JP2004083139A - 殺菌密封包装体の製法 - Google Patents

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小山 正泰
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Abstract

【課題】 容器内の酸素濃度を低く抑制できると共に、加熱殺菌後の外観特性を優れたレベルに維持できる殺菌密封包装体の製法を提供するにある。
【解決手段】 還元性鉄粉と該還元性鉄粉表面に固着された酸化促進剤乃至触媒の層とから成り且つ前記酸化促進剤乃至触媒が還元性鉄粉当たり0.1乃至5重量%の量で存在する比表面積0.5m/g以上及び見掛け密度2.2g/cc以下の酸素吸収剤粒子を熱可塑性樹脂100重量部当たり5乃至200重量部の量で配合して成る酸素吸収性樹脂組成物の層を器壁に備えた包装容器内に50重量%以上が水分である内容物を充填し、密封後に加熱殺菌を行ったことを特徴とする殺菌密封包装体。
【選択図】 なし

Description

 本発明は、酸素吸収速度が大きく、しかもレトルト後の長期保存でも外観変化がなく、外観特性に優れた酸素吸収性樹脂組成物から成る層を有する包装容器に50重量%以上が水分である内容物を充填して成る殺菌密封包装体に関する。
 従来包装容器としては、金属缶、ガラスビン、各種プラスチック容器等が使用されているが、軽量性や耐衝撃性、更にはコストの点からプラスチック容器が各種の用途に使用されている。しかしながら、金属缶やガラスビンでは容器壁を通しての酸素透過がゼロであるのに対して、プラスチック容器の場合には器壁を通しての酸素透過が無視し得ないオーダーで生じ、内容品の保存性の点で問題となっている。
 従来、容器内に残留する酸素を捕捉し或いは容器壁を透過する酸素を捕捉するために、樹脂中に酸素吸収剤或いは脱酸素剤を配合することは古くから知られており、例えば、下記特許文献1には、容器蓋殻体と該殻体の密封部に設けられた密封用ガスケットからなる容器蓋において、該密封用ガスケット中に固体の酸素吸収剤を含有せしめたことを特徴とする容器蓋が記載されている。また、下記特許文献2には、20℃及び0%RHでの酸素透過係数が10−12 cc・cm/cm−2・sec・cmHg 以下で且つ20℃及び100%RHでの水分吸着量が0.5 重量%以上であるガスバリアー性樹脂に脱酸素剤及び吸水剤を配合した樹脂組成物の層を備えていることを特徴とするプラスチック多層容器が記載されている。
 鉄粉の表面に酸化促進剤等を被覆したものを酸素吸収剤として使用することも既に知られており、下記特許文献3には、金属粉をハロゲン化金属で被覆してなり、ハロゲン化金属の被覆量が金属粉100部に対し0.001〜5部であり、且つ水分含有量が全体の1重量%以下である酸素吸収剤が記載されている。
 鉄粉に酸化促進剤を予めコートした酸素吸収剤を樹脂に配合することも既に知られており、前述した特許文献1公報には、酸素吸収剤として、ハロゲン化金属で被覆した鉄粉等を使用できることが記載されている。また、下記特許文献4には、脱酸素剤組成物がフィルム中に分散されてなる熱可塑性樹脂フィルムを延伸してなる脱酸素剤組成物含有微多孔フィルムが記載され、上記脱酸素剤組成物として、鉄粉の表面をハロゲン化金属塩で被覆したものを使用することが記載されている。更に、下記特許文献5には、一次粒子径が0.01〜20μmであり、凝集粒子径が5〜200μmである鉄粉30〜85重量部と電解質水溶液とを混合したものと、熱可塑性樹脂15〜70重量部とを混練し、シート加工した後、少なくとも一軸方向に1.5〜9倍の倍率で延伸することを特徴とする酸素吸収性シートの製造方法が記載されている。
特開昭57−194959号公報 特開平1−278244号公報 特開昭53−14185号公報 特開平2−72851号公報 特開平6−170940号公報
 公知の酸素吸収剤配合樹脂組成物では、ハロゲン化金属塩等の酸化促進剤が水分を吸着し、この水分の存在下に鉄粉等の酸素吸収剤が酸化されることにより、容器内の酸素或いは器壁を通過する酸素を吸収する。
 しかしながら、公知の酸素吸収剤配合樹脂組成物は、容器内の酸素を吸収するのに長時間を要するなど、酸素吸収速度が未だ十分に高いものとはいえず、内容物保存性の点でも未だ十分に満足しうるものではなかった。
 また、公知の酸素吸収剤配合樹脂組成物は、これを容器の形に成形した段階では、平滑性等の外観特性に関して満足しうるものであっても、これを長期に保存し或いはレトルト殺菌等の加熱殺菌に付した場合には、表面に凹凸が発生し、甚だしい場合には、樹脂組成物層にクラックが発生することも認められた。
 従って、本発明の目的は、容器内の酸素濃度を低く抑制できると共に、加熱殺菌後の外観特性を優れたレベルに維持できる殺菌密封包装体の製法を提供するにある。
 本発明によれば、還元性鉄粉と該還元性鉄粉表面に固着された酸化促進剤乃至触媒の層とから成り且つ前記酸化促進剤乃至触媒が還元性鉄粉当たり0.1乃至5重量%の量で存在する比表面積0.5m /g以上及び見掛け密度2.2g/cc以下の酸素吸収剤粒子を熱可塑性樹脂100重量部当たり5乃至200重量部の量で配合して成ることを特徴とする酸素吸収性樹脂組成物の層を器壁に備えた包装容器内に50重量%以上が水分である内容物を充填し、密封後に加熱殺菌を行ったことを特徴とする殺菌密封包装体が提供される。
 本発明に用いる酸素吸収剤配合樹脂組成物においては、
1.酸素吸収剤粒子がレーザ散乱法で測定して10乃至50μmの平均粒径と、0.6以下のアスペクト比(短軸寸法/長軸寸法)を有する粒子が50%以上であり、圧縮度が20%以上である偏平乃至紡錘状粒子であること、
2.酸素吸収剤粒子が還元性鉄粉と酸化促進剤乃至触媒の粉末とを乾式ミリングして得られたものであること、
3.熱可塑性樹脂が実質上非相溶の複数の熱可塑性樹脂乃至エラストマーのブレンド物であること、
が好ましい。
 本発明によれば、還元性鉄粉と該還元性鉄粉表面に固着された酸化促進剤乃至触媒の層とから成り、特定の比表面積と見掛け密度とを有する酸素吸収剤粒子が熱可塑性樹脂に配合された包装容器に水分含有量が50%以上の内容物を充填し、これを加熱殺菌しても、酸素吸収性に優れると共に、長期保存後或いは加熱殺菌後においても凹凸の発生等がなく、外観特性にも優れた殺菌密封包装体を提供することができる。
 本発明では、熱可塑性樹脂に配合する酸素吸収剤粒子として、還元性鉄粉と該還元性鉄粉表面に固着された酸化促進剤乃至触媒の層とから成り且つ前記酸化促進剤乃至触媒が還元性鉄粉当たり0.1乃至5重量%の量で存在する比表面積0.5m /g以上及び見掛け密度2.2g/cc以下のものを用いる。
 本明細書において、該還元性鉄粉の表面に酸化促進剤乃至触媒の層が固着されているとは、単に還元性鉄粉粒子の表面に酸化促進剤乃至触媒が存在し或いは付着しているというだけではなく、熱可塑性樹脂との混練条件下においても、酸化促進剤乃至触媒の層が還元性鉄粉の表面から実質上剥離することなく固着していることを意味している。本発明に使用する酸素吸収剤粒子の構造を模式的に示す図1において、この粒子10は、還元性鉄粉のコア粒子20とその表面に固着した酸化促進剤乃至触媒の層30とからなっており、この粒子は長軸寸法aと短軸寸法bとを有している。
 還元性鉄粉の表面に単に酸化促進剤乃至触媒を被覆しただけでは、熱可塑性樹脂との混練時に、酸化促進剤乃至触媒の粒子が還元性鉄粉粒子の表面から離脱し、樹脂組成物中には、互いに遊離の還元性鉄粉粒子と酸化促進剤乃至触媒粒子とが存在する。これは、酸化促進剤を水溶液で鉄粉に塗布した場合にも、酸化促進剤が結晶として析出するために同様に生じるのである。樹脂組成物中の酸化促進剤乃至触媒は樹脂を浸透してくる水分を吸収するが、還元性鉄粉粒子との間に距離があるため、還元性鉄粉の酸化が速やかには進行せず、酸素吸収速度が小さくなる。また、酸化促進剤乃至触媒粒子の部分に水分が集中して、樹脂組成物中に膨れを生じ、容器の外表面に凹凸が発生する。
 これに対して、本発明で使用する酸素吸収剤粒子では、熱可塑性樹脂との溶融混練後においても、還元性鉄粉粒子の表面に酸化促進剤乃至触媒の層が固着した状態で安定に存在するので、酸化促進剤乃至触媒によって吸収された水分は直ちに還元性鉄粉を活性化し、鉄の酸化反応による酸素の吸収が進行し、酸素吸収速度が高いレベルに保持されるものである。また、酸化促進剤乃至触媒によって吸収される水分も水和酸化物等の生成に有効に利用され、膨れの発生やクラックの発生による外観特性の低下も抑制されるのである。
 本発明においては、酸化促進剤乃至触媒が還元性鉄粉当たり0.1乃至5重量%、特に0.2乃至3.0重量%の量で存在することも重要であり、酸化促進剤乃至触媒の量が上記範囲を下回る場合には、酸素吸収速度が本発明の範囲にある場合に比して低下する傾向があり、一方上記範囲を上回る場合には、樹脂組成物全体としての耐水性や他の物性が低下するので好ましくない。
 本発明に用いる酸素吸収剤粒子は、上記の必須の構成に加えて、0.5m /g以上の比表面積及び2.2g/cc以下の見掛け密度を有することも重要である。比表面積が0.5m /gを下回る場合や、見掛け密度が2.2g/cmを上回る場合、後述する比較例2に示すとおり、酸素吸収速度が低下し、容器内の残留酸素量が本発明の範囲内にある場合に比してかなり増大する。これは、酸素吸収剤配合樹脂組成物における酸素の吸収は、結局のところ、酸素吸収剤粒子の表面を通して行われるものであるが、比表面積や見掛け密度が本発明範囲外の酸素吸収剤粒子では、粒子表面からの酸素吸収が有効に行われにくいためと推定される。
 本発明で用いる酸素吸収剤粒子は、レーザ散乱法で測定して10乃至50μmの平均粒径と、0.6以下のアスペクト比(短軸寸法/長軸寸法)を有する粒子が50%以上の範囲にあり、圧縮度(後述する方法による)が20%以上、特に30乃至90%である偏平乃至紡錘状粒子であることが好ましい。平均粒径が上記範囲内にある酸素吸収剤粒子は、熱可塑性樹脂中への分散性に優れていると共に、酸素吸収性にも優れている。また、アスペクト比が0.6以下のものが50%を下回る酸素吸収剤粒子や圧縮度が20%を下回る酸素吸収剤粒子を用いた場合には、本発明の好適範囲内の酸素吸収剤粒子に比して、酸素吸収性能に劣る傾向が認められ、容器としたときの外観特性も劣る傾向が認められる。これは、アスペクト比を小さくし或いは圧縮度を大きくすること、即ち扁平度を増大させることが、粒子の表面積の増大による酸素吸収速度の増大をもたらし、酸素吸収剤粒子の樹脂組成物の溶融流動方向、即ち層方向への配向をもたらし、これが厚み方向への膨れやクラックを防止するのに役立っているためと思われる。
 本発明に使用する酸素吸収剤粒子は、決してこれに限定されるものではないが、好適には、還元性鉄粉と酸化促進剤乃至触媒の粉末とを乾式ミリングすることにより得られる。この乾式ミリングでは、酸化促進剤乃至触媒の粉末が粉砕されつつ、還元性鉄粉粒子の表面にこすりつけられ、固着層となる。この固着層の形成は、従来の単なるブレンドや、還元性鉄粉を酸化促進剤乃至触媒の水溶液と混合して乾燥する方法では、決して達成されないものである。加えて、上記乾式ミリングは、還元性鉄粉を上記粒度に粒度調整し、しかも還元性鉄粉粒子の扁平度を上記の範囲に制御するという望ましい作用をも行う。
 本発明では、上記酸素吸収剤粒子を、熱可塑性樹脂100重量部当たり5乃至200重量部、特に10乃至100重量部の量で配合する。酸素吸収剤粒子の配合量が上記範囲よりも少ない場合には、酸素吸収性が、本発明の範囲内にある場合に比して、かなり低下する傾向があり、一方酸素吸収剤粒子の配合量が上記範囲よりも多い場合には、容器への成形や容器の物性が、本発明の範囲内にある場合に比して、かなり低下する傾向があり、何れも好ましくない。
 本発明においては、熱可塑性樹脂が実質上非相溶の複数の熱可塑性樹脂のブレンド物であることが、特に好ましい。実質上非相溶の複数の熱可塑性樹脂のブレンド物は、これを溶融成形したとき、各成分が層状に分布し、各層が厚さ方向に重なり、各層が面方向に延びている多層分布構造をとる。このため、このブレンド物から酸素吸収剤配合樹脂組成物では、各成分の層間で剥離が進行しやすく、還元性鉄粉粒子の酸化による体積膨張や水分等による膨れが若干発生したとしても、面方向に扁平な膨れとなり、表面における凹凸の発生がかなり軽減されると共に、厚み方向へのクラックの発生も有効に防止されるものである。
[酸素吸収剤粒子]
 本発明に用いる酸素吸収剤粒子は、還元性鉄粉のコア粒子と、これに固着された酸化促進剤乃至触媒の層とからなる。
 還元性鉄粉は、一般に、鉄鋼の製造工程で得られる酸化鉄(例えばミルスケール)をコークスで還元し、できた海綿鉄を粉砕後、水素ガスや分解アンモニアガス中で仕上げ還元を行ったり、酸洗工程で得られる塩化鉄水溶液から鉄を電解析出させ、粉砕後、仕上げ還元をすることによって得られる。即ち、鉄鋼の製造工程で製品の表面に生成する鉄銹等の鉄酸化物は比較的純粋なものであり、これを酸洗して得られる塩化鉄もまた純粋なものである。酸化鉄の還元焼成は、一般に600乃至1200℃程度の温度で行う。
 還元性鉄の製造は、上記酸洗鉄からの還元焼成に限定されず、用いる原料の鉄が純粋であれば、溶融鉄の非酸化雰囲気中への噴霧や、純粋な金属鉄の粉砕、或いはカルボニル鉄の水蒸気熱分解によっても製造することができる。
 還元性鉄粉の物性は、既に詳述した範囲にあるべきであるが、樹脂の劣化を防止し、フレーバー保持性を向上させるという見地からは、鉄に対する銅の含有量が150ppm 以下及び硫黄の含有量が500ppm 以下であることが好ましい。
 還元性鉄粉の表面に固着させる酸化促進剤乃至触媒としては、水溶性乃至潮解性無機電解質を挙げることができる。その具体例として、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛、塩化第一鉄、塩化第二鉄、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素二ナトリウム、二リン酸ナトリウム、炭酸カリウム、硝酸ナトリウム等の無機塩類等が挙げられる。
 これらの内でも、特にアルカリ金属、アルカリ土類金属の塩化物、特に塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化第二鉄が好適である。これらに加えて、塩化マンガン(MnCl2)等のマンガン塩を組合せて使用することも、酸化促進による酸素吸収に有効である。
 酸化促進剤としては、水溶性の有機化合物も有効であり、この例として、グルコース、果糖、ショトウ、ゼラチン、変性カゼイン、変性デンプン、トラガントゴム、ポリビニールアルコール、CMC,ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム等の有機化合物等が挙げられる。これらの有機系の酸化促進剤乃至触媒は、酸素吸収剤粒子の形で熱可塑性樹脂に配合しても、或いは酸素吸収剤粒子とは別に樹脂に配合してもよい。勿論、本発明においては、複数の酸化促進剤乃至触媒を組み合わせで使用できることはいうまでもない。
 本発明において、還元性鉄粉と酸化促進剤乃至触媒とは、既に詳述した量比で組み合わせる。還元性鉄粉の表面への酸化促進剤乃至触媒の固着部の形成は、還元性鉄粉と酸化促進剤乃至触媒の粉末とを乾式ミリングすることにより行われる。乾式ミリングの終点は、酸化促進剤乃至触媒の遊離の固体粒子が、電子顕微鏡的に確認できなくなることにより知ることができる。乾式ミリングには、振動ミル、ボールミル、チューブミル、スーパーミキサー等を用いることができる。乾式ミリング後得られる酸素吸収剤粒子は、一般に必要でないが、篩い分け、風力分級等の操作で、遊離の酸化促進剤乃至触媒の微粉末を分離除去するようにしてもよい。
[酸素吸収剤粒子配合樹脂組成物]
 本発明によれば、熱可塑性樹脂100重量部に対して酸素吸収剤粒子を5乃至200重量部、特に10乃至100重量部の量で配合する。
 熱可塑性樹脂としては、例えば低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンあるいはエチレン、ピロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同志のランダムあるいはブロック共重合体等のポリオレフィン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体等のエチレン・ビニル化合物共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS、α−メチルスチレン・スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のポリビニル化合物、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフエニレンオキサイド等あるいはそれらの混合物のいずれかの樹脂でもよい。
 酸素吸収剤を配合する熱可塑性樹脂は、酸素透過性を有するのが好ましく、この見地からは、オレフィン系樹脂が特に適している。一方、オレフィン系樹脂は、水分保持性が少なく、この点で前述した膨れ発生の原因ともなるものであるが、特定の酸素吸収剤を使用することにより、酸素吸収に必要な水分補給を円滑に行うことができる。
 本発明においては、酸素吸収剤を配合する樹脂マトリックスとして、実質上非相溶の複数の熱可塑性樹脂乃至エラストマーのブレンド物を使用することが、外観特性向上の見地から特に好ましい。
 ここで、熱可塑性のエラストマーとしては、例えばエチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、熱可塑性エラストマー、例えばスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、水素化スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、水素添加ブタジエン−イソプレンブロック共重合体、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR),スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム、天然ゴム、熱可塑性ポリウレタン、シリコーンゴム、アクリルゴム等;等が挙げられる。これらの内でも、炭化水素系エラストマー、特にEPRやEPDMは好適なものである。
 本発明において、互いに相溶性のない熱可塑性樹脂乃至エラストマーの組み合わせは、決してこれに限定されないが、例えば、プロピレン系重合体/エチレン系重合体、ポリアミド/オレフィン系樹脂、ポリアミド/スチレン系樹脂、ポリアミド/ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート/ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート/ポリスチレン系樹脂、ポリエステル樹脂/オレフィン系樹脂、ポリカーボネート/ポリエステル樹脂等である。
 酸素吸収剤の分散及び熱成形が容易であり、従って本発明の目的に特に好適な樹脂の組み合わせは、結晶性プロピレン系重合体とエチレン系重合体との組み合わせである。結晶性プロピレン系重合体としては、ホモポリプロピレンの他に、1乃至20重量%、特に2乃至15重量%のエチレンを含有するランダム或いはブロック共重合体が使用される。これらのポリプロピレンは、アイソタクティック構造のものでも、シンジオタクティック構造のものでもよい。
 エチレン系重合体としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレンと、他のオレフィン、例えばプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン−1、デセン−1等の少なくとも1種の共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリレート共重合体、アイオノマー等が挙げられる。
 複合樹脂マトリックス中における一方の樹脂と、他方の樹脂との割合は広範囲に変化させることができるが、重量比で、100:1乃至1:1、特に50:1乃至3:2の範囲にあることが好ましい。
 本発明に用いる複合樹脂マトリックスにおいて、樹脂或いはエラストマー相互の分散の程度を調節するために、相溶化剤を配合することができる。相溶化剤とは、異種ポリマー間の相互作用を高めるものであり、ブレンドさせるポリマーA,Bと同じ成分をもつブロック共重合体乃至グラフト共重合体;ブレンドさせるポリマーA,Bの何れか一方に分子状に混合する第三成分をもつブロック共重合体乃至グラフト共重合体;ブレンドさせるポリマーA,B夫々の一方にのみ相溶性のあるポリマー2種のグラフト共重合体;等がある。
 また、相溶化剤の機能に着目すると、非反応型の相溶化剤と反応型の相溶化剤との2種類があり、前者の例として、スチレン−エチレン−ブタジエンブロック共重合体、ポリエチレン−ポリメタクリル酸メチルブロック共重合体、ポリエチレン−ポリスチレンブロック共重合体等があり、後者の例として、無水マレイン酸変性オレフィン系樹脂、特に無水マレイン酸グラフトポリプロピレンやポリエチレン、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体、スチレン−グリシジルメタクリレート共重合体等がある。
 これらの相溶化剤は、樹脂マトリックス中に1乃至20重量%、特に2乃至10重量%の量で存在させることができる。
 酸素吸収剤と樹脂マトリックスとの混合は、所謂ドライブレンドでもメルトブレンドでもよく、また酸素吸収剤の分散を良好に行うために、酸素吸収剤を高濃度で含有する樹脂組成物(マスターバッチ)を製造し、このマスターバッチを樹脂マトリックスに配合することもできる。
[包装容器]
 本発明に用いる酸素吸収性包装容器は、酸素吸収剤含有熱可塑性樹脂層を器壁に備えている限り、任意の層構成をとりうる。一般に酸素吸収剤配合樹脂組成物の両側に、酸素吸収剤未配合の熱可塑性樹脂層を積層することが、容器の外観特性や、内容物の衛生的特性の点から望ましい。
 本発明に用いる包装容器の多層構造の一例を示す図2において、この容器壁1は、耐湿性熱可塑性樹脂の外層2、必要に応じて接着剤樹脂層3a、ガスバリアー性樹脂から成る第一の中間層4、必要に応じて接着剤樹脂層3b、酸素吸収剤配合樹脂組成物から成る第二の中間層5及び耐湿性熱可塑性樹脂の内層6からなっている。第二の中間層は、酸素吸収剤を配合した熱可塑性樹脂層から成り、この熱可塑性樹脂は、好適には、実質上非相溶性の複数の熱可塑性樹脂乃至エラストマーから成っている。この第二の中間層はガスバリアー性樹脂層4よりも内側に設けられていることが留意されるべきである。
 本発明に用いる包装容器の多層構造の他の例を示す図3において、この容器壁1は、耐湿性熱可塑性樹脂の外層2、接着剤樹脂層3a、ガスバリアー性樹脂から成る第一の中間層4、接着剤樹脂層3b、酸素吸収剤を配合した樹脂組成物から成る第二の中間層5、吸着性消臭剤を配合した樹脂組成物から成る第三の中間層7、及び耐湿性熱可塑性樹脂の内層6からなっている。酸素吸収剤と吸着性消臭剤とは、それぞれ別個に第二の中間層5及び第三の中間層7に配合され、外側から順に、ガスバリアー性樹脂層4、酸素吸収剤層5及び吸着性消臭剤層7となっていることが了解されよう。
 酸素吸収剤配合樹脂層の両側に設ける熱可塑性樹脂層としては、耐湿性樹脂(低吸水性樹脂)、特にASTM D 570で測定した吸水率が0.5%以下、特に0.3%以下の熱可塑性樹脂が適当である。その代表例として、低−、中−或いは高−密度のポリエチレン、アイソタクテイツクポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン−1、エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)或いはこれらのブレンド物等のオレフィン系樹脂を挙げることができ、更にポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、ABS樹脂等のスチレン系樹脂や、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステルやポリカーボネートであることもできる。これらの内でも、衛生性の点では、オレフィン系樹脂が好適であり、耐熱性の点では、プロピレン系樹脂が好適である。
 本発明に用いる包装容器において、所望により用いるガスバリアー性樹脂としては、低い酸素透過係数を有し且つ熱成形可能な熱可塑性樹脂が使用される。ガスバリアー性樹脂の最も適当な例としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体を挙げることができ、例えば、エチレン含有量が20乃至60モル%、特に25乃至50モル%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体を、ケン化度が96モル%以上、特に99モル%以上となるようにケン化して得られる共重合体ケン化物が使用される。このエチレン−ビニルアルコール共重合体ケン化物は、フィルムを形成し得るに足る分子量を有するべきであり、一般に、フェノール:水の重量比で85:15の混合溶媒中30℃で測定して 0.01dL/g以上、特に0.05dL/g以上の粘度を有することが望ましい。
 また、前記特性を有するガスバリアー性樹脂の他の例としては、炭素数100個当りのアミド基の数が5乃至50個、特に6乃至20個の範囲にあるポリアミド類;例えばナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6/6,6共重合体、メタキシリレンアジパミド、ナイロン6,10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン13等が使用される。これらのポリアミドもフィルムを形成するに足る分子量を有するべきであり、濃硫酸中1.0g/dLの濃度で且つ30℃の温度で測定した相対粘度(ηrel)が1.1以上、 特に1.5以上であることが望ましい。尚、これらのガスバリアー性樹脂は、図2に示すように、酸素吸収剤配合樹脂層に隣接するように設けることもできる。
 エチレン−ビニルアルコール共重合体の場合のように、用いるガスバリアー性樹脂と耐湿性熱可塑性樹脂との間には積層に際して十分な接着性が得られない場合があるが、この場合には両者の間に接着剤樹脂層を介在させる。
 このような接着剤樹脂としては、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸塩、カルボン酸アミド、カルボン酸エステル等に基づくカルボニル基を主鎖又は側鎖に、1乃至700ミリイクイバレント(meq)/100g樹脂、特に10乃至500meq /100g樹脂の濃度で含有する熱可塑性樹脂が挙げられる。接着剤樹脂の適当な例は、エチレン−アクリル酸共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体、無水マレイン酸グラフトポリエチレン、無水マレイン酸グラフトポリプロピレン、アクリル酸グラフトポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、共重合ポリエステル、共重合ポリアミド等の1種又は2種以上の組合せである。これらの樹脂は、同時押出或いはサンドイッチラミネーション等による積層に有用である。また、予じめ形成されたガスバリアー性樹脂フィルムと耐湿性樹脂フィルムとの接着積層には、イソシアネート系或いはエポキシ系等の熱硬化型接着剤樹脂も使用される。
 酸素吸収剤配合樹脂層は、容器内に許容される酸素量や容器形状によっても相違するが、一般に10乃至200μm 、特に20乃至150μm の厚みを有することが望ましい。
 一方、上記酸素吸収剤配合樹脂層の両側に設ける耐湿性樹脂層は、一般に20乃至500μm、特に50乃至300μmで且つ中間層の厚みの0.2乃至30倍、特に0.5乃至10倍の厚みを有するのがよい。また、内層と外層の厚みは、等しくてもよく、内層又は外層の何れか一方が他方の層よりも厚さの大きい構造となっていてもよい。また、ガスバリアー性樹脂層の厚みは、一般に5乃至100μm、特に10乃至50μmの厚みを有することが好ましい。
 本発明に用いる包装容器は、それ自体公知の方法で製造が可能である。例えば、この容器は多層同時押出で製造することができ、各樹脂層に対応する押出機で樹脂乃至樹脂組成物を溶融混練した後、T−ダイ、サーキュラーダイ等の多層多重ダイスを通して所定の形状に押出す。また、各樹脂層に対応する射出機で樹脂乃至樹脂組成物を溶融混練した後、射出金型中に共射出又は遂次射出して、多層容器又は容器用のプリフォームを製造する。更にドライラミネーション、サンドイッチラミネーション、押出コート等の積層方式も採用し得る。
 成形物は、フィルム、シート、ボトル乃至チューブ形成用パリソン乃至はパイプ、ボトル乃至チューブ成形用プリフォーム等の形をとり得る。パリソン、パイプ或いはプリフォームからのボトルの形成は、押出物を一対の割型でピンチオフし、その内部に流体を吹込むことにより容易に行われる。また、パイプ乃至はプリフォームを冷却した後、延伸温度に加熱し、軸方向に延伸すると共に、流体圧によって周方向にブロー延伸することにより、延伸ブローボトル等が得られる。
 また、フィルム乃至シートを、真空成形、圧空成形、張出成形、プラグアシスト成形等の手段に付することにより、カップ状、トレイ状等の包装容器が得られる。更に、多層フィルムにあっては、これを袋状に重ね合せ或いは折畳み、周囲をヒートシールして袋状容器とすることもできる。
[殺菌密封包装体]
 本発明に用いる包装容器は、内容物を湯殺菌、熱間充填、レトルト殺菌等で加熱する密封包装容器として有用であり、また密封された内容物を開封後、電子レンジ等でマイクロ波加熱し、調理する包装容器として有用である。充填する内容物としては、酸素吸収性の点で、水分含有量が50%以上の内容物が特に適している。
 通常の状態において、酸素の透過防止、即ち酸素遮断に役立つのは、ガスバリアー性樹脂層であるが、熱殺菌のように水分と熱とが同時に作用する条件では、中間樹脂層中に存在する酸素吸収剤が酸素遮断に有効に役立ち、容器が置かれる状態に応じて機能分担が効果的に行われるのである。即ち、水分と熱とが同時に作用する条件下では、耐湿性樹脂層を通して水分の透過が著しく生じ、ガスバリアー性樹脂はその吸湿によりまた更に温度の上昇により、本来の酸素バリヤー性能を低下させることになるのであるが、吸湿される水分と与えられる熱とが酸素吸収剤を活性化し、酸素吸収剤による酸素の捕捉が有効に行われ、その結果として、熱殺菌時における酸素の透過も抑制されるのである。
 本発明を次の例より更に説明する。尚、以下の実施例における測定は次の通り行った。
〔見掛密度〕
 JIS K 6721に準じて行ったが、漏斗の流出ストッパーと受器の間隔を38mmとして行った。受器は容量5cm の円筒形である。漏斗中に測定試料を注ぎ、流れ出た試料が受器一杯になってあふれ始めたなら直ちに流入を止め、振動を与えないように受器の上に盛り上がった粉末をヘラで受器の上端に沿って平に掻きとる。受器の外側に付着した粉末を静かに除去し、コップの重量を測定して秤量する。
〔固めの見掛け密度及び圧縮度〕
 見掛け密度と同様に受器に粉末を上端一杯まで入れる。この粉末入りの受器を水平に3cm上げ落下させる。この操作を30回行い、粉末が圧縮されて出来た受器上端の空間に更に端末を注ぐ。同様に30回落下させて粉末を圧縮させる。更に出来を受器空間に粉末を入れ、落下させるという操作を計6回繰り返し、最後に上端を平に掻きとり、精秤して固めの見掛け密度を求めた。圧縮度の算出は、下記式
  [(固めの見掛け密度)−(見かけ密度)]/(固めの見掛け密度)×100(%)
により行った。
〔比表面積〕
 BET 1点法を用いて測定した。測定装置は島津フローソーブ型を用いた。
〔粒径〕
 レーザ回折散乱法により求めた。測定装置は島津レーザ回折式粒度分布測定装置SALD1100で、粒子の分散媒体としてエタノールを使用した。50%粒径を平均粒径として用いた。
〔アスペクト比〕
 酸素吸収剤粒子を250倍に拡大し、写真撮影を行い、粒子の最長軸の長さをa、この長軸の中点を通って直交する軸の長さをbとして、下記式により、求められる。
   R = b/a
実施例1
 2.4mm乃至12mmに整粒された鉄鉱石より製造した還元鉄粉100部と平均粒径20μmの塩化ナトリウム(NaCl)を2部の割合で計1.5kgを容量3.0Lの振動ミルにスチールボールと共に入れ、3時間振動粉砕すると同時に、鉄粉表面にNaClをこすり付けた。操作終了後、目視ではNaCl粉は確認出来なくなっていた。製造されたNaCl固着鉄粉(以下、固着吸収剤)の比表面積は1.8m/g、見掛け密度は1.7g/cm 、平均粒径28μmであった。この固着吸収剤をMIが0.6(g/10min、230℃)のポリプロピレン(PP)に30重量%配合したペレットを作成した。
 この固着吸収剤配合ポリプロピレン(PO)を中間層とし、MIが0.6のPPに8重量%のチタン白を配合した白色PPを内外層とした2種3層(全厚み210μm、構成比 白色PP:PP:白色PP=1:1:1)シートを、内外層押出機、中間層押出機、フィードブロック、T−ダイ、冷却ロール、シート引取り装置よりなる成形装置より製造した(本発明品1)。
 還元鉄粉を予め比表面積2.4m /g、見掛け密度1.9g/cm に粉砕したもの100部とNaClの2部をV型混合機に入れ30分間ブレンドして製造した吸収剤を同様にPP中に配合したペレットより同様の2種3層シートを作成した(比較品1)。
 これらのシートより作成した試験片(30×30mm)を、ガス不透過性のカップ(内容量85mm)に蒸留水1mlと共に入れ、ガス不透過性のアルミニウム箔ラミネートフィルム製ヒートシール蓋材で加熱密封し、50℃で保存試験を行った。一定期間保存後に容器内酸素濃度の測定を行い、シートの酸素吸収量を求め、又、シート片の外観観察を行った。表1に示したように、シート外観変化は無く、酸素吸収速度も向上していた。
Figure 2004083139
実施例2
 実施例1と同様に比表面積1.8m /g、見掛け密度1.7g/cm の固着吸収剤を配合したポリプロピレンペレット(PO)を第1の中間層とし、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH:エチル含有量32モル%、ケン化度99.6モル%)を第二の中間層としメルトインデックス(MI)が0.5g/10min(230℃)のPPにチタン白顔料を混合した白色PPを内外層とし、MIが1.0g/10min(230℃)の無水マレイン酸変性PP(ADH)を接着剤層とした4種6層シート(全厚み0.8mm、構成比 PP/ADH/EVOH/ADH/PO/PP=40/1/10/1/20/10)を作成した。得られたシートを190℃に加熱後、真空成形機にてPO層がEVOH層より内側になった深さ30mm、容量115mlの角型カップを成形した。このカップに1mlの水を充填し、窒素雰囲気下でガス不透過性のアルミニウム箔ラミネート蓋材をヒートシールした。120℃、30分間のレトルト殺菌処理のあと30℃、80%RHの雰囲気で保存し、一定期間経過毎に容器内酸素濃度を測定した(本発明品2)。
 比較品として、適度に整粒された還元鉄100部に対して、平均粒径20μmのNaClを2部の割合で実施例1と同様の振動ミルに入れ、最終形状が比表面積0.4m /g、見掛密度2.45g/cm の固着酸素吸収剤を作った。本実施例で使用した成形機によって同一のカップを作成し、同様の保存試験を行い、一定期間毎に容器内酸素濃度を測定した(比較例2−1)。
 結果を表2に記した。またPOの代りにPPを用いた他は同一のシートより同様のカップを作り保存試験を行った結果を示した(比較例2−2)。
Figure 2004083139
実施例3
 アスペクト比に関して、実施例1の本発明品は0.25〜0.60の間に60%以上の粒子が入っており、又、この固着吸収剤の見掛密度は1.7g/cmであるが、固めの見掛密度(packed bulk Density)は2.8であり、圧縮度
   [1−(1.7/2.8)]×100=39(%)
であった。この固着吸収剤を使用して実施例2の4種6層シートを作成した(本発明品3)。
 粒径40μmに微粉砕した還元鉄粉に、NaCl水溶液を鉄とNaClが100:2の割合になるように噴霧した後、水分を除去した付着吸収剤を作った。このものの見掛けのアスペクト比は大きく0.6以上のものが60%を超えていた。この固着吸収剤を用いて実施例2の4種6層シートを作った(比較品3−1)。
 これらのシートから作成された実施例2と同形のカップに蒸留水1mlを加えて窒素雰囲気下で密封シールした。120℃、30分間のレトルト殺菌処理を行い容器内の酸素濃度と容器内部の観察を行った。本発明品は、比較品に較べて、容器内酸素濃度抑制効果は優れており、また容器外観も優れていた。
 更に比較品3−2として、PPに配合する酸素吸収剤として、見掛のアスペクト比が本発明品と同程度であるが、反応促進剤であるNaClを固着させずにブレンドした酸素吸収剤を原料として同一構成のカップを作った。アスペクト比が比較品3−1程度である鉄粉にNaClをブレンドした吸収剤を原料として作成したカップ(比較品3−3)をも同様の殺菌処理を行い保存し内部酸素濃度、外観の検査を行った。結果を表3に記した。
Figure 2004083139
実施例4
 実施例1と同様に振動ミル中に鉄粉と塩化ナトリウム(NaCl)を入れて製造された酸素吸収剤と、予め実施例1の酸素吸収剤と同様の形状に整粒された鉄粉に20%NaCl水溶液を鉄100g当たり10mlの割合で噴霧し、乾燥したものを使用して実施例1のシートを作成した。保存条件50℃、100%RHで1日保存後のシートの酸素吸収量を測定した。両者とも鉄粉表面に促進剤成分が接触している為、良い酸素吸収性能を示すものの実施例1のように乾式で作成されたものが0.11cc/cm 、促進剤水溶液を用いて湿式で作成されたものは0.07cc/cm の酸素吸収性能であった。
実施例5
 実施例1で作成した酸化促進剤被覆酸素吸収剤を、MIが0.6(g/10min、23℃)のポリプロピレンに30重量%配合したペレットを作成した。又、同様にMIが0.6のポリプロピレンとMIが0.5の低密度ポリプロピレン(LDPE)の9:1ブレンド物を用いてペレットを作成した。これらのペレットを用いて、実施例1の3層シートを作成し(試作品5−1,5−2)、そのシートを120℃、30分間の加熱殺菌処理を行った。
 又、実施例1中の比較品1で用いた酸化促進剤ブレンド酸素吸収剤をMI0.6のPPに混合したペレットより製造した実施例2と同様の3層シート(比較品5−1)、MI0.6のPPとMI0.5のLDPEとの混合物を用いたペレットより作成された3層シート(比較例5−2)を120℃、30分間の加熱殺菌処理を行い外観変化を調べた。
 又、実施例1で用いた酸素吸収量測定方法を用いて性能評価を行った。結果を表4に示した。結果より明らかに、PPにLDPEを混合した樹脂系を用いることによって、外観、酸素吸収性能共に向上することが判る。
Figure 2004083139
実施例6
 実施例1の本発明品である酸素吸収性樹脂組成物を用いて実施例2の4種6層カップを作成した。このカップに蒸留水50mlを充填し、大気下で密封シールし、120℃、30分間の加熱殺菌処理を行い、その後30℃、80%RHで保管した(本発明品6)。
 又、実施例1の比較例1で用いた鉄とNaClブレンド酸素吸収剤を用いたペレットを使用した同様のカップを用いて試験を行った(比較品 )。
 本発明品6は長時間にわたって容器外観に変化はなかったが、比較品6は容器内表面に微小なクラックが発生していた。
本発明に使用する酸素吸収剤粒子の構造を模式的に示す説明図である。 本発明に使用する容器の多層構造の例を示す断面図である。 本発明に使用する容器の多層構造の他の例を示す断面図である。
符号の説明
 1 容器壁
 2 耐湿性熱可塑性樹脂の外層
 3a,3b 接着剤樹脂層
 4 ガスバリアー性樹脂から成る第一の中間層
 5 酸素吸収剤を配合した樹脂組成物から成る第二の中間層
 6 耐湿性可塑性樹脂の内層
 7 吸着性消臭剤を配合した樹脂組成物から成る第三の中間層
 10 酸素吸収剤粒子
 20 還元性鉄粉コア粒子
 30 酸化促進剤乃至触媒の層

Claims (4)

  1.  還元性鉄粉と該還元性鉄粉表面に固着された酸化促進剤乃至触媒の層とから成り且つ前記酸化促進剤乃至触媒が還元性鉄粉当たり0.1乃至5重量%の量で存在する比表面積0.5m/g以上及び見掛け密度2.2g/cc以下の酸素吸収剤粒子を熱可塑性樹脂100重量部当たり5乃至200重量部の量で配合して成る酸素吸収性樹脂組成物の層を器壁に備えた包装容器内に50重量%以上が水分である内容物を充填し、密封後に加熱殺菌を行ったことを特徴とする殺菌密封包装体。
  2.  前記酸素吸収剤粒子がレーザ散乱法で測定して10乃至50μmの平均粒径と、0.6以下のアスペクト比(短軸寸法/長軸寸法)を有する粒子が50%以上であり、圧縮度が20%以上である偏平乃至紡錘状粒子であることを特徴とする請求項1記載の殺菌密封包装体。
  3.  前記酸素吸収剤粒子が還元性鉄粉と酸化促進剤乃至触媒の粉末とを乾式ミリングして得られたものであることを特徴とする請求項1記載の殺菌密封包装体。
  4.  前記熱可塑性樹脂が実質上非相溶の複数の熱可塑性樹脂乃至エラストマーのブレンド物であることを特徴とする請求項1記載の殺菌密封包装体。
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