JP7227671B1 - 積層シート、及び成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は良好なシーリング性及び強度を有する、無機物質含有積層シートを提供することである。【解決手段】本発明は、内層と、中間層と、外層と、がこの順で積層された積層シートであって、前記内層、前記中間層、及び前記外層が、それぞれ、特定のポリオレフィン系樹脂、及び無機物質粉末を所定の比率で含む積層シートを提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、積層シート、及び成形体に関する。
近年、環境保護の観点から、各種樹脂製品における樹脂成分含有量を低減するための試みが行われている。
このような試みとして、樹脂製品における無機物質(炭酸カルシウム等)の配合量を高めることが挙げられる(例えば、特許文献1、及び2)。
特許第6857428号公報 特開2021-112862号公報
しかし、本発明者らは、無機物質の割合を高めた樹脂組成物から得られるシートは、シーリング性が低く、袋状体に成形し難いことを見出した。
また、シーリング出来たとしても、得られた袋状体が破損し易いことも見出した。
本発明は以上の実情に鑑みてなされたものであり、良好なシーリング性及び強度を有する、無機物質含有積層シートの提供を課題とする。
本発明者らは、少なくとも3層を含む積層シートの各層において、特定のポリオレフィン系樹脂、及び無機物質粉末を、所定の比率を満たすように配合することで、上記課題を解決出来る点を見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下を提供する。
(1) 内層と、中間層と、外層と、がこの順で積層された積層シートであって、
前記内層、前記中間層、及び前記外層が、それぞれ、ポリオレフィン系樹脂、及び無機物質粉末を含み、
前記内層が、エチレン・1-ヘキセン共重合体、及びエチレン・1-ブテン共重合体を含み、
前記内層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体の含有量が、前記内層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体、及びエチレン・1-ブテン共重合体の総量に対して、92質量%以上98質量%以下であり、
前記内層におけるエチレン・1-ブテン共重合体の含有量が、前記内層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体、及びエチレン・1-ブテン共重合体の総量に対して、2質量%以上8質量%以下であり、
前記内層における無機物質粉末の含有量が、前記内層に対して、15質量%以上25質量%以下であり、
前記中間層が、エチレン・1-ヘキセン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、及び高密度ポリエチレン単独重合体を含み、
前記中間層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体の含有量が、前記中間層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、及び高密度ポリエチレン単独重合体の総量に対して、31質量%以上34質量%以下であり、
前記中間層におけるエチレン・1-ブテン共重合体の含有量が、前記中間層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、及び高密度ポリエチレン単独重合体の総量に対して、33質量%以上34質量%以下であり、
前記中間層における高密度ポリエチレン単独重合体の含有量が、前記中間層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、及び高密度ポリエチレン単独重合体の総量に対して、33質量%以上36質量%以下であり、
前記中間層における無機物質粉末の含有量が、前記中間層に対して、55質量%以上75質量%以下であり、
前記外層が、エチレン・1-ヘキセン共重合体、及びエチレン・1-ブテン共重合体を含み、
前記外層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体の含有量が、前記外層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体、及びエチレン・1-ブテン共重合体の総量に対して、70質量%以上76質量%以下であり、
前記外層におけるエチレン・1-ブテン共重合体の含有量が、前記外層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体、及びエチレン・1-ブテン共重合体の総量に対して、24質量%以上30質量%以下であり、
前記外層における無機物質粉末の含有量が、前記外層に対して、50質量%以上70質量%以下である、
積層シート。
(2) 前記無機物質粉末の含有量が、前記積層シートに対して、50質量%以上65質量%以下である、(1)記載の積層シート。
(3) 前記無機物質粉末が、炭酸カルシウム粉末である、(1)記載の積層シート。
(4) 前記炭酸カルシウム粉末が、重質炭酸カルシウム粉末である、(3)記載の積層シート。
(5) 前記重質炭酸カルシウム粉末の平均粒子径が、0.7μm以上6.0μm以下である、(4)記載の積層シート。
(6) 前記内層の厚さが、積層シートの厚さに対して、20%以上35%以下であり、
前記中間層の厚さが、積層シートの厚さに対して、45%以上70%以下であり、
前記外層の厚さが、積層シートの厚さに対して、9%以上30%以下である、
(1)記載の積層シート。
(7) (1)から(6)の何れかに記載の積層シートからなる成形体。
(8) 前記内層が内側に配置され、かつ、前記外層が外側に配置された筒状体である、(7)記載の成形体。
(9) 積層シートの2つの端辺において、第1の端辺における前記内層と、第2の端辺における前記外層とが貼り合わされた、(7)記載の成形体。
(10) 前記成形体が、袋状体である、(7)記載の成形体。
(11) 前記袋状体が、米袋である、(10)記載の成形体。
本発明によれば、良好なシーリング性及び強度を有する、無機物質含有積層シートが提供される。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されない。
<積層シート>
本発明の積層シートは、少なくとも3層の層構造、すなわち、内層、中間層、及び外層をこの順で含む構造を有し、以下の要件を全て満たす。
・内層、中間層、及び外層が、それぞれ、ポリオレフィン系樹脂、及び無機物質粉末を含む。
・内層が、エチレン・1-ヘキセン共重合体、及びエチレン・1-ブテン共重合体を含む。
・内層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体の含有量が、内層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体、及びエチレン・1-ブテン共重合体の総量に対して、92質量%以上98質量%以下である。
・内層におけるエチレン・1-ブテン共重合体の含有量が、内層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体、及びエチレン・1-ブテン共重合体の総量に対して、2質量%以上8質量%以下である。
・内層における無機物質粉末の含有量が、内層に対して、15質量%以上25質量%以下である。
・中間層が、エチレン・1-ヘキセン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、及び高密度ポリエチレン単独重合体を含む。
・中間層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体の含有量が、中間層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、及び高密度ポリエチレン単独重合体の総量に対して、31質量%以上34質量%以下である。
・中間層におけるエチレン・1-ブテン共重合体の含有量が、中間層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、及び高密度ポリエチレン単独重合体の総量に対して、33質量%以上34質量%以下である。
・中間層における高密度ポリエチレン単独重合体の含有量が、中間層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、及び高密度ポリエチレン単独重合体の総量に対して、33質量%以上36質量%以下である。
・中間層における無機物質粉末の含有量が、中間層に対して、55質量%以上75質量%以下である。
・外層が、エチレン・1-ヘキセン共重合体、及びエチレン・1-ブテン共重合体を含む。
・外層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体の含有量が、外層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体、及びエチレン・1-ブテン共重合体の総量に対して、70質量%以上76質量%以下である。
・外層におけるエチレン・1-ブテン共重合体の含有量が、外層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体、及びエチレン・1-ブテン共重合体の総量に対して、24質量%以上30質量%以下である。
・外層における無機物質粉末の含有量が、外層に対して、50質量%以上70質量%以下である。
上記要件を満たす各層を備える積層シートは、下記の作用で、シーリング性及び強度を両立出来ると考えられる。
本発明の積層シートにおいて、内層は、加熱により融解することで、該内層と対向する面に接着出来る。
その際に、内層は、他の層に比べてより低い温度において融解する。つまり、内層は、他の層に比べてより早いタイミングで融解する。
内層とともに、内層以外の層も融解すると、積層シートの破損(穴や破れの発生)を生じ得るため、本発明においては、内層のみを融解し易く調製することで、良好なシーリング性を実現出来る。
本発明の積層シートにおいて、中間層、及び外層は、それぞれ、積層シートに強度を与える。
しかし、内層及び中間層の2層構造では、積層シートの強度が充分ではなく、内層及び外層の2層構造では、内層のシーリング性が損なわれることがわかった。
本発明においては、内層、中間層、及び外層をこの順で設けることで、シーリング性及び強度を両立させることが出来る。
本発明において「シーリング性」とは、接着剤を使用しない方法での接着による接着性を包含する。接着剤を使用しない方法としては、熱や圧力を用いた接着(ヒートシール等)が挙げられる。
本発明において「シーリング性が良好である」とは、接着面同士が剥がれにくく、接着箇所やその周辺において破損(穴、破れ等)が生じにくいことを包含する。
本発明の好ましい態様において「シーリング性」とは、ヒートシールによって良好に接着できることを包含する。かかる場合、ヒートシールの温度は、好ましくは105℃以上130℃以下、より好ましくは110℃以上125℃以下である。
積層シートのシーリング性は、実施例に示した方法で評価し得る。
本発明において「強度」とは、落下衝撃に対する強度を包含する。
本発明において「強度が良好である」とは、積層シートやその成形体に落下衝撃(例えば、地面から1mの高さから地面へ落とした場合の落下衝撃)を与えても、破損(破れ、割れ等)が生じにくいか、破損が全く生じないことを包含する。
積層シートや、該シートから得られる成形体の強度は、実施例に示した方法で評価し得る。
以下、本発明の積層シートの構成について詳述する。
なお、本発明において「成分Aからなる」とは、成分A以外の成分を実質的に含まないことを意味する。
本発明において「成分Bを実質的に含まない」とは、成分Bの含有量が、その添加対象(積層シートやその各層)に対して、0.1質量%未満である態様、より好ましくは0.01質量%以下である態様、更に好ましくは全く含まない態様を包含する。
(1)内層
内層は、ポリオレフィン系樹脂、及び無機物質粉末を含む。内層は、中間層や外層と比較して低い温度(例えば、115℃以下)で融解し、良好なシーリング性を奏する。
(1-1)内層におけるポリオレフィン系樹脂
内層におけるポリオレフィン系樹脂は、エチレン・1-ヘキセン共重合体(CAS番号:25213-02-9)、及びエチレン・1-ブテン共重合体(CAS番号:25087-34-7)を含み、好ましくはエチレン・1-ヘキセン共重合体、及びエチレン・1-ブテン共重合体からなる。
内層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体の含有量は、内層に充分なシーリング性を付与する観点から、内層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体、及びエチレン・1-ブテン共重合体の総量に対して、92質量%以上98質量%以下である。
内層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体の含有量の下限は、内層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体、及びエチレン・1-ブテン共重合体の総量に対して、92質量%以上、好ましくは93質量%以上、より好ましくは94質量%以上である。
内層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体の含有量の上限は、内層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体、及びエチレン・1-ブテン共重合体の総量に対して、98質量%以下、好ましくは97.5質量%以下である。
内層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体の含有量の下限は、内層に対して、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上である。
内層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体の含有量の上限は、内層に対して、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下である。
内層におけるエチレン・1-ブテン共重合体の含有量は、内層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体、及びエチレン・1-ブテン共重合体の総量に対して、2質量%以上8質量%以下である。
内層におけるエチレン・1-ブテン共重合体の含有量の下限は、内層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体、及びエチレン・1-ブテン共重合体の総量に対して、2質量%以上、好ましくは3質量%以上である。
内層におけるエチレン・1-ブテン共重合体の含有量の上限は、内層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体、及びエチレン・1-ブテン共重合体の総量に対して、8質量%以下、好ましくは7質量%以下、より好ましくは6質量%以下である。
内層におけるエチレン・1-ブテン共重合体の含有量の下限は、内層に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上である。
内層におけるエチレン・1-ブテン共重合体の含有量の上限は、内層に対して、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下である。
内層には、エチレン・1-ヘキセン共重合体、及びエチレン・1-ブテン共重合体以外の任意の樹脂が含まれていても良く、含まれていなくとも良い。
内層に、エチレン・1-ヘキセン共重合体、及びエチレン・1-ブテン共重合体以外の樹脂が含まれる場合、その種類は特に限定されないが、高圧法によって単独重合された低密度ポリエチレン、エチレン-プロピレン-ヘキセン三元共重合体、エチレン-プロピレン-ブテン三元共重合体、オレフィンエラストマー類、スチレンエラストマー類等が挙げられる。
内層に、エチレン・1-ヘキセン共重合体、及びエチレン・1-ブテン共重合体以外の樹脂が含まれる場合、その含有量は、内層に対して、好ましくは0.1質量%以上5質量%以下である。
(1-2)内層における無機物質粉末
内層における無機物質粉末の含有量は、環境負荷を低減出来るほどの無機物質粉末を配合しつつも、シーリング性を奏するために充分量のポリオレフィン系樹脂を配合する観点から、内層に対して、15質量%以上25質量%以下である。
内層における無機物質粉末の含有量の下限は、内層に対して、15質量%以上、好ましくは16質量%以上、より好ましくは17質量%以上である。
内層における無機物質粉末の含有量の上限は、内層に対して、25質量%以下、好ましくは24質量%以下、より好ましくは23質量%以下である。
内層における無機物質粉末としては、特に限定されず、通常の樹脂製品等に含まれるものを採用出来る。無機物質粉末は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
無機物質粉末としては、例えば、以下のものが挙げられる。
金属(カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、チタン、鉄、亜鉛等)の炭酸塩、硫酸塩、珪酸塩、リン酸塩、又はホウ酸塩;
金属(カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、チタン、鉄、亜鉛等)の酸化物;
上記塩又は酸化物の水和物等。
無機物質粉末としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、シリカ、アルミナ、クレー、タルク、カオリン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、リン酸マグネシウム、硫酸バリウム、珪砂、カーボンブラック、ゼオライト、モリブデン、珪藻土、セリサイト、シラス、亜硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、チタン酸カリウム、ベントナイト、黒鉛等が挙げられる。
無機物質粉末は合成のものであっても良く、天然鉱物由来のものであっても良い。
無機物質粉末の分散性や反応性を高める観点から、無機物質粉末は表面処理されたものであっても良い。
表面処理法としては、物理的方法(プラズマ処理等)、化学的方法(カップリング剤や界面活性剤を用いた方法)等が挙げられる。
無機物質粉末の形状は、特に限定されず、粒子状(球形、不定形状等)、フレーク状、顆粒状、繊維状等の何れであっても良い。
無機物質粉末の平均粒子径は、特に限定されず、好ましくは0.1μm以上50.0μm以下、より好ましくは0.5μm以上13.5μm以下、更に好ましくは0.7μm以上6.0μm以下である。
本発明の好ましい態様は、無機物質粉末の偏在を抑制し易いという観点から、内層が、粒子径50.0μm超の無機物質粉末を実質的に含まない態様が包含される。
本発明の好ましい態様は、成形時の粘度の上昇を抑制し易いという観点から、内層が、粒子径0.1μm未満の無機物質粉末を実質的に含まない態様が包含される。
本発明において、無機物質粉末の「平均粒子径」は、JIS M-8511に準じた空気透過法による比表面積の測定結果から計算した値を意味する。測定機器としては、例えば、島津製作所社製の比表面積測定装置SS-100型を好ましく用いることが出来る。
無機物質粉末としては、積層シートの強度を高め易いという観点から、炭酸カルシウム粉末が好ましい。
炭酸カルシウム粉末としては、重質炭酸カルシウム粉末、及び軽質炭酸カルシウム粉末の何れでも良い。
ポリオレフィン系樹脂に対してより多くの接触界面を有し、積層シートの強度を向上させ易いという観点から、内層には重質炭酸カルシウム粉末が含まれることが好ましい。
また、内層に含まれる炭酸カルシウム粉末は、重質炭酸カルシウム粉末からなることが好ましく、内層に含まれる無機物質粉末は、重質炭酸カルシウム粉末からなることがより好ましい。
「重質炭酸カルシウム」とは、CaCOを主成分とする天然原料(石灰石等)を機械的に粉砕(乾式法、湿式法等)して得られる炭酸カルシウムである。
「軽質炭酸カルシウム」とは、合成法(化学的沈殿反応等)により調製された炭酸カルシウムである。
したがって、重質炭酸カルシウム、及び軽質炭酸カルシウムは互いに明確に区別される。
内層に重質炭酸カルシウム粉末が含まれる場合、JIS M-8511に準じた空気透過法に基づくその平均粒子径は、本発明の効果が特に奏され易いという観点から、好ましくは0.7μm以上6.0μm以下である。
(1-3)内層に配合されるその他の成分
内層には、本発明の効果を阻害しない範囲で、上記以外のその他の成分を配合しても良く、配合しなくても良い。
その他の成分としては、樹脂シートに通常配合され得る任意の成分を採用出来る。
このような成分として、潤滑剤、分散剤、静電防止剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
これらの成分の種類や量は、得ようとする効果等に応じて適宜設定出来る。
本発明の好ましい態様は、内層が、エチレン・1-ヘキセン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、及び無機物質粉末のみからなる積層シートを包含する。
(2)中間層
中間層は、ポリオレフィン系樹脂、及び無機物質粉末を含む。中間層は、内層と比較して融解し難く、積層シートに良好な強度やコシを付与する。
(2-1)中間層におけるポリオレフィン系樹脂
中間層におけるポリオレフィン系樹脂は、エチレン・1-ヘキセン共重合体(CAS番号:25213-02-9)、エチレン・1-ブテン共重合体(CAS番号:25087-34-7)、及び高密度ポリエチレン単独重合体を含み、好ましくはエチレン・1-ヘキセン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、及び高密度ポリエチレン単独重合体からなる。
「高密度ポリエチレン(HDPE)単独重合体」とは、0.942g/cm以上の密度を有するポリエチレン単独重合体である。
中間層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体の含有量は、中間層に充分な強度を付与する観点から、中間層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、及び高密度ポリエチレン単独重合体の総量に対して、31質量%以上34質量%以下である。
中間層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体の含有量の下限は、中間層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、及び高密度ポリエチレン単独重合体の総量に対して、31質量%以上、好ましくは32質量%以上である。
中間層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体の含有量の上限は、中間層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、及び高密度ポリエチレン単独重合体の総量に対して、34質量%以下、好ましくは33質量%以下である。
中間層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体の含有量の下限は、中間層に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上である。
中間層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体の含有量の上限は、中間層に対して、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
中間層におけるエチレン・1-ブテン共重合体の含有量は、中間層に充分な強度を付与する観点から、中間層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、及び高密度ポリエチレン単独重合体の総量に対して、33質量%以上34質量%以下である。
中間層におけるエチレン・1-ブテン共重合体の含有量の下限は、中間層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、及び高密度ポリエチレン単独重合体の総量に対して、33質量%以上である。
中間層におけるエチレン・1-ブテン共重合体の含有量の上限は、中間層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、及び高密度ポリエチレン単独重合体の総量に対して、34質量%以下である。
中間層におけるエチレン・1-ブテン共重合体の含有量の下限は、中間層に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上である。
中間層におけるエチレン・1-ブテン共重合体の含有量の上限は、中間層に対して、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
中間層における高密度ポリエチレン単独重合体の含有量は、中間層に充分な強度を付与する観点から、中間層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、及び高密度ポリエチレン単独重合体の総量に対して、33質量%以上36質量%以下である。
中間層における高密度ポリエチレン単独重合体含有量の下限は、中間層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、及び高密度ポリエチレン単独重合体の総量に対して、33質量%以上、好ましくは34質量%以上である。
中間層における高密度ポリエチレン単独重合体の含有量の上限は、中間層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、及び高密度ポリエチレン単独重合体の総量に対して、36質量%以下、好ましくは35質量%以下である。
中間層における高密度ポリエチレン単独重合体の含有量の下限は、中間層に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上である。
中間層における高密度ポリエチレン単独重合体の含有量の上限は、中間層に対して、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
中間層には、エチレン・1-ヘキセン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、及び高密度ポリエチレン単独重合体以外の任意の樹脂が含まれていても良く、含まれていなくとも良い。
中間層に、エチレン・1-ヘキセン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、及び高密度ポリエチレン単独重合体以外の樹脂が含まれる場合、その種類は特に限定されないが、高圧法によって単独重合された低密度ポリエチレン、エチレン-プロピレン-ヘキセン三元共重合体、エチレン-プロピレン-ブテン三元共重合体、オレフィンエラストマー類、スチレンエラストマー類、環状ポリオレフィン類、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、無水マレイン酸変性ポリエチレン、メタロセン重合ポリプロピレン等が挙げられる。
中間層に、エチレン・1-ヘキセン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、及び高密度ポリエチレン単独重合体以外の樹脂が含まれる場合、その含有量は、中間層に対して、好ましくは0.1質量%以上10質量%以下である。
(2-2)中間層における無機物質粉末
中間層における無機物質粉末の含有量は、積層シートに充分な強度を付与する観点から、中間層に対して、55質量%以上75質量%以下である。
中間層における無機物質粉末の含有量の下限は、中間層に対して、55質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは65質量%以上である。
中間層における無機物質粉末の含有量の上限は、中間層に対して、75質量%以下、好ましくは73質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。
中間層における無機物質粉末としては、上記「(1-2)内層における無機物質粉末」に挙げたものと同様の成分を採用出来る。
(2-3)中間層に配合されるその他の成分
中間層には、本発明の効果を阻害しない範囲で、上記以外のその他の成分を配合しても良く、配合しなくても良い。
中間層におけるその他の成分としては、上記「(1-3)内層に配合されるその他の成分」に挙げたものと同様の成分を採用出来る。
本発明の好ましい態様は、中間層が、エチレン・1-ヘキセン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、高密度ポリエチレン単独重合体、及び無機物質粉末のみからなる積層シートを包含する。
(3)外層
外層は、ポリオレフィン系樹脂、及び無機物質粉末を含む。外層は、内層と比較して融解し難く、中間層とともに、積層シートに良好な強度を付与する。
(3-1)外層におけるポリオレフィン系樹脂
外層におけるポリオレフィン系樹脂は、エチレン・1-ヘキセン共重合体(CAS番号:25213-02-9)、及びエチレン・1-ブテン共重合体(CAS番号:25087-34-7)を含み、好ましくはエチレン・1-ヘキセン共重合体、及びエチレン・1-ブテン共重合体からなる。
外層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体の含有量は、外層に充分な強度を付与する観点から、外層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体、及びエチレン・1-ブテン共重合体の総量に対して、70質量%以上76質量%以下である。
外層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体の含有量の下限は、外層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体、及びエチレン・1-ブテン共重合体の総量に対して、70質量%以上、好ましくは71質量%以上、より好ましくは72質量%以上である。
外層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体の含有量の上限は、外層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体、及びエチレン・1-ブテン共重合体の総量に対して、76質量%以下、好ましくは75質量%以下、より好ましくは74質量%以下である。
外層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体の含有量の下限は、外層に対して、好ましくは20質量%以上、より好ましくは22質量%以上である。
外層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体の含有量の上限は、外層に対して、好ましくは30質量%以下、より好ましくは26質量%以下である。
外層におけるエチレン・1-ブテン共重合体の含有量は、外層に充分な強度を付与する観点から、外層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体、及びエチレン・1-ブテン共重合体の総量に対して、24質量%以上30質量%以下である。
外層におけるエチレン・1-ブテン共重合体の含有量の下限は、外層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体、及びエチレン・1-ブテン共重合体の総量に対して、24質量%以上、好ましくは25質量%以上、より好ましくは26質量%以上である。
外層におけるエチレン・1-ブテン共重合体の含有量の上限は、外層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体、及びエチレン・1-ブテン共重合体の総量に対して、30質量%以下、好ましくは29質量%以下、より好ましくは28質量%以下である。
外層におけるエチレン・1-ブテン共重合体の含有量の下限は、外層に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上である。
外層におけるエチレン・1-ブテン共重合体の含有量の上限は、外層に対して、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
外層には、エチレン・1-ヘキセン共重合体、及びエチレン・1-ブテン共重合体以外の任意の樹脂が含まれていても良く、含まれていなくとも良い。
外層に、エチレン・1-ヘキセン共重合体、及びエチレン・1-ブテン共重合体以外の樹脂が含まれる場合、その種類は特に限定されないが、高圧法によって単独重合された低密度ポリエチレン、エチレン-プロピレン-ヘキセン三元共重合体、エチレン-プロピレン-ブテン三元共重合体、オレフィンエラストマー類、スチレンエラストマー類、環状ポリオレフィン類、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、無水マレイン酸変性ポリエチレン、メタロセン重合ポリプロピレン等が挙げられる。
外層に、エチレン・1-ヘキセン共重合体、及びエチレン・1-ブテン共重合体以外の樹脂が含まれる場合、その含有量は、外層に対して、好ましくは0.1質量%以上10質量%以下である。
(3-2)外層における無機物質粉末
外層における無機物質粉末の含有量は、積層シートに充分な強度を付与する観点から、外層に対して、50質量%以上70質量%以下である。
外層における無機物質粉末の含有量の下限は、外層に対して、50質量%以上、好ましくは55質量%以上、より好ましくは60質量%以上である。
外層における無機物質粉末の含有量の上限は、外層に対して、70質量%以下、好ましくは68質量%以下、より好ましくは66質量%以下である。
外層における無機物質粉末としては、上記「(1-2)内層における無機物質粉末」に挙げたものと同様の成分を採用出来る。
(3-3)外層に配合されるその他の成分
外層には、本発明の効果を阻害しない範囲で、上記以外のその他の成分を配合しても良く、配合しなくても良い。
外層におけるその他の成分としては、上記「(1-3)内層に配合されるその他の成分」に挙げたものと同様の成分を採用出来る。
本発明の好ましい態様は、外層が、エチレン・1-ヘキセン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、及び無機物質粉末のみからなる積層シートを包含する。
(4)積層シートのその他の構成
本発明の積層シートは、以下の構成の何れかを満たしていても良く、満たしていなくても良い。
本発明の積層シートの無機物質粉末の含有量の下限は、環境負荷をより低減し易いという観点から、積層シートに対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは52質量%以上である。
本発明の積層シートの無機物質粉末の含有量の上限は、環境負荷を低減しつつも、充分量の樹脂等を配合する観点から、積層シートに対して、好ましくは65質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。
本発明の積層シートは、内層と、中間層と、外層と、をこの順で含む少なくとも3層の層構造を有するが、更に別の層(例えば、内層と中間層との間の層、中間層と外層との間の層、内層の外面に設けられた最内層、外層の外面に設けられた最外層)を備えていても良く、備えていなくても良い。
ただし、本発明の効果が奏され易いという観点から、本発明の積層シートは、内層、中間層、及び外層からなる3層構造を有することが好ましい。
本発明の積層シートにおける各層の厚さ等は、特に限定されないが、内層及び外層の各層の厚さに対して中間層を厚くすることで、良好な強度を実現し易くなる。
内層の厚さは、積層シートの厚さに対して、好ましくは20%以上35%以下、より好ましくは23%以上32%以下である。
中間層の厚さは、積層シートの厚さに対して、好ましくは45%以上70%以下、より好ましくは50%以上60%以下である。
外層の厚さは、積層シートの厚さに対して、好ましくは9%以上30%以下、より好ましくは12%以上27%以下である。
内層の厚さは、好ましくは16μm以上32μm以下、より好ましくは20μm以上25μm以下である。
中間層の厚さは、好ましくは36μm以上56μm以下、より好ましくは40μm以上50μm以下である。
外層の厚さは、好ましくは5μm以上25μm以下、より好ましくは8μm以上22μm以下である。
積層シートの厚さは、好ましくは50μm以上120μm以下、より好ましくは60μm以上100μm以下である。
(5)積層シートの製造方法
本発明の積層シートの製造方法は特に限定されず、従来知られる多層シートや積層体の製造方法を採用出来る。
積層シートの製造方法として、例えば、以下の方法が挙げられる。
・シート状に成形した各層をカレンダーロールで積層する方法
・各層を共押出する方法
・多層Tダイ方式の二軸押出成形機を用いた、各層用原材料の溶融混練と、各層の共押出成形とを同一工程で行う方法
・複数の環状ダイスを用いた、押出インフレーション方式による方法
積層シートに対しては、必要に応じて延伸を行っても良い。
(6)積層シートの用途
本発明の積層シートは、通常の樹脂シートと同様の任意の用途に採用出来る。また、本発明の積層シートは、任意の成形方法に供することが出来る。
本発明の積層シートの好適な用途として、包装容器の材料が挙げられる。
本発明の積層シートの成形方法としては、特に限定されず、真空成形、圧空成形、マッチモールド成形等が挙げられる。
本発明は、本発明の積層シートからなる成形体を包含する。
本発明の積層シートからなる成形体の形態としては特に限定されないが、例えば、以下の形態が挙げられる。これらの形態の成形体によれば、簡便に容器等を製造出来る。
・内層が内側に配置され、かつ、外層が外側に配置された成形体(筒状体)
・積層シートの2つの端辺において、第1の端辺における内層と、第2の端辺における外層とが貼り合わされた成形体
内層が内側に配置され、かつ、外層が外側に配置された成形体(筒状体)は、シュリンクフィルムロール、シームレス筒状フィルム等として利用出来る。
この態様においては、成形体の一方の開口部をヒートシール等によって閉じ、内部に封入対象を入れた後に、別の一方の開口部をヒートシール等で閉じることで、封入対象の包装を行うことが出来る。
積層シートの2つの端辺において、第1の端辺における内層と、第2の端辺における外層とが貼り合わされた成形体は、シュリンクフィルムロール、筒状フィルム、封筒状体等として利用出来る。
この態様においても、成形体の一方の開口部をヒートシール等によって閉じ、内部に封入対象を入れた後に、別の一方の開口部をヒートシール等で閉じることで、封入対象の包装を行うことが出来る。
本発明の積層シートは、良好なシーリング性及び良好な強度を備える。したがって、本発明は、袋状体としての利用に特に適する。このような袋状体は、軽量物だけではなく、重量物を入れるためにも好適に利用出来る。
袋状体に入れる重量物としては、米、肥料、セメント、砂(猫砂等)等が挙げられる。したがって、本発明における袋状体は、米袋、肥料袋、セメント袋、砂袋等を包含する。
袋状体の大きさは、封入対象の大きさに応じて適宜設定出来る。例えば、袋状体が米袋である場合、規格に合わせた任意の大きさであり得る。
以下に、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<積層シート及び成形体の作製並びに評価>
以下の方法で積層シート及び成形体を作製し、その評価を行った。
(1)材料の準備
各層の材料を以下のとおり準備した。
(1-1)ポリオレフィン系樹脂
C2・C6:エチレン・1-ヘキセン共重合体
C2・C4:エチレン・1-ブテン共重合体
HDPE:高密度ポリエチレン単独重合体
(1-2)無機物質粉末
炭酸カルシウム粉末-1(Ca-1):重質炭酸カルシウム粉末(平均粒径2.0μm、表面処理なし)
炭酸カルシウム粉末-1(Ca-2):軽質炭酸カルシウム粉末(平均粒径2.0μm、表面処理なし)
炭酸カルシウム粉末の平均粒径は、JIS M-8511に準じた空気透過法に基づき特定された値である。
表中、ポリオレフィン系樹脂の配合量について、ポリオレフィン系樹脂に占める比率を括弧内に記載した。
例えば、「実施例1-1」では、内層に、「C2・C6」及び「C2・C4」が、内層に対して、それぞれ「76質量%」及び「4質量%」含まれる。これらの樹脂は、ポリオレフィン系樹脂(つまり、「C2・C6」及び「C2・C4」の総量)に対して、それぞれ「95質量%」及び「5質量%」含まれる。
(2)積層シート及び成形体の作製
表に示す材料を用いて、押出インフレーション成形により、3層(又は2層以下)の積層シートからなる成形体(シームレス筒状フィルム)を作製した。
積層シートの厚さは80μmに設定した。各層の厚さの比率は、内層:中間層:外層=30(24μm):56(45μm):14(11μm)に設定した。ただし、2層以下の積層シートの層の厚さは、3層の積層シートにおける対応する各層と同じ厚さとなるように設定した(例えば、内層に相当する層しか有さない試料の厚さは24μmである。)。
得られた成形体を、米袋の標準サイズに合わせてカットし、2つの開口部のうち片方(成形体の一辺)を120℃でヒートシーリングし、袋状体を得た。
本例では、米2kg用(60μm×220mm×350mm)、及び米10kg用(90μm×340mm×570mm)の2種類の袋状体を準備した。
本例で得られた袋状体は、積層シートにおける内層が内側に配置され、かつ、外層が外側に配置された筒状体において、2つの開口部のうち片方が閉じられた袋状体に相当する。この袋状体は、内層同士がシーリングされている。
(3)米の充填
得られた袋状体へ、市販の包装機を用いて、袋状体のサイズに応じた量の米を充填し、開口部を120℃でヒートシーリングすることで、密閉した。密閉後、袋状体の表面に通気穴を開けた。
(4)成形体の評価
以下の方法で、米を充填した袋状体について、シーリング性、及び強度を評価した。その結果を表中の「評価」の項に示す。
(4-1)シーリング性
袋状体の開口部をヒートシーリングした際の接着度合いを目視観察し、以下の基準で評価した。
なお、「不良1」に該当した試料は、強度の評価を行わなかった。
(シーリング性の評価基準)
良好:破れ、穴等がなく、良好にシーリングされている。
不良1:接着せず、シーリング出来なかった。
不良2:破れ、穴等が認められた。
(4-2)強度
米を充填した袋状体を、地面から1mの高さから地面へ落とし、破損(袋状体の破れや割れ)の有無を目視で確認し、以下の基準で評価した。
(強度の評価基準)
良好:落下衝撃による袋状体の破損が認められなかった。
不良:落下衝撃による袋状体の破損が認められた。
(5)結果
袋状体のサイズにかかわらず、表に示す結果が得られた。
表に示されるとおり、本発明の要件を満たす積層シートから得られる成形体は、シーリング性及び強度の両方が優れていた。
データは示していないが、無機物質粉末の種類にかかわらず同傾向の結果が得られた。ただし、コストや効果の安定性の観点から、重質炭酸カルシウム粉末(特に、平均粒子径が0.7μm以上6.0μm以下であるもの)が特に良好だった。
本例では、内層が内側に配置され、かつ、外層が外側に配置された筒状体を用いたが、封筒状体(積層シートの2つの端辺において、第1の端辺における内層と、第2の端辺における外層とを貼り合わせて袋状体としたもの)でも同傾向の結果が得られた。
ただし、製造の簡便さや強度の観点から、筒状体が特に良好だった。
なお、各例において、高密度ポリエチレン単独重合体の代わりに、プロピレン単独重合体を配合したところ、何れの例でも強度が低下した。
Figure 0007227671000001
Figure 0007227671000002

Claims (11)

  1. 内層と、中間層と、外層と、がこの順で積層された積層シートであって、
    前記内層、前記中間層、及び前記外層が、それぞれ、ポリオレフィン系樹脂、及び無機物質粉末を含み、
    前記内層が、エチレン・1-ヘキセン共重合体、及びエチレン・1-ブテン共重合体を含み、
    前記内層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体の含有量が、前記内層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体、及びエチレン・1-ブテン共重合体の総量に対して、92質量%以上98質量%以下であり、
    前記内層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体の含有量が、前記内層に対して、60質量%以上であり、
    前記内層におけるエチレン・1-ブテン共重合体の含有量が、前記内層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体、及びエチレン・1-ブテン共重合体の総量に対して、2質量%以上8質量%以下であり、
    前記内層における無機物質粉末の含有量が、前記内層に対して、15質量%以上25質量%以下であり、
    前記中間層が、エチレン・1-ヘキセン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、及び高密度ポリエチレン単独重合体を含み、
    前記中間層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体の含有量が、前記中間層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、及び高密度ポリエチレン単独重合体の総量に対して、31質量%以上34質量%以下であり、
    前記中間層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体の含有量が、前記中間層に対して、5質量%以上であり、
    前記中間層におけるエチレン・1-ブテン共重合体の含有量が、前記中間層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、及び高密度ポリエチレン単独重合体の総量に対して、33質量%以上34質量%以下であり、
    前記中間層における高密度ポリエチレン単独重合体の含有量が、前記中間層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、及び高密度ポリエチレン単独重合体の総量に対して、33質量%以上36質量%以下であり、
    前記中間層における無機物質粉末の含有量が、前記中間層に対して、55質量%以上75質量%以下であり、
    前記外層が、エチレン・1-ヘキセン共重合体、及びエチレン・1-ブテン共重合体を含み、
    前記外層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体の含有量が、前記外層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体、及びエチレン・1-ブテン共重合体の総量に対して、70質量%以上76質量%以下であり、
    前記外層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体の含有量が、前記外層に対して、20質量%以上であり、
    前記外層におけるエチレン・1-ブテン共重合体の含有量が、前記外層におけるエチレン・1-ヘキセン共重合体、及びエチレン・1-ブテン共重合体の総量に対して、24質量%以上30質量%以下であり、
    前記外層における無機物質粉末の含有量が、前記外層に対して、50質量%以上70質量%以下である、
    積層シート。
  2. 前記無機物質粉末の含有量が、前記積層シートに対して、50質量%以上65質量%以下である、請求項1記載の積層シート。
  3. 前記無機物質粉末が、炭酸カルシウム粉末である、請求項1記載の積層シート。
  4. 前記炭酸カルシウム粉末が、重質炭酸カルシウム粉末である、請求項3記載の積層シート。
  5. 前記重質炭酸カルシウム粉末の平均粒子径が、0.7μm以上6.0μm以下である、請求項4記載の積層シート。
  6. 前記内層の厚さが、積層シートの厚さに対して、20%以上35%以下であり、
    前記中間層の厚さが、積層シートの厚さに対して、45%以上70%以下であり、
    前記外層の厚さが、積層シートの厚さに対して、9%以上30%以下である、
    請求項1記載の積層シート。
  7. 請求項1から6の何れかに記載の積層シートからなる成形体。
  8. 前記内層が内側に配置され、かつ、前記外層が外側に配置された筒状体である、請求項7記載の成形体。
  9. 積層シートの2つの端辺において、第1の端辺における前記内層と、第2の端辺における前記外層とが貼り合わされた、請求項7記載の成形体。
  10. 前記成形体が、袋状体である、請求項7記載の成形体。
  11. 前記袋状体が、米袋である、請求項10記載の成形体。
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