JP5188267B2 - 耐熱性セラミックスおよび断熱材 - Google Patents

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Description

本発明は、耐熱性セラミックスおよび断熱材に関し、特に炉の内壁、耐熱性容器、金属溶射用セラミックノズル等に用いられる耐熱性セラミックスおよび断熱材に関する。
従来、耐熱衝撃性部材の材料として低熱膨張のチタン酸アルミニウム材料が知られている。このチタン酸アルミニウム材料は20〜800℃の熱膨張係数が3.0×10−6/℃以下と極めて低く、急速昇温、急速冷却してもクラックを生じない、優れた耐熱衝撃性を示す材料である。一方で、チタン酸アルミニウム材料は900〜1200℃の温度範囲で分解を起こす特性を示すが、従来、鉄などの添加物を添加することによって、この分解は抑制されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1では、Al粉末、TiO粉末に、Fe粉末を添加し、この混合材料を所定形状に成形し、大気中で1450〜1550℃で焼成したことが記載されている。
特開平8−290963号公報
しかしながら、従来の鉄を含有するチタン酸アルミニウム材料は、還元雰囲気等の非酸化性雰囲気下では機械的強度が低く、非酸化性雰囲気での使用には不適であった。
本発明は、非酸化性雰囲気下において高い機械的強度を維持できる耐熱性セラミックスおよび断熱材を提供することを目的とする。
本発明者等は、擬ブルッカイト型の結晶粒子中における前記2価のFeと前記3価のFeとの合量に対する前記2価のFeの比率(2価のFe/(2価のFe+3価のFe))が0.45以上である場合には、非酸化性雰囲気下で分解を起こしにくく、なおかつ非酸化性雰囲気下で高い機械的強度を維持できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の耐熱性セラミックスは、Al、TiおよびFeを含有する擬ブルッカイト型の結晶粒子と該結晶粒子間に存在する粒界物質とを含むとともに、前記擬ブルッカイト型の結晶粒子中に2価および3価のFeが存在し、かつ、前記擬ブルッカイト型の結晶粒子中における前記2価のFeと前記3価のFeとの合量に対する前記2価のFeの比率(2価のFe/(2価のFe+3価のFe))が0.45以上であることを特徴とする。
Al、TiおよびFeを含有する擬ブルッカイト型の結晶粒子と該結晶粒子間に存在する粒界物質とを含むセラミックスは、従来、大気中等の酸化性雰囲気で焼成して作製されていたため、擬ブルッカイト型の結晶粒子中に通常Feが3価として多く存在しており、このような焼結体では高温の還元雰囲気等の非酸化性雰囲気に晒されると3価のFeが2価のFeに変化し、擬ブルッカイト型の結晶に歪が生じ、応力が発生して機械的強度が低下するという問題があった。
これに対して、本発明の耐熱性セラミックスでは、擬ブルッカイト型の結晶粒子中に、Feが2価と3価として存在し、擬ブルッカイト型の結晶粒子中の2価のFeと3価のFeとの合量に対する2価のFeの比率(2価のFe/(2価のFe+3価のFe))が0.45以上であるため、擬ブルッカイト型の結晶粒子中に2価のFeが既に十分存在しており、3価のFeが少ないため、非酸化性雰囲気下で耐熱性セラミックスを使用した場合、3価のFeが2価のFeに変化する割合が少ないか、もしくは変化せず、擬ブルッカイト型結晶の歪による応力発生を抑制し、非酸化性雰囲気下、特に還元雰囲気下で高い機械的強度を維持することができる。
したがって、非酸化性雰囲気で使用される焼成炉、加熱炉等の炉の内壁に断熱材として用いること、高温の非酸化性雰囲気で使用される耐熱性容器に用いること、あるいは、高温の非酸化性雰囲気で使用される金属溶射用ノズル等に用いることができる。
さらに、本発明の耐熱性セラミックスは、前記擬ブルッカイト型の結晶粒子がさらにMgを含有することを特徴とする。このような耐熱性セラミックスでは、擬ブルッカイト型の結晶粒子中にAl、TiおよびFeに加えてMgを含むことにより、耐硫酸性などの耐薬品性を向上できる。
また、本発明の耐熱性セラミックスは、多孔質であることを特徴とする。このような耐熱性セラミックスでは多孔質であるため、擬ブルッカイト型の結晶粒子に歪みが発生したとしても、応力を吸収することができ、変形を抑制することができる。
また、本発明の断熱材は、上記した耐熱性セラミックスからなることを特徴とする。このような断熱材では、擬ブルッカイト型結晶の歪発生による応力発生を抑制し、非酸化性雰囲気下で高い機械的強度を維持することができる。
本発明の耐熱性セラミックスでは、擬ブルッカイト型の結晶粒子中に、Feが2価と3価として存在し、擬ブルッカイト型の結晶粒子中の2価のFeと3価のFeとの合量に対する2価のFeの比率(2価のFe/(2価のFe+3価のFe))が0.45以上であるため、擬ブルッカイト型の結晶粒子中に2価のFeが既に十分存在しており、3価のFeが少ないため、非酸化性雰囲気下で耐熱性セラミックスを使用した場合、3価のFeが2価のFeに変化する割合が少ないか、もしくは変化せず、擬ブルッカイト型結晶の歪による応力発生を抑制し、非酸化性雰囲気下、特に還元雰囲気下で高い機械的強度を維持することができる。
従って、例えば、高温の非酸化性雰囲気で使用する炉の内壁に断熱材として用いること、高温の非酸化性雰囲気で使用する耐熱性容器に用いること、あるいは、高温の非酸化性雰囲気で使用する金属溶射用ノズル等に用いることができる。
図1は本発明の耐熱性セラミックスの一例を示すもので、擬ブルッカイト型の結晶粒子1と粒界物質2とからなる。粒界物質2は、非晶質であってもよく、結晶質でもよいが、耐熱性を向上するという点から、結晶質であることが望ましい。さらに、本発明の耐熱性セラミックスは、多孔質であってもよく、緻密質であってもよいが、断熱材として用いる場合には多孔質であることが望ましい。
本発明の耐熱性セラミックスは、擬ブルッカイト型の結晶粒子1の中にFeを含有している。これにより、900〜1200℃の温度範囲における分解を抑制することができる。さらに、本発明の耐熱性セラミックスは、擬ブルッカイト型の結晶粒子1中に2価のFeが多く存在している。これにより、還元雰囲気等の非酸化性雰囲気で使用しても3価のFeが還元されて2価のFeになる割合が少なく、擬ブルッカイト型の結晶が歪み、応力が発生することを抑制することができ、非酸化性雰囲気において高い機械的強度を維持することができる。
そして、擬ブルッカイト型の結晶粒子1に含まれる2価のFeと3価のFeとの合量に対する2価のFeの比率(2価のFe/(2価のFe+3価のFe))は、非酸化性雰囲気において高い機械的強度を維持できるという観点から、0.45以上とされている。特に、非酸化性雰囲気において高い機械的強度を維持できるという点から、2価のFeと3価のFeとの合量に対する2価のFeの比率(2価のFe/(2価のFe+3価のFe))は0.67以上であることが望ましい。本発明の耐熱性セラミックスは、後述のように非酸化雰囲気中で焼成しても、2価のFeだけとはならず、必ず2価のFeと3価のFeの混合体となる。
また、本発明では、2価のFeと3価のFeの比率はX線光電子分光分析法(XPS)により求めることができる。具体的には、耐熱性セラミックスの表面、または耐熱性セラミックスを粉末状にしたものにX線をあて、2価のFeと3価のFeに由来するピークをフィッティングにより分離し、それぞれに由来するピークの面積から2価のFeと3価のFeの比率を求めることができる。
擬ブルッカイト型の結晶粒子1は、例えば、モル比による組成式がAl2(1−x−y)MgFe2yTi(1+x)(0≦x≦0.9、0.05≦y≦0.2)で表されるものが望ましい。
ここで、AlのMgによる置換量xを0≦x≦0.9としたのは、AlのMgによる置換量xがこの範囲内ならば、耐硫酸性および耐熱分解性が高められるためである。一方、xが0.9よりも多い場合には、熱膨張係数が上がり、耐熱衝撃性が低下する傾向にある。特に、0<xを満足することにより、擬ブルッカイト型の結晶粒子中にAl、Ti、およびFeに加えてMgを含むことになり、耐硫酸性などの耐薬品性を向上できる。xは特に0.2≦x≦0.8であることが耐硫酸性と耐熱衝撃性を向上できるという点から望ましい。
また、AlのFeによる置換量yを0.05≦y≦0.2としたのは、AlのFeによる置換量yをこの範囲内にすることで、高温の非酸化性雰囲気で使用した場合に機械的強度を高く維持できる。一方、yが0.05よりも少ないと耐熱分解性が低下する傾向がある。また、yが0.2よりも多いと耐熱性が低下する傾向がある。特に、機械的強度、耐熱分解性、および耐熱性を両立するという点から0.05≦y≦0.1であることが望ましい。
また、図1に示すように、擬ブルッカイト型の結晶粒子1同士は、Siを含有する非晶質の粒界物質2で接合されている。粒界物質2を主として構成する材料は、特に限定されるものではないが、SiO、MnO、CeOおよびSrOのうち少なくとも1種からなることが望ましい。特に、多孔質体とする場合に気孔率を制御しやすいという点からSiOが望ましい。以下、粒界物質2を主として構成する材料としてSiOを用いた場合について説明する。
粒界物質2は、元素としてSi以外にAlおよびMgを含有しており、結晶粒子1内にはSiを少量含有している。なお、上記したように、擬ブルッカイト型の結晶粒子1間に存在するのは、結晶質の粒界物質でもよいが、この例では、非晶質の粒界物質2を用いた多孔質の耐熱性セラミックスについて説明する。
擬ブルッカイト型の結晶粒子1は、例えば、平均粒径25μm以上とされている。このように大きな粒径を有するため気孔率を大きくできる。特には結晶粒子1の平均粒径は40μm以上が望ましい。また、平均粒径とともに、気孔率、平均細孔径が大きくなりすぎると、機械的強度が低下して構造セラミック部材に適用できないという観点から、平均粒径は100μm以下であることが望ましい。平均粒径は、インターセプト法により求めることができる。
結晶粒子1の平均粒径が小さい場合には気孔率が小さくなり、より緻密質となる傾向にあり、一方、結晶粒子1の平均粒径が大きくなると気孔率が大きくなり、多孔質となる傾向にある。従って、耐熱性セラミックスの気孔率については、結晶粒子の粒径を変更することにより、用途に応じて変更することができる。また、耐熱性セラミックスの気孔率については、他に粒界物質2を構成する材料量によっても制御することができる。すなわち、粒界物質2を構成する材料を少なくするとより多孔質となり、多くするとより緻密質となる傾向にある。
また、本発明の耐熱性セラミックスでは、SiをSiO換算で全量中0.2〜5質量%含有することが望ましい。SiをSiO換算で全量中0.2〜5質量%とすることにより、擬ブルッカイト型の結晶粒子同士を、Siを含有する非晶質の粒界相形成物質で十分に連結でき、強度を向上できるとともに、Si量が少量であるため、気孔率の低下を抑制できるとともに、粒界物質2の融解温度を向上でき、例えば断熱材としての使用範囲を広げることができる。Si量は、強度および所定の気孔率を得るという観点から、SiO換算で全量中1〜3質量%含有することが望ましい。Si量は、蛍光X線分析法やICP(Inductively Coupled Plasma)発光分析法により測定することができる。
尚、SiをSiO換算で全量中0.2〜5質量%含有する耐熱性セラミックスでは、粒界物質2の融解温度が1500℃程度以上となることが一般に知られている。また、擬ブルッカイト型の結晶粒子は、全量中95〜99.8質量%、特には97〜99質量%含有することが望ましい。
次に、本発明の耐熱性セラミックスの製法について説明する。
例えば、Al2(1−y)Fe2yTiOで表される擬ブルッカイト型の結晶を形成するために必要な原料および粒界相を形成するための原料を準備する。尚、この擬ブルッカイト型の結晶にMgが固溶する場合もあるが、ここでは、Mgが固溶しない場合について説明する。また、粒界物質を形成する原料は特に限定されるものではないが、ここでは酸化ケイ素SiOを例にとって説明する。
まず、アルミナ原料、チタニア原料、酸化鉄の混合原料を造粒する。造粒は、乾式で混合して造粒したり、回転ミル、振動ミル、ビーズミル等のミルに投入し、水、アセトン、イソプロピルアルコール(IPA)のうち少なくともいずれか1種とともに湿式混合したスラリーを乾燥し、造粒することが望ましい。スラリーの乾燥方法としては、スラリーを容器に入れて加熱、乾燥させて、造粒してもよいし、スプレードライヤーで乾燥させて造粒しても良く、または他の方法で乾燥させて造粒しても何ら問題ない。造粒粉は、例えば、多孔質の耐熱性セラミックスを作製すべく、平均粒径50〜300μmの造粒粉を作製する。
この後、造粒粉を酸素含有雰囲気、例えば大気中で仮焼する。仮焼温度は、擬ブルッカイト型結晶を十分生成すべく、擬ブルッカイト型結晶が生成する温度(1200℃程度)よりも高い、例えば1400℃以上で1〜5時間仮焼する。仮焼温度は、特には、1450℃以上、さらには1470℃以上が望ましい。一方、仮焼粉末が強固に凝集するのを防ぐという観点から、仮焼温度は1500℃以下であることが望ましい。これにより、Al、Fe、Tiが固溶した擬ブルッカイト型の仮焼粉末を作製する。この仮焼により、ほぼ擬ブルッカイト型結晶100%の仮焼粉末を作製する。
この仮焼粉末のメッシュパスを行い、例えば25〜60μmの仮焼粉末を得る。尚、擬ブルッカイト型の仮焼粉末は、後の非酸化性雰囲気中での焼成温度が低いため、後の非酸化性雰囲気中での焼成によっても殆ど粒成長せず、仮焼粉末とほぼ同一粒径である。
そして、擬ブルッカイト型の仮焼粉末に対し、SiO粉末を添加し、混合する。混合方法は、乾式または湿式で行うこともできる。SiO粉末は、例えば平均粒径1〜3μmの粉末を用いる。この範囲の粒径の粉末を用いることにより、SiO粉末を仮焼粉末の表面に均一に分散させることができる。
この混合粉末に成形助剤を添加し、所定形状に成形し、酸素含有雰囲気にて脱バインダ処理する。得られた成形体を、非酸化性雰囲気中において、例えば仮焼温度よりも低い温度である1400℃未満で0.5〜5時間焼成することにより、多孔質セラミック部材を形成することができる。非酸化性雰囲気は、酸素含有量が0.01体積%以下の雰囲気、例えば、窒素、アルゴン、二酸化炭素雰囲気中や、水素、一酸化炭素雰囲気中、あるいはこれらの混合ガス雰囲気とすることができる。尚、脱バインダ処理と焼成とを同じ焼成炉でできない場合には、脱バインダ処理とは焼成炉を変更して焼成を行う。
焼成温度は、粒内でAl、Mg等を偏在させるには、特に、1350〜1390℃であることが望ましい。この焼成工程は、Siを含有する非晶質材料を溶融させ、結晶粒子同士を接合する工程であるとともに、Al、Mg、Si等の元素の相互拡散を一定の範囲で行う工程である。
このような多孔質セラミック部材の製法では、焼成温度が、Al、TiおよびMgを含有する擬ブルッカイト型結晶の仮焼温度(1400℃以上)よりも低いため、Siを含有する非晶質材料で結晶粒子を接合できる。
尚、上記例では、混合原料を造粒した例について説明したが、例えばアルミナ原料、チタニア原料、酸化鉄原料を所定の組成となるように調合し、さらに粒界相を形成する酸化ケイ素を混合し、成形した後焼成してもよい。
この場合、上記アルミナ原料、チタニア原料、酸化鉄原料、酸化ケイ素原料の混合は、乾式で混合することも、回転ミル、振動ミル、ビーズミル等のミルに投入し、水、アセトン、イソプロピルアルコール(IPA)などの分散媒とともにスラリーを作製して湿式で混合することもできる。
このようにして得られた原料混合体を成形し、脱バインダ処理し、非酸化性雰囲気で焼成することで、擬ブルッカイト結晶及び粒界物質からなる耐熱性セラミックスを得ることができる。なお、成形は粉末をプレスすることや、スラリーを鋳込みすることや、坏土を作製して押出し成形することも可能である。
このように非酸化性雰囲気で焼成することにより、擬ブルッカイト型の結晶粒子中に通常3価として存在し易いFeが、非酸化性雰囲気下での焼成により、2価のFeとして多く存在しており、非酸化性雰囲気で耐熱性セラミックスを使用しても3価のFeが2価のFeに変化する割合が少ないか、もしくは変化しないため、擬ブルッカイト型結晶の歪発生による応力発生を抑制し、非酸化性雰囲気下で高い機械的強度を維持することができる。
本発明の耐熱性セラミックスでは、低熱膨張であって、非酸化性雰囲気の900〜1200℃の温度範囲で使用しても分解されることなく、また非酸化性雰囲気下での機械的強度が高いため、例えば、断熱材として非酸化性雰囲気で使用する炉の内壁に用いること、高温の非酸化性雰囲気で使用する耐熱性容器に用いること、あるいは、高温の非酸化性雰囲気で使用する金属溶射用ノズル等に用いることができる。
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
用いたアルミナ原料は日本軽金属社製のAL−47−1であり、平均粒径が1.1μm、チタニア原料はテイカ社製のJA−3であり、平均粒径が0.2μm、酸化鉄原料はJFEケミカル社製のJC−Wであり、平均粒径が1.0μm、炭酸マグネシウム原料はトクヤマ社製のTTであり、見掛比重が0.23g/mlのものを使用した。
また、シリカ原料として、丸釜釜戸社製のSP−3であり、平均粒径が1.2μmのものを用いた。
先ず、一次原料として上記のアルミナ原料、チタニア原料、酸化鉄原料、マグネシア原料を調合し、溶媒にイソプロピルアルコール(IPA)を添加し、媒体に直径10mmのアルミナボールを用いて回転ミルで20時間混合してスラリーを作製した。このスラリーを110℃に加熱してIPAを揮発させて乾燥した後、メッシュパスした。
擬ブルッカイト型の粉末の組成は、モル比による組成式がAl2(1−x−y)MgFe2yTi(1+x)(0≦x≦0.9、0.05≦y≦0.2)におけるx、yが、表1の値とした。
この造粒粉を、大気中において、1450℃で仮焼し、Al、Ti、FeおよびMgを含有する平均粒径50μmの擬ブルッカイト型仮焼粉末を合成した。
この仮焼粉末100質量部に対して、表1に示す量のSiO粉末を添加して、万能混練機により混合し、二次の原料粉末を得た。
この二次の原料粉末に対してパラフィンワックスをイソプロピルアルコール(IPA)とともに、添加、混合した後にIPAを乾燥して成形用粉末とした。次に、この成形用粉末を用いて、粉末加圧式成形法によって4mm×5mm、長さ50mmの直方体形状の成形体を作製した。この成形体を大気中で500℃で脱バインダ処理し、この後冷却して取り出し、この成形体を還元用焼成炉に入れ、窒素雰囲気、及び水素を4体積%含む窒素雰囲気で、それぞれ温度1350℃で5時間焼成して焼結体の評価用試料とした。尚、室温から焼結温度までの昇温速度は200℃/hとした。
また、比較例として、試料No.2に、成形体を大気中で500℃で脱バインダ処理した後、そのまま大気中で1350℃で5時間焼成したものを作製し、記載した。
2価のFeと3価のFeの比率はX線光電子分光分析法(XPS)により求めた。具体的には、耐熱性セラミックスの表層を削り取り、粉末状にしたものを準備し、これにPHI社製のQuantera SXMの装置を使用、X線源にモノクロAlKα(200μm40W15kV)を使用して、耐熱性セラミックス粉末にX線をあて、2価のFeと3価のFeに由来するピークをフィッティングにより分離し、それぞれに由来するピークの面積から2価のFeと3価のFeとの合量に対する2価のFeの比率(2価のFe/(2価のFe+3価のFe))を求めた。
非酸化雰囲気下での耐熱分解性は、この試料を、水素を1体積%含む窒素雰囲気の中で1100℃の温度で100時間、耐熱分解試験して耐熱分解性を評価した。このようにして準備した耐熱分解試験前後の試料をX線回折法によりピーク強度を測定して、Al2(1−x−y)MgFe2yTi(1+x)(0≦x≦0.9、0.05≦y≦0.2)の回折角2θが25−27°のメインピーク強度(IAMFT)と、TiO相の回折角2θが36.1°のピーク強度(I)からピーク強度比のA=IAMFT/(IAMFT+I)をそれぞれ算出した。さらに耐熱分解試験前および耐熱分解試験後のピーク強度比をそれぞれA、Aとして、(1−A/A)の値を計算した。次に、別にAl2(1−x−y)MgFe2yTi(1+x)(0≦x≦0.9、0.05≦y≦0.2)とTiOの量比を変えて混合し、(1−IAMFT/I)の値を求めて作成した検量線と(1−A/A)の値を照らし合わせて熱分解率を求め、2%以下を熱分解無しとして表2に記載した。
また、焼結体を、水素を1体積%含む窒素雰囲気中で、1100℃で10時間熱処理した後、強度を測定した。強度の測定は3点曲げ法によりJIS R 1601に基づいて行い、結果を表2に示した。さらに、焼結体の気孔率を水銀圧入法により求め、表2に記載した。
各焼結体の耐薬品性については、円板状焼結体の各試料を80℃、10質量%のHSO溶液の中で50Hr浸漬して、単位面積あたりの重量減の割合で評価した。
Figure 0005188267
Figure 0005188267
表1、2から、本発明の試料は、非酸化雰囲気で熱処理しても熱分解を起こさず、また非酸化雰囲気で熱処理した後も、3点曲げ強度が7MPa以上と高いことが分かる。一方、大気中で焼成した試料No.2では非酸化雰囲気での熱分解は起こさないものの、非酸化雰囲気で熱処理した後の3点曲げ強度は5MPaと低い。
本発明の耐熱性セラミックスを示す説明図である。
符号の説明
1・・・擬ブルッカイト型の結晶粒子
2・・・粒界物質

Claims (4)

  1. Al、TiおよびFeを含有する擬ブルッカイト型の結晶粒子と該結晶粒子間に存在する粒界物質とを含むとともに、前記擬ブルッカイト型の結晶粒子中に2価および3価のFeが存在し、かつ、前記擬ブルッカイト型の結晶粒子中における前記2価のFeと前記3価のFeとの合量に対する前記2価のFeの比率(2価のFe/(2価のFe+3価のFe))が0.45以上であることを特徴とする耐熱性セラミックス。
  2. 前記擬ブルッカイト型の結晶粒子がさらにMgを含有することを特徴とする請求項1に記載の耐熱性セラミックス。
  3. 多孔質であることを特徴とする請求項1または2に記載の耐熱性セラミックス。
  4. 請求項1乃至3のうちいずれかに記載の耐熱性セラミックスからなることを特徴とする断熱材。
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