JP2008273753A - 炭化硼素質焼結体および防護部材 - Google Patents

炭化硼素質焼結体および防護部材 Download PDF

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Abstract

【課題】相対密度が高く、かつ脱粒しにくい炭化硼素質焼結体および防護部材を提供する。
【解決手段】炭化硼素を主成分とし、炭化珪素を含む炭化硼素質焼結体であって、炭化硼素からなる主結晶粒子1の平均粒径が25μm以上、相対密度が97%以上であるとともに、気孔3aを有することを特徴とする。このような炭化硼素質焼結体では、主結晶粒子1の平均粒径が25μm以上で、相対密度が97%以上であるため、高硬度を有するとともに、焼結体中の小粒子の割合が少なくなり、脱粒を抑制でき、これにより、欠けの起点となる脱粒を少なくして、耐チッピング特性を向上できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、炭化硼素質焼結体および防護部材に関し、特に、銃弾や砲弾等の飛翔体の貫通を防止して人体、車両、船舶、航空機を保護するための防護具に用いられる防護部材に関する。
一般に、炭化硼素質焼結体は、軽量で、高い機械的特性を有する材料として知られている。この高い機械的特性を活用し、炭化硼素質焼結体は、例えば、銃弾や砲弾に対する防護部材として使用されている。最近の国際情勢より、防護部材の需要は増加の一途を辿っており、その防護部材も軽量化の要求とともに、高硬度が要求される。
このように、高硬度を有する炭化硼素質焼結体として、例えば、炭化硼素粉末と、炭化珪素粉末とを含有する成形体をホットプレスして焼成し、相対密度がほぼ100%の炭化硼素質焼結体が得られている。しかしながら、ホットプレスでは、複雑形状の防護部材を製造するのが製法上困難であり、また、焼結体を所望の形状に研削加工するのに製造コストが高いという問題があった。そこで、近年では、より安価で製造しやすい常圧焼成により、炭化硼素質焼結体を作製することが行われている。
常圧焼成により炭化硼素質焼結体を作製する方法として、従来、炭化硼素、金属硼素、炭化珪素、金属シリコン、炭素源からなる混合物を任意の形状に成形し、不活性雰囲気にて1900〜2250℃の温度で常圧焼成し、相対密度96%以上に緻密化した炭化硼素質焼結体が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特開2000−154062号公報 特開2001−122665号公報
しかしながら、上記常圧焼成して作製される炭化硼素質焼結体は安価で製造しやすいものの、炭化硼素からなる主結晶粒子の粒径が小さく、これにより焼結体中の小粒子の存在割合が多くなり、脱粒しやすく、チッピングしやすいという問題があった。
さらに、上記公報には、平均粒径20μmの炭化硼素粉末を用いて常圧焼成したことも記載されているが、相対密度が低く、硬度が低いものであった。
本発明は、相対密度が高く、かつ脱粒しにくい炭化硼素質焼結体および防護部材を提供することを目的とする。
本発明の炭化硼素質焼結体は、炭化硼素を主成分とし、炭化珪素を含む炭化硼素質焼結体であって、前記炭化硼素からなる主結晶粒子の平均粒径が25μm以上、相対密度が97%以上であるとともに、気孔を有することを特徴とする。このような炭化硼素質焼結体では、主結晶粒子の平均粒径が25μm以上で、相対密度が97%以上であるため、高硬度を有するとともに、焼結体中の小粒子の割合が少なくなり、脱粒を抑制でき、これにより、欠けの起点となる脱粒を少なくして、耐チッピング特性を向上できる。
また、本発明の炭化硼素質焼結体は、粒径が5μm以下の炭化硼素からなる主結晶粒子数が、全主結晶粒子中10%以下存在することを特徴とする。このような炭化硼素質焼結体では、粒径が5μm以下の小粒子の存在割合が少ないため、さらに脱粒を抑制でき、これにより、欠けの起点となる脱粒を少なくして、耐チッピング特性をさらに向上できる。
さらに、本発明の炭化硼素質焼結体は、前記主結晶粒子中に前記気孔が存在することを特徴とする。常圧焼成する際には必然的に気孔が存在するが、本発明の炭化硼素質焼結体では、主結晶粒子中に気孔が存在するため、脱粒の起点となる主結晶粒子間の気孔は少なくなり、脱粒を抑制することができ、耐チッピング特性を向上できる。
本発明の炭化硼素質焼結体は、炭化珪素含有量が4質量%以下であることが望ましい。このような炭化硼素質焼結体では、炭化珪素を含有する助剤成分が少ないため、炭化硼素の軽量かつ高硬度という特性を十分に反映した焼結体を得ることができる。
本発明の防護部材は、上記炭化硼素質焼結体からなることを特徴とする。このような防護部材では、脱粒を抑制でき、耐チッピング特性を向上できるので、製品形状に加工する際に発生する欠けや、それを起点にした割れを加工時のみならず製品使用時においても最小限に抑えることがでる。
本発明の炭化硼素質焼結体では、主結晶粒子の平均粒径が25μm以上で、相対密度が97%以上であるため、高硬度を有するとともに、焼結体中の小粒子の割合が少なくなり、脱粒を抑制でき、これにより、欠けの起点となる脱粒を少なくして、耐チッピング特性を向上できる。これにより、製品形状に加工する際に発生する欠けや、それを起点にした割れを加工時のみならず製品使用時においても最小限に抑えることがでる。
以下、本発明に係る炭化硼素質焼結体について説明する。
本発明に係る炭化硼素質焼結体は、炭化硼素を主成分とし、炭化珪素を含む炭化硼素質焼結体であって、図1、2に示すように、炭化硼素からなる主結晶粒子1の平均粒径が25μm以上で、かつ相対密度が97%以上であり、気孔3を有している。
気孔3は、多くは主結晶粒子1内に存在するが、主結晶粒子1の3重点7にも存在している。3重点7の気孔3bは、主結晶粒子1内の気孔3aよりも大きいが、主結晶粒子1内の気孔3aの数は、3重点7の気孔3bよりも多く存在している。
また、炭化硼素からなる主結晶粒子1同士の2面間粒界に、炭化珪素が存在する。主結晶粒子1の3重点7にも炭化珪素が存在している。尚、図1は、500倍の走査型電子顕微鏡(SEM)写真であり、図2は、図1の模式図である。
ここで、主結晶粒子1同士の2面間粒界とは、2つの主結晶粒子1で挟まれた空間であって、主結晶粒子1の3重点7とは、3つ以上の主結晶粒子1で囲まれた空間をいう。3重点7及び2面間粒界に炭化珪素が存在するか否かは、例えば、本発明の炭化硼素質焼結体断面の表面または研磨面を、X線マイクロアナライザーによるSiとカーボンの元素マッピングおよび二次電子像の観察により確認できる。
そして、本発明の炭化硼素質焼結体では、炭化硼素からなる主結晶粒子1の平均粒径が25μm以上とされている。これにより、焼結体中の小径粒子の割合が少なくなるため、脱粒を抑制でき、チッピングを抑制することができる。特に、主結晶粒子1の平均粒径は30μm以上であることが望ましい。主結晶粒子1の平均粒径については、インターセプト法により求めることができる。主結晶粒子1の平均粒径は機械的強度を確保するという観点から100μm以下であることが望ましい。
また、本発明の炭化硼素質焼結体では気孔3a、3bを有しており、相対密度は97%以上とされている。相対密度がほぼ100%のホットプレスで作製された炭化硼素質焼結体とは異なるものである。相対密度は97%以上であるため、焼結体の硬度が大きくなる。硬度及び強度等を向上すべく、相対密度は98%以上で、かつ、常圧焼成で作製されるため気孔を有しており、99.5%以下とされている。焼結体の密度は、JIS R 2205に準拠してアルキメデス法により求めることができ、相対密度は焼結体の密度を理論密度で割ることにより求めることができる。
このような炭化硼素質焼結体では、主結晶粒子が25μm以上で、相対密度が97%以上であるため、焼結体中の小粒子が少なくなり、脱粒を抑制でき、これにより、欠けの起点となる脱粒を少なくして、耐チッピング特性を向上できる。
さらに、本発明の炭化硼素質焼結体では、粒径が5μm以下の炭化硼素からなる主結晶粒子数が、全主結晶粒子中10%以下存在している。これにより、小粒子の存在割合が少ないため、さらに脱粒を抑制でき、欠けの起点となる脱粒を少なくして、耐チッピング特性をさらに向上できる。粒径が5μm以下の炭化硼素からなる主結晶粒子数の割合は、焼結体断面を観察した所定倍率のSEM写真の一定範囲の全粒子の長径を測定し、長径が5μm以下の主結晶粒子数の割合を算出することで求めることができる。このような炭化硼素質焼結体は、人体、車両、船舶、航空機を保護するための防護具として好適に用いることができる。防護具以外にセラミック工具ダイス、切削工具、精密工具パーツ、摺動部材、ノズル、半導体製造装置や一般産機、熱伝変換材料、中性子吸収材などについても適用することができる。
本発明の炭化硼素質焼結体では、高硬度と軽量化という点から、炭化珪素含有量が4質量%以下とされている。これにより、炭化珪素を含有する助剤成分が少ないため、炭化硼素の特性を十分に反映した焼結体を得ることができる。特に高硬度という理由から、炭化珪素含有量は3.5質量%以下、さらには1〜3質量%とされている。また、炭化硼素質焼結体に炭化珪素が存在するかは、CuKα線を用いたX線回折法で同定でき、含有量は、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分析法を用いたSi成分の定量により測定することができる。尚、本発明では、焼結体中に金属Siは存在していない。この点で、多孔質の炭化硼素成形体に溶融Siを含浸させ焼結させた(反応焼結させた)炭化硼素質焼結体とは全く相違する。
本願発明の炭化硼素質焼結体の組織について詳細に説明する。本願発明の炭化硼素質焼結体では、炭化珪素を含んでおり、複数の気孔を有するものである。主成分である炭化硼素は、軽量でありながら、高い硬度、剛性を有するものである。添加されるグラファイトおよび後述するように焼成工程で成形体に浸入したSi蒸気は、炭化硼素質焼結体の焼成工程において焼結助剤として作用し、焼成中にそれぞれが溶解して液相を生成し、さらに固相焼結の機構により炭化硼素の緻密化を促進する。また、成形体に浸入したSiは、フリーカーボン又は、添加されるグラファイト又は、BCに含まれるCと反応して炭化珪素が析出すると考えられる。本発明の炭化硼素質焼結体では、炭化硼素よりも靱性が高い炭化珪素が、炭化硼素からなる主結晶粒子同士の2面間粒界に存在するため、炭化硼素からなる主結晶粒子にクラックが発生したとしても、周囲の靱性が高い炭化珪素でクラックの進展が抑制され、炭化硼素質焼結体の靱性を大きくすることができる。
ここで、炭化硼素が主成分であることは、蛍光X線分析法による定量分析にて確認することができ、焼結体中に占める炭化硼素の含有量が50質量%以上であることによって確認することができる。
炭化硼素質焼結体の粒子が脱粒する際、先ず焼結体内のある気孔を起点として、その気孔の隣接する粒子が脱粒するのが一般的であるが、本発明の炭化硼素質焼結体は、粒内に気孔3aが取り込まれており、粒界の気孔3bが少なくなっており、脱粒を抑制できる。
添加されるグラファイトは、その含有量が炭化硼素100質量部に対して1質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
炭化硼素は化学式ではBCと表されるが、一般的に硼素原子と炭素原子のモル比B/Cが化学式の4.0より大きくなる性質がある。つまり、炭素が硼素に対して不足している状態となるため、常圧焼成を行っても緻密化が促進し難い。そこで、炭化珪素量を全量中4質量%以下とし、グラファイトを上記含有量とすることで、モル比B/Cを4.0に近づけることが可能となり、常圧焼成においても緻密化が促進される。また、炭化珪素を上記含有量とすることで、緻密化を促進し、適宜気孔率を調整することができる。
次に本発明の炭化硼素質焼結体の製造方法について説明する。
本発明の炭化硼素質焼結体の製造方法として、炭化硼素粉末にグラファイトを添加、調合して原料を得る調合工程、前記原料を含む成形材料を成形して成形体を得る成形工程、前記成形体をSi雰囲気中で焼成する焼成工程を具備するものである。特に、主結晶粒子の平均粒径を25μm以上、相対密度を97%以上とし、気孔が存在するには、焼結体中の炭化珪素が4質量%以下となるように、Si含有雰囲気を調整するとともに、焼成温度を2250℃以上、保持時間を0.5時間以上とすることが重要となる。
各工程について以下、詳細に説明する。
第1に、炭化硼素にグラファイトおよび炭化珪素を添加、調合して原料を得る調合工程について説明する。グラファイトは必ずしも添加する必要はないが、添加することにより、Siと反応し、炭化珪素を形成するため、炭化硼素から炭素を得る必要がないため、焼結体としても緻密化を促進できる。
例えば、平均粒径(D50)が0.5〜2μm以下である炭化硼素粉末を準備する。この炭化硼素粉末は、BとCのモル比(B/C比)が化学量論比4の粉末すなわちBCの組成からなる粒子で構成される粉末の他に、次のような粉末を用いることができる。すなわち、炭化硼素(BC)は、BとCに対して広い固溶領域を有しているため、市販の炭化硼素粉末にはBとCのモル比(B/C比)が化学量論比4の粉末だけでなく、B/C比が3.5以上4未満、またはB/C比が4よりも大きく10以下の範囲の粉末、例えばB13等の混入した粉末や、フリーカーボン、硼酸(B(OH))、無水硼酸(B)、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)などが混入した粉末も存在しており、このような炭化硼素粉末であってもよい。
この炭化硼素粉末に対して、グラファイト粉末を添加する。グラファイト粉末は炭化硼素粉末100質量部に対し、1質量部以上10質量部以下を添加すればよい。
炭化硼素質焼結体に含まれるグラファイトは(002)面からの半値幅が狭く結晶性の高いグラファイトを用いるのが好ましく、このようなグラファイト粉末として、例えば高配向熱分解グラファイト(HOPG)粉末を用いればよい。
さらに、焼結助剤として、グラファイト粉末以外に焼結を促進させるために、元素周期律表第4族、5族、6族より選ばれる金属元素の硼化物や、元素周期律表第3属から選ばれる金属元素の酸化物のうち少なくともいずれか1種を添加してもよい。好ましくは硼化ジルコニウム(ZrB)、硼化チタン(TiB)、硼化クロム(CrB)の硼化物や酸化イットリウム(Y)の酸化物である。軽量化を図るという点から、上記元素周期律表第3〜6族は添加しないことが望ましい。さらに、焼結助剤として、グラファイト粉末や上記酸化物以外に焼結を促進させるために、炭化珪素粉末を添加してもよい。
そして、準備した炭化硼素粉末、グラファイト粉末、さらにその他の焼結助剤を回転ミル、振動ミル、ビーズミル等のミルに投入し、水、アセトン、イソプロピルアルコール(IPA)のうち少なくともいずれか1種とともに湿式混合し、スラリーを作製する。粉砕用メディアは、表面にイミド樹脂を被覆したメディア、窒化硼素質、炭化珪素質、窒化珪素質、ジルコニア質、アルミナ質等の各種焼結体からなるメディアを使用することができるが、不純物として混入の影響の少ない材質である窒化硼素質焼結体からなるメディア、または表面にイミド樹脂を被覆したメディアが好ましい。また、得られるスラリーの粘度を下げる目的で粉砕前に分散剤を添加してもよい。
次いで、得られたスラリーを乾燥して乾燥粉体を作製する。この乾燥の前に、スラリーを目開きが#200よりも小さいメッシュに通して粗大な不純物やゴミを除去し、さらに磁力を用いた除鉄機で除鉄するなどの方法で、鉄およびその化合物を除去することが好ましい。また、スラリーにパラフィンワックスやポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、アクリル系樹脂などの有機バインダーをスラリー中の粉末100質量部に対して1〜10質量部添加、混合することが、後述する成形の際に、成形体のクラックや割れ等の発生を抑制できるので好ましい。スラリーの乾燥方法としては、スラリーを容器に入れて加熱、乾燥させてもよいし、スプレードライヤーで乾燥させても良く、または他の方法で乾燥させても何ら問題ない。
第2に、得られた原料粉末を含む成形材料を成形して成形体を得る成形工程として、得られた乾燥粉体を周知の成形方法、例えば成形型を用いた粉末加圧成形法、静水圧を利用した等方加圧成形法を用いて、相対密度45%以上70%以下の所望の形状とする。
なお、成形体が有機バインダーを含む場合には、500℃以上900℃以下の温度で、窒素ガス雰囲気下にて有機バインダーを脱脂する。
第3に、前記得られた成形体を焼成する焼成工程として、得られた成形体を焼成炉を用いて焼成する。黒鉛性の抵抗発熱体により加熱する焼成炉を用い、図3に示すように、焼成炉中に成形体15を載置する。好ましくは、成形体15全体を囲うことのできる黒鉛製の焼成用容器17中に載置する。これは、焼成炉内の雰囲気中等から成形体15に付着する可能性のある異物(例えば黒鉛製発熱体や炭素製断熱材から飛散する炭素片や、焼成炉中に組み込まれている他の無機材質製の断熱材の小片等)の付着を防止するためであり、さらには成形体15からの揮発成分の飛散を防止するためである。焼成用容器17の材質は黒鉛質のものが望ましく、炭化珪素質焼結体またはこれらの複合物からなり、さらには成形体15全体を焼成用容器17で囲うことが好ましい。
そして、本発明では、図3に示すように、焼成用容器17内にSi源19を配置することが重要である。また、焼成用容器17内に配置するSiは融点(1410〜1420℃)以上の温度で溶融するため、溶融した際に流出しない大きさの黒鉛製の容器21に入れ配置させるとよい。また、Si源19は成形体および粉末のどちらであってもよく、Si粉末の粒度についても特に制限はない。また、配置するSi粉末の重量は、焼結体中の炭化珪素含有量が4重量%以下となるよう制御する必要があり、特に焼成用容器17の体積当たり1g/L以下が好ましい。
次いで、焼成用容器17に載置した成形体15を焼成炉内に配置し、アルゴンガス中またはHeガス中のいずれか、もしくは真空中で2250〜2350℃のピーク温度で焼成する。なお、2000℃以上で保持する場合には炭化硼素、添加物成分の分解が生じるので、アルゴンガスまたはHeガス中で保持することが望ましい。
このように焼成工程中に温度を上げていくと、Si源19からSiが気化し、この気化したSi蒸気が成形体15内に浸入して焼成される。そして、Si源19量、並びに焼成温度等によって、気化したSiの成形体19中への含浸量が異なり、焼結した時の炭化珪素量が変化することになる。
本発明者によれば、焼成中にSiが気化して成形体15を構成する炭化硼素粉末の周囲に浸入し、Siが成形体中に十分に分散された状態で焼成されることになり、さらにはSiが成形体15中に焼成工程中に継続して供給されることになり、焼結性が向上し、平均結晶粒径が25μm以上となり、しかもこのように大きく粒成長しても、助剤成分としてのSiが分散し、また継続して供給されるため、緻密化し、相対密度97%以上を達成できると考えている。さらに、Siが成形体中に十分に分散された状態で焼成されるため、焼結性が向上し、炭化硼素粉末が急激に焼結して粒成長し、気孔3aを主結晶粒子1内部に取り込んでしまい、3重点での気孔3bが少なくなると考えている。例えば、1μmの炭化硼素粉末が50μm程度まで粒成長することも可能である。
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
炭化硼素粉末としてFeを0.2質量%含有するD50=0.65μm、D90=1.40μmの粉末(D90/D50=2.2)100質量部と、焼結助剤としてSiC粉末、グラファイト粉末をそれぞれ表1に示す量だけ秤量し、窒化硼素質焼結体からなる粉砕用メディアと共に回転ミルに投入してアセトン中で12時間混合し、スラリーを作製した。得られたスラリーを目開き#200のナイロン製メッシュに通して粗大なゴミ等を除去後、120℃で乾燥後、目開き#40のナイロン製メッシュで整粒して、原料粉末を作製した。
得られた原料粉末を金型を用いた粉末加圧成形法を用いて、相対密度58%になるように成形し、直径6mm、高さ15mmの円柱状成形体を作製し、成形体に含まれる有機成分を600℃で窒素ガスをフローしながら脱脂した。
次に、黒鉛製の抵抗発熱体により加熱する焼成炉を用い、黒鉛製の焼成用容器に脱脂後の成形体を載置し、さらに、この成形体の近傍に、黒鉛製の容器に入れたSi粉末を載置し、昇温速度を20℃/分として昇温し、2000℃未満まで真空雰囲気、2000℃以上を110kPaのアルゴンガス雰囲気とした。昇温中、表1に示すピーク温度で0.5〜2時間焼成して、外径5mm、高さ12.5mmの円柱形状の試料をそれぞれ作製した。
得られた試料からサンプルを切り出して、平均粒径をインターセプト法により求めた。相対密度を、アルキメデス法により求めた密度より算出した。粒径が5μm以下の炭化硼素からなる主結晶粒子数の全主結晶粒子に対する割合を、焼結体断面を500倍のSEM写真で1mm×1mmの範囲を観察し、全粒子の長径を測定し、長径が5μm以下の主結晶粒子数の割合を算出することで求めた。気孔の存在についても、焼結体断面を観察したSEM写真から判定を行った。
さらに、焼結体の硬度については、JIS R 1610に定められたビッカース硬さ試験方法により荷重9.807Nにより求めた。脱粒については、焼結体断面を自動ラッピング研磨機にて、粒径1μmのダイヤモンドスラリーを使用し、60r.p.m.の回転速度にて2時間研磨を施し、研磨面の脱粒状態を金属顕微鏡にて200倍で1mm×1mmの範囲を観察し、全粒子に対する脱粒した部分の割合(脱粒頻度)を求めた。これらの結果を表に記載した。尚、試料No.5の断面写真を図1に記載した。
また、比較例の試料として、焼成用容器にSi源を載置せず、助剤としてSiC粉末を2.5質量部添加して成形体を作製する以外は、上記と同様にして炭化硼素質焼結体を作製し、この焼結体についても、上記と同様に評価し、表1、2の試料No.10、13に記載した。
さらに、比較例の試料として、成形体を2200℃、25MPaでホットプレスして炭化硼素質焼結体を作製し、この焼結体についても、上記と同様に評価し、表1、2の試料No.14に記載した。
表1、2から、主結晶粒子の平均粒径が25μm以上、相対密度が97%以上である本発明の試料では、靱性が2.9MPa・m1/2以上で、ビッカース硬度が28GPa以上、脱粒頻度が5%以下であり、脱粒が少なく、耐チッピング特性が優れていることがわかる。
一方、平均粒径が23μm以下の試料No.1、10、13、14では、脱粒頻度が12%以上であり、脱粒が多く、耐チッピング特性が低いことがわかる。
本発明の炭化硼素質焼結体のSEM写真である。 本発明の炭化硼素質焼結体の模式図である。 本発明の炭化硼素質焼結体を製造する状態を示す模式図である。
符号の説明
1:主結晶粒子
3a:粒内の気孔
3b:粒界の気孔

Claims (4)

  1. 炭化硼素を主成分とし、炭化珪素を含む炭化硼素質焼結体であって、前記炭化硼素からなる主結晶粒子の平均粒径が25μm以上、相対密度が97%以上であるとともに、気孔を有することを特徴とする炭化硼素質焼結体。
  2. 粒径が5μm以下の炭化硼素からなる主結晶粒子数が、全主結晶粒子中10%以下存在することを特徴とする請求項1記載の炭化硼素質焼結体。
  3. 前記主結晶粒子中に前記気孔が存在することを特徴とする請求項1又は2記載の炭化硼素質焼結体。
  4. 請求項1乃至3のうちいずれかに記載の炭化硼素質焼結体からなることを特徴とする防護部材。
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JP2017036170A (ja) * 2015-08-07 2017-02-16 株式会社アテクト 炭化ホウ素の焼結体の製造方法
JP7555295B2 (ja) 2021-03-26 2024-09-24 クアーズテック合同会社 半導体製造用部材

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