JP5045926B2 - 窒化ケイ素粉末の製造法 - Google Patents

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Description

本発明は、炭素含有量が低く、且つ、ウィスカーの生成が抑制された窒化ケイ素粉末を効率的に製造する方法に関するものである。
窒化ケイ素焼結体は、高耐熱性、高強度、高靱性、耐蝕性等の種々の優れた特性を有していることから、高温下において高い強度を要求される機械部品を初めとした各種の構造材料等、様々な分野へ応用展開が図られており、原料となる窒化ケイ素粒子粉末についても、高純度且つ安価であることが求められている。
窒化ケイ素粉末の製法としては、一般に、(1)直接窒化法、(2)イミド分解法、(3)還元窒化法等が知られている。特に、(3)の還元窒化法は反応操作が比較的容易であり、原料中に窒化ケイ素の種結晶を添加することで、粒子径及び結晶相を任意に制御することが可能であると共に、原料として安価なシリカ粒子粉末と炭素粉末を用いて窒化ケイ素粉末を得ることができるという利点を有している。
還元窒化法におけるシリカの還元反応は、シリカ粒子の表面での固相反応であり、シリカ粒子の表面積が大きい方が反応は容易に進むと考えられている。
同様に、還元反応に用いられる炭素粉末も、生産性を考えれば表面積が大きいことが望まれるが、一般に、粉体は表面積が大きくなると粒子サイズは小さくなる傾向にあり、還元反応に用いる炭素粉末の粒子サイズが小さくなると、反応の際に炭素粉末がシリカ粒子の間に入り込み、窒化ケイ素生成後に行う過剰、もしくは未反応の炭素粉末の酸化除去が困難になり、不純物として残存しやすくなる。
一方、還元反応に用いる炭素粉末の表面積が十分に大きくない場合にはウィスカーが生成しやすいため、還元窒化法においては、炭素含有量の低減とウィスカー生成の抑制とはトレードオフの関係にあり、両方の特性を満足させることは困難であった。
これまでに、還元窒化法でSiCなどの不純物の含有量が少ない窒化ケイ素を製造する方法として、原料であるシリカ粒子粉末とカーボン粉末の粒子サイズ及びその組成比を限定する方法(特許文献1及び特許文献2)が開示されている。
還元窒化法における窒化ケイ素の原料となるシリカ粒子粉末の製造法は、主に乾式法と湿式法が知られている。乾式法は四塩化ケイ素を出発原料とし、これを酸素と水素で燃焼する方法であり、高純度のシリカ粒子粉末を得ることができるが、高価であるため工業的には不利である。
一方、湿式法は出発原料に安価なケイ酸ソーダを硫酸と反応する方法であり、得られたシリカ粒子粉末は、水溶液中で反応を行うためにシリカ粒子中に多量のシラノール基を有しており、また、純度についても出発原料に高純度の四塩化ケイ素を用いる乾式法に比べて劣ってはいるが、価格は乾式法によるシリカ粒子粉末に比べて安価である。
しかしながら、還元窒化法による窒化ケイ素粉末の製造の際に湿式法によるシリカ粒子粉末を用いた場合、シリカ粒子中のシラノール基から活性水素が発生し、Si−O−Si結合の切断・再結合を加速する。そのため、粗大結晶のクリストバライトが生成し、カーボン粉末によるシリカの還元・窒化反応が阻害されることから、安価な湿式シリカを用いて高純度の窒化ケイ素粒子粉末を得ることは困難であった。
出発物質として湿式法により製造されたシリカ粒子粉末を用いる方法としては、湿式シリカ粒子をカーボンで被覆後、窒素気流中で焼成を行う方法(非特許文献1)が開示されている。
かかる従来の製造方法で得られた窒化ケイ素にはウィスカーの発生が見られ、製造時に窒化ケイ素粉末に混入することでハンドリング性を著しく低下させると共に、これを用いて成型を行った際に、ブリッジングを起こし成形体密度を低下させることが知られている。
ウィスカーの生成を回避する方法としては、これまでに、ウィスカー発生の原因となる原料の酸化ケイ素中の金属元素の総量が0.3%以下のシリカを用いること(特許文献3)、もしくはシリカ粉末の純度を99.8%以上とすること(特許文献4)が示唆されている。
特開昭53−137899号公報 特開昭61−242905号公報 特開昭61−91007号公報 特開平1−226708号公報 吉田裕亮、外4名、「SiO2炭素還元窒化法によるSi3N4粉末の合成に及ぼす原料粉末の影響」、日本セラミックス協会2005年年会講演予稿集、日本セラミックス協会、2005年、p.161
還元窒化法は、安価に窒化ケイ素粉末を得る製造法として有用ではあるが、炭素含有量が低く、且つ、ウィスカーの生成が抑制された窒化ケイ素を効率的に得る製造法は未だ得られていない。
即ち、特許文献1及び2では、原料であるシリカ粒子粉末とカーボン粉末の粒子サイズ及びその組成比を限定する方法が記載されているが、特許文献1の実施例に記載されているカーボン粉末の比表面積値は100m/gと小さく、ウィスカーの生成を抑制することは困難である。
また、非特許文献1では出発物質に湿式法により製造されたシリカ粒子粉末を用い、これをカーボンで被覆後、窒素気流中で焼成を行う方法が記載されているが、クリストバライトの発生は抑制されているものの、原料の湿式シリカの精製が不十分であるために、ウィスカーの生成が抑制されているとは言い難い。
特許文献3にはウィスカー発生の原因となる金属元素の総量が0.3%以下の酸化ケイ素粉末を用いることが記載されているが、Siを除く金属元素の総量についての記載がなされておらず、また、ウィスカー発生の原因となる金属元素についても3000ppm以下と高いため、ウィスカー生成の抑制の点で不十分である。
特許文献4ではシリカ粉末の純度を99.8%以上とすることが記載されているが、ウィスカー発生の原因となる金属元素の含有量については記載されておらず、Siを除く金属元素の総量が2000ppm以下であっても、ウィスカー発生の原因となる金属元素の含有量が500ppmを超える場合にはウィスカーが発生しやすいため、ウィスカーの生成が抑制されているとは言い難い。
従って、本発明は、炭素含有量が低く、且つ、ウィスカーの生成が抑制された窒化ケイ素の製造法を提供することを技術的課題とする。
前記技術課題は次の通りの本発明によって達成できる。
即ち、本発明は、還元窒化法における窒化ケイ素粉末の製造法において、出発原料として体積基準平均粒子径(D50)が5μm以上である炭素粉末と、平均一次粒子径が0.001〜0.2μmであるシリカ粒子粉末を用いることを特徴とする窒化ケイ素粉末の製造法である(本発明1)。

また、本発明は、本発明1の炭素粉末のBET比表面積値が300m/g以上であることを特徴とする窒化ケイ素粉末の製造法である(本発明2)。
また、本発明は、還元窒化法における窒化ケイ素粉末の製造法において、出発原料としてV、Nb、Ta、Mo、Fe、Ni、Cr、Co、Cuの含有量が合計で500ppm以下であって、且つ、Siを除く金属元素の総量が1500ppm以下であるシリカ粒子粉末を用いることを特徴とする本発明1及び2に記載の窒化ケイ素粉末の製造法である(本発明3)。
また、本発明は、出発原料としてシリカ粒子が湿式法により製造されたシリカ粒子粉末であることを特徴とする本発明3の窒化ケイ素粉末の製造法である(本発明4)。
本発明に係る窒化ケイ素粉末の製造法は、高純度かつ高い窒素含有量を有する窒化ケイ素粉末を安価に得ることができるため、自動車用エンジン部品やガスタービン等の高温構造用材料の窒化ケイ素粉末の製造法として好適である。
本発明の構成をより詳しく説明すれば次の通りである。
先ず、本発明に係る窒化ケイ素粉末の製造法について述べる。
本発明における炭素含有量が低く、且つ、ウィスカーの生成が抑制された窒化ケイ素粉末は、下記反応式1に示す還元窒化法により得ることができる。
<反応式1>
3SiO+6C+2N → Si+6CO
本発明におけるシリカ粒子粉末としては、乾式法により合成されたもの、及び、湿式法により合成されたもののいずれをも用いることができる。コスト等の工業性を考慮すれば、湿式法により合成された含水ケイ酸が有利であり、その中でも、シリカ粒子粉末の不純物の点から、酸性領域での反応により得られたゲルタイプのシリカ粒子粉末がより好ましい。
シリカ粒子粉末中の金属不純物は、V、Nb、Ta、Mo、Fe、Ni、Cr、Co、Cuの含有量が合計で500ppm以下であり、好ましくは300ppm以下、より好ましくは200ppm以下である。また、Siを除く金属元素の総量は1500ppm以下であり、好ましくは1250ppm以下、より好ましくは1000ppm以下、更に好ましくは750ppm以下である。シリカ粒子粉末中の金属不純物が上記範囲を超える場合には、得られる窒化ケイ素粉末中にウィスカーが混入し、ハンドリング性を著しく低下させると共に、これを用いて成型を行った際に、ブリッジングを起こし成形体密度を低下させるため好ましくない。
シリカ粒子粉末のBET比表面積値は100m/g以上が好ましい。還元窒化反応における反応効率及びハンドリング性を考慮すれば、より好ましくはBET比表面積値は150〜1000m/gであり、更により好ましくは200〜800m/gである。
シリカ粒子粉末の粒子サイズは上記と同様の理由により、平均一次粒子径が0.001〜0.2μmであることが好ましく、より好ましくは0.002〜0.1μm、更により好ましくは0.003〜0.05μmである。
炭素粉末の粒子サイズは、体積基準平均粒子径(D50)が5μm以上である。得られる窒化ケイ素の炭素含有量を考慮すれば、体積基準平均粒子径(D50)は6〜100μmが好ましく、より好ましくは7〜80μmである。
また、炭素粉末の微細粒子の含有率は、炭素粉末中の体積基準粒子径が1μm以下の粒子の割合が5%以下であることが好ましい。得られる窒化ケイ素粉末の炭素含有量を考慮すれば、より好ましくは4%以下、更により好ましくは3%以下である。
炭素粉末のBET比表面積値は300m/g以上が好ましい。ウィスカー生成の抑制を考慮すれば、より好ましくは400m/g以上、更により好ましくは500m/g以上である。その上限値は好ましくは2500m/gであり、より好ましくは2000m/gである。
本発明における炭素粉末としては、ファーネスブラック、チャンネルブラック及びアセチレンブラック等のカーボンブラック粒子粉末、活性炭、多孔質炭素及び黒鉛等、上記の条件を満たすものであれば何を用いてもよいが、好適には、活性炭、多孔質炭素である。
炭素粉末の純度についても、ウィスカーの生成を抑制するためにできるだけ高純度であることが好ましく、炭素粉末中の金属不純物は、V、Nb、Ta、Mo、Fe、Ni、Cr、Co、Cuの含有量が合計で500ppm以下であり、好ましくは300ppm以下、より好ましくは200ppm以下である。また、Siを除く金属元素の総量は1500ppm以下であり、好ましくは1250ppm以下、より好ましくは1000ppm以下、更により好ましくは750ppm以下である。
本発明におけるシリカ粉末と炭素粉末との混合割合は、シリカ粒子粉末100重量部に対して炭素粉末30〜200重量部である。30重量部未満の場合には、シリカ粒子に対する炭素成分が少なすぎるため、カーボンによるSiOからの還元反応が不十分となり、未反応のSiOが残存するため窒素含有量を低下させることとなる。一方、200重量部を超える場合には、生成した窒化ケイ素粒子表面の過剰酸化によって酸素含有量が増大し、得られた窒化ケイ素粉末を焼結体とした際に強度等の特性の低下が問題となる。得られる窒化ケイ素粉末の窒素含有量及び酸素含有量を考慮すれば、シリカ粒子粉末100重量部に対する炭素粉末の割合は、32〜170重量部が好ましく、より好ましくは34〜140重量部である。
本発明における窒化ケイ素粉末は、前述のシリカ粒子粉末と炭素粉末を出発原料として用い、必要に応じて種晶として窒化ケイ素粉末を添加し、窒素雰囲気下、所定の温度で加熱焼成して還元・窒化後、酸化性雰囲気下600〜1000℃で加熱し脱炭素処理することで得ることができる。また、必要に応じて、フッ酸などによる残存SiOの溶解・除去処理を行ってもよい。
出発原料であるシリカ粒子粉末と炭素粉末(必要により、種晶としての窒化ケイ素粉末)とは、必要に応じて予め造粒体を形成しておいてもよい。造粒体を形成することでハンドリング性が向上し、収率を改善することができる。造粒の方法は、圧縮造粒、押出し造粒、転動造粒、噴霧造粒等が挙げられる。
造粒体を形成する際に用いるバインダーとしては、得られる窒化ケイ素中に不純物として残存しないものが好ましい。具体的には、でんぷん、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂等を用いることができる。
窒素雰囲気を形成するためのガスとしては、Nガス、NHガスもしくはこれらとArガスなどの不活性ガスとの混合系を用いることができるが、装置の腐食等工業性を考慮した場合、Nガスが好ましい。
本発明における種晶としては、α化率が85%以上である窒化ケイ素粉末を用いることが好ましい。種晶に用いる窒化ケイ素粉末のα化率が高いほど、得られる窒化ケイ素粉末のα化率も高くなることから、種晶の窒化ケイ素粉末のα化率は、より好ましくは90%以上である。
本発明における種晶の添加量は、シリカ粒子粉末100重量部に対して0.1〜50重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜40重量部、更により好ましくは1〜30重量部である。0.1重量部未満の場合には、得られる窒化ケイ素粉末のα化率が低下すると共に粒子径の制御が困難であり、50重量部を超える場合には、得られる窒化ケイ素粉末の収率が低下し工業的に不利となる。
窒素雰囲気下の加熱焼成温度は、1350〜1550℃の範囲が好ましく、より好ましくは1400〜1500℃である。加熱焼成温度が1350℃未満の場合は、窒化ケイ素粉末の生成反応が起こりにくく工業的に不利となる。1550℃を超える場合には、炭化ケイ素が生成し、得られる窒化ケイ素粉末の純度が低下するため好ましくない。
窒素雰囲気下の加熱焼成による還元窒化反応の終点判定は、反応炉内のCO発生量をモニタリングすることにより行い、CO発生量が好ましくは50ppm以下、より好ましくは30ppm以下、更により好ましくは10ppm以下となった時点を終点とした。
本発明における窒化ケイ素粉末は、上述の還元窒化処理後冷却したものを、脱炭素処理のために、更に酸化性雰囲気下、600〜1000℃の温度範囲で1時間以上、好ましくは2時間以上加熱処理を行う。
本発明の製造法によって得られる窒化ケイ素粉末中のウィスカーの本数は、走査型電子顕微鏡写真に示される窒化ケイ素粒子500個中の視野に存在するウィスカーの本数にして6本以下であり、好ましくは5本以下、より好ましくは4本以下である。7本以上の場合は、これを用いて成型を行った際に、ブリッジングを起こし成形体密度を低下させるため好ましくない。
本発明の製造法によって得られる窒化ケイ素粉末の平均粒子径は、0.05〜5.00μmであり、好ましくは0.08〜4.0μm、より好ましくは0.10〜3.0μmである。
本発明の製造法によって得られる窒化ケイ素粉末のBET比表面積値は、1〜30m/gであり、好ましくは1〜20m/gである。
本発明の製造法によって得られる窒化ケイ素粉末のα化率は90%以上であり、好ましくは93%以上、より好ましくは95%以上である。
本発明の製造法によって得られる窒化ケイ素粉末の窒素含有量は37重量%以上であり、好ましくは37.5重量%以上、より好ましくは38.0重量%以上である。
本発明の製造法によって得られる窒化ケイ素粉末の酸素含有量は2.5重量%以下であり、好ましくは2.25重量%以下、より好ましくは2.0重量%以下である。
本発明の製造法によって得られる窒化ケイ素粉末の炭素含有量は0.6重量%以下であり、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.4重量%以下である。
<作用>
本発明において最も重要な点は、出発原料として、特定のBET比表面積値と粒子サイズを有する炭素粉末を用いることにより、炭素含有量が低く、且つ、ウィスカーの生成が抑制された窒化ケイ素粉末を得ることができるという事実である。
本発明に係る窒化ケイ素の製造法が、ウィスカーの生成を抑制すると共に、炭素含有量を低減できる理由として、本発明者は次のように考えている。
還元窒化法による窒化ケイ素の製造において、出発原料として用いられる炭素粉末は表面積が大きいほど反応性が高くなるため、ウィスカーの生成を抑制するという観点からも、表面積の大きい炭素粉末が望ましい。しかし、一般に、粉体は表面積が大きくなると粒子サイズは小さくなる傾向にあり、還元反応に用いる炭素粉末の粒子サイズが小さくなると、反応の際に炭素粉末がシリカ粒子の間に入り込み、窒化ケイ素粒子生成後に行う過剰、もしくは未反応の炭素粉末の酸化除去が困難になり、不純物として残存しやすくなる。
本発明においては、表面積が大きく、また、粒子サイズも大きく微細粉末の少ない炭素粉末を選択的に用いたことにより、トレードオフの関係にある上記課題を解決できたものと考えている。
更に、ウィスカーの生成を促進することで知られているV、Nb、Ta、Mo、Fe、Ni、Cr、Co、Cuの含有量を500ppm以下にしたこと、及び上記金属以外のSiを除く金属元素についても、直接ウィスカーの生成に関与しないが融剤としてV、Nb、Ta、Mo、Fe、Ni、Cr、Co、Cuによるウィスカー生成に寄与するため、これを含めたSiを除く全金属元素の総量を1500ppm以下にしたことによってもウィスカーの生成を抑制できたものと考えている。
以下、本発明における実施例を示し、本発明を具体的に説明する。
比表面積値は、BET法により測定した値で示した。
シリカ粒子粉末及び窒化ケイ素粉末の平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡もしくは走査型電子顕微鏡写真に示される粒子350個の粒子径をそれぞれ測定し、その平均値で示した。
炭素粉末の粒子サイズは、「レーザー回折式粒度分布測定装置 model HELOS LA/KA」(SYMPATEC社製)の乾式分散ユニットを用いて、分散圧0.3MPa(3bar)にて測定した体積基準平均粒子径(D50)で示した。
微細粒子の含有率は、「レーザー回折式粒度分布測定装置 model HELOS LA/KA」(SYMPATEC社製)の乾式分散ユニットを用いて、分散圧0.3MPa(3bar)にて体積基準粒子径を測定し、体積基準粒子径が1μm以下の粒子の積算値で示した。
シリカ粒子粉末中の金属元素含有量は、シリカ粒子粉末をフッ化水素酸により溶解後、ICP発光分光分析法により各元素量を測定した。
炭素粉末中の金属元素含有量は、炭素粉末をマッフル炉内で加熱燃焼を行ない、燃焼後の残留灰分の水溶液を準備し、ICP発光分光分析法により各元素量を測定した。
窒化ケイ素粉末中のウィスカーの本数は、走査型電子顕微鏡写真に示される窒化ケイ素粒子500個あたりの視野に存在するウィスカーの本数で示した。
窒化ケイ素粉末のα化率(%)は、CuKα線によりX線回折を行い、α相の(102)面の回折強度Ia102と(210)面の回折強度Ia210、β相の(101)面の回折強度Ib101と(210)面の回折強度Ib210より、下記数1に従って算出した。
<数1>
α化率(%)=(Ia102+Ia210)/(Ia102+Ia210+Ib101+Ib210)×100
窒化ケイ素粉末の窒素含有量(重量%)及び酸素含有量(重量%)は、「堀場金属酸素・窒素分析装置EMGA620−W」を用いて(株式会社堀場製作所製)を用いて測定を行った。
窒化ケイ素粉末の炭素含有量(重量%)は、「堀場金属炭素・硫黄分析装置EMIA−2200型」(株式会社堀場製作所製)を用いて炭素量を測定することにより求めた。
<実施例1:窒化ケイ素粉末の製造>
シリカ粒子粉末(シリカ粒子1)(粒子形状:球状、平均一次粒子径:0.004μm、BET比表面積値:798.5m/g、V、Nb、Ta、Mo、Fe、Ni、Cr、Co、Cu含有量の合計:30ppm、Siを除く金属元素の総量:510ppm)100重量部と、炭素粉末A(種類:活性炭、体積基準平均粒子径(D50):17.9μm、微細粒子の含有率:0.18%、BET比表面積値:1473.3m/g、V、Nb、Ta、Mo、Fe、Ni、Cr、Co、Cu含有量の合計:41ppm、Siを除く金属元素の総量:407ppm)120重量部を出発原料とし、種晶として窒化ケイ素粉末(α化率:92%、平均粒子径:0.66μm)を2重量部を混合し、8%ポリビニルアルコール水溶液275重量部を加えてプラネタリミキサーで混練後、押出成形機により造粒体を形成した。
次いで、得られた造粒体を黒鉛製容器に入れ、Nガスを流しながら1450℃で4.5時間加熱焼成を行い、還元窒化処理を行った。反応終了時のCO濃度は10ppmであった。得られた粉末を、空気中800℃で6時間加熱処理を行い、未反応炭素を燃焼除去して窒化ケイ素粉末を得た。
得られた窒化ケイ素粉末は、平均一次粒子径が1.05μmであり、BET比表面積値は4.3m/g、α化率は96%、窒素含有量は39.3重量%、酸素含有量は1.73重量%、炭素含有量は0.22重量%、窒化ケイ素粒子500個あたりの視野に存在するウィスカーの本数が1本であった。
実施例1に従って、窒化ケイ素粉末を作製した。各製造条件、得られた窒化ケイ素粉末の諸特性を示す。
シリカ粒子2及び3:
シリカ粒子粉末として表1に示す特性を有するシリカ粒子粉末を用意した。
Figure 0005045926
炭素粉末B〜E
炭素粉末として表2に示す特性を有する炭素粉末を用意した。
Figure 0005045926
<窒化ケイ素の製造法>
実施例2〜4、比較例1〜3
出発原料の種類及びその配合割合、還元窒化処理における反応温度及び反応時間、脱炭素処理における加熱温度及び加熱時間を種々変化させた以外は、前記実施例1の窒化ケイ素粉末の製造と同様にして窒化ケイ素粉末を得た。
このときの製造条件を表3に、得られた窒化ケイ素粉末の諸特性を表4に示す。
Figure 0005045926
Figure 0005045926
本発明に係る窒化ケイ素粉末の製造法は、炭素含有量が低い共に、製造時に発生するウィスカーが抑制された窒化ケイ素粉末を安価に得ることができるので、自動車用エンジン部品やガスタービン等の高温構造用材料用窒化ケイ素粉末の製造法として好適である。

Claims (4)

  1. 還元窒化法における窒化ケイ素粉末の製造法において、出発原料として体積基準平均粒子径(D50)が5μm以上である炭素粉末と、平均一次粒子径が0.001〜0.2μmであるシリカ粒子粉末を用いることを特徴とする窒化ケイ素粉末の製造法。
  2. 請求項1記載の炭素粉末のBET比表面積値が300m/g以上であることを特徴とする窒化ケイ素粉末の製造法。
  3. 還元窒化法における窒化ケイ素粉末の製造法において、出発原料としてV、Nb、Ta、Mo、Fe、Ni、Cr、Co、Cuの含有量が合計で500ppm以下であって、且つ、Siを除く金属元素の総量が1500ppm以下であるシリカ粒子粉末を用いることを特徴とする請求項1乃至請求項2に記載の窒化ケイ素粉末の製造法。
  4. 出発原料としてシリカ粒子が湿式法により製造されたシリカ粒子粉末であることを特徴とする請求項3に記載の窒化ケイ素粉末の製造法。
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