JP2020097509A - ムライト質焼結体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ムライト組成成分である酸化アルミニウム及び酸化ケイ素以外の成分の含有量が少なく、耐熱衝撃性及び機械的強度に優れたムライト質焼結体及びその製造方法を提供する。【解決手段】イットリウム元素を酸化イットリウム換算で0.01〜0.25質量%含むムライト質焼結体であって、前記焼結体を構成するムライト結晶粒1の平均粒径が1.00〜3.00μmであり、前記ムライト結晶粒1の平均アスペクト比が1.65以下である、ムライト質焼結体。【選択図】図1

Description

本発明は、ムライトを主成分とするムライト質焼結体、及びその製造方法に関する。
ムライトは、酸化アルミニウムと酸化ケイ素との化合物であり、通常、3Al23・2SiO2の組成式で示される。ムライト質焼結体(セラミックス)は、耐熱性や、1300℃程度までの高温での機械的強度等に優れており、アルミナ焼結体よりも熱膨張係数が小さい。また、ムライトは酸化物であるため、耐熱性や高温での機械的強度に優れる窒化ケイ素や炭化ケイ素等の窒化物及び炭化物等よりも、耐酸化性に優れている。
このため、ムライト質焼結体は、耐火材や高温構造材料等に利用されている。
近年、セラミックス材料の用途は多様化しており、前記ムライト質焼結体においても、より高温環境下での用途にも対応すべく、急熱急冷に対する抵抗性、すなわち、耐熱衝撃性にも優れることが求められている。
これに対しては、例えば、特許文献1には、ローラハースキルン用ローラとして、所定の密閉気孔を有するムライト質焼結体からなるローラが、耐熱衝撃抵抗性等に優れ、高温での変形が少ないことが記載されている。
また、特許文献2には、高靭性及び高強度のムライト質焼結体を得るために、無定形ムライト及び結晶質ムライトに、0.25〜1.5重量%の含有量で酸化イットリウムゾルを添加して、アスペクト比が3以上の柱状結晶のムライト粒子を所定量含有させることが記載されている。
特開2002−316869号公報 特開平3−16958号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載されているムライト質焼結体は、相対密度が高々95%であり、近年求められている程度までの耐熱衝撃性を有しているとは言えないものであった。
また、上記特許文献2に記載されているムライト質焼結体は、ムライト組成以外の不純物である酸化イットリウムの含有量が多く、かつ、アスペクト比が非常に大きい柱状結晶粒も多く含んでいることから、気孔を含みやすく、十分に緻密化されておらず、該焼結体も十分な耐熱衝撃性を有しているとは言えなかった。
このため、ムライト質焼結体において、優れた機械的強度のみならず、ムライト構成成分である酸化アルミニウム及び酸化ケイ素以外の成分の含有量が従来よりも少なく、かつ、優れた耐熱衝撃性を備えているものが望まれる。
本発明は、このような技術的課題を解決するためになされたものであり、ムライト組成成分である酸化アルミニウム及び酸化ケイ素以外の成分の含有量が少なく、耐熱衝撃性及び機械的強度に優れたムライト質焼結体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、所定の微量のイットリウム化合物を含有していることにより、ムライト質焼結体の耐熱衝撃性が向上することを見出したことに基づくものである。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[14]を提供するものである。
[1]イットリウム元素を酸化イットリウム換算で0.01〜0.25質量%含むムライト質焼結体であって、前記焼結体を構成するムライト結晶粒の平均粒径が1.00〜3.00μmであり、前記ムライト結晶粒の平均アスペクト比が1.65以下である、ムライト質焼結体。
[2]相対密度が98.5%以上である、上記[1]に記載のムライト質焼結体。
[3]前記ムライト結晶粒の粒径の標準偏差が1.00μm未満である、上記[1]又は[2]に記載のムライト質焼結体。
[4]前記ムライト結晶粒のアスペクト比の標準偏差が0.70未満である、上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載のムライト質焼結体。
[5]前記ムライト結晶粒の平均長径が1.50〜4.00μmである、上記[1]〜[4]のいずれか1項に記載のムライト質焼結体。
[6]前記ムライト結晶粒の平均短径が1.00〜2.00μmである、上記[1]〜[5]のいずれか1項に記載のムライト質焼結体。
[7]前記ムライト結晶粒のうち、球状結晶粒数に対する柱状結晶粒数の比率が1.00以下である、上記[1]〜[6]のいずれか1項に記載のムライト質焼結体。
[8]ムライトの含有量が99.00〜99.99質量%である、上記[1]〜[7]のいずれか1項に記載のムライト質焼結体。
[9]前記イットリウム元素が、前記ムライト結晶粒の表面の少なくとも一部に、該表面に沿って層状に分布している、上記[1]〜[8]のいずれか1項に記載のムライト質焼結体。
[10]JIS R 1648:2002に規定されている相対法による熱衝撃試験方法に準じて測定された耐熱衝撃温度差が300℃以上である、上記[1]〜[9]のいずれか1項に記載のムライト質焼結体。
[11]前記耐熱衝撃温度差が320℃以上である、上記[10]に記載のムライト質焼結体。
[12]上記[1]〜[11]のいずれか1項に記載のムライト質焼結体を製造する方法であって、ムライト原料粉及びイットリウム化合物を含む混合原料を調製する混合工程と、前記混合原料を成形して成形体を作製する成形工程と、前記成形体を1500〜1800℃で焼成して、前記ムライト質焼結体を得る焼成工程とを含み、前記イットリウム化合物の添加量を、前記ムライト質焼結体中に含まれるイットリウム元素の含有量が酸化イットリウム換算で0.01〜0.25質量%となる量とする、ムライト質焼結体の製造方法。
[13]前記混合工程において、前記混合原料を湿式混合により調製する、上記[12]に記載のムライト質焼結体の製造方法。
[14]前記焼成工程で得られたムライト質焼結体を、1300〜1600℃で加熱処理する工程を含む、上記[12]又は[13]に記載のムライト質焼結体の製造方法。
本発明によれば、ムライト組成成分である酸化アルミニウム及び酸化ケイ素以外の成分の含有量が少なく、耐熱衝撃性及び機械的強度に優れたムライト質焼結体を提供することができる。
また、本発明の製造方法によれば、耐熱衝撃性及び機械的強度に優れたムライト質焼結体を好適に得ることができる。
本発明のムライト質焼結体の微細構造の概略断面図である。 実施例2のムライト質焼結体の断面の走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」と略称する。)観察像(倍率2500倍)である。 比較例4のムライト質焼結体の断面のSEM観察像(倍率2500倍)である。 実施例9のムライト質焼結体の断面のSEM観察像(倍率2500倍)である。 比較例6のムライト質焼結体の断面のSEM観察像(倍率2500倍)である。
以下、本発明のムライト質焼結体及びその製造方法を詳細に説明する。
[ムライト質焼結体]
本発明のムライト質焼結体は、イットリウム元素を酸化イットリウム換算で0.01〜0.25質量%含むものである。そして、前記焼結体を構成するムライト結晶粒の平均粒径が1.00〜3.00μmであり、該ムライト結晶粒の平均アスペクト比が1.65以下であることを特徴としている。
このように、所定量のイットリウム元素を含み、ムライト結晶粒が所定の平均粒径及び所定のアスペクト比を有するムライト質焼結体は、耐熱衝撃性及び機械的強度に優れている。
したがって、本発明のムライト質焼結体は、例えば、焼成用のセッター、炉材、耐火材、構造部材、電子デバイスの支持基板、セラミックパッケージ等に好適であり、また、その他の耐熱性及び機械的強度が求められる種々のセラミックス部材として好適に用いることができる。
本発明で言うムライト質焼結体とは、焼結体中に最も多く含まれる成分がムライトであり、ムライトが主成分である焼結体であることを意味する。
ムライトとは、酸化アルミニウムと酸化ケイ素との化合物であり、ケイ素原子に対するアルミニウム原子の組成比(Al/Si)は3〜4の間をとり得る。通常、3Al23・2SiO2の組成式で表され、Al/Siは3であり、本発明においても、これをムライトと称して説明するが、必ずしも3でなくてもよく、それ以外の組成比のものを排除する訳ではない。
前記ムライト質焼結体中には、ムライトの他には、前記イットリウム元素以外の不純物元素は含まれていないことが好ましい。ただし、前記ムライト質焼結体の製造に用いられるムライト原料に不可避的に含まれる不純物に由来する不純物元素はこの限りでない。
前記ムライト質焼結体中のムライトの含有量は、99.00〜99.99質量%であることが好ましく、より好ましくは99.20〜99.98質量%、さらに好ましくは99.50〜99.98質量%である。
このようなムライトの純度が高いムライト質焼結体であることにより、優れた耐熱衝撃性及び機械的強度が得られやすい。また、加熱環境下での使用の際に、該ムライト質焼結体との接触物に対して、不純物に起因する汚染を抑制する観点からも、高純度であることが好ましい。
前記ムライト質焼結体には、イットリウム元素が含まれる。イットリウム元素は、通常、酸化物である酸化イットリウム(Y23)として含まれる。前記ムライト質焼結体中には、酸化イットリウムを構成していないイットリウム原子も含まれ得るが、このようなイットリウム原子も含めて、前記ムライト質焼結体中のイットリウム元素の含有量は、酸化イットリウム換算で0.01〜0.25質量%であり、好ましくは0.01〜0.15質量%、さらに好ましくは0.02質量%以上0.10質量%未満、より好ましくは0.02〜0.05質量%である。
酸化イットリウム換算での前記イットリウム元素の含有量が0.01質量%以上であることにより、耐熱衝撃性及び機械的強度に優れたムライト質焼結体とすることができる。また、前記含有量が0.25質量%超の場合には、十分な耐熱衝撃性及び機械的強度を有するムライト質焼結体が得られ難い。
前記イットリウム元素は、前記ムライト結晶粒の表面の少なくとも一部に、該表面に沿って層状に分布していることが好ましい。
図1に、前記ムライト質焼結体の微細構造の概略を示す。図1に示すように、前記ムライト質焼結体は、ムライト結晶粒1同士が密な状態で接しており、これらのムライト結晶粒1の間の一部に結晶粒界ガラス相2が存在している。ムライト結晶粒1と結晶粒界ガラス相2との界面A、及びムライト結晶粒1同士の界面Bのいずれにおいても、イットリウム元素が上記のように偏析していることにより、該ムライト質焼結体は粒界強度が向上し、該ムライト質焼結体中のイットリウム元素が、上記のような所定の微量の含有量であっても、耐熱衝撃性及び機械的強度に優れたムライト質焼結体となり得るものと考えられる。
上記のようなムライト結晶粒の表面におけるイットリウム元素の分布状態は、エネルギー分散型X線分光法(EDS)による元素分析で確認することができる。検出された特性X線を2次元画像としてマッピングすることにより、前記ムライト質焼結体は、前記界面A及びBのいずれにおいても、イットリウム元素がムライト結晶粒1の表面に沿って層状に分布していることが分かる。なお、結晶粒界ガラス相2は、主にアモルファスの酸化ケイ素(SiO2)である。
前記ムライト質焼結体は、イットリウム元素が所定の微量の含有量で、上記のような優れた特性を発揮し得るものであり、このような観点から、前記分布における層状の層の厚さは、5nm以下であることが好ましく、より好ましくは1〜4nm、さらに好ましくは1〜3nmである。
(ムライト結晶粒)
本発明のムライト質焼結体を構成するムライト結晶粒は、平均粒径が1.00〜3.00μmであり、好ましくは1.00〜2.19μm、より好ましくは1.00〜2.15μmである。
前記平均粒径が1.00μm以上であれば、十分な耐熱衝撃性及び機械的強度を有するムライト質焼結体とすることができる。また、前記平均粒径が3.00μm以下であることにより、焼結性が良好であり、耐熱衝撃性及び機械的強度に優れたムライト質焼結体とすることができる。
本発明で言う粒径とは、前記ムライト質焼結体を鏡面研磨した後、熱エッチング処理を施した面を、SEM観察し、その観察像における任意の約200個(200個以上)のムライト結晶粒について、画像解析により求めた面積円相当径である。前記平均粒径とは、前記画像解析の対象の約200個のムライト結晶粒の粒径の算術平均値である。具体的には、後述する実施例に記載の方法により求められる。
なお、前記ムライト質焼結体の結晶相が、ムライトであることの同定は、該焼結体をボールミル等で粉砕した粉末についての粉末X線回折(粉末XRD)分析により確認できる。また、焼結体中のイットリウム元素は、結晶粒界ガラス相にアモルファス状態で存在することが、放射光を用いたX線吸収微細構造(XAFS)分析により確認できる。
また、前記ムライト結晶粒は、平均アスペクト比が1.65以下であり、好ましくは1.55以下、より好ましくは1.50以下である。
前記平均アスペクト比が1.65以下であれば、該焼結体の緻密性が良好であり、耐熱衝撃性及び機械的強度に優れたムライト質焼結体とすることができる。
本発明で言うアスペクト比とは、上述した前記ムライト質焼結体のSEM観察像の画像解析において、結晶粒外形を長方形で囲んだときの最小長方形、すなわち、外接長方形の長辺を長径とし、短辺を短径とみなした場合の前記長径の前記短径に対する比(長径/短径)である。ただし、長径と短径が同じ長さである場合も含み、このときのアスペクト比は1となる。前記平均アスペクト比とは、前記画像解析の対象の約200個のムライト結晶粒のアスペクト比の算術平均値である。
前記ムライト結晶粒の粒径及びアスペクト比は、標準偏差が小さいことが好ましい。すなわち、良好な耐熱衝撃性及び機械的強度を得る観点から、前記ムライト結晶粒の大きさ及び形状は、ばらつきが小さいことが好ましい。
前記粒径の標準偏差は、1.00μm未満であることが好ましく、より好ましくは0.90μm未満、さらに好ましくは0.85μm未満である。また、前記アスペクト比の標準偏差は、0.70未満であることが好ましく、より好ましくは0.50未満、さらに好ましくは0.45未満である。
前記ムライト結晶粒は、該ムライト質焼結体の良好な緻密性の観点から、長い柱状結晶粒が少ないことが好ましい。このため、前記ムライト結晶粒の平均長径は、1.50〜4.00μmであることが好ましく、より好ましくは1.70〜3.00μm、さらに好ましくは2.00〜2.70μmである。また、前記ムライト結晶粒の平均短径は、1.00〜2.00μmであることが好ましく、より好ましくは1.20〜1.85μm、さらに好ましくは1.50〜1.80μmである。
前記平均長径は、上述したアスペクト比を求める際の画像解析の対象の約200個のムライト結晶粒の長径の算術平均値である。同様に、前記平均短径は、上述したアスペクト比を求める際の画像解析の対象の約200個のムライト結晶粒の短径の算術平均値である。
さらに、前記ムライト結晶粒は、緻密性の高いムライト質焼結体を得る観点から、柱状結晶粒が少ないことが好ましい。このため、球状結晶粒数に対する柱状結晶粒数の比率(柱状結晶粒数/球状結晶粒数;以下、柱状/球状比率とも言う。)が1.00以下であることが好ましく、より好ましくは0.80以下、さらに好ましくは0.70以下である。
なお、本発明で言う柱状結晶粒とは、前記アスペクト比が1.5以上のムライト結晶粒を指すものとし、また、球状結晶粒とは、前記アスペクト比が1.5未満のムライト結晶粒を指すものとする。
(相対密度)
前記ムライト質焼結体の相対密度は、98.5%以上であることが好ましく、より好ましくは99.0%以上、さらに好ましくは99.2%以上である。前記相対密度は、真密度に対する見掛密度の割合であり、100%に近いほど、該ムライト質焼結体の緻密性が高く、良好な耐熱衝撃性及び機械的強度を得る観点から好ましい。
本明細書における真密度とは、前記ムライト質焼結体を粉砕した粉末試料について、ガス置換法で測定される値である。また、本明細書における見掛密度とは、JIS R 1634:1988に規定されている方法に従って求められる値である。具体的には、後述する実施例に記載の方法により求められる。
(耐熱衝撃性)
前記ムライト質焼結体は、耐熱衝撃性に優れているものであり、具体的には、JIS R 1648:2002に規定されている相対法による熱衝撃試験方法に準じて測定された耐熱衝撃温度差が、300℃以上であることが好ましく、より好ましくは310℃以上、さらに好ましくは320℃以上である。
上記のような耐熱衝撃温度差を有していることにより、該ムライト質焼結体は、耐熱性セラミックス部材として好適に用いることができる。
前記耐熱衝撃温度差は、具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
(機械的強度)
前記ムライト質焼結体は、機械的強度に優れているものであるが、具体的には、室温(25℃)での4点曲げ強さにより、これを示すことができる。すなわち、本発明においては、前記4点曲げ強さを、該ムライト質焼結体の機械的強度を表すための一指標として用いる。
前記4点曲げ強さは、数値が大きいほど好ましく、十分な機械的強度を有していると言えるためには、200MPa以上であることが好ましく、より好ましくは210MPa以上、さらに好ましくは215MPa以上、よりさらに好ましくは300MPa以上である。
前記4点曲げ強さは、JIS R 1601:2008に規定されている試験方法に従って測定された値である。具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
[ムライト質焼結体の製造方法]
前記ムライト質焼結体を製造する方法としては、例えば、本発明に係る製造方法により製造することが好ましい。具体的には、ムライト原料粉及びイットリウム化合物を含む混合原料を調製する混合工程と、前記混合原料を成形して成形体を作製する成形工程と、前記成形体を1500〜1800℃で焼成して、前記ムライト質焼結体を得る焼成工程とを含む製造方法である。そして、前記イットリウム化合物の添加量を、前記ムライト質焼結体中に含まれるイットリウム元素の含有量が酸化イットリウム換算で0.01〜0.25質量%となる量とする。
このような工程を経ることにより、前記ムライト質焼結体を好適に得ることができる。
以下、上記製造方法の各工程を順次説明する。
(混合工程)
混合工程では、まず、ムライト原料粉及びイットリウム化合物を含む混合原料を調製する。
前記ムライト原料粉は、ムライト粉末であってもよく、また、アルミナ(酸化アルミニウム)粉末及びシリカ(酸化ケイ素)粉末との混合粉であってもよい。また、前記混合粉を予め、大気下で1000〜1500℃程度で仮焼成して得られたムライト仮焼成粉末を用いることもできる。
前記ムライト原料粉としてムライト粉末を用いる場合は、前記ムライト結晶粒を有するムライト質焼結体を得られやすいようにする観点から、該ムライト粉末の体積分布50%累積値での粒径(以下、D50粒径と言う。)は、0.01〜2.50μmであることが好ましく、より好ましくは0.01〜2.00μm、さらに好ましくは0.01〜1.00μmである。
また、アルミナ粉末及びシリカ粉末の混合粉を用いる場合は、各粉末のD50粒径は、0.01〜2.50μmであることが好ましく、より好ましくは0.01〜1.00μm、さらに好ましくは0.01〜0.50μmである。この場合、アルミナ粉末とシリカ粉末との混合比が、ムライトの組成式3Al23・2SiO2における理論モル組成比Al23/SiO2=3/2となるようにすることが好ましい。
なお、前記粒径D50は、レーザー回折散乱法によって測定することができる。
また、上述したように、前記ムライト質焼結体中には、前記イットリウム元素及び前記ムライト原料粉の製造において不可避的に含まれる不純物に由来する不純物元素以外の不純物元素が含まれていないことが好ましい。このため、前記ムライト原料粉には、高純度のものを用いることが好ましい。具体的には、前記ムライト原料粉の各純度は、99.00質量%以上、より好ましくは99.20質量%以上、さらに好ましくは99.50質量%以上である。
前記イットリウム化合物としては、酸化イットリウム、又は、焼成工程で酸化イットリウムを生成し、かつ、前記ムライト質焼結体中に他の残留不純物元素を生じさせないような化合物であることが好ましい。このような化合物としては、例えば、炭酸イットリウム、硝酸イットリウム、硫酸イットリウム、シュウ酸イットリウム、酢酸イットリウム、及びこれらの水和物、また、ステアリン酸イットリウム、イットリウムイソプロポキシド、2−エチルヘキサン酸イットリウム、イットリウムアセチルアセトナト等のイットリウム有機化合物が挙げられる。これらのうち、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。前記化合物中のイットリウム元素以外の構成元素は、後の焼成工程において、例えば、二酸化炭素や水蒸気、その他のガス成分等として揮散することから、前記ムライト質焼結体中の不純物元素とはみなされないものとする。
前記イットリウム化合物の添加量は、製造されるムライト質焼結体中に含まれるイットリウム元素の含有量が酸化イットリウム換算で0.01〜0.25質量%となる量であり、好ましくは0.01〜0.15質量%、より好ましくは0.02質量%以上0.10質量%未満、さらに好ましくは0.02〜0.05質量%である。
前記イットリウム化合物を上記所定範囲内の量で添加することにより、ムライト結晶粒の粒径及びアスペクト比のばらつきを抑制することができ、熱衝撃を受けた際に破壊起点となり得る粗大粒子が生じ難くなるため、該ムライト質焼結体に十分な耐熱衝撃性を付与することができる。また、前記イットリウム化合物が過剰に添加されると、ムライトの柱状結晶粒が成長しやすくなるが、上記所定範囲内の微量の添加であれば、該柱状結晶粒の成長が抑制され、該ムライト質焼結体中の気孔の増加に伴う密度の低下を抑制することができ、優れた機械的強度を付与することもできる。
特に、後述するようなアニール処理を施したムライト質焼結体においては、上記のような微量のイットリウム化合物の添加によって、耐熱衝撃性及び機械強度特性がより一層向上した焼結体を得ることができる。
前記混合原料中には、各配合成分の分散性の向上を目的とした分散剤や、後の成形工程での成形性の向上を目的とした成形助剤等の添加成分を、前記ムライト質焼結体における本発明の効果を妨げない範囲内で添加してもよい。前記添加成分は、前記ムライト質焼結体中における残留不純物元素を生じさせないものが用いられる。
前記分散剤としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸アンモニウムオリゴマー、カルボキシメチルセルロースアンモニウム、ポリカルボン酸アンモニウム、モノエチルアミン等が挙げられる。また、ワックスエマルジョン、脂肪酸、アニオン系界面活性剤、合成界面活性剤等も前記分散剤として使用することができる。
前記成形助剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、澱粉、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリビニルブチラール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、グリセリン、ポリエチレングリコール、ジブチルフタレート、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂等が挙げられる。
前記混合原料を調製する混合手段としては、例えば、容器回転式、機械撹拌式、流動撹拌式、高速せん断・衝撃式等の公知の混合方式を用いることができる。
前記混合原料は、前記ムライト原料粉及び前記イットリウム化合物のみを乾式で混合してもよいが、より均一な混合性等の観点から、液体の分散媒を用いた湿式混合により調製することが好ましい。
前記湿式混合の場合、前記混合原料の凝集を抑制しながら混合することが好ましい。例えば、容器回転式の場合、ボールミル等により湿式での粉砕及び混合を同時に行うことにより、前記混合原料を調製することが好ましい。
前記分散媒としては、前記ムライト原料粉及び前記イットリウム化合物が均一に混合された混合原料を得ることができ、揮発しやすく、製造するムライト質焼結体中に残留し難いものが好ましく、例えば、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、ギ酸、酢酸、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アセトン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、トルエン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ベンゼン、ヘキサン等が挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、入手及び取り扱い容易性、並びにコスト等の観点から、水が好適に用いられる。
前記湿式混合の際の分散媒の使用量は、前記ムライト原料粉、前記イットリウム化合物及びその他の成分の配合量に応じて、均一混合性等を考慮して、適宜調整することができるが、後の工程での除去効率の観点からは、必要以上に多くしないことが好ましい。
前記分散媒の使用量は、該分散媒の種類にもよるが、例えば、水を用いる場合、前記ムライト原料粉及び前記イットリウム化合物の合計100質量部に対して、40〜200質量部であることが好ましく、より好ましくは40〜150質量部、さらに好ましくは40〜100質量部である。
(成形工程)
成形工程においては、前記混合工程で調製した混合原料を成形して成形体を作製する。
前記混合原料が湿式混合で調製されたものである場合、シート成形法(ドクターブレード法)により、シート状成形体を得ることができる。
また、前記混合原料を乾燥粉とした後、成形してもよい。前記混合原料から前記乾燥粉を得る方法としては、例えば、噴霧乾燥や、該混合原料を恒温乾燥器等で乾燥させて得られた乾固物をボールミル等で解砕する方法等が挙げられる。前記湿式混合における分散媒が、例えば、水である場合には、乾燥温度は80〜300℃であることが好ましい。
成形に用いられる前記乾燥粉の粒径は、特に限定されるものではないが、取り扱い性や成形加工性等の観点から、一般的には、粒径0.1〜50μmの範囲内に、篩等で分級されたものが好ましい。
乾式混合で調製された粉末状の前記混合原料、あるいはまた、前記乾燥粉を用いて成形体を得るための成形方法としては、例えば、金型による一軸加圧成形、冷間静水圧加圧(CIP)成形、押出し成形等の公知の成形方法を用いることができる。これらのうちの2種以上の成形方法を組み合わせてもよく、例えば、一軸加圧成形にて予備成形を行った後、CIP処理を施して成形体を作製してもよい。
前記成形体は、製造するムライト質焼結体の使用用途や目的等に応じて、適宜、所望の形状や大きさ等に加工してもよい。
(焼成工程)
焼成工程においては、前記成形工程で作製した成形体を1500〜1800℃で焼成して、前記ムライト質焼結体を得る。
前記ムライト質焼結体を得るための焼成方法としては、例えば、常圧焼成法、ホットプレス法、ガス加圧焼成法、マイクロ波加熱焼成法、放電プラズマ焼結法等の公知の焼成(焼結)方法を用いることができる。これらのうち、常圧焼成法は、コストや形態の制約等の点で有利な焼成方法である。本発明では、前記混合原料を用いることにより、大気下での常圧焼成法によって、耐熱衝撃性及び機械的強度に優れたムライト質焼結体を簡便に得ることができる。
前記常圧焼成法においては、例えば、大気下、電気炉内で、1400〜1800℃で0.5〜5時間、前記成形体を焼成することにより、前記ムライト質焼結体を得ることができる。
前記焼結体は、その使用用途や目的等に応じて、適宜、所望の形状や大きさ等に加工してもよい。
上記のようにして得られたムライト質焼結体は、さらに、1300〜1600℃で加熱処理を施してもよい。
このような、前記焼成工程後の再加熱処理は、いわゆるアニール処理である。このような加熱処理工程を経ることによって、前記焼結体中のイットリウム元素が含まれる粒界ガラス相における歪が緩和され、耐熱衝撃性及び機械的強度が向上する。このため、前記焼成工程後に、上記のような加熱処理工程を経ることが好ましい。
前記加熱処理工程は、例えば、大気下、電気炉内で、1300〜1600℃の範囲内の該ムライト質焼結体の焼成温度よりも低い温度で、0.5〜5時間、該焼結体を加熱することにより行うことができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[ムライト質焼結体の製造]
下記実施例及び比較例で用いた各種配合原料成分の詳細は以下のとおりである。
・アルミナ粉末:アルミナ純度99.99質量%、粒径D50:0.3μm
・シリカ粉末:シリカ純度99.99質量%、粒径D50:0.3μm
・イットリウム化合物(1):酢酸イットリウム四水和物(純度99.9質量%)
・イットリウム化合物(2):酸化イットリウム(信越化学工業株式会社製「RUP」、純度99.9質量%以上、粒度D50:1.1μm)
(実施例1)
ボールミルに、ムライト原料粉として、アルミナ粉末71.76質量部、及びシリカ粉末28.18質量部を投入した(ムライトの組成式3Al23・2SiO2における理論モル組成比Al23/SiO2=3/2に相当)。さらに、イットリウム化合物として酢酸イットリウム四水和物0.06質量部、及び水64質量部を添加し、アルミナボール(直径5mm)を用いて湿式混合し、混合原料を得た。
なお、前記イットリウム化合物の添加量は、製造するムライト質焼結体の構成成分が、酸化アルミニウム、酸化ケイ素及び酸化イットリウムのみであるとみなして、これらの構成成分の合計100質量%中の酸化イットリウム含有量が0.02質量%となる量とした。すなわち、この0.02質量%とは、ムライト質焼結体100質量%中のイットリウム元素(Y)含有量を酸化イットリウム換算で表した量を意味する。
次いで、前記混合原料をスプレードライヤー(噴霧乾燥装置)にて乾燥し、篩で分級して粒径10〜50μmの乾燥粉を得た。前記乾燥粉を一軸加圧成形にて予備成形した後、CIP処理にて直径50mm、厚さ7mmの円盤状の成形体を作製した。
前記成形体を、電気炉内で、大気下、1700℃で3時間焼成し、ムライト質焼結体を得た。
(実施例2〜5及び比較例1〜4)
実施例1において、製造するムライト質焼結体100質量%中のイットリウム元素(Y)が下記表1に示す含有量となるように、前記イットリウム化合物を添加し、それ以外は実施例1と同様にして、各ムライト質焼結体を製造した。
(実施例6〜7)
実施例1において、イットリウム化合物として酸化イットリウムを用いて、製造するムライト質焼結体100質量%中のイットリウム元素(Y)が下記表1に示す含有量となるように、前記イットリウム化合物を添加し、それ以外は実施例1と同様にして、各ムライト質焼結体を製造した。
(実施例8〜14、比較例5及び6)
実施例1〜7、比較例2及び6で得られた各ムライト質焼結体を、電気炉内で、大気下、1500℃で約3時間、再加熱処理した。
[ムライト質焼結体の評価測定]
上記実施例及び比較例で得られた各ムライト質焼結体について、下記の各項目についての評価測定を行った。これらの評価測定結果を、下記表1にまとめて示す。
(相対密度)
JIS R 1634:1988に規定されている方法に従って見掛密度を求めた。
また、ムライト質焼結体を、ボールミルにてアルミナボール(直径5mm)を用いて粉砕し、得られた粉末について、ガス置換法(使用ガス:ヘリウム)にて真密度を求めた。
相対密度は、真密度に対する見掛密度の割合を算出して求めた。
(X線分析)
前記真密度の測定に用いたものと同じ粉末を試料として、X線回折測定装置(「X’Pert PRO」、パナリティカル社製、ターゲット:銅、Cu−Kα1線)にて、回折角2θが10〜80°の測定範囲で粉末XRD分析を行った。得られた測定スペクトルピークとリファレンスコードとの比較から、結晶相はムライト(3Al23・2SiO2)のみであることが確認された。
なお、XAFS分析により、ムライト質焼結体中のイットリウム元素が、結晶粒界ガラス相にアモルファス状態で存在することが確認された。
(ムライト結晶粒のSEM観察)
得られたムライト質焼結体を、ダイヤモンド砥石を用いて切断し、その断面をダイヤモンドスラリー(D50粒径3μm及び1μm)にて鏡面研磨し、さらに、電気炉内で、1575℃で10分間加熱して、熱エッチング処理した。前記熱エッチング処理を施したムライト質焼結体の試料表面を、SEM(「JSM−6510V」、日本電子株式会社製)にて観察した。
図2〜5に、代表例として、実施例2、比較例4、実施例9及び比較例6のSEM観察像(倍率2500倍)を示す。
各試料のSEM観察像における任意の約200個(200個以上)のムライト結晶粒について、画像解析ソフト「Mac−View ver.4」(株式会社マウンテック製)にて、粒径、長径、短径、及びアスペクト比を測定した。
前記画像解析においては、結晶粒の面積円相当径を粒径とみなした。また、結晶粒外形を長方形で囲んだときの最小長方形、すなわち、外接長方形の長辺を長径とし、短辺を短径とみなした(長径と短径が同じ長さである場合も含む)。そして、前記長径の前記短径に対する比(長径/短径)をアスペクト比とした。
これらの測定値から、平均粒径、粒径の標準偏差、平均アスペクト比、アスペクト比の標準偏差、平均長径、平均短径、及び球状結晶粒数に対する柱状結晶粒数の比率(柱状/球状比率)を求めた。なお、前記柱状/球状比率は、前記アスペクト比が1.5以上の結晶粒を柱状結晶粒とし、1.5未満の結晶粒を球状結晶粒とみなして、柱状結晶粒数を球状結晶粒数で割ることにより算出した。
(EDS元素マッピング)
代表例として実施例2で得られたムライト質焼結体について、原子分解能分析電子顕微鏡(「JEM−ARM200F」、日本電子株式会社製、加速電圧200kV、STEM(走査透過)モード)、及びEDS検出器としてDual SDD(シリコンドリフト検出器「JED−2300T」、日本電子株式会社製、検出面積100mm2)を用いて、ムライト結晶粒1と結晶粒界ガラス相2との界面A、及びムライト結晶粒1同士の界面Bについて、EDSによる元素マッピングを行い、イットリウム元素の分布状態を調べた(図1参照)。
なお、アルミニウム元素及びケイ素元素についてもEDS元素マッピングを行ったところ、結晶粒界ガラス相2には、ケイ素元素の分布が確認されたが、アルミニウム元素の分布は確認されなかった。
(耐熱衝撃性)
JIS R 1648:2002に規定されている相対法による熱衝撃試験方法に従って、耐熱衝撃温度差を測定した。得られたムライト質焼結体からJIS R 1601:2008に規定されている標準試験片Iに相当する試験片(40mm×4.0mm×3.0mm)を切り出し、箱型電気炉にて試験温度に加熱した後、水中に自由落下させることにより熱衝撃を与えた。この試験片について、JIS R 1601:2008に準じた4点曲げ試験方法に従って、熱衝撃試験後の残存曲げ強さを測定した。その他の測定条件及び手順は、JIS R 1648:2002に記載の方法に従って、耐熱衝撃温度差を求めた。
耐熱衝撃温度差が大きいほど、耐熱衝撃性に優れていることを示している。本評価においては、前記耐熱衝撃温度差が300℃以上であれば、耐熱衝撃性に優れていると言える。さらに、320℃以上であれば、より耐熱衝撃性に優れていると言えるため好ましい。
(4点曲げ強さ)
ムライト質焼結体の機械的強度を表すための一指標として、ムライト質焼結体の4点曲げ強さを測定した。前記4点曲げ強さの測定は、JIS R 1601:2008に規定されている4点曲げ強さ試験方法に従って、得られたムライト質焼結体から切り出した標準試料片I(40mm×4.0mm×3.0mm)を用いて、室温(25℃)にて行った。
前記4点曲げ強さは、本評価において200MPa以上であれば、機械的強度に優れていると言える。さらに、210MPa以上であれば、より機械的強度に優れていると言えるため好ましい。よりさらに好ましくは300MPa以上である。
表1に示した評価結果から分かるように、イットリウム元素を所定量含み、ムライト結晶粒が所定の平均粒径及び所定のアスペクト比を有するムライト質焼結体(実施例1〜14)は、耐熱衝撃性及び機械的強度に優れていることが認められた。
特に、イットリウム元素が酸化イットリウム換算で0.02〜0.05質量%であり、加熱処理工程を経た(再加熱処理した)ムライト質焼結体(実施例8〜14)は、より優れた耐熱衝撃性及び機械的強度を有しているものであることが認められた。
また、図2〜5のSEM観察像から、相対密度が99.7質量%と大きい実施例2及び9のムライト質焼結体(図2及び4)は、イットリウム元素の含有量が多く、相対密度が99.7質量%以下とより小さい比較例4及び6のムライト質焼結体(図3及び5)に比べて、空隙が少なく、緻密性に優れており、柱状結晶粒の比率が低いことが確認された。
また、実施例2のムライト質焼結体のEMS元素マッピングにおいて、前記界面A及びBともに、イットリウム元素が、ムライト結晶粒1の表面に沿って厚さ約2nmの層状に分布していることが確認された。
1 ムライト結晶粒
2 結晶粒界ガラス相

Claims (14)

  1. イットリウム元素を酸化イットリウム換算で0.01〜0.25質量%含むムライト質焼結体であって、
    前記焼結体を構成するムライト結晶粒の平均粒径が1.00〜3.00μmであり、前記ムライト結晶粒の平均アスペクト比が1.65以下である、ムライト質焼結体。
  2. 相対密度が98.5%以上である、請求項1に記載のムライト質焼結体。
  3. 前記ムライト結晶粒の粒径の標準偏差が1.00μm未満である、請求項1又は2に記載のムライト質焼結体。
  4. 前記ムライト結晶粒のアスペクト比の標準偏差が0.70未満である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のムライト質焼結体。
  5. 前記ムライト結晶粒の平均長径が1.50〜4.00μmである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のムライト質焼結体。
  6. 前記ムライト結晶粒の平均短径が1.00〜2.00μmである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のムライト質焼結体。
  7. 前記ムライト結晶粒のうち、球状結晶粒数に対する柱状結晶粒数の比率が1.00以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のムライト質焼結体。
  8. ムライトの含有量が99.00〜99.99質量%である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のムライト質焼結体。
  9. 前記イットリウム元素が、前記ムライト結晶粒の表面の少なくとも一部に、該表面に沿って層状に分布している、請求項1〜8のいずれか1項に記載のムライト質焼結体。
  10. JIS R 1648:2002に規定されている相対法による熱衝撃試験方法に準じて測定された耐熱衝撃温度差が300℃以上である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のムライト質焼結体。
  11. 前記耐熱衝撃温度差が320℃以上である、請求項10に記載のムライト質焼結体。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載のムライト質焼結体を製造する方法であって、
    ムライト原料粉及びイットリウム化合物を含む混合原料を調製する混合工程と、
    前記混合原料を成形して成形体を作製する成形工程と、
    前記成形体を1500〜1800℃で焼成して、前記ムライト質焼結体を得る焼成工程とを含み、
    前記イットリウム化合物の添加量を、前記ムライト質焼結体中に含まれるイットリウム元素の含有量が酸化イットリウム換算で0.01〜0.25質量%となる量とする、ムライト質焼結体の製造方法。
  13. 前記混合工程において、前記混合原料を湿式混合により調製する、請求項12に記載のムライト質焼結体の製造方法。
  14. 前記焼成工程で得られたムライト質焼結体を、1300〜1600℃で加熱処理する工程を含む、請求項12又は13に記載のムライト質焼結体の製造方法。
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