JPH06227859A - 耐熱性ムライト焼結体 - Google Patents

耐熱性ムライト焼結体

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JPH06227859A
JPH06227859A JP50A JP1604893A JPH06227859A JP H06227859 A JPH06227859 A JP H06227859A JP 50 A JP50 A JP 50A JP 1604893 A JP1604893 A JP 1604893A JP H06227859 A JPH06227859 A JP H06227859A
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宏司 大西
Katsumi Maeda
克己 前田
Toshio Kawanami
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明の主な目的は、耐熱性、耐熱衝撃性、耐
久性等に優れたムライト焼結体を提供することにある。 【構成】本発明は、(1)Al2 3 /SiO2 (重量
比)が71/29〜78/22であり、(2)平均結晶
粒径が1〜50μmであり、(3)理論密度に対する相
対密度が85〜94%であり、(4)1600℃、荷重
10kgf/cm2 における曲げ歪量が1時間当たり5
%以下であり、(5)主としてムライト結晶からなるこ
とを特徴とする耐熱性ムライト焼結体を提供するもので
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高温における耐久性に
優れた耐熱性ムライト焼結体に関する。
【0002】
【従来のは技術及びその課題】ムライトセラミックス
は、古くから理化学用磁器、耐火物等として利用されて
きたが、非酸化物系セラミックスと比べて、熱安定性に
優れていることから、最近耐熱性構造材料として注目を
浴びるようになってきた。
【0003】従来のムライトセラミックスは、カオリ
ン、アルミナ等の天然原料から反応焼成によって製造さ
れているが、この場合には、原料にアルカリ金属、アル
カリ土類金属等の不純物がかなり存在し、またムライト
の組成よりシリカが過剰に使用されているために、焼結
体中にガラス相が多量に形成され、その熱的性質は、1
300℃以上では劣るものであった。
【0004】近年、Al2 3 /SiO2 比がムライト
組成比となるように合成したムライト原料粉体を用い
て、ガラス相の少ないムライト質焼結体を製造すること
がなされており(例えば、特開昭61−286264号
公報)、従来のムライト焼結体に比して、高温強度に優
れた焼結体が得られている。しかしながら、この新しい
ムライト焼結体においても、実用的な観点からは、高温
における耐久性等が不十分であり、耐熱性構造材料とし
ては、1500℃程度以上の高温における耐熱性の改善
が要望されている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記したよ
うな従来技術の問題点に鑑みて、高温における耐久性に
優れた耐熱性ムライト焼結体を得るべく鋭意研究を重ね
てきた。その結果、Al2 3 /SiO2 比を一定範囲
に調整すると共に、焼結体の密度、ムライト結晶の結晶
粒径及び焼結体の曲げ歪量を適切に調節して得た主とし
てムライト結晶からなる焼結体は、耐熱性、耐熱衝撃
性、耐久性等に優れたものとなり、更に、焼結体中にZ
rO2 を実質的に存在させない場合には、特に耐久性に
優れたムライト焼成体が得られることを見出し、ここに
本発明を完成するに至った。
【0006】即ち、本発明は、下記の耐熱性ムライト焼
結体を提供するものである。
【0007】1. (1)Al2 3 /SiO2 (重量比)が71/29〜
78/22であり、(2)平均結晶粒径が1〜50μm
であり、(3)理論密度に対する相対密度が85〜94
%であり、(4)1600℃、荷重10kgf/cm2
における曲げ歪量が1時間当たり5%以下であり、
(5)主としてムライト結晶からなることを特徴とする
耐熱性ムライト焼結体。
【0008】2.ZrO2 を実質的に含有しないことを
特徴とする上記項1に記載の耐熱性ムライト焼結体。
【0009】以下、本発明の耐熱性ムライト焼結体が充
足すべき各要件について詳細に説明する。
【0010】(a)Al2 3 とSiO2 との成分割合
は、Al2 3 /SiO2 (重量比)=71/29〜7
8/22の範囲内とする。
【0011】Al2 3 とSiO2 との割合がこの範囲
内の場合に、特に焼結体の耐久性が高くなる。SiO2
がこの割合を上回ると、焼結工程でSiO2 又は非晶質
相が生成し易くなり、常温における強度等は向上する
が、耐久性が低下するので好ましくない。一方、Al2
3 が過剰になり過ぎると、アルミナが多量に析出し、
またムライト結晶が針状から粒状に変って、アスペクト
比の小さな結晶となり、耐熱衝撃性、耐久性等が低下す
る。Al2 3 /SiO2 比は、72/28〜77/2
3であることが好ましく、73/27〜76/24であ
ることがより好ましい。
【0012】(b)焼結体中のムライト結晶の平均粒径
を1〜50μmとする。
【0013】ムライト結晶の平均粒径が1μmを下回る
場合には、焼結体の耐久性は改善されず、平均粒径が5
0μmを上回ると強度が低下するので好ましくない。ム
ライト結晶の平均粒径は2〜30μmであることが好ま
しい。尚、ムライト結晶の粒径分布は、粒径0.5μm
以下の結晶が30容量%以下であることが好ましく、こ
の様な焼結体は、所望の優れた性能を発揮することがで
きる。粒径0.5μm以下の結晶が連続して多く存在す
る場合には、この部分から高温においてクリープが発生
しやすいので好ましくない。
【0014】(c)理論密度に対する相対密度を85〜
94%の範囲とする。
【0015】相対密度が85〜94%の場合には、ムラ
イト焼結体中に6〜15%の空孔が存在することとな
り、この空孔が粒界拡散を阻害し、塑性変形を抑制し
て、耐久性を向上させることができる。またこの空孔に
よる機械的強度の低下は比較的小さい。空孔は主として
粒界に存在させることが好ましい。従来の耐熱性ムライ
ト焼結体は、相対密度が95%以上となるように焼結さ
せて機械的、熱的特性を向上させていたが、この場合に
は、高温における耐熱性、耐久性が十分ではなく、しか
も難焼結性の材料を緻密化するために、微細な原料粉末
を使用するか、より高温で焼成する必要があり、コスト
が高くなるという問題点がある。また、相対密度が85
%未満の場合には、機械的特性、耐食性等が劣るものと
なる。相対密度は、88〜94%とすることが望まし
い。
【0016】(d)1600℃、荷重10kgf/cm
2 における曲げ歪量が1時間当たり5%以下である。
【0017】本発明において、曲げ歪量は、1600℃
に保持された炉内で試料に荷重10kgf/cm2 を加
え、4点曲げにおいて定常歪みになった後、5時間測定
し、その1時間当りの平均値から次式により求める。
【0018】歪量(%)=6tδ2 ÷{(L+2m)
(L−m)}×100 L:下スパンの長さ、m:上スパンの長さ、t:試料の
長さ、δ:変形量 本発明者の研究によれば、ムライト焼結体の高温特性
は、低温での挙動から推定することはできず、高温度に
おける耐熱性、耐熱衝撃性、耐久性等が良好であるため
には、上記した方法で求めた1600℃におけるムライ
ト焼結体の曲げ歪量が5%以下である必要があり、これ
が5%を上回ると1500℃程度以上の高温で長時間使
用した場合に、寿命が短くなることが判った。これは、
ムライト焼結体は、1550℃近辺で、粘性流動が生
じ、1500℃以下の特性が同等でも1600℃近辺に
なると異なった挙動を示すことによるものと考えられ
る。上記曲げ歪量は3%以下であることが好ましい。
【0019】(e)焼結体が主としてムライト結晶から
なる。
【0020】焼結体は、主としてムライト結晶からなる
ことが必要であり、ムライト結晶は焼結体中に70容量
%程度以上存在することが好ましい。アルミナ相は、1
5容量%程度まで含まれても良く、これによって焼結体
の物性が大きく阻害されることはない。また、SiC、
Cr2 3 等を40重量%程度まで含んでも焼結体の物
性に悪影響を及ぼすことはなく、靭性や強度を向上させ
ることができる。アルカリ金属酸化物やCaOの含有量
は、夫々0.1重量%以下とすることが好ましい。焼結
体のガラス相は5容量%程度以下であることが好まし
い。
【0021】また、本発明のムライト焼結体は、ZrO
2 を実質的に含有しないことが好ましい。従来のムライ
ト焼結体の製法は、一般的にZrO2 が微量混入する方
法が採用されているが、本発明者の研究によれば、Zr
2 が存在する場合には、高温で焼結体の粒界に存在す
るZrO2 がムライトの焼結を促進する効果がある反
面、1500℃以上の温度においてムライトの塑性変形
に影響を及ぼし、高温強度や耐クリープ性等の高温特性
を劣化させることが判った。よって、ZrO2 は、不可
抗力で混入する0.1重量%程度未満とすることが好ま
しく、0.05重量%程度未満とすることがより好まし
く、通常の重量法による化学分析において分析限界以下
であることが最も望ましい。
【0022】本発明のムライト焼結体を製造するには、
Al2 3 とSiO2 との比率が、所定の範囲内にあ
り、Al2 3 とSiO2 とからなる主たる成分が予め
仮焼によってムライト化している粉体原料を常法に従っ
て成形し、焼成することが望ましい。この様な粉体原料
は、液体原料を使用する公知の種々の方法で調製可能で
あり、製造方法は特に限定されない。更に、AlとSi
を含む化合物から固相法や溶融法によって合成してもよ
く、更には、これらの原料から直接反応焼結によって焼
結体を得ても良い。
【0023】ムライト粉体原料を得るための最も一般的
な方法である共沈法又はゾルゲル法の場合には、例え
ば、ムライト成形焼結体中のAl/Si比に相当するA
l化合物、Si化合物を含有する液状原料を調製し、各
化合物を共沈又はゲル化させた後、乾燥して粉体を得
る。次いで、ムライト生成温度である900〜1500
℃で仮焼した後、粉砕して、好ましくは平均粒径5μm
以下の焼結用の粉体原料とすればよい。この様にして得
られた粉体には、粒径50μm程度以下のムライトの粗
粒を加えても良い。
【0024】上記のようにして製造された原料粉体は、
CIP、メカプレス、押出し、鋳込成形等の常法に従っ
て成形され、1600〜1800℃程度で焼成されて本
発明の焼結体となる。
【0025】尚、本発明の焼結体の製造において、Zr
2 、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、
Fe2 3 、TiO2 等が多く混入すると焼結体の曲げ
歪量が大きくなりやすいので、前記した所定の曲げ歪量
とするためには、これらが極力混入しない材料や工程を
採用することが好ましい。
【0026】
【発明の効果】本発明のムライト焼結体は、高温におけ
る耐久性、耐熱性、耐熱衝撃性、高温強度、熱安定性等
に優れたものであり、1500℃を越える高温において
も優れた特性を発揮するため、高温用のローラー、ベル
ト、容器などの熱処理用部材、高温特性測定用治具、炉
心管等として有用性が高いものである。
【0027】
【実施例】以下、実施例を示して、本発明を更に詳細に
説明する。
【0028】実施例1 Al2 3 及びSiO2 としての重量比が表1に示す割
合であるAl化合物及びSi化合物を含有する液状原料
から、ゾルゲル法により、粉体を製造し、これを乾燥し
た後、1380℃で2時間仮焼してムライトを合成し、
平均粒径1.5μmに粉砕した。これに、バインダーと
して水溶性アクリル系高分子を添加し、スプレードライ
ヤーにて約60μmの成形用の顆粒を得た。これを用い
て、CIP法により、成形圧1.5トン/cm2 で成形
し、表1に示す温度で3時間焼成してムライト焼結体を
得た。歪量の測定は、幅5mm、厚さ2mm、長さ14
0mmの試料を用い、前記した算出式におけるL=10
cm、m=3cmにて荷重10kgf/cm2 を加えて
行なった。これらの焼結体の特性を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】実施例2 実施例1の表1の試料番号1で使用したムライト粉砕粉
末80重量部にAl2 3 /SiO2 比が76/24の
電気溶融法で作製した平均粒径40μmのムライト粒を
20重量部加えた後、更に12時間粉砕分散し、乾燥後
水とバインダーを添加して練土を作製し、成形圧50k
g/cm2 で押出成形し、表2に示す温度で3時間焼成
して、ムライト焼結体を得た。これらの焼結体の特性を
表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】実施例3 Al2 3 及びSiO2 としての重量比が表3に示す割
合であるAl化合物及びSi化合物を含有する液状原料
から、ゾルゲル法により、粉体を製造し、これを乾燥し
た後、1380℃で2時間仮焼してムライトを合成し
た。次いで、試料番号12を除き、表3に示す量のZr
2 を添加し、スプレードライヤーにて約60μmの成
形用の顆粒を得た。これを用いて、CIP法により、成
形圧1.5トン/cm2 で成形し、表3に示す温度で3
時間焼成してムライト焼結体を得た。これらの焼結体の
特性を表3に示す。
【0033】
【表3】
【0034】試験例1 上記した実施例の試料により、外径30mm、内径24
mm、長さ1mのチューブを製作し、炉内温度1600
℃、炉内有効幅40cmの電気炉に挿入し、2rpmで
回転させながら、チューブに2kgの荷重を加え、72
時間運転した後、チューブの曲量を測定した。途中でチ
ューブが10mm曲がった場合には、その時点で中止
し、その時間を測定した。
【0035】測定終了後、チューブを炉から素早く引抜
いて室温の煉瓦の上に置き、熱衝撃で破損されるか否か
を調べた。これらの結果を表4に示す。
【0036】
【表4】
【0037】以上の結果から、試料番号1〜5,10〜
13の本発明ムライト焼結体は、高温における耐熱性、
耐久性に優れ、耐熱衝撃性も良好であることが判った。
【0038】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(1)Al2 3 /SiO2 (重量比)が
    71/29〜78/22であり、(2)平均結晶粒径が
    1〜50μmであり、(3)理論密度に対する相対密度
    が85〜94%であり、(4)1600℃、荷重10k
    gf/cm2 における曲げ歪量が1時間当たり5%以下
    であり、(5)主としてムライト結晶からなることを特
    徴とする耐熱性ムライト焼結体。
  2. 【請求項2】ZrO2 を実質的に含有しないことを特徴
    とする請求項1に記載の耐熱性ムライト焼結体。
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