JP2010135669A - 薄膜圧電体付き基板、薄膜圧電体素子、薄膜圧電体デバイスおよび薄膜圧電体付き基板の製造方法 - Google Patents
薄膜圧電体付き基板、薄膜圧電体素子、薄膜圧電体デバイスおよび薄膜圧電体付き基板の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】ニオブ酸リチウムカリウムナトリウムなどの薄膜圧電体表面の平坦性の向上が図れる薄膜圧電体付き基板、薄膜圧電体素子、薄膜圧電体デバイスおよび薄膜圧電体付き基板の製造方法を提供する。
【解決手段】基板1と、基板1の表面に形成される酸化膜と、酸化膜上に形成される下部電極層2と、下部電極層2上に形成されるペロブスカイト型の圧電体層3とを有する薄膜圧電体付き基板であって、圧電体層3は、(NaxKyLiz)NbO3(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦z≦0.2,x+y+z=1)であり、下部電極層2は、所定方向に配
向して形成され、圧電体層3を下部電極層2に対し所定方向に配向させている。
【選択図】図1
【解決手段】基板1と、基板1の表面に形成される酸化膜と、酸化膜上に形成される下部電極層2と、下部電極層2上に形成されるペロブスカイト型の圧電体層3とを有する薄膜圧電体付き基板であって、圧電体層3は、(NaxKyLiz)NbO3(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦z≦0.2,x+y+z=1)であり、下部電極層2は、所定方向に配
向して形成され、圧電体層3を下部電極層2に対し所定方向に配向させている。
【選択図】図1
Description
本発明は、ニオブ酸リチウムカリウムナトリウムなど薄膜圧電体表面の平坦性の向上を図った薄膜圧電体付き基板、薄膜圧電体素子、薄膜圧電体デバイスおよび薄膜圧電体付き基板の製造方法に関する。
圧電体は種々の目的に応じて様々な圧電素子に加工され、特に電圧を加えて変形を生じさせるアクチュエータや、逆に素子の変形から電圧を発生するセンサなどの機能性電子部品として広く利用されている。
アクチュエータやセンサの用途に利用されている圧電体としては、大きな圧電特性を有する鉛系の誘電体、特にPZTと呼ばれるPb(Zr1−xTix)O3系のペロブスカイト型強誘電体がこれまで広く用いられており、通常個々の元素からなる酸化物を焼結することにより形成されている。
また、近年では環境への配慮から鉛を含有しない圧電体の開発が望まれており、ニオブ酸リチウムカリウムナトリウム(一般式:(NaxKyLiz)NbO3(0<x<1,0<y<1,0<z<1,x+y+z=1)等が開発されている。このニオブ酸リチウムカリウムナトリウムは、PZTに匹敵する圧電特性を有すことから、非鉛圧電材料の有力な候補として期待されている。
アクチュエータやセンサの用途に利用されている圧電体としては、大きな圧電特性を有する鉛系の誘電体、特にPZTと呼ばれるPb(Zr1−xTix)O3系のペロブスカイト型強誘電体がこれまで広く用いられており、通常個々の元素からなる酸化物を焼結することにより形成されている。
また、近年では環境への配慮から鉛を含有しない圧電体の開発が望まれており、ニオブ酸リチウムカリウムナトリウム(一般式:(NaxKyLiz)NbO3(0<x<1,0<y<1,0<z<1,x+y+z=1)等が開発されている。このニオブ酸リチウムカリウムナトリウムは、PZTに匹敵する圧電特性を有すことから、非鉛圧電材料の有力な候補として期待されている。
一方、現在、各種電子部品の小型化、高性能化が進むにつれ、圧電素子においても小型化、高性能化が強く求められるようになった。しかしながら、従来からの製法である焼結法を中心とした製造方法により作製した圧電材料は、その厚みが特に10μm以下の厚さになると、材料を構成する結晶粒の大きさに近づき、その影響が無視できなくなる。そのため、特性のばらつきや劣化が顕著になるといった問題が発生し、それを回避するために、焼結法に変わる薄膜技術等を応用した圧電体の形成法が近年研究されるようになってきた。
最近、RFスパッタリング法で形成したPZT薄膜が、高精細高速インクジェットプリンタのヘッド用アクチュエータや、小型低価格のジャイロセンサとして実用化されている(例えば、特許文献1参照)。また、ニオブ酸リチウムカリウムナトリウムの圧電薄膜を用いた圧電体薄膜素子も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
最近、RFスパッタリング法で形成したPZT薄膜が、高精細高速インクジェットプリンタのヘッド用アクチュエータや、小型低価格のジャイロセンサとして実用化されている(例えば、特許文献1参照)。また、ニオブ酸リチウムカリウムナトリウムの圧電薄膜を用いた圧電体薄膜素子も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
上記のように圧電体薄膜として使用可能な非鉛圧電体薄膜を形成することにより、環境負荷が小さい高精細高速インクジェットプリンタのヘッドや小型低価格なジャイロセンサを作製することが可能となる。
ニオブ酸リチウムカリウムナトリウムなどのアルカリニオブ酸化物系の薄膜圧電体を、低価格な基板であるSi基板やガラス基板などに形成することができると、低コストの圧電薄膜素子が作製できることから非常に有用な方法となる。
アクチュエータやセンサを作製する場合、圧電体薄膜の上下には電極が必要となる。例えば、圧電体薄膜の上下の電極に電圧を印加してアクチュエータとして作動させる。圧電
体薄膜の表面状態は、その上部の上部電極の表面状態に影響を及ぼすため、電極表面をミラーとして用いるデバイスを形成する場合、例えば、圧電体層上に複数の上部電極を配置してこれら上部電極に個別に電圧を印加し、圧電体層を任意の形状に変形させることで複数の上部電極層を可変形状ミラーとして使用する場合などには、圧電薄膜の表面がミラー状でない場合は、上部電極をミラー状に作製することは困難となる。
体薄膜の表面状態は、その上部の上部電極の表面状態に影響を及ぼすため、電極表面をミラーとして用いるデバイスを形成する場合、例えば、圧電体層上に複数の上部電極を配置してこれら上部電極に個別に電圧を印加し、圧電体層を任意の形状に変形させることで複数の上部電極層を可変形状ミラーとして使用する場合などには、圧電薄膜の表面がミラー状でない場合は、上部電極をミラー状に作製することは困難となる。
ところが、本発明者の検討によると、Si基板などにニオブ酸リチウムカリウムナトリウム膜やニオブ酸カリウムナトリウム膜の圧電体薄膜を形成した場合、圧電体薄膜の表面は非常に粗く、表面の凹凸が大きかった。この圧電体薄膜を、AFMや表面段差計を用いて表面凹凸を測定したところ、その表面の二乗平均粗さや算術平均粗さは50nmを超え、見た目にも明らかにミラー面ではなかった。このため、ニオブ酸リチウムカリウムナトリウム薄膜やニオブ酸カリウムナトリウム膜の圧電体薄膜を用いて可変形状ミラーなどのデバイスを作製するのは困難であり、これら圧電薄膜の適用用途を限定する結果となっていた。
本発明は、上記課題を解決し、ニオブ酸リチウムカリウムナトリウムなどの薄膜圧電体表面の平坦性の向上が図れる薄膜圧電体付き基板、薄膜圧電体素子、薄膜圧電体デバイスおよび薄膜圧電体付き基板の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は次のように構成されている。
本発明の第1の態様は、基板と、前記基板の表面に形成される酸化膜と、前記酸化膜上に形成される下部電極層と、前記下部電極層上に形成されるペロブスカイト型の圧電体層とを有し、前記圧電体層は、(NaxKyLiz)NbO3(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦z≦0.2,x+y+z=1)であり、前記下部電極層は、所定方向に配向して形成
され、前記圧電体層を前記下部電極層に対し所定方向に配向させていることを特徴とする薄膜圧電体付き基板である。
され、前記圧電体層を前記下部電極層に対し所定方向に配向させていることを特徴とする薄膜圧電体付き基板である。
本発明の第2の態様は、基板と、前記基板の一方の面に形成される酸化膜と、前記酸化膜上に形成される下部電極層と、前記下部電極層上に形成されるペロブスカイト型の圧電体層とを有し、前記圧電体層は、(NaxKyLiz)NbO3(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦z≦0.2,x+y+z=1)であり、前記下部電極層は、所定方向に配向して
形成され、且つ前記圧電体層を前記下部電極層に対し所定方向に配向させていると共に、前記下部電極層と前記圧電体層との間には、前記圧電体層の配向性を向上させるための配向制御層が設けられていることを特徴とする薄膜圧電体付き基板である。
形成され、且つ前記圧電体層を前記下部電極層に対し所定方向に配向させていると共に、前記下部電極層と前記圧電体層との間には、前記圧電体層の配向性を向上させるための配向制御層が設けられていることを特徴とする薄膜圧電体付き基板である。
本発明の第3の態様は、基板上に直接またはSi酸化膜を介してPt(111)に配向させたPt電極層が形成され、前記Pt電極層に(NaxKyLiz)NbO3(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦z≦0.2,x+y+z=1)で表されるペロブスカイト型酸化
物を主相とする圧電体層が形成されていることを特徴とする薄膜圧電体付き基板である。
物を主相とする圧電体層が形成されていることを特徴とする薄膜圧電体付き基板である。
本発明の第4の態様は、第1〜第3の態様のいずれかの薄膜圧電体付き基板において、前記圧電体層は、(001)面もしくは(110)面のいずれか、またはそれら両方に配向して形成されていることを特徴とする薄膜圧電体付き基板である。
本発明の第5の態様は、第1〜第4の態様のいずれかの薄膜圧電体付き基板において、前記圧電体層の表面が、面積が10μm平方の任意の場所において、算術平均粗さが5nm以下である箇所、二乗平均粗さが6.5nm以下である箇所、最大最小粗さが50nm
以下である箇所、のいずれかが少なくとも1箇所以上存在することを特徴とする薄膜圧電
体付き基板である。
以下である箇所、のいずれかが少なくとも1箇所以上存在することを特徴とする薄膜圧電
体付き基板である。
本発明の第6の態様は、第1〜第5の態様のいずれかの薄膜圧電体付き基板の前記圧電体層の上部に、上部電極層が形成されていることを特徴とする薄膜圧電体素子である。
本発明の第7の態様は、第6の態様の薄膜圧電体素子を用いて作製されたことを特徴とする薄膜圧電体デバイスである。
本発明の第8の態様は、基板の表面に熱酸化膜を形成し、前記基板を加熱状態にしてスパッタリング法を用いて前記酸化膜上にPt(111)に配向させたPt薄膜を含む下部電極層を形成し、前記下部電極層上に配向制御層を形成し、前記配向制御層上に(NaxKyLiz)NbO3(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦z≦0.2,x+y+z=1)で
表されるペロブスカイト型酸化物を主相とする圧電体層を形成したことを特徴とする薄膜圧電体付き基板の製造方法である。
表されるペロブスカイト型酸化物を主相とする圧電体層を形成したことを特徴とする薄膜圧電体付き基板の製造方法である。
本発明によれば、ニオブ酸リチウムカリウムナトリウムなどの薄膜圧電体表面の平坦性に優れた薄膜圧電体付き基板、薄膜圧電体素子、薄膜圧電体デバイスが得られる。
以下、本発明に係る薄膜圧電体付き基板の実施形態を説明する。
本実施形態の薄膜圧電体付き基板は、基板と、前記基板の表面に形成される酸化膜と、前記酸化膜上に形成される下部電極層と、前記下部電極層上に形成されるペロブスカイト型の圧電体層とを有し、前記圧電体層は、(NaxKyLiz)NbO3(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦z≦0.2,x+y+z=1)であり、前記下部電極層は、所定方向に
配向して形成され、前記圧電体層を前記下部電極層に対し所定方向に配向させている薄膜圧電体付き基板である。
配向して形成され、前記圧電体層を前記下部電極層に対し所定方向に配向させている薄膜圧電体付き基板である。
前記基板には、Si基板、MgO基板、SrTiO3基板、ガラス基板、石英ガラス基板、GaAs基板、サファイア基板、Ge基板、ステンレス基板などが挙げられる。特に、低価格で且つ工業的に実績があるSi基板が好ましい。
基板の表面に形成される前記酸化膜は、熱酸化により形成される熱酸化膜、PE−CVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)により形成されるSi酸化膜などが
挙げられる。なお、前記酸化膜を形成せずに、石英ガラス、MgO、SrTiO3などの基板上に、直接にPt電極などの下部電極層を形成してもよい。
挙げられる。なお、前記酸化膜を形成せずに、石英ガラス、MgO、SrTiO3などの基板上に、直接にPt電極などの下部電極層を形成してもよい。
前記下部電極層は、PtもしくはPtを主成分とする合金からなる電極層、またはこれらを積層した構造の電極層を含む電極層であることが好ましい。また、基板とPtもしくはPtを主成分とする合金からなる電極層との間に、基板との密着性を高めるための密着層を設けても良い。
前記圧電体層は、(NaxKyLiz)NbO3(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦z≦0.2,x+y+z=1)で表されるペロブスカイト型酸化物を主相とする圧電体層でよ
い。例えば、ニオブ酸カリウムナトリウムやニオブ酸リチウムカリウムナトリウムに、所定量のTaなどがドーピングされていても良い。前記圧電体層は、RFスパッタリング法などを用いて形成される。
また、前記圧電体層は、(001)面もしくは(110)面のいずれか、またはそれら両方に配向して形成されているのが好ましい。
(001)面などの所定方向に強く配向された圧電体層の表面は、鏡面状態の平坦な面となる。この圧電体層の表面粗さを、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy;AF
M)で測定したところ、面積が10μm平方の任意の場所において、算術平均粗さが5nm以下である箇所、二乗平均粗さが6.5nm以下である箇所、最大最小粗さが50nm
以下である箇所、のいずれかが少なくとも1箇所以上存在していた。本実施形態の圧電体層は、膜厚が1μm以上でも十分に平坦性が保てる。
い。例えば、ニオブ酸カリウムナトリウムやニオブ酸リチウムカリウムナトリウムに、所定量のTaなどがドーピングされていても良い。前記圧電体層は、RFスパッタリング法などを用いて形成される。
また、前記圧電体層は、(001)面もしくは(110)面のいずれか、またはそれら両方に配向して形成されているのが好ましい。
(001)面などの所定方向に強く配向された圧電体層の表面は、鏡面状態の平坦な面となる。この圧電体層の表面粗さを、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy;AF
M)で測定したところ、面積が10μm平方の任意の場所において、算術平均粗さが5nm以下である箇所、二乗平均粗さが6.5nm以下である箇所、最大最小粗さが50nm
以下である箇所、のいずれかが少なくとも1箇所以上存在していた。本実施形態の圧電体層は、膜厚が1μm以上でも十分に平坦性が保てる。
Si基板等、ニオブ酸リチウムカリウムナトリウム膜(ニオブ酸カリウムナトリウムなど含む)との格子整合を考えていない基板上に、下部電極層を形成し、その上部にニオブ酸リチウムカリウムナトリウム膜を形成すると多結晶薄膜となる。従来は、特に結晶の向き(配向)に関しては考慮することなく形成していたため、形成したニオブ酸リチウムカリウムナトリウム膜は配向性の全くない多結晶薄膜として形成されていた。このニオブ酸リチウムカリウムナトリウム薄膜の表面凹凸は非常に大きく、その理由は、薄膜を形成する際、結晶成長速度の面方位依存性が高いからではないかと考えた。
そこで、ニオブ酸リチウムカリウムナトリウム薄膜を、単一の面方位に表面が向くように、一軸性の配向を持つ多結晶薄膜にする検討を行った。その方策として、まず下地の下部電極層をアモルファス状態ではなく結晶状態になるようにし、その上部にニオブ酸リチウムカリウムナトリウム膜を形成した。
結晶状態の下部電極層は、Pt等、結晶構造が立方晶の場合、最密面である(1ll)面に配向する。Pt等の下地電極層を、基板を加熱状態にしてスパッタリング法を用いて成膜すると、Pt(111)に配向させたPt薄膜が形成される。この下地電極層の結晶構造がきっかけとなって、その上部のニオブ酸リチウムカリウムナトリウム膜は(001)面に配向しやすくなり、ニオブ酸リチウムカリウムナトリウム膜の表面はミラー状態となって平坦性が大幅に向上する。
結晶状態の下部電極層は、Pt等、結晶構造が立方晶の場合、最密面である(1ll)面に配向する。Pt等の下地電極層を、基板を加熱状態にしてスパッタリング法を用いて成膜すると、Pt(111)に配向させたPt薄膜が形成される。この下地電極層の結晶構造がきっかけとなって、その上部のニオブ酸リチウムカリウムナトリウム膜は(001)面に配向しやすくなり、ニオブ酸リチウムカリウムナトリウム膜の表面はミラー状態となって平坦性が大幅に向上する。
更に、ニオブ酸リチウムカリウムナトリウム膜の配向状態をより改善するために、上記実施形態において、前記下部電極層と前記圧電体層との間に、前記圧電体層の配向性を向上させるための配向制御層を設けてもよい。
配向制御層は、LaNiO3、LaAlO3、SrTiO3、SrRuO3、La0.
6Sr0.4FeO3、La0.6Sr0.4CoO3、KNbO3、NaNbO3及びこ
れらの固溶体、もしくはこれらのいずれかを含む積層体が好ましい。
LaNiO3などの(001)に揃い易い配向制御層を形成してその上部にニオブ酸リチウムカリウムナトリウム膜を形成すると、より強く(001)配向したニオブ酸リチウムカリウムナトリウム薄膜を形成できる。
配向制御層は、LaNiO3、LaAlO3、SrTiO3、SrRuO3、La0.
6Sr0.4FeO3、La0.6Sr0.4CoO3、KNbO3、NaNbO3及びこ
れらの固溶体、もしくはこれらのいずれかを含む積層体が好ましい。
LaNiO3などの(001)に揃い易い配向制御層を形成してその上部にニオブ酸リチウムカリウムナトリウム膜を形成すると、より強く(001)配向したニオブ酸リチウムカリウムナトリウム薄膜を形成できる。
上記実施形態の薄膜圧電体付き基板に対し、前記圧電体層の上部に、上部電極層を形成することで薄膜圧電体素子を作製でき、また、この薄膜圧電体素子を所定形状に成形したり、電圧印加手段・電圧検出手段を設けたりすることで、各種のアクチュエータやセンサなどの薄膜圧電体デバイスを作製さることができる。これら薄膜圧電体素子や薄膜圧電体デバイスの表面がミラー状態となっているので、表面がミラー状態である必要性がある可変形状ミラーなどのデバイスを作製することが可能となる。
次に、本発明の実施例を説明する。
(実施例1)
図1に、実施例1の圧電薄膜付き基板の断面図を示す。実施例1では、酸化膜を有するSi基板1上に、下部電極層2と、ペロブスカイト型のニオブ酸カリウムナトリウム(以下、KNNという)の圧電体層3とを形成した薄膜圧電体付き基板を作製した。
図1に、実施例1の圧電薄膜付き基板の断面図を示す。実施例1では、酸化膜を有するSi基板1上に、下部電極層2と、ペロブスカイト型のニオブ酸カリウムナトリウム(以下、KNNという)の圧電体層3とを形成した薄膜圧電体付き基板を作製した。
始めに、Si基板1の表面に熱酸化膜を形成し、熱酸化膜上に下部電極層2を形成した。下部電極層2は、まず接着層として形成した厚さ20nmのTi膜と、このTi膜上に電極層として形成した厚さ200nmのPt薄膜とからなる。このPt薄膜の形成にはスパッタリング法を用いて形成した。形成時には基板温度を300℃にして成膜を行って、多結晶薄膜のPt薄膜を形成した。また、比較例として、熱酸化膜を形成したSi基板1上に、基板加熱を行わずに常温でスパッタリングによりPt薄膜を形成した。
これらPt薄膜をX線回折装置で結晶構造を調べた結果、基板加熱を行って形成した実施例1のPt薄膜は、図2にそのX線回折パターン(2θ−ω測定)を示すように、Si基板1の表面に垂直な向きにPt(111)面に配向したPt薄膜が形成されていることが判った。一方、常温で成膜した比較例のPt薄膜は、特定の結晶面からの回折が存在せず、アモルファス状態となっていることが確認できた。
これらPt薄膜をX線回折装置で結晶構造を調べた結果、基板加熱を行って形成した実施例1のPt薄膜は、図2にそのX線回折パターン(2θ−ω測定)を示すように、Si基板1の表面に垂直な向きにPt(111)面に配向したPt薄膜が形成されていることが判った。一方、常温で成膜した比較例のPt薄膜は、特定の結晶面からの回折が存在せず、アモルファス状態となっていることが確認できた。
次に、これら二つのPt電極付きSi基板上に、圧電体層3としてKNN薄膜を形成した。KNN薄膜の成膜にもスパッタリング法を用いて形成した。KNN薄膜の形成には600℃の基板加熱を行い、Ar+O2の混合ガス(混合比は9:1)によるプラズマでスパッタリングを実施した。ターゲットには(NaxKyLiz)NbO3(x=0.5,
y=0.5,z=0)の焼結体ターゲットを用いた。KNN薄膜の成膜はRF出力100
Wで実施し、膜厚が3μmになるまで成膜を行った。
y=0.5,z=0)の焼結体ターゲットを用いた。KNN薄膜の成膜はRF出力100
Wで実施し、膜厚が3μmになるまで成膜を行った。
こうして作製したKNN膜について、X線回折装置を用いてKNN膜の結晶性について調べた。その結果、アモルファス状態のPt膜上に形成した比較例のKNN膜は、図3にそのX線回折パターン(2θ−ω測定)を示すように、特定方向への配向性がなくランダムな多結晶膜となっていることが判った。一方、Pt(111)に配向したPt膜上に形成した実施例1のKNN膜は、図4にそのX線回折パターン(2θ−ω測定)を示すように、KNN(001)に強く配向していることが判った。
これら二つのKNN膜の表面の凹凸をまず目視で調べた結果、常温で成膜したPt電極上に形成した比較例のKNN膜は、くすんだ表面をしていた。これに対して、基板温度が300℃で成膜したPt電極上に形成した実施例1のKNN膜は、明らかに綺麗な表面をしていた。
次に、これら二つのKNN膜について表面の凹凸を原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy;AFM)で調べた。原子間力顕微鏡による表面凹凸の評価は、10μm×10
μmのエリアを20nmピッチで測定して表面粗さを算出した。その結果、比較例のKNN膜は、二乗平均粗さRa、算術平均粗さRMS(Rrms)、最大最小粗さRmaxの値が、測定した箇所のうち、最も値の小さい場所で、それぞれ52nm、61nm、653nmであった。これに対して、実施例1のKNN膜は、表面の二乗平均粗さRa、算術平均粗さRMS、最大最小粗さRmaxが最も小さい場所でそれぞれ17.2nm、23.8nm、
220.5nmとなった。図5に、実施例1のKNN膜表面のAFMによる表面像を示す
。この結果から、下部電極層のPt電極を(1ll)面に配向させて結晶化させ、その上部にKNN膜を形成することによって、KNN膜の表面状態を大幅に平坦化させることが可能となることが判った。
次に、これら二つのKNN膜について表面の凹凸を原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy;AFM)で調べた。原子間力顕微鏡による表面凹凸の評価は、10μm×10
μmのエリアを20nmピッチで測定して表面粗さを算出した。その結果、比較例のKNN膜は、二乗平均粗さRa、算術平均粗さRMS(Rrms)、最大最小粗さRmaxの値が、測定した箇所のうち、最も値の小さい場所で、それぞれ52nm、61nm、653nmであった。これに対して、実施例1のKNN膜は、表面の二乗平均粗さRa、算術平均粗さRMS、最大最小粗さRmaxが最も小さい場所でそれぞれ17.2nm、23.8nm、
220.5nmとなった。図5に、実施例1のKNN膜表面のAFMによる表面像を示す
。この結果から、下部電極層のPt電極を(1ll)面に配向させて結晶化させ、その上部にKNN膜を形成することによって、KNN膜の表面状態を大幅に平坦化させることが可能となることが判った。
また、スパッタリングの焼結体ターゲットの組成を変えて検討を行ったところ、(NaxKyLiz)NbO3において0≦x≦1,0≦y≦1,0≦z≦0.2,x+y+z
=1の範囲で、同様に表面状態が大幅に平坦になり、表面の算術平均粗さRaが30nm以下である箇所、二乗平均粗さRMSが30nm以下である箇所、最大最小粗さRmaxが
250nm以下である箇所のうちいずれかを満たす箇所が少なくとも1箇所以上あることが判った。更に、上記ターゲットにTaをドーピングした場合も同様の結果であった。
=1の範囲で、同様に表面状態が大幅に平坦になり、表面の算術平均粗さRaが30nm以下である箇所、二乗平均粗さRMSが30nm以下である箇所、最大最小粗さRmaxが
250nm以下である箇所のうちいずれかを満たす箇所が少なくとも1箇所以上あることが判った。更に、上記ターゲットにTaをドーピングした場合も同様の結果であった。
(実施例2)
図6に、実施例2の薄膜圧電体素子の断面図を示す。実施例2では、酸化膜を有するSi基板1上に、下部電極層2と、KNNの配向性を向上させる配向制御層である下地層4と、KNNの圧電体層5と、上部電極層6とを形成した薄膜圧電体素子を作製した。
図6に、実施例2の薄膜圧電体素子の断面図を示す。実施例2では、酸化膜を有するSi基板1上に、下部電極層2と、KNNの配向性を向上させる配向制御層である下地層4と、KNNの圧電体層5と、上部電極層6とを形成した薄膜圧電体素子を作製した。
実施例1と同様にSi基板1上に下部電極層2を形成し、下部電極層2の結晶化させて形成したPt(111)配向させたPt電極上に、下地層4としてLaNiO3(Lanthan NikelOxide;LNO)膜を形成した。LNO膜はPt(111)上で容易に(001)面に配向する。LNO膜もスパッタリング法を用いて形成した。スパッタリングガスはAr+O2混合ガス(混合比は9:1)を用いた。RF電力は75Wとして200nmの膜厚になるようにLNO膜を成膜した。このLNO膜のX線回折測定を行ったところ、LNO(001)に単独配向していることが判った。
このLNO膜の下地層4上に、KNN膜の圧電体層5を形成した。形成条件は実施例1と同様の条件とした。このようにして形成したKNN膜について、X線回折装置を用いて配向状態について評価した結果、図7にそのX線回折パターン(2θ−ω測定)を示すように、実施例1で形成したKNN膜よりもKNN(001)により強く配向していることが判った。
また、AFMを用いてKNN膜の表面凹凸の評価を行った。評価は10μm×10μmのエリアを20nmピッチで測定して表面粗さを算出した。その結果、表面の二乗平均粗さRa、算術平均粗さRMS、最大最小粗さRmaxが最も小さい場所でそれぞれ3.0nm、3.8nm、46.8nmとなり、完全な鏡面状態であることが判った。図8に、実施例2のKNN膜のAFMによる表面像を示す。この結果から、よりKNN膜を配向させることで、KNN膜をより平坦にすることが可能であることが判った。
また、AFMを用いてKNN膜の表面凹凸の評価を行った。評価は10μm×10μmのエリアを20nmピッチで測定して表面粗さを算出した。その結果、表面の二乗平均粗さRa、算術平均粗さRMS、最大最小粗さRmaxが最も小さい場所でそれぞれ3.0nm、3.8nm、46.8nmとなり、完全な鏡面状態であることが判った。図8に、実施例2のKNN膜のAFMによる表面像を示す。この結果から、よりKNN膜を配向させることで、KNN膜をより平坦にすることが可能であることが判った。
次に、作製したKNN膜の圧電体層5上に上部電極層6を形成した。上部電極層6の材料にはAlを選択し、真空蒸着法を用いて形成した。この上部電極層6についてもAFMにより表面凹凸の評価を行った。その結果、表面の二乗平均粗さRa、算術平均粗さRMS、最大最小粗さRmaxが最も小さい場所でそれぞれ3.0nm、3.6nm、40.2nmであり、十分に平坦であることがわかった。この結果から、平坦な圧電体層5の上部に形成した上部電極層6の表面も圧電体層5とほぼ同じ平坦性となることが確認できた。
次に、スパッタリングのターゲットの組成を変えて検討を行ったところ、(NaxKyLiz)NbO3において0≦x≦1,0≦y≦1,0≦y≦0.2,x+y+z=1の
範囲で、同様に表面状態が鏡面となり、表面の算術平均粗さRaが5nm以下である箇所、二乗平均粗さRMSが6.5nm以下である箇所、最大最小粗さRmaxが50nm以下である箇所のうちいずれかを満たす箇所が少なくとも1箇所以上あることが判った。
範囲で、同様に表面状態が鏡面となり、表面の算術平均粗さRaが5nm以下である箇所、二乗平均粗さRMSが6.5nm以下である箇所、最大最小粗さRmaxが50nm以下である箇所のうちいずれかを満たす箇所が少なくとも1箇所以上あることが判った。
(実施例3)
図9に、実施例3の薄膜圧電体素子の断面図を示す。実施例3では、酸化膜を有するSi基板1上に、下部電極層2と、ニオブ酸ナトリウムの下地層7と、ニオブ酸リチウムカリウムナトリウムの圧電体層8と、上部電極層9とを形成した薄膜圧電体素子を作製した。
この実施例3では、上記実施例2のLaNiO3とは異なる下地層を用いた場合の効果について調べた。下地層7としては、まずニオブ酸ナトリウム(NaNbO3)を用いた。また、本実施例3では、KNNにリチウムをドーピングしたニオブ酸リチウムカリウムナトリウム((NaxKyLiz)NbO3、以下LKNNという)を圧電体層9に用いた。LKNN層は、リチウム(Li)、カリウム(K)、ナトリウム(Na)、ニオブ(Nb)、酸素(O)の5種類の元素で構成されるが、このうち、リチウム、カリウムを含まないだけのニオブ酸ナトリウム(NaNbO3)を下地層7として用いることができれ
ば、スパッタリングを行うチャンバー内が圧電体層8の構成元素以外の物質で汚染される恐れがないことから、下地層を成膜したチャンバーと同一のチャンバーを用いて圧電体層の成膜ができ、下地層、圧電体層の成膜を連続して行うことが可能となる。
図9に、実施例3の薄膜圧電体素子の断面図を示す。実施例3では、酸化膜を有するSi基板1上に、下部電極層2と、ニオブ酸ナトリウムの下地層7と、ニオブ酸リチウムカリウムナトリウムの圧電体層8と、上部電極層9とを形成した薄膜圧電体素子を作製した。
この実施例3では、上記実施例2のLaNiO3とは異なる下地層を用いた場合の効果について調べた。下地層7としては、まずニオブ酸ナトリウム(NaNbO3)を用いた。また、本実施例3では、KNNにリチウムをドーピングしたニオブ酸リチウムカリウムナトリウム((NaxKyLiz)NbO3、以下LKNNという)を圧電体層9に用いた。LKNN層は、リチウム(Li)、カリウム(K)、ナトリウム(Na)、ニオブ(Nb)、酸素(O)の5種類の元素で構成されるが、このうち、リチウム、カリウムを含まないだけのニオブ酸ナトリウム(NaNbO3)を下地層7として用いることができれ
ば、スパッタリングを行うチャンバー内が圧電体層8の構成元素以外の物質で汚染される恐れがないことから、下地層を成膜したチャンバーと同一のチャンバーを用いて圧電体層の成膜ができ、下地層、圧電体層の成膜を連続して行うことが可能となる。
まず、実施例2と同じPt付きSi基板を用意し、その上部にニオブ酸ナトリウムの下地層7を形成した。この下地層7の形成にはスパッタリング法を用いた。スパッタリングガスにはAr+O2混合ガス(混合比は8.5:1.5)を用い、RF電力は100Wとして200nmの膜厚になるように成膜を実施した。このようにして形成したニオブ酸ナトリウム膜をX線回折装置で評価したところ、(001)面に優先配向していることが判った。
次に、ニオブ酸ナトリウム膜の下地層7上にLKNN膜の圧電体層8を成膜した。LKNN膜の成膜にはスパッタリング法を用いた。成膜中は600℃に基板加熱を行い、Ar+O2の混合ガス(混合比は9:1)によるプラズマでスパッタリングを実施した。ターゲットには、(NaxKyLiz)NbO3(x=0.48、y=0.48、z=0.04
)の焼結体ターゲットを用いた。RF出力は100Wで実施し、膜厚は3μmになるまで成膜を行った。
)の焼結体ターゲットを用いた。RF出力は100Wで実施し、膜厚は3μmになるまで成膜を行った。
このようにして形成したLKNN膜についてX線回折装置を用いて結晶性の評価を行ったところ、図10にX線回折パターンを示すように、このLKNN膜は(110)、(001)面の二つの面に配向していることが判った。また、この試料についてAFMを用いて表面凹凸の評価を行った。評価は10μm×10μmのエリアを20nmピッチで測定して表面粗さを算出した。その結果、表面の二乗平均粗さRa、算術平均粗さRMS、最大最小粗さRmaxが最も小さい場所でそれぞれ3.9nm、6.4nm、137.7nmとなり、LKNN膜の表面は完全な鏡面状態となった。図11に、実施例3のLKNN膜のAFMによる表面像を示す。以上の結果から、Pt(111)電極上に配向させて形成することが可能な材料であれば、下地層として用いることが可能であることが判った。
このような下地層の材料について、更に幾つかの材料を調べた。その結果、上述したLaNiO3、NaNbO3以外にも、LaAlO3、SrTiO3、SrRuO3、La0.6Sr0.4FeO3、La0.6Sr0.4CoO3、KNbO3で効果があった。また、これらの材料を積層させること(例えば、LaNiO3上にKNbO3を積層形成するなど)や、固溶させること(La(Ni,Al)O3等)も効果があった。
また、本実施例3で作製したLKNN膜の圧電体層8上に上部電極層9を形成した。上部電極層9の材料にはAlを選択し、真空蒸着法を用いて形成した。この上部電極層9についても表面凹凸の評価を行った。その結果、表面の二乗平均粗さRa、算術平均粗さRMS、最大最小粗さRmaxが最も小さい場所でそれぞれ3.0nm、5.5nm、110.3nmであり、十分に平坦であることがわかった。この検討から、平坦な圧電体層8の上部に形成した上部電極層9の表面も圧電体層8とほぼ同じ平坦性となることが確認できた。
(実施例4)
本実施例4では、実施例1の配向させたPt電極上のKNN膜と同様の構造を、Si基板以外の基板を用いて作製した。実施例1ではSi基板を用いているが、その表面部には熱酸化膜を形成している。熱酸化膜はアモルファス状態であることから、その上部に形成する下部電極層2であるPt(111)に配向したPt電極層は、Si基板の結晶構造を引き継いでいない。Pt(111)配向は、立方晶であるPtの最密面に自己配向した結果であることから、他の基板上であっても、基板の結晶構造と関わり無く、同様の構造を形成することが可能であろうとの考察から検討を行った。
その結果、石英ガラス基板上、MgO基板上、SrTiO3基板上では、基板に直接、
下部電極層のPt電極層を形成しても同様の効果があることが確認できた。また、ガラス基板上、Ge基板上、SUS基板上では、実施例1の熱酸化膜の代わりに、PE−CVDによって、基板上にSi酸化膜を形成することで同様の効果が得られることが判った。
本実施例4では、実施例1の配向させたPt電極上のKNN膜と同様の構造を、Si基板以外の基板を用いて作製した。実施例1ではSi基板を用いているが、その表面部には熱酸化膜を形成している。熱酸化膜はアモルファス状態であることから、その上部に形成する下部電極層2であるPt(111)に配向したPt電極層は、Si基板の結晶構造を引き継いでいない。Pt(111)配向は、立方晶であるPtの最密面に自己配向した結果であることから、他の基板上であっても、基板の結晶構造と関わり無く、同様の構造を形成することが可能であろうとの考察から検討を行った。
その結果、石英ガラス基板上、MgO基板上、SrTiO3基板上では、基板に直接、
下部電極層のPt電極層を形成しても同様の効果があることが確認できた。また、ガラス基板上、Ge基板上、SUS基板上では、実施例1の熱酸化膜の代わりに、PE−CVDによって、基板上にSi酸化膜を形成することで同様の効果が得られることが判った。
1 Si基板
2 下部電極層
3 圧電体層
4 下地層
5 圧電体層
6 上部電極層
7 下地層
8 圧電体層
9 上部電極層
2 下部電極層
3 圧電体層
4 下地層
5 圧電体層
6 上部電極層
7 下地層
8 圧電体層
9 上部電極層
Claims (8)
- 基板と、前記基板の表面に形成される酸化膜と、前記酸化膜上に形成される下部電極層と、前記下部電極層上に形成されるペロブスカイト型の圧電体層とを有し、
前記圧電体層は、(NaxKyLiz)NbO3(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦z≦0.2,x+y+z=1)であり、
前記下部電極層は、所定方向に配向して形成され、前記圧電体層を前記下部電極層に対し所定方向に配向させていることを特徴とする薄膜圧電体付き基板。 - 基板と、前記基板の一方の面に形成される酸化膜と、前記酸化膜上に形成される下部電極層と、前記下部電極層上に形成されるペロブスカイト型の圧電体層とを有し、
前記圧電体層は、(NaxKyLiz)NbO3(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦z≦0.2,x+y+z=1)であり、
前記下部電極層は、所定方向に配向して形成され、且つ前記圧電体層を前記下部電極層に対し所定方向に配向させていると共に、
前記下部電極層と前記圧電体層との間には、前記圧電体層の配向性を向上させるための配向制御層が設けられていることを特徴とする薄膜圧電体付き基板。 - 基板上に直接またはSi酸化膜を介してPt(111)に配向させたPt電極層が形成され、前記Pt電極層に(NaxKyLiz)NbO3(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦z≦0.2,x+y+z=1)で表されるペロブスカイト型酸化物を主相とする圧電体層
が形成されていることを特徴とする薄膜圧電体付き基板。 - 前記圧電体層は、(001)面もしくは(110)面のいずれか、またはそれら両方に配向して形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の薄膜圧電体付き基板。
- 前記圧電体層の表面が、面積が10μm平方の任意の場所において、算術平均粗さが5nm以下である箇所、二乗平均粗さが6.5nm以下である箇所、最大最小粗さが50n
m以下である箇所、のいずれかが少なくとも1箇所以上存在することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の薄膜圧電体付き基板。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の薄膜圧電体付き基板の前記圧電体層の上部に、上部電極層が形成されていることを特徴とする薄膜圧電体素子。
- 請求項6に記載の薄膜圧電体素子を用いて作製されたことを特徴とする薄膜圧電体デバイス。
- 基板の表面に熱酸化膜を形成し、前記基板を加熱状態にしてスパッタリング法を用いて前記酸化膜上にPt(111)に配向させたPt薄膜を含む下部電極層を形成し、前記下部電極層上に配向制御層を形成し、前記配向制御層上に(NaxKyLiz)NbO3(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦z≦0.2,x+y+z=1)で表されるペロブスカイト
型酸化物を主相とする圧電体層を形成したことを特徴とする薄膜圧電体付き基板の製造方法。
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CN106653994A (zh) * | 2017-01-23 | 2017-05-10 | 合肥工业大学 | 一种单层电极型ipmc结构及其制备工艺 |
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-
2008
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