JP5032124B2 - メタノール燃料電池カートリッジ - Google Patents
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Description
1.40℃におけるメタノール蒸気透過係数が15μg・mm/m2・hr以下である環状オレフィン系樹脂により構成された、メタノール不透過性層を少なくとも1層有することを特徴とするメタノール燃料電池カートリッジ。
2.カートリッジが、さらに23℃−60%RHで測定した酸素透過係数が1.0×10 −10 cc・cm/cm 2 ・sec・cmHg以下であるガスバリヤー性層を有する多層構造のものであることを特徴とする1に記載のメタノール燃料電池カートリッジ。
3.カートリッジが、酸素吸収性樹脂層を有する多層構造のものであることを特徴とする1又は2に記載のメタノール燃料電池カートリッジ。
4.カートリッジの最内層に、メタノール不透過性層を有することを特徴とする1〜3のいずれかに記載のメタノール燃料電池カートリッジ。
5.カートリッジが、ブロー成形又は射出成形により製造されたものであることを特徴とする1〜4のいずれかに記載のメタノール燃料電池カートリッジ。
6.カートリッジが、最内層にヒートシール性樹脂層を有する多層フイルムをヒートシールすることにより製造されたパウチであることを特徴とする1〜4のいずれかに記載のメタノール燃料電池カートリッジ。
7.カートリッジが、剛性材料により構成された外側ケース内に収納されたものであることを特徴とする1〜6のいずれかに記載のメタノール燃料電池カートリッジ。
8.カートリッジが、メタノール燃料電池カートリッジの注出口にバルブ機構を有するものであることを特徴とする1〜7のいずれかに記載のメタノール燃料電池カートリッジ。
2 真空ポンプ
3 排気管
4 マイクロ波発振器
5 導波管
6 チューナー
8 ボトル
9 処理ガス導入パイプ
10 アンテナ
(樹脂フイルムの作製)
樹脂を、樹脂の融点+20℃の温度で7分間の予熱をしたあと、圧力100kg/cm2で 1分間加圧し、その後、温度20℃、圧力150kg/cm2で 2分間冷却加圧して厚さ120μmのプレスフイルムを作製した。
上記方法で得られたプレスフイルムを用いて、「Test
Method for Water Vapor Transmission Rate Through Plastic Film and Sheeting
Using a Modulated Infrared Sensor (ASTM F1249)」に準拠して、測定温度40℃でメタノール蒸気透過係数(P(MeOH);μg・mm/m2・hr)を測定した。メタノールは和光純薬<特級>を使用し、測定機は、MAS-2000(Mas
Technologies社製)を用いた。
(ガスバリヤー層に使用した樹脂の酸素透過係数の測定方法)
上記方法で得られたプレスフイルムを用いて、「プラスチックフイルム及びシートの気体透過度試験方法(JIS K7126 B法(等圧法))」に準拠して、測定温度23℃−60%で酸素透過係数(P(O2);cc・cm/cm2・sec・cmHg)を測定した。測定機は、酸素透過係数測定装置(OX−TRAN 2/20:モダンコントロール社)を用いた。
このようなメタノール不透過層を構成する材料としては、例えば、環状オレフィン系樹脂やポリエステル系樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、無延伸で、或いは適宜1軸又は2軸延伸して使用することができる。
本発明では、メタノール燃料電池カートリッジのメタノール不透過層を構成する材料として環状オレフィン系樹脂を使用する。
COCとしては、10〜50モル%、特に20〜48モル%の環状オレフィンと残余のエチレンとから製造され、5〜20℃、特に40〜190℃のガラス転移点を有する非晶質乃至低結晶性の共重合体が好適に使用される。また、環状オレフィンと共重合されるエチレンの一部を、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、3−メチル−1−ペンテン、1−デセン等の炭素数3〜20程度の他のα−オレフィンで置換した共重合体を使用してもよい。
ポリグリコール酸はヒドロキシ酢酸の重合体であり、例えば米国特許第2,676,945号明細書に示されているように、エステル結合間の炭素数が1のポリエステルである。ポリグリコール酸は、通常の熱可塑性ポリエステルに比較して緻密な結晶構造を持つために高い密度を有し、ポリエステル類の中では低い透湿度を示す。また、ポリグリコール酸の単独重合体のみならず、グリコール酸の一部が他の共重合成分で置換された共重合体も、使用することができる。
また、樹脂材料から射出成形、ブロー成形などによりあらかじめ中空容器を製造し、得られた容器の内面にプラズマ蒸着等により、無機質被膜を形成するようにしてもよい。
このプラズマ処理装置は、プラズマ処理室1、排気管3を介してプラズマ処理室1に接続された真空ポンプ2、導波管5を介してプラズマ処理室1に接続されたマイクロ波発振器4により構成される。導波管5には、処理室1からのマイクロ波反射量を最小に調節するための3本チューナー6が設けられ、プラズマ処理室1内には、処理室の負荷を最小にするためのショートプランジャー(図示せず)が設けられている。
プラズマ処理に際しては、ボトル8とボトルホルダーを気密状態に維持し、真空ポンプ2を駆動してボトル8の内部を真空状態に維持する。その際に、ボトル8の外圧による変形を防止するために、ボトル8外部のプラズマ処理室1内をも減圧状態にしてもよい。ボトル8内の減圧の程度は、処理用ガス及びマイクロ波が導入された際に、グロー放電が発生する程度とする。一方、プラズマ処理室1内の減圧の程度は、マイクロ波が導入されてもグロー放電が発生しない程度とする。
このプラズマ中での電子温度は数万Kである。これに対してガス粒子の温度は数100度Kと、熱的に非平衡の状態であり、低温のプラスチック容器面に対しても、有効にプラズマ処理による被膜形成を行なうことができる。
また、カートリッジをメタノール不透過性層と他の層を有する、多層構成の容器とすることもでき、その際に2層以上のメタノール不透過性層を有する構成としてもよい。
このようなガスバリヤー性層は、ガスバリヤー性を有する樹脂層、酸素吸収性を有する樹脂層、或いはアルミニウム等の金属箔層等として構成することができ、多層構成容器の中間層とすることが好ましい。
これらのガスバリヤー性樹脂は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。また、その性状を損なわない範囲内で、ガスバリヤー性樹脂に他の熱可塑性樹脂を混合してもよい。
還元性鉄と酸化促進剤を組合わせて使用する場合には、両者の配合割合は、合計量を100重量部として、還元性鉄99〜80重量部及び酸化促進剤1〜20重量部、特に還元性鉄98〜90重量部及び酸化促進剤2〜10重量部とすることが好ましい。
また、上記の樹脂自体が酸素吸収性を有する樹脂を、酸素吸収剤として熱可塑性樹脂中に配合してもよい。
このような熱可塑性樹脂としては、例えば結晶性ポリプロピレン、結晶性プロピレン−エチレン共重合体、結晶性ポリブテン−1、結晶性ポリ4−メチルペンテン−1、低−、中−、或いは高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、EVAケン化物、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)等のポリオレフィン類;ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体等の芳香族ビニル共重合体;ポリ塩化ビニル、塩化ビニリデン樹脂等のハロゲン化ビニル重合体;ポリアクリル系樹脂;アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体の如きニトリル重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート等のポリエステル類;各種ポリカーボネート;フッ素系樹脂;ポリオキシメチレン等のポリアセタール類等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。これらの熱可塑性樹脂は単独で又は二種以上をブレンドして使用することができ、また、各種の添加剤を配合して使用してもよい。
酸変性エチレン・α−オレフィン共重合体としては、エチレンとプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン等の炭素数10までのα−オレフィンを共重合させたエチレン・α−オレフィン共重合体をアクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸又はこれらの無水物でグラフト変性した樹脂を使用することが好ましい。これらの接着樹脂のグラフト変性率は、0.05〜5重量%程度とすることが好ましい。これらの酸変性エチレン・α−オレフィン共重合体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。また、予め高濃度の酸で変性したエチレン・α−オレフィン共重合体と、未変性の低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体、高密度ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂を配合し、樹脂全体としての酸変性率を0.05〜5重量%程度に調整したブレンド物を接着樹脂として使用することも好ましい。
容器の製造方法としては通常の方法を採用することができる。例えばボトル、カートリッジ、カップ等の中空容器は、射出成形、ダイレクトブロー又は2軸延伸ブロー成形等のブロー成形、真空・圧空成形等の方法により製造することができるが、2軸延伸ブロー成形を採用することが好ましい。また、平パウチ、スタンディングパウチ等のパウチ類は、最内層にヒートシール性樹脂層を有する多層フイルムをヒートシールすることにより製造することができる。これらの容器類には、スクリューキャップ、スパウト等の注出口形成手段を設けることが好ましい。また、メタノール燃料電池カートリッジの注出口には、漏洩防止のためのバルブ機構を設けることが、特に好ましい。
(実施例1)
容器を構成する樹脂としてP(MeOH)=0.95μg・mm/m2・hrであって、260℃におけるMFRが30g/10minであるCOC、エチレン・テトラシクロドデセンコポリマー(エチレン含有量74モル%)を使用した。この樹脂を、日精樹脂工業製射出成型機UH−1000を用いて、射出樹脂温度200℃、射出樹脂圧力100MPa、金型温度40℃で、射出成形し、満注時の内容量60ml、質量10gの単層ネジ付ボトル(肉厚:0.5mm)を得た。
容器を構成する樹脂として、P(MeOH)=1.3μg・mm/m2・hrであって、密度が1.41g/cm3 、融点が252℃、IV(固有粘度)が0.78dl/gであるポリエチレンテレフタレート(PET)を使用した以外は、実施例1と同様にして単層ネジ付ボトルを射出成形した。
容器を構成する樹脂として、P(MeOH)=0.16μg・mm/m2・hrであって、密度が1.33g/cm3 、融点が265℃であるポリエチレンナフタレート(PEN)を使用した以外は、実施例1と同様にして単層ネジ付ボトルを射出成形した。
容器を構成する樹脂として、P(MeOH)=14μg・mm/m2・hrであって、密度が1.26g/cm3、融点が172℃、190℃におけるMFRが10.7g/10minであるポリ乳酸(PLA)を使用した以外は、実施例1と同様にして単層ネジ付ボトルを射出成形した。
容器を構成する樹脂としてP(MeOH)=1.9μg・mm/m2・hrであって、密度が0.945g/cm3、融点が130℃、190℃におけるMFRが0.35g/10minである高密度ポリエチレン(HDPE)を使用した。このHDPEを定法により、単層ダイスを使用して押出して得られたパリソンを、ロータリーブロー成形機でダイレクトブロー成形することによって、満注時の内容量60ml、質量10gの単層ネジ付ボトルを製造した。
定法により、多層多重ダイスを使用して共押出しすることにより、3種3層構成のパリソンを製造した。このパリソンを、ロータリーブロー成形機でダイレクトブロー成形することによって、内層から順に、COC(層厚:50μm)/Ad(層厚:10μm)/PO+Reg(層厚:440μm)からなる3種3層構成を有し、満注時の内容量60ml、質量10gの多層ブローボトルを製造した。
Adとしては、カルボニル基が60meq/100gの無水マレイン酸変性ポリエチレンを使用した。POとしては、190℃におけるMFRが、1.0g/10minで密度が0.920g/cm3である低密度ポリエチレン(LDPE)を使用した。COCとしては、P(MeOH)=1.2μg・mm/m2・hrであって、260℃におけるMFRが15g/10minであるエチレンテトラシクロドデセンコポリマー(エチレン含有量78モル%)を使用した。
実施例2と同様にして、4種5層構成のパリソンを製造した。このパリソンを、ロータリーブロー成形機でダイレクトブロー成形することによって、内層から順に、HDPE(層厚:90μm)/Ad(層厚:30μm)/COC(層厚:150μm)/Ad(層厚:40μm)/PP+Reg(層厚:190μm)からなる4種5層構成を有し、満注時の内容量60ml、質量10gの多層ブローボトルを製造した。
Adとしては、カルボニル基が60meq/100gの無水マレイン酸変性ポリプロピレンを使用した。PPとしては、230℃におけるMFRが、1.4g/10minで密度が0.9g/cm3であるエチレン・プロピレンブロック共重合体(ブロックPP)を使用した。COCとしては、実施例2で使用したCOCを使用した。HDPEとしては、参考例4で使用したHDPEを使用した。
参考例1で使用したPETから、定法によりプリフォームを射出成形した。このプリフォームを2軸延伸ブロー成形機(日精ASB機械工業製:日精ASB−50H)により、縦方向2.5倍、横方向3.5倍に2軸延伸ブロー成形して、満注時の内容量60ml、質量10gで平均肉厚0.5mmの単層ボトルを製造した。
ボトルを構成する樹脂として、参考例2で使用したPENを用いた以外は、参考例5と同様にして単層ボトルを製造した。
ボトルを構成する樹脂として、参考例3で使用したPLAを用いた以外は、参考例5と同様にして単層ボトルを製造した。
参考例1で使用したPETから、定法により溶融成形にて作製した厚み1.0mmのシートを熱成形し、肉厚0.3mmのカップ型容器を製造した。
内層シーラント層を構成する、厚さ70μmの未延伸ポリプロピレンフイルム(東レ合成フイルム社製、商品名2K93K)と、外層を構成するP(MeOH)=1.3μg・mm/m2・hrであるPETを2軸延伸した厚さ50μmのポリエステルフイルム(東洋紡製、商品名エステルフイルムE5000)を、ポリエステル系ウレタン接着剤(東洋モートン製、商品名TM−593)(厚さ3μm)を介してドライラミネートし、2層構成の多層フイルムを得た。
得られた多層フイルムの内層シーラント層を対向させ、周縁部をヒートシールすることによって三方シール平パウチを形成した。このパウチの上部に、ランダムポリプロピレンを射出成形して得たスパウトをヒートシールし、満注時の内容量が60mlで、表面積90cm2のスパウト付平パウチを作製した。
容器を構成する樹脂として、P(MeOH)=40μg・mm/m2・hrであって、密度が0.91g/cm3、230℃におけるMFRが20g/10minであるランダムポリプロピレンを使用した以外は、実施例1と同様にして単層ネジ付ボトルを射出成形した。
(容器のメタノール透過度の測定方法)
測定すべき容器に、メタノール(和光純薬<特級>)を50cc充填し、ボトル及びカップについてはアルミ箔を含む蓋材を接着して密封した。パウチについては上記メタノールを充填後、ヒートシールして密封した。
メタノールを充填した容器の重量を測定した後、40℃の恒温槽で保管した。容器を3週間後に恒温槽から取り出して秤量し、以下の式によって重量減少率(%)を算出し、メタノール透過量とした。
メタノール透過度(μg/容器・day)={初期重量(g)−保管後重量(g)}×106/21日
(実施例4)
実施例2と同様にして、内層から順に、COC(層厚:50μm)/Ad(層厚:10μm)/EVOH(層厚:20μm)/Ad(層厚:10μm)/PO+Reg(層厚:260μm)/PO(層厚:150μm)からなる5種6層構成で、満注時の内容量60ml、質量10gの多層ブローボトルを製造した。
内層シーラント層を構成する樹脂として密度0.920g/cm3の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタノール不透過層を構成する樹脂として実施例1で使用したCOC、ガスバリヤー性層を構成する樹脂としてEVOH、これらの樹脂層間に介在させる接着剤(Ad)として接着性ポリオレフィン樹脂(三井化学製、商品名アドマーNF528)を使用した。
これらの樹脂を用いて、4台の押出機と多層ダイにより、内層から順にLLDPE(層厚:100μm)/Ad(層厚:5μm)/COC(層厚:20μm)/Ad(層厚:5μm)/EVOH(層厚:20μm)の層構成を有する多層フイルムを押出し成形し、冷却ロールで冷却し巻き取った。ついで、この多層フイルムのEVOH層上に参考例9で使用したポリエステル系ウレタン接着剤(層厚:3μm)を介して、外層を構成する厚さ50μmの2軸延伸ポリエステルフイルム(東洋紡製、商品名エステルフイルムE5000)をドライラミネートし、パウチを構成する多層フイルムを形成した。
得られた多層フイルムの内層シーラント層を対向させ、周縁部をヒートシールすることによって三方シール平パウチを形成した。このパウチの上部に、LLDPEを射出成形して得たスパウトをヒートシールし、満注時の内容量が60mlで、表面積90cm2のスパウト付平パウチを作製した。
(参考例10:アルミ箔入りレトルトパウチ:肉厚115μm)
参考例9で使用した厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフイルム(東洋紡製、商品名エステルフイルムE5000)の片面に、同じく参考例9で使用したポリエステル系ウレタン接着剤(層厚3μm)を介して、厚さ9μmのアルミニウム箔(以下A1とする)をドライラミネーション法によりラミネートして積層フイルムを作製した。
次に、前記積層フイルムのA1面に、厚さ15μmの二軸延伸ナイロンフイルム(興人社製、ボニールRX)と参考例9で使用した厚さ70μmの未延伸ポリプロピレンフイルム(東レ合成フイルム社製、2K93K)を順次ドライラミネーション法で積層して、外層側から、12μmPET/ウレタン接着剤(3μm)/9μmアルミ箔/ウレタン接着剤(3μm)/15μm二軸延伸ナイロン/ウレタン接着剤(3μm)/70μmポリプロピレン、という層構成を有する多層フイルムを製造した。
上記多層フイルムを三方シールすることにより平パウチを作製した。このパウチの上部に、ランダムポリプロピレンを射出成形して得たスパウトをヒートシールし、満注時の内容量60mlで、表面積90cm2のスパウト付平パウチを作製した。
この例では、さらにガスバリヤー性を高めるためにアルミ箔の内側に酸素吸収層を設けたメタノール燃料電池カートリッジを作製した。
酸素吸収性樹脂層を構成する樹脂組成物として、エチレン含量が12重量%のエチレン−プロピレンランダム共重合樹脂80重量%、密度が0.88の直鎖状低密度ポリエチレン10重量%及び粒状還元性鉄を主成分とする酸素吸収剤10重量%からなる樹脂組成物を用いた。
3台の押出機を用いて、30μmポリプロピレン/25μm上記酸素吸収性樹脂層/30μmポリプロピレン、の多層フイルムを共押出しで作製した。
参考例10と同様にドライラミネーションにて積層した多層フイルム、12μmPET/ウレタン接着剤(3μm)/9μmアルミ箔/ウレタン接着剤(3μm)/15μm二軸延伸ナイロン、におけるナイロン面に、参考例9で使用したウレタン接着剤(3μm)を介して上記で作製した酸素吸収性多層フイルムをドライラミネーションした。
これにより、外層側から、12μmPET/ウレタン接着剤(3μm)/9μmアルミ箔/ウレタン接着剤(3μm)/15μm二軸延伸ナイロン/ウレタン接着剤(3μm)/30μmポリプロピレン/25μm上記酸素吸収性樹脂層/30μmポリプロピレン、という層構成を有する多層フイルムを製造した。
上記多層フイルムを三方シールすることにより平パウチを作製した。このパウチの上部に、ランダムポリプロピレンを射出成形して得たスパウトをヒートシールし、満注時の内容量60mlで、表面積90cm2のスパウトパウチ付き平パウチを作製した。
図1及び2に記載のマイクロ波プラズマ処理装置を使用し、参考例5で得られたPET単層からなる2軸延伸ブローボトルの内面に、次の手順で酸化ケイ素被膜を形成した。
直径300mm、高さ300mmの金属製円筒形プラズマ処理室1に設けたボトルホルダーに、参考例5で得られたPET単層からなる2軸延伸ブローボトルを倒立状に取り付けた。ボトル8内には、先端部に直径0.5mmで長さが30mmの先端が針状に加工された鉄製のアンテナ10を有する、外径10mmで孔径120μmの金属焼結体からなるガス導入パイプ9を配置した。
次に、真空ポンプ2を作動させて、処理室1内のボトル外部の真空度を2KPa、ボトル内部の真空度を2Paに維持し、処理用ガスとしてヘキサメチルジシロキサンガス2sccm,酸素20sccm,及びアルゴン10sccmを導入し、ボトル内の真空度を50Paに調整した。そして、マイクロ波発信器4から0.2Kwの電波を発信させて、ボトル内にプラズマを形成し、10秒間プラズマ処理を行ってボトル内面に厚さ10nmの酸化ケイ素被膜を形成した。
実施例2で使用したPOと、Adおよび実施例4で使用したEVOHから多層多重ダイスを使用して、定法により共押出しすることによりパリソンを製造した。このパリソンを、ロータリーブロー成形機でダイレクトブロー成形することによって、次の層構成を有する満注時の内容量60ml、質量10gの多層ブローボトルを製造した。
(内層)PO(層厚:50μm)/PO+Reg(層厚:260μm)/Ad(層厚:10μm)/EVOH(層厚:20μm)/Ad(層厚:10μm)/PO(層厚:150μm)(外層)
(容器の酸素透過度の測定方法)
測定すべき容器に水1ccを入れ、窒素雰囲気下にてアルミ箔入り蓋材を接着して密封した。この容器を30℃80%RHの恒温恒湿槽内に保管し、3週間保管後、ガスクロマトグラフィーを用いて、ボトル内の酸素濃度を測定した。この酸素濃度から酸素透過度(Q(O2;cc/容器・day)を下記式より得た。
Q(O2)=[(C1−C0)/100]×V
C1:3週間後のボトル内酸素濃度(%)
C0:初期のボトル内酸素濃度(%)
V:ボトル満注内容積(cc)
Claims (8)
- 40℃におけるメタノール蒸気透過係数が15μg・mm/m2・hr以下である環状オレフィン系樹脂により構成された、メタノール不透過性層を少なくとも1層有することを特徴とするメタノール燃料電池カートリッジ。
- カートリッジが、さらに23℃−60%RHで測定した酸素透過係数が1.0×10 −10 cc・cm/cm 2 ・sec・cmHg以下であるガスバリヤー性層を有する多層構造のものであることを特徴とする請求項1に記載のメタノール燃料電池カートリッジ。
- カートリッジが、酸素吸収性樹脂層を有する多層構造のものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のメタノール燃料電池カートリッジ。
- カートリッジの最内層に、メタノール不透過性層を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のメタノール燃料電池カートリッジ。
- カートリッジが、ブロー成形又は射出成形により製造されたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のメタノール燃料電池カートリッジ。
- カートリッジが、最内層にヒートシール性樹脂層を有する多層フイルムをヒートシールすることにより製造されたパウチであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のメタノール燃料電池カートリッジ。
- カートリッジが、剛性材料により構成された外側ケース内に収納されたものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のメタノール燃料電池カートリッジ。
- カートリッジが、メタノール燃料電池カートリッジの注出口にバルブ機構を有するものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のメタノール燃料電池カートリッジ。
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