NbO3圧電薄膜を単層ではなく2層で形成した点である。実施例2において作製した圧電薄膜体10を図8に示した。
1層目の圧電薄膜6として、組成比(K+Na)/Nb=1.2、K/(K+Na)=0.5の(KxNa1−x)NbO3焼結体をターゲットに用い、成膜時間50分の条件で、(K+Na)の組成がNbよりリッチな(KxNa1−x)NbO3薄膜を形成した。
2層目の圧電薄膜7として、組成比(K+Na)/Nb=1.0、K/(K+Na)=0.5の(KxNa1−x)NbO3焼結体をターゲットに用い、成膜時間3時間10分の条件で、(K+Na)とNbの組成比が等しい(KxNa1−x)NbO3薄膜を形成した。
これにより上記2層の圧電薄膜6、7の厚さの合計を3.0μmとした。
上下薄膜の成膜時間の関係から、薄膜全体の厚さから見て、1層目の薄膜の占める割合は(K0.5Na0.5)NbO3圧電薄膜全体の21%、2層目の薄膜の占める割合は
79%であった。
実施例1と同様に、実施例2における圧電薄膜の深さ方向の元素組成分布を測定した。その結果を図9に示した。図9によれば、実施例2の圧電薄膜体10では、2層構造の(K0.5Na0.5)NbO3薄膜のうち、1層目の薄膜6では、Nbの原子濃度は17.5(at%)、Kの原子濃度は11.5(at%)、Naの原子濃度は10.0(at%)であった。したがって、(K+Na)/Nbの組成比は約1.23であり、1.15〜1.50の範囲内にあった。
2層目の薄膜7では、Nbの原子濃度は19.5(at%)、Kの原子濃度は11.0(at%)、Naの原子濃度は9.0(at%)であった。従って、(K+Na)/Nbの組成比は約1.03であり、1.15〜1.50の範囲外になった。
実施例1と同様に、白金上部電極を作製し、実施例2及び比較例において圧電特性評価測定を行った。その結果得られた印加電圧と先端最大変位量との関係を図10に示した。
図10より、従来技術を用いて作製した圧電薄膜素子よりも、本発明を用いた圧電薄膜素子の方が、圧電によるユニモルフカンチレバー先端の変位量が大きかった。
実施例1と同様に、圧電定数d31を計算した結果、実施例2の圧電薄膜素子の圧電定数d31は64(−pm/V)であった。
このことより、本発明を用いた圧電薄膜が圧電薄膜全体の21%しか占めていなくとも、従来技術よりも圧電特性の優れた(KxNa1−x)NbO3圧電薄膜を作製できることが確認できた。
2 下部電極
3 (KxNa1−x)NbO3圧電薄膜
4 上部電極
5 (K0.5Na0.5)NbO3圧電薄膜
6 1層目の圧電薄膜
7 2層目の圧電薄膜
8 圧電薄膜素子
9 圧電薄膜体
10 圧電薄膜体
11 Si基板
12 白金下部電極
13 (K0.5Na0.5)NbO3圧電薄膜
14 白金上部電極
15 ユニモルフカンチレバー
20 クランプ
21 レーザードップラ変位計
22 除震台
30 先端最大変位量
Claims (2)
- 基板上に少なくとも下部電極、一般式(KxNa1-x)NbO3(0<x<1)で表されるペロブスカイト構造を有し、膜厚が0.2μm以上かつ10μm以下である圧電薄膜、及び上部電極を配した構造を有する圧電薄膜素子であって、前記圧電薄膜におけるK、Na及びNbの組成が、1.15<(K+Na)/Nb<1.50の範囲内で徐々に変化させた傾斜層であることを特徴とする圧電薄膜素子。
- 基板上に少なくとも下部電極、一般式(KxNa1-x)NbO3(0<x<1)で表されるペロブスカイト構造を有し、膜厚が0.2μm以上かつ10μm以下である圧電薄膜、及び上部電極を配した構造を有する圧電薄膜素子であって、前記圧電薄膜の一部の層におけるK、Na及びNbの組成が、1.15<(K+Na)/Nb<1.50の範囲内で徐々に変化させた傾斜層であることを特徴とする圧電薄膜素子。
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