JP2011192736A - 圧電体薄膜素子及び圧電体薄膜デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】長時間の使用においても圧電性能の劣化が起こりにくく信頼性の高い非鉛の圧電体薄膜素子及び圧電体薄膜デバイスを提供する。
【解決手段】基板2上に下部電極3、圧電体薄膜4、上部電極5を順次形成した圧電体薄膜素子において、圧電体薄膜4が、組成式(K1-xNax)NbO3で表されるアルカリニオブ酸ペロブスカイト構造の薄膜からなり、上部電極5の音響インピーダンスから下部電極3の音響インピーダンスを減じた両電極3,5の音響インピーダンスの差が、24.6×106[N・s/m3]以上かつ84.9×106[N・s/m3]以下である。
【選択図】図1
【解決手段】基板2上に下部電極3、圧電体薄膜4、上部電極5を順次形成した圧電体薄膜素子において、圧電体薄膜4が、組成式(K1-xNax)NbO3で表されるアルカリニオブ酸ペロブスカイト構造の薄膜からなり、上部電極5の音響インピーダンスから下部電極3の音響インピーダンスを減じた両電極3,5の音響インピーダンスの差が、24.6×106[N・s/m3]以上かつ84.9×106[N・s/m3]以下である。
【選択図】図1
Description
本発明は、圧電体を用いた圧電体薄膜素子及び圧電体薄膜デバイスに関するものである。
圧電体は種々の目的に応じて様々な圧電素子に加工され、特に電圧を加えて変形を生じさせるアクチュエータや、逆に素子の変形から電圧を発生するセンサなどの機能性電子部品として広く利用されている。
アクチュエータやセンサの用途に利用される圧電体としては、大きな圧電特性を有する鉛系の誘電体、特にPZTと呼ばれるPb(Zr1-xTix)O3系のペロブスカイト型強誘電体がこれまで広く用いられている。PZTは、通常個々の元素からなる酸化物を焼結することにより形成される。
また、近年では、環境への配慮から鉛を含有しない圧電体の開発が望まれており、ニオブ酸カリウムナトリウム(一般式(K1-xNax)NbO3(0<x<1);以下、KNNという)等が開発されている。このKNNは、PZTに匹敵する圧電特性を有することから、非鉛圧電材料の有力な候補として期待されている。
一方、現在、各種電子部品の小型化と高性能化が進むにつれ、圧電素子においても小型化と高性能化が強く求められるようになった。しかしながら、従来からの製法である焼結法を中心とした製造方法により作製した圧電材料は、その厚みが特に10μm以下の厚さになると、材料を構成する結晶粒の大きさに近づき、その影響が無視できなくなる。そのため、特性のばらつきや劣化が顕著になるといった問題が発生し、それを回避するために、焼結法に代わる薄膜技術等を応用した圧電体の形成法が近年研究されるようになってきた。
最近、RFマグネトロンスパッタリング法で形成したPZT薄膜が、高精細高速インクジェットプリンタのヘッド用アクチュエータや、小型低価格のジャイロセンサとして実用化されている(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。また、鉛を用いないニオブ酸カリウムの圧電体薄膜を用いた圧電体薄膜素子も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
中村僖良監修、「圧電材料の高性能化と先端応用技術」、サイエンス&テクノロジー刊、2007年
圧電体薄膜として非鉛圧電体薄膜を形成することにより、環境負荷の小さい、インクジェットプリンタ用ヘッドやジャイロセンサなどを作製することが可能となる。これを実現するため、非鉛圧電体薄膜の研究が進められており、非鉛圧電体薄膜の具体的な候補として、KNNの薄膜化の基礎研究が進められている。
ところで、応用面において低コスト化を図るためには、Si基板やガラス基板の上に非鉛圧電体薄膜を制御良く形成する技術を確立することが不可欠である。Si基板やガラス基板を用いてアクチュエータやセンサを作製する際には、圧電体薄膜の上下には電極が必要であることから、基板上に、下部電極、圧電体薄膜、上部電極の順に、例えばRFマグネトロンスパッタリング法やパルスレーザー蒸着法などを用いて真空中で作製する。以下、基板上に下部電極、圧電体薄膜、上部電極を順次形成したものを圧電体薄膜素子と呼称し、圧電体薄膜素子に電圧検知手段または電圧印加手段を設けたものを圧電体薄膜デバイスと呼称する。
圧電体薄膜デバイスにおいては、圧電体薄膜が長期間所定の性能を発揮する信頼性が求められる。しかしながら、KNNをスパッタリング法により作製した場合、長時間の使用によって圧電性能が低下してしまうという問題があった。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、長時間の使用においても圧電性能の劣化が起こりにくく信頼性の高い非鉛の圧電体薄膜素子及び圧電体薄膜デバイスを提供することにある。
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、基板上に下部電極、圧電体薄膜、上部電極を順次形成した圧電体薄膜素子において、前記圧電体薄膜が、組成式(K1-xNax)NbO3で表されるアルカリニオブ酸ペロブスカイト構造の薄膜からなり、前記上部電極の音響インピーダンスから前記下部電極の音響インピーダンスを減じた前記両電極の音響インピーダンスの差が、24.6×106[N・s/m3]以上かつ84.9×106[N・s/m3]以下である圧電体薄膜素子である。
前記圧電体薄膜が、擬立方晶であるとよい。
前記圧電体薄膜が、(001)面方向に優先配向しているとよい。
前記圧電体薄膜の組成比xが、0.4≦x≦0.7の範囲内であるとよい。
また、本発明は、前記圧電体薄膜素子に、電圧検知手段または電圧印加手段を設けた圧電体薄膜デバイスである。
本発明によれば、長時間の使用においても圧電性能の劣化が起こりにくく信頼性の高い非鉛の圧電体薄膜素子及び圧電体薄膜デバイスを提供できる。
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
図1は、本実施の形態に係る圧電体薄膜素子の概略断面図である。
図1に示すように、圧電体薄膜素子1は、基板2上に下部電極3、圧電体薄膜4、上部電極5を順次形成したものである。
基板2としては、熱酸化膜付きSi基板((100)面方位)を用いる。基板2の厚さは、例えば0.525mm、熱酸化膜の厚さは、例えば200nmである。なお、本実施の形態では、基板2として熱酸化膜付きSi基板((100)面方位)を用いるが、これに限らず、基板2として、異なる面方位のSi基板や、熱酸化膜無しのSi基板、SOI基板を用いてもよい。また、Si基板以外に、石英ガラス基板、GaAs基板、サファイア基板、ステンレスなどの金属基板、MgO基板、SrTiO3基板などを用いてもよい。
下部電極3としては、Ta、Al、Au、Ag、In、Ti、Ptを用いることができる。また、下部電極3としては、Ptを含む合金、Ru、または、SrRuO3、LaNiO3などの金属酸化物電極を用いることもできる。下部電極3の膜厚は、例えば200nmである。下部電極3は、例えば、RFマグネトロンスパッタリング法により成膜される。
下部電極3としてAl、Au、Ag、Ptを用いる場合には、基板2との密着性を確保するため、基板2上に密着層(図示せず)を形成し、その密着層上に下部電極3を形成することが望ましい。密着層としては、Ti、Taなどを用いることができる。密着層の膜厚は、例えば20nmである。なお、密着層を形成せず、下部電極3の面方位を制御することにより、基板2との密着性を確保するようにしてもよい。
また、下部電極3は、その算術平均表面粗さRaが0.86nm以下であることが好ましい。これは、下部電極3の算術平均表面粗さRaが0.86nmより大きいと、圧電体薄膜4の圧電特性が低下してしまう場合があるためである。つまり、圧電体薄膜4が十分な圧電特性を発揮するためには、算術平均表面粗さRaが0.86nm以下であることが望ましい。
圧電体薄膜4は、組成式(K1-xNax)NbO3で表されるアルカリニオブ酸ペロブスカイト構造の薄膜からなる。つまり、圧電体薄膜4はニオブ酸カリウムナトリウム(KNN)からなる。また、圧電体薄膜4としては、擬立方晶で(001)面方向に優先配向しており、かつ、圧電体薄膜4の組成比x(Na/(K+Na))が、0.4≦x≦0.7の範囲内のものを用いる。圧電体薄膜4の膜厚は、例えば3μmである。圧電体薄膜4は、例えば、RFマグネトロンスパッタリング法により成膜される。
上部電極5としては、W、Pt、Ta、Au、Ag、Al、Ti3Al、Ti、Cu、Ta、Co、In、Mgを用いることができる。また、上部電極5としては、Ptを含む合金、Ru、または、SrRuO3、LaNiO3などの金属酸化物電極を用いることもできる。上部電極5の膜厚は、例えば200nmである。上部電極5は、例えば、RFマグネトロンスパッタリング法により成膜される。
さて、本実施の形態に係る圧電体薄膜素子1では、上部電極5の音響インピーダンスから下部電極3の音響インピーダンスを減じた両電極3,5の音響インピーダンスの差が、24.6×106[N・s/m3]以上かつ84.9×106[N・s/m3]以下とされる。なお、音響インピーダンスとは、平面波の場合、材料の音速と密度の積で表され、異なる物質の界面での弾性波の反射し易さを表す値である。
ここで、両電極3,5の音響インピーダンスの差を24.6×106[N・s/m3]以上84.9×106[N・s/m3]以下とする理由について説明する。
圧電体薄膜素子1では、圧電体薄膜4の上下にはそれぞれ電極3,5が形成される。このような圧電体薄膜素子1において、本発明者らは、圧電体薄膜4の上下での弾性波の反射の対称性が圧電体薄膜4に影響を及ぼし、圧電体薄膜4の圧電特性の劣化し易さに影響を及ぼしていると考えた。すなわち、本発明者らは、圧電体薄膜4の上下の電極3,5の音響インピーダンスの差が、圧電体薄膜素子1の信頼性に影響を与えると考えた。
この考え方によると、圧電体薄膜4の上下の電極3,5の音響インピーダンスの差が大きいと、圧電体薄膜4と電極3,5間の弾性波の反射が上下で非対称になり、この影響により、圧電体薄膜素子1を長時間使用したときに圧電体薄膜4の圧電特性が劣化し易くなると考えられる。すなわち、両電極3,5の音響インピーダンスの差が大きいほど、圧電体薄膜素子1の信頼性が低下すると考えられる。
ところが、本発明者らが、実際に両電極3,5の音響インピーダンスの差を変化させた圧電体薄膜素子1の試料を多数試作して信頼性の評価(長時間の使用により圧電定数d31がどの程度低下するかという評価)を行ったところ、両電極3,5の音響インピーダンスの差が10×106[N・s/m3]以下の領域では上述のような傾向が確認できたものの、両電極3,5の音響インピーダンスの差が10×106[N・s/m3]を超えると、逆に、圧電体薄膜4の圧電特性が劣化しにくくなり、特に、両電極3,5の音響インピーダンスの差が24.6×106[N・s/m3]以上の領域では、圧電体薄膜4の圧電特性が非常に劣化しにくく(圧電定数d31の低下率が非常に低く)なることが分かった。
これは、下部電極3、上部電極5いずれかの電極での弾性波の反射の影響が支配的となり、その結果、弾性波の反射が非対称である影響が小さくなり、圧電体薄膜4の長期間連続圧電動作による圧電特性の劣化が抑えられたためと考えられる。さらなる実験の結果、両電極3,5の音響インピーダンスの差が24.6×106[N・s/m3]以上かつ84.9×106[N・s/m3]以下の範囲であれば、圧電体薄膜4の圧電特性が劣化しにくく(圧電定数d31の低下率が低く)、圧電体薄膜素子1の信頼性を向上できることが分かった。
以上説明したように、本実施の形態に係る圧電体薄膜素子1では、両電極3,5の音響インピーダンスの差を、24.6×106[N・s/m3]以上かつ84.9×106[N・s/m3]以下としているため、長時間の使用においても圧電体薄膜4の圧電性能の劣化が起こりにくく、信頼性の高い圧電体薄膜素子1を実現できる。
また、本実施の形態に係る圧電体薄膜素子1では、圧電体薄膜4を、組成式(K1-xNax)NbO3で表されるアルカリニオブ酸ペロブスカイト構造の薄膜で形成しているため、非鉛であり、環境への負荷が少ない圧電体薄膜素子1を実現できる。
さらに、圧電体薄膜素子1に少なくとも電圧印加手段を設けることにより、圧電体薄膜デバイスであるアクチュエータが得られる。このアクチュエータの圧電体薄膜素子1に電圧が印加されると、圧電体薄膜素子1が変形するので、この変形に伴う変形応力によって圧電体薄膜素子1に接する各種部材を駆動させることができる。アクチュエータの具体例としては、インクジェットプリンタ、スキャナー、超音波発生器などのヘッド用アクチュエータなどが挙げられる。
さらにまた、圧電体薄膜素子1の下部電極3および上部電極5に、少なくとも電圧検知手段を接続することで、圧電体薄膜デバイスであるセンサが得られる。このセンサの圧電体薄膜素子1が何らかの要因によって変形されると、その変形に伴って電圧が発生するので、この電圧を検知することで圧電体薄膜素子1の変形を検知することができる。センサの具体例としては、ジャイロ、超音波センサ、圧力センサ、速度・加速度センサなどが挙げられる。
これらアクチュエータやセンサなどの圧電体薄膜デバイスは、本発明の圧電体薄膜素子1を用いているため、環境への負荷が少なく、かつ信頼性が高い。
上記実施の形態では、上部電極5が1層からなる場合を説明したが、上部電極5を積層構造としてもよい。この場合、各層の厚みの比に応じて合金の場合と同様の効果が期待できる。つまり、各層の厚みの比と同じ組成比を有する合金を用いた場合と同様の効果が期待できる。
また、上記実施の形態では、圧電体薄膜4にはKNN以外の元素を添加しなかったが、5原子数%以下のLi、Ta、Sb、Ca、Cu、Ba、Ti等を圧電体薄膜4に添加してもよい。
このように、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
様々な上下電極材料を用いて実施例1〜16、比較例1〜12の圧電体薄膜素子を作製した。
[上下電極および圧電体薄膜の成膜]
基板2としては、熱酸化膜付きSi基板((100)面方位、厚さ0.525mm、熱酸化膜厚さ200nm、サイズ4インチウエハ)を用いた。
基板2としては、熱酸化膜付きSi基板((100)面方位、厚さ0.525mm、熱酸化膜厚さ200nm、サイズ4インチウエハ)を用いた。
まず、基板2上にRFマグネトロンスパッタリング法で、下部電極3(Ta、Al、Au、Ag、In、Ti、Pt、膜厚200nm)を形成した。ただし、下部電極3がAl、Au、Ag、Ptの場合には、Tiからなる密着層(膜厚20nm)を基板2との間に蒸着し、下部電極3を形成した。
Tiからなる密着層と下部電極3は、基板温度100〜350℃、放電パワー200W、導入ガスAr雰囲気、チャンバー内圧力2.5Pa、成膜時間1〜3分、10分の条件で成膜した。下部電極3の面内表面粗さを測定したところ、算術平均表面粗さRaが0.86nm以下であった。
その後、下部電極3上に、RFマグネトロンスパッタリング法で(K1-xNax)NbO3からなる圧電体薄膜4を成膜した。圧電体薄膜4は、組成比x(Na/(K+Na))=0.425〜0.730の(K1-xNax)NbO3焼結体をターゲットに用い、基板温度520℃、放電パワー700W、O2/Ar混合比0.005の雰囲気、チャンバー内圧力1.3Paの条件で成膜した。圧電体薄膜4の成膜時間は、圧電体薄膜4の膜厚がほぼ3μmとなるように調整した。
その後、圧電体薄膜4上に、RFマグネトロンスパッタリング法で、上部電極5(W、Pt、Ta、Au、Ag、Al、Ti3Al、Ti、Cu、Ta、Co、In、Mg、膜厚200nm)を形成した。
主な金属材料の音響インピーダンスの値を表1に示す。また、実施例1〜16、比較例1〜12の圧電体薄膜素子における上下電極材料の組合せを表2に示す。
なお、表1における密度はバルク体の値を表示しているが、上部電極5および下部電極3の密度は、X線回折測定を用いて格子定数を測定することにより、バルク体の値を用いることができることを確認している。
[圧電特性]
実施例1〜16、比較例1〜12の圧電体薄膜素子の圧電特性を確認するためにアクチュエータの試作を行った。
実施例1〜16、比較例1〜12の圧電体薄膜素子の圧電特性を確認するためにアクチュエータの試作を行った。
図2(a),(b)に示すように、長さ20mm幅2.5mmの短冊形に切り出した片持ち梁状の圧電体薄膜素子1を作製し、圧電体薄膜素子1の長手方向の端をクランプ21で固定し、簡易的なユニモルフカンチレバー22を構成した。この状態で下部電極3と上部電極5間の圧電体薄膜4に電源23から電圧を印加し、圧電体薄膜4を伸縮させることでカンチレバー22全体を屈曲動作させ、カンチレバー22の先端(図示右側)を動作させた。その先端変位量をレーザードップラ変位計24で測定した。
圧電定数d31は、カンチレバー22の先端の変位量、カンチレバー22の長さ、基板2と圧電体薄膜4の厚さとヤング率、電源23での印加電圧から算出される。このカンチレバー22の屈曲動作を10億回連続で行い、初期状態と10億回動作後の圧電定数d31を比較し、10億回駆動時の圧電定数d31の低下率を算出した。d31の低下率は、下式
{(初期のd31−10億回駆動後のd31)/初期のd31}×100(%)
で算出した。
{(初期のd31−10億回駆動後のd31)/初期のd31}×100(%)
で算出した。
以上により得られた10億回駆動時の圧電定数d31の低下率と、両電極3、5の音響インピーダンスの差を表2に併せて示す。また、10億回駆動時の圧電定数d31の低下率と、両電極3、5の音響インピーダンスの差との関係を図3に示す。
表2および図3に示すように、圧電性能の低下は両電極3,5の音響インピーダンスの差が大きいほど大きくなるが、音響インピーダンスの差が所定の値(10×106[N・s/m3]程度)を超えると、圧電性能の低下が減少に転じ、音響インピーダンスの差が24.6×106[N・s/m3]以上、かつ84.9×106[N・s/m3]以下の範囲では、圧電性能の低下が2%以下と低い値に落ち着くことがわかる。
以上の結果から、10億回連続駆動後も圧電定数d31の低下率を2%以下とするためには、両電極3,5の音響インピーダンスの差を24.6×106[N・s/m3]以上かつ84.9×106[N・s/m3]以下とすればよいことが分かる。音響インピーダンスの差を上述の範囲にすることにより、長時間使用においても圧電性能の低下を抑制することができる。
1 圧電体薄膜素子
2 基板
3 下部電極
4 圧電体薄膜
5 上部電極
2 基板
3 下部電極
4 圧電体薄膜
5 上部電極
Claims (5)
- 基板上に下部電極、圧電体薄膜、上部電極を順次形成した圧電体薄膜素子において、
前記圧電体薄膜が、組成式(K1-xNax)NbO3で表されるアルカリニオブ酸ペロブスカイト構造の薄膜からなり、
前記上部電極の音響インピーダンスから前記下部電極の音響インピーダンスを減じた前記両電極の音響インピーダンスの差が、24.6×106[N・s/m3]以上かつ84.9×106[N・s/m3]以下であることを特徴とする圧電体薄膜素子。 - 前記圧電体薄膜が、擬立方晶である請求項1記載の圧電体薄膜素子。
- 前記圧電体薄膜が、(001)面方向に優先配向している請求項2記載の圧電体薄膜素子。
- 前記圧電体薄膜の組成比xが、0.4≦x≦0.7の範囲内である請求項1〜3いずれかに記載の圧電体薄膜素子。
- 請求項1〜4いずれかに記載の圧電体薄膜素子に、電圧検知手段または電圧印加手段を設けたことを特徴とする圧電体薄膜デバイス。
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