JP2009269798A - 炭化ケイ素粒子およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の炭化ケイ素は、2H相を20%以上含み、粒子長さが1μm以下であり、かつ、形状異方性を有することを特徴とする。本発明の炭化ケイ素粒子の製造方法は、炭素源およびケイ素源を含む炭化ケイ素前駆体を不活性雰囲気中にて熱処理し、炭化ケイ素とする炭化ケイ素粒子の製造方法であって、前記炭化ケイ素前駆体のアルカリ金属の含有量を0.1質量%以上かつ10質量%以下とすることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
炭化ケイ素粒子は、工業的には主にアチソン法などの酸化ケイ素と炭素を2000℃以上の高温で反応させる方法で作製されている。この方法により得られる炭化ケイ素粒子の主な結晶系は、6H相(α型)である。また、酸化ケイ素と炭素を1700℃程度の比較的低温で反応させた場合、平均粒子径がサブミクロン以下であり、かつ、結晶系が3C相(β型)の炭化ケイ素粒子が得られることも、一般的に知られている。
これらの一般的な技術により製造された炭化ケイ素粒子は、粒子形状の異方性が小さいため、機能性フィラーとして他の材料に混合するとき、効果を得るために多量の添加を必要とする問題がある。
また、焼結用原料として炭化ケイ素粒子を使用する場合、微細な粒子を用い高い表面エネルギーを利用して焼結の駆動力として焼結特性を上げる方法が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
また、2H相が含まれる炭化ケイ素粒子としては、均質な前駆体から得られる粒子は2H相が少なく、不均質な前駆体から得られた炭化ケイ素は2H相の割合が多いことが開示されている(例えば、特許文献5参照)。
また、結晶子の小さな炭化ケイ素粒子を合成した後、分離して単一の粒子として使用する方法によって得られる炭化ケイ素粒子は、形状異方性が小さく、機能性フィラーとして用いた場合、性能の向上には多量の添加を必要とする必要があった。
すなわち、従来の炭化ケイ素粒子の工業的製造方法では、形状異方性が小さいものであればナノメートルサイズからミクロンサイズまでの粒子が得られているが、形状異方性を有するものについてはミクロンサイズ以上の長さを有する粒子(繊維)は得られるが、サブミクロン以下のサイズを有する粒子は得られていなかった。
さらに、焼結用原料として炭化ケイ素粒子を使用する場合、さらに高い焼結の駆動力を得ることができる炭化ケイ素粒子が求められていた。
また、不均質な前駆体からは2H相の多い炭化ケイ素粒子が得られるが、この方法で得られる炭化ケイ素粒子は0.5μm以上の粒径であり、粒径のばらつきが大きく、かつ形状異方性を有する粒子は得られていなかった。
また、結晶相として2H相を20%以上含むことから、転移のエネルギーにより焼結性を高めることができるので、焼結性を高めることができる。なお、本発明の炭化ケイ素は粒子自体が形状異方性を有し、そのままでは成型体密度を上げることができないため、異方性の少ない凝集粒子とする必要があるが、本発明によれば凝集度の調整も可能なので、焼結性の高い凝集粒子を得ることができる。また、2H相を多く含むことから、2H相の単結晶炭化ケイ素を作製する際の原料に適している。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
炭化ケイ素の結晶系は生成する温度や含有する不純物などにより異なり、2H、3C、6Hの順に高温での安定相となる。工業的に安価に製造、市販されている炭化ケイ素粒子は、二酸化ケイ素の熱炭素還元反応を利用した方法、例えば、前述のアチソン法などにより製造されており、得られる炭化ケイ素粒子の結晶系は3Cまたは6H相であって、2H相の多く含まれる炭化ケイ素粒子は製造されていない。また、これら炭化ケイ素の粒子径は、サブミクロン以上であり、粒子形状は等方的である。
また、本発明の炭化ケイ素における形状異方性とは、形状が板状であること、板状の略平面部分を垂直方向から見た場合の粒子の粒子長(長径)と粒子幅(短径)の比率(長径/短径)をアスペクト比とした場合に、アスペクト比が2以上であることを特徴とする。
また、本発明の炭化ケイ素粒子に含まれる2H相は、低温相であり、焼結時により安定な3Cまたは6H相などの高温相に転移する。転移の際には転移エネルギーを放出し、このエネルギーが焼結時の緻密化を助けるように働く。このため、2H相を多く含む方が焼結性が良い。
ここで、2H相の転移による焼結製向上効果は、2H相の量に比例しており、必ずしも含有量の制限はない。一方、炭化ケイ素粒子の形状異方性は、2H相の量が20質量%以上でないと発現しないことが判った。このため、2H相の含有量は、20質量%以上必要とした。
炭化ケイ素凝集粒子の凝集の度合いは、炭化ケイ素粒子の用途に応じて調整することが好ましい。例えば、炭化ケイ素粒子を焼結体の原料として用いる場合には、凝集度を高めるとともに、より球状に近い凝集粒子とすることにより、焼結前の成形体(グリーン体)の密度を高め、焼結体の密度の上昇、焼結性の向上を図ることができる。なお、焼結前の成形体作製時において凝集粒子が解砕してしまうと、成形体密度を上げることができないため、凝集粒子中の各炭化ケイ素粒子(一次粒子)同士は、ある程度の結合力で一体化している必要がある。
一方、炭化ケイ素粒子を機能性フィラーとして用いる場合、凝集度を低くすることによりフィラーの分散性を向上させ、フィラーの使用量の削減を図ることができる。
また、アルカリ金属を添加して生成させた凝集粒子は、各々板状を呈する複数の炭化ケイ素粒子(一次粒子)が、各辺の一部同士が互いに接する形で、略球状の凝集粒子を形成している。一次粒子がランダムな方向で集合・凝集しているのではない。したがって、本凝集粒子の炭化ケイ素の各粒子は単純な凝集状態にあるのではなく、例えば双晶のような特別な関係を持って、粒子発生時から一体化している可能性も考えられる。
本発明の炭化ケイ素粒子の製造方法は、炭素源、ケイ素源およびアルカリ金属を含む炭化ケイ素源ないしは炭化ケイ素前駆体を不活性雰囲気中にて熱処理し、炭化ケイ素粒子を生成する方法である。
本発明の炭化ケイ素粒子の製造方法では、炭化ケイ素源としては、炭素源と、ケイ素源と、アルカリ金属とを混合した混合物、炭化ケイ素前駆体としては、この混合物に炭化処理を施した炭化処理物が用いられる。
まず、炭素源、ケイ素源およびアルカリ金属を混合する。
炭素源およびケイ素源は、アルカリ金属以外の金属不純物の含有量が1000ppm以下であることが好ましく、より好ましくは100ppm以下である。
炭素源およびケイ素源におけるアルカリ金属以外の金属不純物の含有量が1000ppm以下であることが好ましい理由は、金属不純物の含有量が1000ppmを超えると、炭化ケイ素粒子の製造時に過度な粒成長や粒子間の焼結が進行し、粒子径や結晶相の制御が難しくなるからである。
その他、セルロース、しょ糖、ピッチ、タールなども用いられる。
固体状のケイ素源としては、例えば、シリカゾル(コロイド状超微細シリカ含有液、内部に水酸基(−OH)やアルコキシル基を含む)、二酸化ケイ素(シリカゲル、微細シリカ、石英粉末)などが挙げられる。これらの固体状のケイ素源を炭素源と均一に混合させるためには、微細な粒子径の粉末を使用することが好ましい。
また、液状のケイ素源としては、例えば、ケイ酸アルカリ水溶液を酸分解あるいは脱アルカリすることにより得られたもの、例えば、水ガラスの脱アルカリにより得られたケイ酸ポリマー;水酸基(−OH)を有する有機化合物とケイ酸とのエステル;テトラエトキシシラン(Si(OC2H5)4)、テトラメトキシシラン(Si(OCH3)4)などの加水分解性ケイ酸化合物と、有機化合物または有機金属化合物とのエステルなどが挙げられる。
炭化ケイ素源ないしは前駆体におけるアルカリ金属の含有量が0.1質量%以上かつ10質量%以下であることが好ましい理由は、アルカリ金属の含有量が0.1質量%未満では、アルカリ金属に起因する効果が得られないからであり、一方、アルカリ金属の含有量が10質量%を超えても、アルカリ金属に起因する効果に差異がないからである。
また、アルカリ金属の添加量が増加するに伴い、炭化ケイ素凝集粒子の凝集状態が強くなるので、炭化ケイ素粒子の使用目的に応じて、アルカリ金属の添加量を適宜調整する。
また、ケイ素源と炭素源を混合する際、固体状のケイ素源を均一に分散させるための分散剤として、ゼラチン、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの有機分散剤や、無機分散剤、界面活性剤などを適宜用いることもできる。
これにより、炭素源とケイ素源を混合した混合物からなる炭化ケイ素前駆体が得られる。
炭化処理としては、例えば、アルゴン(Ar)や窒素ガス(N2)などの不活性雰囲気中、500℃以上かつ1200℃以下、好ましくは600℃以上かつ900℃以下の温度範囲にて、1分以上かつ4時間以下、好ましくは30分以上かつ2時間以下保持することが好ましい。
この炭化処理により、混合物中の炭素源およびケイ素源の一部が炭化し、炭素源、ケイ素源およびアルカリ金属を含む炭化処理物からなる炭化ケイ素前駆体が得られる。
この不活性雰囲気としては、アルゴン(Ar)や窒素ガス(N2)などの不活性ガス雰囲気が好ましい。
この不活性雰囲気中における熱処理温度は、1400℃以上かつ1700℃以下とすることが好ましく、より好ましくは1500℃以上かつ1700℃以下とする。また、この熱処理温度における保持時間を、1分以上かつ8時間以下とし、好ましくは30分以上かつ4時間以下とする。
これにより、本願記載の炭化ケイ素粒子を得ることができる。なお、この時点では、未反応の原料が残留した炭化ケイ素含有物の状態である。
この酸化性雰囲気としては、大気の他、酸素ガスを19〜23体積%含む窒素ガス(N2)、水蒸気、炭酸ガスなどが好ましい。
この酸化性雰囲気中における熱処理温度は、500℃以上かつ1600℃以下とすることが好ましく、より好ましくは550℃以上かつ750℃以下とする。また、この熱処理温度における保持時間を、熱処理温度にもよるが、1分以上かつ12時間以下とし、好ましくは1時間以上かつ4時間以下とする。
強塩基性溶液としては、0.5N〜8Nの水酸化ナトリウム水溶液、0.5N〜8Nの水酸化カリウム水溶液が好適に用いられる。
この洗浄の際、必要に応じて強塩基性溶液を加熱してもよい。強塩基性溶液を加熱することにより、この強塩基性溶液と酸化ケイ素との反応が促進され、酸化ケイ素が効率よく除去される。
このようにして得られた炭化ケイ素粒子は、2H相を20質量%以上含み、粒子長さが1μm以下であり、かつ、形状異方性を有する粒子である。
ケイ素源として金属不純物の含有量が100ppm以下、平均粒子径7nmの二酸化ケイ素粉末20gと、炭素源として液状の金属不純物の含有量が100ppm以下の水溶性レゾール型フェノール樹脂27gと、アルカリ金属の化合物として炭酸ナトリウム0.3gとを、純水200g中で混合し、100℃で加熱しながら攪拌し、水分を揮発させゲルを得た。得られたゲルを120℃にて乾燥し、白褐色の固体を得た。
次いで、この白褐色の固体を窒素雰囲気中、1000℃にて1時間、炭化処理し、二酸化ケイ素と炭素が均一に混合した炭化ケイ素前駆体を得た。この前駆体における炭素と二酸化ケイ素の比率は、炭素とケイ素のモル比(C/Si)で2.5であった。また、この前駆体におけるナトリウム(Na)の含有量は0.4質量%であった。
次いで、得られた炭化ケイ素前駆体をアルゴン雰囲気中、1600℃にて2時間、熱処理し、炭化ケイ素粒子(原料残留物を含む)を得た。
得られた炭化ケイ素粒子中の原料残留物である炭素は、炭化ケイ素粒子を大気中、700℃にて4時間、熱処理して除去した。また原料残留物である二酸化ケイ素は、炭化ケイ素粒子をフッ化水素酸を用いて洗浄し、除去した。
この炭化ケイ素粒子について、X線回折による相の同定を行い、ピーク強度から回帰分析を用いて結晶相の定量を行ったところ、2H相を40%含む炭化ケイ素粒子であることが分かった。
この炭化ケイ素粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、板状を呈し、粒子長さが1μm以下で形状異方性を有する粒子が生成していることが確認された。SEM観察の結果より粒子の境界が明確に確認できる粒子を30点選び、粒子の粒子長さ(長径)と短径を測定し、その比率(長径/短径)の平均からアスペクト比を求めた。その結果、アスペクト比は4.2であった。
また、板状粒子が規則的に集合した凝集粒子はほとんど見られず、凝集度は低かった。
この炭化ケイ素粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)像を図1に示す。
炭酸ナトリウムの添加量を、炭化ケイ素前駆体におけるナトリウムの含有量が1.0質量%となるようにした以外は、実施例1と同様にして、炭化ケイ素粒子を作製した。
この炭化ケイ素粒子について、X線回折による相の同定を行い、ピーク強度から回帰分析を用いて結晶相の定量を行ったところ、2H相を42%含む炭化ケイ素粒子であることが分かった。
また、この炭化ケイ素粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、それぞれが板状を呈し、粒子長さが1μm以下である形状異方性を有する複数の粒子が、各辺の一部同士を互いに接する形で、凝集径500nm程度の略球状の凝集粒子を形成していることが確認された。この粒子のアスペクト比を実施例1と同様の方法で測定したところ3.0であった。
この炭化ケイ素粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)像を図2に示す。
炭酸ナトリウムの添加量を、炭化ケイ素前駆体におけるナトリウムの含有量が0.1質量%となるようにした以外は、実施例1と同様にして、炭化ケイ素粒子を作製した。
この炭化ケイ素粒子について、X線回折による相の同定を行い、ピーク強度から回帰分析を用いて結晶相の定量を行ったところ、2H相を20質量%含む炭化ケイ素粒子であることが分かった。
また、この炭化ケイ素粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、板状を呈し、粒子長さが1μm以下である形状異方性を有する粒子が生成していることが確認された。また、凝集粒子はほとんど見られず、粒子の凝集度は低かった。この粒子のアスペクト比を実施例1と同様の方法で測定したところ2.3であった。
炭酸ナトリウムの添加量を、炭化ケイ素前駆体におけるナトリウムの含有量が3.0質量%となるようにした以外は、実施例1と同様にして、炭化ケイ素粒子を作製した。
この炭化ケイ素粒子について、X線回折による相の同定を行い、ピーク強度から回帰分析を用いて結晶相の定量を行ったところ、2H相を46%含む炭化ケイ素粒子であることが分かった。
また、この炭化ケイ素粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、それぞれが板状を呈し、粒子長さが1μm以下である形状異方性を有する複数の粒子が、各辺の一部同士を互いに接する形で、略球状の凝集粒子を形成していることが確認された。また、凝集粒子径は800nm程度と実施例2に比べて大きく、ほとんどが凝集粒子であった。この粒子のアスペクト比を実施例1と同様の方法で測定したところ3.6であった。
炭酸ナトリウムの添加量を、炭化ケイ素前駆体におけるナトリウムの含有量が10.0質量%となるようにした以外は、実施例1と同様にして、炭化ケイ素粒子を作製した。
この炭化ケイ素粒子について、X線回折による相の同定を行い、ピーク強度から回帰分析を用いて結晶相の定量を行ったところ、2H相を72%含む炭化ケイ素粒子であることが分かった。
また、この炭化ケイ素粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、それぞれが板状を呈し、粒子長さが1μm以下である形状異方性を有する複数の粒子が、各辺の一部同士を互いに接する形で、略球状の凝集粒子を形成していることが確認された。また、凝集粒子径は1μm程度と実施例4に比べて大きく、ほとんどが凝集粒子であった。この粒子のアスペクト比を実施例1と同様の方法で測定したところ3.4であった。
アルカリ金属の化合物として硝酸ナトリウムを用い、この硝酸ナトリウムの添加量を、炭化ケイ素前駆体におけるナトリウムの含有量が1.0質量%となるようにした以外は、実施例1と同様にして、炭化ケイ素粒子を作製した。
この炭化ケイ素粒子について、X線回折による相の同定を行い、ピーク強度から回帰分析を用いて結晶相の定量を行ったところ、2H相を45%含む炭化ケイ素粒子であることが分かった。
また、この炭化ケイ素粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、それぞれが板状を呈し、粒子長さが1μm以下である形状異方性を有する複数の粒子が、各辺の一部同士を互いに接する形で、凝集径500nm程度の凝集粒子を形成していることが確認された。この粒子のアスペクト比を実施例1と同様の方法で測定したところ4.6であった。
アルカリ金属の化合物として塩化ナトリウムを用い、この塩化ナトリウムの添加量を、炭化ケイ素前駆体におけるナトリウムの含有量が1.0質量%となるようにした以外は、実施例1と同様にして、炭化ケイ素粒子を作製した。
この炭化ケイ素粒子について、X線回折による相の同定を行い、ピーク強度から回帰分析を用いて結晶相の定量を行ったところ、2H相を39%含む炭化ケイ素粒子であることが分かった。
また、この炭化ケイ素粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、それぞれが板状を呈し、粒子長さが1μm以下である形状異方性を有する複数の粒子が、各辺の一部同士を互いに接する形で、凝集径400nm程度の凝集粒子を形成していることが確認された。この粒子のアスペクト比を実施例1と同様の方法で測定したところ3.1であった。
アルカリ金属の化合物として水酸化ナトリウムを用い、この水酸化ナトリウムの添加量を、炭化ケイ素前駆体におけるナトリウムの含有量が1.0質量%となるようにした以外は、実施例1と同様にして、炭化ケイ素粒子を作製した。
この炭化ケイ素粒子について、X線回折による相の同定を行い、ピーク強度から回帰分析を用いて結晶相の定量を行ったところ、2H相を48%含む炭化ケイ素粒子であることが分かった。
また、この炭化ケイ素粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、それぞれが板状を呈し、粒子長さが1μm以下である形状異方性を有する複数の粒子が、各辺の一部同士を互いに接する形で、凝集径500nm程度の凝集粒子を形成していることが確認された。この粒子のアスペクト比を実施例1と同様の方法で測定したところ3.1であった。
アルカリ金属の化合物として水酸化カリウムを用い、この水酸化カリウムの添加量を、炭化ケイ素前駆体におけるカリウムの含有量が1.0質量%となるようにした以外は、実施例1と同様にして、炭化ケイ素粒子を作製した。
この炭化ケイ素粒子について、X線回折による相の同定を行い、ピーク強度から回帰分析を用いて結晶相の定量を行ったところ、2H相を52%含む炭化ケイ素粒子であることが分かった。
また、この炭化ケイ素粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、それぞれが板状を呈し、粒子長さが1μm以下である形状異方性を有する複数の粒子が、各辺の一部同士を互いに接する形で、凝集径600nm程度の凝集粒子を形成していることが確認された。この粒子のアスペクト比を実施例1と同様の方法で測定したところ3.9であった。
アルカリ金属の化合物として炭酸リチウムを用い、この炭酸リチウムの添加量を、炭化ケイ素前駆体におけるリチウムの含有量が1.0質量%となるようにした以外は、実施例1と同様にして、炭化ケイ素粒子を作製した。
この炭化ケイ素粒子について、X線回折による相の同定を行い、ピーク強度から回帰分析を用いて結晶相の定量を行ったところ、2H相を36%含む炭化ケイ素粒子であることが分かった。
また、この炭化ケイ素粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、それぞれが板状を呈し、粒子長さが1μm以下である形状異方性を有する複数の粒子が、各辺の一部同士を互いに接する形で、凝集径300nm程度の凝集粒子を形成していることが確認された。この粒子のアスペクト比を実施例1と同様の方法で測定したところ2.9であった。
アルカリ金属の化合物として炭酸ルビジウムを用い、この炭酸ルビジウムの添加量を、炭化ケイ素前駆体におけるルビジウムの含有量が1.0質量%となるようにした以外は、実施例1と同様にして、炭化ケイ素粒子を作製した。
この炭化ケイ素粒子について、X線回折による相の同定を行い、ピーク強度から回帰分析を用いて結晶相の定量を行ったところ、2H相を50%含む炭化ケイ素粒子であることが分かった。
また、この炭化ケイ素粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、それぞれが板状を呈し、粒子長さが1μm以下である形状異方性を有する複数の粒子が、各辺の一部同士を互いに接する形で、凝集径500nm程度の凝集粒子を形成していることが確認された。この粒子のアスペクト比を実施例1と同様の方法で測定したところ3.3であった。
炭化ケイ素前駆体における炭素と二酸化ケイ素の比率が、炭素とケイ素のモル比(C/Si)で1.8、炭化ケイ素前駆体におけるナトリウムの含有量が1.0質量%となるようにした以外は、実施例1と同様にして、炭化ケイ素前駆体を作製した。
次いで、得られた炭化ケイ素前駆体をアルゴン雰囲気中、1400℃にて2時間、熱処理した以外は、実施例1と同様にして、炭化ケイ素粒子を作製した。
この炭化ケイ素粒子について、X線回折による相の同定を行い、ピーク強度から回帰分析を用いて結晶相の定量を行ったところ、2H相を56%含む炭化ケイ素粒子であることが分かった。
また、この炭化ケイ素粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、板状を呈し、粒子長さが1μm以下である形状異方性を有する粒子が生成していることが確認された。また、板状粒子が規則的に集合した凝集粒子はほとんど見られず、凝集度は低かった。この粒子のアスペクト比を実施例1と同様の方法で測定したところ2.4であった。
炭化ケイ素前駆体における炭素と二酸化ケイ素の比率が、炭素とケイ素のモル比(C/Si)で1.8、炭化ケイ素前駆体におけるナトリウムの含有量が1.0質量%となるようにした以外は、実施例1と同様にして、炭化ケイ素前駆体を作製した。
次いで、得られた炭化ケイ素前駆体をアルゴン雰囲気中、1500℃にて2時間、熱処理した以外は、実施例1と同様にして、炭化ケイ素粒子を作製した。
この炭化ケイ素粒子について、X線回折による相の同定を行い、ピーク強度から回帰分析を用いて結晶相の定量を行ったところ、2H相を50%含む炭化ケイ素粒子であることが分かった。
また、この炭化ケイ素粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、板状を呈し、粒子長さが1μm以下である形状異方性を有する粒子が生成していることが確認された。また、板状粒子が規則的に集合した凝集粒子はほとんど見られず、凝集度は低かった。この粒子のアスペクト比を実施例1と同様の方法で測定したところ3.0であった。
炭化ケイ素前駆体における炭素と二酸化ケイ素の比率が、炭素とケイ素のモル比(C/Si)で1.8、炭化ケイ素前駆体におけるナトリウムの含有量が1.0質量%となるようにした以外は、実施例1と同様にして、炭化ケイ素前駆体を作製した。
次いで、得られた炭化ケイ素前駆体をアルゴン雰囲気中、1700℃にて1時間、熱処理した以外は、実施例1と同様にして、炭化ケイ素粒子を作製した。
この炭化ケイ素粒子について、X線回折による相の同定を行い、ピーク強度から回帰分析を用いて結晶相の定量を行ったところ、2H相を52%含む炭化ケイ素粒子であることが分かった。
また、この炭化ケイ素粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、それぞれが板状を呈し、粒子長さが1μm以下である形状異方性を有する複数の粒子が、各辺の一部同士を互いに接する形で、凝集径900nm程度の凝集粒子を形成していることが確認された。この粒子のアスペクト比を実施例1と同様の方法で測定したところ2.9であった。
炭酸ナトリウムの添加量を、炭化ケイ素前駆体におけるナトリウムの含有量が15.0質量%となるようにした以外は、実施例1と同様にして、炭化ケイ素粒子を作製した。
この炭化ケイ素粒子について、X線回折による相の同定を行い、ピーク強度から回帰分析を用いて結晶相の定量を行ったところ、2H相を70%含む炭化ケイ素粒子であることが分かった。
また、この炭化ケイ素粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、それぞれが板状を呈し、粒子長さが1μm以下である形状異方性を有する複数の粒子が、各辺の一部同士を互いに接する形で、凝集粒子を形成していることが確認された。また、凝集径は1μm程度と実施例5と同程度であり、ほとんどが凝集粒子であった。この粒子のアスペクト比を実施例1と同様の方法で測定したところ3.3であった。
この実施例15で得られた炭化ケイ素粒子と、実施例5で得られた炭化ケイ素とを比較したところ、両者に差異はないことが分かった。従って、炭化ケイ素前駆体におけるナトリウムの含有量が10.0質量%を超えても、効果の改善が見られないことが分かった。
アルカリ金属の化合物の炭酸ナトリウムを加えない以外は、実施例1と同様にして、炭化ケイ素粒子を作製した。
この炭化ケイ素粒子について、X線回折による相の同定を行い、ピーク強度から回帰分析を用いて結晶相の定量を行ったところ、2H相を5%含む炭化ケイ素粒子であることが分かった。
また、この炭化ケイ素粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、粒子径が20nm程度で、板状ではなく形状異方性が小さな粒子であることが確認された。
この炭化ケイ素粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)像を図3に示す。
炭酸ナトリウムの添加量を、炭化ケイ素前駆体におけるナトリウムの含有量が0.03質量%となるようにした以外は、実施例1と同様にして、炭化ケイ素粒子を作製した。
この炭化ケイ素粒子について、X線回折による相の同定を行い、ピーク強度から回帰分析を用いて結晶相の定量を行ったところ、2H相を6%含む炭化ケイ素粒子であることが分かった。
また、この炭化ケイ素粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、粒子径が20〜40nm程度、板状であるがアスペクト比が1〜1.5程度の形状異方性が小さな粒子であることが確認された。
炭化ケイ素前駆体における炭素と二酸化ケイ素の比率が、炭素とケイ素のモル比(C/Si)で1.8、炭化ケイ素前駆体におけるナトリウムの含有量が1.0質量%となるようにした以外は、実施例1と同様にして、炭化ケイ素前駆体を作製した。
次いで、得られた炭化ケイ素前駆体をアルゴン雰囲気中、1300℃にて2時間、熱処理し、生成物を回収した。
得られた生成物の収率は3%以下であり、炭化ケイ素が生成していなかった。
炭化ケイ素前駆体における炭素と二酸化ケイ素の比率が、炭素とケイ素のモル比(C/Si)で1.8、炭化ケイ素前駆体におけるナトリウムの含有量が1.0質量%となるようにした以外は、実施例1と同様にして、炭化ケイ素前駆体を作製した。
次いで、得られた炭化ケイ素前駆体をアルゴン雰囲気中、1800℃にて2時間、熱処理した以外は、実施例1と同様にして、炭化ケイ素粒子を作製した。
この炭化ケイ素粒子について、X線回折による相の同定を行い、ピーク強度から回帰分析を用いて結晶相の定量を行ったところ、2H相は含まれていないことが分かった。この炭化ケイ素粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、平均粒子径が3μmであり、形状異方性がほとんど無い等方的形状の粒子であることが確認された。
Claims (5)
- 2H相を20質量%以上含み、粒子長さが1μm以下であり、かつ、形状異方性を有することを特徴とする炭化ケイ素粒子。
- 前記形状異方性はアスペクト比が2以上の板状であることを特徴とする請求項1に記載の炭化ケイ素粒子。
- 請求項1または2に記載の炭化ケイ素粒子の集合体からなることを特徴とする炭化ケイ素粒子の凝集粒子。
- 炭素源およびケイ素源を含む炭化ケイ素前駆体を不活性雰囲気中にて熱処理し、炭化ケイ素とする炭化ケイ素粒子の製造方法であって、
前記炭化ケイ素前駆体のアルカリ金属の含有量を0.1質量%以上かつ10質量%以下とすることを特徴とする炭化ケイ素粒子の製造方法。 - 前記不活性雰囲気中における熱処理温度を1400℃以上かつ1700℃以下とすることを特徴とする請求項4に記載の炭化ケイ素粒子の製造方法。
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