JP2021008389A - 五酸化三チタン系材料、蓄放熱デバイス、熱管理システム、及び五酸化三チタン系材料の製造方法 - Google Patents

五酸化三チタン系材料、蓄放熱デバイス、熱管理システム、及び五酸化三チタン系材料の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】五酸化三チタンの相転移温度よりも低い又は高い相転移温度を有する五酸化三チタン系材料の提供。【解決手段】五酸化三チタン系材料は、五酸化三チタンのTi原子の一部を、Al,Fe,Nb,Ta及びLuからなる群から選択される少なくとも一種からなる置換原子で置換した組成を有し、また、五酸化三チタン系材料の製造方法は、酸化チタンと、Fe,Ta,Lu,Al,及びNbからなる群から選択される少なくとも一種の原子を含有する成分とを混合した混合物を、水素雰囲気下に配置することで加熱する。【選択図】図1

Description

本開示は、五酸化三チタン系材料、蓄放熱デバイス、熱管理システム、及び五酸化三チタン系材料の製造方法に関する。
チタンを含む酸化物の一種である五酸化三チタン(Ti35)は、相転移によって吸熱する。すなわち、β−五酸化三チタン(β−Ti35)は、加熱によってλ−五酸化三チタン(λ−Ti35)に相転移することに伴い、吸熱する。
例えば、特許文献1では、Ti35の組成を有する蓄放熱酸化チタンが、圧力又は放熱光、若しくは蓄熱光を与えることで固相−固相の相転移することを利用して、蓄放熱酸化チタンを蓄放熱材として用いることが提案されている。
国際公開第2015/050269号
しかしながら、特許文献1の五酸化三チタンは、相転移温度が約190℃と限られているため、五酸化三チタンを蓄放熱材料としての用途を展開するには、適用可能な温度範囲に制約があった。
本開示の目的は、五酸化三チタンの相転移温度よりも低い又は高い相転移温度を有する五酸化三チタン系材料、この五酸化三チタン系材料を備える蓄放熱デバイス、及びこの蓄放熱デバイスを備える熱管理システムを提供することにある。
また、本開示の他の目的は、五酸化三チタンの相転移温度よりも低い又は高い相転移温度を有する五酸化三チタン系材料の製造方法を提供することにある。
本開示の一態様に係る五酸化三チタン系材料は、五酸化三チタンのTiの一部を、Fe,Ta,Lu,Al,及びNbからなる群から選択される少なくとも一種からなる置換原子で置換した組成を有する。
本開示の一態様に係る蓄放熱デバイスは、前記五酸化三チタン系材料を備える。
本開示の一態様に係る熱管理システムは、前記蓄放熱デバイスと、処理部とを備える。前記処理部は、前記蓄放熱デバイスの検出結果に基づいて管理処理を行う。
本開示の一態様に係る五酸化三チタン系材料の製造方法は、酸化チタンと、Fe,Ta,Lu,Al,及びNbからなる群から選択される少なくとも一種の原子を含有する成分とを混合した混合物を、水素雰囲気下に配置することで加熱する。
本開示の他の態様に係る五酸化三チタン系材料の製造方法は、酸化チタンと、Fe,Ta,Lu,Al,及びNbからなる群から選択される少なくとも一種の原子を含有する成分とを混合した混合物を、不活性ガス雰囲気下でアーク放電に曝露する。
本開示によれば、五酸化三チタンの相転移温度よりも低い又は高い相転移温度を有する五酸化三チタン系材料、この五酸化三チタン系材料を備える蓄放熱デバイス、及びこの蓄放熱デバイスを備える熱管理システムを提供できる。
また、本開示の五酸化三チタン系材料の製造方法によれば、五酸化三チタンの相転移温度よりも低い又は高い相転移温度を有する五酸化三チタン系材料が得られる。
図1Aは、実施形態1において、Feで置換した場合の置換型五酸化三チタンの温度変化に応じた熱的挙動の一例を示すグラフである。図1Bは、実施形態2において、Nbで置換した場合の置換型五酸化三チタンの温度変化に応じた熱的挙動の一例を示すグラフである。 図2は、実施形態2において、Fe(置換割合5at%)で置換した置換型五酸化三チタンの加圧前後でのX線回折によるパターンの解析結果の一例を示す図である。 図3は、本実施の一態様に係る蓄放熱デバイスの概略を示す図である。 図4は、本実施の一態様に係る熱管理システムの一例の概略を示すブロック図である。 図5A〜図5Dは、実施例における各置換原子(Fe,Ta,Al及びNbのいずれか)で置換したβ1型相を含む置換型五酸化三チタンのX線回折曲線を示す図である。図5Eは、置換原子を有しない五酸化三チタンのX線回折によるパターンを示す図である。 図6は、実施例における2種の置換原子(Al及びFe)で置換したβ1型相を含む置換型五酸化三チタンのX線回折曲線を示す図である。 図7A〜図7Eは、実施例における各置換原子で置換したβ2型相を含む置換型五酸化三チタンのX線回折曲線示す図である。 図8A〜図8Cは、実施例における2種の各置換原子で置換したβ2型相を含む置換型五酸化三チタンのX線回折曲線を示す図である。
まず、本実施形態の五酸化三チタン系材料の概要について説明する。
五酸化三チタン(Ti35)は、結晶構造の違いにより、β型の構造を有するβ−五酸化三チタン、λ型の構造を有するλ−五酸化三チタン、及びα型の構造を有するα−五酸化三チタン等に分類される。このうち、β−五酸化三チタンは加熱等によりλ−五酸化三チタンに相転移する。このβ−五酸化三チタンの相転移を利用して、蓄放熱材料、及び温度検知等のセンサ等への適用できることが知られている。
しかし、従来の五酸化三チタン(特にβ−五酸化三チタン)は、相転移温度が約190℃であるため、蓄放熱材料としての適用温度が約190℃に限られている。五酸化三チタン系材料を蓄放熱可能な材料として用いるにあたって、190℃よりも低い温度、又は高い温度といった、温度範囲を広げることが可能になれば、五酸化三チタン系材料の用途を更に広げることができる。このため、五酸化三チタンとは異なる温度で蓄放熱材料などに適用が可能な、新たな五酸化三チタン系材料の創出が望まれている。
そこで、発明者らは、鋭意研究の結果、β−五酸化三チタンよりも低い又は高い相転移温度を有する五酸化三チタン系材料に想到するに至った。
本実施形態に係る五酸化三チタン系材料は、五酸化三チタンのTiの一部を、Al,Fe,Nb,Ta及びLuからなる群から選択される少なくとも一種からなる置換原子で置換した組成を有する。なお、本開示では、五酸化三チタン(Ti35)中のTi原子の一部がTi以外の原子で置換された五酸化三チタンのことを「置換型五酸化三チタン」ともいう。また、以下の説明において、「五酸化三チタン」とは、Ti35の組成を有する、チタンの酸化物であり、言い換えればTi35中のTi原子がTi以外の原子で置換されていない無置換型の五酸化三チタンのことを表す。本開示において、無置換型の五酸化三チタンを単に「五酸化三チタン」といい、「置換型五酸化三チタン」とは区別される。要するに、本実施形態の五酸化三チタン系材料は、Fe,Ta,Lu,Al,及びNbからなる群から選択される少なくとも一種からなる置換原子で置換した組成を有する置換型五酸化三チタンを含んでいる。五酸化三チタンは、固相−固相間で相転移をする化合物であり、置換型五酸化三チタンも同様に、固相−固相間で相転移する化合物である。
本実施形態では、五酸化三チタンのTiの一部を、Fe,Ta,Lu,Al,及びNbからなる群から選択される少なくとも一種からなる置換原子で置換されていることにより、五酸化三チタン系材料が、五酸化三チタンの相転移温度に比べて、より低い又はより高い相転移温度を有することができる。このため、五酸化三チタン系材料は、例えば蓄放熱材料として、五酸化三チタンよりも広い温度範囲で適用することができる。
本実施形態の五酸化三チタン系材料に含まれうる置換型五酸化三チタンについて、具体的に説明する。
[置換型五酸化三チタン]
五酸化三チタンには、上述のとおり、結晶構造の種類として、β型の結晶構造を有するβ−五酸化三チタン、λ型の結晶構造を有するλ−五酸化三チタン、及びα型の結晶構造を有するα−五酸化三チタン等がある。β−五酸化三チタンは、加熱されるとλ−五酸化三チタンに相転移しうる。
一方、置換型五酸化三チタンは、β−五酸化三チタン型の結晶構造を有することができる。以下、置換型五酸化三チタンにおける、β−五酸化三チタン型の結晶構造を有する相を、β型相ともいう。
置換型五酸化三チタンは、β型相の結晶構造、詳しくは、β−五酸化三チタンのTiの一部を置換原子で置換した構造を有しうる。β型相は、非磁性の半導体である。β型相は、加熱されると吸熱しながら相転移する。言い換えれば、β型相を有する置換型五酸化三チタンは、β−五酸化三チタンと同様に、相転移温度を有している。また、β型相は、加熱されることで、λ−五酸化三チタン型の結晶構造を有する相(λ型相)に相転移する場合と、α−五酸化三チタン型の結晶構造を有する相(α型相)に相転移する場合とがある。換言すると、置換型五酸化三チタンは、β型相がλ型相へ相転移する相転移温度を有する場合と、β型相がα型相へ相転移する相転移温度を有する場合と、β型相がλ型相へ相転移する相転移温度を有し、かつβ型相がα型相へ相転移する相転移温度を有する場合とがありうる。
なお、λ型相の結晶構造は、詳しくは、λ−五酸化三チタンのTiの一部を置換原子で置換した構造である。α型相の結晶構造は、詳しくは、α−五酸化三チタンのTiの一部を置換原子で置換した構造である。λ型相とα型相とは、いずれも常磁性の導電体である。本開示において、説明の便宜上、β型相がλ型相へ相転移する場合のβ型相をβ1型相、β型相がα型相へ相転移する相転移温度を有する場合のβ型相をβ2型相という。また、発明者らは、β1型相を有するための置換型五酸化三チタンの製造条件と、β2型相を有するための置換型五酸化三チタンの製造条件とを、見出している。具体的な製造条件については後述する。
そして、発明者らは、鋭意検討の結果、特にFe(鉄),Ta(タンタル),Lu(ルテチウム),Al(アルミニウム)及びNb(ニオブ)からなる群から選択される少なくとも一種からなる置換原子で置換された組成を有する、置換型五酸化三チタンに想到するに至った。
すなわち、置換型五酸化三チタンは、五酸化三チタン(Ti35)のTiの一部を、Fe,Ta,Lu,Al,及びNbからなる群から選択される少なくとも一種からなる置換原子で置換した組成を有する。置換型五酸化三チタンは、五酸化三チタンのTiの一部が、上記からなる群から選択される少なくとも一種からなる置換原子で置換されていることで、五酸化三チタンよりも低い又は高い相転移温度を有することができる。置換型五酸化三チタンが、五酸化三チタンより低い又は高い相転移温度を有する(言い換えれば、相転移温度が五酸化三チタンとは異なる)のは、例えば以下の理由によると考えられる。
五酸化三チタンの結晶構造中でチタン原子(Ti)が占有するサイト(Tiサイトともいう)を3価又は4価のイオンとなる原子で置換すると、結晶構造に歪みが生じやすくなる。特に、置換原子が、Fe,Ta,Lu及びAlからなる群から選択される少なくとも一種である場合、又は置換原子が、Fe,Ta,Lu,Al,及びNbからなる群から選択される少なくとも2種以上で、かつ置換型五酸化三チタンが相転移する際に必要となるエネルギーを低く抑えうる場合には、対称性の高い高温相のα相の結晶構造により近い構造になる。このため、上記の場合には、置換型五酸化三チタンの相転移温度が、五酸化三チタンの相転移温度よりも低くなる、と考えられる。
一方、置換原子がNbである場合には、置換原子がFe,Ta,Lu若しくはAlのいずれかである場合、及び置換原子がFe,Nb,Ta,Lu及びAlのうち少なくとも2種以上で、かつ置換型五酸化三チタンが相転移する際に必要となるエネルギーを低く抑えうる場合とは逆に、置換型五酸化三チタンの相転移温度は、五酸化三チタンの相転移温度よりも上昇しうる。この理由は、正確には明らかにはされていないが、置換原子がNbであると、置換型五酸化三チタンが相転移する際に必要なエネルギーが五酸化三チタンが相転移する場合に比べて高くなるため、と推定される。また、置換型五酸化三チタンの相転移に必要なエネルギーが高くなることは、置換原子がNbと、Fe,Ta,Lu及びAlからなる群から選択される少なくとも1種とを含み、かつNbの置換量が多い場合にも起こると推定される。
なお、発明者らは、置換型五酸化三チタンが、Ga(ガリウム)、Ge(ゲルマニウム)、Sn(スズ)、W(タングステン)、及びCe(セリウム)からなる群から選択される1種の置換原子で置換された組成を有する場合についても検討を行った。その結果、置換型五酸化三チタンにおけるこれらの置換原子は、3価又は4価のイオンとなる原子であるにもかかわらず、無置換の五酸化三チタンの相転移温度(約190℃)及び吸熱量に対し、大きな変化がみられないことを見出した。この理由は、正確には明らかになっていないが、これらの置換原子の場合、五酸化三チタンにおけるTiサイトへの、上記置換原子による置換がなされていないか、又は置換されていても、相転移前後の結晶構造若しくは電子状態において、五酸化三チタンの結晶構造に近い結晶構造若しくは電子状態を取りうるため、と推定される。
置換型五酸化三チタンは、既に述べたβ型相とλ型相とのうちいずれか一方又は両方を有してもよい。例えば、置換型五酸化三チタンは、その結晶の内部にβ型相とλ型相の結晶構造が混在した多結晶体であってもよい。本開示において、β型相とλ型相とを有する置換型五酸化三チタンのことを、混在型の置換型五酸化三チタンともいう。混在型の置換型五酸化三チタンは、β型相のみを含む置換型五酸化三チタンの粉末とλ型相のみを含む置換型五酸化三チタンの粉末との単純混合物とは明確に区別され、すなわち混在型の置換型五酸化三チタンは、単純混合物とは異なる特性を有する。混在型の置換型五酸化三チタンは、例えばβ型の構造を有する結晶粒からなるβ型相と、λ型の構造を有する結晶粒からなるλ型相とを有する焼結体、又はこの焼結体を粉砕して得られる粉末であってよい。
置換型五酸化三チタンのより具体的な実施形態について、説明する。
(実施形態1)
実施形態1に係る置換型五酸化三チタンは、β型相(β1型相)がλ型相に相転移する相転移温度を少なくとも有する。すなわち、本実施形態に係る置換型五酸化三チタンは、β1型相とλ型相とのうち、少なくとも一方を有する。
置換型五酸化三チタンが加熱されると、β1型相が吸熱してλ型相に相転移する。一方、β1型相がλ型相に相転移した後、置換型五酸化三チタンが単に冷却されただけでは、λ型相の結晶構造は変化せず、λ型相が維持される。
実施形態1に係る置換型五酸化三チタンは、熱応答性以外の外場応答性も有する。すなわち、五酸化三チタン系材料は、外場を与えることでλ−五酸化三チタン型の構造を有するλ型相から、β−五酸化三チタン型の構造を有するβ型相へと相転移することが好ましい。外場応答性とは、相転移を誘起しうる光、圧力、又は電流などの外部から与えられる外的刺激に応じてその物性及び構造等が変化する性質をいう。例えば圧力応答性(圧力特性ともいう)などが外場応答性に含まれる。例えば、置換型五酸化三チタンが加熱されてβ1型相がλ型相に相転移した後、置換型五酸化三チタンが加圧されることでλ型相がβ1型相に相転移しうる。これにより生じたβ1型相は、加圧を解除した後もβ1型相のまま維持される。λ型相をβ1型相に相転移させるために要する圧力は、置換型五酸化三チタンの組成にもよるが、例えば1MPa以上3GPa以下である。外的刺激が光である場合、光はパルス光であることが好ましい。パルス光は、例えばNd:YAGレーザー光である。
λ型相が冷却されただけではλ型相が相転移しないということは、置換型五酸化三チタンが加熱されて相転移温度を超えた場合、その熱履歴が、冷却後も置換型五酸化三チタンに記憶されることを意味する。そのため、例えば置換型五酸化三チタンを、特に、蓄放熱デバイス、及び温度検知用のセンサ素子等に適用する場合に、蓄放熱デバイス、及びセンサ素子等を利用して検知対象の温度が相転移温度を超えたことを検知でき、かつ相転移温度を超えたという熱履歴を、蓄放熱デバイス及び、センサ素子等が記憶することができる。
[β1型相を有する置換型五酸化三チタンの製造方法]
実施形態1に係る置換型五酸化三チタンは、例えば酸化チタンと、Fe,Ta,Lu,Al,及びNbからなる群から選択される少なくとも一種の原子を含有する成分とを混合した混合物を、水素雰囲気下で加熱する、ことで得られる。これにより、β1型相を含む置換型五酸化三チタンが得られる。
実施形態1に係る置換型五酸化三チタンの製造方法について、詳細に説明する。
まず、酸化チタンと、Fe,Ta,Lu,Al,及びNbからなる群から選択される少なくとも一種の原子を含有する成分(以下、置換原子成分ともいう)を用意する。酸化チタンは、二酸化チタンであれば好ましい。二酸化チタンの結晶構造に制限はなく、二酸化チタンはルチル型、アナターゼ型、及びブルッカイト型のいずれでもよい。置換原子成分は、単体であっても化合物であってもよい。
置換原子成分は、例えばγ−Al23(酸化アルミニウム(III))、α−Fe23(酸化鉄(III))、Nb25(酸化ニオブ(V))、Ta25(酸化タンタル(V))、及びLu23(酸化ルテチウム(III))等を含む。
二酸化チタン、及び置換原子成分の量は、置換型五酸化三チタン中のチタン原子と置換原子との比率に応じて調整される。
次に、例えば二酸化チタンの粉末と置換原子成分の粉末とを混合して混合物を調製する。混合物は、例えばペレット状とすることが好ましい。この混合物を電気炉などの焼成炉に入れ、高温の水素ガス雰囲気下で、加熱することで、置換型五酸化三チタンが得られる。具体的には、例えば混合物を、水素ガス、あるいは不活性ガスと水素ガスの混合ガスで満たされた焼成炉内で加熱する。不活性ガスは、例えば窒素ガスである。焼成炉は、例えばタンマン管炉である。加熱する際の焼成炉内の温度は、例えば1200℃以上1600℃以下、加熱時間は、例えば1時間以上24時間以下である。この製造方法により、β1型相を有する置換型五酸化三チタンを製造できる。置換型五酸化三チタンが、β1型相を含むことは、置換型五酸化三チタンのX線回折パターンと、五酸化三チタンのX線回折パターンとを比較することにより確認できる。この置換型五酸化三チタンは、λ型相も含む場合がありうるが、置換型五酸化三チタンに外的刺激、例えば油圧プレス機などで機械的圧力を与えることにより、λ型相をβ1型相に相転移させることができる。より具体的な方法については、後掲の実施例にて詳述する。
この製造方法では、例えば置換原子がFeである場合、置換型五酸化三チタン中のTiと置換原子との合計量に対する置換原子の量(以下、置換割合ともいう)が0より大きく5at%以下の置換型五酸化三チタンが得られる。置換原子がTaである場合、置換割合が0より大きく10at%以下の置換型五酸化三チタンが得られる。置換原子がLuである場合、置換割合が0より大きく5at%以下の置換型五酸化三チタンが得られる。置換原子がAlである場合、置換割合が0より大きく4at%以下の置換型五酸化三チタンが得られる。置換原子がNbである場合、置換割合が0より大きく20at%以下の置換型五酸化三チタンが得られる。また、置換原子がAl及びFeである場合、Tiと置換原子の合計量に対するAl及びFeの各々の割合が0より大きく1.5at%以下の置換型五酸化三チタンが得られる。なお、置換原子、置換原子の組合せ、及び置換割合の設定はこれらに限られるものではなく、目的の置換型五酸化三チタンの組成に応じて適宜調整すればよい。
また、β1型相を含む置換型五酸化三チタンは、上記の方法以外の方法で製造することも可能である。例えば、β1型相を含む置換型五酸化三チタンは、酸化チタンと、Fe,Ta,Lu,Al,及びNbからなる群から選択される少なくとも一種の原子を含有する成分(置換原子成分)とを混合した混合物を、不活性ガス雰囲気下でアーク放電に曝露することにより、作製することができる。この場合、β1型相とλ型相とを含む置換型五酸化三チタンが得られる。置換型五酸化三チタンが、β1型相とλ型相とを含むことは、置換型五酸化三チタンのX線回折パターンと五酸化三チタンのX線回折パターンとを比較することにより確認できる。この製造方法では、酸化チタンと、置換原子成分を含む混合物中に、更に金属チタンを配合することも好ましい。混合物が金属チタンを含む場合、後述するアーク放電を発生しやすくすることができる。
具体的には、例えば、まず二酸化チタンと、置換原子成分と、金属チタンと、を用意する。二酸化チタン、及び置換原子成分は、上記で説明したものと同じであってよい。金属チタン、二酸化チタン及び置換原子成分の量は、置換型五酸化三チタン中のチタン原子と置換原子との比率に応じて調整することができる。例えば、二酸化チタンの粉末と、置換原子成分の粉末と、金属チタンの粉末とを混合し、混合物を調製する。混合物は、例えばペレット状とすることが好ましい。この混合物を、例えばアーク炉(アーク焼結炉)に入れ、不活性ガス雰囲気下でアーク放電に曝露することで溶融させる。不活性ガスは、例えばアルゴンガスである。続いて、アーク放電に曝露した混合物を水冷などで急速に冷やすことで、λ型相とβ1型相とを含む置換型五酸化三チタンが得られる。より具体的な方法については、後掲の実施例にて詳述する。
この製造方法では、例えば置換原子がAlである場合、置換割合が1at%以上の置換型五酸化三チタンが得られる。例えば、置換原子がNbである場合、置換割合が10at%以上の置換型五酸化三チタンが得られる。なお、これらの置換原子及び置換割合は、一例として示したものであり、これらに限定されるものではない。
(実施形態2)
実施形態2に係る置換型五酸化三チタンは、β型相(β2型相)がα型相に相転移する相転移温度を有する。すなわち、本実施形態に係る置換型五酸化三チタンは、β2型相とα型相とのうち、少なくとも一方を有する。
実施形態2に係る置換型五酸化三チタンは、加熱されると、β2型相が吸熱してα型相に相転移する。また、β2型相がα型相に相転移した後、置換型五酸化三チタンが冷却されると、α型相が放熱してβ2型相に相転移する。すなわち、本実施形態に係る置換型五酸化三チタンは、β2型相がα型相に相転移する相転移温度だけでなく、α型相がβ2型相に相転移する相転移温度も有する。このため、本実施形態に係る置換型五酸化三チタンを、例えば温度検知用のセンサ素子、及び蓄放熱デバイス等に適用した場合、繰り返し使用可能なセンサ素子、及び蓄放熱デバイス等を得ることができる。また、本実施形態に係る置換型五酸化三チタンは、温度に応答して可逆的に相転移できるため、優れた蓄放熱特性を有する。すなわち、本実施形態に係る置換型五酸化三チタンは、五酸化三チタンとは異なる相転移温度を有しており、優れた蓄放熱特性を有することができる。
[β2型相を有する置換型五酸化三チタンの製造方法]
実施形態2に係る置換型五酸化三チタンの製造方法について説明する。
本実施形態に係る置換型五酸化三チタンは、酸化チタンと、Fe,Ta,Lu,Al,及びNbからなる群から選択される少なくとも一種の原子を含有する成分(置換原子成分)とを混合した混合物を、不活性ガス雰囲気下でアーク放電に曝露することで得られる。この場合、β2型相を含む置換型五酸化三チタンが得られる。置換型五酸化三チタンが、β2型相を含むことは、置換型五酸化三チタンのX線回折パターンと五酸化三チタンのX線回折パターンとを比較することにより確認できる。
本実施形態に係る置換型五酸化三チタンの製造にあたっては、酸化チタンと、置換原子成分を含む混合物中に、更に金属チタンを配合することも好ましい。混合物が金属チタンを含む場合、混合物の導電性の向上により、アーク放電を発生しやすくすることができる。このため、β2型相を含む置換型五酸化三チタンの製造効率が向上しうる。また、この場合、金属チタンと二酸化チタンとの配合量を適宜調整することで、目的とする組成を有するβ2型相を含む置換型五酸化三チタンの構造を得やすい。
β2型相を含む置換型五酸化三チタンは、具体的には、例えば次のように製造できる。
まず、二酸化チタンと、置換原子成分と、金属チタンとを用意する。二酸化チタン、及び置換原子成分は、上記の実施形態1で説明したものと同じであってよい。金属チタン、二酸化チタン、及び置換原子成分の量は、置換型五酸化三チタン中のチタン原子と置換原子との比率に応じて調整することができる。
次に、例えば二酸化チタンの粉末と、置換原子成分の粉末と、金属チタンの粉末とを混合し、混合物を調製する。混合物は、例えばペレット状とすることが好ましい。この混合物を、例えばアーク炉(アーク焼結炉)に入れ、不活性ガス雰囲気下でアーク放電に曝露することで溶融させる。不活性ガスは、例えばアルゴンガスである。続いて、アーク放電に曝露した混合物を水冷などで急速に冷やすことで、β2型相を有する置換型五酸化三チタンが得られる。より具体的な方法については、後掲の実施例にて詳述する。
この製造方法では、例えば、置換原子がFeである場合、置換割合が0より大きく3at%以下の置換型五酸化三チタンが得られる。置換原子がTaである場合、置換割合が0より大きく5at%以下の置換型五酸化三チタンが得られる。置換原子がLuである場合、置換割合が0より大きく5at%以下の置換型五酸化三チタンが得られる。置換原子がAlである場合、置換割合が0より大きく3at%以下の置換型五酸化三チタンが得られる。置換原子がNbである場合、置換割合が0より大きく20at%以下の置換型五酸化三チタンが得られる。また、この製造方法では、置換原子がAl及びNbである場合、Tiと置換原子との合計量に対するAl及びNbの各々の割合が0より大きく3at%以下の置換型五酸化三チタンが得られる。置換原子がAl及びFeである場合、Tiと置換原子との合計量に対するAl及びNbの各々の割合が0より大きく1.5at%以下の置換型五酸化三チタンが得られる。置換原子がTa及びLuである場合、Tiと置換原子との合計量に対するTa及びLuの各々の割合が0より大きく3at%以下の置換型五酸化三チタンが得られる。なお、置換原子、置換原子の組合せ、置換割合の設定はこれらに限られるものではなく、目的の置換型五酸化三チタンの組成に応じて適宜調整すればよい。
(実施形態3)
実施形態3に係る置換型五酸化三チタンは、β型相(β1型相)がλ型相に相転移する相転移温度(以下、T1ともいう)と、β型相(β2型相)がα型相に相転移する相転移温度(以下、T2ともいう)とを有する。β2型相とα型相とは、熱に応答して可逆的に相転移するため、本実施形態に係る置換型五酸化三チタンは、α型相がβ型相(β2型相)に相転移する相転移温度(以下、T3ともいう)も有する。すなわち、本実施形態に係る置換型五酸化三チタンは、β1型相とλ型相とのうち少なくとも一方と、β2型相とα型相とのうち少なくとも一方とを、有する。
実施形態3に係る置換型五酸化三チタンにおける三種類の相転移温度の間には、例えば「T3<T1<T2」の関係が成立しうる。この場合、置換型五酸化三チタンが加熱されると、まずT1においてβ1型相がλ型相に相転移し、更に加熱されるとT2においてβ2型相がα型相に相転移する。続いて、置換型五酸化三チタンが冷却されると、T3においてα型相がβ2相に相転移するが、λ型相は相転移せずに維持される。このように冷却後の置換型五酸化三チタンにλ型相が存在することは、置換型五酸化三チタンが加熱されたT1及びT2を順次超えた場合、その熱履歴が冷却後も置換型五酸化三チタンに記憶されることを意味する。そのため、例えば置換型五酸化三チタンを、特に、蓄放熱デバイス、及び温度検知用のセンサ素子等に適用する場合に、蓄放熱デバイス及び、センサ素子等を利用して検知対象の温度がT1及びT2を超えたことを検知でき、かつT2を超えた場合にはその熱履歴を蓄放熱デバイス、及びセンサ素子等が記憶することができる。
置換型五酸化三チタンにおける置換原子について、具体的に説明する。
置換原子がFe,Ta及びLuからなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。この場合、五酸化三チタン系材料は、五酸化三チタンよりも低い相転移温度を有することができる。置換原子がFe,Ta及びLuからなる群から選択される少なくとも一種である場合、五酸化三チタン中のTiと置換原子との合計量に対する、置換原子の量は、0at%超20at%以下であることが好ましい。具体的には、置換原子がFeを含む場合、五酸化三チタン中のTiと置換原子との合計量に対する、置換原子の量は、0at%超20at%以下であることが好ましい。置換原子がTaを含む場合、五酸化三チタン中のTiと置換原子との合計量に対する、置換原子の量は、0at%超20at%以下であることも好ましい。置換原子がLuを含む場合、五酸化三チタン中のTiと置換原子との合計量に対する、置換原子の量は、0at%超20at%以下であることも好ましい。置換原子がFe,Ta及びLuからなる群から選択される少なくとも一種である場合、五酸化三チタン中のTiと置換原子との合計量に対する、置換原子の量は、1at%以上10at%以下であることがより好ましい。
置換原子がFeである場合、β−五酸化三チタン型の構造を有するβ型相から、λ−五酸化三チタン型の構造を有するλ型相へと相転移する相転移温度を有することが好ましい。この場合、相転移温度が100℃以下となる蓄放熱材料を作製可能である。そのため、この置換型五酸化三チタンを蓄放熱材料として用いると、例えば沸点程度まで加熱させた水を利用して、置換型五酸化三チタンに吸熱させることが可能である。また、置換原子がFeである場合、五酸化三チタン中のTiとFeとの合計量に対する、Feの量は、5at%以上であってもよい。
置換原子がAlである場合、置換型五酸化三チタンの相転移温度は、117℃以下であることが好ましい。この場合、五酸化三チタン系材料を、五酸化三チタンに対してより低い温度に適応可能な蓄放熱材料として採用することが可能である。置換原子がAlである場合、置換型五酸化三チタンの相転移温度は、100℃以下であればより好ましく、90℃以下であれば更に好ましい。特に、相転移温度が100℃以下であれば、例えば沸点程度まで加熱させた水を利用して、置換型五酸化三チタンに吸熱させることが可能である。この場合において、五酸化三チタン中のTiとAlとの合計量に対する、Alの量は、0at%以上5at%以下であることがより好ましい。
置換原子がNbである場合、β−五酸化三チタン型の構造を有するβ型相から、α−五酸化三チタン型の構造を有するα型相へと相転移する相転移温度を有することが好ましい。この場合、置換型五酸化三チタンは、優れた蓄放熱特性を有することができる。すなわち、五酸化三チタン系材料は、蓄放熱材料として特に好適に用いることが可能である。また、置換原子がNbである場合、五酸化三チタン中のTiとNbとの合計量に対する、Nbの量は、6at%超であることも好ましい。この場合、置換型五酸化三チタンは、高温に加熱された場合にも吸熱可能であり、優れた蓄放熱特性を有することができる。置換原子がNbである場合、五酸化三チタン中のTiとNbとの合計量に対する、Nbの量は、20at%以下であることも好ましい。
五酸化三チタン系材料は、五酸化三チタン(Ti35)のTiの一部を、Al,Fe,Nb,Ta及びLuからなる群から選択される少なくとも二種以上の置換原子で置換した組成を有することも好ましい。この場合、五酸化三チタン系材料は、五酸化三チタンよりも低い相転移温度を有することができる。なお、置換原子の組み合わせ、及び各含有割合については、適宜調整すればよい。
次に、上記で説明した五酸化三チタン系材料を備える蓄放熱デバイス、及び(熱管理)システムについて説明する。なお、本実施形態の五酸化三チタン系材料の用途は、以下で説明する蓄放熱デバイス、及び蓄放熱マネジメントシステム等に限られず、例えばセンサ素子、断熱材、及び蓄熱材等の用途にも適用可能である。
[蓄放熱デバイス]
本実施形態に係る蓄放熱デバイス1の概要について説明する。
蓄放熱デバイス1は、上記で説明した五酸化三チタン系材料を備える。蓄放熱デバイス1は、蓄放熱デバイス1の周囲にある熱を吸熱する機能を有する。すなわち、本実施形態の蓄放熱デバイス1は、吸熱可能であり、それにより吸収した熱を蓄えることができるため、熱を蓄える蓄熱装置、及び蓄放熱装置等の装置に適用可能である。この場合、蓄放熱デバイス1は、吸熱デバイスとして機能しうる。具体的には、蓄放熱デバイス1は、例えば周囲の熱が伝達されることにより、蓄放熱デバイス1の温度が上昇し、蓄放熱デバイス1における五酸化三チタン系材料がその相転移温度を超える温度に達すると、熱を吸収する。そして、蓄放熱デバイス1は、吸収した熱を蓄えうる。これにより、蓄放熱デバイス1は、蓄放熱デバイス1の周囲にある、例えば電子部品、電子デバイス、及び電子機器などの発熱部分から生じた熱により、電子部品、電子デバイス、及び電子機器等の温度が上昇した場合であっても、蓄放熱デバイス1が蓄熱することで、周囲の温度を高温にまで上昇することを抑制しうる。したがって、蓄放熱デバイス1は、周囲の発熱部品等の温度が上昇しすぎること(発熱の暴走など)を抑制可能である。
蓄放熱デバイス1は、五酸化三チタン系材料が蓄熱した熱を放熱する機能を有することも好ましい。この場合、蓄放熱デバイス1は、放熱(発熱)デバイスとして機能しうる。このため、蓄放熱デバイス1は、例えば熱の供給を必要とする熱供給装置等に適用可能である。熱供給装置としては、例えば車両等に搭載される空調装置内の流体を加熱する流体加熱装置、内燃機関内を流動する作動流体を加熱する流体加熱装置、及び半導体装置等の流体流路における流体加熱装置等が挙げられる。蓄放熱デバイス1の放熱は、例えば五酸化三チタン系材料に熱を与えることで蓄熱状態となったλ型相の置換型五酸化三チタンに、更に外場を与え、相転移をさせることで達成しうる。また、蓄放熱デバイス1の放熱は、五酸化三チタン系材料に熱を与えることで蓄熱状態としたα型相の置換型五酸化三チタンを冷却し、置換型五酸化三チタンが相転移する温度以上に冷却されることで達成しうる。なお、蓄熱状態のα型相は、上記のとおり、冷却されることで吸熱した熱を放熱しうるが、急冷されない限り、加熱時に相転移温度で吸熱した熱量をそのまま一気に放出するものではない。ここでいう、急冷とは、例えば冷却速度100℃/min以上で冷却する場合をいう。
蓄放熱デバイス1における五酸化三チタン系材料は、吸熱して相転移する際に、物性変化が生じうる。このため、蓄放熱デバイス1は、五酸化三チタン系材料の物性変化を検出することで蓄放熱デバイス1の周囲の温度が相転移温度に達しているか否かを検知できる。このため、蓄放熱デバイス1を温度センサとしても利用可能であり、この場合、例えば蓄放熱デバイス1を、蓄放熱デバイス1を用いた検出結果に基づく制御動作を行う電子デバイス等の電子機器にも適用可能である。また、蓄放熱デバイス1は、相転移温度で熱を吸収するため、吸収する熱量を検知する対象としてもよい。この場合、五酸化三チタン系材料が蓄熱可能な熱エネルギーの総量(吸熱量)に対して、温度変化が生じた際の吸収・放出可能な熱エネルギーの量を検知することができる。すなわち、蓄放熱デバイス1は、熱量センサとしても利用可能である。なお、蓄放熱デバイス1の用途は前記のみに限られず、例えば蓄放熱デバイス1は、蓄放熱機能を有するシートとして使用されてもよい。
蓄放熱デバイス1がセンサとして機能する場合について、具体的に説明する。
蓄放熱デバイス1は、既に説明したとおり、五酸化三チタン系材料を備えるため、五酸化三チタン系材料の固相−固相間の相転移に伴う物性の変化に基づいて、温度変化又は吸熱量の変化を検知することができる。このため、蓄放熱デバイス1は、例えば温度又は吸熱量を検知するためのセンサとして機能するセンサ素子として用いることができる。この場合、センサ素子は、例えば五酸化三チタン系材料の温度が相転移温度を超えた場合に、相転移に伴う五酸化三チタン系材料の物性の不連続な変化又はこの変化に起因して生じる現象を出力しうる。また、既に説明したとおり、五酸化三チタン系材料は、β型相からλ型相に相転移する置換型五酸化三チタンを含有すると、光、圧力、又は電流といった、温度以外の外場に応答して相転移することもできる。このため、蓄放熱デバイス1は、適宜の外場を検知するためのセンサ素子に適用することもできる。
蓄放熱デバイス1がセンサ素子として機能する場合、センサ素子の出力としては、相転移に伴って変化する物性である電気伝導度(電気伝導率)、色、磁性(磁化率)、体積変化(比重変化)、又は熱伝導度(熱伝導率)等が挙げられる。
電気伝導度に関しては、五酸化三チタン系材料において、β相及びβ型相は半導体であり、λ相、λ型相、α相及びα型相は導電体である。そのため、センサ素子は電気伝導度の変化を出力することができる。なお、センサ素子は、一定電流が流されている場合の電気伝導度の変化に伴う電圧の変化、一定電圧が印加されている場合の電気伝導度の変化に伴う電流の変化といった、電気伝導度の変化に伴って生じる現象を出力してもよい。
色に関しては、β−五酸化三チタンは赤色又は赤褐色、λ−五酸化三チタンは黒青色又は青色である。また、β型相は赤色又は赤褐色、λ型相は黒青色又は青色、及びα型相は黒色である。このため、センサ素子は、五酸化三チタン系材料の相転移による色の変化を出力することができる。
磁性に関しては、β−五酸化三チタンは非磁性であり、λ−五酸化三チタンは常磁性である。また、β型相は非磁性であり、λ型相及びα型相は常磁性である。このため、センサ素子は、五酸化三チタン系材料の相転移による磁性の変化を出力できる。
熱伝導率に関しては、五酸化三チタン系材料は、相転移に伴い比熱が変化するため、例えばその比熱の変化に基づく、熱伝導率及び熱拡散率等の変化を出力してもよい。
また、体積に関しては、五酸化三チタン系材料の相転移に際しては体積変化が生じうるため、その体積変化又は比重変化に基づく物性の変化を出力してもよい。
なお、センサ素子の出力は上記に制限されない。また、上記で説明した出力は、蓄放熱デバイス1がセンサ素子として機能する場合に限らず、蓄放熱デバイス1自体の出力であってもよい。
センサ素子は、例えば五酸化三チタン系材料を含有する成形体を備える。成形体は、置換型五酸化三チタンを含有していればよく、センサ素子の使用目的を阻害しない限り、成形体は、必要により五酸化三チタン系材料以外の成分を含有してもよい。五酸化三チタン系材料以外の成分としては、例えばバインダとして機能する樹脂成分が挙げられる。そのため、成形体は、五酸化三チタン系材料を樹脂成分などに配合して調製した組成物から作製されてもよい。成形体は適宜の形状を有することができる。例えば、置換型五酸化三チタンを成形機で成形して、円柱形状の成形体を得ることができるが、これに限定されない。センサ素子の寸法は用途などに応じて適宜調整すればよい。成形体の形状は、シート状であることも好ましい。すなわち、蓄放熱デバイス1がシート状であることも好ましい。なお、蓄放熱デバイス1がシート状である場合については、後に詳述する。
センサ素子は、成形体に電気的に接続されている電極を備えてもよい。センサ素子は、例えば二つ電極を備え、二つの電極の間に成形体が介在するように電極と成形体とが積層されている。センサ素子が電極を備えると、センサ素子は、電極を通じて出力を発することができる。なお、センサ素子自体は電極を備えず、センサ素子から出力を得る場合にセンサ素子に電極を電気的に接続してもよい。
電極は、例えば金属、導電性酸化物、カーボン材料、又は導電性高分子などから作製される。金属としては、例えば、Al、Ag、Au、Cu、又はPtなどが挙げられる。導電性酸化物としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO:Indium Tin Oxide)などが挙げられる。カーボン材料としては、例えば、グラファイトなどが挙げられる。導電性高分子としては、例えば、ポリチオフェン系ポリマー、ポリアニリン系ポリマー、又はポリアセチレン系ポリマーなどが挙げられる。
センサ素子の出力を検出する装置は、例えば電気抵抗値変化を検出する装置を例に挙げたが、これには限られない。例えば、センサ素子の出力を検出する装置は、比熱変化を適宜の方法で検出可能に構成された比熱測定装置、色変化を検出するように構成されたスペクトル測定装置、磁性変化を検出する磁性測定器、又は比重の変化を測定する比重測定器などであってもよい。
このように、本実施形態に係る蓄放熱デバイス1は、周囲の外的刺激に応答可能な種々の用途のセンサとして用いることができる。すなわち、蓄放熱デバイス1は、温度を検知するセンサとしての機能を有することができる。例えば、蓄放熱デバイス1は、センサ素子単体であってもよいし、センサ機能とそれ以外の機能を備えるデバイスであってよい。
蓄放熱デバイス1の用途について、図3を参照し、具体的な例を挙げて説明する。
図3では、蓄放熱デバイス1は、シート状に形成されている。具体的には、蓄放熱デバイス1は、シート材11と、第一電極12と、第二電極13と、検出部16とを備える。シート材11は、五酸化三チタン系材料を含む。シート材11は、吸熱と放熱とのいずれか一方又は両方の機能を有しうる。第一電極12は、シート材11の第一面11a上に配置されている。第二電極13は、シート材11の第一面11aとは反対側の第二面11b上に配置されている。第一電極12と第二電極13とは、シート材11を介して電気的に接続されており、図3では、シート材11の反対側に各々位置する一対の電極である。検出部16は、第一電極12と第二電極13とを介してシート材11と電気的に接続されている。このため、蓄放熱デバイス1は、シート材11で、蓄放熱デバイス1の外部又は内部にある、例えば発熱体4からの熱を検知することができる。
一対の電極である第一電極12及び第二電極13の位置、形状、及び寸法は特に制限されない。例えば、第一電極12及び第二電極13はいずれも、シート材11の同一面上(例えば第一面11a上)に配置されていてもよい。第一電極12及び第二電極13の各々は、上記のセンサ素子における電極について説明したものと同じであってよい。
検出部16は、第一電極12及び第二電極13を使用してシート材11の電気特性を検出できる。これにより、例えば蓄放熱デバイス1と、熱を発生しうる発熱体4とが熱的に接続されていると、蓄放熱デバイス1は、検出部16でシート材11における五酸化三チタン系材料の電気特性の変化を検出することで、相転移温度に達する温度に到達したことを検出可能である。
検出部16は、例えば電気抵抗を検出する機能を有する電気抵抗検出器であってもよい。この場合、蓄放熱デバイス1は、検出部16によって、例えばシート材11における五酸化三チタン系材料が、例えば発熱体4が発した熱を受けて相転移温度に到達したことを検出できる。
発熱体4は、特に制限されず、蓄放熱デバイス1の周囲又は内部に設けられるものであってよい。発熱体4は、例えば外部電源等からの給電により発熱する発熱部品等であってよい。発熱部品とは、例えば駆動するために与えられたエネルギーの一部を熱に変換して放出する電子部品をいう。発熱部品は、特に制限されないが、発熱部品の具体的な例は、中央処理装置(CPU)、パワーマネージメントIC(PMIC)、パワーアンプ(PA)、トランシーバーIC、ボルテージレギュレータ(VR)などの集積回路(IC);発光ダイオード(LED)、白熱電球、半導体レーザーなどの発光素子;電界効果トランジスタ(FET)などの能動素子;コイル、コンデンサ、抵抗などの受動素子等からなる群から選択される少なくとも一種を含む。発熱体4の他の例として、具体的には、家電製品、照明器具、医療機器、電気炉、配電盤、湯沸かし器、防曇器具、凍結防止器具等を挙げることができる。
検出部16は、例えばシート材11における五酸化三チタン系材料が相転移の際に変化しうる、熱伝導率、磁性、比重、及び波長特性等の物性の変化を検出するものであってもよい。特に、蓄放熱デバイス1は、五酸化三チタン系材料の電気伝導率と熱伝導率とのうちのいずれか一方又は両方の物性の変化を検出することが好ましい。蓄放熱デバイス1における検出部16の数に特に制限はなく、検出部16の数は1つであってもよいし、複数であってもよい。
蓄放熱デバイス1は、上記の構成に限られず、適宜の機能を有する部材を備えていてもよい。例えば、蓄放熱デバイス1は、検出部16で検出した結果に基づいて蓄放熱デバイス1又は発熱体4の動作を制御する制御部17を備えてもよい。蓄放熱デバイス1が制御部17を備えると、例えば蓄放熱デバイス1が発熱体4から過剰な熱を受けた場合であっても、蓄放熱デバイス1の動作を緩和、又は停止することができる。また、蓄放熱デバイス1は、例えばシート材11、第一電極12、及び第二電極13を支持する支持部材(不図示)を備えてもよい。支持部材の材質、寸法、及び形状は、特に制限されない。
[熱管理システム]
本実施形態に係る熱管理システムの概要について説明する。
本実施形態に係る熱管理システム10は、図4に示すように、上記で説明した蓄放熱デバイス10と、蓄放熱デバイス1の出力に基づいて管理処理を行う処理部5と、を備える。蓄放熱デバイス1は、五酸化三チタン系材料を備えている。蓄放熱デバイス1は、五酸化三チタン系材料の相転移に伴う物性の変化を検出しうる。そして、処理部5は、蓄放熱デバイス1の検出結果に基づいて、管理処理を行う。熱管理システム10において、蓄放熱デバイス1は、既に説明したセンサとして機能しうる。また、蓄放熱デバイス1は、吸熱と放熱とのいずれか一方又は両方の機能を有している。
具体的には、図4においては、熱管理システム10は、電子機器等の電子デバイス40における発熱体4から発生する熱を検知することで、電子デバイス40の管理を行うシステムである。そのため、熱管理システム10は、電子デバイス40における発熱体4が発熱した際に、蓄放熱デバイス1が、電子デバイス40の通常使用時の温度を超えた発熱状態を検知した場合、処理部5にて適切な管理処理を行う。なお、電子デバイス40については後に詳述する。
熱管理システム10では、発熱体4を、蓄放熱デバイス1が温度を検出するための温度検出の対象とする。また、熱管理システム10では、発熱体4が所定の温度を超えた状態を、管理処理の対象とする。また、熱管理システム10は、複数の発熱体4を含む電子デバイス40を管理することも可能である。熱管理システム10は、例えば電子デバイス40において、発熱体4が、電気負荷(例えば電子回路)41と電気的に接続され、かつ外部電源42と電気的に接続されている。これにより、電子デバイス40及び発熱体4には、外部電源42から電力が供給されうる。そして、熱管理システム10は、電子デバイス40、発熱体4、電気負荷41等への電力供給を制御する。
熱管理システム10において、蓄放熱デバイス1は、発熱体4と熱的に接続されている。そのため、発熱体4で発生した熱は、蓄放熱デバイス1に伝達可能である。蓄放熱デバイス1は、既に説明した通り、五酸化三チタン系材料(すなわち置換型五酸化三チタン)を備えるため、五酸化三チタン系材料の温度が相転移温度を超えた場合に相転移に伴う置換型五酸化三チタンの物性の変化、又はこの変化に起因して生じる現象を出力する。
処理部5は、蓄放熱デバイス1の出力に基づいて管理処理を行う機能を有する。蓄放熱デバイス1の出力に基づくとは、蓄放熱デバイス1自体からの直接の出力だけでなく、間接的な出力を含む。間接的な出力とは、例えば物性を検出するための物性検出部(不図示)、物性検出部からの出力を所定の出力信号に変換する変換部(不図示)などといった所定の機能を有する各機能部を介して他の信号に変換された出力を含む。そのため、処理部5は、蓄放熱デバイス1と直接接続されていてもよいし、間接的に接続されていてもよい。管理処理は、例えば発熱体4を含む電子デバイス40の動作の抑制、電子デバイス40の状態の判定、電子デバイス40の異常の通知、及び電子デバイス40の異常回路の切替えなどといった処理が挙げられるが、これに限られない。
処理部5は、例えば少なくともプロセッサ、及びメモリを有するコンピュータを介して様々な管理処理を行う。各機能はメモリに記憶されているプログラムをプロセッサが実行することにより実現される。このプログラムはインターネットのような電気通信回線を通じて提供されるか、又はコンピュータで読み取り可能な非一時的記録媒体により提供されてもよい。そのため、処理部5は、蓄放熱デバイス1の出力に基づき、例えばメモリに記憶されたプログラムに従って、管理処理を、出力に対応させて実行することができる。そのため、例えば発熱体4の発熱が、異常と判定された場合には、電子デバイス40と外部電源42とを繋ぐ回路の給電路を制御することにより、電子デバイス40の動作が制御される。また、処理部5は、通信部を介して外部の端末などに異常情報を送信して異常を通知することができる。
熱管理システム10について、更に具体的に説明する。
熱管理システム10は、発熱体4の発熱に基づく温度変化又は熱量変化を検出することにより、電子デバイス40の動作を制御するように構成されたシステムである。熱管理システム10は、更に検出部6と、制御部7とを備える。検出部6は、例えば蓄放熱デバイス1における五酸化三チタン系材料の相転移による電気抵抗値の変化を検出する。制御部7は、検出部6で検出された電気抵抗値に基づいて、電子デバイス40の動作を制御するように処理部5に制御信号を送信する。これにより、熱管理システム10は、発熱体4の発熱による異常発生の有無を判定するとともに、異常が発生した場合の電子デバイス40の動作を抑制することができる。さらに、熱管理システム10では、発熱体4の発熱による異常が発生し、発熱体4周囲の温度が上昇しても、蓄放熱デバイス1中の置換型五酸化三チタンの相転移温度で吸熱できるため、発熱体4の周囲の温度が上がり過ぎることを抑制しうる。
検出部6は、蓄放熱デバイス1における五酸化三チタン系材料が発熱体4の発熱による温度変化に基づく相転移した場合の、五酸化三チタン系材料の物性変化に基づく蓄放熱デバイスの電気抵抗値等の変化を検出する。
検出部6が電気抵抗値を検出する機能を有する場合、検出部6は、例えば蓄放熱デバイス1に定電流を流した状態で、蓄放熱デバイス1の両端電圧を測定することで、蓄放熱デバイス1の電気抵抗値を測定する。この場合、検出部6は、発熱体4と熱的に接続された蓄放熱デバイス1における五酸化三チタン系材料が、発熱体4からの発熱によって相転移した際の、電気抵抗値の変化を検出する。処理部5は、検出された電気抵抗値の変化量が、閾値を超えたことを検出することで、発熱体4及び電子デバイス40に発熱などの異常が発生したことを判別することができる。そして、処理部5は、相転移後の電気抵抗値を検出した信号に基づいて、制御部7により電子デバイス40の動作を制御する制御信号を処理部5に送信し、処理部5で受け取った制御信号により管理処理を行う。
検出部6は、例えば電気抵抗値を常時検出し測定されるように構成される。この場合、常時検出し測定される電気抵抗値が、蓄放熱デバイス1における五酸化三チタン系材料の相転移の前後のタイミングで変化する。常時検出し測定される電気抵抗値が、予め相転移前後の電気抵抗値の差分に基づき決定された閾値を超えた場合に、発熱体4及び電子デバイス40等に発熱などの異常が発生したことを判別することができる。そして、熱管理システム10は、検出部6から出力される信号に基づいて、処理部5により電子デバイス40の動作を制御する管理処理を行うことができる。
図4の検出部6は、蓄放熱デバイス1中の五酸化三チタン系材料の相転移に伴う電気抵抗値の変化を検出するものであるが、置換型五酸化三チタンの相転移に伴う物性の変化を検出することができるように構成されていればよい。そのため、電気伝導度以外の物性を検出する検出部であってもよい。他の検出部としては、スペクトル測定装置、比重測定装置、磁性測定装置などが挙げられる。
制御部7は、主に電子デバイス40が駆動する際、電子デバイス40における発熱体4の通常使用時の温度を超えた発熱状態を検出した場合、制御信号をスイッチ51,52又は53に送信するように構成される。スイッチ51,52又は53は、例えば半導体スイッチ又はメカニカルスイッチにて実現される。スイッチ51,52又は53は、発熱体4と外部電源42との間、及び発熱体4と電気負荷41との間に電気的に接続されている。スイッチ51,52又は53は、制御信号に従ってオン/オフし、電子デバイス40(における電気負荷41)の動作を制御する。制御部7は、検出部6で検出された検出結果に基づいて、電子デバイス40の動作を制御可能であればよい。
制御部7には、例えば電子デバイス40とは別の電源から給電されている。なお、制御部7には、電子デバイス40の電圧を監視する電圧監視部(不図示)を備えてもよい。この場合、制御部7は、電圧監視部により検出された電子デバイス40の電圧が所定値を超えたときに、発熱体4への給電路を遮断するように構成されていてもよい。
なお、五酸化三チタン系材料は、温度以外の外場に応答して相転移することができるため、熱管理システム10は、必要により、発熱体4からの発熱を検出して置換型五酸化三チタンがλ型相に相転移した場合に、外場を与えてβ型相に相転移させるための変換機構を備えてもよい。変換機構は、例えば圧力を与える加圧装置、あるいは特定の電圧を与えて応答する圧電素子などとすることができる。変換機構と、蓄放熱デバイス1とは直接的に接触していてもよい。変換機構は、これらに限定されない。また、λ型相からβ型相に相転移する場合には、置換型五酸化三チタンが吸収した熱量を放出(放熱)するため、熱管理システム10は、この熱量を排熱するための排熱機構、又はこの熱量を他のエネルギーへ変換させるエネルギー変換機構を備えてもよい。変換機構、排熱機構、エネルギー変換機構は、制御部7によって制御されるように構成されていればよい。これらの機構は特に限定されるものではなく、使用の用途、目的に応じて適宜設けることができる。
本実施形態では、発熱体4を温度検出の対象とし、この発熱体4が所定の温度を超えた状態を管理処理の対象とするが、本発明はこれに限定されない。その例として、処理部5は、温度検出の対象である発熱体4は給電により発熱する発熱部分などであればよく、管理処理の対象が、この温度検出の対象に関連するものであってもよい。給電により発熱する発熱体としては、例えば、既に説明したとおり、家電製品、照明器具、医療機器、電気炉、配電盤、湯沸かし器、防曇器具、凍結防止器具、及び蓄電池などが挙げられる。例えば、家電製品を温度検出の対象、警報機を管理処理の対象とする処理部5は、家電製品の発熱による蓄放熱デバイス1における五酸化三チタン系材料の物性の変化に基づいて警報器が鳴るように構成されていてもよい。また、処理部5は、温度検出の対象が管理処理の対象であってもよい。例えば、温度制御の可能な電気炉を温度検出の対象及び管理処理の対象とする処理部5は、電気炉の発熱による、蓄放熱デバイス1における五酸化三チタン系材料の物性の変化に基づいて電気炉の温度を制御するように構成されていてもよい。
以下、本発明の具体的な実施例を提示する。ただし、本発明は実施例のみに制限されない。
(1)置換型五酸化三チタンの合成
金属チタン粉末(平均粒径約20μm)と、ルチル型二酸化チタンの粉末(平均粒径約5μm)と、表1及び表2の「置換原子」の欄に示す原子を含有する成分とを、表1に示す「置換割合」となるように混合し混合物を調製した。この混合物をペレット化して真空チャンバ内に入れ、アルゴンガス雰囲気下で、ガス圧を約0.05MPaに設定し、アーク放電に曝露させながら加熱焼成した。加熱焼成後に得られる粉末は、水冷式の銅板により、冷却速度約100〜1000℃/minで急速冷却した。これにより、置換型五酸化三チタンの粉末を得、得られた置換型五酸化三チタンの粉末をX線回折装置により、回折測定を行い、その結果と、β1型相又はβ2型相を含む五酸化三チタンのX線回折データとを比較することで、β1型相又はβ2型相を含む置換型五酸化三チタンであることを確認した。
また、置換原子がAlであり、置換割合が1at%及び置換割合が3at%である置換型五酸化三チタンは、以下のような方法によっても合成した。
ルチル型二酸化チタン粉末(平均粒径約5μm)と、表1の「置換原子」の欄に示す原子を含有する成分とを、表1に示す「置換割合」となるように混合し混合物を調製した。この混合物を、焼成炉(タンマン管炉)に入れ、ガス流量1.0L/min以下に設定し、300℃以下で窒素ガス、300℃以上で窒素97%と水素3%の混合ガスに切り替わる設定にし、焼成炉内を、昇温速度2.5℃/minで1470〜1485℃まで昇温させた。そして、加熱温度1470〜1485℃、5〜7時間加熱焼成した。加熱焼成後に得られた粉末を、冷却速度2.5℃/minで室温まで冷却した。これにより、置換型五酸化三チタンの粉末を得、得られた置換型五酸化三チタンの粉末をX線回折装置により、回折測定を行い、その結果と、β1型相又はβ2型相を含む五酸化三チタンのX線回折データとを比較することで、β1型相又はβ2型相を含む置換型五酸化三チタンであることを確認した。
上記で得られた各置換型五酸化三チタン(β1型相)のX線回折パターンを図5(図5A〜図5E)及び図6に示す。図5において、図5Aは、置換原子がFeであり、置換割合を5at%とする置換型五酸化三チタンのX線回折パターンである。図5Bは、置換原子がTaであり、上から順に置換割合を10at%とする置換型五酸化三チタンのX線回折パターンである。図5Cは、置換原子がAlであり、4at%とする置換型五酸化三チタンのX線回折パターンである。図5Dは、置換原子がNbであり、置換割合を20at%とする置換型五酸化三チタンのX線回折パターンである。なお、図5Eには、無置換の五酸化三チタンのX線回折パターンを参考として示す。
また、図6は、置換原子がAl及びFeであり、置換割合をAl1.5at%及びFe1.5at%とする置換型五酸化三チタンのX線回折パターンである。
また、各置換型五酸化三チタン(β2型相)のX線結晶回折パターンを図7(図7A〜図7E)及び図8(図8A〜図8C)に示した。図7において、図7Aは、置換原子がFeであり、上から順に置換割合を3at%、2at%、及び1at%とする置換型五酸化三チタンのX線回折パターンである。図7Bは、置換原子がTaであり、上から順に置換割合を5at%、3at%、及び1at%とする置換型五酸化三チタンのX線回折パターンである。図7Cは、置換原子がLuであり、上から順に置換割合を5at%、3at%、及び1at%とする置換型五酸化三チタンのX線回折パターンである。図7Dは、置換原子がAlであり、上から順に置換割合を3at%、2at%、及び1at%とする置換型五酸化三チタンのX線回折パターンである。図7Eは、置換原子がNbであり、上から順に置換割合を10at%、7at%、5at%、3at%、及び1at%とする置換型五酸化三チタンのX線回折パターンである。
また、図8において、図8Aは、置換原子がAl及びNbであり、上から順に置換割合をAl1.5at%及びNb1.5at%、並びにAl0.5at%及びNb0.5at%とする置換型五酸化三チタンのX線回折パターンである。図8Bは、置換原子がTa及びLuであり、上から順に置換割合をTa1.5at%及びLu1.5at%、並びにTa0.5at%及びLu0.5at%とする置換型五酸化三チタンのX線回折パターンである。図8Cは、置換原子がAl及びFeであり、Al0.5at%及びFe0.5at%とする置換型五酸化三チタンのX線回折パターンである。
なお、表1及び2に示す「置換原子」に対応する置換原子を含有する成分は以下の通りである。また、2種以上の置換原子で置換された成分も下記の対応する成分を1:1の割合で混合して調整した。
・Fe:酸化鉄(III)(α−Fe23)。
・Ta:酸化タンタル(V)(Ta25)。
・Lu:酸化ルテチウム(III)(Lu23)。
・Al:酸化アルミニウム(III)(γ−Al23)。
・Nb:酸化ニオブ(V)(Nb25)。
(2)置換型五酸化三チタンの評価
(2−1)置換型五酸化三チタンの熱的挙動
(1)で得られた各置換型五酸化三チタンの粉末の相転移温度と相転移時の吸熱量を、示差走査熱量測定法で測定した。測定に当たってはDSC装置(セイコー電子工業製 型番DSC 220c)を用い、温度範囲を室温から300℃、Airガスを100mL/min流し、昇温速度を10℃/min、降温(冷却)速度を10℃/minとした。その結果から得られた相転移温度、吸熱量、あるいは放熱量を下記表1及び2に示す。
図1Aに、上記(1)の項目で置換原子をFe、置換割合を5at%として得られた置換型五酸化三チタンの熱的挙動を示すグラフを示した。また、図1Bに、(1)の項目で置換原子をNb、置換割合を10at%として得られた置換型五酸化三チタンの熱的挙動を示すグラフを示した。図1A及び図1Bにおける実線は昇温時の挙動、破線は降温時の挙動である。これにより、(1)の項目のFe置換型五酸化三チタンは、昇温過程では、吸熱を伴って相転移する一方、降温過程では、放熱をせず相転移も生じないことがわかった。すなわち、β1型相を有するFe置換型五酸化三チタンは、昇温過程でλ型相に相転移する一方、降温過程ではλ型相は相転移しないことが示唆された。(1)の項目で得られたFe以外のいずれの置換原子においても、同様の挙動を示した。
また、図1Bに示すように、(1)の項目のNb置換型五酸化三チタンは、昇温過程では、吸熱を伴って相転移し、降温過程では、放熱を伴って相転移することがわかった。すなわち、β2型相を有するNb置換型五酸化三チタンは、昇温過程でα型相に相転移し、降温過程ではα型相からβ2型相に相転移することが示唆された。(1)の項目で得られたNb以外のいずれの置換原子においても、同様の挙動を示した。なお、表2の結果からも明らかなように、置換原子がFe,Ta,Lu及びAlのいずれか1種である場合、又は置換原子が、Fe,Ta,Lu,Al及びNbからなる群から選択される2種である場合、置換型五酸化三チタンは、五酸化三チタンの相転移温度よりも低い相転移温度を有することが示唆された。また、置換原子がNbである場合、置換型五酸化三チタンは、五酸化三チタンの相転移温度よりも高い相転移温度を有することが示唆された。
(2−2)置換型五酸化三チタンの圧力特性(圧力応答性)
上記(1)の項目で得られたFe(置換割合5at%)で置換した置換型五酸化三チタンの粉末を、加圧装置を用いて、1.7GPaの圧力を10秒間加えてから、X線回折測定を再度行った。
図2に、圧力を加える前と加えた後の、実施例1における置換型五酸化三チタンについてのX線回折パターンを示す。図2において、横軸は回折角(2θ:2theta)であり、縦軸は強度(Intensity)である。図2において、圧力を加える前のX線回折パターンを下側に、圧力を加えた後のX線回折パターンを上側に示す。図2によれば、圧力を加えた後のX線回折パターンでは、圧力を加える前のX線回折パターンと比べて、λ相に由来する2θが18度付近の二つのピーク(図2中のピークA)が弱くなり、かつβ相に由来する2θが20.6度付近のピーク(図2中のピークB)が強くなっている。これにより、β1型相を有する、Feで置換した置換型五酸化三チタンは、圧力応答性を有することがわかった。また、他の置換原子においても、同様に圧力応答性を示した。
Figure 2021008389
Figure 2021008389
[まとめ]
以上から明らかなように、本開示に係る第1の態様の五酸化三チタン系材料は、五酸化三チタンのTiの一部を、Fe,Ta,Lu,Al,及びNbからなる群から選択される少なくとも一種からなる置換原子で置換した組成を有する。
第1の態様によれば、五酸化三チタンよりも低い又は高い相転移温度を有する五酸化三チタン系材料が得られる。
第2の態様の五酸化三チタン系材料は、第1の態様において、置換原子は、Fe,Ta,Lu,Al,及びNbからなる群から選択される2種以上である。
第2の態様によれば、五酸化三チタンよりも、低い又は高い相転移温度を有する五酸化三チタン系材料が得られる。
第3の態様の五酸化三チタン系材料は、第1の態様において、置換原子は、Fe,Ta及びLuからなる群から選択される一種の原子である。
第3の態様によれば、五酸化三チタン系材料は、五酸化三チタンよりも、低い又は高い相転移温度を有することができる。
第4の態様の五酸化三チタン系材料は、第1の態様において、置換原子がAlであり、五酸化三チタン系材料の相転移温度は、117℃以下である。
第4の態様によれば、五酸化三チタン系材料は、五酸化三チタンに比べて、特に低い相転移温度を達成できる。
第5の態様の五酸化三チタン系材料は、第1の態様において、置換原子がNbであり、β−五酸化三チタン型の構造を有するβ型相から、α−五酸化三チタン型の構造を有するα型相へと相転移する相転移温度を有する。
第5の態様によれば、五酸化三チタン系材料は、五酸化三チタンよりも、更に高い相転移温度を達成できる。
第6の態様の五酸化三チタン系材料は、第1の態様において、置換原子がNbであり、五酸化三チタン中のTiとNbとの合計量に対する、Nbの量は、6at%超である。
第6の態様によれば、五酸化三チタン系材料は、五酸化三チタンよりも、特に高い相転移温度を達成できる。
第7の態様の五酸化三チタン系材料は、第1から第6の態様のいずれか一つにおいて、五酸化三チタン系材料中のTiと置換原子との合計量に対する置換原子の量は、1at%以上である。
第7の態様によれば、五酸化三チタン系材料は、五酸化三チタンよりも、低い相転移温度を有することができる。
第8の態様に係る五酸化三チタン系材料は、第1から第7の態様のいずれか一つにおいて、五酸化三チタン系材料中のTiと置換原子との合計量に対する置換原子の量は、20at%以下である。
第8の態様によれば、五酸化三チタン系材料は、五酸化三チタンよりも、更に低い相転移温度を有する。
第9の態様の五酸化三チタン系材料は、第1から第8の態様のいずれか一つにおいて、β−五酸化三チタン型の構造を有するβ型相から、λ−五酸化三チタン型の構造を有するλ型相へと相転移する相転移温度を有する。
第9の態様によれば、五酸化三チタンよりも、更に低い相転移温度を有する。
第10の態様の五酸化三チタン系材料は、第1から第9の態様のいずれか一つにおいて、β−五酸化三チタン型の構造を有するβ型相から、α−五酸化三チタン型の構造を有するα型相へと相転移する相転移温度を有する。
第10の態様によれば、五酸化三チタンよりも、更に低い相転移温度を有する。また、この場合、五酸化三チタン系材料は、優れた吸放熱特性を有する。
第11の態様の五酸化三チタン系材料は、第1から第10の態様のいずれか一つにおいて、外場を与えることでλ−五酸化三チタン型の構造を有するλ型相から、β−五酸化三チタン型の構造を有するβ型相へと相転移する。
第11の態様によれば、五酸化三チタン系材料を、温度以外の外的刺激応答性を有するセンサとして利用可能である。
第12の態様の蓄放熱デバイス(1)は、第1から第11のいずれか一つの態様の五酸化三チタン系材料を備える。
第12の態様では、相転移に伴う五酸化三チタン系材料の物性の不連続な変化又はこの変化に起因して生じる現象を出力することができる。また、周囲の外的刺激に応答可能な種々の用途のセンサとして用いることができる。
第13の態様の蓄放熱デバイス(1)は、第12の態様において、五酸化三チタン系材料の相転移温度で吸熱又は放熱する。
第13の態様によれば、蓄放熱デバイス(1)では、検知対象の温度が相転移温度を超えたことを検知でき、かつ相転移温度を超えたという熱履歴を記憶させることができる。
第14の態様の蓄放熱デバイス(1)は、第12又は第13のいずれか一つの態様において、五酸化三チタン系材料の電気伝導率の変化と熱伝導率の変化とのうちいずれか一方又は両方の物性の変化を検出する。
第14の態様では、相転移に伴う五酸化三チタン系材料の物性の不連続な変化又はこの変化に起因して生じる現象を出力することができる。また、周囲の外的刺激に応答可能な種々の用途のセンサとして用いることができる。
第15の態様の蓄放熱デバイス(1)は、第12から第14のいずれか一つの態様において、シート状である。
第15の態様では、相転移に伴う五酸化三チタン系材料の物性の不連続な変化又はこの変化に起因して生じる現象を出力することができる。また、周囲の外的刺激に応答可能な種々の用途のセンサとして用いることができる。
第16の態様の熱管理システム(10)は、第12から第15のいずれか一つの態様の蓄放熱デバイス(1)と、蓄放熱デバイス(1)の検出結果に基づいて管理処理を行う処理部(5)と、を備える。
第16の態様では、蓄放熱デバイス(1)が通常使用時の温度を超えた発熱状態を検知した場合、処理部(5)にて適切な管理処理を行うことができる。
第17の態様の五酸化三チタン系材料の製造方法は、酸化チタンと、Fe,Ta,Lu,Al,及びNbからなる群から選択される少なくとも一種の原子を含有する成分とを混合した混合物を、水素雰囲気下に配置することで加熱する。
第17の態様によれば、五酸化三チタンよりも低い又は高い相転移温度を有する五酸化三チタン系材料を製造することができる。
第18の態様の五酸化三チタン系材料の製造方法は、酸化チタンと、Fe,Ta,Lu,Al,及びNbからなる群から選択される少なくとも一種の原子を含有する成分とを混合した混合物を、不活性ガス雰囲気下でアーク放電に曝露する。
第18の態様によれば、五酸化三チタンよりも低い又は高い相転移温度を有する五酸化三チタン系材料を製造することができる。
1 蓄放熱デバイス
5 処理部
10 熱管理システム

Claims (18)

  1. 五酸化三チタンのTiの一部を、Fe,Ta,Lu,Al,及びNbからなる群から選択される少なくとも一種からなる置換原子で置換した組成を有する、
    五酸化三チタン系材料。
  2. 前記置換原子は、Fe,Ta,Lu,Al,及びNbからなる群から選択される2種以上である、
    請求項1に記載の五酸化三チタン系材料。
  3. 前記置換原子は、Fe,Ta及びLuからなる群から選択される一種の原子である、
    請求項1に記載の五酸化三チタン系材料。
  4. 前記置換原子がAlであり、
    前記五酸化三チタン系材料の相転移温度は、117℃以下である、
    請求項1に記載の五酸化三チタン系材料。
  5. 前記置換原子がNbであり、
    β−五酸化三チタン型の構造を有するβ型相から、α−五酸化三チタン型の構造を有するα型相へと相転移する相転移温度を有する、
    請求項1に記載の五酸化三チタン系材料。
  6. 前記置換原子がNbであり、
    前記五酸化三チタン中のTiと前記Nbとの合計量に対する、前記Nbの量は、6at%超である、
    請求項1に記載の五酸化三チタン系材料。
  7. 前記五酸化三チタン系材料中のTiと前記置換原子との合計量に対する前記置換原子の量は、1at%以上である、
    請求項1から6のいずれか一項に記載の五酸化三チタン系材料。
  8. 前記五酸化三チタン系材料中のTiと前記置換原子との合計量に対する前記置換原子の量は、20at%以下である、
    請求項1から7のいずれか一項に記載の五酸化三チタン系材料。
  9. β−五酸化三チタン型の構造を有するβ型相から、λ−五酸化三チタン型の構造を有するλ型相へと相転移する相転移温度を有する、
    請求項1から8のいずれか一項に記載の五酸化三チタン系材料。
  10. β−五酸化三チタン型の構造を有するβ型相から、α−五酸化三チタン型の構造を有するα型相へと相転移する相転移温度を有する、
    請求項1から9のいずれか一項に記載の五酸化三チタン系材料。
  11. 外場を与えることで、λ−五酸化三チタン型の構造を有するλ型相から、β−五酸化三チタン型の構造を有するβ型相へと相転移する、
    請求項1から10のいずれか一項に記載の五酸化三チタン系材料。
  12. 請求項1から11のいずれか一項に記載の五酸化三チタン系材料を備える、
    蓄放熱デバイス。
  13. 前記五酸化三チタン系材料の相転移温度で吸熱又は放熱する、
    請求項12に記載の蓄放熱デバイス。
  14. 前記五酸化三チタン系材料の電気伝導率と熱伝導率とのうちいずれか一方又は両方の物性の変化を検出する、
    請求項12又は13に記載の蓄放熱デバイス。
  15. シート状である、
    請求項12から14のいずれか一項に記載の蓄放熱デバイス。
  16. 請求項12から15のいずれか一項に記載の蓄放熱デバイスと、
    前記蓄放熱デバイスの検出結果に基づいて管理処理を行う処理部と、を備える、
    熱管理システム。
  17. 酸化チタンと、Fe,Ta,Lu,Al,及びNbからなる群から選択される少なくとも一種の原子を含有する成分とを混合した混合物を、水素雰囲気下で加熱する、
    五酸化三チタン系材料の製造方法。
  18. 酸化チタンと、Fe,Ta,Lu,Al,及びNbからなる群から選択される少なくとも一種の原子を含有する成分とを混合した混合物を、不活性ガス雰囲気下でアーク放電に曝露する、
    五酸化三チタン系材料の製造方法。
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