JP2002316869A - 耐熱性ムライト質焼結体からなるローラハースキルン用ローラ - Google Patents
耐熱性ムライト質焼結体からなるローラハースキルン用ローラInfo
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Abstract
し、高温での変形が少ない、耐久性にすぐれたムライト
質焼結体製ローラハースキルン用ローラの提供。 【解決手段】 主としてムライト結晶からなり、(a)
Al2O3/SiO2重量比が65/35〜78/22
であり、(b)焼結体に存在する気孔は主として丸味を
帯びた密閉したものであり、(c)その平均密閉気孔径
が2〜50μm、(d)焼結体の平均結晶粒径が2〜2
0μm、(e)その焼結体の平均密閉気孔径/平均結晶
粒径が0.5〜3であり、(f)焼結体の相対密度が7
0〜95%であり、(g)1500℃、2MPaの応力
下でのたわみ量が10mm以下であることを特徴とする
耐熱性ムライト質焼結体からなるローラハースキルン用
ローラ。
Description
に優れた耐熱性ムライト質焼結体からなるローラハース
キルン用ローラに関する。
炉長方向に温度勾配を持たせて、炉床に耐熱性ローラを
並列に設置し、そのローラ上を被熱処理物を移動させて
熱処理する連続焼成炉の一種である。連続焼成炉にはト
ンネル炉などが従来より使用されているが、高速焼成が
できない、熱効率が低いなどの点で最近はローラハース
キルンが用いられるようになってきた。また、ローラハ
ースキルンは当初、比較的低温での熱処理に使用されて
おり、例えば、食器、タイルなどに広く使用されてい
た。しかしながら、最近では、電子材料の高機能化に伴
って、高速焼成の必要性が高まり、ローラハースキルン
の採用が増加している。しかしながら、従来の耐熱性ム
ライト焼結体では高温における耐久性が劣るため使用で
きなかった。そのため、高温でも満足した耐久性を有す
るムライト焼結体が特許第2549976号に開示され
ている。しかしながら、該特許発明に開示されているム
ライト焼結体は相対密度を85〜94%に設定されてい
るが、気孔の分布および形状等については全く制御され
ておらず、この気孔が耐久性を低下させており、軽量で
高温でも耐久性にすぐれたムライト質焼結体からなるロ
ーラハースキルンが望まれていた。
れた耐熱衝撃抵抗性および耐食性を有し、高温での変形
が少ない、耐久性にすぐれたムライト質焼結体製ローラ
ハースキルン用ローラを提供する点にある。
現状を鑑み、鋭意研究を重ねてきた結果、ムライト焼結
体において、Al2O3/SiO2重量比、ある特定の
相対密度を有し、丸味をもった密閉気孔を有し、その密
閉気孔径および焼結体の結晶粒径を制御することによ
り、すぐれた耐熱衝撃抵抗性および耐食性を有し、高温
での変形が少ない、耐久性にすぐれたムライト質焼結体
からなるローラハースキルン用ローラが得られることを
見出した。
結晶からなり、(a)Al2O3/SiO2重量比が6
5/35〜78/22であり、(b)焼結体に存在する
気孔は主として丸味を帯びた密閉したものであり、
(c)その平均密閉気孔径が2〜50μm、(d)焼結
体の平均結晶粒径が2〜20μm、(e)その焼結体の
平均密閉気孔径/平均結晶粒径が0.5〜3であり、
(f)焼結体の相対密度が70〜95%であり、(g)
1500℃、2MPaの応力下でのたわみ量が10mm
以下であることを特徴とする耐熱性ムライト質焼結体か
らなるローラハースキルン用ローラに関するものであ
り、このローラハースキルン用ローラは耐熱衝撃抵抗性
および耐食性にすぐれ、高温下での変形が少ないという
特性を発揮する。本発明の第2は、ZrO2を5容積%
以下含有していることを特徴とする請求項1記載の耐熱
性ムライト質焼結体からなるローラハースキルン用ロー
ラに関する。
る焼結体は、ムライト固溶体のみからなる焼結体に限定
されず、結晶粒界に存在する非晶質マトリックスが少な
く、且つアルミナ結晶(α−Al2O3)がムライト結
晶の10容積%以下、より好ましくは5容積%以下しか
含まれない焼結体であれば良い。
方法により得られる値である。即ち、まず試料の任意の
位置から切り出した小片を粉砕し、得られた粉末につい
てX線回折を行う。その結果、得られるムライト結晶の
(210)面の回折強度〔I M(210)〕およびα−
Al2O3結晶の(113)面の回折強度〔IA(11
3)〕から次式によりムライト結晶およびα−Al2O
3結晶の割合を算出する。
0容積%以下、より好ましくは8容積%以下であること
が必要である。ガラス相が10容積%を越える場合には
耐食性および高温での変形が大きくなりローラハースキ
ルン用ローラとして適さない。
下の方法によって行う。ローラハースキルン用ローラの
任意の部分から板状試片を切り出し、鏡面仕上げする。
鏡面仕上げした試料を0〜5℃の1%HF水溶液に24
時間浸漬した後、洗浄、乾燥し、ガラス相含有率測定用
試料とする。HF処理前後の試料を走査電子顕微鏡によ
り1000〜5000倍で観察する。HF処理によって
ガラス相が存在していた跡はくさび状の空隙として観察
される。観察した面積:S、HF処理前の試料で観察し
た試料で気孔および空隙が占める面積:BSpとし、H
F処理後の試料で観察した試料で気孔、空隙およびガラ
ス相の跡が占める面積:ASpからガラス相含有率を下
式により求める。
/S]×100
/35〜78/22であるという点について、本発明に
おいてAl2O3/SiO2重量比が65/35〜78
/22であることが必要である。Al2O3/SiO2
重量比が65/35未満の場合は、焼結体中のムライト
結晶相量が減少し、SiO2または非晶質相が増加する
ため、高温での変形が大きくなったり、耐食性が低下す
るため耐久性に劣るので好ましくない。一方、Al2O
3/SiO2重量比が78/22を越える場合にはムラ
イト結晶相の他にAl2O3結晶相量が増加し、高温強
度の低下や高温での変形が大きくなるので好ましくな
い。より好ましくはAl2O3/SiO2重量比が67
/33〜76/24である。
気孔の形成には、粉砕・分散スラリーに所定の相対密度
および気孔径になるように気孔形成剤としてアクリル系
樹脂球状粒子や多糖類球状粒子などの有機質球状粒子の
ような有機質で丸味を帯びた粒子を使用する。この気孔
形成剤をセラミック粉体に添加、混合して形成し、これ
を焼成すると、有機質の気孔形成剤は消失し、跡形とし
ての密閉気孔が残るので、密閉気孔の形状は本質的には
気孔形成剤の形状に基因した形状となり、丸味をもつ気
孔形成剤の使用により丸味を帯びた密閉したものとな
り、また密閉気孔は実質的に独立したものとすることが
できる。気孔形成剤が丸味を帯びていない場合には、焼
結体に応力が負荷されると気孔に応力集中がおこりやす
くなって、強度や耐熱衝撃抵抗性の低下および高温での
変形がおこりやすくなるので好ましくない。なお、本発
明でいう密閉気孔とは外部へ通じていない内部気孔のこ
とを指すものである。
るという点について、本発明においては平均密閉気孔径
が2〜50μm、好ましくは5〜30μm、より好まし
くは5〜25μmであることが必要である。平均密閉気
孔径が1μm未満の場合は気孔形成による耐熱衝撃抵抗
性や変形に対する抵抗性の向上の効果が少なく、50μ
mを越える場合には密閉気孔が連続状態になったり、強
度低下をきたすため好ましくない。
走査電子顕微鏡にて観察し、100個の気孔径を測定
し、等価円直径に換算し、平均値:Pを求め、
という点について、本発明において平均結晶粒径は2〜
20μmであることが必要であり、好ましくは2〜15
μmであることが必要である。平均結晶粒径が2μm未
満の場合は、耐久性および耐食性の低下や変形に対する
抵抗性が低下するので好ましくない。一方、20μmを
越える場合には耐熱衝撃抵抗性が低下するので好ましく
ない。
エッチングを施し、走査電子顕微鏡により観察し、イン
ターセプト法により10点平均から求める。算出式とし
ては、
粒径が0.5〜3であるという点について、本発明にお
いて平均密閉気孔径/平均結晶粒径が0.5〜3、より
好ましくは0.5〜2.5である。平均密閉気孔径/平
均結晶粒径が0.5未満の場合は密閉気孔径の存在によ
る応力緩和の効果が少なくなり、一方、3を越える場合
には密閉気孔径が焼結体中の欠陥となり、強度低下や変
形が大きくなるので好ましくない。
う点について、本発明において相対密度は70〜95%
であることが必要であり、より好ましくは75〜90%
であることが必要である。相対密度が70%未満の場合
は気孔量が多くなり、各々の気孔がつながって密閉気孔
径が大きくなり、強度低下、耐食性の低下や高温での変
形が大きくなるので好ましくない。また、相対密度が9
5%を越える場合には耐熱衝撃抵抗性の低下をきたすの
で好ましくない。なお、本発明でいう前記相対密度とは
たわみ量が10mm以下であるという点について、本発
明において1500℃で2MPaの応力下でのたわみ量
が10mm以下であることがローラハースキルン用ロー
ラとして好ましく、より好ましくは8mm以下である。
たわみ量が10mmを越える場合にはローラハースキル
ン用ローラとして十分に満足して長期間にわたって安定
して使用できない。本発明において、たわみ量は下記の
条件で測定したものである。焼結体を5×2×150m
mに加工し、上スパン:31.3mm、下スパン:10
0mmの4点曲げで、2MPaの応力で1500℃、5
時間加熱保持後のサンプルの下スパン50mmの位置の
たわみ量を測定する。上記たわみ量測定用サンプル形状
以外でたわみ量を測定する場合には上スパンと下スパン
の長さの比率および負荷重量を同じにして測定したたわ
み量:δとで下式により補正した値:δ1が2mm以下
であることが必要である。
う点について、本発明においてはジルコニアは5容積%
以下含有している。ジルコニアの結晶相は正方晶である
ことが好ましいが、立方晶および単斜晶のいずれでも良
い。ジルコニアを含有していると焼結性の向上に効果が
ある。
でなく、ジルコニアゾルや焼成によりジルコニアとなる
ジルコニウム化合物(ジルコンなど)を用いることもで
きる。また、ジルコニアにイットリアが1〜5モル%含
有していることがより好ましい。ジルコニア添加量が5
容積%を越える場合は、熱処理用部材の昇温・降温の繰
り返しにより、焼結体にマイクロクラックが発生し、耐
熱衝撃抵抗性の低下や耐久性に劣るので好ましくない。
ハースキルン用ローラは種々の方法で作製できるが、そ
の一例を示す。
が99%以上、平均粒子径が2μm以下であることが好
ましく、より好ましくは1.5μm以下である。平均粒
子径が2μmを越える場合には、焼結体内部の欠陥が多
く存在するため、耐熱衝撃抵抗性をはじめとする機械的
特性の低下や高温変形が大きくなるので好ましくない。
原料粉末は共沈法、ゾル−ゲル法等の液状原料から作製
したムライト原料はもちろんのこと、アルミニウム化合
物とシリカ化合物を均一に混合して仮焼合成した原料粉
末も使用できる。また、焼成工程でムライト結晶となる
原料を用いてもよい。また、ジルコニア原料粉末として
は、液相法により作製された粉末を用いるのが好まし
く、比表面積が5m2/g以上であることが好ましい。
さらには、ジルコニアゾルや焼成によりジルコニアとな
るジルコニウム化合物を用いることもできる。ジルコニ
ア原料粉末の比表面積が5m2/g未満の場合は、ジル
コニア結晶粒子の分散性が低下するだけでなく、焼結体
に存在するジルコニア結晶粒子が大きくなるため耐熱衝
撃性及び耐食性が低下するので好ましくない。また、ジ
ルコニアにイットリアが1〜5モル%含有していること
が好ましい。
O3、CaO、Na2OおよびK2Oの合計含有量は2
重量%以下であることが好ましく、より好ましくは1重
量%以下であることが必要である。不純物量が2重量%
を越えると結晶粒界に第2相およびガラス相を多く形成
し、高温特性の低下をきたすので好ましくない。ジルコ
ニアを添加する場合はジルコニア含有量が所定量となる
ように各原料粉末に配合し、溶媒として水または有機溶
媒を用いて、ポットミル、アトリッションミル等の粉砕
機により粉砕・分散・混合する。
径は1.5μm以下であることが好ましく、より好まし
くは1.0μm以下である。平均粒子径がこれらの範囲
外の場合は、成形性が低下し、得られた焼結体に欠陥が
多く存在するだけでなく、本発明の微構造を有した焼結
体が得られず、耐熱衝撃抵抗性が低下するだけでなく、
その他の機械的特性および耐食性も低下するので好まし
くない。
ス成形等の方法を採用する場合には、粉砕・分散スラリ
ーに必要により公知の成形助剤(例えばワックスエマル
ジョン、PVA、アクリル系樹脂等)を加え、スプレー
ドライヤー等の公知の方法で乾燥させて成形粉体を作製
し、これを用いて成形する。また、押出成形法を採用す
る場合には、粉砕・分散したスラリーを乾燥させ、整粒
し、混合機を用いて水、バインダー(例えばメチルセル
ロース等)を混合して坏土を作製し、押出成形する。以
上のようにして得た成形体を1500〜1800℃、よ
り好ましくは1550〜1780℃で焼成することによ
ってムライト質焼結体からなるローラハースキルン用ロ
ーラを得る。
本発明はこれにより何ら限定されるものでない。
径2μmからなるムライト原料粉末を用い表1〜2に示
す配合量にしたがって原料を配合したムライト原料粉末
にジルコニアを添加する場合は、所定量のジルコニア粉
末を配合し、ポットミルで溶媒に水あるいはエタノール
を用いて粉砕・分散・混合し、スラリーを作製した。気
孔形成剤としてはアクリル系樹脂球状粒子または多糖類
球状粒子を所定の気孔率および気孔径になるように添
加、混合した。また、ジルコニア粉末はY2O3を含有
しないか、5モル%以下含有しており、比表面積が15
m2/gである粉末を用いた。得られたスラリーを乾
燥、整粒し、混合機を用いて水、メチルセルロースステ
アリン酸を混合して坏土を作製し、押出成形し、145
0〜1780℃で焼成して、φ36(外径)×φ28
(内径)×1500mmのローラハースキルン用ローラ
を作製した。得られたローラから曲げ強さ測定用テスト
ピース:3×4×40mmおよび高温変形測定用サンプ
ル:5×2×140mmを切り出し、研削加工して作製
した。曲げ強さは室温および1500℃で3点曲げで測
定した。高温変形は1500℃で上スパン:31.3m
m、下スパン:100mm、負荷応力:2MPaで5時
間保持後の下スパン50mmの位置でテスト前後のたわ
み量を測定した。また、熱衝撃抵抗性は、ローラを長さ
200mmに切断したものを1300℃に加熱している
電気炉内へ挿入し、30分保持後、即座に炉外に取り出
した時のクラック発生の有無で評価した。
るローラハースキルン用ローラは、すぐれた耐熱衝撃抵
抗性および耐食性を有し、高温での変形が少ないため、
高温でも高荷重の被焼成体の焼成が可能であることか
ら、特に電子セラミックス焼成用ローラハースキルン用
ローラとして有用である。
Claims (2)
- 【請求項1】 主としてムライト結晶からなり、(a)
Al2O3/SiO 2重量比が65/35〜78/22
であり、(b)焼結体に存在する気孔は主として丸味を
帯びた密閉したものであり、(c)その平均密閉気孔径
が2〜50μm、(d)焼結体の平均結晶粒径が2〜2
0μm、(e)その焼結体の平均密閉気孔径/平均結晶
粒径が0.5〜3であり、(f)焼結体の相対密度が7
0〜95%であり、(g)1500℃、2MPaの応力
下でのたわみ量が10mm以下であることを特徴とする
耐熱性ムライト質焼結体からなるローラハースキルン用
ローラ。 - 【請求項2】 ZrO2を5容積%以下含有しているこ
とを特徴とする請求項1記載の耐熱性ムライト質焼結体
からなるローラハースキルン用ローラ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2001121808A JP4822605B2 (ja) | 2001-04-19 | 2001-04-19 | 耐熱性ムライト質焼結体からなるローラハースキルン用ローラ |
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JP2001121808A JP4822605B2 (ja) | 2001-04-19 | 2001-04-19 | 耐熱性ムライト質焼結体からなるローラハースキルン用ローラ |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2002316869A true JP2002316869A (ja) | 2002-10-31 |
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JP4822605B2 (ja) | 2011-11-24 |
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JPS62291539A (ja) | 機械的特性測定用治具 |
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