JP2012046398A - 耐熱性セラミックスおよび断熱材 - Google Patents
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Abstract
【課題】 非酸化性雰囲気下において高い機械的強度を維持できる耐熱性セラミックスおよび断熱材を提供する。
【解決手段】 FeAlTiO5結晶粒子とAl、TiおよびMgを含有する結晶粒子およびSi酸化物を主成分とする粒界物質を含むことにより、還元雰囲気下でも結晶粒子中の3価のFeが還元されて2価のFeに変化することなく、結晶格子の歪みによる応力発生を抑制し、非酸化性雰囲気下、特に還元雰囲気下で高い機械的強度を維持することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】 FeAlTiO5結晶粒子とAl、TiおよびMgを含有する結晶粒子およびSi酸化物を主成分とする粒界物質を含むことにより、還元雰囲気下でも結晶粒子中の3価のFeが還元されて2価のFeに変化することなく、結晶格子の歪みによる応力発生を抑制し、非酸化性雰囲気下、特に還元雰囲気下で高い機械的強度を維持することができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、耐熱性セラミックスおよび断熱材に関し、例えば炉の内壁、耐熱性容器、金属溶射用セラミックノズル等に用いられる耐熱性セラミックスおよび断熱材に関する。
従来、耐熱衝撃性部材の材料として低熱膨張のチタン酸アルミニウム材料が知られている。このチタン酸アルミニウム材料は20〜800℃の熱膨張係数が3.0×10−6/℃以下と極めて低く、急速昇温、急速冷却してもクラックを生じない、優れた耐熱衝撃性を示す材料である。一方で、チタン酸アルミニウム材料は900〜1200℃の温度範囲で分解を起こす特性を示すが、従来、鉄などの添加物を添加することによって、この分解は抑制されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1では、Al2O3粉末、TiO2粉末に、Fe2O3粉末を添加し、この混合材料を所定形状に成形し、大気中で1450〜1550℃で焼成したことが記載されている。
また、従来のFe2O3粉末を添加したチタン酸アルミニウム材料では、3価のFeと2価のFeが混在していることが知られている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、特許文献1の材料では、高温の還元雰囲気等の非酸化性雰囲気に晒されると3価のFeが還元されて2価のFeに変化し、2価のFeが増加することにより結晶格子に歪みが生じ、応力が発生して機械的強度が低下する傾向にある。従って、還元雰囲気等の非酸化性雰囲気下、特にアルミニウム等の溶融金属メッキ炉のように、低熱伝導性に加え、溶融した金属との濡れ性や反応性が低く、耐熱衝撃性が高い材料が要求される用途での使用には未だ充分ではなかった。
本発明は、非酸化性雰囲気下において高い機械的強度を維持できる耐熱性セラミックスおよび断熱材を提供することを目的とする。
本発明者等は、FeAlTiO5結晶粒子と、Al、TiおよびMgを含有する結晶粒子、およびSi酸化物を主成分とする粒界物質を含む場合には、非酸化性雰囲気下で高い機械的強度を維持できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の耐熱性セラミックスは、FeAlTiO5結晶粒子と、Al、TiおよびMgを含有する結晶粒子、およびSi酸化物を主成分とする粒界物質を含むことを特徴とする。
本発明の耐熱性セラミックスでは、Feを含む結晶が、FeAlTiO5結晶として存在することにより、結晶粒子中で3価のFeが安定となり、高温の還元雰囲気等の非酸化性雰囲気に晒されても、結晶粒子中の3価のFeが還元されて2価のFeに変化しにくく、結晶格子の歪みによる応力発生を抑制し、非酸化性雰囲気下、特に還元雰囲気下で高い
機械的強度を維持することができる。
機械的強度を維持することができる。
さらに、Al、TiおよびMgを含有する結晶粒子を含むことにより、耐硫酸性などの耐薬品性を向上でき、Si酸化物を主成分とする粒界物質により焼結体が緻密化して高い機械的強度を維持することができる。
したがって、非酸化性雰囲気で使用される焼成炉、加熱炉等の炉の内壁として使用される断熱材、高温の非酸化性雰囲気で使用される耐熱性容器や金属溶射用ノズル、さらにはアルミニウム等の溶融金属メッキ用の部材等に用いることができる。
さらに、本発明の耐熱性セラミックスでは、Al、TiおよびMgを含有する結晶粒子のモル比による組成式がAl2(1−x)MgxTi1+xO5(0<x≦0.9)で表さ
れることが望ましい。
また、本発明の耐熱性セラミックスは、Al2O3結晶の(104)面のX線回折ピーク強度が、FeAlTiO5結晶の(110)面のX線回折ピーク強度と、Al、TiおよびMgを含有する結晶の(110)面のX線回折ピーク強度との和に対して3%以下であることが望ましい。
れることが望ましい。
また、本発明の耐熱性セラミックスは、Al2O3結晶の(104)面のX線回折ピーク強度が、FeAlTiO5結晶の(110)面のX線回折ピーク強度と、Al、TiおよびMgを含有する結晶の(110)面のX線回折ピーク強度との和に対して3%以下であることが望ましい。
さらに、本発明の耐熱性セラミックスは、気孔率が15%以下であることが望ましい。
また、本発明の耐熱性セラミックスは、FeAlTiO5結晶の(004)面のX線回折ピーク強度が、FeAlTiO5結晶の(110)面のX線回折ピーク強度と、Al、TiおよびMgを含有する結晶の(110)面のX線回折ピーク強度との和に対して2.5%以上であることが望ましい。
また、本発明の断熱材は、上記の耐熱性セラミックスからなることを特徴とする。
本発明の耐熱性セラミックスでは、FeAlTiO5結晶粒子と、Al、TiおよびMgを含有する結晶粒子、およびSi酸化物を主成分とする粒界物質を含むことにより、高温の還元雰囲気等の非酸化性雰囲気や、溶融した金属に晒されても、高い機械的強度を維持することができるとともに、耐硫酸性などの耐薬品性を向上できる。
したがって、非酸化性雰囲気で使用される焼成炉、加熱炉等の炉の内壁として使用される断熱材、高温の非酸化性雰囲気で使用される耐熱性容器や金属溶射用ノズル、さらにはアルミニウム等の溶融金属メッキ用の部材等に用いることができる。
図1は耐熱性セラミックスの実施形態を示すもので、FeAlTiO5結晶とAl、TiおよびMgを含有する結晶等の結晶粒子と粒界物質とを含有している。粒界物質は、非晶質であってもよく、結晶質でもよいが、耐熱性を向上するという点から、結晶質であることが望ましい。さらに、本形態の耐熱性セラミックスは、高い機械的強度を有するという点から、緻密質であることが望ましい。本形態では、緻密質とはセラミックスの気孔率が15%以下であることをいう。
本形態の耐熱性セラミックスは、FeAlTiO5結晶粒子を含有している。これにより、900〜1200℃の温度範囲におけるセラミックスを構成する結晶粒子の分解を抑制することができるとともに、従来のようなAl2TiO5にFe2O3を添加した形態やFeを固溶させた形態と比較して、熱力学的により安定なFeAlTiO5が形成されていることにより、還元雰囲気等の非酸化性雰囲気で使用しても、3価のFeが還元されて2価のFeに変化することがなく、Feの還元により生じる結晶格子の歪みから発生する応力を抑制することができ、非酸化性雰囲気において高い機械的強度を維持することができる。
FeAlTiO5結晶粒子とともに含まれるAl、Ti、Mgを含有する結晶粒子は、結晶粒子中にAl、Tiに加えて、より耐薬品性に優れているMgを含むことにより、耐硫酸性などの耐薬品性を向上できる。
Al、Ti、Mgを含有する結晶粒子は、特に、モル比による組成式がAl2(1−x
)MgxTi1+xO5(0<x≦0.9)で表されるものであることが望ましい。本組成式で表されるようなAl、TiおよびMgを含有する結晶粒子を含むことにより、耐硫酸性などの耐薬品性をより向上できる。
)MgxTi1+xO5(0<x≦0.9)で表されるものであることが望ましい。本組成式で表されるようなAl、TiおよびMgを含有する結晶粒子を含むことにより、耐硫酸性などの耐薬品性をより向上できる。
ここで、AlのMgによる置換量xを0<x≦0.9としたのは、AlのMgによる置換量xがこの範囲内ならば、耐硫酸性および耐熱分解性が高められ、耐熱衝撃性が維持できるためである。特に、x>0を満足することにより、結晶粒子中にAl、Tiに加えて、より耐薬品性に優れているMgを含むことになり、耐硫酸性などの耐薬品性を向上できる。xは特に0.2≦x≦0.8であることが耐硫酸性と耐熱衝撃性を向上できるという点から望ましい。また、Al、Ti、Mgを含有する結晶粒子には、Feを含むものが存在する場合もある。
なお、Al、Ti,Mgを含有する結晶粒子の組成は、例えば走査型電子顕微鏡や透過電子顕微鏡により、結晶粒子内部の元素分析を行うことで確認できる。
また、結晶粒子間には、Si酸化物を含有する粒界物質が存在している。この粒界物質は、元素としてSi以外にAlおよびMgを含有しており、結晶粒子内にはSiを少量含有している。これは、SiとAl、Mgとが焼成中に相互に拡散することによる。この粒界物質は結晶質でもよいが、ここでは非晶質の粒界物質を用いた耐熱性セラミックスについて説明する。
本形態の耐熱性セラミックスに含まれている結晶粒子は、平均粒径20μm以下であることが望ましい。このように粒径を制御することで、焼結体の緻密化が可能となり、3点曲げ強度を15MPa以上にすることができる。特には結晶粒子の平均粒径は10μm以下であることが望ましい。結晶粒子の平均粒径は、インターセプト法により求めることができる。
また、本形態の耐熱性セラミックスでは、SiをSiO2換算で全量中1〜8質量%含有することが望ましい。SiをSiO2換算で全量中1〜8質量%とすることにより、焼結体の緻密化が容易となり、強度を向上できる。Si含有量は、SiO2換算で全量中1〜3質量%であることがさらに望ましい。このようにSi含有量が少量であることで、粒界物質の融解温度を向上でき、例えば断熱材としての使用範囲を広げることができる。Si含有量は、蛍光X線分析法やICP(Inductively Coupled Plasma)発光分析法により測定することができる。また、FeAlTiO5結晶粒子およびAl2(1−x)MgxTi1+xO5で表される結晶粒子は、全量中92〜99質量%、特には97〜99質量%
含有されていることが望ましい。
含有されていることが望ましい。
なお、SiをSiO2換算で全量中1〜8質量%含有する耐熱性セラミックスでは、粒界物質の融解温度が1500℃程度以上となることが一般に知られている。
また、本形態の耐熱性セラミックスは、Al2O3結晶の(104)面のX線回折ピーク強度が、FeAlTiO5結晶の(110)面のX線回折ピーク強度と、Al、TiおよびMgを含有する結晶の(110)面のX線回折ピーク強度との和に対して3%以下であることが望ましい。これにより、FeやMgを含有するチタン酸アルミニウムが、所定の組成を有する結晶として合成されて、熱膨張係数を小さくすることが可能となり、高い耐熱衝撃性を得ることができる。さらに好ましくはAl2O3を実質的に含んでいないものがよい。
Al2O3結晶と、FeAlTiO5結晶およびAl、TiおよびMgを含有する結晶のX線回折ピーク強度比は、X線回折法によりピーク強度を測定して、回折角2θが35°付近のAl2O3結晶(104)面のピーク強度(IA)と、回折角2θが25−27°のFeAlTiO5結晶(110)面およびAl、TiおよびMgを含有する結晶(110)面のピーク強度の和(IAMFT)とから、ピーク強度比IA/IAMFTを算出できる。ここで、回折角2θが35°付近というのは、±0.3°の誤差範囲内にあることをいう。以降、回折角2θに関して付近という表現を用いた場合は、±0.3°の誤差範囲を示す。
なお、FeAlTiO5結晶(110)面のX線回折ピークと、Al、TiおよびMgを含有する結晶(110)面のX線回折ピークとは、回折角が非常に近接しており、測定上重なり合って分離できない単一の回折ピークとして現れるため、この重なり合った回折ピークの強度をFeAlTiO5結晶(110)面およびAl、TiおよびMgを含有する結晶(110)面のピーク強度の和(IAMFT)とした。
また、Al2O3を実質的に含まないとは、X線回折法によるピーク強度測定の結果、Al2O3結晶の(104)面のX線回折ピークを確認できない場合をいう。
また、本形態の耐熱性セラミックスは、気孔率が15%以下、好ましくは10%以下であることが望ましい。このように気孔率が小さく、緻密なセラミックスとすることで、高い機械的強度を実現することができる。気孔率は、水銀圧入法等のピクノメータ法によって測定することができる。
本形態の耐熱性セラミックスでは、FeAlTiO5結晶の(004)面のX線回折ピーク強度が、前記FeAlTiO5結晶の(110)面のX線回折ピーク強度と、前記Al、TiおよびMgを含有する結晶の(110)面のX線回折ピーク強度との和に対して2.5%以上であることが望ましい。FeAlTiO5結晶の(004)面のX線回折ピークは、本形態の耐熱性セラミックスを構成する他の結晶のX線回折ピークとは回折角が異なるため、この回折ピークの存在によりセラミックス中にFeAlTiO5結晶が含まれることが確認できる。
FeAlTiO5結晶の(004)面と、FeAlTiO5結晶およびAl、TiおよびMgを含有する結晶の(110)面のX線回折ピーク強度比は、X線回折法によりピーク強度を測定して、回折角2θが37°付近のFeAlTiO5結晶(004)面のピーク強度(IFAT)と、回折角2θが25−27°のFeAlTiO5結晶(110)面およびAl、TiおよびMgを含有する結晶(110)面のピーク強度の和(IAMFT)とから、ピーク強度比IFAT/IAMFTを算出できる。
なお、計算上ではFeAlTiO5結晶単独の粉末X線回折における(004)面のX線回折ピーク強度は、(110)面のX線回折ピーク強度の約1%である。その計算上の強度比率に対して、本形態の耐熱性セラミックスのX線回折ピークを実際に測定すると、ピーク強度比IFAT/IAMFTは2.5%以上であり、非酸化性雰囲気下、特に還元雰囲気下で高い機械的強度を示している。すなわち、本形態の耐熱性セラミックスには、熱力学的により安定なFeAlTiO5が、その効果を発現するに充分なだけ含有されており、非酸化性雰囲気下、特に還元雰囲気下で高い機械的強度を維持することができる。
次に、本形態の耐熱性セラミックスの製法について説明する。
例えば、FeAlTiO5およびAl2(1−x)MgxTi1+xO5で表される結晶
を形成するために必要な原料、および粒界相を形成するための酸化ケイ素SiO2を準備する。
を形成するために必要な原料、および粒界相を形成するための酸化ケイ素SiO2を準備する。
まず、アルミナ、チタニア、酸化鉄およびマグネシアの素原料を、FeAlTiO5およびAl2(1−x)MgxTi1+xO5(0<x≦0.9)の組成となるよう別々に秤
量して混合後、造粒する。造粒は、乾式で混合して造粒したり、回転ミル、振動ミル、ビーズミル等のミルに投入し、水、アセトン、イソプロピルアルコール(IPA)のうち少なくともいずれか1種とともに湿式混合したスラリーを乾燥し、造粒することが望ましい。スラリーの乾燥方法としては、スラリーを容器に入れて加熱、乾燥させて、造粒してもよいし、スプレードライヤーで乾燥させて造粒しても良く、または他の方法で乾燥させて造粒しても何ら問題ない。
量して混合後、造粒する。造粒は、乾式で混合して造粒したり、回転ミル、振動ミル、ビーズミル等のミルに投入し、水、アセトン、イソプロピルアルコール(IPA)のうち少なくともいずれか1種とともに湿式混合したスラリーを乾燥し、造粒することが望ましい。スラリーの乾燥方法としては、スラリーを容器に入れて加熱、乾燥させて、造粒してもよいし、スプレードライヤーで乾燥させて造粒しても良く、または他の方法で乾燥させて造粒しても何ら問題ない。
この後、各々の造粒粉を別々に酸素含有雰囲気、例えば大気中で仮焼する。仮焼温度は、FeAlTiO5およびAl2(1−x)MgxTi1+xO5結晶を十分生成すべく、
結晶が生成する温度(1200℃程度)よりも高い、例えば1400℃以上で1〜5時間仮焼する。仮焼温度は、特には、1430℃以上、さらには1450℃以上が望ましい。一方、仮焼粉末が強固に凝集するのを防ぐという観点から、仮焼温度は1500℃以下であることが望ましい。これにより、FeAlTiO5およびAl2(1−x)MgxTi1+xO5の仮焼粉末を作製する。得られた仮焼粉末は、平均粒径が10μm以下になるよ
う粉砕することも出来る。
結晶が生成する温度(1200℃程度)よりも高い、例えば1400℃以上で1〜5時間仮焼する。仮焼温度は、特には、1430℃以上、さらには1450℃以上が望ましい。一方、仮焼粉末が強固に凝集するのを防ぐという観点から、仮焼温度は1500℃以下であることが望ましい。これにより、FeAlTiO5およびAl2(1−x)MgxTi1+xO5の仮焼粉末を作製する。得られた仮焼粉末は、平均粒径が10μm以下になるよ
う粉砕することも出来る。
そして、所定の比率に配合したこれらの仮焼粉末に対し、SiO2粉末を添加し、混合する。混合方法は、乾式または湿式で行うこともできる。SiO2粉末は、例えば平均粒径1〜3μmの粉末を用いる。この範囲の粒径の粉末を用いることにより、SiO2粉末を仮焼粉末の表面に均一に分散させることができる。
この混合粉末にバインダを添加し、所定形状に成形し、酸素含有雰囲気、例えば大気中にて脱バインダ処理する。得られた成形体を、大気中において、例えば仮焼温度が1430℃の場合、これよりも低い温度である1430℃未満で0.5〜5時間焼成することにより、緻密なセラミック部材を形成することができる。
焼成温度は、特に、1300〜1390℃であることが望ましい。この焼成工程は、Siを含有する非晶質材料を溶融させ、結晶粒子同士が焼結し緻密化する工程である。
このような製法では、焼成温度が、AlとTiとFeまたはMgとを含有する結晶の仮焼温度(1400℃以上)よりも低いため、2種類の結晶粒子の反応や、FeとMgの相互拡散を最小限にとどめ、Siを含有する非晶質材料で結晶粒子同士を緻密化できる。
このようにFeAlTiO5およびAl2(1−x)MgxTi1+xO5を含有するこ
とにより、非酸化性雰囲気で耐熱性セラミックスを使用しても3価のFeが還元により2価のFeに変化することなく、結晶格子の歪み発生による応力発生を抑制するとともに、耐硫酸性などの耐薬品性を向上でき、非酸化性雰囲気下で高い機械的強度を維持することができる。
とにより、非酸化性雰囲気で耐熱性セラミックスを使用しても3価のFeが還元により2価のFeに変化することなく、結晶格子の歪み発生による応力発生を抑制するとともに、耐硫酸性などの耐薬品性を向上でき、非酸化性雰囲気下で高い機械的強度を維持することができる。
本形態の耐熱性セラミックスでは、低熱膨張であって、非酸化性雰囲気の900〜1200℃の温度範囲で使用しても分解されることなく、また非酸化性雰囲気下での機械的強度が高いため、例えば、非酸化性雰囲気で使用される焼成炉、加熱炉等の炉の内壁として使用される断熱材、高温の非酸化性雰囲気で使用される耐熱性容器や金属溶射用ノズル、さらにはアルミニウム等の溶融金属メッキ用の部材等に用いることができる。
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
用いたアルミナ原料は日本軽金属社製のAL−47−1であり、平均粒径が1.1μm、チタニア原料はテイカ社製のJA−3であり、平均粒径が0.2μm、酸化鉄原料はJFEケミカル社製のJC−Wであり、平均粒径が1.0μm、炭酸マグネシウム原料はトクヤマ社製のTTであり、見掛比重が0.23g/mlのものを使用した。
また、シリカ原料として、丸釜釜戸社製のSP−3であり、平均粒径が1.2μmのものを用いた。
まず、一次原料として上記のアルミナ原料、チタニア原料、酸化鉄原料、マグネシア原料をFeAlTiO5およびAl2(1−x)MgxTi1+xO5の組成となるようそれ
ぞれ調合し、溶媒にイソプロピルアルコール(IPA)を添加し、媒体に直径10mmのアルミナボールを用いて回転ミルで20時間混合してそれぞれのスラリーを作製した。このスラリーを110℃に加熱してIPAを揮発させて乾燥した後、メッシュパスした。
ぞれ調合し、溶媒にイソプロピルアルコール(IPA)を添加し、媒体に直径10mmのアルミナボールを用いて回転ミルで20時間混合してそれぞれのスラリーを作製した。このスラリーを110℃に加熱してIPAを揮発させて乾燥した後、メッシュパスした。
Al、TiおよびMgを含有する粉末の組成については、モル比による組成式Al2(1−x)MgxTi1+xO5(0<x≦0.9)におけるxの値として、表1に示した。
この造粒粉を、大気中において、1450℃でそれぞれ仮焼し、FeAlTiO5およびAl2(1−x)MgxTi1+xO5の仮焼粉末をそれぞれ合成した。さらにこれらの
仮焼粉末を、それぞれ平均粒径3μmの粉末に粉砕した。
仮焼粉末を、それぞれ平均粒径3μmの粉末に粉砕した。
この粉砕した仮焼粉末を、FeAlTiO5粉末(FAT)の比率が表1に示す比率となるように配合し、その配合した仮焼粉末100質量部に対して、表1に示す量のSiO2粉末を添加して、万能混練機により混合し、二次の原料粉末を得た。
この二次の原料粉末に対して、パラフィンワックスをイソプロピルアルコール(IPA)とともに添加、混合した後、IPAを乾燥して成形用粉末とした。次に、この成形用粉末を用いて、粉末加圧式成形法によって4mm×5mm、長さ50mmの直方体形状の成形体を作製した。この成形体を大気中において500℃で脱バインダ処理した後、冷却して取り出し、焼成炉にて大気中、焼成温度1350℃でそれぞれ5時間焼成して焼結体を作製し、評価用試料とした。尚、室温から焼成温度までの昇温速度は200℃/hとした。
また、比較例として、試料No.9はFeAlTiO5およびAl2TiO5の組成、試料No.10は、Al2(1−x―0.5)MgxFeTi(1+x)O5の組成とな
るように素原料を調合し、実施例と同様の工程で作製し、記載した(xの値およびSiO2含有量は表1に記載)。
るように素原料を調合し、実施例と同様の工程で作製し、記載した(xの値およびSiO2含有量は表1に記載)。
作製した焼結体のX線回折ピーク強度を測定し、回折角2θが37°付近のFeAlTiO5結晶(004)面のピーク強度(IFAT)と、回折角2θが25−27°のFeAlTiO5結晶(110)面およびAl、TiおよびMgを含有する結晶(110)面のピーク強度の和(IAMFT)とから、ピーク強度比IFAT/IAMFTを算出して表2に記載した。なお、試料No.9においては、回折角2θが25−27°に現れるFeAlTiO5およびAl2TiO5のピーク強度の和をIAMFTとみなし、試料No.10においては、回折角2θが25−27°に現れるAl2(1−x―0.5)MgxFeTi(1+x)O5のピーク強度をIAMFTとみなした。
また、焼結体の気孔率を水銀圧入法により求め、表2に記載した。
非酸化雰囲気下での耐熱分解性の評価は以下のように行った。評価用試料を、水素を1体積%含む窒素雰囲気中で、1100℃の温度で100時間の耐熱分解試験を行い、X線回折法により試験前後の試料のピーク強度を測定して、FeAlTiO5およびAl2(1−x)MgxTi1+xO5(0<x≦0.9)の回折角2θが25−27°のメインピ
ーク強度(IAMFT)と、TiO2相の回折角2θが36.1°のピーク強度(IT)
とから、ピーク強度比のA=IAMFT/(IAMFT+IT)をそれぞれ算出した。さらに耐熱分解試験前および耐熱分解試験後のピーク強度比をそれぞれA0、A1として、(1−A1/A0)の値を計算した。次に、別途FeAlTiO5およびAl2(1−x)
MgxTi1+xO5(0≦x≦0.9)とTiO2の量比を変えて混合し、(1−IAMFT/IT)の値を求めて作成した検量線と(1−A1/A0)の値を照らし合わせて熱
分解率を求め、熱分解率2%以下を熱分解無しとして表2に記載した。なお、試料No.9においては、回折角2θが25−27°に現れるFeAlTiO5およびAl2TiO5のピーク強度の和をIAMFTとみなし、試料No.10においては、回折角2θが25−27°に現れるAl2(1−x―0.5)MgxFeTi(1+x)O5のピーク強度をIAMFTとみなした。
ーク強度(IAMFT)と、TiO2相の回折角2θが36.1°のピーク強度(IT)
とから、ピーク強度比のA=IAMFT/(IAMFT+IT)をそれぞれ算出した。さらに耐熱分解試験前および耐熱分解試験後のピーク強度比をそれぞれA0、A1として、(1−A1/A0)の値を計算した。次に、別途FeAlTiO5およびAl2(1−x)
MgxTi1+xO5(0≦x≦0.9)とTiO2の量比を変えて混合し、(1−IAMFT/IT)の値を求めて作成した検量線と(1−A1/A0)の値を照らし合わせて熱
分解率を求め、熱分解率2%以下を熱分解無しとして表2に記載した。なお、試料No.9においては、回折角2θが25−27°に現れるFeAlTiO5およびAl2TiO5のピーク強度の和をIAMFTとみなし、試料No.10においては、回折角2θが25−27°に現れるAl2(1−x―0.5)MgxFeTi(1+x)O5のピーク強度をIAMFTとみなした。
また、焼結体を、水素を1体積%含む窒素雰囲気中で、1100℃で10時間熱処理した後、強度を測定した。強度の測定は3点曲げ法によりJIS R 1601に基づいて行い、結果を表2に示した。熱膨張係数については、JIS R1618に基づいて、昇温速度20℃/分の条件で円柱状焼結体試料の20℃〜800℃の熱膨張係数を測定した。また、焼結体に含有されるAl2O3結晶について、X線回折のピーク強度比を測定、算出した。いずれの試料にも、Al2O3結晶による回折ピークは認められなかった。
各焼結体の耐薬品性については、円板状焼結体の各試料を80℃、10質量%のH2SO4溶液の中で50Hr浸漬して、単位面積あたりの重量減の割合が5%未満を◎、5%以上10%未満を○として評価した。
表1、2から、本発明範囲内の試料No.1〜8は、非酸化雰囲気で熱処理しても熱分解を起こさず、また非酸化雰囲気で熱処理した後も、3点曲げ強度が15MPa以上と高いことが分かる。一方、本発明範囲外の試料No.9は、非酸化雰囲気での熱分解は起こさないものの耐薬品性が劣り、試料No.10は、X線回折ピークの測定により回折角2θが37°付近のFeAlTiO5結晶(004)面のピークが確認できず、非酸化雰囲気で熱処理した後の3点曲げ強度が5MPaと低い。
1・・・FeAlTiO5結晶およびAl、TiおよびMgを含有する結晶の(110)面のX線回折ピーク
2・・・FeAlTiO5結晶の(004)面のX線回折ピーク
2・・・FeAlTiO5結晶の(004)面のX線回折ピーク
Claims (6)
- FeAlTiO5結晶粒子と、Al、TiおよびMgを含有する結晶粒子と、Si酸化物を主成分とする粒界物質とを含むことを特徴とする耐熱性セラミックス。
- 前記Al、TiおよびMgを含有する結晶粒子のモル比による組成式が、Al2(1−x)MgxTi1+xO5(0<x≦0.9)で表されることを特徴とする請求項1に記載
の耐熱性セラミックス。 - 前記Al2O3結晶の(104)面のX線回折ピーク強度が、FeAlTiO5結晶の(110)面のX線回折ピーク強度と、Al、TiおよびMgを含有する結晶の(110)面のX線回折ピーク強度との和に対して3%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の耐熱性セラミックス。
- 気孔率が15%以下であることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれかに記載の耐熱性セラミックス。
- 前記FeAlTiO5結晶の(004)面のX線回折ピーク強度が、前記FeAlTiO5結晶の(110)面のX線回折ピーク強度と、前記Al、TiおよびMgを含有する結晶の(110)面のX線回折ピーク強度との和に対して2.5%以上であることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれかに記載の耐熱性セラミックス。
- 請求項1乃至5のうちいずれかに記載の耐熱性セラミックスからなることを特徴とする断熱材。
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