JP6819849B2 - 酸素吸収成形体及びその製造方法、酸素吸収多層体、並びに酸素吸収包装体 - Google Patents
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Description
鉄及びニッケルより選ばれる1種又は2種の金属を含む金属粒子と、熱可塑性樹脂と、含有量が酸化物換算で0.1質量%以上20質量%以下である金属化合物と、を含む、成形体であって、
前記金属粒子の平均粒子径が、5.0μm以上200μm以下であり、かつ、前記金属粒子のBET比表面積が、10m2/g以上であり、
下記式(1)から算出される吸水能力が、3.0質量%以下である、
酸素吸収成形体。
吸水能力(質量%)=100×(M2−M1)/M1 (1)
(式中、M1は、前記成形体の質量を示し、M2は、前記成形体を40℃、75%RHの条件下で保存した後の質量を示す。)
[2]
前記金属化合物は、金属酸化物及び金属水酸化物であり、
下記式(2)から算出される、前記金属酸化物に対する前記金属水酸化物のモル比が、0.5以上である、
[1]に記載の酸素吸収成形体。
モル比=[(B1×M3/M1)−A]/A (2)
(式中、Aは、前記吸水能力を示し、B1は、前記金属化合物の理論吸水能力を示し、M1は、前記成形体の質量を示し、M3は、前記金属化合物の質量を示す。)
[3]
鉄及びニッケルより選ばれる1種又は2種の金属を含む金属粒子と、熱可塑性樹脂と、含有量が酸化物換算で0.1質量%以上20質量%以下である金属化合物と、を成形し、成形体を得る成形工程と、
前記成形体に対して、液体の水換算で1.0mL/m2以上40mL/m2以下の水蒸気を接触させる又は水を塗布する調湿工程と、を有する、
酸素吸収成形体の製造方法。
[4]
鉄及びニッケルより選ばれる1種又は2種の金属を含む金属粒子と、熱可塑性樹脂と、含有量が酸化物換算で0.1質量%以上20質量%以下である金属化合物と、を含む、酸素吸収層と、
前記酸素吸収層の片面側に、40℃の温度、及び90%RHの湿度下で、25μm厚みの水蒸気透過度が、100g/m2以下である1種又は2種以上の熱可塑性樹脂を含有するシーラント層と、
前記酸素吸収層の他面側に、ガスバリア層と、を備え、
前記金属粒子の平均粒子径が、5.0μm以上200μm以下であり、かつ前記金属粒子のBET比表面積が、10g/m2/日以上である、
酸素吸収積層体。
[5]
前記シーラント層は、環状ポリオレフィンを含有する、
[4]に記載の酸素吸収積層体。
[6]
[4]又は[5]に記載の酸素吸収積層体を、少なくとも一部に含む包装容器を備え、
前記酸素吸収積層体は、前記包装容器において、酸素吸収層を備え、該酸素吸収層よりも内側にシーラント層を備え、かつ該酸素吸収層よりも外側にガスバリア層を備える、
酸素吸収包装容器。
本実施形態の酸素吸収成形体は、鉄及びニッケルより選ばれる1種又は2種の金属を含む金属粒子と、熱可塑性樹脂と、含有量が酸化物換算で0.1質量%以上20質量%以下である金属化合物とを含む成形体である。また、上記金属粒子の平均粒子径は、5.0μm以上200μm以下であり、かつ、上記金属粒子のBET比表面積は、10m2/g以上である。さらに、本実施形態の酸素吸収成形体において、下記式(1)から算出される吸水能力は、3.0質量%以下である。
吸水能力(質量%)=100×(M2−M1)/M1 (1)
式中、式中、M1は、成形体の質量を示し、M2は、成形体を40℃、75%RH下の条件下で保存した後の質量を示す。ここで、M1及びM2は、後述する実施例に記載する方法により測定する。
酸素吸収成形体の吸水能力=100×(M2−M1)/M1 (1)
式(1)中、M1は、酸素吸収成形体の質量を示し、M2は、酸素吸収成形体を40℃、75%RHの条件下で保存した後の質量を示す。また、M2は、具体的に、後述する実施例に記載の方法により測定される。
吸水能力が3.0質量%以下であることにより、優れた調湿性が得られる。また、吸水能力が3.0質量%以下である成形体を得るためには、例えば、後述する調湿工程を行って成形体を製造すればよい。
本実施形態の金属粒子は、鉄及びニッケルより選択される1種又は2種の金属を含む。また、金属粒子の平均粒子径は、5.0μm以上200μm以下であり、かつ、金属粒子のBET比表面積は、10m2/g以上である。このような金属粒子の具体的な形態としては、多孔質の金属粒子が挙げられる。このような多孔質の金属粒子としては、(A)鉄及びニッケルより選択される1種又は2種の遷移金属(以下、「成分(A)」、「(A)」ともいう。)と、(B)両性金属、マグネシウム及びケイ素からなる群より選択される1種又は2種以上(以下、「成分(B)」、「(B)」ともいう。)とを含む合金を、酸又はアルカリの水溶液処理に供して、成分(B)の少なくとも一部を溶出除去して得られる金属が挙げられ、このような金属はラネー金属ともいわれる。ここで、「合金」とは、ある結晶構造を有している単一組成のもののみならず、それらの混合物及び金属自体の混合物を含むものを意味する。
本実施形態の熱可塑性樹脂としては、その種類に特に制限はないが、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂及び塩素系樹脂が挙げられ、この中では特に、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エラストマー、及びこれらの混合物を好適に使用することができる。
本実施形態の金属化合物としては、成形体とする際の発泡を抑制するために、金属粒子から放出される水分を吸収する金属化合物が好適に用いられる。金属化合物は、水分の再放出が起こらないように、化学的に水分を吸着するものが好ましい。また、水分吸収前後での酸素吸収成形体の構造に影響を与えないように、水分吸着後も固体状態を保持できるものが好ましい。例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム等のアルカリ金属酸化物、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム等のアルカリ土類金属酸化物が挙げられる。
下記式(2)から算出される、金属酸化物に対する金属水酸化物のモル比が、0.5以上であると、本発明の作用効果を確実に奏する点から好ましい。
モル比=[(B1×M3/M1)−A]/A (2)
式(2)中、Aは、上述した式(1)から求められる吸水能力を示し、B1は、金属化合物の理論吸水能力を示し、M1は、成形体の質量を示し、M3は、金属化合物の質量を示す。ここで、金属化合物の質量は例えば、ICP法を用いて測定した金属化合物の含有量から算出することができる。
金属酸化物のモル量=吸水能力(上記A1)/理論吸水能力(上記B1)×金属化合物の物質量
また、金属水酸化物のモル量は、下記式から求められる。
金属水酸化物のモル量=(理論吸水能力(上記B1)−吸水能力(上記A1))/理論吸水能力(上記B1)×金属化合物の物質量
以上より、金属酸化物に対する金属水酸化物のモル比は、上記式(2)より算出することができる。
本実施形態の酸素吸収成形体の製造方法は、鉄及びニッケルより選ばれる1種又は2種の金属を含む金属粒子と、熱可塑性樹脂と、含有量が酸化物換算で0.1質量%以上20質量%以下である金属化合物とを成形し、成形体を得る成形工程を有する。また、当該製造方法は、得られた成形体に対して、液体の水換算で1.0mL/m2以上40mL/m2以下の水蒸気を接触させる又は水を塗布する調湿工程を、さらに有することができる。
成形工程として、具体的には、金属粒子と、熱可塑性樹脂と、金属化合物とを混合して作製することができる。このとき、酸素吸収成形体の金属粒子の含有量は、好ましくは1.0質量%以上80質量%以下となり、より好ましくは5.0質量%以上70質量%以下となり、さらに好ましくは10質量%以上65質量%以下となるように添加する。金属粒子の含有量が上記範囲にあると、金属粒子の含有量が1.0質量%以上であることにより、より高い酸素吸収性能が得られる利点があり、また、金属粒子の含有量が80質量%以下であることにより、金属含有量増加に伴う全体の粘度上昇を抑制出来るので樹脂加工性等を良好に維持できる。
本実施形態において、酸素吸収成形体により保存する対象物が余計に乾燥するのを抑制するために、酸素吸収成形体の製造工程内に調湿工程をさらに有してもよい。金属化合物による酸素吸収成形体の成形時の発泡抑制効果に影響を与えないように、調湿工程は酸素吸収成形体の成形工程後に行うことが好ましい。酸素吸収成形体の製造工程内に調湿工程を入れることで、酸素吸収成形体の吸水能力を低減することができ、乾燥を望まない対象物を好適に保存できる。
本実施形態の酸素吸収積層体は、酸素吸収層と、その片面側に1種又は2種以上の熱可塑性樹脂を含有するシーラント層と、その他面側にガスバリア層と、を備える積層体である。以下、本実施形態の酸素吸収積層体の各層およびその成分について、詳細を説明する。
酸素吸収層は、鉄及びニッケルより選ばれる1種又は2種の金属を含む金属粒子と、熱可塑性樹脂と、含有量が酸化物換算で0.1質量%以上20質量%以下である金属化合物とを含む層である。
シーラント層は1種又は2種以上の熱可塑性樹脂を含有する層である。熱可塑性樹脂としては、上記の酸素吸収積層体における“熱可塑性樹脂”で説明したものと同様の種類のものを用いることができるが、水蒸気透過度が小さい熱可塑性樹脂を用いたほうが、保存する対象物から金属化合物への水分移行を防ぐことができるため、好ましい。シーラント層に用いる熱可塑性樹脂の水蒸気透過度としては、40℃の温度、及び90%RHの湿度下での25μm厚みの換算で100g/m2/日以下であることが好ましく、より好ましくは70g/m2/日以下であり、さらに好ましくは50g/m2/日以下である。
ガスバリア層は、ガスの透過を抑制することができる層である。ガスバリア層は、ポリメタキシリレンアジパミド樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、ポリ塩化ビニリデン、アミン−エポキシ硬化剤等を用いたバリア性樹脂からなるものであってもよいし、無機物又は無機酸化物の蒸着膜或いは金属箔からなるものであってもよい。
本実施形態の別の様態によれば、本実施形態の酸素吸収積層体を、少なくとも一部に含む包装容器を備え、酸素吸収積層体は、その包装容器において、酸素吸収層を備え、酸素吸収層よりも内側にシーラント層を備え、かつ酸素吸収層よりも外側にガスバリア層を備える、酸素吸収包装容器が提供される。
Al(アルミニウム)粉とFe(鉄)粉とをそれぞれ50質量%の割合で混合し、窒素中で溶解して、Al−Fe合金を得た。得たAl−Fe合金はジョークラッシャー、ロールクラッシャー及びボールミルを用いて粉砕し、粉砕物を目開き250メッシュの網を用いて分級し、250メッシュ以下のAl−Fe合金粉を得た。
得られた金属粉1のかさ密度は1.3g/cm3であった(JIS Z2504に準拠して測定)。
金属粉1の1gを、通気性小袋内に包装し、乾燥剤と共にガスバリア袋(Al箔ラミネートプラスチック袋)に入れ、500mLの空気(酸素濃度20.9%)を充填して密封し、25℃で1日保存した。25℃で1日保存したガスバリア袋内の酸素濃度をガスクロマトグラフにより測定した結果、ガスバリア袋内の酸素濃度は5.9容量%であり、ガスバリア袋内の減少した酸素濃度から酸素吸収量を算出した結果、酸素吸収量は79.7mL/gであった。
金属粉1の平均粒子径を粒度・形状分布測定器(株式会社セイシン企業製「PITA−2」)を使用して測定した結果、金属粉1の平均粒子径は45μmであった。
金属粉1の比表面積を自動比表面積測定装置(株式会社島津製作所製「ジェミニVII2390」)を使用して測定した結果、金属粉1の比表面積は53.0m2/gであった。
金属粉1と、直鎖低密度ポリエチレン(日本ポリエチレンより入手可、MFR2.1g/10min(JIS K7210に準拠して測定)、以下「LLDPE1」と表記する。)とを、LLDPE1:金属粉1=70質量%:30質量%となるように二軸押出機にて溶融混練して「酸素吸収性樹脂組成物ペレットA」を得た。
LLDPE1の代わりに、ポリプロピレンのランダムコポリマー(株式会社プライムポリマーより入手可、MFR7.0g/10min(JIS K7210に準拠して測定)、以下「PP2」と表記する)を用いた以外は、酸素吸収性樹脂組成物ペレットAと同様の操作により、「酸素吸収性樹脂組成物ペレットB」を得た。
金属化合物として、酸化カルシウムCaO(和光純薬工業より入手可)を使用した。CaOとLLDPE1とを、LLDPE1:CaO=30質量%:70質量%となるようにした以外は、酸素吸収性樹脂組成物ペレットAと同様の操作により、二軸押出機にて溶融混練して「金属化合物樹脂ペレットC」を得た。同様の操作により、CaOとPP2とを、PP2:CaO=30質量%:70質量%となるように二軸押出機にて溶融混練して「金属化合物樹脂ペレットD」を得た。
LLDPE1を熱可塑性樹脂層とした、2種2層フィルム(厚さ;酸素吸収層40μm/熱可塑性樹脂層20μm)を、幅650mmで、40m/分で、酸素吸収層面をコロナ放電処理し、酸素吸収成形体のフィルムロールを作製した(以下、「酸素吸収成形体a」と表記する)。酸素吸収層は、酸素吸収性樹脂組成物ペレットA:金属化合物樹脂ペレットC=97質量%:3質量%となるような組成で作製した。フィルムロールにコブ等の偏肉はなく、得られたフィルムの外観は良好であった。
得られた酸素吸収成形体aを10cm×10cmに切り取った。切り取った酸素吸収成形体aの質量は0.69gであり、該成形体中のLLDPE1と金属粉1との質量比から算出すると、該成形体中に含有される金属粉1の質量は0.15gであった。該成形体を乾燥剤と共にガスバリア袋(Al箔ラミネートプラスチック袋)に入れ、100mLの空気(酸素濃度20.9%)を充填して密封し、25℃で30日保存した。
酸素吸収成形体aを21cm×30cmに切り取った。切り取った酸素吸収成形体aの質量は4.34gであった。該成形体に含有される酸化カルシウムの量はICPの測定結果より算出すると、酸化物換算で0.067gであり、1.5質量%であった。酸化カルシウムの理論給水能力が32.1質量%であることから、酸素吸収成形体aの理論給水能力は0.5質量%と算出される。
続いて、21cm×30cmに切り取った酸素吸収成形体aを酸素濃度0.1%以下の窒素条件下、40℃、90%RH条件下で30日間保管した後、質量を測定し、測定した質量から酸素吸収成形体aの吸水能力を算出すると、酸素吸収成形体aの吸水能力は0.4質量%であった。酸素吸収成形体aの理論給水能力と吸水能力とから酸化カルシウムの酸化物に対するその水酸化物のモル比を算出すると、モル比は0.25であった。結果は表1に示した。
作製した酸素吸収成形体aにコロナ処理面側にウレタン系ドライラミネート用接着剤(三井化学株式会社製)を用いて、PET(東洋紡績株式会社製、片面コロナ処理済、12)/接着剤(3)/ガスバリア層:アルミ箔(7)/接着剤(3)/酸素吸収層(40)/シーラント層:LLDPE1(20)の酸素吸収積層体aを得た。尚、括弧内の数字は各層の厚さ(単位:μm)を意味する。
酸素吸収積層体aのシーラント層を内側にして、酸素吸収包装容器a(9cm×12cm)を作製し、貼付剤(商品名:パテックスうすぴたシップ(登録商標)、第一三共ヘルスケア株式会社製)を充填して、ヒートシールにて(袋内空気量15ccとなるように)密封し、密封体を得た。この密封体を23℃、30RH%で保存し、14日目の酸素濃度をガスクロマトグラフィーにて測定したところ、0.1容量%以下であった。また、23℃、30RH%で14日保存後の密封体内部の相対湿度を測定したところ、相対湿度は21%RHであり、密封体内部で保存する対象物を乾燥状態にすること無く、一定の湿度下で保存することが可能であった。結果は表1に示した。
酸素吸収成形体aのフィルムロールに対して、調湿工程を導入し、酸素吸収成形体bを作製した。調湿工程として、酸素吸収成形体aのフィルムロールを20m/分で巻き出し、熱可塑性樹脂層に対して、4mL/m2となるように水蒸気を噴霧した。水蒸気は超音波加湿器を用いて、フィルムロールに噴霧した。
実施例1と同様にして、酸素吸収成形体bを10cm×10cmに切り取った。切り取った酸素吸収成形体bの質量は0.69gであり、該成形体中のLLDPE1と金属粉1との質量比から算出すると、該成形体中に含有される金属粉1の質量は0.15gであった。
酸素吸収成形体bを21cm×30cmに切り取った。切り取った酸素吸収成形体bの質量は4.34gであった。該成形体に含有される酸化カルシウムの量は酸素吸収成形体aと同量で、0.067gであり、1.5質量%であった。酸素吸収成形体bの理論給水能力は酸素吸収成形体aと同じく、0.5質量%である。
続いて、実施例1と同様にして、21cm×30cmに切り取った酸素吸収成形体bの吸水能力を算出したところ、0.1質量%であった。また、酸素吸収成形体bに含有される酸化カルシウムの酸化物に対するその水酸化物のモル比を算出すると、モル比は0.8であった。結果は表1に示した。
酸素吸収成形体aの替わりに酸素吸収成形体bを用いた以外は実施例1と同様にして、酸素吸収積層体bを得たのち、酸素吸収包装容器bをさらに得た。
酸素吸収包装容器bに、貼付剤(商品名:パテックスうすぴたシップ(登録商標)、第一三共ヘルスケア株式会社製)を充填して、ヒートシールにて密封し、密封体を得た。この密封体を23℃、30RH%で14日間保存した後の酸素濃度は0.1容量%以下であった。また、23℃、30RH%で14日保存後の密封体内部の相対湿度は43%RHであり、密封体内部で保存する対象物を乾燥状態にすること無く、一定の湿度下で保存することが可能であった。結果は表1に示した。
PP2を熱可塑性樹脂層とした、2種3層フィルム(厚さ;熱可塑性樹脂層30μm/酸素吸収層70μm/熱可塑性樹脂層30μm)を、幅830mmで、50m/分で、片面にコロナ放電処理し、酸素吸収成形体のフィルムロールを作製した(以下、「酸素吸収成形体c」と表記する)。酸素吸収層は、酸素吸収性樹脂組成物ペレットB:金属化合物樹脂ペレットD=70質量%:30質量%となるような組成で作製した。フィルムロールにコブ等の偏肉はなく、得られたフィルムの外観は良好であった。
実施例1と同様にして、酸素吸収成形体cを10cm×10cmに切り取った。切り取った酸素吸収成形体cの質量は1.53gであり、該成形体中のPP2と金属粉1との質量比から算出すると、該成形体中に含有される金属粉1の質量は0.21gであった。
酸素吸収成形体cを21cm×30cmに切り取った。切り取った酸素吸収成形体cの質量は9.61gであった。該成形体に含有される酸化カルシウムの量はICPの測定結果より算出すると、酸化物換算で1.304gであり、13.6質量%であった。酸素吸収成形体cの理論給水能力は、4.4質量%と算出される。
続いて、実施例1と同様にして、21cm×30cmに切り取った酸素吸収成形体cの吸水能力を算出したところ、3.4質量%であった。酸素吸収成形体cに含有される酸化カルシウムの酸化物に対する水酸化物のモル比を算出すると、モル比は0.23となった。結果は表1に示した。
作製した酸素吸収成形体cにコロナ処理面側にウレタン系ドライラミネート用接着剤(東洋モートン株式会社製)を用いて、PET(東洋紡績株式会社製、片面コロナ処理済、12)/接着剤(3)/ガスバリア層:アルミ箔(7)/接着剤(3)/ナイロン(東洋紡績株式会社製、両面コロナ処理済、15)/接着剤(3)/PP2(30)/酸素吸収層(70)/シーラント層:PP2(30)の酸素吸収積層体cを得た。尚、括弧内の数字は各層の厚さ(単位:μm)を意味する。
酸素吸収積層体aの替わりに酸素吸収積層体cを用いた以外は実施例1と同様にして、酸素吸収包装容器cを得た。
酸素吸収包装容器cに、貼付剤(商品名:パテックスうすぴたシップ(登録商標)、第一三共ヘルスケア株式会社製)を充填して、ヒートシールにて密封し、密封体を得た。この密封体を23℃、30RH%で14日間保存した後の酸素濃度は0.1容量%以下であった。また、23℃、30RH%で14日保存後の密封体内部の相対湿度は2.0%RHであり、密封体内部で対象物を保存する環境が乾燥状態となった。
Claims (8)
- 鉄及びニッケルより選ばれる1種又は2種の金属を含む金属粒子と、熱可塑性樹脂と、含有量が酸化物換算で0.1質量%以上20質量%以下である金属化合物と、を含む、成形体であって、
前記金属粒子の平均粒子径が、5.0μm以上200μm以下であり、かつ、前記金属粒子のBET比表面積が、10m2/g以上であり、
前記金属化合物は、アルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物を含み、
下記式(1)から算出される吸水能力が、0.1質量%以下である、
酸素吸収成形体。
吸水能力(質量%)=100×(M2−M1)/M1 (1)
(式中、M1は、前記成形体の質量を示し、M2は、前記成形体を40℃、75%RHの条件下で保存した後の質量を示す。) - 前記金属化合物は、アルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物の金属酸化物及び金属水酸化物であり、
下記式(2)から算出される、前記金属酸化物に対する前記金属水酸化物のモル比が、0.5以上である、
請求項1に記載の酸素吸収成形体。
モル比=[(B1×M3/M1)−A]/A (2)
(式中、Aは、前記吸水能力を示し、B1は、前記金属化合物の理論吸水能力を示し、M1は、前記成形体の質量を示し、M3は、前記金属化合物の質量を示す。) - 鉄及びニッケルより選ばれる1種又は2種の金属を含む金属粒子と、熱可塑性樹脂と、含有量が酸化物換算で0.1質量%以上20質量%以下である金属化合物と、を成形し、成形体を得る成形工程と、
前記成形体に対して、液体の水換算で1.0mL/m2以上40mL/m2以下の水蒸気を接触させる又は水を塗布する調湿工程と、を有し、
前記金属粒子の平均粒子径が、5.0μm以上200μm以下であり、かつ、前記金属粒子のBET比表面積が、10m 2 /g以上であり、
前記金属化合物は、アルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物を含む、
酸素吸収成形体の製造方法。 - 前記金属化合物は、酸化カルシウムである、
請求項3に記載の酸素吸収成形体の製造方法。 - 鉄及びニッケルより選ばれる1種又は2種の金属を含む金属粒子と、熱可塑性樹脂と、含有量が酸化物換算で0.1質量%以上20質量%以下である金属化合物と、を含む、酸素吸収層と、
前記酸素吸収層の片面側に、40℃の温度、及び90%RHの湿度下で、25μm厚みの水蒸気透過度が、100g/m2/日以下である1種又は2種以上の熱可塑性樹脂を含有するシーラント層と、
前記酸素吸収層の他面側に、ガスバリア層と、を備え、
前記金属粒子の平均粒子径が、5.0μm以上200μm以下であり、かつ前記金属粒子のBET比表面積が、10g/m2以上であり、
前記金属化合物は、アルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物を含み、
下記式(1)から算出される吸水能力が、0.1質量%以下である、
酸素吸収積層体。
吸水能力(質量%)=100×(M2−M1)/M1 (1)
(式中、M1は、前記成形体の質量を示し、M2は、前記成形体を40℃、75%RHの条件下で保存した後の質量を示す。) - 前記金属化合物は、酸化カルシウムである、
請求項5に記載の酸素吸収積層体。 - 前記シーラント層は、環状ポリオレフィンを含有する、
請求項5又は6に記載の酸素吸収積層体。 - 請求項5〜7のいずれか一項に記載の酸素吸収積層体を、少なくとも一部に含む包装容器を備え、
前記酸素吸収積層体は、前記包装容器において、酸素吸収層を備え、該酸素吸収層よりも内側にシーラント層を備え、かつ該酸素吸収層よりも外側にガスバリア層を備える、
酸素吸収包装容器。
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