JP5033674B2 - レンズ鏡筒 - Google Patents

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Description

本発明は、レンズ鏡筒に関する。
固定環と、この固定環に光軸方向に直進案内されたレンズ支持枠との間のガタを除去することにより、固定環とレンズ支持枠の間の姿勢差をなくすようにしたレンズ鏡筒としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。
この発明では、レンズ支持枠(3群ベース鏡筒4)に突設したコロ12を固定環(案内筒2)のレンズ支持枠との対向面に形成した案内溝に係合させることによりレンズ支持枠を直進案内している。さらに、レンズ支持枠の固定環との対向部に周方向に並べて3つの環状形状の弾性部材13を固定し、各弾性部材の一端を固定環に弾性接触させることにより、固定環とレンズ支持枠の間のガタを除去している。
特許第3313921号公報
しかし特許文献1の上記弾性部材にはガタを除去する機能しかなく、その他の機能がなかった。
また、コロとは別個に弾性部材を設けているので、部品点数が増加してしまうという問題があった。
さらに、弾性部材は直進案内部材であるコロと同じ光軸方向位置に設けられているので、ガタの除去効果はそれほど高くなかった。
本発明の目的は、部品点数を必要以上に増加させることなく固定環とレンズ支持枠の間のガタを確実に除去でき、レンズ支持枠をより正確に直進案内できるレンズ鏡筒を提供することにある。
本発明のレンズ鏡筒は、第1環状部材に光軸と平行な直進案内溝を形成し、該第1環状部材と同心をなす第2環状部材に、該直進案内溝に係合する直進案内ピンを突設したレンズ鏡筒において、上記第1環状部材と第2環状部材の一方に有底直進溝を形成し、上記第1環状部材と第2環状部材の他方に、上記直進案内ピンとは光軸方向位置をずらして、この有底直進溝に摺動可能に係合し、その先端部が常に該有底直進溝の底面に弾性接触して、上記第1環状部材と第2環状部材の間に径方向の力を与える弾性突部材を突設し、上記弾性突部材の前部と後部の少なくとも一方に、共に上記有底直進溝の溝幅方向に延びかつ互いに対をなす二つの切れ込みを入れ、上記前部と上記後部の少なくとも一方に形成した該二つの切れ込みの間に、その他の部分に比べて弾性変形し易く上記有底直進溝の底面に弾性接触する弾性変形部を形成したことを特徴としている。
上記弾性突部材の上記前部と上記後部のそれぞれに対をなす二つの上記切れ込みを設けることにより、上記前部と上記後部に上記弾性変形部をそれぞれ形成してもよい。
上記弾性突部材及び上記有底直進溝を周方向に並べて3つ以上設けるのが好ましい。
上記有底直進溝が光軸と平行な一対の側面を有し、上記弾性突部材の両側面に、該有底直進溝の側面と平行でこれら両側面にそれぞれ摺接する案内平面を形成するのが実際的である。
上記弾性突部材は、例えばポリアセタールによって一体成形することが可能である。
本発明によれば、一対の環状部材の対向面の一方に突設された弾性突部材が他方に形成された有底直進溝に摺動可能に係合し、その先端部が常に有底直進溝の底面に弾性接触する。従って、二対の環状部材の間のガタが確実に除去される。
さらに、弾性突部材の両側面に、直進案内溝の光軸と平行な一対の側面に摺接する案内平面を形成すれば、弾性突部材はガタ除去機能だけでなく直進案内機能を発揮する。そして、このように弾性突部材が2つの機能を発揮すれば、光軸方向位置を異ならせて直進案内ピンを一対設けて、さらにガタ除去部材を設ける場合に比べて部品点数の増加を抑えることが可能である。
さらに弾性突部材が、一対の環状部材の対向面の一方に突設された直進案内ピンとはその光軸方向位置を異ならせて設けられているので、直進案内ピンと同じ光軸方向位置に設けた場合に比べて、弾性突部材のガタ除去機能及び直進案内性能は効果的に発揮される。
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
まず図1および図2を利用して、レンズ鏡筒10の全体構造について説明する。
光軸Oを中心とする筒状部材である固定環(第1環状部材)11は、光軸O回りの回転及び光軸O方向の直進移動が規制された不動部材であり、その後端面には図示を省略したカメラボディに接続するためのマウント環12が固着されている。固定環11は互いに同心をなす内筒13と外筒14を具備している。内筒13には光軸Oと平行な3本の直進案内溝16が周方向に120°間隔で並べて貫通溝として形成されている。さらに内筒13の外周面の前端部近傍には、複数のストッパ15が周方向に並べて突設されている。外筒14の外周面には光軸Oを中心とする環状凹部17が凹設されている。この環状凹部17にはフォーカス環18が光軸O回りに回転かつ光軸O方向に相対移動不能として嵌合している。19はフォーカス環18の外周面に固着されたゴム製のグリップ環である。外筒14には、外筒14を径方向(光軸Oに対して直交する方向)に貫通する貫通孔20が形成されている。また、内筒13と外筒14の後端同士を連結する環状の後部壁の前面には、光軸Oを中心とする環状支持溝21が凹設されている。
内筒13の外周面には内筒13と同心をなすカム環30が外嵌している。このカム環30の後端部は環状支持溝21に回転可能に嵌合しており、カム環30の前端面は各ストッパ15の後面に接触している。即ち、カム環30は内筒13に対して光軸O回りに回転可能であり、光軸O方向には相対移動不能である。カム環30の上面には連結部材31が固着されており、この連結部材31の上端部は貫通孔20を貫通してフォーカス環18に固着されている。従って、撮影者が手でフォーカス環18を回転させると、カム環30が光軸O回りに時計方向または反時計方向に回転する。さらに、カム環30の内周面には周方向に120°間隔で並べて3本のカム溝33が有底溝として形成されている。また、カム環30には周方向に120°間隔で並べて3本のカム溝34が貫通溝として形成されている。このカム溝34とカム溝33の光軸方向位置は互いにずれている。
1群支持枠40(第2環状部材)は、共に固定環11と同心をなす内筒41と外筒42を具備している。内筒41は内筒13の内周側に位置しており、外筒42は内筒13と外筒14の間に位置している。内筒41の内周面であるレンズ支持孔43には第1レンズ群L1が嵌合固定されている。外筒42の内周面には周方向に120°間隔で並べて、光軸Oと平行な3本の直進案内溝(有底直進溝)45が有底溝として形成されている。直進案内溝45の左右両側面44(図4参照)は互いに平行かつ光軸Oと平行である。
外筒42の内周面には周方向に120°間隔で並べて(直進案内溝45とは周方向位置がずれている)3本のカムピン(直進案内ピン)46が径方向内向きに突設されている。各カムピン46は対応するカム溝34及び対応する直進案内溝16にそれぞれ係合しているので、カム環30が回転すると1群支持枠40(第1レンズ群L1)が直進案内溝16に沿って光軸O方向に進退する。
1群支持枠40の後方において同心的に位置する2群支持枠47は、その内周面がレンズ支持孔48となっており、レンズ支持孔48には第2レンズ群L2が嵌合固定されている。2群支持枠47の外周面には、周方向に120°間隔で並べて3本のカムピン49が径方向外向きに突設されており、各カムピン49は対応する直進案内溝16及び対応するカム溝33にそれぞれ係合している。従って、カム環30が回転すると2群支持枠47(第2レンズ群L2)が直進案内溝16に沿って光軸O方向に進退する。
次に、本発明の特徴部分である防振用突部材50の構造について説明する。
内筒13の外周面の前端部には周方向に120°間隔で並べて3つの防振用突部材50が突設されている。防振用突部材50は、支持ピン51と弾性突部材53からなるものである。
支持ピン51は内筒13の外周面に突設された略円柱形状の部材であり、図3に示すようにその先端部はその他の部分より大径の頭部52となっている。
弾性突部材53は支持ピン51に回転可能に外嵌する筒状部材であり、ポリアセタール(POM)等の弾性材料によって一体成形されている。弾性突部材53の内部にはその軸線を中心とし、支持ピン51に嵌合する貫通孔54が形成されている。弾性突部材53の前面及び後面における同じ高さ位置には直線状の切れ込み55が形成されており、弾性突部材53の外筒42との対向面には前後一対の直線状の切れ込み56が形成されている。そして、前側の切れ込み55と前側の切れ込み56とで囲まれた部分、及び後側の切れ込み55と後側の切れ込み56とで囲まれた部分が、その他の部分に比べて弾性変形し易い弾性変形部57と弾性変形部58となっている。弾性変形部57の外筒42との対向面は後方に向かうにつれて光軸O側に傾斜する傾斜面59となっている。さらに、弾性突部材53の外筒42との対向面には支持ピン51の頭部52が遊嵌する環状段部60が形成されている。さらに、弾性突部材53の左右両側面は直進案内溝45の側面44と平行な平面である案内平面61となっている。
図3及び図4に図示するように、支持ピン51及び弾性突部材53の先端部は直進案内溝45の内部に位置している。そして、弾性変形部57及び弾性変形部58は常に弾性変形しながら直進案内溝45の底面45aに弾性接触しており、左右の案内平面61は常に直進案内溝45の左右の側面44に摺動可能に接触している。
このように弾性変形部57及び弾性変形部58が弾性変形しながら直進案内溝45の底面45aに当接しているので、1群支持枠40の周方向の3カ所は常に内筒13に対して径方向外側に付勢されており、その結果、内筒13(固定環11)と1群支持枠40の間のガタが除去されている。
また、各弾性突部材53の左右の案内平面61が各直進案内溝45の左右の側面44に摺動可能に接触しているので、各弾性突部材53はガタ除去機能だけでなく直進案内機能を発揮する。そして弾性突部材53がガタ除去機能と直進案内機能を発揮するので、直進案内ピンを光軸方向位置をずらせて前後一対設け、さらに直進案内ピンとは別個にガタ除去のための弾性部材を設ける場合に比べて、部品点数を少なくすることが可能である。
さらに、直進案内機能を有するカムピン46と防振用突部材50(弾性突部材53)の光軸方向位置がずれているので、防振用突部材50(弾性突部材53)はカムピン46と相俟って従来より高いガタ除去効果及び直進案内効果を発揮できる。
以上、本発明を上記実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変更を施して実施可能である。
例えば、内筒13の外周面(外筒42との対向面)に直進案内溝を形成し、外筒42の内周面(内筒13との対向面)に防振用突部材50を設けて、この防振用突部材50を内筒13の直進案内溝に係合してもよい。
さらに、本実施形態では各防振用突部材50から1群支持枠40に均等に付勢力を与えて1群支持枠40と固定環11の軸線が互いに一致するように、3つの防振用突部材50及び直進案内溝45を周方向に並べて設けたが、4つ以上の防振用突部材50及び直進案内溝45を周方向に並べて設けても良い。
また、固定環11側にカムピン46を突設して、1群支持枠40側に直進案内溝16に相当する直進案内溝を形成してもよい。
また、本発明を1群支持枠40以外の環状部材に適用してもよい。
本発明の一実施形態のレンズ鏡筒の上半部のワイド状態における縦断側面図である。 レンズ鏡筒の上半部のテレ状態における縦断側面図である。 ワイド状態におけるレンズ鏡筒の前端部を拡大して示す縦断側面図である。 図3のIV−IV矢線に沿う断面図である。 弾性案内部材の斜視図である。 弾性案内部材の平面図である。 図6のVII−VII矢線に沿う断面図である。
符号の説明
10 レンズ鏡筒
11 固定環(第1環状部材
12 マウント環
13 内筒
14 外筒
15 ストッパ
16 直進案内溝
17 環状凹部
18 フォーカス環
19 グリップ環
20 貫通孔
21 環状支持溝
30 カム環
31 連結部材
33 34 カム溝
40 1群支持枠(第2環状部材
41 内筒
42 外筒
43 レンズ支持孔
44 側面
45 直進案内溝(有底直進溝)
45a 底面
46 カムピン(直進案内ピン)
47 2群支持枠
48 レンズ支持孔
49 カムピン
50 防振用突部材
51 支持ピン
52 頭部
53 弾性突部材
54 貫通孔
55 56 切れ込み
57 58 弾性変形部
59 傾斜面
60 環状段部
61 案内平面
L1 第1レンズ群
L2 第2レンズ群
O 光軸

Claims (5)

  1. 第1環状部材に光軸と平行な直進案内溝を形成し、該第1環状部材と同心をなす第2環状部材に、該直進案内溝に係合する直進案内ピンを突設したレンズ鏡筒において、
    上記第1環状部材と第2環状部材の一方に有底直進溝を形成し、上記第1環状部材と第2環状部材の他方に、上記直進案内ピンとは光軸方向位置をずらして、この有底直進溝に摺動可能に係合し、その先端部が常に該有底直進溝の底面に弾性接触して、上記第1環状部材と第2環状部材の間に径方向の力を与える弾性突部材を突設し、
    上記弾性突部材の前部と後部の少なくとも一方に、共に上記有底直進溝の溝幅方向に延びかつ互いに対をなす二つの切れ込みを入れ、上記前部と上記後部の少なくとも一方に形成した該二つの切れ込みの間に、その他の部分に比べて弾性変形し易く上記有底直進溝の底面に弾性接触する弾性変形部を形成したことを特徴とするレンズ鏡筒。
  2. 請求項1記載のレンズ鏡筒において、
    上記弾性突部材の上記前部と上記後部のそれぞれに対をなす二つの上記切れ込みを設けることにより、上記前部と上記後部に上記弾性変形部をそれぞれ形成したレンズ鏡筒。
  3. 請求項1または2記載のレンズ鏡筒において、
    上記弾性突部材及び上記有底直進溝を周方向に並べて3つ以上設けたレンズ鏡筒。
  4. 請求項1から3のいずれか1項記載のレンズ鏡筒において、
    上記有底直進溝が光軸と平行な一対の側面を有し、
    上記弾性突部材の両側面に、該有底直進溝の側面と平行でこれら両側面にそれぞれ摺接する案内平面を形成したレンズ鏡筒。
  5. 請求項1から4のいずれか1項記載のレンズ鏡筒において、
    上記弾性突部材がポリアセタールによって一体成形されているレンズ鏡筒。
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