JP2014024740A - セラミック焼結体および熱処理用部材 - Google Patents

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圭太 久保
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新一 山口
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Abstract

【課題】 リチウムイオン2次電池の正極材料を構成する成分等のアルカリ成分に対する耐食性および耐熱衝撃性に優れたセラミック焼結体およびこれを用いた熱処理用部材を提供する。
【解決手段】 酸化マグネシウムを50質量%を超え93質量%以下と、金属酸マグネシウムを7質量%以上50質量%未満とを含有するセラミック焼結体からなり、セラミック焼結体を断面視した観察領域において、結晶粒径が0.3mm以下である酸化マグネシウムの結
晶の面積比率が55面積%以上であるととともに、結晶粒径が0.5mm以上である金属酸マ
グネシウムの結晶の面積比率が4面積%以上であるセラミック焼結体である。このような構成としたことから、酸化マグネシウムの微細な結晶が多く存在するので、耐食性が高くなるとともに、金属酸マグネシウムの大きな結晶の間に酸化マグネシウムが配置されやすくなり、線膨張係数の上昇が抑制されるため、耐熱衝撃性が高くなり、耐食性と耐熱衝撃性を兼ね備えることができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、セラミック焼結体と、この焼結体を用いた熱処理用部材に関する。
従来、酸化マグネシウムを主成分とするセラミック焼結体は耐食性、耐熱性などに優れていることから、高温部材,熱処理用容器,セッター,炉心管,測温用保護管等の広い用途に用いられている。
最近では、リチウムイオン2次電池用の正極材料をはじめとする電子材料および蛍光体材料の熱処理にも上記セラミック焼結体を用いた熱処理用部材が用いられ、被熱処理材を構成する成分の組成変動を抑制するために、急速な昇降温処理がなされ、成分の蒸発を抑えている。
ところで、このような熱処理に用いられる熱処理用部材が緻密質のセラミック焼結体からなる場合には、リチウムイオン2次電池用の正極材料を構成するアルカリ成分に対する耐食性に優れているものの、急速に降温すると熱衝撃によるクラックが生じるおそれがあった。
一方、熱処理用部材が多孔質のセラミック焼結体からなる場合には、耐熱衝撃性が高いものの、熱処理用部材中の成分が被熱処理材に不純物として混入したり、被熱処理材と反応して被熱処理材の組成が変化したりするおそれがあった。また、熱処理により被熱処理材の成分が蒸発し、その蒸発成分が熱処理用部材に吸着したり反応したりして、耐食性が低下するという問題があった。
このような問題を解決するために、例えば、特許文献1では、MgO含有量が95重量%以上のマグネシア質焼結体よりなるセラミック製熱処理用部材が提案されている。
特開2002−128563号公報
しかしながら、特許文献1で提案されたセラミック製熱処理用部材は、更なる長寿命化が求められるようになっている現在、この要求に十分応えられるものではなかった。
本発明はこのような課題に鑑み、リチウムイオン2次電池の正極材料を構成する成分等のアルカリ成分に対する耐食性および耐熱衝撃性に優れたセラミック焼結体およびこれを用いた熱処理用部材を提供するものである。
本発明のセラミック焼結体は、酸化マグネシウムを50質量%を超え93質量%以下と、金属酸マグネシウムを7質量%以上50質量%未満とを含有するセラミック焼結体からなり、該セラミック焼結体を断面視した観察領域において、結晶粒径が0.3mm以下である酸化
マグネシウムの結晶の面積比率が55面積%以上であるととともに、結晶粒径が0mm以上
である金属酸マグネシウムの結晶の面積比率が4面積%以上であることを特徴とするものである。
また、本発明の熱処理用部材は、上記構成のセラミック焼結体を用いたことを特徴とするものである。
本発明のセラミック焼結体によれば、酸化マグネシウムを50質量%を超え93質量%以下と、金属酸マグネシウムを7質量%以上50質量%未満とを含有するセラミック焼結体からなり、該セラミック焼結体を断面視した観察領域において、結晶粒径が0.3mm以下であ
る酸化マグネシウムの結晶の面積比率が55面積%以上であるととともに、結晶粒径が0.5
mm以上である金属酸マグネシウムの結晶の面積比率が4面積%以上であることから、酸化マグネシウムの微細な結晶が多く存在することで耐食性が高くなるとともに、金属酸マグネシウムの大きな結晶の間に酸化マグネシウムが配置されやすくなるので、線膨張係数の上昇が抑制され、耐熱衝撃性が高くなり、耐食性と耐熱衝撃性とを兼ね備えることができる。
また、本発明の熱処理用部材によれば、本発明の耐熱衝撃性が高くなり、耐食性と耐熱衝撃性とを兼ね備えるセラミック焼結体を用いたことから、熱処理用部材の交換頻度を減らすことができるので、ランニングコストを低減することができる。
以下、まずは本実施形態のセラミック焼結体について詳述する。
本実施形態のセラミック焼結体は、例えば、リチウムイオン2次電池の正極材料を載せて焼成するときに用いるものであり、酸化マグネシウムを50質量%を超え93質量%以下と、金属酸マグネシウムを7質量%以上50質量%未満とを含有してなる。酸化マグネシウムは耐熱性およびアルカリ成分に対する耐食性に優れており、金属酸マグネシウムは酸化マグネシウムよりは劣るもののアルカリ成分に対する耐食性に優れるとともに耐熱衝撃性に優れている。
そして本実施形態のセラミック焼結体は、セラミック焼結体を断面視した観察領域において、結晶粒径が0.3mm以下である酸化マグネシウムの結晶の面積比率が55面積%以上
であるととともに、結晶粒径が0.5mm以上である金属酸マグネシウムの結晶の面積比率
が4面積%以上であることが重要である。このような構成であると、酸化マグネシウムの微細な結晶が多く存在するので、耐食性が高くなるとともに、金属酸マグネシウムの大きな結晶の間に結晶粒径の小さい酸化マグネシウムが配置されやすくなる。それにより、線膨張係数の上昇が抑制されるため、耐熱衝撃性が高くなり、耐食性と耐熱衝撃性を兼ね備えることができる。併せて、熱衝撃により酸化マグネシウムの微細な結晶にクラックが発生したとしても、このクラックは金属酸マグネシウムの大きな結晶を回避しながら進展するので、クラックが焼結体全体にわたることを抑制でき、長期間に亘って用いることができる。
従って、本実施形態のセラミック焼結体は、リチウム等のアルカリ成分が含まれる被焼成物、例えば、リチウムイオン2次電池用の正極材料の原料粉体に対する耐食性と耐熱衝撃性との両方を兼ね備えた焼成用部材として用いることができる。
また、結晶粒径が0.3mm以下である酸化マグネシウムの結晶の面積比率は、93面積%
以下であることが好適である。この範囲とすることで、耐熱衝撃性を高くすることができる。
また、結晶粒径が0.5mm以上である金属酸マグネシウムの結晶の面積比率は、42面積
%以下であることが好適である。この範囲とすることで、耐食性を高くすることができる。
なお、金属酸マグネシウムとしては、例えば、アルミン酸マグネシウム,チタン酸マグネシウム、タンタル酸マグネシウム,タングステン酸マグネシウムを例示できるが、低コスト化の点でアルミン酸マグネシウムを用いることが好適である。
セラミック焼結体の含有成分は、X線回折法を用いて組成を同定することができる。また、セラミック焼結体に含まれる各元素の量は、蛍光X線分析法またはICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析法によって求めることができる。例えば、主成分である酸化マグネシウムの含有量は、セラミック焼結体におけるマグネシウムの全含有量を求め、酸化マグネシウムに換算し、金属酸マグネシウムを構成する酸化マグネシウムの成分量を差し引いた値が酸化マグネシウムの含有量である。
なお、金属酸マグネシウムを構成する酸化マグネシウムの成分量は次に説明するようにして算出することができる。まず、マグネシウム以外の金属(不可避不純物を除き、ジルコニウムを含む場合はジルコニウムも除く。)の含有量を求め、この含有量から酸化物に換算した値を、金属酸マグネシウムを構成するマグネシウム以外の金属酸化物の成分量とみなす。そして、同定した含有成分の金属酸マグネシウムの組成から、マグネシウム以外の金属の酸化物成分と酸化マグネシウム成分とが化合する割合を求め、金属酸マグネシウムを構成する酸化マグネシウムの成分量を算出すればよい。また、金属酸マグネシウムの含有量は、金属酸マグネシウムを構成するマグネシウム以外の金属酸化物の成分量および酸化マグネシウムの成分量の合計とすればよい。
なお、アルミン酸マグネシウムは組成式がMgAlとして表され、MgOとAlとのモル比が1:1の定比であることが好適であるが、MgOとAlとのモル比は、例えば1:0.8〜1:1.2の範囲であれば何等差し支えない。
また、チタン酸マグネシウムは組成式がMgTiOとして表され、MgOとTiOとのモル比が1:1の定比であることが好適であるが、MgOとTiOとのモル比は、例えば1:0.8〜1:1.2の範囲であれば何等差し支えない。
また、タンタル酸マグネシウムは組成式がMgTaとして表され、MgOとTaとのモル比が4:1の定比であることが好適であるが、MgOとTaとのモル比は、例えば4:0.8〜4:1.2の範囲であれば何等差し支えない。
また、タングステン酸マグネシウムは組成式がMgWOとして表され、MgOとWOとのモル比が1:1の定比であることが好適であるが、MgOとWOとのモル比は、例えば1:0.8〜1:1.2の範囲であれば何等差し支えない。
セラミック焼結体の断面における酸化マグネシウムおよび金属酸マグネシウムのそれぞれの結晶は、以下に示す手順によって求めることができる。即ち、セラミック焼結体の一部を断面が観察面となるようにポリエステル系樹脂等の冷間埋込樹脂に埋め込んで円柱状の試料を作製し、この試料の断面を、例えば、研磨機(エコメット3,ビューラー社(製))を使って、研磨して観察面を得る。そして、走査型電子顕微鏡を用い、例えば、倍率を20倍として、セラミック焼結体の観察面を撮影した反射電子組成像と、X線マイクロアナライザーを用いて電子ビームを観察面に照射し、観察面から発生する特性X線を検出することによって解析される元素の存在比率を表した画像とを照合することによって、観察面を構成する結晶の成分を特定することができる。ここで、観察面の範囲は、例えば、縦および横のサイズがそれぞれ2.5mm〜3mm,3〜4mmである。マグネシウムの存在
が他の成分よりも多く認められる結晶は、酸化マグネシウムの結晶であり、例えば、アルミニウムおよびマグネシウムの存在が他の成分よりも多く認められる結晶は、アルミン酸マグネシウムの結晶である。そして、酸化マグネシウムおよびアルミン酸マグネシウムの各結晶の結晶粒径は、例えば、画像解析ソフト「IMAGE−PRO PLUS」(登録
商標、MEDIA CYBERNETICS社製)を用いて、それぞれ円相当径で算出し
た値を結晶粒径とし、結晶粒径が0.3mm以下である酸化マグネシウムの結晶の面積比率
および結晶粒径が0.5mm以上である金属酸マグネシウムの結晶の面積比率を算出すれば
よい。
また、本実施形態のセラミック焼結体は、ジルコニウムを酸化物換算で2質量%以上12質量%以下含むことが好適である。ジルコニウムをこの範囲で含むと、詳細理由は不明であるが、耐熱衝撃性がより高くなるので、さらに長期間に亘って用いることができる。
ここで、セラミック焼結体におけるジルコニウムの含有量は、蛍光X線分析(XRF)法またはICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合プラズマ)発光分析法によってジルコニアの量を求め、酸化ジルコニウムに換算すればよい。
また、本実施形態のセラミック焼結体では、酸化マグネシウムの結晶は、ジルコニウムの酸化物を含むことが好適である。
酸化マグネシウムの結晶がジルコニウムの酸化物を含むことで、両者の線膨張係数の差によって、酸化マグネシウムの結晶の粒界に圧縮応力がかかり、粒界のすべりおよび粒内の転移移動が抑制されるため、耐熱衝撃性が高くなる。
酸化マグネシウムの結晶に含まれるジルコニウムの酸化物は、エネルギー分散型X線分光器(EDS)または波長分散型X線分光器(WDS)を備えた走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて同定すればよい。
また、本実施形態のセラミック焼結体は、多孔質体であって、気孔径の累積分布曲線における累積25体積%の気孔径(d25)に対する累積75体積%の気孔径(d75)の比(d75/d25)が1.1以上1.5以下であることが好適である。
上述の比(d75/d25)が1.1以上1.5以下であると、気孔のばらつきが少なくなるので、耐熱衝撃性および機械的特性をともに高くすることができるため、繰り返し熱処理に用いても、亀裂を生じにくくすることができる。さらに、比(d75/d25)を上記範囲とすることにより、セラミック焼結体の熱履歴の差がより小さくなり、繰り返し熱処理に用いても、セラミック焼結体に亀裂をより生じにくくすることができる。
また、セラミック焼結体の気孔の気孔径(d25)および(d75)は、例えば、セラミック焼結体の気孔径を以下の式(1)により求め、その累積分布曲線における累積25体積%および75体積%に相当する気孔径をそれぞれ気孔径(d25)および(d75)として求めればよい。なお、気孔径の累積分布曲線とは、2次元のグラフにおける横軸を気孔径、縦軸を気孔径の累積気孔体積の百分率とした場合、気孔径の累積分布を示す曲線をいい、気孔径の分布範囲を示すものである。
このセラミック焼結体の気孔の気孔径(d25)および(d75)については、水銀圧入法に準拠して求めればよい。具体的には、まず、焼成用部材から質量が2g以上3g以下となるように試料を切り出す。次に、水銀圧入型ポロシメータを用いて、試料の気孔に水銀を圧入し、水銀に加えられた圧力と、気孔内に浸入した水銀の体積とを測定する。
この水銀の体積は気孔の体積に等しく、水銀に加えられた圧力と気孔径には以下の式(1)(Washburnの関係式)が成り立つ。
d=−4σcosθ/P・・・(1)
但し、d:気孔径(m)
P:水銀に加えられた圧力(Pa)
σ:水銀の表面張力(0.485N/m)
θ:水銀と気孔の表面との接触角(130°)
式(1)から各圧力Pに対する各気孔径dが求められ、各気孔径dの分布および累積気孔体積を導くことができる。そして、累積気孔体積の百分率が25体積%および75体積%に相当するそれぞれの気孔径(d25),(d75)を求めればよい。
本実施形態の熱処理用部材は、本実施形態の耐熱衝撃性が高くなり、耐食性と耐熱衝撃性とを兼ね備えるセラミック焼結体を用いたことから、熱処理用部材の交換頻度を減らすことができるので、ランニングコストを低減することができる。ここで、本実施形態の熱処理用部材としては、例えば、圧電体,誘電体などの電子部品材料、リチウムイオン2次電池正極材料、蛍光体材料およびセラミック材料等の熱処理に用いられる部材を始め、単結晶育成用ルツボ,金属溶解用ルツボ,各種電気炉用炉心管,サポートチューブ,ラジアントチューブ,ガス吹込管,ガス採取管,測温用熱電対および各種機器用の保護管,サポート用治具材等とすることができる。
次に、本実施形態のセラミック焼結体および熱処理用部材の製造方法について説明する。
まず、粒径が0.01mm以上0.3mm以下である酸化マグネシウムの粉末と、粒径が0.5mm以上1.2mm以下である酸化アルミニウム,酸化チタン,酸化タンタルまたは酸化タン
グステンの粉末とを所定量秤量し、これらの粉末の合計100質量部に対し、平均粒径(D50)が5μm以上10μm以下である金属酸マグネシウムの含有量が2質量部以上4質量部
となるように調合する。
ここで、金属酸マグネシウムにアルミン酸マグネシウムを用いる場合には、上述した粒径の酸化マグネシウムおよび酸化アルミニウムの各粉末の比率をそれぞれ75質量%以上97.5質量%以下,2.5質量%以上25質量%以下とすればよい。
また、金属酸マグネシウムにチタン酸マグネシウムを用いる場合には、上述した粒径の酸化マグネシウムおよび酸化チタンの各粉末をそれぞれ78質量%以上97.5質量%以下,2.5質量%以上22質量%以下とすればよい。
また、金属酸マグネシウムにタンタル酸マグネシウムを用いる場合には、上述した粒径の酸化マグネシウムおよび酸化タンタルの各粉末をそれぞれ80.5質量%以上98質量%以下,2質量%以上19.5質量%以下とすればよい。
また、金属酸マグネシウムにタングステン酸マグネシウムを用いる場合には、上述した粒径の酸化マグネシウムおよび酸化タングステンの各粉末をそれぞれ66質量%以上96質量%以下,4質量%以上34質量%以下とすればよい。
また、酸化マグネシウムの結晶がジルコニウムの酸化物を含むセラミック焼結体を得るには、酸化ジルコニウムの粉末を酸化マグネシウム,金属酸マグネシウムの各粉末と併せて調合すればよい。
ここで、ジルコニウムを酸化物換算で2質量%以上12質量%以下含むセラミック焼結体
を得るには、調合する粉末の合計100質量%における、酸化ジルコニウムの粉末の含有量
が例えば、2質量%以上13質量%以下であるようにすればよい。
なお、酸化マグネシウムの結晶が、ジルコニウムの酸化物を含むようにするためには、酸化ジルコニウムの粉体の含有量を5質量%以上とすれば良く、耐熱衝撃温度ΔTを高く維持するためには、酸化ジルコニウムの粉体の含有量を5質量%〜8質量%とすればよい。
そして、調合した粉末に、可塑剤,増粘剤,滑り剤および水等を加えて、万能攪拌機、回転ミルまたはV型攪拌機等を用いて混練物を作製する。そして、この混練物を三本ロールミルや混練機等を用いて混練し、可塑化した坏土を得る。
次に、成形型が装着された押出成形機にこの坏土を投入し、加圧してグリーンシートを得る。このグリーンシートを乾燥した後、切断して成形体を得る。
得られた成形体を、電気炉またはガス炉等の焼成炉に配置する。金属酸マグネシウムがアルミン酸マグネシウムであるセラミック焼結体を得るには、大気雰囲気中、温度を1600℃以上1700℃以下として、5〜15時間保持すればよい。
金属酸マグネシウムがチタン酸マグネシウムであるセラミック焼結体を得るには、大気雰囲気中、温度を1250℃以上1380℃以下として、5〜15時間保持すればよい。
金属酸マグネシウムがタンタル酸マグネシウムであるセラミック焼結体を得るには、大気雰囲気中、温度を1400℃以上1600℃以下として、5〜15時間保持すればよい。
金属酸マグネシウムがタングステン酸マグネシウムであるセラミック焼結体を得るには、大気雰囲気中、温度を975℃以上1050℃以下として、5〜15時間保持すればよい。
また、混練物を作製しない場合には、酸化マグネシウムの粉末と、酸化アルミニウム,酸化チタン,酸化タンタルおよび酸化タングステンの少なくともいずれか1種の粉末と、金属酸マグネシウムの粉末とを調合して、バレルミル,回転ミル,振動ミル,ビーズミルまたはアトライター等を用いて、2−プロパノールとともに湿式混合し、粉砕してスラリーとする。
そして、スラリーの粘度を下げるには分散剤を添加することが好ましく、パラフィンワックスやポリビニルアルコール(PVA),ポリエチレングリコール(PEG)等の有機バインダを、混合した粉末100質量%に対して1質量%以上10質量%以下でスラリーに混
合することが、成形性のために好ましい。
そして、得られたスラリーを噴霧乾燥法を用いて乾燥して顆粒を得る。次に、得られた顆粒を粉末圧延法を用いてシート状に成形してグリーンシートを得る。そして、このグリーンシートを乾燥した後、切断して成形体を得る。あるいは、粉末圧延法に代えて、加圧成形法を用い、上記顆粒を成形型に充填してから、例えば、圧力を60MPa以上100MP
a以下として加圧することによって、基板状の成形体を得る。粉末圧延法または加圧成形法によって成形体を得た後、冷間静水圧加圧法を用いて、さらに緻密質にしてもよい。
次に、得られた成形体を電気炉またはガス炉等の焼成炉に配置する。金属酸マグネシウムがアルミン酸マグネシウム,チタン酸マグネシウム,タンタル酸マグネシウムまたはタングステン酸マグネシウムであるセラミック焼結体を得るには、いずれも大気雰囲気中、温度をそれぞれ1600℃以上1700℃以下,1250℃以上1380℃以下,1400℃以上1600℃以下,
975℃以上1050℃以下として、5〜15時間保持することによって、本実施形態のセラミッ
ク焼結体を得ることができる。
そして、得られたセラミック焼結体を研磨紙または研磨布等で整形することによって、本実施形態の熱処理用部材を得ることができる。
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
まず、セラミック焼結体を断面視した観察領域において、結晶粒径が0.3mm以下であ
る酸化マグネシウムおよび結晶粒径が0.5mm以上である金属酸マグネシウムのそれぞれ
の結晶の面積比率が表1に示す値となるように、酸化マグネシウムおよび酸化物の各粉末を表1に示す比率で、また、平均粒径が3μmである表1に示す金属酸マグネシウムの各粉末を、酸化マグネシウムおよび酸化物の各粉末の合計100質量部に対して3質量部とし
て調合した。
そして、調合した粉末に、可塑剤,増粘剤,滑り剤,分散剤,有機バインダおよび水を加えて、万能攪拌機を用いて混練物を作製した。そして、この混練物を三本ロールミルを用いて混練し、可塑化した坏土を得た。
次に、成形型が装着された押出成形機に坏土を投入し、加圧して、厚さが0.65mmであるグリーンシートを得た。このグリーンシートを乾燥した後、切断して、1辺が330mm
である正方形状の基板状の成形体を得た。
そして、電気炉に成形体を配置した後、大気雰囲気中、温度を表1に示す焼成温度で10時間保持することによってセラミック焼結体である試料No.1〜36を得た。
ここで、セラミック焼結体に含まれる酸化マグネシウムおよび金属酸マグネシウムは、X線回折法を用いて同定した。
また、セラミック焼結体の酸化マグネシウムの含有量は、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析法によってマグネシウムの含有量を求め、酸化マグネシウムに換算し、金属酸マグネシウムを構成する酸化マグネシウムを差し引いた値を酸化マグネシウムの含有量とした。セラミック焼結体を構成する金属酸マグネシウムの含有量は、蛍光X線分析法によって金属酸マグネシウムを構成する、マグネシウムを除く金属の含有量を求め、この金属の酸化物に換算することにより、酸化物の含有量を算出した。この酸化物の含有量に対して、酸化物および酸化マグネシウムがモル比で1:1で化合しているものとみなして、金属酸マグネシウムを構成する酸化マグネシウムの含有量を算出した。
そして、セラミック焼結体の一部を断面が観察面となるようにポリエステル系樹脂に埋め込んで円柱状の試料を作製し、この試料の断面を、研磨機(エコメット3,ビューラー社(製))を使って、研磨して観察面を得た。そして、走査型電子顕微鏡を用い、倍率を20倍としてセラミック焼結体の観察面を撮影した反射電子組成像と、X線マイクロアナライザーを用いて電子ビームを観察面に照射し、観察面から発生する特性X線を検出することによって解析される元素の存在比率を表した画像とを照合することによって、観察面を構成する結晶の成分を特定した。ここで、観察面の範囲は、例えば、縦および横のサイズがそれぞれ2.75mm,3.5mmとした。そして、酸化マグネシウムおよび金属酸マグネシ
ウムの各結晶の結晶粒径は、画像解析ソフト「IMAGE−PRO PLUS」(登録商
標、MEDIA CYBERNETICS社製)を用いて、それぞれ円相当径で算出した
値を結晶粒径とし、結晶粒径が0.3mm以下である酸化マグネシウムの結晶および結晶粒
径が0.5mm以上である金属酸マグネシウムの結晶のそれぞれの面積比率を算出し、その
値を表1に示した。
アルカリ成分に対するセラミック焼結体の耐食性については、以下に示す方法で評価した。
まず、リチウムイオン2次電池の正極材を構成する成分の1種であるマンガン酸リチウムを焼成するための成分である水酸化リチウムおよび二酸化マンガンの各粉末をLi/Mnモル比が0.55となるように混合した粉末20gをそれぞれ上記セラミック焼結体の主面に載置して、焼成炉内で最高温度と保持時間とをそれぞれ、900℃,5時間とし、その後常
温まで冷却するという昇温冷却プロセスを1サイクルとして、セラミック焼結体の主面に剥がれが観察されるまでこのサイクルを繰り返した。
また、焼成されたマンガン酸リチウムは、1サイクル終了する毎にセラミック焼結体から取り外した。
そして、1サイクル終了する毎に光学顕微鏡を用い、倍率を50倍として、セラミック焼結体の主面を観察し、剥がれがその主面に初めて観察されたサイクル数を表1に示した。なお、この主面に剥がれが観察されるということは、主面がマンガン酸リチウムに浸食されたということを意味する。
次に、セラミック焼結体の耐熱衝撃性については、以下に示す方法で評価した。
セラミック焼結体を焼成炉内で最高温度と保持時間とをそれぞれ、1000℃,5時間とし、420℃まで焼成炉内で冷却し、その後、焼成炉外で空冷するという昇温冷却プロセスを
1サイクルとして、このサイクルを30サイクル繰り返した。
そして、30サイクル終了した後に光学顕微鏡を用い、倍率を50倍として、セラミック焼結体の主面を観察し、亀裂がその主面に観察された試料には不可を、観察されなかった試料には可を表1で示した。
Figure 2014024740
表1に示す結果から分かるように、試料No.1,9,10,18,19,27,28,36に比べ試料No.2〜8,11〜17,20〜26,29〜35は、酸化マグネシウムを50質量%を超え93質量%以下と、金属酸マグネシウムを7質量%以上50質量%未満とを含有するセラミック焼結体からなり、セラミック焼結体を断面視した観察領域において、結晶粒径が0.3mm以
下である酸化マグネシウムの結晶の面積比率が55面積%以上であるととともに、結晶粒径が0.5mm以上である金属酸マグネシウムの結晶の面積比率が4面積%以上であることか
ら、酸化マグネシウムの微細な結晶が多く存在することで耐食性が高くなるとともに、金属酸マグネシウムの大きな結晶の間に結晶粒径の小さい酸化マグネシウムが配置されやすくなることから、線膨張係数の上昇が抑制されるため、耐熱衝撃性が高くなり、耐食性と耐熱衝撃性とを兼ね備えているといえる。
まず、セラミック焼結体を断面視した観察領域において、結晶粒径が0.3mm以下であ
る酸化マグネシウムおよび結晶粒径が0.5mm以上である金属酸マグネシウムのそれぞれ
の結晶の面積比率およびセラミック焼結体における含有量が表2に示す値となるように、酸化マグネシウム,酸化物を表2に示す比率で、また、平均粒径が3μmである表2に示す金属酸マグネシウムの各粉末を、酸化マグネシウムおよび酸化物の各粉末の合計100質
量部に対して3質量部とし、また、酸化ジルコニウムの粉末を、酸化マグネシウムおよび酸化物の各粉末の合計100質量部に対し表2に示す量で調合した。そして、実施例1に示
した方法と同じ方法で成形体を得た。
続いて、電気炉に成形体を配置した後、大気雰囲気中、温度を表2に示す焼成温度で10時間保持することによってセラミック焼結体である試料No.37〜68を得た。
ここで、セラミック焼結体に含まれる酸化マグネシウム,金属酸マグネシウムおよび酸化ジルコニウムは、X線回折法を用いて同定した。
また、セラミック焼結体を構成する酸化マグネシウムおよび金属酸マグネシウムの確認は、実施例1で示した方法と同じ方法を用い、いずれの試料も酸化マグネシウムおよび金属酸マグネシウムがそれぞれ酸化マグネシウム,金属酸マグネシウムであることを確認した。また、酸化マグネシウムの結晶中におけるジルコニウムの酸化物の確認は、エネルギー分散型X線分光器(EDS)を備えた走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて確認した。
また、結晶粒径が0.3mm以下である酸化マグネシウムの結晶および結晶粒径が0.5mm以上である金属酸マグネシウムの結晶のそれぞれの面積比率を算出し、その値を表2に示した。また、酸化ジルコニウムの含有量は、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析法によって求め、その値を表2に示した。
次に、セラミック焼結体の耐熱衝撃性については、以下に示す方法で評価した。セラミック焼結体を焼成炉内で高温で5時間保持した後、焼成炉外で急冷し、セラミック焼結体の主面に初めて亀裂が観察されたときに保持した温度と室温との温度差を耐熱衝撃温度ΔTとして表2に示した。なお、観察方法は実施例1に示した方法と同じ方法を用いた。
Figure 2014024740
表2に示す結果から分かるように、試料No.38〜44,46〜52,54〜60,62〜68は、金属酸マグネシウムの結晶がジルコニウムの酸化物を含むことから、両者の線膨張係数の差によって、金属酸マグネシウムの結晶の粒界に圧縮応力がかかり、粒界のすべりおよび粒内の転移移動が抑制されるため、ジルコニウムの酸化物を含まない試料No.37,45,53,61よりも耐熱衝撃温度ΔTが高くなっており、耐熱衝撃性が高いといえる。
特に、試料No.39〜43,47〜51,55〜59,63〜67は、ジルコニウムを酸化物換算で2質量%以上12質量%以下含むことから、耐熱衝撃温度ΔTがさらに高くなっており、耐熱衝撃性がより高いといえる。
また、ジルコニウムを酸化物換算で2質量%以上12質量%以下含み、酸化マグネシウム結晶中に酸化ジルコニウムが確認された試料No.41〜43,48〜51,57〜59,64〜67は耐熱衝撃温度ΔTが960℃と高く、中でも酸化ジルコニウムの粉体を5〜8質量%含有させ
て製作したセラミック焼結体は耐熱衝撃温度ΔTが990℃以上と高いことから、耐熱衝撃
性がより高いといえる。

Claims (4)

  1. 酸化マグネシウムを50質量%を超え93質量%以下と、金属酸マグネシウムを7質量%以上50質量%未満とを含有するセラミック焼結体からなり、該セラミック焼結体を断面視した観察領域において、結晶粒径が0.3mm以下である酸化マグネシウムの結晶の面積比率が55面積%以上であるととともに、結晶粒径が0.5mm以上である金属酸マグネシウムの結晶の面積比率が4面積%以上であることを特徴とするセラミック焼結体。
  2. ジルコニウムを酸化物換算で2質量%以上12質量%以下含むことを特徴とする請求項1に記載のセラミック焼結体。
  3. 酸化マグネシウムの結晶は、ジルコニウムの酸化物を含むことを特徴とする請求項2に記載のセラミック焼結体。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のセラミック焼結体を用いたことを特徴とする熱処理用部材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104534877A (zh) * 2014-12-18 2015-04-22 本钢板材股份有限公司 用于制作中频感应炉坩埚的组合物
US11329270B2 (en) * 2017-02-21 2022-05-10 Ngk Insulators, Ltd. Lithium complex oxide sintered body plate

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