JP6989722B1 - 耐熱性及び耐久性にすぐれたムライト焼結体及びその製造方法 - Google Patents

耐熱性及び耐久性にすぐれたムライト焼結体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、高い耐熱性と耐久性を備えたムライト焼結体を提供することである。【解決手段】以下の要件(1)〜(6)を満たすムライト焼結体。(1)質量比で、Al2O3:SiO2が73:27〜77:23、(2)ムライト単相からなる、(3)理論密度に対する相対密度が95%以上、(4)平均結晶粒径が7〜15μm、(5)6μm以下の結晶粒子の含有率が20%以下、(6)1650℃、3MPaの負荷応力下で5時間保持後のたわみ量が5mm以下。【選択図】図1

Description

本発明は、高い耐熱性と耐久性を備えたムライト焼結体及びその製造方法に関する。
従来のムライト焼結体はカオリン等の天然原料とアルミナ原料を混合し、反応焼結によって製造されているが、不純物が多く混在するため焼結体内部にシリカ等と反応したガラス相が多く形成されているため、高温では強度低下や負荷に対する大きな変形が起きるなど高温特性が低かった。その後、高温構造材料としてのムライト焼結体の開発がなされ、ムライト相を構成しているAl及びSiOのAl/SiO質量比をムライト相の理論組成(3Al・2SiO)になるように、ゾルゲル法などのケミカルプロセスにより不純物を少なくした原料粉体を作製し、その原料粉体を用いて作製した焼結体(特開昭61−286264)が提案され、高温特性が天然原料とアルミナ原料から作製した焼結体に比べて大きく向上した。しかしながら、使用温度が1500℃以上になると耐クリープ性が低下することから、より高温で安定したムライト焼結体が要望された。そこで、より高温特性を向上させるためにAl/SiO質量比、結晶粒径及び結晶相等を制御することで1600℃の高温でも使用可能なムライト焼結体が開発された(特開平6−227859)。しかしながら、負荷応力が低い場合には安定して使用できるが、使用における負荷応力の範囲であっても負荷応力が大きくなると変形が加速度的に大きくなり、変形による割れが起こりやすく、負荷応力に対する安定性に欠けることや、同時に高温で長時間保持によりアルミナ相が析出する結晶相変化によりムライト相とアルミナ相との熱膨張率の違いから加熱冷却の繰り返しにより焼結体内部に残留歪みが発生し、破壊する等の問題があった。
特開昭61−286264号公報 特開平6−227859号公報
本発明の課題は、高い耐熱性と耐久性を備えたムライト焼結体を提供することである。
本発明者らは、従来のムライト焼結体に比べて長期間の高温下及び高負荷下での使用でも耐クリープ性に優れ、変形による割れ等がなく安定であり、さらに結晶相の変化(ムライト相→ムライト相+アルミナ相)による劣化がないため、強度等の機械的特性の劣化が少ない、高い耐熱性と耐久性を備えたムライト焼結体の開発を開始した。開発を進めるなかで、ムライト焼結体において、AlとSiOの質量比、結晶相、特定以上の相対密度、結晶粒径を制御するだけでなく、特定のサイズの結晶粒子の含有率を特定値以下にすることにより、優れた耐熱性及び耐久性、安定性を有し、曲がり等の変形の負荷応力依存性が少ないムライト焼結体が得られることを見出した。即ち、高温下で破壊の起点となる気孔量(気孔率)をある特定値以上の相対密度に制御し、焼結体のAlとSiOの質量比を規定するだけでなく、結晶粒径がある特定の範囲内にあって、また特定のサイズの結晶粒子の含有率を特定値以下にすることにより、1500℃以上あるいは1600℃以上の高温下でも負荷応力に対して長期間安定して曲がり等の変形がほとんど無く、また、負荷応力変化に対しても優れた耐クリープ性を示すムライト焼結体が得られることを見出した。本発明はこうして完成されたものである。本発明のムライト焼結体は、例えば、熱処理炉の炉材・治具として、特にローラーハースキルン用ローラーとして採用することにより、高温・高荷重の条件下でも長期間安定した熱処理を可能とするものであった。本発明において、耐熱性とは使用温度における変形や変形による割れ等がなく、高い耐熱衝撃性を有していることを意味し、耐久性とは高温下での長期間保持による結晶相の変化や強度劣化等の機械的特性の劣化が少ないことを意味する。
すなわち、本発明は以下に示す事項により特定されるものである。
[1]以下の要件(1)〜(6)を満たすムライト焼結体。
(1)質量比で、Al:SiOが73:27〜77:23
(2)ムライト単相からなる
(3)理論密度に対する相対密度が95%以上
(4)平均結晶粒径が7〜15μm
(5)6μm以下の結晶粒子の含有率が20%以下
(6)1650℃、3MPaの負荷応力下で5時間保持後のたわみ量が5mm以下
[2]以下の要件(a)〜(c)を満たすムライト粉体を成形し、大気中1600〜1780℃で焼成するムライト焼結体の製造方法。
(a)質量比で、Al:SiOが73:27〜77:23
(b)Al及びSiOの合計量が99.9質量%以上
(c)比表面積が8〜15m/g
本発明のムライト焼結体は、高い耐熱性と耐久性を備え、特に高負荷下においても高い耐熱性と耐久性を備える。本発明のムライト焼結体の製造方法は、高い耐熱性と耐久性を備える、特に高負荷下においても高い耐熱性と耐久性を備えるムライト焼結体を製造することができる。
図1は、実施例1で得られたムライト焼結体のSEM写真である。 図2は、比較例3で得られたムライト焼結体のSEM写真である。 図3は、比較例5で得られたムライト焼結体のSEM写真である。
本発明のムライト焼結体は、(1)質量比で、Al:SiOが73:27〜77:23、(2)ムライト単相からなる、(3)理論密度に対する相対密度が95%以上、(4)平均結晶粒径が7〜15μm、(5)6μm以下の結晶粒子の含有率が20%以下、及び(6)1650℃、3MPaの負荷応力下で5時間保持後のたわみ量が5mm以下の要件を満たすムライト焼結体である。以下、本発明のムライト焼結体の(1)〜(6)の要件について説明する。
(1)質量比で、Al:SiOが73:27〜77:23
本発明のムライト焼結体に含まれるAlとSiOの合計質量を100とした場合、AlとSiOとの比率は、質量比でAl:SiOが73:27〜77:23である。AlとSiOの合計におけるAlの比率が73質量%を下回ると、SiO含有量が増加し、微量の不純物と反応して形成されるガラス相や第2相が焼結体内部の結晶粒界に多く形成され、これらが起点となって、高温下で結晶粒界が滑りやすくなり、耐クリープ性に劣り、耐熱性及び耐久性が低下する。一方、Alの比率が77質量%を超えると、Al含有量が増えることになり、焼結体内部にアルミナ粒子が析出しやすくなるため、このアルミナ結晶が起点となって耐クリープ性の劣化につながる。特に高温での長期間保持により、アルミナ結晶の析出がより加速するため好ましくない。また、AlとSiOとの比率が、上記範囲を外れる場合には耐熱衝撃抵抗性及び耐熱疲労性が低下する。耐熱性及び耐久性をより向上させる観点から、Al:SiOは、質量比で74:26〜76:24が好ましい。ムライト焼結体におけるAlとSiOの含有量は、蛍光X線分析により測定することができる。
(2)ムライト単相からなる
本発明のムライト焼結体は、結晶相がムライト単相からなる。ムライト焼結体が、結晶粒界に不純物とで形成されるガラス相、アルミナ相等の第2相を含有していると耐熱性及び耐久性が低下する。ムライト焼結体におけるガラス相、アルミナ相等の第2相は、次の方法で測定することができる。
(ガラス相)
焼結体表面を鏡面仕上げした試料を0〜5℃の1%HF水溶液に24時間浸漬した後、十分に洗浄、乾燥し、走査型電子顕微鏡でHF処理前後の試料を1000〜5000倍で観察する。HF処理後の試料では、ガラス相が存在していたところはHF処理によりガラス相の跡となりくさび状の空隙として観察される。観察した試料の面積をS、HF処理前の試料で観察された気孔及び空隙が占める面積をGBとし、HF処理後の試料で観察された気孔、空隙及びガラス相の跡が占める面積をGAとして、以下の式によりガラス相含有率を求める。
ガラス相含有率(%)=[(GA−GB)/S]×100
ガラス相は結晶粒界に形成されるが、高温下では軟化し、結晶粒界が滑りやすくなり、その結果、耐クリープ性の低下につながる。
(アルミナ相及びそれ以外の相)
ムライト焼結体がアルミナ相を含有しているか否かの同定は焼結体を指頭に感じないレベルまで粉砕し、粉砕した粉体を用いてX線回折により行う。X線回折条件はX線源がCuKα、出力40kV/40mA、発散スリットが1/2°、散乱スリットが1/2°、受光スリットが0.15mm、スキャンスピード:0.5°/min、走査軸が2θ/θ、モノクロ受光スリットが0.8mm、カウンタがシンチレーションカウンタ、及びモノクロメーターが自動モノクロメーターである。アルミナ相が定性された焼結体は、高温下での耐クリープ性は低負荷条件では大きな低下は見られないものの、負荷が大きくなると耐クリープ性の低下が見られる。これはムライト結晶粒子に比べて析出するアルミナ結晶粒子の大きさが小さいため、小さい結晶が高温特性の低下に大きく影響するためである。また、ある温度領域での長期間保持によりアルミナ結晶が析出してアルミナ相が増加し、特性劣化をきたしたり、室温まで冷却した際にムライト相とアルミナ相との熱膨張差により割れが発生したりする場合がある。アルミナ相の定量は得られた回折パターンを用いて以下の式により算出する。以下の式におけるI(113)はアルミナ相(113)面の回折強度であり、I(210)はムライト相(210)面の回折強度である。
アルミナ相量(容積%)=I(113)/[I(210)+I(113)]×100
ムライト焼結体がガラス相及びアルミナ相以外の第2相を含有しているか否かの同定及び定量は、アルミナ相の場合と同様にX線回折により行う。X線回折によりアルミナ相以外の第2相が定性された場合は特性が長期間安定して維持できる温度域が低くなる。
(ムライト単相)
本発明においては、得られたX線回折パターンでムライト相以外の回折ピークが見られないことが必要である。ただし、本発明のムライト焼結体においては、アルミナ相を3容積%まで含有することが許容できる。好ましくは、アルミナ相の量は2容積%までである。本発明のムライト焼結体においては、ガラス相及びアルミナ相以外の第2相は検出量限界値以下である。また、本発明のムライト焼結体においては、ガラス相を3%まで含有することが許容できる。好ましくは、ガラス相は2%までである。上記のとおり、本発明のムライト焼結体におけるムライト単相とは、第2相としてはアルミナ相とガラス相であり、ガラス相含有率が3%以下であり、アルミナ相含有率が3容積%以下であり、それ以外の第2相は検出量限界値以下であるムライト相であることをいう。
(3)理論密度に対する相対密度が95%以上
本発明のムライト焼結体の理論密度に対する相対密度は95%以上である。本発明における相対密度は、JIS1634に準じて測定することができる。相対密度が低い場合は焼結体内部に存在する気孔が多くなることになり、相対密度が95%未満の場合は、高温下であっても低負荷条件では耐クリープ性の低下に大きな影響を与えないが、高負荷になると気孔が基点となってクラックの進展が顕著になり、短い時間で破損しやすくなる。相対密度の上限は特に制限されないが、実際に製造する観点から相対密度の上限は98%程度である。本発明のムライト焼結体の相対密度は95〜98%が好ましく、95〜97%がより好ましい。
(4)平均結晶粒径が7〜15μm
本発明のムライト焼結体の平均結晶粒径は7〜15μmである。平均結晶粒径が7μm未満の場合は耐クリープ性及び耐食性の低下をきたし、15μmを越える場合は強度が低くなり、耐熱衝撃性の低下につながる。耐クリープ性及び耐熱衝撃性をより向上させる観点から、本発明のムライト焼結体の平均結晶粒径は8〜13μmが好ましい。本発明においては、焼結体を鏡面仕上げして熱エッチングしたサンプルを電子顕微鏡により観察して、一つの結晶粒子の長軸と短軸を測定し、この平均値を各結晶粒子の粒径とする。本発明における平均結晶粒径は、上記のとおり測定した任意の100個の結晶粒子の粒径の平均値である。
(5)6μm以下の結晶粒子の含有率が20%以下
本発明のムライト焼結体における粒径が6μm以下の結晶粒子の含有率は20%以下である。本発明における6μm以下の結晶粒子の含有率とは、平均結晶粒径を算出するために測定した100個の結晶粒子における、粒径が6μm以下の結晶粒子数の割合(6μm以下の結晶粒子の数/100)を%で表したものである。結晶粒径は耐クリープ性に大きく影響を与え、平均結晶粒径が本発明の要件を満たしていても、小さい結晶粒子の含有率が高くなると小さい結晶粒子の影響を受けやすくなり、耐クリープ性の低下をきたす。6μm以下の結晶粒子の含有率が20%を超えると、耐クリープ性が低下する。耐クリープ性をより向上させる観点から、本発明のムライト焼結体における6μm以下の結晶粒子の含有率は15%以下が好ましい。
(6)1650℃、3MPaの負荷応力下で5時間保持後のたわみ量が5mm以下
本発明のムライト焼結体は、1650℃、3MPaで5時間保持する負荷応力下でのたわみ量が5mm以下であり、3mm以下が好ましい。本発明におけるムライト焼結体のたわみ量は、ムライト焼結体を5×2×150mmに加工し、上スパンが31.3mm、下スパンが100mmの4点曲げで3MPaの応力で1650℃、5時間保持後のサンプルの下スパン50mmの位置で測定されるたわみ量である。
本発明のムライト焼結体は、その製造方法は特に制限されるものではないが、例えば以下の本発明のムライト焼結体の製造方法により製造することができる。本発明のムライト焼結体の製造方法は、(a)質量比で、Al:SiOが73:27〜77:23、(b)Al及びSiOの合計量が99.9質量%以上、及び(c)比表面積が8〜15m/gを満たすムライト粉体を成形し、大気中1600〜1780℃で焼成する方法である。上記(a)〜(c)の要件を満たすムライト粉体の作製方法は特に制限されるものではないが、例えば、質量比で、Al:SiOが73:27〜77:23になるようにアルミナゾルとシリカゾルを撹拌混合した混合液を乾燥し、乾燥後1000〜1500℃で大気中で加熱することによりムライトを合成し、ムライト粉体を得ることができる。ムライト粉体はゾルゲル法だけに限らず、アルミニウム塩水溶液とシリコンアルコキシドを用いた共沈法やアルコキシド混合溶液を用いた加水分解法等による方法で作製した高純度のムライト粉体を用いることができる。後述する不純物を極力混入しないようにするために、使用するアルミナゾルやシリカゾル等のアルミナ及びシリカ源となるアルミニウム化合物やシリコン化合物は高純度のものを採用することが必要である。また、溶液の混合は、合成したムライト粉体のアルミナとシリカの均一性が低下し、焼結体としたときの個々のムライト結晶のAlとSiOの質量比のバラツキが大きくなって、耐熱性及び耐久性に劣ることを防止するために、高速ミキサーを用いるなどして溶液を均一に混合することが好ましい。作製したムライト粉体を比表面積が8〜15m/g、好ましくは9〜13m/gとなるように粉砕する。比表面積が8m/g未満の場合は焼結性が低くなり、15m/gを越える場合は焼結時に異常粒成長が起こり、平均結晶粒径が本発明における平均結晶粒径の範囲を上回るだけでなく、粒径分布が広くなりやすく、強度低下が起こり、耐熱衝撃性の低下をきたす。
ムライト粉体の粉砕方法は特に制限されないが、不純物が極力混入しないように粉砕する必要がある。粉砕方法としては、例えば湿式粉砕法等を挙げることができる。不純物が混入しないように粉砕するためには、アルミナ純度が99.9%以上の高純度アルミナ又は樹脂を内張りにしたポットと高純度アルミナボールを用いて粉砕を行い、粉体濃度やポット回転数等の条件をコントロールして、不純物が極力混入しないようにすることが重要である。アルミナ純度が低いボールを使用すると粉砕により不純物が多い摩耗粉が粉砕粉体に混入するので好ましくない。また、ジルコニアボールで粉砕した場合は粉砕により摩耗したジルコニア摩耗粉が粉砕粉体に混入するが、ジルコニアは耐熱性・耐久性を低下させるので好ましくない。作製したムライト粉体におけるTiO、Fe、CaO、NaO、KO、MgO、ZrO等の不純物は0.1質量%以下、好ましくは0.05質量%以下とする。すなわち、Al及びSiOの合計量が99.9質量%以上、好ましくは99.95質量%以上とする。不純物の含有量が0.1質量%を越える、すなわちAl及びSiOの合計量が99.9質量%未満になると結晶粒界に第2相やガラス相を形成し、高温特性の低下をきたす。
作製した上記(a)〜(c)の要件を満たすムライト粉体を成形する。成形方法としては特に制限されないが、例えば、プレス成形、ラバープレス成形、押出成形、鋳込成形等を挙げることができる。プレス成形、ラバープレス成形等のプレス成形を採用する場合は、粉砕後のスラリーに、例えばワックスエマルジョン、PVA、アクリル系樹脂等の公知の成形助剤を加え、スプレードライヤー等の公知の方法で乾燥させた粉体を用いて所定の形状に成形できる。押出成形を採用する場合は、粉砕スラリーを乾燥、整粒し、混合機に水、及び例えばメチルセルロース等のバインダーを添加混合して、坏土を作製し、押出成形する。鋳込成形を採用する場合は、粉砕スラリーを乾燥した粉体を分散処理したスラリーを用いて石膏型や樹脂型を用いて鋳込成形し、成形体を得る。作製した成形体は1600〜1780℃、好ましくは1650〜1780℃で焼成することにより所定の形状の焼結体を得ることができる。本発明の製造方法においては、上記(a)〜(c)の要件を満たすムライト粉体を使用することにより、1600〜1780℃の範囲の焼成温度、粉体の粒度等を適宜調整することで、本発明のムライト焼結体を得ることができる。
以下、本発明の実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
アルミナゾル及びシリカゾルを用いて、アルミナゾルとシリカゾルの質量比が表1記載の質量比となるように両者を混合し、混合液を乾燥した後、得られた乾燥物を1450℃で大気中で加熱してムライトを合成し、ムライト粉体を作製した。作製したムライト粉体を高純度アルミナポットを用いて直径10mmの高純度アルミナボール(ポット及びボールとも(株)ニッカトー製SSA−999W)を用いて所定時間、湿式粉砕して、表1記載の比表面積のムライト粉体とした。なお、比較例3ではアルミナ純度92%の直径10mmのアルミナボール((株)ニッカトー製HD)を、比較例6では直径10mmのジルコニアボール((株)ニッカトー製YTZ)を使用した。こうして実施例1〜7及び比較例1〜7のムライト粉体を作製した。粉砕後のスラリーを乾燥、整粒して成形用粉体を作製した。作製した成形用粉体を用いて板状のサンプルをプレス成形し、表1に示した1590〜1800℃の各温度条件で焼成して、焼結体を得た。得られた焼結体の特性を表1に示す。また、実施例1及び比較例3の微構造をSEM(走査型電子顕微鏡)で撮影した写真を図1及び2にそれぞれ示す。ムライト結晶以外にアルミナ結晶粒子が存在する比較例5の微構造をSEMで撮影した写真を図3に示す。なお、矢印で示しているのはアルミナ結晶である。なお、実施例1のムライト焼結体は、結晶粒子一つ一つのSEM−EDX分析(エネルギー分散型X線分析:加速電圧:20kV、倍率:2000倍、照射時間:5秒、EMAX Evolution Model:X―Max80 HORIBA社製)によるAlとSiOの質量比(AlとSiOの合計量を100としたときの質量比)が、Al:SiOが74.7:25.6〜76.1:23.9の範囲内にあり、バラツキが非常に少ないAlとSiOの質量比が均質な結晶粒子からなっていた。
(耐クリープ性の評価)
得られた焼結体を耐クリープ性の評価用サンプルとして5×2×150mmの短冊状に切断・加工した。耐クリープ性は、上スパンが31.3mm、下スパンが100mmの4点曲げにより1650℃、負荷荷重(P)を3MPaとして電気炉内で5時間保持し、室温まで冷却後のたわみ量(δmm)により評価した。評価用サンプルは、電気炉内で室温から1650℃まで昇温速度100℃/hで昇温し、5時間保持後、電気炉から取り出して室温まで自然冷却した。その結果を表1に示す。
(耐熱衝撃の評価)
得られた焼結体を耐熱衝撃テスト用サンプルとして10×10×50mmの角棒に加工し、耐熱衝撃テストをおこなった。テスト方法は、1450℃に加熱している電気炉の中へサンプルを投入し、1時間保持後、即座に炉外へ取り出す操作を3回おこなったときのクラック発生の有無で評価した。その結果を表1に示す。
Figure 0006989722
表1に示すように、本発明のムライト焼結体である実施例1〜7で得られた焼結体は、1650℃、3MPa、5時間保持という過酷な条件下でもたわみ量が3mm以下と長期間安定した耐熱性と耐久性を有していた。さらに、実施例1〜7で得られた焼結体は、耐熱衝撃テストにおいてクラックが発生しなかった。
一方、比較例1〜7で得られた焼結体は、耐クリープ性と耐熱衝撃性の両方を満足することができず、耐熱性及び耐久性に欠けるものであった。比較例1は、ムライト粉体の比表面積及び焼成温度が本発明における範囲の下限値未満であったため、焼結が進みにくく、その結果、平均結晶粒径が本発明における範囲の下限値未満となり、たわみ量が大きく、耐熱性と耐久性が劣るものであった。比較例2は、ムライト粉体の比表面積及び焼成温度が本発明における範囲の上限値を超えたため、平均結晶粒径が本発明における範囲の上限値を超え、たわみ量は本発明の焼結体と同等であったが、結晶粒径が大きくなったため、強度が低下し、耐熱衝撃性が低下してクラックが発生し、耐熱性・耐久性が劣るものであった。比較例3は、原料粉体の粉砕にアルミナ純度が92%のボールを用いたため、粉砕によりボールが摩耗し、その摩耗粉に混入しているアルミナ以外の成分が不純物として混入し、不純物量が本発明における範囲の上限値を超えたため、AlとSiOの質量比は本発明における範囲内であったが、結晶粒界にガラス相が多く形成し、得られた焼結体のたわみ量が大きくなり、耐熱性・耐久性が劣るものであった。比較例4は、AlとSiOの質量比が本発明における範囲外であったため(アルミナが下限値未満であったため)、結晶粒界にガラス相が多く形成され、たわみ量が大きく、耐熱衝撃性が低くクラックが発生し、耐熱性・耐久性が劣るものであった。比較例5は、相対密度が本発明における範囲の下限値未満であったため、焼結不足で結晶粒子の成長が十分でなかったため、結晶粒径分布のバラツキが大きくなり、6μm以下の結晶粒子の含有率が本発明における範囲の上限値を超えたため、たわみ量が大きく、耐熱衝撃性も低くクラックが発生し、耐熱性・耐久性が劣るものであった。比較例6は、原料粉体の粉砕にジルコニアボールを用いたため、粉砕によりボールが摩耗し、その摩耗粉が不純物として混入し、得られた焼結体のたわみ量が大きくなり、耐熱性・耐久性が劣るものであった。比較例7は、AlとSiOの質量比が本発明における範囲外であったため(アルミナが上限値を超えたため)、焼結体にアルミナ相が規定範囲を超えて存在しことにより、たわみ量が大きく、耐熱衝撃性も低くクラックが発生し、耐熱性・耐久性が劣るものであった。
本発明のムライト焼結体は、従来のムライト焼結体に比べて高い耐熱性及び耐久性を有している。特に高温下かつ高負荷条件下でも優れた耐熱性と耐久性を発揮するため、電子部品等の先端材料の焼成に使用されているローラーハースキルンのローラー等の熱処理炉の炉材・治具として長期間安定して使用できる。また、本発明のムライト焼結体は、高温・高負荷の環境でも高い耐熱性及び耐久性を有しているため、例えばローラーハースキルン用ローラーとして使用する場合、ローラーのサイズを小さくしたり、肉厚を薄くしたりすることができることから、部材の軽量化がはかれる等の優位性も持ち合わせている。

Claims (2)

  1. 以下の要件(1)〜(6)を満たすムライト焼結体。
    (1)質量比で、Al:SiOが73:27〜77:23
    (2)ムライト単相からなり、前記ムライト単相は、第2相としてはアルミナ相とガラス相であり、ガラス相含有率が3%以下であり、アルミナ相含有率が3容積%以下であり、それ以外の第2相は検出量限界値以下である
    (3)理論密度に対する相対密度が95%以上
    (4)平均結晶粒径が7〜15μm
    (5)6μm以下の結晶粒子の含有率が20%以下
    (6)1650℃、3MPaの負荷応力下で5時間保持後のたわみ量が5mm以下
  2. 以下の要件(a)〜(c)を満たすムライト粉体を成形し、大気中1600〜1780℃で焼成するムライト焼結体の製造方法。
    (a)質量比で、Al:SiOが73:27〜77:23
    (b)前記ムライト粉体におけるAl及びSiOの合計量が99.9質量%以上
    (c)比表面積が8〜15m/g
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