JP2008270379A - 圧電薄膜素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 深さ方向の元素組成が均一であり優れた圧電特性を有するニオブ酸カリウムナトリウム薄膜を用いた圧電薄膜素子及び圧電薄膜素子の製造方法を提供する。
【解決手段】 基板上に少なくとも下部電極、一般式(KNa1−x)NbO(0<x<1)で表されるペロブスカイト構造を有し、膜厚が0.2μm以上かつ10μm以下である圧電薄膜、及び上部電極を配した構造を有する圧電薄膜素子であって、前記圧電薄膜の上部電極側から下部電極側の深さ方向組成プロファイルにおけるにおけるNaの組成比1−x=Na/(K+Na)の最大値と最小値の差が0.05以下という関係を有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、圧電薄膜素子に関する。
圧電材料は、種々の目的に応じて様々な圧電素子に加工され、素子に電圧を加えることにより変形が生じるアクチュエータや、それとは逆に素子に圧力を加えることにより変形を生じさせ、その変形に応じて電圧が発生するセンサなどの機能性電子部品として広く利用されている。
アクチュエータやセンサの用途に利用されている圧電材料としては、優れた圧電特性を有する鉛系材料の強誘電体材料、特にPZTと呼ばれるPb(Zr1−xTi)O系のペロブスカイト型強誘電体材料がこれまで広く用いられており、このような強誘電体材料は通常個々の元素からなる酸化物粉末を焼結することにより作製される。
一方、近年は各種電子部品の小型化・高性能化が進み、それに伴ってアクチュエータ等の圧電素子も一層小型化することが求められている。このような場合には、圧電材料を膜厚が数μmから数十μmの薄膜形状にすることが要求され、適当な基板上に薄膜を形成する方法が用いられる。
従来からの製法である焼結法を中心とする製造方法により作製した圧電材料は、結晶粒が比較的大きいため、近年の小型化の要求に沿って薄膜化を進めるには大きな問題がある。つまり、10μm程度の薄膜になると、その膜厚が、材料を構成する結晶粒の大きさに近づいてしまうため、個々の結晶粒の特性の影響が無視できなくなる。そのため、特性のばらつきや劣化が顕著になるといった問題が発生する。
また、固形状の焼結体を薄膜形状に加工することは、経済的・工業的見地から見ても現実的な方法とは言い難い。
このような理由から、焼結法に代わって薄膜形成技術を応用した圧電材料の形成法が近年盛んに研究されるようになってきた。薄膜形成技術としては、例えばスパッタリング法(特許文献1参照)や、PLD(レーザーアブレーション法)、ゾルゲル法等がある。最近、RFスパッタリング法で形成したPZT薄膜が高精細高速インクジェットプリンタのヘッド用アクチュエータとして実用化されている(特許文献2参照)。
他方、前記のPZTから成る圧電焼結体や圧電薄膜は、鉛を60〜70重量%程度含有しているため、生態学的見地および公害防止の面から好ましくない。そこで、環境への配慮から鉛を含有しない圧電材料の開発が望まれている。
現在、様々な非鉛圧電材料が研究されているが、その中にニオブ酸カリウムナトリウム(一般式:(KNa1−x)NbO(0<x<1))がある。このニオブ酸カリウムナトリウムは、ペロブスカイト構造を有する材料であり、非鉛の材料としては比較的良好な圧電特性を示すため、非鉛圧電材料の有力な候補として期待されている。
ニオブ酸カリウムナトリウム焼結体は、一般式:(KNa1−x)NbO(0<x<1)において組成比x=0.5付近で優れた圧電特性を有する。しかしながら、現状においてニオブ酸カリウムナトリウムの薄膜では、焼結体と同じ組成であっても、焼結体に匹敵する圧電特性は実現されていない。
なお、従来技術には、ニオブ酸系化合物について、充分な圧電特性を有する圧電薄膜素子を得るためにペロブスカイト型結晶構造の配向度について検討されたものや(特許文献3参照)、ニオブ酸系化合物薄膜は絶縁耐圧が非常に低いことから、実用化に耐えるよう
にするために絶縁耐圧について検討されたものがあるが(特許文献4参照)、膜厚やNa/(K+Na)の組成比について検討されたものはない。
特開2002−151754号公報 特開平11−135850号公報 特開2007−19302号公報 特開2007−42740号公報
ニオブ酸カリウムナトリウム結晶は、室温では斜方晶のペロブスカイト構造を有している。斜方晶の各頂点にK、Na(金属R)が、体心にNb(金属M)が、そして金属Mを中心として酸素Oが斜方晶の各面心にそれぞれ配置されている。酸素と金属MからなるNbO八面体の向きは金属Rとの相互作用により容易に歪み、これによってより対称性の低い正方晶に相転移する。この相転移により、この結晶の物性が変化する。
したがって、ニオブ酸カリウムナトリウムを構成するK、Na及びNbの組成、特にK及びNaの組成を検討しないと、斜方晶の各頂点にあるK及びNa原子の組成比のバランスの変化によりニオブ酸カリウムナトリウム薄膜の結晶の物性を変化させることは困難となり、優れた圧電特性が得られないと考えられる。
ニオブ酸カリウムナトリウムの薄膜では優れた圧電特性が得られない原因を探るために、スパッタリング法で成膜したニオブ酸カリウムナトリウム薄膜の組成を調査したところ、膜の深さ方向での元素組成が不均一であることがわかった。
さらに、上記の通りニオブ酸カリウムナトリウムの焼結体は(KNa1−x)NbOにおいて組成比x=0.5付近の狭い組成領域でのみ、優れた圧電特性が実現されていることがわかっている。
上記調査結果より、ニオブ酸カリウムナトリウムの薄膜において優れた圧電特性が得られない原因は、深さ方向の元素組成の不均一が大きな原因であると考えられる。
以上述べたように、従来のニオブ酸カリウムナトリウム薄膜はK及びNaの組成が全く配慮されておらず、圧電特性低下の要因になっていた。
本発明の目的は、深さ方向の元素組成が均一であり優れた圧電特性を有するニオブ酸カリウムナトリウム薄膜を用いた圧電薄膜素子を提供することにある。
本発明の第一の態様は、基板上に少なくとも下部電極、一般式(KNa1−x)NbO(0<x<1)で表されるペロブスカイト構造を有し、膜厚が0.2μm以上かつ10μm以下である圧電薄膜、及び上部電極を配した構造を有する圧電薄膜素子であって、前記圧電薄膜の上部電極側から下部電極側の深さ方向組成プロファイルおけるNaの組成比1−x=Na/(K+Na)の最大値と最小値の差が0.05以下という関係を有することを特徴とする。
本発明によれば、深さ方向の元素組成が均一であり優れた圧電特性を有するニオブ酸カリウムナトリウム薄膜を用いた圧電薄膜素子を得ることができる。
発明者らは、Naの組成比1−x=Na/(K+Na)が変化することにより、ニオブ酸カリウムナトリウムの圧電特性が変化すること、また、Naの組成比1−x=Na/(K+Na)を一定の範囲に収めることにより圧電特性の優れた圧電薄膜素子を得るという
知見を得た。
この知見を基に、以下、本発明を実施するための最良の形態を説明するが、この実施の形態は例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能である。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明するが、この実施の形態は例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能である。
[圧電薄膜素子の構造]
図1に示すように、本実施形態における圧電薄膜素子8は、基板1、下部電極2、圧電薄膜3、上部電極4から形成される。以下、それらについて詳述する。
[基板及び電極材料]
基板1はニオブ酸カリウムナトリウムを成膜する際の温度に耐える耐熱性を有することが必要であり、さらに安価であることも工業的には重要な要素である。これに最も適した基板1としてはSi基板が好ましいが、技術的には他の基板も使用できる。また上部電極4及び下部電極2を構成する電極材料も同様に耐熱性を有することが必要であり、白金等を用いることが好ましいが、これに限定されるものではない。
[圧電薄膜]
上記圧電薄膜3は、一般式(KNa1−x)NbO(0<x<1)で表されるペロブスカイト構造を有するニオブ酸カリウムナトリウム薄膜である。
上記圧電薄膜3の上部電極側から下部電極側の深さ方向組成プロファイルにおけるNaの組成比1−x=Na/(K+Na)の最大値と最小値の差は0.05以下である。
後述する圧電定数と組成比の関係(図7)から、組成比が0.45以上になると充分大きな圧電定数が得られ、逆に組成比が0.45未満であれば大きな圧電定数が得られない。
組成比が0.55を越えるとペロブスカイト構造が崩れて圧電特性の劣化を引き起こし、逆に組成比が0.55以下であればペロブスカイト構造は崩れず圧電特性の劣化も生じない。
したがって、上記組成比の最小値及び最大値が0.45から0.55の範囲内にあることが好ましい。
上記圧電薄膜3の膜厚は0.2μm以上かつ10μm以下である。膜厚が0.2μm以上であれば、圧電薄膜素子8としての実効的な圧電特性を得ることができ、10μm以上の膜厚の圧電薄膜3を作製したい場合は、従来のように焼結体を用いればよい。
また、ニオブ酸カリウムナトリウム薄膜に少量の添加物(例えば、原子数濃度8%以下のLi)を混入した場合も、圧電特性の向上といった効果が期待できる。
さらに、圧電薄膜3が多層構造または傾斜組成構造を有する場合において、圧電薄膜3全体の膜厚の80%以上が上記組成比を有する薄膜である場合も同様の効果が期待できる。
[圧電薄膜素子の製造方法]
図1は本実施形態における(KNa1−x)NbO圧電薄膜3からなる圧電薄膜素子8の断面図である。図1に示すように、Si基板1上に、例えばスパッタリング法で白金下部電極2を形成する。その下部電極2上に、上記ニオブ酸カリウムナトリウム薄膜3を成膜する。その成膜方法としては、例えば、スパッタリング法、CVD法、PLD法、ゾルゲル法などが挙げられる。
一般的な圧電薄膜の形成方法であるスパッタリング法を用いる場合に、深さ方向の元素組成を均一にする方法を以下に述べる。
スパッタリング法でニオブ酸カリウムナトリウム薄膜を形成する場合、(KNa1−
)NbOまたはKNbOとNaNbOを混合したものをターゲットに用いる。いずれのターゲットを用いた場合も、K、Naがターゲットからはじき出される効率はターゲットの表面温度に依存し、その表面温度によってターゲットからはじき出されるKとNaの比率が異なる。
通常の成膜を行うとターゲット表面の温度が徐々に上昇していき、それに伴い、ターゲットからはじき出されるK、Naの比率が変化し、その結果として、形成されるニオブ酸カリウムナトリウム薄膜3のNa/(K+Na)組成が変化していく。
従って、ターゲットの冷却効率を向上してターゲット表面温度が大きく上昇しないようにする方法や、定期的にターゲット冷却のために放電中断を導入する方法等によってターゲット表面の温度上昇を防ぎ、深さ方向に元素組成が均一な膜が形成できる。
[圧電薄膜素子による実施形態の効果]
本実施の形態の圧電薄膜素子によれば、次のような効果が得られる。
圧電薄膜の上部電極側から下部電極側の深さ方向組成プロファイルおけるNaの組成比1−x=Na/(K+Na)の最大値と最小値の差が0.05以下という関係を有するので、圧電特性の劣化を招くことなく、十分大きな圧電定数を得ることができる。その結果、焼結体に匹敵する優れた圧電特性を実現することができる。また、圧電薄膜素子は、鉛を全く含有していないので、鉛フリーの環境問題に容易に対応することができる。
さらに、圧電薄膜の厚さが0.2μm以上かつ10μm以下であるので、圧電薄膜素子の小型化の要請に充分に応えることができる。例えば、インクジェットプリンタ、スキャナー、ジャイロ、超音波発生装置、超音波センサ、圧力センサ、速度センサ、加速度センサなどの小型電子部品に利用することができる。
本発明の好ましい態様を付記する。
第一の態様によれば、基板上に少なくとも下部電極、一般式(KNa1−x)NbO(0<x<1)で表されるペロブスカイト構造を有し、膜厚が0.2μm以上かつ10μm以下である圧電薄膜、及び上部電極を配した構造を有する圧電薄膜素子であって、
前記圧電薄膜の上部電極側から下部電極側の深さ方向組成プロファイルにおけるNaの組成比1−x=Na/(K+Na)の最大値と最小値の差が0.05以下という関係を有する圧電薄膜素子が提供される。
第二の態様によれば、基板上に少なくとも下部電極、一般式(KNa1−x)NbO(0<x<1)で表されるペロブスカイト構造を有し、膜厚が0.2μm以上かつ10μm以下である圧電薄膜、及び上部電極を配した構造を有する圧電薄膜素子であって、
前記圧電薄膜の上部電極側から下部電極側の深さ方向組成プロファイルにおけるNaの組成比1−x=Na/(K+Na)の最大値と最小値の差が0.05以下であり、最大値及び最小値の両方が0.45から0.55の範囲にあるという関係を有する圧電薄膜素子が提供される。
第三の態様によれば、基板上に下部電極を形成する工程と、前記下部電極上に、一般式(KNa1−x)NbO(0<x<1)で表されるペロブスカイト構造を有し、ターゲットに(KNa1−x)NbO、またはKNbOとNaNbOの混合物を用いたスパッタリング法で、膜厚が0.2μm以上かつ10μm以下で圧電薄膜を結晶成長させる工程と、前記圧電薄膜上に上部電極を形成する工程とを有し、
前記結晶成長工程では、前記圧電薄膜の上部電極側から下部電極側の深さ方向組成プロファイルにおけるNaの組成比1−x=Na/(K+Na)の最大値と最小値の差が0.05以下という関係を有する圧電薄膜を結晶成長させる圧電薄膜素子の製造方法が提供される。
第四の態様によれば、基板上に下部電極を形成する工程と、前記下部電極上に、一般式
(KNa1−x)NbO(0<x<1)で表されるペロブスカイト構造を有し、ターゲットに(KNa1−x)NbO、またはKNbOとNaNbOの混合物を用いたスパッタリング法で、膜厚が0.2μm以上かつ10μm以下で圧電薄膜を結晶成長させる工程と、前記圧電薄膜上に上部電極を形成する工程とを有し、
前記結晶成長工程では、前記圧電薄膜の上部電極側から下部電極側の深さ方向組成プロファイルにおけるNaの組成比1−x=Na/(K+Na)の最大値と最小値の差が0.05以下であり、最大値及び最小値の両方が0.45から0.55の範囲にあるという関係を有する圧電薄膜を結晶成長させる圧電薄膜素子の製造方法が提供される。
以下実施例を用いて説明する。なお、圧電薄膜の組成は、AES(オージェ電子分光測定)またはXPS(X線光電子分光測定)によって測定したK、Na、Nbの組成から計算した組成比によって定義している。
[実施例、比較例]
(圧電薄膜の作製)
本実施例において、(K0.5Na0.5)NbO圧電薄膜を作製した。作製した圧電薄膜体を図2に示した。
基板1にはSi基板((001)面方位、厚さ0.5mm)を用いた。
そのSi基板1上にRFマグネトロンスパッタリング法で、白金下部電極2((111)面単独配向、膜厚0.2μm)を形成した。白金下部電極2は、基板温度600℃、放電パワー200W、導入ガスはAr雰囲気、圧力2.5Pa、成膜時間10分の条件で成膜した。
その上に、(K0.5Na0.5)NbO圧電薄膜5(膜厚3.0μm)をRFマグネトロンスパッタリング法で形成した。(K0.5Na0.5)NbO圧電薄膜5は、スパッタリングターゲットに(K+Na)/Nbの組成比が1.0およびK/(K+Na)の組成比が0.5の(KNa1−x)NbO焼結体を用い、基板温度570℃、放電パワー100W、導入ガスはAr雰囲気、圧力0.4Pa、成膜時間4時間の条件で成膜した。このとき、ターゲット表面温度の上昇を抑制するために、30分成膜後に15分間の放電中断を挟むサイクルを繰り返して成膜した。
このように、実施例における(K0.5Na0.5)NbO圧電薄膜体9を作製した。
比較例の圧電薄膜体においても、(K0.5Na0.5)NbO薄膜の形成の際、放電を中断することなく4時間成膜したこと以外は、実施例と同様に作製した。
(組成分布測定)
実施例及び比較例の圧電薄膜体9の深さ方向の元素組成分布をAES(オージェ電子分光測定)で測定し、その結果を図3及び図4に示した。図3によれば、本実施例におけるNbの原子濃度は19.5(atomic%、以後at%という)、Kの原子濃度は10.8(at%)、Naの原子濃度は9.3(at%)であった。その結果、Na/(K+Na)の組成比は約0.45であった。さらに圧電薄膜5のどの深さにおいても組成比はほぼ一定であった。実施例における圧電薄膜5は、組成比Na/(K+Na)の値の最大値と最小値の差が0.05以下いう条件を満たしていた。
図4によれば、比較例におけるNbの原子濃度は17.2(at%)、Kの原子濃度は最大値15.2(at%)かつ最小値11.6(at%)の間で変動し、Naの原子濃度は最大値9.8(at%)かつ最小値8.4(at%)の間で変動した。その結果、比較例では、Na/(K+Na)の組成比は0.36〜0.46の範囲にあることから、組成比Na/(K+Na)の値の最大値と最小値の差が0.05以下という条件を満たしていなかった。
(圧電特性評価測定)
圧電特性評価測定を行うために、上記圧電薄膜5の上に白金上部電極4(膜厚0.02μm)をRFマグネトロンスパッタリング法で形成し、圧電薄膜素子8を得た。
図5(a)は、圧電特性評価測定を行うためのユニモルフカンチレバー15の概略を示す図である。図5(a)に示すように、上記圧電薄膜素子8から、長さ20mm×幅2.5mmの短冊形試料を切り出し、長手方向の端を除震台22の上に設置されたクランプ20で固定し、簡易的なユニモルフカンチレバー15を構成した。除震台22により、震動がユニモルフカンチレバー15に与える影響を除去することができる。
Si基板11上に形成された白金上下両電極12、14間の(K0.5Na0.5)NbO薄膜13に電圧を印加し、上記薄膜13を伸縮させることで、図5(b)に示すようにユニモルフカンチレバー15全体を屈曲動作させ、それによりユニモルフカンチレバー15の先端を動作させた。その先端最大変位量30(Δt)をレーザードップラ変位計21で測定した。その結果得られた実施例1及び比較例における印加電圧と先端最大変位量30(以後、圧電変位量と呼ぶ)との関係を図6に示した。図6より、比較例の圧電薄膜素子と比較して、実施例の圧電薄膜素子では、圧電によるユニモルフカンチレバー先端の変位量が大きかった。
(圧電定数)
上記試料の寸法及び印加電圧と圧電変位量との関係から、圧電定数d31を計算した結果、本実施例により作製した圧電薄膜素子の圧電定数d31は55(−pm/V)であった。それに対し、比較例により作製した圧電薄膜素子の圧電定数d31は30(−pm/V)であった。
このことより、本発明を用いることで、従来技術よりも圧電特性の優れた(KNa1−x)NbO圧電薄膜を作製できることが確認できた。
さらに、Na/(K+Na)の組成比が異なる(KNa1−x)NbO薄膜を成膜し、上記と同様の方法で、各々の圧電定数d31を計算した。それにより得られた圧電定数と上記組成比との関係を図7に示した。図7に示すように、Na/(K+Na)の組成比が0.4以下又は0.6以上では圧電定数d31は20(−pm/V)以下であるが、組成比Na/(K+Na)が0.45以上、0.55以下になると圧電定数d31の値が急激に向上するのが分かった。
本発明の一実施形態における(KNa1−x)NbO圧電薄膜素子の断面図である。 実施例及び比較例における(K0.5Na0.5)NbO圧電薄膜体の断面図である。 実施例における(K0.5Na0.5)NbO圧電薄膜の深さ方向の元素組成分布図である。 比較例における(K0.5Na0.5)NbO圧電薄膜の深さ方向の元素組成分布図である。 圧電特性評価測定の方法を示す説明図である。 実施例及び比較例における印加電圧と先端最大変位量の関係を示した図である。 (KNa1−x)NbO圧電薄膜の圧電定数d31と、(K+Na)とNbとの組成比との関係を示した図である。
符号の説明
1 基板
2 下部電極
3 (KNa1−x)NbO圧電薄膜
4 上部電極
5 (K0.5Na0.5)NbO圧電薄膜
8 圧電薄膜素子
9 圧電薄膜体
11 Si基板
12 白金下部電極
13 (K0.5Na0.5)NbO圧電薄膜
14 白金上部電極
15 ユニモルフカンチレバー
20 クランプ
21 レーザードップラ変位計
22 除震台
30 先端最大変位量

Claims (1)

  1. 基板上に少なくとも下部電極、一般式(KNa1−x)NbO(0<x<1)で表されるペロブスカイト構造を有し、膜厚が0.2μm以上かつ10μm以下である圧電薄膜、及び上部電極を配した構造を有する圧電薄膜素子であって、
    前記圧電薄膜の上部電極側から下部電極側の深さ方向組成プロファイルにおけるNaの組成比1−x=Na/(K+Na)の最大値と最小値の差が0.05以下という関係を有することを特徴とする圧電薄膜素子。
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