JP2013251355A - 圧電体膜素子の製造方法、圧電体膜素子、及び圧電体デバイス - Google Patents

圧電体膜素子の製造方法、圧電体膜素子、及び圧電体デバイス Download PDF

Info

Publication number
JP2013251355A
JP2013251355A JP2012124068A JP2012124068A JP2013251355A JP 2013251355 A JP2013251355 A JP 2013251355A JP 2012124068 A JP2012124068 A JP 2012124068A JP 2012124068 A JP2012124068 A JP 2012124068A JP 2013251355 A JP2013251355 A JP 2013251355A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
piezoelectric film
film element
piezoelectric
substrate
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012124068A
Other languages
English (en)
Inventor
Fumimasa Horikiri
文正 堀切
Kenji Shibata
憲治 柴田
Kazufumi Suenaga
和史 末永
Kazutoshi Watanabe
和俊 渡辺
Akira Nomoto
明 野本
Masaki Noguchi
将希 野口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Cable Ltd
Original Assignee
Hitachi Cable Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Cable Ltd filed Critical Hitachi Cable Ltd
Priority to JP2012124068A priority Critical patent/JP2013251355A/ja
Publication of JP2013251355A publication Critical patent/JP2013251355A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Physical Vapour Deposition (AREA)
  • Drying Of Semiconductors (AREA)
  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)

Abstract

【課題】非鉛の圧電体膜をドライエッチングにより微細加工した場合でも、圧電体膜の絶縁性の劣化を抑えることができる圧電体膜素子の製造方法、圧電体膜素子、及び圧電体デバイスを提供する。
【解決手段】圧電体膜素子1の製造方法は、基板2上にペロブスカイト構造を有する非鉛のアルカリニオブ酸化物系化合物からなる圧電体膜5を形成し、圧電体膜5に対して反応性ガスを含む雰囲気中で電子温度が2.5eV以下のプラズマを用いて反応性イオンエッチングを行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、圧電体膜素子の製造方法、圧電体膜素子、及び圧電体デバイスに関する。
圧電体は、種々な目的に応じて様々な圧電体膜素子に加工され、特に電圧を加えて変形を生じさせるアクチュエータや、素子の変形から電圧を発生するセンサなどの機能性電子部品として広く利用されている。
アクチュエータやセンサの用途に利用されている圧電体としては、大きな圧電特性を有する鉛系の誘電体、特にPZTと呼ばれるPb(Zr1−xTi)O系のペロブスカイト型強誘電体がこれまで広く用いられている。
一方、近年、各種電子部品の小型化かつ高性能化が進むにつれ、圧電体膜素子においても小型化と高性能化が強く求められるようになっている。しかしながら、従来からの製法である焼結法を中心とした製造方法により作製した圧電体材料は、その厚みが特に10μm以下の厚さになると、材料を構成する結晶粒の大きさに近づき、その影響が無視できなくなる。そのため、特性のばらつきや劣化が顕著になるといった問題が発生する。それらの問題を回避するため、焼結法に代わる成膜技術等を応用した圧電体の形成方法が研究されるようになっている。
このような圧電体の形成方法として、RFスパッタリング法で形成したPZT膜が、高精細高速インクジェットプリンタのヘッド用アクチュエータや、小型低価格のジャイロセンサとして実用化されている(例えば、特許文献1参照)。また、鉛を用いないニオブ酸リチウムカリウムナトリウム((NaLi)NbO)で構成される圧電体膜(ニオブ酸薄膜)を用いた圧電体膜素子も提案されている。(例えば、特許文献2参照)。
このニオブ酸薄膜は、難加工性の材料であるが、本件発明者等によって、ArガスとCHFなどの反応性ガスとの混合ガスを用いた反応性ドライエッチングにより、非鉛のニオブ酸カリウムナトリウム((K1−xNa)NbO)からなる圧電体膜(以下、「KNN膜」という)を加工でき、かつ、Ptからなる下部電極に対してエッチング選択比が得られる加工方法が提案され、KNN膜の微細加工が実現されている(例えば、非特許文献1参照)。
特開平10−286953号公報 特開2007−19302号公報
堀切ら、「(K,Na)NbO3圧電薄膜の微細加工特性」、第71回応用物理学会学術講演会 講演予稿集、16p-NJ-10(2010)
しかし、従来の反応性ドライエッチングによると、エッチング条件によってはKNN膜の絶縁性が劣化し、デバイスとして使用できないという問題がある。
したがって、本発明の目的は、非鉛の圧電体膜をドライエッチングにより微細加工した場合でも、圧電体膜の絶縁性の劣化を抑えることができる圧電体膜素子の製造方法、圧電体膜素子、及び圧電体デバイスを提供する。
本発明は、上記目的を達成するため、以下の圧電体膜素子の製造方法、圧電体膜素子、及び圧電体デバイスを提供する。
[1]基板上に、ペロブスカイト構造を有する非鉛のアルカリニオブ酸化物系化合物からなる圧電体膜を形成し、前記圧電体膜に対して反応性ガスを含む雰囲気中で電子温度が2.5eV以下のプラズマを用いて反応性イオンエッチングを行う圧電体膜素子の製造方法。
[2]前記反応性イオンエッチングで用いる前記反応性ガスは、CHF、C、CF、SF、C及びCIのいずれかから選択されるフッ素系反応性ガスの1種若しくは2種類以上とArとを混合したガス、又は前記フッ素系反応性ガスを2種類以上混合したガスである前記[1]に記載の圧電体膜素子の製造方法。
[3]前記圧電体膜の形成は、前記基板上に(111)に配向したPtを含む金属からなる下部電極を形成し、前記下部電極上に前記圧電体膜を形成する工程を含む前記[1]又は[2]のいずれかに記載の圧電体膜素子の製造方法。
[4]前記圧電体膜は、結晶構造が擬立方晶であり、かつ(001)面方位に優先配向されている前記[1]乃至[3]のいずれかに記載の圧電体膜素子の製造方法。
[5]前記アルカリニオブ酸化物系化合物は、組成式(K1−xNa)NbOで表され、xを0.425≦x≦0.730の範囲とする前記[1]乃至[4]のいずれかに記載の圧電体膜素子の製造方法。
[6]基板上に、密着層、下部電極及びペロブスカイト構造を有する非鉛のアルカリニオブ酸化物系化合物からなる圧電体膜を順次積層してなる圧電体膜素子において、前記圧電体膜の膜厚が4μm以下であるとともに、前記圧電体膜素子の誘電損失が0.15以下であることを特徴とする圧電体膜素子。
[7]前記[6]に記載の圧電体膜素子と、前記圧電体膜上に形成された上部電極と、前記下部電極と前記上部電極に接続された電圧印加手段又は電圧検知手段とを備えた圧電体デバイス。
本発明によれば、非鉛の圧電体膜をドライエッチングにより微細加工した場合でも、圧電体膜の絶縁性の劣化を抑えることができる圧電体膜素子の製造方法、圧電体膜素子、及び圧電体デバイスを提供することができる。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る圧電体膜素子の概略の構成を示す断面図である。 図2は、本発明の第2の実施の形態に係る圧電体デバイスの概略の構成を示す断面図である。 図3は、実施例1に係るKNN膜の断面を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 図4は、実施例1に係るKNN膜のP−Eヒステリシス特性を示すグラフである。 図5は、比較例1に係るKNN膜の断面を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 図6は、比較例1に係るKNN膜のP−Eヒステリシス特性を示すグラフである。 図7は、プラズマ中の電子温度とエッチング後のKNN膜の誘電損失tanδとの関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、各図中、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付してその重複した説明を省略する。
[実施の形態の要約]
本実施の形態は、基板上に、ペロブスカイト構造を有する非鉛のアルカリニオブ酸化物系化合物からなる圧電体膜を形成し、前記圧電体膜に対して反応性イオンエッチングを行う圧電体膜素子の製造方法において、前記反応性イオンエッチングは、前記圧電体膜に対して反応性ガスを含む雰囲気中で電子温度が2.5eV値以下のプラズマを用いて行うことを特徴とする。
従来のドライエッチングでは、高いプラズマ電位により加速された高エネルギーイオンを圧電体膜に入射してエッチングしていたため、エッチングの際のイオン衝撃による圧電体膜のダメージが無視できなかった。このエッチングの際のダメージにより圧電体膜の絶縁性が低下していた。
そこで本発明においては、プラズマ電位が電子温度に比例する、という点に着目し、反応性イオンエッチングを行う際の反応性ガスを含む雰囲気中での電子温度が2.5eV以下のプラズマであることで、プラズマ電位も低下するため、圧電体膜に入射されるイオンエネルギーが低くなり、エッチングによる圧電体膜のダメージが少なく、絶縁性の劣化が抑制される。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る圧電体膜素子の概略の構成を示す断面図である。
この圧電体膜素子1は、基板2と、基板2上に形成された密着層3と、密着層3上に形成された下部電極4と、下部電極4上にドライエッチングによって所定のパターンに形成された圧電体膜5とを備える。
基板2としては、例えばSi基板、MgO基板、SrTiO基板、SrRuO基板、ガラス基板、石英ガラス基板、GaAs基板、GaN基板、サファイア基板、Ge基板、ステンレス等からなる金属基板等を用いることができる。本実施の形態では、低価格で工業的に実績のあるSi基板を用いる。また、熱酸化膜付き(001)面Si基板を用いることができ、異なる面方位のSi基板や、熱酸化膜無しのSi基板、SOI基板でもよい。
密着層3は、基板2と下部電極4との密着性を高めると共に、下部電極4を所定の配向性とするためのものであり、Ti、Ta等を用いることができる。なお、本実施の形態では、密着層3にTiを用いるが、密着層なしでも下部電極4の面方位を制御することにより、同様の効果が得られる。
下部電極4は、Pt若しくはPtを主成分とする合金からなる電極層、又はPt膜とPtを主成分とする合金膜を積層した電極層を用いることができる。本実施の形態では、(111)に配向したPtからなる下部電極4を用いる。下部電極4を(111)に配向させることで、その上に形成される圧電体膜5を(001)に優先配向させることができる。
圧電体膜5は、ペロブスカイト構造を有する非鉛のアルカリニオブ酸化物系化合物からなる。アルカリニオブ酸化物系化合物としては、例えば、組成式(K1−xNa)NbO(0<x<1)で表されるニオブ酸カリウムナトリウム(以下、「KNN」という。)や、これに5%以下のLi、Ta、Sb、Ca、Cu、Ba、Ti等を添加したものを用いることができる。また、圧電体膜5は、結晶構造が擬立方晶であり、かつ(001)面方位に優先配向されているペロブスカイト構造が好ましい。なお、本実施の形態では、組成式(K1−xNa)NbOで表され、xを0.425≦x≦0.730の範囲とし、他の元素を添加していないKNNを用いる。また、本明細書では、KNNから形成された膜を「KNN膜」という。
(圧電体膜素子の製造方法)
次に、上記圧電体膜素子1の製造方法の一例について説明する。
(1)基板の準備
基板2として、(100)面方位、厚さ0.525mm、熱酸化膜厚さ205nm、直径4インチの熱酸化膜付きSi基板を準備する。
(2)密着層、下部電極の形成
次に、RFマグネトロンスパッタリング法により、基板2上にTiからなる厚さ2.3nmの密着層3を形成し、密着層3上に(111)配向のPtからなる厚さ212nmの下部電極4を形成する。密着層3と下部電極4は、基板温度100〜350℃、放電パワー300W、導入ガスAr、Ar雰囲気の圧力2.5Pa、成膜時間は、密着層3では1〜3分、下部電極4では10分の条件で成膜する。
(3)圧電体膜の形成
次に、下部電極4上に、RFマグネトロンスパッタリング法により(K1−xNa)NbOからなる圧電体膜(KNN膜)5を形成する。以下、圧電体膜5の形成後の基板を「KNN膜付き基板」ともいう。
圧電体膜5は、xが0.425≦x≦0.730の範囲の(K1−xNa)NbO焼結体をターゲットに用い、基板温度を520℃、放電パワーを700W、O/Ar混合比を0.005、チャンバー内の圧力を1.3Paの条件で成膜する。圧電体膜5のスパッタ成膜時間は膜厚がほぼ2μmになるような時間とする。
(4)マスクパターンの形成
次に、KNN膜付き基板上にマスクとしてCrマスクパターンを形成する。なお、マスクとしてCrの他に、Ta、W又はTiを用いても同様の微細加工を施すことができる。また、マスクとして、Cr、Ta、W及びTiのいずれかからなる積層体を用いても同様の微細加工を施すことができる。
(5)ドライエッチング
次に、Crマスクパターンをマスクとして用い、KNN膜付き基板の圧電体膜5を反応性イオンエッチングによる微細加工を行う。
反応性イオンドライエッチングは、圧電体膜5の絶縁性の劣化を抑制するため、電子温度は2.5eV以下が好ましい。この値の意義については、後述する。また、反応性イオンドライエッチングには、NLD−RIE(Magnetic Neutral Loop. Discharge−Reactive Ion Etching:磁気中性線放電反応性イオンエッチング)装置を用い、反応性ガスを用いる。なお、反応性ガスとしてC、CHF、C、CF、SF、CIのいずれかから選択されるフッ素系反応性ガスの1種若しくは2種類以上とArを混合したガス、又は前述のフッ素系反応性ガスを2種類以上混合したガスを用いても同様の効果が得られる。また、Arの他に微量のN若しくはO、He、Cl、BClなどの不活性ガス、又は塩素系反応性ガスを加えても同様の効果が期待できる。
(第1の実施の形態の効果)
本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
(a)電子温度が2.5eV以下のプラズマを用いてエッチングを行っているので、KN膜の絶縁性の劣化を抑制することができる。本形態による圧電体膜素子のKNN膜の誘電損失(tanδ)は0.1程度まで小さくすることが可能である。tanδが大きい場合、圧電体膜素子を駆動させた際に発熱するため、tanδは小さくすることが好ましく、0.1程度、実用的には0.15以下にすることがより好ましい。なお、圧電体膜を薄膜形成した場合は、バルク材料で圧電体膜を形成した場合に比べてtanδが大きくなる傾向がある。
(b)KNN膜をフッ素系反応性ガスを含む雰囲気中でドライエッチングを行っているので、KNN膜を短時間で微細加工することができる。
[第2の実施の形態]
図2は、本発明の第2の実施の形態に係る圧電体デバイスの概略の構成を示す断面図である。本実施の形態は、第1の実施の形態の圧電体膜素子1を可変容量キャパシタに適用した場合を示す。
この圧電体デバイス10は、デバイス基板11と、デバイス基板11上に形成された絶縁層12と、絶縁層12上に形成され、第1の実施の形態と同様の圧電体膜素子1とを備える。デバイス基板11及び絶縁層12は、圧電体膜素子1の一方の端部を支持する支持部材として機能する。
圧電体膜素子1は、第1の実施の形態と同様に、基板2上に、密着層3、下部電極4及び圧電体膜5が形成されている。本実施の形態の場合、圧電体膜素子1の圧電体膜5上に上部電極17が形成されている。また、上部キャパシタ電極16は、圧電体膜素子1の基板2の突出した部分に設けられている。
デバイス基板11上の上部キャパシタ電極16の下に空隙13を介して下部キャパシタ電極14を形成し、下部キャパシタ電極14の表面にSiN等からなる絶縁層15を形成している。
そして、上部電極17及び下部電極4に、上部電極17及び下部電極4に接続された電圧印加手段からそれぞれボンディングワイヤ18A、18Bを介して電圧を印加すると、圧電体膜素子1の先端が変位し、これに伴って上部キャパシタ電極16が上下方向に変位する。上部キャパシタ電極16の変位によって上部キャパシタ電極16と下部キャパシタ電極14との間の静電容量が変化し、本圧電体デバイス10は可変キャパシタとして動作する。
(第2の実施の形態の効果)
本実施の形態によれば、第1の実施の形態によるKNN膜の微細加工方法を用いることにより、KNN膜の絶縁性が高く十分な圧電特性を発揮することができる圧電体デバイスを提供することができる。また、環境負荷の小さい、インクジェットプリンタ用ヘッドやジャイロセンサを従来品と同等の信頼性かつ製造コストで作製することができる。
なお、上記第2の実施の形態では、アクチュエータとして可変キャパシタについて説明したが、第1の実施の形態の圧電体膜素子は、他のアクチュエータや、センサ、フィルタデバイス、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイス等の圧電体デバイスに適用することができる。他のアクチュエータとしては、インクジェットプリンタ用ヘッド、スキャナ、超音波発生装置等がある。また、センサとしては、ジャイロセンサ、超音波センサ、圧力センサ、速度・加速度センサ等がある。なお、圧電体デバイスをセンサとして用いる場合は、上部電極17及び下部電極4に電圧検知手段を接続する。
(実施例1)
次に、本発明の実施例1について説明する。実施例1は、NLD−RIE装置を用い、反応性ガスとしてArとCの混合ガスを用いた。ドライエッチング条件は、アンテナパワー800W、バイアスパワー250W、チャンバー内圧力0.15Pa、ガス流量Ar(50sccm)、C(2.5sccm)、エッチング時間25分間を第1段階とし、これに続いてアンテナパワー400W、バイアスパワー250W、チャンバー内圧力0.15Pa、ガス流量C(20sccm)、エッチング時間10分間を第2段階とした。
(電子温度)
Scientific Systems社製のプラズマ診断用ラングミュアプローブを用いてプラズマ中の電子温度を測定した。測定はKNN膜からなるダミーウエハを用いた。このダミーウエハの中心から外周方向に20mm、ダミーウエハの表面から上方に38mmの位置を測定位置とした。プラズマ中の電子温度の測定結果は、約2eVであった。
(選択比)
図3は、実施例1に係るKNN膜の断面を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。図3から、NLD−RIE装置を用いた場合でも、Ptの下部電極4に対するKNNの圧電体膜5の高い選択比が得られることが分かる。
(P−Eヒステリシス特性)
上記ドライエッチング後に、第二硝酸セリウムアンモンなどのCrエッチング液を用いて残留するCrマクスを除去し、KNN膜上に評価用の直径500μmのPtからなる上部電極をスパッタ法により形成し、これについてP−Eヒステリシス特性を調べた。
P−Eヒステリシス測定においては、試料に対して電圧を掃引し、流れた電流から試料に蓄えられた電荷を求め、分極量を計算している。P−Eヒステリシス曲線は、上記の測定により求められた、電界値における分極量を示している。そのため、電流リークがなく、絶縁性が良好な試料であれば、P−Eヒステリシス曲線は、ループが閉じたような曲線を示すことになる。一方、電流リークが大きく、絶縁性が悪い試料であると、P−Eヒステリシス曲線は、ループが閉じたような曲線を示さない。そのため本実施例においては、KNN膜の絶縁性の良否をP−Eヒステリシス曲線を用いて評価する。
図4は、実施例1に係るKNN膜のP−Eヒステリシス特性を示すグラフである。図4において、縦軸は分極(Polarization)、横軸は電界(Electric field)を示す。図4に示すP−Eヒステリシス曲線は、ループが閉じていることから、絶縁性が劣化していないことが分かる。
一般的にNLD−RIEは、後述するICP−RIEと比べて高プラズマ密度及び低電子温度となる。NLD−RIE(磁気中性線放電反応性イオンエッチング)装置は、装置内の真空中に磁場0の磁気中性線(Magnetic Neutral Loop:NL)が形成され、このNL付近に電子が集まり、放電される。また、NLD−RIEはこの磁場による閉じ込め効果があるので、低圧状態でも電子密度が減少しないため、電子温度も上昇しない、という特徴がある。そのため、プラズマ電位も低くなり、圧電体膜のダメージを少なくし、絶縁性の劣化を抑制しながらKNN膜を加工することが可能と考えられる。
[比較例1]
次に、比較例1について説明する。比較例1は、反応性イオンエッチングとしてICP−RIE(Inductive Coupled Plasma−Reactive Ion Etching:誘導結合反応性イオンエッチング)装置を用い、反応性ガスとしてArとCの混合ガスを用いたものである。ドライエッチング条件は、アンテナパワー800W、バイアスパワー50W、チャンバー内圧力0.5Pa、ガス流量Ar(50sccm)、C(5sccm)、エッチング時間25分間とした。
(電子温度)
プラズマ中の電子温度は、実施例1と同様に測定した結果、約4eVであった。
(選択比)
図5は、比較例1に係るKNN膜の断面を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。図5から、ICP−RIE装置を用いた場合でも、Ptの下部電極4に対するKNN膜の圧電体膜5の高い選択比が得られていることが分かる。
(P−Eヒステリシス特性)
図6は、比較例1に係るKNN膜のP−Eヒステリシス特性を示すグラフである。図6において、縦軸は分極(Polarization)、横軸は電界(Electric field)を示す。図6に示すP−Eヒステリシス曲線は、ループが閉じていないことから、KNN膜の絶縁性が劣化していることが分かる。
[実施例2〜5、比較例2〜5]
実施例2〜5、比較例2〜5について、エッチングのアンテナパワー及びバイアスパワーを変えてエッチングを行い、エッチング後のKNN膜についてP−Eヒステリシス測定を行い、絶縁性を評価した。
実施例2〜5については、実施例1同様、P−Eヒステリシス測定の推移を表すP−Eヒステリシス曲線はループが閉じた状態となるように推移しており、絶縁性が劣化していないことが確認された。一方、比較例2〜5のP−Eヒステリシス曲線は、ループが閉じない状態に推移しており、エッチングによりKNN膜の絶縁性が劣化したと考えられる。
また、実施例1〜5、比較例1〜5のKNN膜の誘電損失(tanδ)を測定し、各実施例、比較例のエッチング時のプラズマ中の電子温度とエッチング後のKNN膜の誘電損失(tanδ)の関係を図7に示す。
(電子温度)
実施例2〜5の電子温度は、図7に示すように、それぞれ1.5eV、1.9eV、
2.3eV、2.4eVであった。また、比較例2〜5の電子温度は、図7に示すように、それぞれ3.0eV、4.1eV、4.2eV、4.4eVであった。
(誘電損失)
実施例2〜5の誘電損失は、図7に示すように、それぞれ0.08、0.11、0.12、0.15であった。また、比較例2〜5の誘電損失は、図7に示すように、それぞれ0.65、0.84、0.82、0.98であった。
エッチング条件によっては、エッチング速度やPtに対する選択比が十分でなく実用的な条件ではないものも含まれるが、低い電子温度のプラズマほどエッチング後のtanδが低いこと、つまり、KNN膜の絶縁性の劣化が小さいことが分かる。このため、KNN膜を絶縁性の劣化を抑えながら加工するためには、低電子温度のプラズマによるドライエッチングが望ましい。具体的には、プラズマの電子温度が2.5eV以下であれば、デバイス上許容される、tanδを0.15以下に抑え、圧電体膜の絶縁性劣化を抑制できる。
上述したように、NLD−RIEにおいて、KNN膜のエッチング速度およびPtの下部電極に対する選択比が得られる範囲でアンテナパワーやバイアスパワーを変化させ実験を行ったところ、プラズマ中の電子温度を2.5eV以下とすることで、エッチングによるKNN膜の絶縁性の劣化を抑制できることが確認できた。
なお、本発明は、上記実施の形態及び上記実施例に限定されず、発明の要旨を変更しない範囲で種々に変形実施が可能である。例えば、上記実施の形態及び上記実施例では、反応性イオンエッチングとして、NLD−RIEについて説明したが、ICP−RIEでも、エッチング条件を制御することにより、プラズマ中の電子温度を低くしてエッチングによるKNN膜の絶縁性の劣化を抑制することができる。ただし、ICP−RIEを用いて低電子温度を実現する場合は、チャンバー内圧力を高くする必要があり、これによりエッチング速度が低下することが考えられる。また、エッチング残渣の試料への再付着に留意する必要がある。また、表面波プラズマを用いたSWP(Surface Wave Plasma)型RIEやヘリコン波励起プラズマを用いたHWP(helicon wave excited plasma)型RIEを用いた場合でも、プラズマ中の電子温度が低ければエッチングによるKNN膜の絶縁性の劣化を抑制することができる。
また、上述した製造方法は、本発明の要旨を変更しない範囲内で工程の削除、追加、変更、入替等を行ってもよい。
1…圧電体膜素子、2…基板、3…密着層、4…下部電極、5…圧電体膜、
10…圧電体デバイス、11…デバイス基板、12…絶縁層、13…空隙、
14…下部キャパシタ電極、15…絶縁層、16…上部キャパシタ電極、
17…上部電極、18A、18B…ボンディングワイヤ

Claims (7)

  1. 基板上に、ペロブスカイト構造を有する非鉛のアルカリニオブ酸化物系化合物からなる圧電体膜を形成し、
    前記圧電体膜に対して反応性ガスを含む雰囲気中で電子温度が2.5eV以下のプラズマを用いて反応性イオンエッチングを行う圧電体膜素子の製造方法。
  2. 前記反応性イオンエッチングで用いる前記反応性ガスは、CHF、C、CF、SF、C及びCIのいずれかから選択されるフッ素系反応性ガスの1種若しくは2種類以上とArとを混合したガス、又は前記フッ素系反応性ガスを2種類以上混合したガスである請求項1に記載の圧電体膜素子の製造方法。
  3. 前記圧電体膜の形成は、前記基板上に(111)に配向したPtを含む金属からなる下部電極を形成し、前記下部電極上に前記圧電体膜を形成する工程を含む請求項1又は2に記載の圧電体膜素子の製造方法。
  4. 前記圧電体膜は、結晶構造が擬立方晶であり、かつ(001)面方位に優先配向されている請求項1乃至3のいずれか1項に記載の圧電体膜素子の製造方法。
  5. 前記アルカリニオブ酸化物系化合物は、組成式(K1−xNa)NbOで表され、xを0.425≦x≦0.730の範囲とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の圧電体膜素子の製造方法。
  6. 基板上に、密着層、下部電極及ペロブスカイト構造を有する非鉛のアルカリニオブ酸化物系化合物からなる圧電体膜を順次積層してなる圧電体膜素子において、
    前記圧電体膜の膜厚が4μm以下であるとともに、前記圧電体膜素子の誘電損失が0.15以下であることを特徴とする圧電体膜素子。
  7. 請求項6に記載の圧電体膜素子と、前記圧電体膜上に形成された上部電極と、前記下部電極と前記上部電極に接続された電圧印加手段又は電圧検知手段とを備えた圧電体デバイス。
JP2012124068A 2012-05-31 2012-05-31 圧電体膜素子の製造方法、圧電体膜素子、及び圧電体デバイス Pending JP2013251355A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012124068A JP2013251355A (ja) 2012-05-31 2012-05-31 圧電体膜素子の製造方法、圧電体膜素子、及び圧電体デバイス

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012124068A JP2013251355A (ja) 2012-05-31 2012-05-31 圧電体膜素子の製造方法、圧電体膜素子、及び圧電体デバイス

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2013251355A true JP2013251355A (ja) 2013-12-12

Family

ID=49849770

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012124068A Pending JP2013251355A (ja) 2012-05-31 2012-05-31 圧電体膜素子の製造方法、圧電体膜素子、及び圧電体デバイス

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2013251355A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015153850A (ja) * 2014-02-13 2015-08-24 株式会社サイオクス 圧電体薄膜素子、その製造方法、および該圧電体薄膜素子を用いた電子デバイス
WO2017065133A1 (ja) * 2015-10-16 2017-04-20 株式会社サイオクス 圧電薄膜付き積層基板、圧電薄膜素子およびその製造方法
JP2019117943A (ja) * 2019-03-20 2019-07-18 株式会社サイオクス 圧電薄膜付き積層基板および圧電薄膜素子
GB2581115B (en) * 2017-11-16 2021-04-14 Ibm Hafnium oxide and zirconium oxide based ferroelectric devices with textured iridium bottom electrodes

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009105331A (ja) * 2007-10-25 2009-05-14 Panasonic Corp 圧電薄膜素子
JP2009266911A (ja) * 2008-04-23 2009-11-12 Ulvac Japan Ltd 強誘電体基板のエッチング方法
JP2010087182A (ja) * 2008-09-30 2010-04-15 Tokyo Electron Ltd プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法
JP2010165935A (ja) * 2009-01-16 2010-07-29 Tokyo Electron Ltd 半導体装置とその製造方法
JP2010166371A (ja) * 2009-01-16 2010-07-29 Murata Mfg Co Ltd 圧電デバイスの製造方法
JP2011204887A (ja) * 2010-03-25 2011-10-13 Hitachi Cable Ltd 圧電薄膜素子及び圧電薄膜デバイス
JP2012059909A (ja) * 2010-09-09 2012-03-22 Hitachi Cable Ltd 圧電体薄膜の加工方法
JP2012056194A (ja) * 2010-09-09 2012-03-22 Seiko Epson Corp 圧電素子、圧電アクチュエーター、液体噴射ヘッド、および液体噴射装置

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009105331A (ja) * 2007-10-25 2009-05-14 Panasonic Corp 圧電薄膜素子
JP2009266911A (ja) * 2008-04-23 2009-11-12 Ulvac Japan Ltd 強誘電体基板のエッチング方法
JP2010087182A (ja) * 2008-09-30 2010-04-15 Tokyo Electron Ltd プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法
JP2010165935A (ja) * 2009-01-16 2010-07-29 Tokyo Electron Ltd 半導体装置とその製造方法
JP2010166371A (ja) * 2009-01-16 2010-07-29 Murata Mfg Co Ltd 圧電デバイスの製造方法
JP2011204887A (ja) * 2010-03-25 2011-10-13 Hitachi Cable Ltd 圧電薄膜素子及び圧電薄膜デバイス
JP2012059909A (ja) * 2010-09-09 2012-03-22 Hitachi Cable Ltd 圧電体薄膜の加工方法
JP2012056194A (ja) * 2010-09-09 2012-03-22 Seiko Epson Corp 圧電素子、圧電アクチュエーター、液体噴射ヘッド、および液体噴射装置

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015153850A (ja) * 2014-02-13 2015-08-24 株式会社サイオクス 圧電体薄膜素子、その製造方法、および該圧電体薄膜素子を用いた電子デバイス
WO2017065133A1 (ja) * 2015-10-16 2017-04-20 株式会社サイオクス 圧電薄膜付き積層基板、圧電薄膜素子およびその製造方法
JP2017076730A (ja) * 2015-10-16 2017-04-20 株式会社サイオクス 圧電薄膜付き積層基板、圧電薄膜素子およびその製造方法
US11107971B2 (en) 2015-10-16 2021-08-31 Sumitomo Chemical Company, Limited Laminated substrate with piezoelectric thin film, piezoelectric thin film element and method for manufacturing this element
GB2581115B (en) * 2017-11-16 2021-04-14 Ibm Hafnium oxide and zirconium oxide based ferroelectric devices with textured iridium bottom electrodes
US11121139B2 (en) 2017-11-16 2021-09-14 International Business Machines Corporation Hafnium oxide and zirconium oxide based ferroelectric devices with textured iridium bottom electrodes
JP2019117943A (ja) * 2019-03-20 2019-07-18 株式会社サイオクス 圧電薄膜付き積層基板および圧電薄膜素子

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5380756B2 (ja) 圧電体膜素子の製造方法
JP2013016776A (ja) 圧電膜素子の製造方法、及び圧電体デバイスの製造方法
JP5044902B2 (ja) 圧電薄膜素子
US10608162B2 (en) Stacked film, electronic device substrate, electronic device, and method of fabricating stacked film
EP3364471B1 (en) Multilayer substrate with piezoelectric thin film, piezoelectric thin film element and method for manufacturing same
JP5024399B2 (ja) 圧電薄膜素子、圧電薄膜デバイス及び圧電薄膜素子の製造方法
JP2009094449A (ja) 圧電素子
JP6605215B2 (ja) 強誘電体薄膜積層基板、強誘電体薄膜素子、および強誘電体薄膜積層基板の製造方法
JP5056139B2 (ja) 圧電薄膜素子
JP2013251355A (ja) 圧電体膜素子の製造方法、圧電体膜素子、及び圧電体デバイス
JP5093459B2 (ja) 圧電薄膜素子の製造方法
US20210036212A1 (en) Piezoelectric laminate, piezoelectric element, and method of manufacturing the piezoelectric laminate
JP2007317853A (ja) 圧電薄膜及び圧電薄膜を用いた素子
JP5743203B2 (ja) 圧電膜素子及び圧電膜デバイス
JP2009049065A (ja) 圧電薄膜素子
JP2011192736A (ja) 圧電体薄膜素子及び圧電体薄膜デバイス
US10211043B2 (en) Stacked film, electronic device substrate, electronic device, and method of fabricating stacked film
JP5434563B2 (ja) 圧電体薄膜付き基板の製造方法
JP7320091B2 (ja) 圧電薄膜付き積層基板、圧電薄膜付き積層基板の製造方法、圧電薄膜素子、スパッタリングターゲット材、およびスパッタリングターゲット材の製造方法
JP7022853B2 (ja) スパッタリングターゲット材、スパッタリングターゲット材の製造方法、および圧電薄膜付き積層基板の製造方法
JP7399753B2 (ja) 圧電膜、圧電積層体、圧電素子および圧電積層体の製造方法
JP6961770B2 (ja) 圧電薄膜付き積層基板および圧電薄膜素子
JP6758444B2 (ja) 圧電薄膜付き積層基板および圧電薄膜素子
JP7464360B2 (ja) 圧電積層体、圧電素子および圧電積層体の製造方法
WO2011099231A1 (ja) 圧電薄膜素子、圧電薄膜デバイス及び圧電薄膜素子の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20131115

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140919

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20150515

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150702

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150714

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150910

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20151124

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20151127